【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、付属の独立請求項によって定義される。各実施形態は、従属請求項において、付属の図面において、また、以下の説明文において記載される。
【0009】
第1の態様によれば、線路用の風、雪、及び砂保護装置であって、軌道レールの少なくとも一方の側面に隣接して、又は軌道レールに直接、取り外し可能に固定されるように構成されたベース部と、バリアを取り付けることが可能なバリアホルダーとを有する保護装置が提供される。ベース部とバリアホルダーとは、バリアホルダーがベース部に対して旋回可能であるようにヒンジ関節によって相互連結可能である。
【0010】
ヒンジ関節は、ベース部及びバリアホルダーの一方と一体的に形成された雄型コネクタと、ベース部及びバリアホルダーの他方と一体的に形成された雌型コネクタとを有している。
【0011】
軌道レールの一方の側面に隣接して取り外し可能に固定されるように構成されたベース部は、例えば線路軌道を枕木に固定するために使用されるレールボルトを使用することによって枕木に固定することができる。ベース部は、レール底部の周囲に締めつけられる装着手段によって軌道レールに直接、取り外し可能に固定することもできる(例えば枕木の間に)。このような締めつけ装着手段により、レールボルトなどの予め存在する固定点の存在及び位置によらない、ベース部とレールとのより柔軟でより速やかな取り付け/取り外しが実現される。更に、レールの近傍ではレールボルトの数は少ないため、このような固定点の数も少ない。ベース部をレール軌道に固定するための締めつけ装着手段を用いることで、滑走位置決め動作によって軌道レールに沿ったベース部の位置の調節が更に容易となる。
【0012】
バリアホルダーに取り付け可能なバリアは、木材板、グラスファイバーなどの硬質のバリアであってよい。しかしながら、バリアは少なくとも部分的に可撓性材料で形成されることが好ましい。バリアは、固定部、及び固定部から突出し、固定部に沿って延びるカーテンを形成する可撓性スクリーンを有する、国際特許出願WO2005/03384号に述べられる種類の可撓性ストリップの構成とすることができる。このようなストリップ機構の可撓性スクリーンは、剛毛で形成することができる。こうしたバリアは、互いに対して動かすことが可能な複数の偏向要素で構成された上部縁部を有する、国際特許出願公開第WO2011/133501号に述べられるようなバリアであってもよい。
【0013】
バリアが取り付けられたバリアホルダーがベース部と相互連結され、使用位置へと旋回されると、バリアは軌道レールの延在方向に沿って雪、砂及び他の粒子が吹きつけることを防止するか、又は少なくともその量を低減させる。保護装置が線路スイッチに近接して取り付けられる場合には、バリアは、スイッチに雪、砂及び他の粒子が入り込むことを防止するか、又は少なくともその量を低減させる。保護装置は、軌道レールへの氷の付着を防止するために配置される既存の加熱システムを補助することもできる。
【0014】
効率的な保護が行われるためには、バリアの端部同士が軌道レールの延在方向に沿って連結された複数の保護装置が使用される場合もある。
【0015】
ベース部が軌道レールの一方の側面に隣接して、又は軌道レールに直接固定されると、バリアが取り付けられるか又は取り付けられていない状態のバリアホルダーが、ベース部及びバリアホルダーの一方と一体的に形成された雄型コネクタと、バリアホルダー及びベース部の他方と一体的に形成された雌型コネクタとからなるヒンジ関節によってベース部と容易に相互連結される。このヒンジ関節のおかげで、2個の部品を相互連結するための特別な工具も、外部の連結手段もいっさい必要としない。2個の部品の取り外しは、ヒンジ関節を開くことだけによる同様に簡単なものである。そのため、軌道レールに沿ったバリアの取り付け及び交換が容易である。老朽化、破損、又は摩耗したバリアを有するバリアホルダーを、線路の道床から完全に取り外すことができる。新しいバリアを、線路敷地に搬入する前にバリアホルダーに予め取り付けることができる。これにより、線路敷地における取り付け時間が最小限に抑えられ、運行量の多い線路では特に望ましい。
【0016】
有利な点として、ヒンジ関節により、バリアホルダーはベース部に対して旋回可能であり、レールから離れる方向に速やかかつ容易に旋回させることによってレールのその部分にアクセスが与えられる。したがって、軌道の検査又は修理を行うために取り外す必要がない。
【0017】
雌型コネクタは、ガイド、及びガイドから間隔をおいて配された受容部材を有しうる。
【0018】
ガイドと受容部材とを互いから間隔をおいて配することができるということは、ガイドと受容部材との間に、保護装置がベース部により軌道レールの一方の側面に隣接して、又は軌道レールに直接固定される際に本質的に軌道レールと平行な方向に延びる一定の距離があってよいことを意味する。
【0019】
ガイド及び/又は受容部材は、例えば鍵穴、スリットが設けられたパイプ、スリーブなどであってよい。
【0020】
雄型コネクタはシャフトからなるものでよい。
【0021】
シャフトは、ガイド及び雌型コネクタの受容部材に挿入される際に回転可能であるような形状とすることができる。シャフトは、円形、長方形、テーパ状などの断面を有しうる。
【0022】
ベース部及び/又はバリアホルダーにはリンク部分を設けることができ、これにより、雄型コネクタ又は雌型コネクタをベース部又はバリアホルダーに、リンク部分によりベース部又はバリアホルダーから一定の距離に連結することができる。
【0023】
リンク部分は、リンク部分に隣接するベース部又はバリアホルダーの幅の少なくとも1/3に沿って、又は幅の少なくとも2/3に沿って、又は幅の全体に沿って延びてよい。
【0024】
ベース部又はバリアホルダーの幅は、保護装置が軌道レールに、又は軌道レールに隣接して取り付けられる際に軌道レールとほぼ平行な方向となりうる。
【0025】
シャフトは、保護装置がベース部により軌道レールの一方の側面に隣接して、又は軌道レールに直接固定される際に、軌道レールの延在する方向とほぼ平行な方向にシャフトがリンクの両側に突出するようにリンク上に配置することができる。
【0026】
リンク部分は、受容部材とガイドとの間の空間に収まるように配置することができる。
【0027】
シャフトは、バリアホルダーがベース部に対する第1の位置にある場合にガイド及び受容部材に挿入可能であるか、ガイド及び受容部材から引き抜き可能であるように構成することができる。
【0028】
バリアホルダーがベース部に対する第2の位置にある場合、シャフトが受容部材及びガイドから抜けることが防止され得る。
【0029】
第2の位置は第1の位置と異なる位置であってよい。第2の位置には、バリアホルダーをベース部に対して角度回転させることによって到達することができる。
【0030】
バリアホルダーは、バリアを取り外し可能に保持するためのクランプを含みうる。
【0031】
この目的で、クランプに例えばねじ、ラッチ、スプリント(sprint)、ストラップなどが設けられてもよい。これにより、バリアホルダーに対するバリアの取り付け/取り外し、又は交換が迅速かつ簡単となる。バリアホルダーに取り付けられたバリアは、バリアホルダーをベース部から分離することなく取り外し又は交換することが可能であり、これは特定の用途において有用でありうる。
【0032】
また、バリアはバリアホルダーによって取り外し可能に保持されなくともよく、例えば接着剤、リベット、釘などによりバリアホルダーに永久的に固定されてもよい。
【0033】
保護装置は、バリアホルダーがベース部に対して第2の位置にある場合にベース部とバリアホルダーとを一体的に取り外し可能に固定する固定手段を更に有してもよい。
【0034】
固定手段は、ベース部とバリアホルダーとの相対的な回転を防止しうるものであり、バリアホルダーに取り付けられたバリアを第2の使用位置に保持する。固定手段はラッチであってよい。
【0035】
第2の態様によれば、線路用の取り外し可能な風、雪、及び砂保護装置を線路軌道上に配置するための方法であって、
−雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方と一体的に形成されたベース部を与える工程と、
−バリアを取り付けることが可能なバリアホルダーであって、前記雄型コネクタ及び雌型コネクタの他方と一体的に形成されたバリアホルダーを提供する工程と、
−ベース部を前記軌道レールの少なくとも一方の側面に固定するか、又は軌道レールに直接固定する工程と、
−バリアホルダーを、ベース部とヒンジにより相互連結させるためにベース部に対する第1の位置に動かす工程であって、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタとの間のヒンジ関節によって前記ヒンジによる相互連結が可能となる工程と、
−バリアホルダーを、ベース部に対する第2の位置に旋回させる工程であって、ベース部とバリアホルダーとの分離が防止される工程と、を含む方法が提供される。
【0036】
本方法は、バリアホルダーがベース部に対して第2の位置にある場合にベース部とバリアホルダーとを一体的に取り外し可能に固定する工程を更に含んでもよい。