【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、照明装置と、調和のとれた光学設計及び熱設計を具備する、即ち、効果的な熱散逸及び好適な光輝度分布の両方が達成される照明配置とを供給することである。
【0006】
この目的は、請求項1の照明装置及び請求項16の照明配置による本発明に従って達成される。従属項は、本発明の好ましい実施形態について言及している。
【0007】
本発明の基本的なアイデアは、LED素子から発せられる光の妨げを最小化するために空間的に選択された形状及び配置を具備し、特に、所望の放射方向に発せられる光の妨げを回避するとともに、一般的に使用されない、又は、あまり必要でない放射方向である、選択された部分に光の妨げを限定する熱散逸構造を供給することである。
【0008】
本発明に従った照明装置は、電気的コンタクト及び機械的マウントのためのベース要素を有する。好ましくは、上記ベース要素は、例えば、ねじ式接続、バイオネット結合、プラグイン接続などで、照明装置が然るべきソケットにおいて交換可能にマウントできるようにする。このことは、特に、LEDレトロフィット照明装置、即ち、白熱灯などの従来技術のランプと交換するためのLED素子を具備する照明装置に適用される。LEDレトロフィット照明装置は、この場合、ベースにおいて機械的及び電気的インタフェースを交換されるランプに相応に供給すべきである。
【0009】
照明装置は、少なくとも1つのLED素子を具備するLED配置を更に有する。LED配置は、好ましくは、装置の中央長手方向軸である長手方向軸に沿って、ベース要素とは離れて配置される。以下の説明では、長手方向軸が鉛直方向に配向され、また、ベース要素が下側に位置されるとともに、LED配置が上側に位置する図面に示されるように、本発明に従った照明装置が説明される。当業者が理解するように、この配向は、参照を簡単にする目的のみのために用いられており、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0010】
LED配置は、単一のLED素子のみ、即ち、任意のタイプの発光ダイオードのみを有していてもよい。好ましい実施形態で議論されるように、特に、所望の光放射分布を得るために、異なるLED素子が異なる空間的方向へ光を発するように配置されている場合、2以上のLED素子を有するLED配置が好ましい。
【0011】
LED素子によって、また、存在する場合には照明装置内に組み込まれた駆動回路などの他の電子部品によって、動作中に生成される熱を散逸させるために、熱散逸構造が、LED配置の近くに設けられる。
【0012】
この構造は、オプションで設けられ、以下の詳細な説明において説明される、他の「下位の」熱散逸構造と区別するために、「上位の」熱散逸構造として称される。
【0013】
上位の熱散逸構造は、熱伝導材料で作られた1又は複数の熱散逸素子、好ましくは、例えば、銅又はアルミニウムなどの金属材料で作られた、又は、十分な熱伝導率及び熱放射特性を具備するプラスチック材料などで作られた、ヒートフィンなどの平面熱散逸素子を有する。
【0014】
本発明によれば、一般的に、不透明な材料で作られ、発せられる光を遮る材料で作られた、上位の熱散逸構造は、光の損失を最小化するための特別な形状を持つ。上位の熱散逸構造は、少なくとも第1の端部と、第1の端部とは離れて設けられる第2の端部とを含むように、形成される。当該構造は、上記第1及び第2の端部が、長手方向軸に対して少なくとも略垂直(即ち、90°±25°、好ましくは、90°±10°)である横軸に沿って離れて設けられるように、配向される。上位の熱散逸構造は、LED配置が第1の端部と第2の端部との間に位置するように、LED配置に対して配置される。従って、上位の熱散逸構造は、長手方向軸に沿った配置に関して、LED配置と同じ高さに、好ましくは、LED配置より上に延在して、位置決めされる。
【0015】
上位の熱散逸構造の当該位置は、従って、熱散逸素子が、LED配置の極めて近くに配置されることを可能とし、LED配置との強力な熱的コンタクトを付与することを可能とする。さらに、第1の端部と第2の端部との間のLED配置の位置は、熱散逸素子が、LED配置に対して、追加的に機械的保護を供給する部分的に囲まれた構造をもたらす。しかしながら、LED配置は、全ての側部が完全に囲まれてはおらず、結果、光は、妨げられない光方向、例えば、横軸に対して垂直な方向へ自由に発せられる。
【0016】
好ましくは、上位の熱散逸構造は、細長い形状、即ち、長手方向軸に対して垂直な断面方向において見た場合、上位の熱散逸構造の幅が、第1及び第2の端部間に延在している上位の熱散逸構造の長さよりも小さい形状を持つ。特に好ましくは、全体の幅が、長さよりも大幅に小さい、即ち、外形寸法は、長さが幅の少なくとも2倍、ある実施形態では、5又は10倍である。上位の熱散逸構造のこの比較的狭い形状は、LED配置から側部へ、即ち、横軸に対して垂直な方向へ発せられる光の妨げを最小化することにつながる。横軸に沿った細長い形状の構造の配置は、LED配置の断面方向におけるシェーディングを180°離れた2つの角度間隔のみに低減し、この2つの角度では光はシェーディングされるが、その他の角度では光は自由に発せられ得る。従って、特定の角度領域が、満足されるべき照明タスクに対して寄与しないか、又は、わずかにのみ寄与する、多くの照明アプリケーションにとって、素晴らしい熱散逸の代わりに、限られた量のシェーディングを許容することが可能であり、追加的な機械的保護特性を許容することができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、上位の熱散逸構造は、第1及び第2の端部において、アーチ型形状の縁を有する。
【0018】
他の好ましい実施形態によれば、上位の熱散逸構造は、断面方向において、LED配置から発せられる光に対するシェーディング角が、60°以下、好ましくは、45°以下、また、ある実施形態では、15°以下であるように、十分小さく選択される、横軸からの拡がりを持つ。上記角度は、好ましくは、照明装置の中央長手方向軸と一致する、LED配置の中心点から測定されるべきである。
【0019】
特に、横軸に沿って、即ち、第1及び第2の端部において、特定の量のシェーディングを伴う上位の熱散逸構造の上記配置及び形状は、LED配置が、単一のLED素子ではなく、複数のLED素子を有する場合、特に好適である。少なくとも2つのLED素子が、横軸に対して少なくとも平行な方向において、互いに離れて設けられる場合、横軸の方向におけるシェーディングに起因する光の損失は、許容され得る。非平行、且つ、角度をなして配置された複数の照明要素から発せられる光の空間的な輝度分布が均一でなく、横軸に近い方向において最小値を有するような場合、上位の熱散逸構造の両端部におけるシェーディングは、総光束のうち極めて限定された一部が失われるのみとなる。幾つかのLED素子が離れて設けられたLED配置の好ましい場合では、実際のシェーディングが、多くの場合において、中央点光源のためのシェーディングのみを厳密に定める、シェーディング角よりもずっと小さくなることに留意すべきである。しかしながら、当該シェーディング角は、なお、光の妨げの量のための尺度として役立つことができる。
【0020】
LED配置は、異なる実施形態において、異なる数のLED素子を有するとともに、LED素子の異なる相対配置を有する。特に、少なくとも2つのLED素子が、横軸から実質的に対向する方向へ光を発するように、配置されることが好ましい。従って、長手方向軸に沿って見た場合、LED素子の配置は、各LED素子の主な放射方向が横軸から少なくとも実質的に対向する方向に向かっているように、少なくとも2つのLEDが配置されることが好ましい。一次光学素子を具備するLED素子の上記の場合における主な放射方向は、空間的輝度分布の最大値として定義され得る。一次光学素子を有さないLED素子の好ましい場合では、特に、ランバート放射であり、主な放射方向は、一般的に、平面状LED素子に対して垂直である。
【0021】
以下の詳細な説明に関連して明らかになるように、上位の熱散逸構造は、互いに離れて設けられた少なくとも2つの熱散逸素子を有していてもよく、又は、代替的に、第1及び第2の端部間に延在している1つの素子を有していてもよい。
【0022】
2つの熱散逸素子が離れて設けられた実施形態において、LED配置は、好ましくは、当該2つの熱散逸素子の間に位置決めされる。LED配置から発せられる光は、2つの熱散逸素子において、ある程度の量、シェーディングされ得るが、その他の部分では自由に発せられ得る。熱散逸素子は、単一の平面状ヒートフィンであってもよく、又は、代替的に、互いに角度をなして配置された、2つの平面状ヒートフィンなどの複数の平面状ヒートフィンを有していてもよい。
【0023】
第1及び第2の端部間に延在している単一の平面状素子を有する代替的な実施形態では、LED配置は、LED配置の一方の側又は両側に、1つのLED素子、又は、幾つかのLED素子を有していてもよい。
【0024】
一般的に、LED素子からの光が入射するように位置決めされた任意の熱散逸素子の表面は、仮想光源を作る不要な反射を避けるために、散漫散乱特性を持つことが好ましい。高い光束を得るために、散漫散乱特性を具備する白色表面が好まれる。あるいは、任意の仮想光源を避けるために、黒色拡散表面が用いられてもよい。しかしながら、好適に反射を用いることが可能である。
【0025】
好ましい実施形態によれば、上位の熱散逸構造は、LED配置から発せられる光の少なくとも一部が当該表面において反射されるように配置された少なくとも1つの反射表面を持つ。この反射表面は、達成される光学的効果のために、注意深く選択されるべきである。好ましい例では、上記反射表面は、第1の端部と第2の端部との間に延在している熱散逸素子の表面であり得る平面である。従って、熱散逸構造は、発せられるビームを成型するためなどの、光学的目的にも役立ち得る。良好な熱放射及び良好な反射特性を持つ構造が、適切な材料を選択することによって、及び/又は、反射被覆などの表面被覆を供給することによって、得られる。特に好ましいのは、鏡面反射特性を得るために、研磨された表面を具備する、銅又はアルミニウムなどの金属材料で作られた、上位の熱散逸構造である。研磨された金属表面は、低減された熱放射係数を持つため、熱放射係数を改善し、良好な熱散逸特性を得るために、透明な被覆を具備する、研磨された表面を供給することが更に好ましい。
【0026】
本発明の他の実施形態によれば、上位の熱散逸構造は、LED配置から発せられる光に対して、部分的に反射性を示すとともに、部分的に透光性を示す、少なくとも1つの素子を有していてもよい。この部分的に反射性を示すとともに部分的に透光性を示す素子は、好ましくは、LED配置から発せられる光が入射し、この光が、表面において、部分的に反射され、当該素子を部分的に通過するように、配置される。当該素子の反射特性は、例えば、表面被覆によって、又は、研磨などの表面処理によって、得られる。部分的な透光性は、例えば、入射光の一部が開口を通過できるようにすべく、表面内に複数の小さな開口の構造を供給することによって、得られる。反射及び透光特性の比率は、照明タスクに従って選択されてもよく、例えば、20%:80%乃至80%:20%の間である。およそ50%±10%の値が、特に好ましい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、駆動回路が、ベース要素内に配置され得る。当該駆動回路は、LED素子と電気的に接続され、電力、即ち、特に、LED素子の動作に適合する電流及び/又は電圧を供給する。好ましくは、ベース要素は、少なくとも1つの、好ましくは、少なくとも2つの電気的コンタクトを持ち、駆動回路は、電力を受けるために、これらのコンタクトと電気的に接続される。例えば、別個の光源などの、幾つかの照明機能を具備するLED照明装置の場合、更なる電気的コンタクトが存在してもよい。
【0028】
好ましい実施形態によれば、照明装置は、追加的に、下位の熱散逸構造を有していてもよい。
【0029】
下位の熱散逸構造は、熱伝導材料で作られた、複数の平面状熱散逸素子、又は、ヒートフィンを有していてもよい。これらは、例えば、照明装置の長手方向軸に対して平行な方向に配置され得るが、好ましくは、照明装置の長手方向軸に対して少なくとも略垂直(例えば、90°±10°)に配置される。水平配向の場合、平面状の熱散逸素子は、効果的な冷却のために、表面に沿った空気の伝達を可能とする。好ましくは、下位の熱散逸構造は、その断面方向、即ち、長手方向軸に対して垂直な方向における拡がりに関して、空間的形状を持つ。断面方向において少なくとも略円形状を有する好ましい場合では、この拡がりは、直径で測定される。長手方向軸の長さ方向に亘って、拡がりは一定でなく、第2の長手方向位置よりLED配置に近い、第1の長手方向位置における拡がりが、第2の位置における拡がりよりも小さくなるように、変化する。従って、LED配置の近くに、好ましくは、隣接して配置された第1の長手方向位置において、断面方向における拡がりは、LED配置から発せられる光の妨げを最小化するように、比較的小さい。LED配置から離れて置かれ、光の妨げにさほど重要でない第2の長手方向位置において、拡がりは、大きく、結果、比較的大きな表面領域及び効果的な熱散逸が達成され得る。
【0030】
従って、好適な下位の熱散逸構造を具備する照明装置は、好適な光学的特性と効果的な熱散逸とを併せ持つ。さらに好ましくは、円形状のディスクとして設けられ得る、平面状の熱散逸素子は、好ましくは、平行な向きで、互いに離れて配置され、共通のマウントロッドにマウントされる。段階的配置で配置された、即ち、長手方向軸に沿って拡がりが減少していく、又は、最小の拡がりを有する平面熱散逸素子がLED配置の隣に配置され、最大の平面熱散逸素子がベース要素の隣に配置され、これらの間の任意の熱散逸素子が断面方向において段階的に増加していく拡がりを示す、複数の平面熱散逸素子が、更に好ましい。
【0031】
本発明に従った照明配置では、上記の照明装置が、反射器とともに用いられる。
【0032】
当該反射器は、凹状の内部反射表面を具備する空洞の反射器体を有する。上記照明装置が、そのLED配置が反射器体内に配置されるとともに、LED配置から発せられる光の放射ビームを形成するために、パラボラ形状、楕円形状、又は、空間的に設計された複雑な形状などの形状を持つ内部反射器表面を照射するようにマウントされる反射器体内に、マウント開口が設けられる。