(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154477
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】電気エネルギの供給のための送電ステーション及びそのような送電ステーションを有するウインドパーク
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
E04H9/14 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-543406(P2015-543406)
(86)(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-506461(P2016-506461A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013074126
(87)【国際公開番号】WO2014079824
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】102012221498.4
(32)【優先日】2012年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダイク、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】フレッスナー、ハインツ
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−031205(JP,A)
【文献】
特開2011−089327(JP,A)
【文献】
実開昭58−177682(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第10009013(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
F16L 23/00 − 23/24
A62C 3/16
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局地的に供給される電気エネルギを電流ネットに給電するための送電ステーション(1)であって、
・電流ネット側のライン接続点、
・ネット給電を制御するよう構成される制御ユニット(7)、及び
・その内部にライン接続点、結合手段及び制御ユニット(7)が配設されるハウジング(3)
を含み、
・該ハウジング(3)は、立ち入り可能な第1空間(5)と、排気路によって外界に接続される第2空間(11)を有し、前記第2空間(11)は、前記第1空間(5)の下方に配置され、共通の壁(8)によって該第1空間(5)から分離され、
・該第1空間(5)と該第2空間(11)は、共通の貫通穴によって相互に接続され、
・該制御ユニット(7)は、該共通の貫通穴(13)を閉鎖し、
該制御ユニット(7)のケーシング(10)は、該貫通穴(13)を閉鎖する領域において開放されているか及び/又は該制御ユニット(7)の内部でアークが発生すると無効化されるよう構成された目標破壊箇所を有し、及び
前記排気路は、フランジ(21)によって、案内開口(15)を貫通して案内され、前記排気路は、戻り弁要素(19)を有する縦管(17)を有し、該戻り弁要素(19)は、前記第2空間(11)に過剰圧力が生じると該縦管(17)を開放するよう構成される
送電ステーション(1)。
【請求項2】
前記戻り弁要素(19)は、遮断位置と開放位置の間で交互に移動可能に構成される、
請求項1に記載の送電ステーション(1)。
【請求項3】
前記戻り弁要素(19)は、臨界的圧力値に到達後、前記第2空間(11)内の支配的な過剰圧力によって、前記遮断位置から前記開放位置に移動可能であり、及び、該臨界的圧力値を下回ると重力によって及び/又は復帰手段によって自動的に前記遮断位置に復帰する、
請求項1又は2に記載の送電ステーション(1)。
【請求項4】
前記排気路は、前記第2空間(11)から案内開口(15)を介して前記第1空間(5)に入って該第1空間(5)を貫通して延在し、前記ハウジング(3)の側壁又は天井壁を介して該第1空間(5)から外部に案内される、
請求項1〜3の何れかに記載の送電ステーション(1)。
【請求項5】
ウインドパークであって、
・電気エネルギを供給するための1又は複数の風力発電装置、
及び
・電気ライン(送電線)によって該1又は複数の風力発電装置に接続される1又は複数の送電ステーション
を含み、
該1又は複数の送電ステーション(1)の少なくとも1つは、請求項1〜4の何れかに応じて構成される
ウインドパーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局地的に供給される、とりわけ1又は複数の風力発電装置によって供給される、電気エネルギを電流ネットに給電するための送電ステーションに関する。本発明は、更に、1又は複数のそのような送電ステーションを有するウインドパークに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は電気エネルギを供給するためにますます多く使用されている。風力によって引き起こされるロータの回転運動は発電機によって交流電圧に変換され、次いで、この交流電圧は、風力発電装置から引き出され、最終的に、以下において電流ネットとも称される電力事業者ネットに供給される。風力発電装置によって生成される電圧は、給電のために、種々異なる制御手段によって必要な形態にされる(変換される)。このため、大抵は、インバータ及び/又は整流器、及び1又は複数の変圧器の使用が必要である。これらの中間工程は、風力発電装置自体において実行されるか、或いは、風力発電装置の外部の相応の制御装置において実行される。風力発電装置の外部において制御手段が必要とされかつ給電のための更なるインフラ(基幹施設)が必要である場合、このための制御手段は、一方では外部からの影響に対する保護を、他方では電圧障害ないし危害(電圧による悪影響)に対する外界の保護を保証するために、ハウジングに収容される。電流ネットへの接続点を有するハウジングは、この業界では、送電ステーションと称される。
【0003】
このような送電ステーションには、送電ステーションに供給される電圧が電流ネット側のライン接続点を介して電流ネットに供給可能であるように当該電圧が供給されるよう制御する制御ユニットが設けられる。このため、送電ステーションの内部における電圧調整及び/又は変圧がどの程度まで必要になるかは、その都度の使用状況において、使用される風力発電装置に、場合によっては更に中間接続される更なるステーションに、依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 100 09 013 A1
【特許文献2】DE 26 26 186 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
場合により複数の風力発電装置によって供給される電気エネルギを集めかつ給電のために処理を行うような送電ステーションにおいて生成される電圧ないし電流は大きいため、制御ユニットにおいて短絡が発生する危険がある。この場合、制御ユニットの内部にアークが発生し、そして、このアークにより送電ステーションの内部においてガス爆発が起こり、爆風と強烈な煙の拡散が伴うという、極限状況が生じ得る。これは、とりわけアークが発生する時点に送電ステーションに滞在する人員に対する大きな健康の危険である。
【0006】
送電ステーション内に発生する煙を人員が滞在する可能性がある何れの領域において可及的に迅速に除去することを目的とする安全対策は種々のものが従来技術水準から知られてはいる。しかしながら、そのような送電ステーションの根本的な装置安全性については、依然として、改善の必要がある。
【0007】
再生可能エネルギの割合の増大により風力発電装置の販売台数(設置台数)が増加し続けていること及び電流(電力)生成のための分散型(ないし遠隔地)組織が増加していることを考慮すると、とりわけ、送電ステーションにおける安全性改善を経済的な効率で保証するという課題が更に生じる。
【0008】
それゆえ、本発明の課題は、送電ステーション内におけるアーク生成の結果に対する人員の改善された保護を経済的に可及的に効率的な態様で提供する送電ステーションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、本発明の第1の視点に応じ、請求項1に記載の送電ステーションを提供する。即ち、本発明は、この課題を解決するために、とりわけ、
局地的に供給される電気エネルギを電流ネットに給電するための送電ステーションであって、電流ネット側のライン接続点、ネット給電を制御するよう、とりわけ局地的に供給される電気エネルギ及び電流ネット側接続点によるネット給電を変化するよう、構成される制御ユニット、及びその内部にライン接続点、結合手段及び制御ユニットが配設され、有利には耐候性かつ閉鎖可能なハウジングを含み、該ハウジングは、(人員が)立ち入り(滞在)可能な第1空間と、排気路(ないし排気管)によって外界に接続される第2空間を有し、
前記第2空間は、前記第1空間の下方に配置され、共通の壁によって該第1空間から分離され、該第1空間と該第2空間は、共通の貫通穴によって相互に接続され、該制御ユニットは、該共通の貫通穴を閉鎖し、及び該制御ユニットのケーシングは、該貫通穴を閉鎖する領域において開放されているか及び/又は該制御ユニットの内部でアークが発生すると無効化(Versagen)されるよう構成された目標破壊箇所を有
し、及び前記排気路は、フランジによって、案内開口を貫通して案内され、前記排気路は、戻り弁要素を有する縦管を有し、該戻り弁要素は、前記第2空間に過剰圧力が生じると該縦管を開放するよう構成される送電ステーションを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、人員が滞在可能な領域が爆風及びとりわけ生成する煙に曝される程度が可及的に小さければ、爆風の影響と煙の発生に対する送電ステーション内に滞在する人員の保護が最大になるという知見に基づく。人員領域から爆風と煙を迅速に追い出すことを目指す代わりに、本発明は、可能な限り、圧力(爆風)の拡がり(伝搬)及び煙生成が、人員が滞在可能な空間に全く及ばないようにする手段を追求する。従って、提案される解決策は、送電ステーション内において制御ユニットを上述の態様で第2空間に通じる通過口(貫通穴)の上方に位置付ける(配置する)と共に、制御ユニット内に生成するアーク及びそれと共に生成する爆風が、抵抗が最小の経路を辿って、共通の貫通穴を貫通通過し、人員が滞在していない第2空間内に伝搬するよう制御ユニットを構成することを提供する。この第2空間は排気路に接続されているため、爆風及び生成する煙は当該排気路を介してハウジングから排出されることができる。かくして、場合により第1空間内に滞在する人員に対する煙及び圧力の負荷(影響)は、既知の方策と比べると著しく低減される。
【0011】
有利には、本発明に応じ、排気路は、戻り弁要素(Rueckschlagelement)に機能的に結合される縦管を有し、戻り弁要素は、第2空間に過剰圧力が生じると縦管(Fallrohr)を開放する(freigeben)よう構成される。ここで、過剰圧力とは、ハウジングの外部の周囲気圧に対する相対的な、第2空間内の気圧として理解されるべきものである。
【0012】
戻り弁要素は、有利には、遮断位置と開放位置の間で交互に移動可能に構成される。更に有利には、戻り弁要素は、通常は閉鎖された位置(NC)、いわゆる遮断位置にあるが、該戻り弁要素は、臨界的圧力値に到達後、第2空間内の支配的な過剰圧力によって、遮断位置から開放位置に移動可能であり、及び、臨界的圧力値を下回ると重力によって及び/又は復帰手段によって自動的に遮断位置に復帰可能に構成される。重力の支援のために及び始動の基準となる臨界的圧力値の上昇のために、追加の復帰手段が設けられるべき場合、この復帰手段は牽引(引張)ばねとして構成されることが好ましい。
【0013】
本発明のとりわけ好ましい一実施形態によれば、第2空間は、第1空間の下方に配置され、共通の壁によって該第1空間から分離される。ここで、壁(Wandung)とは、共通の床板ないし天井板のような床要素ないし天井要素として理解されるべきものである。この実施形態によれば、既存の空間分割コンセプトを放棄(ないし排除)する必要がないため、とりわけ有利である。電流ネット側の接続ライン(Anschlussleitung)は、有利には、送電ステーションの「地下室(Keller)」内に、即ち第2空間内に敷設される。第2空間は、送電ステーションが建設及び埋設される場合、有利には、少なくとも部分的に地盤内に埋設される。そうでない場合の送電ステーションの第1空間の下方の未利用空間は、本発明に応じ、排気路(Abluftleitung)の拡張部分として役立つ機能を付加的に有することになる。
【0014】
本発明の送電ステーションの更なる有利な一実施形態によれば、排気路は、第2空間から案内開口を介して第1空間に入りかつ第1空間を貫通して延在し、ハウジングの側壁又は天井壁を介して第1空間から外部に案内される。
【0015】
排気路が、ハウジングからのその排出の地点に至るまでハウジングの内部に完全に含まれていることにより、排気路は外部の影響に対しより良好に保護される。更に、これによって、送電ステーションの内部におけるシール面(Dichtflaechen)の状態検査が可能になる。更なる利点の1つは、送電ステーションの外側寸法が、外部に配される排気路のように増設部材によって追加的に大きくされることがないという点にある。
【0016】
更なる好ましい一実施形態によれば、排気路は、有利には分割可能なフランジによって、第2空間から第1空間内に案内開口を貫通して案内される。有利には、フランジは、排気路を夫々半分ずつ包囲する2つの半部を有する。分割可能フランジとしてのフランジの構成は、例えば排気路の保守又は交換が必要になった場合、当該フランジが容易に排気路から分離されることができるという利点を有する。このような態様で交換可能なフランジの更なる利点の1つは、送電ステーションのハウジングの一体的な構造が可能になることである。任意の寸法の開閉装置(Schaltanlagen)のために、第1空間と第2空間を分離する同じ床板を使用することができる。縦管として第1空間を縦通する排気路は、制御ユニットの寸法に応じ、異なる径を有する必要がある。しかしながら、適切な、有利には分割可能な、フランジを選択することにより、フランジが一方では排気路に、他方では案内開口の寸法に相応に適合されることによって、同じ床板において何時でも種々の径を有する排気路を使用することが可能になる。
【0017】
本発明の第2の視点はウインドパークに関連する。本発明は、上記の課題を解決するために、電気エネルギを提供するための1又は複数の風力発電装置と、電気ライン(送電線)によって該1又は複数の風力発電装置に接続される1又は複数の送電ステーションを含み、1又は複数の送電ステーションの少なくとも1つが上述の何れかの好ましい実施形態に応じ、とりわけ請求項1〜7の何れかに応じて構成されるウインドパークを提供する。
【0018】
以下に、本発明の有利な実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
なお、特許請求の範囲に付した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図しない。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示す。
(形態1)局地的に供給される、とりわけ風力発電装置によって供給される、電気エネルギを電流ネットに給電するための送電ステーションであって、
・電流ネット側のライン接続点、
・ネット給電を制御するよう、とりわけ局地的に供給される電気エネルギ及び電流ネット側接続点によるネット給電を変化するよう、構成される制御ユニット、及び
・その内部にライン接続点、結合手段及び制御ユニットが配設され、有利には耐候性かつ閉鎖可能なハウジング
を含み、
・該ハウジングは、立ち入り可能な第1空間と、排気路によって外界に接続される第2空間を有し、
・該第1空間と該第2空間は、共通の貫通穴によって相互に接続され、
・該制御ユニットは、該共通の貫通穴を閉鎖し、及び
該制御ユニットのケーシングは、該貫通穴を閉鎖する領域において開放されているか及び/又は該制御ユニットの内部でアークが発生すると無効化(Versagen)されるよう構成された目標破壊箇所を有する送電ステーションが、本発明により有利に提供される。
(形態2)上記の送電ステーションにおいて、前記排気路は、戻り弁要素を有する縦管を有し、該戻り弁要素は、前記第2空間に過剰圧力が生じると該縦管を開放するよう構成されることが好ましい。
(形態3)上記の送電ステーションにおいて、前記戻り弁要素は、遮断位置と開放位置の間で交互に移動可能に構成されることが好ましい。
(形態4)上記の送電ステーションにおいて、前記戻り弁要素は、臨界的圧力値に到達後、前記第2空間内の支配的な過剰圧力によって、前記遮断位置から前記開放位置に移動可能であり、及び、該臨界的圧力値を下回ると重力によって及び/又は復帰手段によって自動的に前記遮断位置に復帰することが好ましい。
(形態5)上記の送電ステーションにおいて、前記第2空間は、前記第1空間の下方に配置され、共通の壁によって該第1空間から分離されることが好ましい。
(形態6)上記の送電ステーションにおいて、前記排気路は、前記第2空間から案内開口を介して前記第1空間に入って該第1空間を貫通して延在し、前記ハウジングの側壁又は天井壁を介して該第1空間から外部に案内されることが好ましい。
(形態7)上記の送電ステーションにおいて、前記排気路は、有利には分割可能な、フランジによって、前記案内開口を貫通して案内されることが好ましい。
(形態8)ウインドパークであって、
・電気エネルギを供給するための1又は複数の風力発電装置、
及び
・電気ライン(送電線)によって該1又は複数の風力発電装置に接続される1又は複数の送電ステーション
を含み、
該1又は複数の送電ステーションの少なくとも1つは、上記形態1〜7の何れかに応じて構成されるウインドパークも、本発明により有利に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の有利な一実施例に応じた送電ステーションの模式的斜視図。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の好ましい一実施例に応じた送電ステーション1を示す。
図2は、当該送電ステーションの模式的断面図を示す。送電ステーション1は、地盤に埋設されるべき基礎領域4と地盤の上方に留まる上部構造6を有するハウジング3を有する。上部構造6には、閉鎖可能なドア9が設けられている。基礎領域4には、複数のライン案内部(挿通口)12、14及び16が形成されている。ライン案内部12、14、16は、有利にはケーブル挿通口として機能する。基礎4の更なる領域に即ち
図1の角領域に、接地(アース)点13が配置される。送電ステーションは、その4つの角領域に、起重機を適用するための夫々対をなして対向配置された係合点18を有する。これらの係合点のうちの2つが
図1に示されている。これらの係合点は、見易さの観点から、
図2には記載されていない。
【0021】
送電ステーション1の内部には、スイッチボックス(配電盤キャビネット)として例示される、制御ユニット7が配設されている。制御ユニット7は、有利には、ケーシング10及びその内部の1又は複数のスイッチ盤及び/又は測定フィールドを有する。制御ユニット7は、床板8上に設置(載置)される。第1空間5と第2空間11を分離する床板8には、第1貫通穴13が形成されている。制御ユニット7は、この第1貫通穴13に直接的に当該貫通穴13に境を接して配設されている。第2空間11は、制御ユニット7による第1貫通穴13の閉鎖によって第1空間5から分離されている。
【0022】
更に、床板8には、案内開口15が形成されている。案内開口(ないし貫通開口:Durchfuehrungsoeffnung)15には、縦管17が嵌め込まれているが、この縦管17は、第2空間11に向かって下方に案内開口15を貫通して延伸し、かつ、第1空間5から上方に向かって天井壁22から外に通じている。或いは、(縦管は)側壁を介する形態も好ましい。縦管17によって形成される排気路は、フランジ21によって送電ステーション1の床板8に固定される。フランジ21は、床板8にコンクリートで固定されているが、有利には鋼鉄フランジとして構成される。縦管17は、フランジ21において適切に固定されるために、有利には、慣用のフランジ結合手段によってフランジ21と結合可能な相応に構成されたカラー(ないしスリーブ)を有する。縦管17の
図2の上側に示された端部には、戻り弁要素ないし逆止弁要素(Rueckschlagelement)19がフラップとして配されている。フラップは、その自重(重力の作用)により、或いは例えばバネのような1又は複数の復帰要素(Rueckstellelement)により追加的に支援されて、図示の閉鎖位置に維持される。この位置では、排気路は閉鎖・遮断されている。
【0023】
図2に示した送電ステーション1は、一方では、電流ネット側の接続ケーブルが地盤において第2空間11内に直接的に入るよう敷設可能であり、他方では、第1空間5がドア9によって外部から入ることができる状態に維持されるように、周囲の地盤101に埋設される。
【0024】
例えばスイッチの故障でアークが発生すると、アークはその発生箇所である制御ユニットから抵抗が最小の経路の方向に伝播する。制御ユニット7のケーシング10の壁はそのような障害発生の場合に十分に安定であるよう設計されているため、アークは、更にはこれと共に(ガスの引火により)発生した爆風は、下方に向かって伝播する。なぜなら、制御ユニット7は、破線で図示されているように、下方に向かって実質的に開放されるよう構成されているからであり、或いは、制御ユニット7の内部で圧力が上昇した場合に「経路を開放する」予め設定される破壊部位(Versagensstelle)を有する。アークと爆風、更にはこれらと共に発生する煙は、そのような突発事故が発生した場合、まず、矢印50の方向に下方に伝播する。制御ユニット7の場合によってあり得る隙間(漏洩部位)を介して第1空間5に侵入する僅かな煙を無視すれば、第1空間5は、爆風及びとりわけ発生する煙によっては殆ど影響を受けない(侵害されない)状態に維持される。この煙は、第2空間11に(強制的に)流れ込み、次いで、排気路、とりわけ縦管17を介して矢印52の方向に伝播する。予測可能な所定の圧力閾値を上回ると、フラップ(戻り弁要素)19は排気路を開放し、煙と過剰圧力はハウジング3から外の周囲に放出される(逃される)。
図2に示された遮断(閉鎖)位置から開放位置の方向に開放が実行されたのち、送電ステーション1の内部の圧力は、作動に対して決定的な(作動の分かれ目となる:kritisch)閾値を急速に再び下回り、その結果、フラップ19はその本来の遮断(閉鎖)位置に再び戻る。かくして、送電ステーション1は、その内部空間が外部からの影響からほぼ保護された状態に維持され、同時に、健康を脅かす煙の大部分を放出(排気)することができる。
【0025】
図示の実施例によって、本発明は、装置安全性を改善するための手段を提供する。送電ステーション1の内部の空間5は、アークの第2空間11への目的通りの(目標を定めた)誘導によってより安全な状態にされる。第1空間5が故障アークの排出誘導が保証されることにより事故時でさえも実質的に爆風がないとみなすことができることにより、とりわけ第1空間5内に滞在する人員に対するアークによる危険は著しく小さくなる。