(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154490
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】無線通信技術間の機器内共存の容易化
(51)【国際特許分類】
H04W 28/22 20090101AFI20170619BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20170619BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20170619BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20170619BHJP
【FI】
H04W28/22
H04W88/06
H04W84/10 110
H04W84/12
【請求項の数】20
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-559232(P2015-559232)
(86)(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公表番号】特表2016-511602(P2016-511602A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2013073947
(87)【国際公開番号】WO2014130137
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】61/769,144
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/909,298
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】ザオ, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】フリン, ポール ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】バーチィル, ウィリアム エス.
(72)【発明者】
【氏名】マジギ, ヴィネイ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャオウェン
(72)【発明者】
【氏名】ムジタバ, サイド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ソン, キー−ボン
【審査官】
久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/092851(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/061626(WO,A1)
【文献】
特表2010−517375(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/040497(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0329515(US,A1)
【文献】
特開2006−222665(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/096801(WO,A1)
【文献】
特表2007−522710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機器であって、
ロングタームエボリューション(LTE)技術又はロングタームエボリューションアドバンスト(LTE−A)技術を使用して通信するように構成されたセルラー通信インタフェースと、
Wi−Fi技術又はBluetooth技術のうちの1つ以上を使用して通信するように構成された第2の通信インタフェースと、
前記セルラー通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースに結合された処理回路と、を備え、前記処理回路は前記無線通信機器を制御して、少なくとも、
前記セルラー通信インタフェースを介してデータトラフィックを送信させ、
前記セルラー通信インタフェースを介した前記データトラフィックの送信が、前記第2の通信インタフェースを介して同時に起こるデータ受信と干渉することから生じる機器内干渉状態の発生を判定させ、
前記機器内干渉状態に応じて、前記セルラー通信インタフェースを介して送信される前記データトラフィックのビットレートを低減させる、
ように構成されており、
前記セルラー通信インタフェースを介して送信される前記データトラフィックは複数のトラフィック分類へとグループ分けされ、各トラフィック分類は対応の優先度を有し、
前記処理回路は前記無線通信機器を制御して、少なくとも部分的に、前記複数のトラフィック分類の中で最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを最初に低減することによって、前記データトラフィックの前記ビットレートを低減するように構成されている、
ことを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】
前記処理回路は、前記無線通信機器を制御して、少なくとも部分的に、前記セルラー通信インタフェースを介した送信のためにプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを低減することによって、前記データトラフィックの前記ビットレートを低減するように更に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項3】
前記処理回路は、前記無線通信機器を制御して、
前記セルラー通信インタフェースを介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定し、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記セルラー通信インタフェースを介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを更に低減する
ように更に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項4】
前記処理回路は、前記無線通信機器を制御して、
前記最も低い優先度を有する前記トラフィック分類の前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定し、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記複数のトラフィック分類の中で2番目に低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減する
ように更に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項5】
前記セルラー通信インタフェースを介して送信される前記データトラフィックの少なくとも一部分が、最初に第1のコーデックで符号化され、前記処理回路は、前記無線通信機器を制御して、少なくとも部分的に、前記データトラフィックを符号化するために前記第1のコーデックを使用することから、第2のコーデックを使用することに切り替えることによって、前記データトラフィックの前記ビットレートを低減するように構成され、前記第2のコーデックが、前記第1のコーデックよりも低いビットレートを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項6】
前記処理回路は、前記無線通信機器を制御して、前記第2の通信インタフェースによって報告される測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記機器内干渉状態の発生を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項7】
前記第2の通信インタフェースによって報告される前記測定値が、前記第2の通信インタフェースによって観測される受信データエラー率の指標を含むことを特徴とする請求項6に記載の無線通信機器。
【請求項8】
前記第2の通信インタフェースによって報告される前記測定値が、前記第2の通信インタフェースによって報告されるノイズフロアの指標を含むことを特徴とする請求項6に記載の無線通信機器。
【請求項9】
無線通信機器上での無線通信技術間の機器内共存を容易にするための方法であって、前記方法は、
前記無線通信機器で、
加害側無線通信技術を介して、前記無線通信機器からデータトラフィックを送信することであって、前記加害側無線通信技術はセルラー通信技術である、ことと、
前記加害側無線通信技術を介した前記データトラフィックの送信が、被害側無線通信技術を介して前記無線通信機器により同時に起こるデータ受信と干渉することから生じる、機器内干渉状態の発生を判定することであって、前記被害側無線通信技術が、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信技術又は無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)通信技術である、ことと、
前記機器内干渉状態に応じて、前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックのビットレートを低減することと、
を含み、
前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックは複数のトラフィック分類へとグループ分けされ、各トラフィック分類は対応の優先度を有し、
前記データトラフィックの前記ビットレートを低減することが、前記複数のトラフィック分類の中で最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを最初に低減することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記データトラフィックの前記ビットレートを低減することが、前記加害側無線通信技術を介した送信のためにプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを低減することを更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定することと、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを更に低減することと、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記最も低い優先度を有する前記トラフィック分類の前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定することと、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記複数のトラフィック分類の中で2番目に低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減することと、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックの少なくとも一部分が、最初に第1のコーデックで符号化され、前記データトラフィックの前記ビットレートを低減することは、前記データトラフィックを符号化するために前記第1のコーデックを使用することから、第2のコーデックを使用することに切り替えることを含み、前記第2のコーデックが前記第1のコーデックよりも低いビットレートを有する、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
無線通信機器上での無線通信技術間の機器内共存を容易にするためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、
加害側無線通信技術を介して、前記無線通信機器からデータトラフィックを送信するためのプログラムコードと、
前記加害側無線通信技術を介した前記データトラフィックの送信が、被害側無線通信技術を介した前記無線通信機器による同時に起こるデータ受信と干渉することから生じる、機器内干渉状態の発生を判定するためのプログラムコードと、
前記機器内干渉状態に応じて、前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックのビットレートを低減するためのプログラムコードと、
を含み、
前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックは複数のトラフィック分類へとグループ分けされ、各トラフィック分類は対応の優先度を有し、
前記データトラフィックの前記ビットレートを低減するための前記プログラムコードが、前記複数のトラフィック分類の中で最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを最初に低減するためのプログラムコードを含む、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記データトラフィックの前記ビットレートを低減するための前記プログラムコードが、前記加害側無線通信技術を介した送信のためにプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを低減するためのプログラムコードを更に含むことを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定するためのプログラムコードと、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記加害側無線通信技術を介して送信される前記データトラフィックの前記ビットレートを更に低減するためのプログラムコードと、
を更に含むことを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記最も低い優先度を有する前記トラフィック分類の前記ビットレートを低減した後に、前記機器内干渉状態が引き続き残存しているかどうか判定するためのプログラムコードと、
前記機器内干渉状態が引き続き残存していると判定される場合に、前記複数のトラフィック分類の中で2番目に低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減するためのプログラムコードと、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記被害側無線通信技術によって報告される測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記無線通信機器は前記機器内干渉状態の発生を判定するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記被害側無線通信技術によって報告される前記測定値が、前記被害側無線通信技術によって観測される受信データエラー率の指標を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被害側無線通信技術によって報告される前記測定値が、前記被害側無線通信技術によって報告されるノイズフロアの指標を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、全般的に無線通信に関し、より詳細には、無線通信技術間の機器内共存を容易にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの無線通信機器は、複数の無線通信技術をサポートし、複数の無線通信技術を介して同時に通信することができる。多くの場合、機器によって使用される無線通信技術は、互いに干渉する恐れがあるチャネル帯域を使用する可能性がある。そのような場合には、1つの技術によって使用される帯域からのエネルギーが、別の技術によって使用される帯域内に漏洩する恐れがある。このエネルギー漏洩は、ノイズフロアを高め、感度低下として既知の問題を引き起こす恐れがある。多くの場合、感度低下は、特定のチャネル帯域の使用に悪影響を及ぼす恐れがあり、深刻な場合には、特定のチャネル帯域を使用不可能にさせる恐れがある。したがって、結果的に感度低下をもたらす恐れがある干渉は、複数の無線通信技術の機器内共存に関する問題を提起する。
【0003】
特に問題となる機器内共存状態は、機器が、加害側技術(aggressor technology)と称される第1の無線通信技術を介して送信を発する一方で、その機器が、被害側技術(victim technology)と称される第2の無線通信技術を介してデータを受信しているシナリオから生じ得る。被害側技術によるデータ受信は、加害側の送信からの感度低下の干渉によって、損害を被る恐れがある。この点に関して、加害側技術の送信によって生じ得る干渉により、受信パケットエラー、又は更に被害側技術の受信機の完全な受信不能がもたらされる恐れがある。例えば、Bluetooth(登録商標)信号又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)信号の受信時の、機器によるセルラー信号の送信は、そのBluetooth又はWLANの受信機を受信不能にさせ、エラーを引き起こし、場合によっては、接続の完全な喪失を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【0004】
本文書は、特に、無線通信機器上での無線通信技術間の機器内共存を容易にするための技術を説明する。ある実施形態によれば、無線通信機器は、「加害側」技術及び「被害側」技術を含み得る、2つ以上の無線通信技術を使用して、動作することができる。無線通信機器は、加害側技術を介したデータの送信が、被害側技術でのデータの受信と干渉することを示す、機器内干渉状態を検知することができ、この状態を検知すると、その無線通信機器は、加害側技術で送信されるデータトラフィックのビットレートを低減することができる。
【0005】
本概要は、本開示の一部の態様の基本的な理解を提供するために、単にある例示的実施形態を要約する目的でのみ、提供されるものである。したがって、上述の例示的実施形態は、単なる実施例であって、本明細書で説明される特徴の範囲又は趣旨を、いかなる方式でも狭めるものとして解釈するべきではないことが、理解されるであろう。本明細書で説明される主題の他の実施形態、態様、及び利点は、以下の詳細な説明、図、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
説明される実施形態、及びその利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって、最も良好に理解することができる。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、説明される実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって、説明される実施形態に対して実施することが可能な、形態及び詳細のいかなる変更も、決して限定するものではない。
【
図1】例示的実施形態に係る、無線通信機器のブロック図を示す。
【
図2】例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的なチップセットアーキテクチャを示す。
【
図3】無線通信技術間の機器内共存を容易にするために、例示的実施形態を実装することが可能な、例示的システムを示す。
【
図4】例示的実施形態に係る、システムレイヤの図を示す。
【
図5】例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的方法によるフローチャートを示す。
【
図6】例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、別の例示的方法によるフローチャートを示す。
【
図7】例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、更なる例示的方法によるフローチャートを示す。
【
図8】例示的実施形態に係る、機器内干渉状態の緩和の後に、データトラフィックのビットレートを増大させるための、例示的方法によるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本文書で説明される例示的実施形態は、無線通信技術間の機器内共存の問題に対処する。より詳細には、本明細書で更に説明される例示的実施形態は、送信が加害側技術を介して機器によって発せられる一方で、その機器が被害側技術を介してデータを受信するべき状況に対処する。そのような状況では、加害側技術の送信が、被害側技術を介したデータ受信を阻害することにより、潜在的に、受信データのエラー、又は極端な場合には、被害側技術の受信機を完全に受信不能にする結果をもたらす恐れがある。例えば、機器が、セルラー通信と、米国電気電子技術者協会(IEEE)802.15無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)通信技術(例えば、Bluetooth及び/又は他の無線PAN通信技術)又はWLAN技術などの、産業科学医療用(ISM)帯域を利用する、より低電力の通信技術とを介して、同時に通信する場合、セルラー通信は、ISM帯域技術を介したデータ受信を妨げる恐れがある。例示的実施形態は、そのような機器内干渉状態を緩和することによって、無線通信技術間の機器内共存を容易にする。より詳細には、ある実施形態によれば、機器内干渉状態の発生に応じて、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを、低減することができる。この加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートの低減、すなわち「スロットリング(throttling)」により、被害側無線通信技術を介した同時のデータ受信との機器内干渉を緩和することができる。この点に関して、例えば、実施形態では、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減することは、加害側無線通信技術を介した送信の送信電力の低減を結果的に生じさせることによって、かつ/又は加害側無線通信技術を介したデータトラフィック送信に時間ギャップを作り出すことによって、被害側無線通信技術を介した同時データ受信の改善を可能にすることができる。
【0008】
ここで
図1を参照すると、
図1は、例示的実施形態に係る、無線通信機器100のブロック図を示す。無線通信機器100は、複数の無線通信技術を介して通信することが可能な、任意の機器とすることができる。非限定的な例として、無線通信機器100は、複数の無線通信技術を介して通信するように適応された、モバイル電話、タブレットコンピューティング機器、ラップトップコンピュータ、又は他のコンピューティング機器とすることができる。以下の
図1に示され、かつ同図に関連して説明される構成要素、機器、又は要素は、必須ではない場合があり、それゆえ、特定の実施形態では、一部を省略することができる点が理解されるであろう。更には、実施形態は、
図1に図示され、かつ同図に関連して説明されるもの以外に、更なる構成要素、機器、又は要素、あるいは異なる構成要素、機器、又は要素を含み得る。
【0009】
ある例示的実施形態では、無線通信機器100は、本明細書で開示される1つ以上の例示的実施形態に従って動作を実行するように構成可能な、処理回路110を含み得る。この点に関して、処理回路110は、様々な例示的実施形態に従って、無線通信機器100の1つ以上の機能を実行し、かつ/又はその1つ以上の機能の実行を制御するように構成することができ、それゆえ、様々な例示的実施形態に従って、無線通信機器100の機能を実行する手段を提供することができる。処理回路110は、1つ以上の例示的実施形態に従って、データ処理、アプリケーション実行、並びに/あるいは他の処理及び管理サービスを実行するように構成することができる。
【0010】
ある実施形態では、無線通信機器100、又は処理回路110などの、その部分(単数又は複数)若しくは構成要素(単数又は複数)は、それぞれが1つ以上のチップセットを含み得る、1つ以上のチップセットを含み得る。処理回路110、及び/又は無線通信機器100の1つ以上の更なる構成要素は、それゆえ、ある場合には、1つのチップセット上に1つの実施形態を実装するように構成することができる。無線通信機器100の1つ以上の構成要素がチップセット(単数又は複数)として具体化される、一部の例示的実施形態では、そのチップセット(単数又は複数)は、無線通信機器100が、1つ以上の無線通信技術に従って、1つ以上の無線ネットワークの範囲内で動作することを可能にし得る。
【0011】
一部の例示的実施形態では、処理回路110は、プロセッサ112を含み得るものであり、
図1に示すものなどの実施形態では、メモリ114を更に含み得る。処理回路110は、加害側技術通信インタフェース116、被害側技術通信インタフェース118、及び/又はデータトラフィック制御モジュール120と通信するか、若しくは他の方式でそれらを制御することができる。
【0012】
プロセッサ112は、様々な形態で具体化することができる。例えば、プロセッサ112は、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、コントローラ、又は、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの集積回路を含めた様々な他のコンピューティング機器若しくは処理機器、それらの何らかの組み合わせなどの、様々なハードウェアベースの処理手段として具体化することができる。単一のプロセッサとして示されているが、プロセッサ112は、複数のプロセッサを含み得ることが理解されるであろう。それらの複数のプロセッサは、互いに動作可能に通信することができ、本明細書で説明されるような無線通信機器100の1つ以上の機能を実行するように、全体として構成することができる。ある例示的実施形態では、プロセッサ112は、メモリ114に記憶させることが可能な命令、又は他の方式でプロセッサ112がアクセス可能となり得る命令を実行するように、構成することができる。それゆえ、ハードウェアによって構成されるか、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成されるかにかかわらず、プロセッサ112は、適宜に構成される限り、様々な実施形態に従って動作を実行することが可能である。
【0013】
ある例示的実施形態では、メモリ114は、1つ以上のメモリ機器を含み得る。メモリ114は、固定型メモリ機器及び/又は着脱式メモリ機器を含み得る。ある実施形態では、メモリ114は、プロセッサ112によって実行することが可能なコンピュータプログラム命令を記憶することができる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供し得る。この点に関して、メモリ114は、無線通信機器100が、1つ以上の例示的実施形態に従って様々な機能を実行することを可能にするための、情報、データ、アプリケーション、命令などを記憶するように構成することができる。ある実施形態では、メモリ114は、無線通信機器100の構成要素間で情報を伝達するためのバス(単数又は複数)を介して、プロセッサ112、加害側技術通信インタフェース116、被害側技術通信インタフェース118、又はデータトラフィック制御モジュール120のうちの1つ以上と通信することができる。
【0014】
無線通信機器100は、加害側技術通信インタフェース116を更に含み得る。加害側技術通信インタフェース116は、無線通信機器100が、別の機器及び/又は加害側無線通信技術に従う別の機器への無線接続を確立並びにサポートすることを可能にするように、構成することができる。それゆえ、加害側技術通信インタフェース116は、例えば、1つのアンテナ(又は、複数のアンテナ)と、加害側技術通信インタフェース116によってサポートすることが可能な加害側無線通信技術に従った通信を可能にするための、支援ハードウェア及び/又は支援ソフトウェアとを含み得る。一部の例示的実施形態では、加害側技術通信インタフェース116は、チップセットを含むか、又はチップセットとして実装することができ、このチップセットは、無線通信機器100などの機器上に実装される場合、その機器が加害側無線通信技術を介してデータを送信及び/又は受信することを可能にし得る。
【0015】
加害側技術通信インタフェース116は、別の無線通信技術(例えば、被害側無線通信技術)に対して加害側として機能し得る、任意の無線通信技術をサポートすることができる。ある例示的実施形態では、加害側技術通信インタフェース116は、セルラー通信インタフェースとすることができる。例えば、加害側技術通信インタフェース116は、ロングタームエボリューション(LTE)セルラー通信技術、LTEアドバンスト(LTE−A)セルラー通信技術、ユニバーサルモバイル通信システム(UMTS)セルラー通信技術、モバイル通信用のグローバルシステム(GSM(登録商標))セルラー通信技術、符号分割多元接続(CDMA)セルラー通信技術、若しくはCDMA 2000セルラー通信技術、及び/又は他のセルラー通信技術を介した通信をサポートするように構成することができる。
【0016】
無線通信機器100は、被害側技術通信インタフェース118を更に含み得る。被害側技術通信インタフェース118は、無線通信機器100が、別の機器及び/又は被害側無線通信技術に従う別の機器への無線接続を確立並びにサポートすることを可能にするように、構成することができる。それゆえ、被害側技術通信インタフェース118は、例えば、1つのアンテナ(又は、複数のアンテナ)と、被害側技術通信インタフェース118によってサポートすることが可能な被害側無線通信技術に従った通信を可能にするための、支援ハードウェア及び/又は支援ソフトウェアとを含み得る。ある例示的実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、チップセットを含むか、又はチップセットとして実装することができ、このチップセットは、無線通信機器100などの機器上に実装される場合、その機器が被害側無線通信技術を介してデータを送信及び/又は受信することを可能にし得る。
【0017】
被害側技術通信インタフェース118は、別の無線通信技術(例えば、加害側無線通信技術)に対して被害側として被害を受け得る、任意の無線通信技術をサポートすることができる。ある例示的実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信インタフェース及び/又は無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)通信インタフェースとすることができる。例えば、被害側技術通信インタフェース118がWPAN通信インタフェースを提供する、ある例示的実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、Bluetooth若しくは他のIEEE 802.15ベースのWPAN技術、Zigbee(登録商標)及び/又は他のWPAN技術を介した通信をサポートすることができる。更なる例として、被害側技術通信インタフェース118がWLAN通信インタフェースを提供する、例示的実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、Wi−Fi(登録商標)(例えば、IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11−2007、IEEE 802.11n、IEEE 802.11−2012、IEEE 802.11ac、又は他のIEEE 802.11技術のうちの1つ以上に基づくもの)及び/又は他のWLAN通信技術を介した通信をサポートすることができる。そのようなWLAN技術及びWPAN技術は、多くの場合、ISM帯域の範囲内の周波数帯域を使用する。しかしながら、様々なWLAN技術及びWPAN技術は、非ISM帯域も同様に使用することができ、そのような帯域の使用は、本開示の範囲内にあると想到される点が理解されるであろう。例えば、IEEE 802.11−2012は、3.65〜3.7GHzの周波数帯域の使用をサポートする。様々なWLAN技術及びWPAN技術によって使用される周波数帯域は、無認可の周波数帯域である場合も多いが、一部の場合には、被害側技術通信インタフェース118によってサポートすることが可能なWLAN技術及び/又はWPAN技術は、非限定的な例として、米国の連邦通信委員会(FCC)などの、政治的/地理的区域の範囲内で周波数スペクトルの諸部分を規制することができる団体によって認可することが可能な、1つ以上の周波数帯域を利用することができる。しかしながら、実施形態は、任意の2つの異なる無線通信技術間の機器内共存を容易にすることができるため、実施形態は、セルラーとWLAN/WPAN(例えば、ISM帯域)との共存の容易化に限定されないことが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態では、加害側技術通信インタフェース116は、第1のセルラー通信技術をサポートすることができ、被害側技術通信インタフェース118は、第2のセルラー通信技術をサポートすることができる。更なる代替的実施例として、一部の実施形態では、加害側技術通信インタフェース116は、ISM帯域を使用することができるような第1のWLAN/WPAN通信技術をサポートすることができ、被害側技術通信インタフェース118は、ISM帯域を使用することができるようなWLAN/WPAN通信技術をサポートすることができる。
【0018】
しかしながら、本明細書では、加害側技術がセルラー技術であり、被害側技術がWLAN/WPAN技術である実施例が与えられているが、様々な例示的実施形態に従って、他の共存のシナリオを容易にすることができる点が理解されるであろう。この点に関して、加害側技術通信インタフェース116は、別の無線通信技術に対して加害側として機能し得る、セルラー技術以外の無線通信技術をサポートすることができる。同様に、被害側技術通信インタフェース118は、別の無線通信技術に対して被害側として被害を被り得る、WLAN/WPAN技術以外の無線通信技術をサポートすることができる。実際に、一部の場合には、WLAN/WPAN技術が、セルラー技術に対して加害側としての役割を果たす場合さえあり、そのような場合での共存をサポートするために、そのWLAN/WPAN技術を介して送信することが可能なデータトラフィックのビットレートを低減するように、実施形態を適用することができる。また更なる実施例として、例示的実施形態は、2つ以上のWLAN/WPAN技術間の共存をサポートすることができる。
【0019】
無線通信機器100は、データトラフィック制御モジュール120を更に含み得る。データトラフィック制御モジュール120は、回路、ハードウェア、処理機器(例えばプロセッサ112)によって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ114)を含むコンピュータプログラム製品、又はそれらの何らかの組み合わせなどの、様々な手段として具体化することができる。ある実施形態では、プロセッサ112(又は、処理回路110)は、データトラフィック制御モジュール120を含むか、又は他の方式で制御することができる。本明細書に以下で更に説明されるように、データトラフィック制御モジュール120は、一部の例示的実施形態では、加害側技術通信インタフェース116を介したデータトラフィックの送信が、被害側技術通信インタフェース118を介した同時のデータ受信と干渉することから生じる、機器内干渉状態の発生を判定し、その機器内干渉状態に応じて、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減するように、構成することができる。
【0020】
上述のように、例示的実施形態では、
図1に示す構成要素は、1つ以上のチップセットを形成することができる。
図2は、例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的なチップセットアーキテクチャ200を示す。チップセットアーキテクチャ200は、それぞれがデータトラフィック制御モジュール206とインタフェース接続することが可能な、加害側技術チップセット202及び被害側技術チップセット204を含み得る。加害側技術チップセット202は、加害側技術通信インタフェース116がチップセットとして少なくとも部分的に実装される、加害側技術通信インタフェース116の一実施形態とすることができる。被害側技術チップセット204は、被害側技術通信インタフェース118がチップセットとして少なくとも部分的に実装される、被害側技術通信インタフェース118の一実施形態とすることができる。データトラフィック制御モジュール206は、データトラフィック制御モジュール120の一実施形態とすることができる。例示的実施形態では、データトラフィック制御モジュール206と加害側技術チップセット202及び被害側技術チップセット204のそれぞれとの間のインタフェース接続を容易にするように、処理回路110を構成することができる。データトラフィック制御モジュール206と被害側技術チップセット204との間のインタフェースは、被害側技術チップセット204とデータトラフィック制御モジュール206との通信を可能にすることができるため、データトラフィック制御モジュール206は、被害側技術チップセット204によって提供することが可能な測定値及び/又は他のフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、機器内干渉状態の発生を判定することができる。データトラフィック制御モジュール206と加害側技術チップセット202との間のインタフェースは、データトラフィック制御モジュール206が、機器内干渉状態の発生に応じて、送信のために加害側技術チップセット202に提供することが可能な、データトラフィックのビットレートを低減することを可能にし得る。
【0021】
例示的実施形態では、加害側技術チップセット202と被害側技術チップセット204とは、インタフェース208を介してインタフェース接続することができる。インタフェース208は、例えば、加害側技術チップセット202と被害側技術チップセット204との通信を可能にすることができるバス(単数又は複数)を介して、実装することができる。インタフェース208を含むある実施形態では、インタフェース208は、加害側技術チップセット202と被害側技術チップセット204との間の直接インタフェースとすることができる。あるいは、インタフェース208を含むある実施形態では、インタフェース208は、処理回路110、プロセッサ112、メモリ114、及び/又は無線通信機器100の他の構成要素などの、無線通信機器100の1つ以上の更なる構成要素を横断し得る、間接インタフェースとすることもできる。インタフェース208は、例えば、加害側無線通信技術を介してデータトラフィックが送信される場合に、加害側技術チップセット202が被害側技術チップセット204に通知することを可能にし得るため、被害側技術チップセット204は、機器内干渉状態と、外部因子から引き起こされ得る干渉とを、区別することができる。
【0022】
加害側技術及び被害側技術に関して別個のチップセットが使用される実施形態以外の実施形態は、本開示の範囲内にあると想到される点が理解されるであろう。例えば、例示的実施形態では、加害側技術及び被害側技術の双方を、共通のチップセットによってサポートすることができる。そのような実施形態では、加害側技術通信インタフェース116及び被害側技術制通信インタフェース118の双方を、単一のチップセット上に共に配置することができる。それゆえ、例えば、例示的実施形態は、セルラー通信機能と、Bluetooth、WLAN、それらの何らかの組み合わせなどの、WLAN及び/又はWPAN通信機能との双方を提供するように構成された、単一のチップ若しくはチップセット上に実装することができる。
【0023】
図3は、無線通信技術間の機器内共存を容易にするために、例示的実施形態を実装することが可能な、例示的システム300を示す。システム300は、例えば、無線通信機器100の一実施形態とすることが可能な、無線通信機器302を含み得る。例示的実施形態では、無線通信機器302は、加害側技術チップセット202及び被害側技術チップセット204を含み得る。無線通信機器302は、基地局304によってサポートすることが可能なセルラー通信に関与するように構成することができる。例えば、無線通信機器302は、ロングタームエボリューション(LTE)セルラー通信技術、ユニバーサルモバイル通信システム(UMTS)セルラー通信技術、モバイル通信用のグローバルシステム(GSM)セルラー通信技術、符号分割多元接続(CDMA)セルラー通信技術、CDMA 2000セルラー通信技術、及び/又は他のセルラー通信技術を介した通信に関与するように構成することができる。無線通信機器302は、ISM帯域技術を介した通信に関与するように、更に構成することができる。それゆえ、例えば、無線通信機器302は、ISM帯域ネットワーク306を介して、機器308との無線通信に関与することができる。例えば、ISM帯域ネットワーク306がBluetoothネットワークである実施形態では、機器308は、無線通信機器とインタフェース接続することが可能な、Bluetoothヘッドセット又は他のBluetooth機器とすることができる。別の実施例として、ISM帯域ネットワーク306がWLANである実施形態では、機器308は、無線通信機器がWLANを介して通信することが可能な、WLANアクセスポイント、第2のWLAN局、及び/又は他の機器とすることができる。しかしながら、本開示の範囲内で、非ISM帯域を使用してWLAN技術又はWPAN技術を実装するネットワークで、ISM帯域ネットワーク306を置き換えることができる点が理解されるであろう。
【0024】
システム300のコンテキストでは、本明細書に以下で更に説明される実施形態のうちの少なくとも一部を含めた、様々な実施形態を無線通信機器302上に実装することにより、セルラーデータトラフィックの送信が、ISM帯域ネットワーク306を介して機器308によって送信されるデータの、無線通信機器302による同時受信と干渉する状況に応じて、無線通信機器302によって基地局304に送信することが可能なセルラーデータトラフィックのビットレートを低減することができる。更には、又はあるいは、ある実施形態では、ISM帯域データトラフィックの送信が、基地局304によって送信されるセルラーデータの、無線通信機器302による同時受信と干渉する状況に応じて、ISM帯域ネットワーク306を介して無線通信機器302によって機器308に送信することが可能なISM帯域データトラフィックのビットレートを低減することができる。しかしながら、システム300は、単に例としてのみ提供されることが理解されるであろう。この点に関して、前述のように、例示的実施形態は、セルラーとISM帯域との共存以外の、機器内無線通信技術の共存シナリオを容易にするものである。
【0025】
ここで、本明細書で開示される様々な実施形態を実装することが可能な例示的機器及び構成要素、並びに、例示的実施形態を実装することが可能な例示的システムを説明したが、
図1及び
図2で説明された構成要素を参照して、幾つかの例示的実施形態を更に詳細に説明する。更には、
図3に示すシステム300に関連して、例示的実施形態を例として説明する。
【0026】
例示的実施形態では、データトラフィック制御モジュール120は、加害側無線通信技術を介したデータトラフィックの送信が、被害側無線通信技術を介した無線通信機器100による同時データ受信と干渉することから生じる、機器内干渉状態の発生を判定するように、構成することができる。例えば、データトラフィック制御モジュール120は、加害側技術通信インタフェース116を介したデータトラフィックの送信が、被害側技術通信インタフェース118を介したデータ受信と同時に進行中であるときは常に、機器内干渉状態が存在すると判定するように、構成することができる。
【0027】
更には、又はあるいは、データトラフィック制御モジュール118は、被害側技術通信インタフェース118によって提供することが可能な測定値及び/又は他のフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、機器内干渉状態の発生を判定するように構成することができる。例えば、非限定的な例として、被害側無線通信技術がBluetoothである実施形態などの、実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、観測される受信データエラー率を算出して、その観測されたデータエラー率の指標を、データトラフィック制御モジュール120に報告するように構成することができる。観測された受信データエラー率が、閾値エラー率を超過する場合には、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが低減されるべき、機器内干渉状態が存在すると判定することができる。更には、又はあるいは、非限定的な例として、被害側無線通信技術がWLANである実施形態などの、例示的実施形態では、被害側技術通信インタフェース118は、観測されるノイズフロアを測定して、その観測されたノイズフロアの指標を、データトラフィック制御モジュール120に報告するように構成することができる。観測されたノイズフロアが、閾値を超過する場合には、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが低減されるべき、機器内干渉状態が存在すると判定することができる。
【0028】
例示的実施形態では、データトラフィック制御モジュール120及び/又は被害側技術通信インタフェース118は、機器内干渉状態と、被害側無線通信技術を介したデータ受信が無線通信機器100の外部の因子によって生じ得る干渉から被害を受ける状況と、を区別するように構成することができる。例えば、ある実施形態では、データトラフィック制御モジュール120及び/又は被害側技術通信インタフェース118は、データトラフィックが、加害側技術通信インタフェース116を介して送信される場合を知ることができ、加害側技術通信インタフェース116を介した同時のデータトラフィック送信が存在する場合にのみ、被害側技術通信インタフェース118が被害を受ける干渉が、機器内干渉状態から生じると判定することができる。一部のそのような実施形態では、加害側技術通信インタフェース116は、データトラフィックが、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されている場合に、被害側技術通信インタフェース118に通知することができるため、被害側技術通信インタフェース118は、機器内干渉状態が存在し得る場合を、特定することができる。例えば、
図2に示すものなどの実施形態では、加害側技術チップセット202は、データトラフィックが加害側技術チップセット202を介して送信されている場合を示すために、インタフェース208を介して、被害側技術チップセット204に信号を提供することができる。
【0029】
例示的実施形態では、データトラフィック制御モジュール120及び/又は被害側技術通信インタフェース118は、データトラフィックが加害側技術通信インタフェース116を介して送信されていない場合に、被害側技術通信インタフェース118によって捕捉することが可能なベースライン測定値と、データトラフィックが加害側技術通信インタフェース116を介して送信されている場合に、被害側技術通信インタフェース118によって捕捉することが可能な測定値との比較に少なくとも部分的に基づいて、機器内干渉状態と、被害側無線通信技術を介したデータ受信が外部の干渉から被害を受ける状況と、を区別するように構成することができる。例えば、ベースラインノイズフロア測定値を、データトラフィックが加害側技術通信インタフェース116を介して送信されている間に捕捉されたノイズフロア測定値と比較することにより、そのノイズフロアに対する、加害側無線通信技術を介した送信の寄与度を判定することができる。加害側無線通信技術を介したデータトラフィックの送信の間のノイズフロアとベースラインノイズフロアとの差が、閾値を超過する場合には、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが低減されるべき、機器内干渉状態が存在すると判定することができる。
【0030】
別の実施例としては、データトラフィックが加害側無線通信技術を介して送信されない場合に観測することが可能な、被害側技術通信インタフェース116を介したデータ受信のベースラインスループットを、加害側無線通信技術を介したデータトラフィックの送信の間の、データ受信に関して測定されるスループットと比較することができる。閾値を超えるスループットの低減が、加害側無線通信技術を介したデータトラフィックの送信からの機器内干渉の結果として生じる場合には、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが低減されるべき機器内干渉状態が存在すると判定することができる。同様に、ある例示的実施形態では、データトラフィックが加害側技術通信インタフェース116を介して送信されていない間に、被害側技術通信インタフェース118によって観測することが可能な、ベースライン受信データエラー率を、データトラフィックが加害側技術通信インタフェース116を介して送信されている間に、被害側技術通信インタフェース118によって観測することが可能な、受信データエラー率と比較することができる。閾値を超過するベースライン受信データエラー率から、観測された受信データエラー率の増大が存在する場合には、加害側技術通信インタフェース116を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが低減されるべき機器内干渉状態が存在すると判定することができる。
【0031】
ある例示的実施形態では、データトラフィック制御モジュール120は、機器内干渉状態に応じて、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減するように構成することができる。この点に関して、データトラフィック制御モジュール120は、送信のために加害側技術通信インタフェース116に提供されるデータのビットレートを低減するように構成することができる。一部の例示的実施形態では、加害側技術通信インタフェース116に提供されるデータのビットレートを低減することは、加害側技術通信インタフェース116を介した送信のためにプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを低減することを含み得る。この点に関して、加害側無線通信技術を介した送信が予定されるデータは、加害側技術通信インタフェース116を介して送信される前に、一時的にプロトコルスタック内の待ち行列に入れることができる。このプロトコルスタックは、ネットワーク通信に関して使用することが可能な、任意のタイプのプロトコルスタックとすることができる。非限定的な例として、このプロトコルスタックは、転送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)スタック、リアルタイム転送プロトコル/ユーザデータグラムプロトコル(RTP/UDP)スタック、又はデータトラフィックのネットワーク通信をサポートするために使用することが可能な他のタイプのプロトコルスタックとすることができる。使用されるプロトコルスタックのタイプは、送信されているデータトラフィックのタイプなどの因子に基づいて変化し得る。例えば、RTP/UDPスタックは、テレビ会議などのリアルタイム通信に関して使用することができる。複数のタイプのデータトラフィックが送信されている場合などの、一部の場合には、複数のタイプのプロトコルスタックを、同時に使用することができる。そのような場合には、1つ以上のプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを低減することができる。
【0032】
図4は、例示的実施形態に係るTCP/IPスタック406を含むシステムレイヤの図を示す。しかしながら、
図4のシステムレイヤの図のコンテキストの範囲内で、TCP/IPスタック406に加えて、又はTCP/IPスタック406の代わりに、他のタイプのプロトコルスタックを実装することができる点が理解されるであろう。
図4に示すように、TCP/IPスタック406は、加害側技術通信インタフェース116の一実施形態とすることが可能な加害側技術通信インタフェース408よりも、上位のレイヤに位置付けることができる。データトラフィック制御モジュール120の一実施形態とすることが可能なデータトラフィック制御モジュール404は、TCP/IPスタック406よりも、上位のレイヤに実装することができる。この点に関して、データトラフィック制御モジュール404は、アプリケーションレイヤ402とTCP/IPスタック406との間をインタフェースするように位置付けることができる。アプリケーションレイヤ402は、加害側無線通信技術を介した送信のためのデータを生成することができる。アプリケーションレイヤ402によって生成されたデータは、TCP/IPスタック406に転送することができ、そこで、送信のために加害側技術通信インタフェース408に提供される前に、そのデータを一時的に待ち行列に入れることができる。機器内干渉状態が発生した場合には、データトラフィック制御モジュール404は、加害側技術通信インタフェース408を介した送信のために、アプリケーションレイヤ402によってTCP/IPスタック406に提供されるデータのビットレートを、低減することができる。例えば、ある実施形態では、データトラフィック制御モジュール404は、加害側無線通信技術を介した送信のために生成されたデータのビットレートを低減するように、アプリケーションレイヤ402に指示することができる。更には、又はあるいは、データトラフィック制御モジュール404は、加害側技術通信インタフェース408を介して送信されるデータトラフィックのビットレートが、機器内干渉状態に応じて低減されるように、TCP/IPスタック406にデータを提供する前に、アプリケーションレイヤ402によって生成されたデータを符号化するか、又は他の方式で変更することができる。
【0033】
加害側無線通信技術が、
図3に示す実施形態でのように、セルラー技術である実施形態では、セルラーデータトラフィックのビットレートを低減することは、サービングセルラーネットワーク(serving cellular network)によって無線通信機器100に提供することが可能な認可(例えば、基地局304によって提供することが可能な認可)に影響を及ぼすために、更に役立ち得る。この点に関して、無線通信機器100が、セルラーデータトラフィックのビットレートを低減する場合には、無線通信機器100は、セルラーアップリンクを介して、より少ないデータを有効に送信することができる。同様に、サービングセルラーネットワークは、無線通信機器100に与えることが可能な認可を低減することができ、このことにより、無線通信機器100によって使用することが可能なアップリンク送信電力を低減することができる。結果として、被害側無線通信技術を介したデータ受信は、低減されたビットレートから生じ得る、加害側データトラフィック送信での時間ギャップに加えて、結果的に生じる加害側無線通信技術の送信電力の低減から利益を得ることができる。更には、又はあるいは、LTEセルラーシステム又はLTE−Aセルラーシステムなどの、セルラーシステムでは、セルラーデータトラフィックのビットレートを低減することは、割当帯域幅の低減をもたらし得る。この点に関して、サービングセルラーネットワークによって(例えば、基地局304によって)、より少ないリソースブロックを割り当てることができ、このことにより、被害側無線通信技術の感度低下を低減することができる。
【0034】
図5は、例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的方法によるフローチャートを示す。動作500は、加害側無線通信技術を介して、無線通信機器100からデータトラフィックを送信することを含み得る。この点に関して、データトラフィックは、加害側技術通信インタフェース116を介して送信することができる。動作510は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態の発生を判定することを含み得る。この判定は、例えば、被害側技術通信インタフェース118によって報告することが可能な、測定値及び/又は他の指標に少なくとも部分的に基づいて行うことができる。動作520は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態に応じて、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減することを含み得る。
【0035】
例示的実施形態では、この方法は、動作520の実行の後に、終了することができる。しかしながら、例示的実施形態では、加害側データトラフィックのビットレートの低減を、漸進的に実行することができる。この点に関して、ビットレートの第1の低減の後に、機器内干渉状態が引き続き残存しているかを判定することができ、残存している場合には、ビットレートを更に低減することができる。例えば、ビットレートは、最初に、第1の百分率で(例えば、10%)規模を縮小することができ、機器内干渉状態が引き続き残存している場合には、更なる百分率で(例えば、更に10%)規模を縮小することができる。そのような実施形態では、この方法は、動作530へと適宜に進むことができ、この動作530は、機器内干渉状態が引き続き残存しているかをデータトラフィック制御モジュール120が判定することを含み得る。動作520のビットレートの低減の後に、機器内干渉状態が引き続き残存していない場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、機器内干渉状態が引き続き残存している場合には、この方法は動作540に進むことができ、この動作540は、データトラフィックのビットレートを更に低減することができるか判定することを含み得る。この点に関して、一部の場合には、低減することが可能なビットレートの量に対して、制約が存在し得る。例えば、送信されているデータトラフィックのタイプ、加害側無線通信技術の制約、及び/又は他の因子による、ビットレートの最少フロアレベルが存在し得る。1つの特定の実施例として、ある実施形態では、データトラフィックは、保証されたサービス品質(QoS)で送信することが可能な、リアルタイムのデータトラフィック又は他のデータトラフィックを含み得る。そのような場合には、その保証QoSは、低減することが可能なデータトラフィックのビットレートの量に対して、制約を課す場合がある。データトラフィックのビットレートを更に低減することができない場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、データトラフィックのビットレートを更に低減することができる場合には、この方法は動作550に進むことができ、この動作550は、データトラフィック制御モジュール120が、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを、更に低減することを含み得る。ある実施形態では、動作540を省略することができ、この方法は、ビットレートを更に低減することができるか判定することなく、動作530の後に、動作550に進むことができる。
【0036】
動作550の実行の後に、この方法は、任意選択的に動作530に戻ることができる。この点に関して、ある実施形態では、データトラフィックのビットレートは、機器内干渉状態がもはや存在しなくなるまで、又はデータトラフィックのビットレートを更に低減することが不可能となるまで、漸進的に低減することができる。
【0037】
例示的実施形態では、加害側無線通信技術を介して送信することが可能なデータトラフィックは、それぞれが対応の優先度を有し得る、複数のトラフィック分類へとグループ分けすることができる。例えば、加害側無線通信技術を介して送信することが可能なデータトラフィックは、リアルタイムのデータトラフィック及び非リアルタイムのデータトラフィックを含み得る。リアルタイムのデータトラフィックは、保証QoSで送信しなければならない場合があるため、リアルタイムのデータトラフィックには、非リアルタイムのデータトラフィックよりも高い優先度を与えることができる。非リアルタイムのデータトラフィック及び/又はリアルタイムのデータトラフィックは、優先度に基づいて、下位分類へと更にグループ分けすることができる。例えば、高い優先度のリアルタイムのデータトラフィック、及び低い優先度のリアルタイムのデータトラフィックが存在し得る。そのような例示的実施形態では、機器内干渉状態に応じて、最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを最初に低減することができる。機器内干渉状態が引き続き残存している場合には、次に低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減することができ、以下同様に続けることができる。それゆえ、例えば、ある実施形態によれば、1つ以上のトラフィック分類のそれぞれに関して、そのトラフィック分類の対応の優先度に基づいて、上述のような動作520を実行することができる。
【0038】
そのような例示的実施形態では、各データトラフィック分類は、プロトコルスタック及び/又は加害側技術通信インタフェース116で、別個のトラフィック待ち行列内に、送信のために待機させることができる。それゆえ、トラフィック分類のビットレートの低減は、そのトラフィック分類に関するトラフィック待ち行列に追加されたデータのビットレートを、低減することを含み得る。
【0039】
図6は、データトラフィックが、それぞれが対応の優先度を有する複数のトラフィック分類へとグループ分けされる、例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的方法によるフローチャートを示す。動作600は、加害側無線通信技術を介して、無線通信機器100から、複数のトラフィック分類へとグループ分けされたデータトラフィックを送信することを含み得る。この点に関して、動作600は、対応の優先度を有し得る複数のトラフィック分類へと、送信データトラフィックをグループ分けすることができる、動作500の一実施形態に相当し得る。このデータトラフィックは、加害側技術通信インタフェース116を介して送信することができる。動作610は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態の発生を判定することを含み得る。この判定は、例えば、被害側技術通信インタフェース118によって報告することが可能な、測定値及び/又は他の指標に少なくとも部分的に基づいて、行うことができる。動作620は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態に応じて、トラフィック分類の中で最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減することを含み得る。この点に関して、動作620は、トラフィック分類の優先度に基づいて、特定のトラフィック分類に関してビットレートを低減することができる、動作520の一実施形態に相当し得る。
【0040】
例示的実施形態では、この方法は、動作620の実行の後に、終了することができる。しかしながら、例示的実施形態では、加害側データトラフィックのビットレートの低減を、漸進的に実行することができる。この点に関して、最も低い優先度のトラフィック分類のビットレートの低減の後に、機器内干渉状態が引き続き残存しているか判定することができ、残存している場合には、更なるデータトラフィック分類(単数又は複数)のビットレートを低減することができる。そのような実施形態では、この方法は、動作630へと適宜に進むことができ、この動作630は、機器内干渉状態が引き続き残存しているかを、データトラフィック制御モジュール120が判定することを含み得る。動作620のビットレートの低減の後に、機器内干渉状態が引き続き残存していない場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、機器内干渉状態が引き続き残存している場合には、この方法は動作640に進むことができ、この動作640は、更なるトラフィック分類のビットレートを低減することができるか判定することを含み得る。例えば、トラフィック分類に関するQoS保証のために、ビットレートを低減することが不可能な、1つ以上のトラフィック分類が存在し得る。したがって、データトラフィック制御モジュール120は、ビットレートを低減することが可能な全てのトラフィック分類に関して、ビットレートが既に低減されているかを判定することができる。
【0041】
更なるトラフィック分類のビットレートを低減することができない場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、更なるトラフィック分類のビットレートを低減することができる場合には、この方法は動作650に進むことができ、この動作650は、データトラフィック制御モジュール120が、次に低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減することを含み得る。この点に関して、事前にビットレートが低減されていないトラフィック分類の中で、最も低い優先度を有するトラフィック分類のビットレートを低減することができる。
【0042】
動作650の実行の後に、この方法は、任意選択的に動作630に戻ることができる。この点に関して、ある実施形態では、データトラフィックのビットレートは、機器内干渉状態がもはや存在しなくなるまで、又はビットレートを低減することが可能な更なるトラフィック分類が存在しなくなるまで、一度に1つのトラフィック分類で、漸進的に低減することができる。
【0043】
加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートの低減は、データのビットレートを低減するために使用することが可能な様々な方法論のうちのいずれかによって達成することができる点が理解されるであろう。例示的実施形態では、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックの少なくとも一部分を符号化するために使用することが可能なコーデックを切り替えることができる。この点に関して、加害側無線通信技術を介した送信のために生成される符号化データのビットレートを低減することができるように、より低いビットレートを使用するコーデックを、それまでに使用されたコーデックの代わりに使用することができる。
【0044】
図7は、コーデックを変更することにより、加害側データトラフィックのビットレートを低減することが可能な、例示的実施形態に係る、無線通信技術間の機器内共存を容易にするための、例示的方法によるフローチャートを示す。動作700は、加害側無線通信技術を介して、無線通信機器100から、第1のコーデックで符号化されたデータトラフィックを送信することを含み得る。この点に関して、動作700は、送信データトラフィックをコーデック符号化することが可能な、動作500及び/又は動作600の一実施形態に相当し得る。このデータトラフィックは、加害側技術通信インタフェース116を介して送信することができる。動作710は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態の発生を判定することを含み得る。この判定は、例えば、被害側技術通信インタフェース118によって報告することが可能な、測定値及び/又は他の指標に少なくとも部分的に基づいて行うことができる。動作720は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態に応じて、データトラフィックを符号化するために、第1のコーデックよりも低いビットレートを有する第2のコーデックに切り替えることによって、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減することを含み得る。この点に関して、動作720は、例えば、コーデックを切り替えることによって、送信データトラフィックのビットレートを少なくとも部分的に低減することが可能な、動作500の一実施形態に相当し得る。例示的実施形態では、動作620及び/又は動作650は、トラフィック分類に関して使用することが可能なコーデックを切り替えることによって、トラフィック分類のビットレートを低減することができるように、動作720の一実施形態を実装することができる。
【0045】
例示的実施形態では、この方法は、動作720の実行の後に、終了することができる。しかしながら、例示的実施形態では、加害側データトラフィックのビットレートの低減を漸進的に実行することができる。この点に関して、第2のコーデックに切り替えた後に、機器内干渉状態が引き続き残存しているかを判定することができ、残存している場合には、第2のコーデックよりも低いビットレートを有する別のコーデックに切り替えることによって、更にビットレートを低減することができる。そのような実施形態では、この方法は、動作730へと適宜に進むことができ、この動作730は、機器内干渉状態が引き続き残存しているかをデータトラフィック制御モジュール120が判定することを含み得る。動作720のビットレートの低減の後に、機器内干渉状態が引き続き残存していない場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、機器内干渉状態が引き続き残存している場合には、この方法は動作740に進むことができ、この動作740は、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックを符号化するために使用されている、既存のコーデックの代わりに、より低いビットレートを使用するコーデックを使用することができるか否かを判定することを含み得る。この点に関して、一部の場合には、データトラフィックを符号化するために、特定のコーデックを使用することができるか否かについて、制約が存在し得る。例えば、データトラフィックに関して施行することが可能なQoS保証は、ビットレートの最少フロアレベルを課す場合がある。そのような制約は、保証QoSをコーデックがサポートしない場合には、そのコーデックが使用されることを適宜に防ぐことができる。別の例としては、全ての利用可能なコーデックが、使い尽くされている場合があり、既存のコーデックよりも低いビットレートを有する利用可能なコーデックが、存在しない場合がある。
【0046】
動作740で、より低いビットレートを使用するコーデックを、現在のビットレートの代わりに使用することができないと判定される場合には、この方法を終了することができる。しかしながら、より低いビットレートを使用するコーデックを使用することができる場合には、この方法は動作750に進むことができ、この動作750は、データトラフィック制御モジュール120が、現在のコーデックよりも低いビットレートを有するコーデックに切り替えることを含み得る。
【0047】
動作750の実行の後に、この方法は、任意選択的に動作730に戻ることができる。この点に関して、ある実施形態では、データトラフィックのビットレートは、機器内干渉状態がもはや存在しなくなるまで、又は、より低いビットレートを有するコーデックで、既存のコーデックを置き換えることが不可能となるまで、コーデックを段階的に切り替える(例えば、格下げする)ことによって、漸進的に低減することができる。
【0048】
図7に示す方法論は、
図6で使用される方法論と組み合わせて使用することができる点が、理解されるであろう。例えば、コーデックを切り替えることによって、トラフィック分類のビットレートを低減することができる。別の実施例として、例示的実施形態では、最初のコーデックの切り替えの後に、機器内干渉状態が引き続き残存する場合には、より高い優先度を有する第2のトラフィック分類のビットレートを低減する前に、第1のトラフィック分類でのデータトラフィックのビットレートを低減するために、より低いビットレートを段階的に使用する複数のコーデックを、順次に使用することができる。
【0049】
例示的実施形態では、加害側無線通信技術を介して送信されるトラフィックのビットレートは、機器内干渉状態の緩和の後に、増大させることができる。一部のそのような例示的実施形態では、ビットレートは、機器内干渉状態の発生の前に使用されたレートに、単一のステップで戻すことができる。あるいは、一部のそのような例示的実施形態では、ビットレートは、複数のステップで漸進的に増大させることもできる。例えば、ビットレートは、機器内干渉状態の発生の前に使用されたビットレートに到達するまで、又は、ビットレートの増大により機器内干渉状態が再度発生するまで、漸進的に増大させることができる。ビットレートを減少させるために使用することが可能な任意の方法論を使用して、機器内干渉状態の緩和後に、ビットレートを増大させることができる。例えば、より高いビットレートを使用するコーデックを使用することができ、送信のためにプロトコルスタックに提供されるデータのビットレートを増大させることができ、それらの何らかの組み合わせ、及び/又は他の方法論を使用して、ビットレートを増大させることができる。
【0050】
図8は、例示的実施形態に係る、機器内干渉状態の緩和の後に、データトラフィックのビットレートを増大させるための、例示的方法によるフローチャートを示す。動作800は、加害側無線通信技術を介して、無線通信機器100からデータトラフィックを送信することを含み得る。この点に関して、データトラフィックは、加害側技術通信インタフェース116を介して送信することができる。したがって、動作800は、例えば、動作500、動作600、及び動作700のうちの1つ以上に相当し得る。動作810は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態の発生を判定することを含み得る。この判定は、例えば、被害側技術通信インタフェース118によって報告することが可能な、測定値及び/又は他の指標に少なくとも部分的に基づいて行うことができる。動作820は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態に応じて、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを低減することを含み得る。それゆえ、動作820は、動作520、動作620、及び動作720のうちの1つ以上の一実施形態に相当し得る。動作830は、機器内干渉状態が緩和されていることを、データトラフィック制御モジュール120が判定することを含み得る。動作840は、データトラフィック制御モジュール120が、機器内干渉状態の緩和に応じて、加害側無線通信技術を介して送信されるデータトラフィックのビットレートを増大させることを含み得る。
【0051】
説明される実施形態の様々な態様、実施形態、実装、又は特徴は、個別に、若しくは任意の組み合わせで、使用することができる。説明される実施形態の様々な態様は、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装することができる。コンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムによって読み出すことが可能なデータを記憶することができる、任意のデータ記憶装置である。コンピュータ可読媒体の例としては、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、HDD、DVD、磁気テープ、及び光学的データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ可読媒体はまた、コンピュータ可読コードが分散方式で記憶及び実行されるように、ネットワーク結合されたコンピュータシステム上に分散させることもできる。
【0052】
前述の詳細な説明では、説明の一部をなすと共に、説明される実施形態に係る具体的な実施形態が例として示される、添付の図面を参照するものとした。これらの実施形態は、説明される実施形態を当業者が実践することが可能となるように、十分に詳細に説明されるが、これらの実施例は限定的なものではなく、他の実施形態を使用することができ、説明される実施形態の趣旨又は範囲から逸脱することなく変更を行うことができる点が、理解されよう。
【0053】
更には、前述の説明は、説明の目的上、説明される実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な専門用語を使用するものとした。しかしながら、それらの具体的詳細は、説明される実施形態を実践するために必須のものではないことが、当業者には明らかとなるであろう。それゆえ、前述の具体的な実施形態の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。前述の説明で提示された実施形態に関連して開示される実施例の説明は、コンテキストを追加し、説明される実施形態の理解を支援するためにのみ提供される。この説明は、網羅的であることも、又は、説明される実施形態を、開示される厳密な形態に限定することも意図するものではない。上記の教示を鑑みて、多くの修正形態、代替的適用、及び変形例が可能であることが、当業者には明らかとなるであろう。この点に関して、これらの具体的詳細の一部又は全てを使用することなく、説明される実施形態を実践することができる点を、当業者は容易に理解するであろう。更には、一部の場合には、説明される実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知のプロセス工程は、詳細には説明されていない。