特許第6154498号(P6154498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6154498制動部を備えた駆動軸を有する産業用ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154498
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】制動部を備えた駆動軸を有する産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   B25J19/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-11756(P2016-11756)
(22)【出願日】2016年1月25日
(62)【分割の表示】特願2014-48885(P2014-48885)の分割
【原出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2016-55430(P2016-55430A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】木下 聡
(72)【発明者】
【氏名】滝川 隆士
(72)【発明者】
【氏名】主税 慎哉
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−034108(JP,A)
【文献】 特開2004−316722(JP,A)
【文献】 特開2000−117671(JP,A)
【文献】 特開2000−190093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータ(19)と動力出力部(2)との間に動力伝達部が配置された駆動軸を備えた産業用ロボット(1)において、
前記サーボモータに一体的に組込まれた第一制動部(17)と、
前記サーボモータの出力軸に取付けられた第一歯車(11)と、
前記動力伝達部の一部として設けられ、前記第一歯車と噛み合う第二歯車(12)と、
前記第一歯車とは異なる位置で前記第二歯車と噛み合う追加歯車(21)により前記動力伝達部の動力伝達経路に分岐するように前記動力伝達部に連結された第二制動部(20)と、
前記第一歯車、前記第二歯車、および前記追加歯車を包含するとともに、内部が潤滑油で満たされたハウジング(35)と、を具備し、
前記第一制動部および前記第二制動部の両方を用いて前記駆動軸の制動を行う産業用ロボット。
【請求項2】
前記第一歯車および前記追加歯車の回転軸の前記ハウジングの壁部を貫通する部分にそれぞれ配置された第一シール部(36)及び第二シール部(37)を具備する、請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記第一制動部および前記第二制動部のそれぞれは、単独で前記駆動軸の制動を行う機能を有する、請求項1又は2に記載の産業用ロボット。
【請求項4】
さらに、前記第一制動部のための第一制御回路(31)および前記第二制動部のための第二制御回路(32)を具備する、請求項1又は2に記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動部を備えた駆動軸を有する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は一般的な産業用ロボットの側面図である。図9に示される産業用ロボット100は六軸垂直多関節ロボットであり、六つの駆動軸J1〜J6を有している。ロボットアーム101の先端部には、ワークWを把持または載置するためのハンド102が取付けられている。六つの駆動軸を適宜駆動することにより、ハンド102を所望位置まで移動させ、それにより、ワークWを搬送する。
【0003】
図10は、図9に示される一つの駆動軸J3の拡大図である。図10に示される駆動軸J3においては、サーボモータ9とロボットアーム101との間に、複数の歯車1〜4と減速機5とが配置されている。サーボモータ9は、モータ本体8と、モータ本体8に一体的な制動部7とから構成されている。
【0004】
ロボット100を動作させるときは制動部7を解放状態にしつつ、モータ本体8を駆動して位置制御が行われる。そして、ロボット100を緊急停止させる必要があるとき、例えば危険回避時や停電や故障時には、制動部7を用いて駆動軸J3を制動する。
【0005】
図9においては、一つの制動部7がサーボモータ9に組込まれている。特許文献1においては、一つの制動部と一つの追加制動部とがサーボモータに直列に組込まれており、それにより、制動力を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−95939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術において制動部7自体が故障した場合には、ロボット100を安全に制動させられない。そのような場合には、図9に矢印で示されるように、ロボットアーム101が駆動軸J3回りに重力で下方に回動し、それにより、ロボットアーム101自体により周辺機器が損傷したり、ワークWがハンドピース102から滑落し、周辺機器が損傷する可能性がある。
【0008】
また、特許文献1に開示される構成では、追加制動部は駆動軸の動力伝達経路に割込んで配置されている。このため、追加制動部が故障したり、追加制動部が不要となって取り外す必要が生じた場合でも、追加制動部を取外した状態ではロボットの駆動することができない。また追加制動部の交換作業も煩雑である。
【0009】
また、サーボモータ内部に二つの制動部を組込むことが可能である。しかしながら、この場合には、サーボモータの構造が特殊になるのでサーボモータの価格が増す。さらに、二つの制動部のうちの一方の制動部が故障した場合であっても、一方の制動部のみを単独で交換することはできない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、交換作業が容易な制動部が動力伝達経路に割込むことなしに追加で取付けられた安全な産業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、サーボモータと動力出力部との間に動力伝達部が配置された駆動軸を備えた産業用ロボットにおいて、前記サーボモータに一体的に組込まれた第一制動部と、前記動力伝達部の動力伝達経路に分岐するように前記動力伝達部に歯車もしくはベルトおよびプーリを用いて連結された第二制動部と、を具備し、前記第一制動部および前記第二制動部の両方を用いて前記駆動軸の制動を行う産業用ロボットが提供される。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記第一制動部および前記第二制動部のそれぞれは、単独で前記駆動軸の制動を行う機能を有する。
3番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記第一制動部のための第一制御回路および前記第二制動部のための第二制御回路を具備する。
【発明の効果】
【0012】
1番目の発明においては、第一制動部および第二制動部の両方を有するので、一方の制動部が故障した場合であっても重力でロボットアームは駆動軸回りに下方に回動せず、従って、ワークが滑落するのを回避すると共に周辺機器が損傷するのを防止できる。それゆえ、安全な産業用ロボットを提供できる。また、第二制動部は、動力伝達経路に割込むことなしに動力伝達経路に分岐するように動力伝達部に連結されているので、第二制動部を単独で着脱できる。従って、第二制動部の交換作業も容易となる。
2番目の発明においては、一方の制動部が故障した場合であっても、ロボットの制動を安全に行うことができる。一方の制動部が故障した場合には、他方の制動部によりロボットの駆動軸を制動した状態で、一方の制動部を交換する。従って、交換作業を安全に行うことができる。
3番目の発明においては、一方の制御回路が故障して制動不能になった場合でも、ロボットの制動作用を安全に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に基づく産業用ロボットの斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。
図3】本発明に基づく産業用ロボットの制御装置を部分的に示すブロック図である。
図4】本発明の第二の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。
図5】本発明の第三の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。
図6図2の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
図7】本発明の他の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。
図8】別の産業用ロボットまたは工作機械における一つの直動軸の拡大図である。
図9】一般的な産業用ロボットの側面図である。
図10図9に示される一つの駆動軸の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づく産業用ロボットの斜視図である。図1には、複数の関節を備えたロボット1、例えば六軸垂直多関節ロボットが示されている。ロボット1は後述する制御装置30により制御されるものとする。ロボット1には六個の関節が設けられており、各関節はそれぞれの駆動軸J1〜J6で回動または捩り動作することができる。
【0015】
図2は本発明の第一の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。図2には、駆動軸J1〜J6を代表して、駆動軸J3が示されている。図2においては、サーボモータ19は、モータ本体18と、モータ本体18に一体的な第一制動部17とから構成されている。
【0016】
図2に示されるように、サーボモータ19の出力軸には第一歯車11が取付けられている。また、サーボモータ19とロボットアーム2との間に配置された減速機15の一側には第二歯車12が設けられており、他側には第三歯車13が設けられている。前述した第一歯車11は、減速機15の第二歯車12に係合している。そして、ロボットアーム2に取付けられた第四歯車14は減速機15の第三歯車13に係合している。以下、本願明細書においては、これら第一歯車11〜第四歯車14および減速機15をまとめて、動力伝達部と呼ぶ場合がある。
【0017】
図2においては、サーボモータ19のモータ本体18からロボットアーム2まで延びる動力伝達経路Aが示されている。モータ本体18で形成される動力は動力伝達経路Aを通じてロボットアーム2に伝達され、ロボットアーム2を駆動する。このため、ロボットアーム2を動力出力部と呼ぶこともできる。
【0018】
図2に示される第一の実施形態においては、追加歯車21を備えた第二制動部20が第二歯車12に係合するよう配置されている。言い換えれば、第一の実施形態においては、第一歯車11と追加歯車21との両方が第二歯車12に係合している。これら第一歯車11および追加歯車21は面一に配置されるのが好ましい。このような構成であるので、モータ本体18を制動するときには、第一制動部17および第二制動部20の両方を使用することができる。
【0019】
図2から分かるように、第二制動部20は動力伝達経路Aに分岐するように動力伝達部に連結されている。従って、第二制動部20はロボット1の駆動に影響を与えず、第二制動部20を取外した場合であっても、ロボット1を駆動できる。このため、ロボット1の駆動とは無関係に第二制動部20を着脱できる。従って、第二制動部20が故障した場合であっても、第二制動部20のみを容易に交換することが可能である。
【0020】
図1を再び参照すると、駆動軸J3は水平に延びている。本発明においては、第一制動部17および第二制動部20の両方を有するので、一方の制動部が故障した場合であっても、他方の制動部が機能するので、ロボットアーム2が重力で駆動軸J3回りに下方に回動することはない。従って、ワークWが滑落するのを回避すると共に周辺機器が損傷するのを防止できる。それゆえ、本発明においては、安全な産業用ロボット1を提供できる。このため、操作者の安全確保でき、工場生産量の維持に貢献することができる。
【0021】
また、図1から分かるように、産業用ロボット1の他の駆動軸J2、J5も水平に延びている。従って、これら駆動軸J2、J5も重力の影響を受けやすい。このため、駆動軸J2、J5についても前述した第二制動部20を備えるのが好ましい。従って、重力によりロボットアーム2が駆動軸J2または駆動軸J5回りに下方に回動するのを避けられ、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。
【0022】
当然のことながら、必ずしも水平でない他の駆動軸J1、J4、J6に第二制動部20を備えるようにしてもよい。また、ロボット1の用途に応じて駆動軸J1〜J6のうちの少なくとも一つの駆動軸に第二制動部20を取付けてもよく、第二制動部20を全ての駆動軸J1〜J6に取付けてもよい。さらに、一つの駆動軸に、複数の第二制動部20を配置することも可能である。
【0023】
ところで、従来技術において説明したように、サーボモータ内部に第一制動部および第二制動部を組込んだ場合には、サーボモータの構造が特殊になるのでサーボモータの価格が増す。さらに、二つの制動部のうちの一方の制動部が故障した場合であっても、一方の制動部のみを単独で交換することはできない。
【0024】
しかしながら、本発明の第二制動部20はサーボモータ19の形状に依存しないので、汎用的な制動部を第二制動部20として採用でき、その結果、価格を下げることができる。また、例えば図2において、第二制動部20の追加歯車21の外径を変更することにより、第二制動部20を種々の寸法の駆動軸に適用することができる。さらに、第二制動部20の追加歯車21の歯数を変更することにより、速度比を調整することもできる。従って、第二制動部20自体のブレーキトルクを変更する必要はなく、ロボット1の駆動軸に対して最適な制動力を得ることも可能である。
【0025】
ところで、第二制動部20は単独であっても、モータ本体18を制動するのに十分な機能を有するものとする。このため、一方の制動部10、20が故障した場合であっても、他方の制動部20、10を用いて、ロボット1を確実に制動することができる。また、一方の制動部が故障した場合には、他方の制動部によりロボット1の駆動軸を制動した状態で、一方の制動部を交換すればよい。従って、制動部10、20の交換作業を安全に行うことができる。
【0026】
また、図3は本発明に基づく産業用ロボットの制御装置を部分的に示すブロック図である。図3においては、ロボット1を制御する制御装置30が示されており、制御装置30には、一つの駆動軸J3におけるサーボモータ19および第二制動部20が接続されている。図3には示さないものの、他の駆動軸についても同様であるものとする。
【0027】
図3に示されるように制御装置30はCPU33を含んでおり、CPU33は第一制御回路31および第二制御回路32に接続されている。第一制御回路31は第一制動部17の制動動作を制御し、第二制御回路32は第二制動部20の制動動作を制御する。従って、本発明においては、一方の制御回路31、32が故障して制動不能になった場合でも、他方の制御回路32、31を利用して、対応する制動部20、17によりモータ本体18の駆動作用を制動することができる。従って、本発明においては、ロボット1の制動作用を安全に制御できるのが分かるであろう。
【0028】
前述したように第二制動部20はロボット1の駆動に影響を与えない。従って、本発明においては、第二制動部20を動力伝達部の第一歯車11から第四歯車14の間のいずれの場所に配置してもよい。図4は本発明の第二の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。図4においては、追加歯車21が第四歯車14に係合するように、第二制動部20が配置されている。また、本発明の第三の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である図5においては、追加歯車21が第三歯車13に係合するように、第二制動部20が配置されている。第二および第三の実施形態においても、前述したのと同様な効果が得られるのは当業者であれば明らかであろう。また、第二制動部20が、第二歯車12、第三歯車13および第四歯車14のそれぞれに対して配置されていてもよい。
【0029】
ところで、図2等に示されるように動力伝達部が歯車を含む場合には、それら歯車のための潤滑油が必要とされる。しかしながら、潤滑油が第一制動部17および第二制動部20に到達すると、これら制動部が故障する可能性がある。
【0030】
ここで、図6図2の一部分を拡大して示す部分拡大図である。図6に示されるように、本発明においては、減速機15と第一制動部17および第二制動部20との間の領域は、ハウジング35に包含されている。このため、第一歯車11、第二歯車12および追加歯車21はハウジング35内に位置している。ハウジング35は潤滑油で満たされているものとする。そして、第一歯車11および追加歯車21の回転軸には、第一シール部36および第二シール部37がそれぞれ配置されている。
【0031】
本発明においては、第一制動部17および第二制動部20が独立したシール部36、37を備えているので、ハウジング35内の潤滑油が第一制動部17および第二制動部20に同時に到達する可能性は低く、従って、これら制動部が同時に故障するリスクを低減できる。
【0032】
図7は本発明の他の実施形態における一つの駆動軸の拡大図である。図7においては、歯車の代わりに、プーリおよびベルトにより、サーボモータ19の動力がロボットアーム2に伝達されている。すなわち、サーボモータ19の出力軸には第一プーリ11’が取付けられている。また、サーボモータ19とロボットアーム2との間に配置された減速機15の一側には第二プーリ12’が設けられており、他側には第三プーリ13’が設けられている。
【0033】
図7に示されるように、第一プーリ11’および第二プーリ12’には、第一ベルト41が巻回されている。そして、ロボットアーム2に取付けられた第四プーリ14’および減速機15の第三プーリ13’には、第二ベルト42が巻回されている。
【0034】
さらに、図7においては、第五プーリ16’が第四プーリ14’と同軸に配置されている。そして、第五プーリ16’および第二制動部20の追加プーリ21’には、第三ベルト43が巻回されている。
【0035】
図7に示される他の実施形態においては、第三プーリ13’が第二ベルト42を介して第四プーリ14’に係合すると共に、追加プーリ21’が第三ベルト43を介して、第四プーリ14’と同軸の第五プーリ16’に係合している。このため、モータ本体18を制動するときには、第一制動部17および第二制動部20の両方を使用できる。
【0036】
図7に示される他の実施形態においても、第二制動部20はロボット1の駆動に影響を与えず、第二制動部20を取外した場合であっても、ロボット1を駆動できる。従って、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。
【0037】
図8は別の産業用ロボットまたは工作機械における一つの直動軸の拡大図である。図8においては、サーボモータ19の動力をボールネジを用いてテーブル47に伝達している。このため、図8に示される構成は工作機械または図1とは別の産業用ロボットにて適用されるものとする。
【0038】
図8においては、ボールネジのネジ55の両端部に歯車51、52がそれぞれ取付けられている。そして、ネジ55に螺合するナット56にはテーブル57が結合されている。なお、テーブル57の代わりに、ロボットアームがナット56に結合されていてもよい。
【0039】
図8においては、サーボモータ19の第一歯車11がネジ55の一方の歯車51に係合している。そして、第二制動部20の追加歯車21がネジ55の他方の歯車52に係合している。従って、ネジ55は歯車51、52を介して第一歯車11と追加歯車21との両方に係合している。このような構成であるので、モータ本体18を制動するときには、第一制動部17および第二制動部20の両方を使用することができる。
【0040】
図8においても、第二制動部20はテーブル57の駆動に影響を与えず、第二制動部20を取外した場合であっても、テーブル57を駆動できる。従って、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。また、ボールネジや、ベルト/プーリ以外の形式の動力伝達部を採用する場合であっても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ロボット
2 ロボットアーム(動力出力部)
11 第一歯車
11’ 第一プーリ
12 第二歯車
12’ 第二プーリ
13 第三歯車
13’ 第三プーリ
14 第四歯車
14’ 第四プーリ
15 減速機
16’ 第五プーリ
17 第一制動部
18 モータ本体
19 サーボモータ
20 第二制動部
21 追加歯車
31 第一制御回路
32 第二制御回路
33 CPU
35 ハウジング
36 第一シール部
37 第二シール部
41 第一ベルト
42 第二ベルト
43 第三ベルト
51、52 歯車
55 ネジ
56 ナット
57 テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10