(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6154499
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 6/24 20060101AFI20170619BHJP
B65D 21/08 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
B65D6/24 K
B65D21/08
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-14477(P2016-14477)
(22)【出願日】2016年1月28日
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】1-2015-04961
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】VN
(73)【特許権者】
【識別番号】516029687
【氏名又は名称】キヤノンベトナム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Vietnam Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】中村 高志
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3030104(JP,U)
【文献】
実公平03−026129(JP,Y2)
【文献】
実開昭50−107538(JP,U)
【文献】
特開平08−133274(JP,A)
【文献】
特開平07−132933(JP,A)
【文献】
実開昭53−045134(JP,U)
【文献】
実公昭49−047319(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/24
B65D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、複数の側壁と、を有するコンテナであって、
前記底壁を形成する第一パネル部材と、
前記複数の側壁を形成する複数の第二パネル部材と、を備え、
前記第一パネル部材は、複数の第一係合部を含み、
各第二パネル部材は、
前記複数の第一係合部の一つと係合および係合解除可能な少なくとも一つの第二係合部と、
他の前記第二パネル部材の前記第二係合部と係合および係合解除可能な少なくとも一つの第三係合部と、を含み、
前記複数の第一係合部と前記第二係合部との係合によって、前記第一パネル部材に各第二パネル部材が固定可能であり、
前記第二係合部と前記第三係合部との係合によって、前記第二パネル部材同士が上下に連結可能であり、
前記第一係合部は、前記第一パネル部材の上面に開口した開口であり、
前記第三係合部は、前記第二パネルの上端面に開口した開口であり、
前記第二係合部は、前記第一パネル部材の前記開口および他の前記第二パネル部材の前記開口と係合する、前記第二パネル部材の下端面から突出した係合部である、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記第一パネル部材の前記上面は、
前記第一パネル部材に固定される前記第二パネル部材の下端面が当接する周縁部と、
前記周縁部の内周縁に形成され、前記第二パネル部材の内側の側面に当接する壁部と、を含む、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナであって、
前記第一パネル部材の前記上面は、前記コンテナの内部空間の底面を形成する底面形成領域を更に含み、
前記周縁部は、前記底面形成領域を囲み、
前記壁部は、前記底面形成領域を囲むように前記周縁部と前記底面形成領域との境界に形成された無端の凸部である、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項4】
請求項1に記載のコンテナであって、
各第二パネル部材は、
少なくとも一つの第四係合部と、
少なくとも一つの第五係合部と、を含み、
前記第四係合部と前記第五係合部との係合によって、左右に隣接する前記第二パネル部材同士が互いに交差するように固定される、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテナであって、
左右に隣接する前記第二パネル部材と係合し、これらを互いに交差するように固定する係合部材を更に備える、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項6】
請求項5に記載のコンテナであって、
前記第二パネル部材は、前記係合部材が装着される、前記上端面から一段低くされた凹部を含む、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項7】
請求項4に記載のコンテナであって、
前記第四係合部は前記第二パネル部材の左右方向で一端側の端面に形成され、
前記第五係合部は前記第二パネル部材の左右方向で他端側の側面に形成される、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項8】
請求項7に記載のコンテナであって、
前記第二パネル部材は、
前記一端側の前記端面に形成された第一位置決め部と、
前記他端側の前記側面に形成され、前記第一位置決め部と係合する第二位置決め部と、を含む、
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項9】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記第二係合部は、前記第二パネル部材の前記下端面から突出したフック形状の爪であり、
前記第一係合部および前記第三係合部は、前記爪が挿入される開口である、
ことを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の物品、部品、材料等を輸送、運搬、保管するために使用されるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品、部品、材料等を輸送、運搬、保管するためのコンテナとして、容積を変更可能な組み立て式のコンテナが提案されている。例えば、特許文献1には、本体容器に対して環状の枠体を装着することにより、容積を増加可能なコンテナが開示されている。このコンテナは、使用しないときには本体容器と枠体を分離し、更に、枠体を分解して保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−082941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンテナの本体容器は箱型であるため、保管に際して、より広いスペースを必要とする。保管スペースを削減するために、コンテナをより細かく分解可能な構造とした場合、部品種が増大する場合がある。
【0005】
本発明は、容積が変更可能で、保管時にコンパクトに分解でき、かつ、部品種が比較的少ないコンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
底壁と、複数の側壁と、を有するコンテナであって、
前記底壁を形成する第一パネル部材と、
前記複数の側壁を形成する複数の第二パネル部材と、を備え、
前記第一パネル部材は、複数の第一係合部を含み、
各第二パネル部材は、
前記複数の第一係合部の一つと係合および係合解除可能な少なくとも一つの第二係合部と、
他の前記第二パネル部材の前記第二係合部と係合および係合解除可能な少なくとも一つの第三係合部と、を含み、
前記複数の第一係合部と前記第二係合部との係合によって、前記第一パネル部材に各第二パネル部材が固定可能であり、
前記第二係合部と前記第三係合部との係合によって、前記第二パネル部材同士が上下に連結可能であ
り、
前記第一係合部は、前記第一パネル部材の上面に開口した開口であり、
前記第三係合部は、前記第二パネルの上端面に開口した開口であり、
前記第二係合部は、前記第一パネル部材の前記開口および他の前記第二パネル部材の前記開口と係合する、前記第二パネル部材の下端面から突出した係合部である、
ことを特徴とするコンテナが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容積が変更可能で、保管時にコンパクトに分解でき、かつ、部品種が比較的少ないコンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナの斜視図。
【
図2】底壁のパネル部材の斜視図および部分拡大図。
【
図5】側壁のパネル部材の斜視図および部分拡大図。
【
図6】左右に隣接するパネル部材の連結構造を示す説明図。
【
図7】底壁のパネル部材および側壁のパネル部材の係合状態における断面図、および、部分拡大図。
【
図10】
図1のコンテナの他の組立態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係るコンテナ1の斜視図である。コンテナ1は、底壁2と、複数の側壁3および4とを備え、その天部が開放した方形の箱型をなしている。一対の側壁3は、互いに対向して短辺側の側壁を構成し、一対の側壁4は互いに対向して長辺側の側壁を構成している。なお、本実施形態のコンテナ1は平面視で長方形であるが、正方形でもよく、また、三角形や五角形あるいは六角形等、他の形状であってもよい。
【0010】
以下の説明において、上下方向とはコンテナ1の深さ方向を意味し、本実施形態では底壁2の法線方向である。左右方向とは上下方向と交差する方向を意味し、本実施形態では上下方向と直交する方向である。
【0011】
コンテナ1は、組み立て式のコンテナであり、互いに分解可能に組み立てられる、パネル部材10と複数のパネル部材11とを含む。パネル部材10は底壁2を形成する。複数のパネル部材11は複数の側壁3および4を形成する。短辺側の側壁3を構成するパネル部材11と、長辺側の側壁4を構成するパネル部材11とでは、その全長(左右方向の長さ)が異なるものの、その余においては実質的に同じ構成である。
【0012】
なお、本実施形態では底壁2は一つのパネル部材10で形成されるが、複数のパネル部材を左右方向に連結して底壁2が形成される構造であってもよい。同様に、本実施形態の場合、一つの側壁3は一つのパネル部材11で形成され、一つの側壁4は一つのパネル部材11で形成されるが、複数のパネル部材を左右方向に連結して側壁3や側壁4が形成される構造であってもよい。しかし、本実施形態のように、底壁2および各側壁3および4を、それぞれ一枚のパネル部材で形成することで部品種を削減することができる。
【0013】
図2を参照してパネル部材10について説明する。パネル部材10は全体として板状をなしており、その上面は、領域101と、周縁部102と、壁部104とを含む。パネル部材10は例えばプラスチックなどの樹脂により一体的に単一部品として形成することができる。
【0014】
領域101はコンテナ1の内部空間の底面を形成する底面形成領域であり、本実施形態では方形である。周縁部102はパネル部材10に固定されるパネル部材11の下端面が当接する方形枠状の領域である。
【0015】
周縁部102には複数の係合部103が形成されている。本実施形態の場合、係合部103は周縁部102を貫通する方形の開口である。本実施形態の場合、係合部103は穴であるが、切欠き状の開口であってもよい。係合部103は、短辺側の各側壁3の下方となる位置に、それぞれ四個、合計で八個形成されており、長辺側の各側壁4の下方となる位置に、それぞれ五個、合計で十個形成されている。このように本実施形態では、側壁ごとに複数の係合部103を周縁部102の長手方向に沿って形成しているが、側壁ごとに少なくとも一つの係合部103を形成すればよい。
【0016】
壁部104は、周縁部102の内周縁に形成されおり、パネル部材11の内側の側面が当接する壁面を構成する。本実施形態の場合、壁部104は、領域101を囲むように周縁部102と領域102との境界に形成された無端の凸部であり、平面視で方形の枠形状をなしている。壁部104の外側の壁面がパネル部材11の内側の側面と当接することになる。なお、本実施形態では、壁部104を凸部として形成したが、パネル部材11の内側の側面と当接する壁面を形成できれば、どのような構造であってもよい。例えば、領域101を周縁部102よりも高い位置に形成し、領域101と周縁部102との段差によって、壁部(壁面)を形成してもよい。また、壁部104は無端ではなく、途中で途切れていてもよく、更に、複数個所にスポット的に形成されていてもよい。
【0017】
図3〜
図6を参照してパネル部材11の構成について説明する。
図3及び
図4は側壁4を形成する長辺側のパネル部材11の斜視図と説明図である。
図5は側壁3を形成する短辺側のパネル部材11の斜視図と部分拡大図である。
図6は側壁3を形成する短辺側のパネル部材11と側壁4を形成する長辺側のパネル部材11との左右方向の連結構造を示す説明図である。
【0018】
パネル部材11は全体として板状をなしており、側部を形成する側板部110と、上部を形成する上板部111と、下部を形成する下板部112と、左右の端部を形成する端板部113および114と、を含む。
【0019】
側板部110はパネル部材11の側面を形成するとともに、コンテナ1の内部空間の側面を形成する。上板部111、下板部112および左右の端板部113および114は、側板部110に対して直交して外側に延びている。上板部111の上面はパネル部材11の上端面を形成し、下板部112の下面はパネル部材11の下端面を形成する。また、端板部113はパネル部材11の左右方向で一端側の端面を形成し、端板部114はパネル部材11の左右方向で他端側の端面を形成する。パネル部材11は例えばプラスチックなどの樹脂により一体的に単一部品として形成することができる。
【0020】
下板部112には複数の係合部115が形成されている。本実施形態の場合、係合部115は下板部112から突出したフック形状の爪であり、換言すると、係合部115はパネル部材11の下端面から下方へ突出している。係合部115はL字型をなしており、係合部103に挿入した後、パネル部材11をパネル部材10に対して左右方向(ここでは、端板部114→端板部113の方向)にスライドさせることにより、係合部115と係合部103とが係合状態となる。
【0021】
図7は係合部115と係合部103との係合状態を示す垂直断面図および部分拡大図である。周縁部102においてパネル部材10が、下板部112と係合部115の端部との間に挟まれている。下板部112は周縁部102に当接し、パネル部材10に対して、パネル部材11が垂直姿勢(パネル部材10とパネル部材11の角度が例えば、85度〜95度の範囲内。)で固定される。パネル部材11の内側の側面が、壁部104に当接しており、パネル部材11の側方から外力が入力された場合に、パネル部材11が壁部104を介してパネル部材10に支えられる。このため、コンテナ1が破損し難い構造となっている。
【0022】
係合を解除させる場合は、パネル部材11をパネル部材10に対して逆方向にスライドさせ、係合部103から係合部115を抜き出す。
【0023】
再び
図3〜
図6を参照する。側壁3を構成する短辺側のパネル部材11は四個の係合部115を備えている。側壁4を構成する長辺側のパネル部材11は五個の係合部115を備えている。本実施形態では、複数の係合部115をパネル部材11の長手方向に沿って形成しているが、各パネル部材11が少なくとも一つの係合部115を備えていればよい。
【0024】
上板部111には複数の係合部116が形成されている。本実施形態の場合、係合部116は上板部111を貫通する方形の開口である。本実施形態の場合、係合部116は穴であるが、切欠き状の開口であってもよい。係合部116は、他のパネル部材11の係合部115と係合および係合解除が可能となっている。換言すると、係合部115は、係合部103および係合部116の双方と係合および係合解除可能な係合形状を有している。また、係合部103は係合部115と係合および係合解除可能な係合形状を有しており、係合部116は係合部115と係合および係合解除可能な係合形状を有している。本実施形態の場合、係合部116はパネル部材10の係合部103と同じ構成となっている。二つのパネル部材11の一方の係合部116と他方の係合部115とを係合することで、二つのパネル部材同士を上下に連結することができる(後述する
図10)。
【0025】
側壁3を構成する短辺側のパネル部材11は四個の係合部116を備えている。側壁4を構成する長辺側のパネル部材11は五個の係合部116を備えている。本実施形態では、複数の係合部116をパネル部材11の長手方向に沿って形成しているが、各パネル部材11が少なくとも一つの係合部116を備えていればよい。
【0026】
端板部113には複数の係合部117が形成されている。本実施形態の場合、係合部117は端板部113から側方へ突出したフック形状の爪であり、換言すると、係合部117はパネル部材11の左右方向で一端側の端面に形成されている。本実施形態の場合、側壁3を構成する短辺側のパネル部材11および側壁4を構成する長辺側のパネル部材11のいずれも、二個の係合部117を備えている。本実施形態では、複数の係合部117を上下方向に沿って形成しているが、各パネル部材11が少なくとも一つの係合部117を備えていればよい。
【0027】
端板部113には、また、位置決め部113’が形成されている。位置決め部113’は、本実施形態の場合、端板部113から側方へ突出した凸部であり、上下方向に延設されている。位置決め部113’は途中で分断されており、その分断個所に各係合部117が配設されている。
【0028】
側板部110には複数の係合部118が形成されている。本実施形態の場合、係合部118は側板部110を貫通する方形の開口である。本実施形態の場合、係合部118は穴であるが、切欠き状の開口であってもよい。係合部118は、端板部114側に配設されており、別のパネル部材11の係合部117と係合および係合解除が可能となっている。
【0029】
図6は左右に隣接するパネル部材11の係合直前の状態を示す。係合部117を係合部118に挿入すると、係合部117が僅かに弾性変形しながら係合部118を通過し、自然状態または自然状態に近い状態に復帰して係合部117の先端部が係合部118の周囲に係合する。これにより、左右に隣接するパネル部材11同士が互いに交差するように固定され、コンテナ1の角部が形成される。係合を解除する場合は、係合部118から係合部117をやや強めに引き抜くようにする。
【0030】
側板部110には、また、位置決め部110’が形成されている。位置決め部110’は位置決め部113’と係合して、二つのパネル部材11の位置決めや連結の補助を行う。本実施形態の場合、位置決め部110’は、位置決め部113’に対応した形状の溝であり、上下方向に延設されている。位置決め部110’は途中で分断されており、その分断個所に各係合部118が配設されている。左右に隣接するパネル部材11を
図6の状態から係合する際、位置決め部110’に位置決め部113’を嵌め合せながら係合部117と係合部118とを係合する。これによりパネル部材11同士の位置決めを容易に行えると共に、パネル部材11同士の固定状態において、その連結強度を向上できる。
【0031】
上板部111の左右方向両端部には、一段低くなった凹部(低部)111’が形成され、各凹部111’には係合部119が形成されている。本実施形態の場合、係合部119は上板部111を貫通する円形の開口である。本実施形態の場合、係合部119は穴であるが、切欠き状の開口であってもよい。
【0032】
係合部119には係合部材12が装着される。
図8および
図9を参照して説明する。
図8はコンテナ1の隅部の説明図であり、
図9は係合部材12の斜視図である。
【0033】
図8を参照して、コンテナ1の隅部において、左右に隣接するパネル部材11同士は、同図に示すように互いに交差した姿勢(ここでは直交した姿勢であり、例えば、85度〜95度の範囲内。)で互いに固定されると共にパネル部材10に固定される。
【0034】
そして、一方のパネル部材11の端板部113が他方のパネル部材11の側板部110の端板部114側に当接し、一方のパネル部材11の端板部113側の係合部119と他方のパネル部材11の端板部114側の係合部119とが隣接する。また、パネル部材11の端板部114側の凹部111’には係合部材12と係合する係合部120が形成されている。本実施形態の場合、係合部120は凹部111’を貫通する方形の開口である。本実施形態の場合、係合部120は穴であるが、切欠き状の開口であってもよい。
【0035】
図9を参照して、係合部材12は、板状の本体部121と、係合部122〜124とを備える。係合部122〜124は本体部121の下面から下方へ突出するように形成されている。つまり、
図9は係合部材12の下側を示す斜視図となっている。係合部122、123は、コンテナ1の隅部において隣接する二つの係合部119にそれぞれ係合する。本実施形態の場合、係合部122、123は係合部119に嵌合する軸体である。係合部124はパネル部材11の係合部120と係合する。本実施形態の場合、係合部124は係合部120に挿入されるフック形状の爪である。係合部材12は例えばプラスチックなどの樹脂により一体的に単一部品として形成することができる。
【0036】
図8の状態において、係合部材12をコンテナ1の隅部の二か所の係合部119と係合部120に嵌め合せることで、左右に隣接するパネル部材11間が係合部材12を介して互いに交差する状態で固定され、連結力が補強される。係合部材12が凹部111’に配置されることで、本体部121の上面は上板部111の残りの上面と略面一となり(
図1)、外観を向上する。
【0037】
以上の構成からなるコンテナ1は、保管時にはパネル部材10および11を分解して保管することができる。パネル部材10および11は板状であるので、積み重ねて保管することで保管スペースを削減することができる。
【0038】
コンテナ1の組立ては、パネル部材10上に、四枚のパネル部材11を一枚ずつ順次固定することで行う。固定は、既に述べたとおり、パネル部材11の係合部115を係合部103に挿入した後、パネル部材11をパネル部材10に対して左右方向にスライドすることで行うことができ、比較的簡易に行える。しかも、本実施形態の場合、係合時のスライド方向は、端板部114→端板部113の方向であり、係合部117を前進させる方向である。つまり、先にパネル部材10に固定したパネル部材11がある場合に、その係合部118に対して、これらから装着するパネル部材11の係合部117を嵌め合せながらパネル部材10に対する装着が可能である。四枚目のパネル部材11の装着については、既にパネル部材10に固定したパネル部材11を、少し撓ませながらパネル部材10や隣接するパネル部材11に嵌め込むことで行う。その後、コンテナ1の四隅に係合部材12を係合することで
図1に示すパネル部材11が上下に一層のコンテナ1が完成する。
【0039】
容積を増加させる場合、
図10に示すようにパネル部材11を上下に二層としたコンテナ1を組み立てることができる。その組立てに際しては、
図1の状態から、二層目の四枚のパネル部材11を、一層目の四枚のパネル部材11に上下に連結すればよい。つまり、二層目の四枚の各パネル部材11の係合部115を、一層目の四枚の各パネル部材の係合部116に係合する。また、二層目の隣接する各パネル部材11の係合部117と係合部118とを係合する。その後、コンテナ1の四隅に係合部材12を係合することで
図10に示すパネル部材11が上下に二層のコンテナ1が完成する。
【0040】
同様にして、三層以上のコンテナ1を組み立てることができる。係合部材12は最上層にのみ設けてもよいし、全層に設けてもよい。
【0041】
以上のとおり、本実施形態のコンテナ1では、パネル部材11の上下の層数を変えることで、内部容積を変更できる。また、保管時にはコンパクトに分解できる。更に、係合部115が、係合部103だけでなく、係合部116にも係合および係合解除可能な構成としたので、最下層のパネル部材11と上層のパネル部材11とで部品を共通にすることができる。したがって、部品種が比較的少ないコンテナを提供できる。
【0042】
<他の実施形態>
上記実施形態では、全長の異なる二種類のパネル部材11としたが、コンテナ1を立方体形状とすることでパネル部材11は一種類で足りる。例えば、パネル部材10の平面視形状を正方形とし、四辺の長短が無い構成とすればよい。この構成の場合、パネル部材10と、パネル部材11とがそれぞれ一種類でコンテナ1を構成でき、部品種を更に削減できる。
【0043】
次に、上記実施形態ではパネル部材10を一種類としたが、複数種類のパネル部材10の中から、いずれかを選択可能としてもよい。これにより、平面サイズの異なるコンテナを簡易に得ることができる。この場合、四辺のうちの少なくとも一辺の長さを複数種類のパネル部材10において共通にしてもよい。これにより、パネル部材11の種類を減らしつつ、様々大きさのコンテナを製造することができる。
【0044】
次に、上記実施形態における各係合部の配置、構造は一例であり、様々な配置、構造を採用可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、係合部115を爪とし、係合部103および116を開口としたが、逆に、係合部115を開口とし、係合部103および116を爪としてもよい。同様に、係合部117を開口とし、係合部118を爪としてもよい。但し、本実施形態のように係合部115を爪とし、係合部103および116を開口とする方が、保管時にパネル部材10を積み重ねる際、係合部103が邪魔にならない点で有利である。同様に、本実施形態のように係合部118を開口とし、係合部117を爪とする方が、保管時にパネル部材11を積み重ねる際、係合部118が邪魔にならない点で有利である。
【0046】
また、例えば、上記実施形態では、係合部を開口と爪で構成する例を例示したが、筒と筒に嵌る軸や、軸と軸に引っ掛けるフック、爪と爪等、様々な係合構造を採用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 コンテナ、2 底壁、3 側壁、4 側壁、10 パネル部材、11 パネル部材、103 係合部、115 係合部、116 係合部
【要約】 (修正有)
【課題】容積が変更可能で、保管時にコンパクトに分解でき、かつ、部品種が比較的少ないコンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ1は、底壁2を形成する第一パネル部材10と、複数の側壁3,4を形成する複数の第二パネル部材11とを備える。第一パネル部材10は、複数の第一係合部を含み、各第二パネル部材11は、複数の第一係合部の一つと係合および係合解除可能な少なくとも一つの第二係合部と、他の第二パネル部材の第二係合部と係合および係合解除可能な少なくとも一つの第三係合部116と、を含む。複数の第一係合部と第二係合部との係合によって、第一パネル部材10に各第二パネル部材11が固定される。第二係合部と第三係合部116との係合によって、第二パネル部材11同士が上下に連結される。
【選択図】
図1