【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。まず、本発明で用いた測定方法および評価方法について説明する。
(1)摩擦係数の測定
カトーテック製KES−SEを用い、感度をHに設定し、荷重25gfおよび摩擦子25gfの合計50gfで測定した。摩擦子に綿標準規格布「かなきん3号」を取り付け、移動速度は標準条件の1mm/secで、シンカーループ側、ニードルループ側共に経方向について3回測定し、平均値を算出した。測定する生地はカールを考慮し、伸ばさないように、押さえ金枠で把持して測定した。
【0026】
(2)着心地の判定
10人のモニターが試作生地で作製したTシャツを着用し、肌側の着用時の肌触り、着脱性および動作時の動きやすさの3点を総合して、「着心地」として下記の5段階で官能評価し、最頻値を評価結果とした。
5 良い
4 やや良い
3 どちらともいえない
2 やや悪い
1 悪い
【0027】
(3)生地風合いの判定
上記(2)とは別の10人のモニターが試作生地のニードルループ側およびシンカーループ側の肌触りを下記の5段階で官能評価し、最頻値を評価結果とした。
5 良い
4 やや良い
3 どちらともいえない
2 やや悪い
1 悪い
【0028】
(4)シンカーループ側のギラツキの判定
上記(3)と同じモニターに、シンカーループ側のぎらつき感を下記の5段階で官能評価させ、最頻値を評価結果とした。
5 全く目立たない
4 殆ど目立たない
3 どちらともいえない
2 やや目立つ
1 目立つ
【0029】
(5)消費性能(毛羽立ち、毛玉発生の確認)の判定
試作生地で作製した肌着を、シンカーループ側を外表にした状態で、洗濯、脱水、タンブラー乾燥を10回繰り返し、シンカーループ側の外観変化を下記基準で評価した。
5 毛羽立ち毛玉がほとんど目立たない
4 毛羽立ち毛玉が僅かに認められる
3 毛羽立ち毛玉がやや認められる
2 毛羽立ち毛玉が認められる
1 毛羽立ち毛玉が目立つ
なお、洗濯方法は、JIS−L−1027 103法に準じ、洗濯と乾燥を10回繰り返し行った。洗剤は花王(株)製アタックを用い、増量布と共に、5分洗濯−30秒脱水−2分すすぎ−30秒脱水−2分すすぎ−30秒脱水−タンブラー乾燥60℃×1時間を1回とした。
【0030】
(実施例1)
41dtex26fの丸断面ナイロン66のPOYを公知の方法で仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、84dtex54fのキュプラ(登録商標ベンベルグ)ブライトフィラメントとを、公知の方法でインターレース混繊を行った。出来上がった複合糸は、キュプラの混率が71.8%、ナイロン66の混率が28.2%となった。この複合糸と、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率が65%、ナイロン混率が25%、ポリウレタン弾性繊維混率が10%ベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が80、ウェール数が45の生地1を得た。この生地の摩擦係数を測定したところ、表1に示す通り、小さかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。結果を表1に示す。着心地に高い評価を得、風合いについても表裏差が小さく、良好と判定された。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちが少なく、消費性能にも優れていた。
【0031】
(実施例2)
56dtex30fのキュプラブライトフィラメントを2本引き揃え、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率90%、ポリウレタン弾性繊維混率10%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が70、ウェール数が48の生地2を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、小さかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地風合いの検査を行わせた。着心地に高い評価を得、風合いについても表裏差が小さく、良好と判定された。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちは目立たず、消費性能にも優れていた。結果を表1に示す。
【0032】
(実施例3)
40dtex24fの丸断面ポリエステルのPOYを公知の方法で仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、56dtex30fのキュプラフルダルフィラメントとを公知の方法でインターレース混繊を行った。出来上がった複合糸は、キュプラの混率71.8%、ポリエステルの混率28.2%となった。この複合糸と、84dtex36fの丸断面ポリエステルフィラメントを公知の方法で仮撚加工して得たポリエステル仮撚フィラメントと、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率30%、ポリエステル混率60%、ポリウレタン弾性繊維混率10%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が76、ウェール数が50の生地3を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、小さかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。着心地に高い評価を得、風合いについても表裏差が小さく、良好と判定された。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちが少なく、消費性能にも優れていた。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例4)
84dtex45fのキュプラフィラメントと、38dtex13fの丸断面ナイロン66を、公知の方法でインターレース仮撚加工を行った。出来上がった複合糸は、キュプラの混率69%、ナイロン66の混率39%となった。この複合糸と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率67%、ナイロン混率30%、ポリウレタン弾性繊維混率3%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が64、ウェール数が42の生地4を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、小さかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。着心地に高い評価を得、風合いについても表裏差が小さく、良好と判定された。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちが少なく、消費性能にも優れていた。結果を表1に示す。
【0034】
(
参考例5)
100dtex48fの十字断面ポリエステルを公知の方法で仮撚加工して得たポリエステル仮撚フィラメントと、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、ポリエステル混率91%、ポリウレタン弾性繊維混率9%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が72、ウェール数が44の生地5を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、やや大きかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合いについては、表裏差が大きかったが、肌側の裏面は悪くはなかった。着心地は、ふかつき感が若干有り、やや悪かった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちは僅か認められる程度で、消費性能にも優れていた。結果を表1に示す。
【0035】
(
参考例6)
100dtex72fの丸断面ナイロン66を、公知の方法で仮撚加工して得たナイロン66仮撚フィラメントと、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、ナイロン混率91%、ポリウレタン弾性繊維混率9%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が72、ウェール数が44の生地6を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、やや大きかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合いについては、表裏差が大きかったが、肌側の裏面は良好と判定された。着心地は、ふかつき感が若干有ったが、悪くはなかった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちは僅か認められる程度で、消費性能にも優れていた。結果を表1に示す。
【0036】
(
参考例7)
40/−のコーマ綿と、33dtex3fのポリウレタン弾性繊維を積極送り装置を用いて28Gシングル丸編機上で複合し、綿混率90%、ポリウレタン弾性繊維混率10%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が44、ウェール数が28の生地7を得た。この生地の摩擦係数は表1に示す通り、やや大きかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合いについては、表裏差が大きかったが、肌側の裏面は悪くはなかった。着心地は、がさつき感が有り、やや悪かった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちが認められた。結果を表1に示す。
【0037】
(比較例1)
実施例5で得た生地5を、シンカーループ側を肌に触れる面になるように縫製して肌着(上半身用)とし、実施例5と同様に、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合いについては、表裏差が大きく、肌側の裏面は悪かった。着心地は、ふかつき感が有り、悪かった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちはほとんどなく、消費性能には優れていた。結果を表1に示す。
【0038】
(比較例2)
実施例6で得た生地6を、シンカーループ側を肌に触れる面になるようにして縫製して肌着(上半身用)とし、実施例6と同様に、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合については、表裏差が大きく、肌側の裏面は悪かった。着心地は、ふかつき感が有り、悪かった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、毛羽立ちは僅か認められる程度で、消費性能に優れていた。結果を表1に示す。
【0039】
(比較例3)
実施例7で得た生地7を、シンカーループ側を肌に触れる面になるようにして縫製して肌着(上半身用)とし、実施例7と同様に、モニターに着心地の検査、生地表裏の風合いの検査を行わせた。風合については、表裏差が大きく、肌側の裏面は悪かった。着心地は、短繊維特有の毛羽によるざらつき感が有り、悪かった。また繰り返し洗濯を行い、外観検査を行ったところ、ピリングが認められ、消費性能にやや劣っていた。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】