(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用サイドバイザーの取付構造を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造における構成を「全体概略構成」、「アシストグリップの詳細構成」、「サイドバイザーの詳細構成」、「クリップの詳細構成」、「車両用サイドバイザーの取付構造の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[全体概略構成]
図1は、実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造を示す全体斜視図である。
図2は、
図1におけるA−A断面図である。
図3は、
図2におけるB部の拡大図である。以下、
図1〜
図3に基づき、実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造の全体概略構成を説明する。
【0012】
実施例1の車両Sでは、
図1に示すように、サイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側に、クリップ(固定部材)30(
図3参照)を介して、アシストグリップ10及びサイドバイザー20が取り付けられている。
ここで、前記サイドウインドウ1は、例えば運転席ドアに設けられた窓等、車両Sの側部に配置された窓である。このサイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側は、車両天井面2と連続しており、車室内側に向かって湾曲している。そして、ルーフライニング2aによって車両天井面2と一体に覆われている。
【0013】
そして、このサイドウインドウ1の上縁部1aには、ルーフレール等の車体骨格部材3に設けられた車体側ブラケット3aが配置されている(
図2参照)。そのため、ルーフライニング2aは、
図2に示すように、この車体骨格部材3及び車体側ブラケット3aを覆っている。さらに、このルーフライニング2a及び車体側ブラケット3aには、
図3に示すように、それぞれを貫通する取付穴4a,4bが、ここでは2つずつ形成されている。
ここで、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aと、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bは、同軸上に配置されて中心軸が一致する。また、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aの内径寸法の方が、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bの内径寸法よりも小さくなっている。さらに、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bの周縁部には、車室側に突出した支持リブ4cが形成されている。
【0014】
前記アシストグリップ10は、グリップ本体11が車両上下方向に回動する可倒式グリップである。このアシストグリップ10は、非使用時(格納時)は上方に付勢されてサイドウインドウ1の上縁部1aに沿っている(
図1参照)。そして、使用時に下方に回動される。
【0015】
前記サイドバイザー20は、車両Sの側方からサイドウインドウ1を介して入射する日光を遮断するいわゆるサンバイザーである。このサイドバイザー20は、アシストグリップ10を取り囲むプレート形状を呈しており、車両上下方向に回動可能に取り付けられている。そして、このサイドバイザー20は、非使用時(格納時)は上方に回動されてサイドウインドウ1の上縁部1aに沿っている(
図1参照)。また、このサイドバイザー20は、使用時に下方に回動されてサイドウインドウ1の上部を覆う。
【0016】
前記クリップ30は、アシストグリップ10、サイドバイザー20、ルーフライニング2a、車体側ブラケット3aを一体に貫通することで、ルーフライニング2a及び車体側ブラケット3aに対し、アシストグリップ10の一部とサイドバイザー20の一部を、共に固定する。
【0017】
[アシストグリップの詳細構成]
図4は、実施例1のアシストグリップの要部を示す分解斜視図である。
図5は、
図4におけるC−C断面図である。以下、
図4及び
図5に基づいてアシストグリップの詳細構成を説明する。
【0018】
前記アシストグリップ10は、
図4に示すように、グリップ本体11と、一対のグリップブラケット12,12と、一対の付勢バネ13,13と、を有している。
【0019】
前記グリップ本体11は、乗員が姿勢保持のために握るグリップ部11aと、グリップ部11aの両端を屈曲してから延びる一対のアーム部11b,11bと、を有し、ほぼU字形状を呈している。このグリップ本体11のグリップ部11aと一対のアーム部11b,11bは、合成樹脂によって一体成型されており、両アーム部11b,11bの先端部11c,11cがシャフト14を介して各グリップブラケット12に接続されている。
ここで、各先端部11cには、グリップブラケット12が挿入される接続凹部15aと、シャフト14が貫通する一対のグリップ側シャフト貫通孔15b,15bと、が形成されている。
【0020】
前記グリップブラケット12は、サイドウインドウ1の上縁部1aを覆うルーフライニング2aに固定されるベース本体12aと、ベース本体12aに形成されてグリップ本体11と接続されるグリップ接続部12bとを有している。
そして、前記ベース本体12aには、ルーフライニング2a及び車体側ブラケット3aに形成された取付穴4a,4bに差し込まれる固定用筒部16と、この固定用筒部16を取り囲むリブ17と、が形成されている。また、グリップ接続部12bには、一対のベース側シャフト貫通孔12c,12cが形成されている。このベース側シャフト貫通孔12c,12cは、グリップ接続部12bがグリップ本体11の接続凹部15aに差し込まれた際、グリップ側シャフト貫通孔15b,15bと同軸に配置される。
【0021】
前記付勢バネ13は、グリップ本体11とグリップブラケット12との間に配置され、グリップ本体11が車両上方に向かって回動した状態を保持するように付勢するバネである。この付勢バネ13は、グリップ接続部12bのベース側シャフト貫通孔12c,12cの間に配置される。そして、グリップ接続部12bが接続凹部15aに差し込まれ、シャフト14がグリップ側シャフト貫通孔15b,15b及びベース側シャフト貫通孔12c,12cを貫通する際、この付勢バネ13も共に貫通することで固定される。
【0022】
そして、
図5に示すように、グリップブラケット12のベース本体12aに形成された固定用筒部16は、ベース本体12aを貫通すると共に、両端が開放した中空の筒部分である。
この固定用筒部16は、車室側端部16aに嵌合リング18aが形成され、車外側端部16bに第1係止爪18b及び第2係止爪18cが形成されている。なお、「車室側端部16a」は、グリップブラケット12をルーフライニング2aに固定した際、車両Sの車室側に突出する部分である。また、「車外側端部16b」は、取付穴4a,4bに差し込まれる部分である。
【0023】
前記嵌合リング18aは、車室側端部16aの開口縁が内側に突出することで形成されている。この嵌合リング18aの内径寸法は、固定用筒部16の一般部の内径寸法よりも小さくなっている。さらに、この嵌合リング18aの周面は円弧状に湾曲している。
【0024】
前記第1係止爪(固定爪)18bは、車外側端部16bの先端外周面に形成されている。この第1係止爪18bは、最大外形寸法が、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bの内径寸法及びサイドバイザー20の後述する取付用穴22dの内径寸法よりも小さく、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aの内径寸法よりも僅かに大きくなるように設定されている。
すなわち、この第1係止爪18bは、固定用筒部16が変形することで、取付用穴22d及び取付穴4bを貫通し、さらに車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aに差し込まれる。しかし、この変形が解除されると、最大外形寸法が取付穴4aよりも大きくなり、
図3に示すように、車体側ブラケット3aに係合する。
【0025】
前記第2係止爪(仮保持用被被係合部)18cは、第1係止爪18bとベース本体12aの間の固定用筒部16の外周面に形成されている。この第2係止爪18cは、最大外形寸法が、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bの内径寸法よりも小さく、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aの内径寸法よりも大きく、さらに後述するバイザーブラケット22の取付用穴22dの内径寸法よりも僅かに大きくなるように設定されている。
すなわち、この第2係止爪18cは、固定用筒部16が変形することでバイザーブラケット22の取付用穴22dに差し込まれる。しかし、この変形が解除されると、最大外形寸法が取付用穴22dよりも大きくなり、
図3に示すように、バイザーブラケット22に係合する。
【0026】
さらに、グリップブラケット12のベース本体12aに形成されたリブ17は、ベース本体12aから車室側に突出した円筒部分である。
【0027】
[サイドバイザーの詳細構成]
図6(a)は、実施例1のサイドバイザーを示す分解斜視図であり、(b)はバイザーブラケットの一部を破断した斜視図である。以下、
図6に基づき、実施例1のサイドバイザーの詳細構成について説明する。
【0028】
前記サイドバイザー20は、
図6(a)に示すように、バイザー本体21と、一対のバイザーブラケット22,22と、一対の回動支持軸23,23と、を有している。
【0029】
前記バイザー本体21は、合成樹脂製の枠部21aと、この枠部21aに形成された開口21bに嵌められた遮光プラスチック板21cと、を有している。このバイザー本体21は、車両前後方向に長く延びた薄い矩形形状を呈している。
ここで、前記開口21bは、車両前後寸法が、枠部21aの車両前後方向の幅寸法とほぼ同じ程度に設定され、車両上下方向寸法が、枠部21aの車両上下方向の幅寸法に対してほぼ半分となる寸法に設定されている。また、この開口21bは、枠部21aの長手方向の一方の端部に沿って形成されている。
【0030】
さらに、前記枠部21aには、ルーフライニング2aに取り付けられたときにアシストグリップ10との干渉を避けるため、切欠部21dが形成されている。この切欠部21dは、枠部21aの長手方向の他方の端部であって、車両前後方向の中央部に形成されている。
この切欠部21dの内側面21eには、一対の回動支持軸23,23がそれぞれ挿入される一対の軸挿入穴21f,21fが形成されている。各軸挿入穴21fの内径寸法は、回動支持軸23の外形寸法よりも僅かに大きくなるように設定されている。また、この軸挿入穴21fの奥行寸法(深さ)は、回動支持軸23の挿入長さよりも長くなるように設定されている(
図3参照)。
【0031】
前記バイザーブラケット22は、L字状の金属片からなり、
図6(b)に示すように、枠部21aに形成された切欠部21dの内側面21eに沿う第1面22aと、ルーフライニング2aに沿う第2面22bと、を有している。
前記第1面22aには、軸挿入穴21fと同軸に配置されると共に、回動支持軸23が挿入される軸固定穴22cが形成されている。この軸固定穴22cの内径寸法は、回動支持軸23の外形寸法とほぼ同じ大きさに設定されている。
前記第2面22bには、ルーフライニング2aに形成された取付穴4b、及び、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aと同軸に配置されると共に、アシストグリップ10のグリップブラケット12に形成された固定用筒部16が挿入される取付用穴22dが形成されている。この取付用穴22dの周縁部には、車外側に湾曲し、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bに入り込むと共に、第2係止爪18cが係合する挿入リブ(仮保持用係合部)22eが形成されている。
【0032】
前記回動支持軸23は、一端に平坦な頭部23aを有するシャフト部材である。この回動支持軸23は、一端に平坦な頭部23aを有している。この回動支持軸23は、バイザーブラケット22の軸固定穴22cを介してバイザー本体21の軸挿入穴21fに挿入される。このとき、軸固定穴22cに嵌合し、軸方向に移動することはない。一方、軸挿入穴21fに対しては周方向に相対回転可能となっている。
つまり、この回動支持軸23がバイザーブラケット22の軸固定穴22cを貫通すると共に、バイザー本体21の軸挿入穴21fに挿入されることで、バイザー本体21は、バイザーブラケット22に回動可能に支持される。
【0033】
[クリップの詳細構成]
図7は、実施例1のクリップを示す破断斜視図である。以下、
図7に基づき、実施例1のクリップの詳細構成を説明する。
【0034】
前記クリップ30は、
図7に示すように、クリップ軸部31と、このクリップ軸部31の一端に形成されたクリップ頭部32と、を有している。ここで、クリップ軸部31とクリップ頭部32は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0035】
前記クリップ軸部31は、アシストグリップ10の固定用筒部16に挿入される軸部分である。このクリップ軸部31の外周面には、先端側から順に第1係止凹部31a、第2係止凹部(仮保持凹部)31b、第3係止凹部(固定凹部)31cが形成されている。各係止凹部31a〜31cは、クリップ軸部31の周方向に延びたリング状のへこみである。また、各係止凹部31a〜31cの内側は、固定用筒部16の車室側端部16aに形成された嵌合リング18aが嵌合可能な湾曲面となっている。
また、このクリップ軸部31の内部には、軸方向に延びる複数の空洞部31d,…が形成されている。
【0036】
前記クリップ頭部32は、クリップ軸部31の一端から径方向に延在された円盤形状を呈しており、クリップ軸部31の周囲を囲むリブ32aを有している。
このクリップ頭部32の外形寸法は、グリップブラケット12のベース本体12aに形成されたリブ17の外形寸法とほぼ同じ大きさに設定されている。
また、リブ32aの外形寸法は、ベース本体12aに形成されたリブ17の内径寸法よりも小さく、固定用筒部16の車室側端部16aの外形寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0037】
[車両用サイドバイザーの取付構造の詳細構成]
実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造では、
図3に示すように、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aと、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bと、バイザーブラケット22に形成された取付用穴22dが、同軸上に配置される。ここで、バイザーブラケット22には、バイザー本体21が回動支持軸23によって回動可能に支持されている。さらに、ルーフライニング2aの取付穴4bの周縁部から突出した支持リブ4cには、バイザーブラケット22の取付用穴22dに形成された挿入リブ22eが嵌合している。
【0038】
そして、同軸上に配置された取付穴4a、取付穴4b、取付用穴22dに対し、アシストグリップ10のグリップブラケット12に形成された固定用筒部16が挿入されている。このとき、グリップブラケット12のベース本体12aは、バイザーブラケット22に当接する。また、固定用筒部16に形成された第1係止爪18bが取付穴4aの車外側縁部に係止し、第2係止爪18cが挿入リブ22eの先端に係止する。
【0039】
さらに、固定用筒部16にクリップ30のクリップ軸部31が差し込まれ、このクリップ軸部31の周面に形成された第3係止凹部31cに固定用筒部16の嵌合リング18aが嵌合する。これにより、クリップ30が抜け止めされる。また、クリップ軸部31が固定用筒部16に差し込まれることで、固定用筒部16の撓みが規制される。これにより、第1係止爪18b及び第2係止爪18cが外れることがなくなり、車体側ブラケット3a及びルーフライニング2aに対し、アシストグリップ10のグリップブラケット12及びサイドバイザー20のバイザーブラケット22が共に固定される。
なお、アシストグリップ10のグリップ本体11は、グリップブラケット12を車体側ブラケット3a及びルーフライニング2aに固定する前に、付勢バネ13及びシャフト14を介して予めグリップブラケット12に取り付けられている。また、このグリップ本体11は、付勢バネ13の付勢力によって、通常状態ではグリップブラケット12を覆った状態で保持される。
【0040】
次に、実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造における、サイドバイザー取付作用を説明する。
【0041】
[サイドバイザー取付作用]
図8A〜
図8Dは、実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造の取付手順を示す説明図である。以下、
図8A〜
図8Dに基づき、サイドバイザー取付作用を説明する。
【0042】
実施例1のサイドバイザー20を車両Sに取り付けるには、まず、
図8Aに示すように、バイザーブラケット22の第1面22aに、回動支持軸23を介してバイザー本体21を回動可能に取り付ける。一方、アシストグリップ10のグリップブラケット12にも、図示はしていないが付勢バネ13及びシャフト14を介してグリップ本体11を回動可能に取り付ける。
そして、グリップブラケット12に形成された固定用筒部16を、車外側端部16bから、バイザーブラケット22の第2面22bに形成された取付用穴22dに挿入する。このとき、固定用筒部16は、ベース本体12aが第2面22bに当接するまで差し込む。これにより、第2係止爪18cが取付用穴22dの挿入リブ22eに係止する(
図8B参照)。
なお、固定用筒部16に形成された第1係止爪18bの先端がR状に丸くなっているので、この固定用筒部16を取付用穴22dにスムーズに挿入することができる。
【0043】
このように、グリップブラケット12をバイザーブラケット22に取り付けたら、
図8Bに示すように、グリップブラケット12の固定用筒部16に、クリップ30のクリップ軸部31を挿入する。このとき、クリップ軸部31の内部に空洞部31dが形成されているので、クリップ軸部31が軸方向に変形し、スムーズに挿入することができる。
また、クリップ軸部31に形成された第1〜第3係止凹部31a〜31cのいずれかに、固定用筒部16の嵌合リング18aが嵌合すると、クリップ30が抜け止めされる。ここでは、クリップ軸部31の中間部に形成された第2係止凹部31bに嵌合リング18aが嵌合するまで、このクリップ軸部31を挿入する(
図8C参照)。
これにより、固定用筒部16の車外側端部16bの中間位置までクリップ軸部31が挿入した状態で保持される。そして、このクリップ軸部31が挿入された部分では、固定用筒部16の撓みが規制されるので、第2係止爪18cの挿入リブ22eに対する係止状態が固定され、アシストグリップ10とサイドバイザー20が仮保持される。
【0044】
そして、クリップ30によってアシストグリップ10とサイドバイザー20の仮保持状態が保持されたら、
図8Cに示すように、同軸上に配置された取付穴4a及び取付穴4bに、アシストグリップ10のグリップブラケット12に形成された固定用筒部16の車外側端部16bを挿入する。このとき、クリップ軸部31は、車外側端部16bの中間位置までしか挿入されていないため、車外側端部16bの先端部は縮径し、スムーズに挿入することができる。
そして、バイザーブラケット22の第2面22bが、ルーフライニング2aの取付穴4bの周縁部から突出した支持リブ4cに当接するまで車外側端部16bを差し込む。これにより、第1係止爪18bが取付穴4aに係止する。さらに、支持リブ4cの内側には、バイザーブラケット22の取付用穴22dに形成された挿入リブ22eが嵌合する(
図8D参照)。
【0045】
取付穴4a及び取付穴4bに固定用筒部16の車外側端部16bを挿入したら、続いて、
図8Dに示すように、クリップ30を固定用筒部16内に押し込む。これにより、クリップ軸部31は、根本部分まで固定用筒部16に差し込まれ、第3係止凹部31cに嵌合リング18aが嵌合する。これにより、クリップ30が抜け止めされる(
図3参照)。
また、クリップ軸部31は、固定用筒部16の先端まで入り込み、この固定用筒部16の先端部の撓みを規制する。これにより、第1係止爪18bの車体側ブラケット3aに対する係止状態が固定され、アシストグリップ10とサイドバイザー20が一体に固定される。
なお、クリップ30を固定用筒部16に差し込むときには、グリップブラケット12に回動可能に取り付けられたグリップ本体11は、グリップブラケット12と重複しないように、回動状態で保持される。
【0046】
このように、実施例1のサイドバイザー取付構造では、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aと、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bに対し、アシストグリップ10とサイドバイザー20を、同時に共締め固定することができる。すなわち、二つの部品(アシストグリップ10・サイドバイザー20)をサイドウインドウ1の上縁部1aに共に取り付けることができる。
【0047】
また、アシストグリップ10及びサイドバイザー20の固定は、クリップ30を根元まで差し込むことで行われるが、その前に、アシストグリップ10とサイドバイザー20とを、互いに仮固定している。すなわち、アシストグリップ10の固定用筒部16をサイドバイザー20のバイザーブラケット22に形成された取付用穴22dに挿入することで、固定用筒部16の第2係止爪18cがバイザーブラケット22に対して係止され、アシストグリップ10とサイドバイザー20が仮保持される。
【0048】
このため、サイドウインドウ1の上縁部1aにアシストグリップ10及びサイドバイザー20を取り付ける際、二つの部品(アシストグリップ10・サイドバイザー20)がばらばらになることが防止される。これにより、部品取り付け作業中に、作業員が二つの部品(アシストグリップ10・サイドバイザー20)をそれぞれ保持しながら固定することがなくなり、取り付け作業の容易化を図ることができる。
【0049】
しかも、この実施例1では、固定用筒部16の第2係止爪18cがバイザーブラケット22に対して係止したら、この固定用筒部16の途中位置までクリップ30を差し込み、固定用筒部16の嵌合リング18aをクリップ30の第2係止凹部31bに係合させる。つまり、この実施例1では、アシストグリップ10及びサイドバイザー20をサイドウインドウ1の上縁部1aに取り付ける前に、このアシストグリップ10とサイドバイザー20を一体に仮保持する仮保持手段が、固定用筒部16と、クリップ30と、クリップ30の外周面に形成された第2係止凹部31bと、を有している。
これにより、固定用筒部16のバイザーブラケット22に対する係止状態が固定され、仮保持状態を安定的に維持することができる。
【0050】
また、この実施例1では、アシストグリップ10及びサイドバイザー20をサイドウインドウ1の上縁部1aに対して共に固定する固定手段が、固定用筒部16の外周面に形成され、サイドバイザー20を貫通すると共に車体側ブラケット3aの取付穴4aに係合する第1係止爪18bと、クリップ30の外周面に設けられ、固定用筒部16の嵌合リング18aが嵌合することで第1係止爪18bの車体側ブラケット3aに対する係合状態を保持する第3係止凹部31cと、を有している。
これにより、アシストグリップ10のサイドバイザー20の仮保持と、これら2部品(アシストグリップ10・サイドバイザー20)のサイドウインドウ1の上縁部1aへの固定と、を共通の部品によって行うことができる。この結果、部品増加を抑制することができる。
【0051】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0052】
(1) サイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側に設けられ、車両側方から入射する日光を遮断するサイドバイザー20と、
前記サイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側に設けられるアシストグリップ10と、
前記サイドバイザー20に設けられた仮保持用係合部(挿入リブ)22eと、
前記アシストグリップ10に設けられ、前記仮保持用係合部(挿入リブ)22eに係合する仮保持用被係合部(第2係止爪)18cを有し、前記サイドバイザー20と前記アシストグリップ10を一体に仮保持する仮保持手段と、
前記サイドバイザー20及び前記アシストグリップ10を前記サイドウインドウ1の上縁部1aに対して共に固定する固定手段と、
を備える構成とした。
これにより、サイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側に、アシストグリップ10及びサイドバイザー20を共に容易に取り付けることができる。
【0053】
(2) 前記仮保持手段は、前記サイドバイザー20を貫通すると共に外周面に前記仮保持用被係合部(第2係止爪)18cが形成された中空の固定用筒部16と、
前記固定用筒部16に挿入される固定部材(クリップ)30と、
前記固定部材(クリップ)の外周面に形成され、前記固定用筒部16の嵌合リブ18aが嵌合することで前記仮保持用被係合部(第2係止爪)18cの前記仮保持用係合部(挿入リブ)22eに対する係合状態を保持する仮保持凹部(第2係止凹部)31bと、
を有する構成とした。
これにより、アシストグリップ10とサイドバイザー20との仮保持状態を安定的に維持することができ、取り付け作業中に2つの部品がばらばらになることを防止して、作業性の向上を図ることができる。
【0054】
(3) 前記固定手段は、前記固定用筒部16の外周面に形成され、前記サイドバイザー20を貫通すると共に前記サイドウインドウ1の上縁部1aに係合する固定爪(第1係止爪)18bと、
前記固定部材(クリップ)の外周面に形成され、前記固定用筒部16の嵌合リブ18aが嵌合することで前記固定爪(第1係止爪)18bの前記サイドウインドウ1の上縁部1aに対する係合状態を保持する保持凹部(第3係止凹部)31cと、
を有する構成とした。
これによりアシストグリップ10とサイドバイザー20の仮保持と、これらの取り付けとを共通の部品によって行うことができ、部品点数の増加を抑制することができる。
【0055】
(実施例2)
実施例2は、サイドウインドウ上縁部に対してアシストグリップのグリップ本体が回動しない、いわゆる固定式グリップとした例である。
【0056】
まず、構成を説明する。
図9は、実施例2の車両用サイドバイザー取付構造を示す要部を破断した平面図である。
図10は、
図9におけるD部の拡大図である。
図11は、実施例2のバイザーブラケットを示す斜視図である。以下、
図9〜
図11に基づき、実施例2のサイドバイザー取付構造の構成を説明する。
【0057】
実施例2の車両用サイドバイザー取付構造では、
図9に示すように、サイドウインドウ1の上縁部1aの車室内側に、固定ねじ(固定手段)60を介して、アシストグリップ40及びサイドバイザー50が取り付けられている。
ここで、サイドウインドウ1の上縁部1aは、実施例1とほぼ同等の構成であるので、詳細な説明は省略する。ただし、この実施例2では、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aの内周面にねじ溝が形成されている。
【0058】
前記アシストグリップ40は、グリップ本体41がサイドウインドウ1の上縁部1aに対して回動しない固定式アシストグリップである。このアシストグリップ40は、グリップ本体41と、グリップブラケット部42と、蓋部材43と、を有している。
【0059】
前記グリップ本体41は、乗員が姿勢保持のために握るほぼU字形状を呈したグリップ部41aと、蓋部材43を係止する蓋係止部41bと、を有している。
【0060】
前記グリップブラケット部42は、前記グリップ本体41の両端部に一体形成され、ねじ穴42bが貫通形成されたベース本体42aと、ベース本体42aから突出した位置決め突起42cと、を有している。
前記ベース本体42aは、後述するバイザーブラケット52の第2面52bに重複する重複部42dと、バイザーブラケット52の開口部52dに嵌合する嵌合部42eと、を有している。また、ねじ穴42b及び位置決め突起42cは、それぞれ嵌合部42eに形成されている。そして、位置決め突起42cは、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bに挿入される。
【0061】
前記蓋部材(仮保持手段)43は、グリップブラケット部42の端部に設けられ、ねじ穴42bを開閉可能に覆う。この蓋部材43は、先端部に被係止部(仮保持用被係合部)43bが形成され、ヒンジ部43aを中心に、矢印X方向(
図10参照)に回動可能となっている。そして、この蓋部材43は、開放したときには、被係止部43bが後述するサイドバイザー50のバイザー側蓋係止部52cに係止し、閉鎖したときには、被係止部43bがグリップ本体41の蓋係止部41bに係止する。
【0062】
前記サイドバイザー50は、車両側方からの日光を遮断するバイザー本体51と、バイザー本体51を回動可能に保持するバイザーブラケット52と、を有している。
【0063】
前記バイザー本体51は、合成樹脂製の枠部51aと、この枠部51aに形成された開口51bに嵌められた遮光プラスチック板51cと、を有している。そして、前記枠部51aには、ルーフライニング2aに取り付けられたときにアシストグリップ40との干渉を避けるため、切欠部51dが形成されている。さらに、この切欠部51dの内側面には、後述する回動支持軸53,53が挿入される一対の軸挿入穴51f,51fが形成されている。
【0064】
前記バイザーブラケット52は、合成樹脂による一体成型品であり、
図11に示すように、バイザー本体51の枠部51aに形成された切欠部51dの内側面に沿う第1面52aと、ルーフライニング2aに沿う第2面52bと、を有している。
前記第1面52aには、軸挿入穴51fに挿入される回動支持軸53と、蓋部材43aが開放したときに被係止部43bが係止するバイザー側蓋係止部(仮保持用係止部・蓋保持部)52cと、が一体成型されている。ここで、回動支持軸53の外形寸法は、軸挿入穴51fの内径寸法よりもわずかに小さい寸法に設定され、軸挿入穴51fに対して周方向に相対回転可能となっている。
前記第2面52bには、アシストグリップ40の嵌合部42eが嵌合する開口部52dと、この開口部52dの周囲に形成され、アシストグリップ40の重複部42dが重複する挟持部52eと、が形成されている。
【0065】
そして、このバイザーブラケット52では、前記回動支持軸53の軸中心を通る面(
図11において1点鎖線で示す線が通る面)が図示しない成形型の型割面とする。
【0066】
前記固定ねじ60は、アシストグリップ40のグリップブラケット部42に形成されたねじ穴42bに螺合すると共に、このねじ穴42b及びルーフライニング2aに形成された取付穴4bを貫通し、車体側ブラケット3aに形成された取付穴4aに螺合する。
【0067】
次に、作用を説明する。
この実施例2の車両用サイドバイザー取付構造において、アシストグリップ40とサイドバイザー50をサイドウインドウ1の上縁部1aに取り付けるには、まず、バイザー本体51にバイザーブラケット52を取り付ける。これは、バイザー本体51に形成された軸挿入穴51fに回動支持軸53を挿入することで行う。
【0068】
次に、バイザーブラケット52に形成された開口部52dに、アシストグリップ40のグリップブラケット部42に形成された嵌合部42eを嵌合する。これにより、開口部52dの周囲に形成された挟持部52eにグリップブラケット部42の重複部42dが重なり合う。
さらにこのとき、グリップブラケット部42に一体成型された蓋部材43は開放しておく。そして、開口部52dに嵌合部42eが嵌合したら、予め開放している蓋部材43の先端部に形成された被係止部43bを、バイザーブラケット52のバイザー側蓋係止部52cに係止する。
これにより、アシストグリップ40とサイドバイザー50が一体に仮保持される。
【0069】
そして、アシストグリップ40に形成された位置決め突起42cを、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bに挿入したら、ねじ穴42bに固定ねじ60を螺合する。このとき、バイザーブラケット52の挟持部52eは、ルーフライニング2aに形成された取付穴4bの周縁部から突出した支持リブ4cに当接する。
【0070】
そして、固定ねじ60を螺合することで、グリップブラケット部42が車体側ブラケット3aに固定されると、このグリップブラケット部42と車体側ブラケット3aの間に挟持されたルーフライニング2a及びバイザーブラケット52の挟持部52eも固定される。
最後に、固定ねじ60が完全に螺合したら、蓋部材43を閉鎖し、アシストグリップ40のグリップ本体41に形成された蓋係止部41bに係止する。
【0071】
このように、実施例2の車両用サイドバイザー取付構造では、アシストグリップ40のグリップブラケット部42とルーフライニング2aの間に、バイザーブラケット52の挟持部52eを挟持すると共に、このバイザーブラケット52を貫通した固定ねじ60によってグリップブラケット部42をサイドウインドウ1の上縁部1aに固定する。
これにより、アシストグリップ40とサイドバイザー50を、ルーフライニング2a及び車体側ブラケット3aに対し、同時に共締め固定することができる。
【0072】
また、アシストグリップ40とサイドバイザー50とは、バイザー側蓋係止部52cに蓋部材43の被係止部43bが係止することで、サイドウインドウ1の上縁部1aに取り付ける前に、このアシストグリップ40とサイドバイザー50を一体的に仮保持することができる。
これにより、二つの部品(アシストグリップ40・サイドバイザー50)がばらばらにならず、取り付け作業の容易化を図ることができる。
【0073】
また、実施例2では、アシストグリップ40のグリップブラケット部42が、固定ねじ60を覆う蓋部材43を有している。一方、サイドバイザー50のバイザーブラケット52が、蓋部材43を開放した状態で保持するバイザー側蓋係止部52cを有している。そのため、アシストグリップ40やサイドバイザー50を固定する固定ねじ60が蓋部材43で覆われて露出せず、見栄えの向上を図ることができる。
また、固定ねじ60を取り付けるときには、蓋部材43がバイザーブラケット52に保持されるため、この蓋部材43が邪魔にならず、取り付け作業性の向上を図ることができる。
なお、この実施例2では、蓋部材43と蓋保持部であるバイザー側蓋係止部52cが、仮保持手段となっているため、固定ねじ60を目隠しする蓋部材43に仮保持機能を持たせることができる。これにより、仮保持のための追加部品や追加構造を不要とすることができる。
しかも、この実施例2では、固定ねじ60を覆う蓋部材43を利用して、アシストグリップ40とサイドバイザー50との仮保持を行っている。そのため、部品点数の増大を抑制することができる。
【0074】
そして、この実施例2では、サイドバイザー50のバイザー本体51を回動可能に支持するバイザーブラケット52が合成樹脂製とし、さらに回動支持軸53の軸中心を通る面がこのバイザーブラケット52の成形型の型割面としている。
これにより、この型割面を挟んで上下方向に型開きする金型と、開口部52dを形成するための一方向スライド金型とによってバイザーブラケット52を形成することができる。このため、バイザーブラケット52の生産効率を向上することができる。
【0075】
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用サイドバイザーの取付構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0076】
(4) 前記アシストグリップ40は、前記固定手段(固定ねじ)60を覆う蓋部材43を有し、
前記サイドバイザー50は、前記蓋部材43を開放した状態で保持する蓋保持部(バイザー側蓋係止部)52cを有する構成とした。
これにより、見栄えの向上を図ると共に、アシストグリップ40及びサイドバイザー50の取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0077】
(5) 前記サイドバイザー50は、日光を遮断するバイザー本体51と、前記バイザー本体51を回動可能に支持する回動支持軸53を有すると共に前記サイドウインドウ1の上縁部1aに固定するバイザーブラケットと52、を備え、
前記バイザーブラケット52を合成樹脂製とし、前記回動支持軸53の軸中心を通る面が前記バイザーブラケット52の成形型の型割面とする構成とした。
これにより、バイザーブラケット52の成型型を簡易な構成にすることができて、バイザーブラケット52の生産効率を向上することができる。
【0078】
以上、本発明の車両用サイドバイザーの取付構造を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0079】
実施例1の車両用サイドバイザーの取付構造では、クリップ30を取り付ける際、アシストグリップ10のグリップ本体11が邪魔にならないように、作業者がこのグリップ本体11を回動させた状態で保持する例を示した。しかしながら、これに限らず、例えば実施例2のように、グリップ本体11の回動状態を保持する蓋保持部をバイザーブラケット22に形成してもよい。