【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 東日本電信電話株式会社が、展示日 平成25年10月18日〜19日 1.つくばフォーラム2013、2.NTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)構内(茨城県つくば市花畑1−7−1)にて、山岸亮介、秋間哲、疋田慧、納戸一貴、椎名吉夫が発明した配線カバーの固定が不要な配線カバー接続具を公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも2つの配線カバー同士を接続するための接続ベースと前記接続される配線カバーに被せて当該配線カバーの隙間を覆うための接続部蓋とを含む配線カバー接続具であって、
前記配線カバーは、2つの側板と1つの底板とにて樋状に形成されたレール部を含み、
前記接続ベースには、前記配線カバーを取り付ける方向に張り出した取付部が形成され、
前記取付部は、前記底板に沿って配置される底部片と、前記各側板に沿って配置される側部片とを含み、
前記底部片を当該底部片の周縁部分と当該周縁部分以外の中央部分とに分けた場合、前記中央部分は、前記周縁部分のうちの前記接続ベースに接続される部分である基部に接続され、当該基部以外とは分離されることで小底部片を構成し、
前記小底部片は弾性を有し、且つ、前記小底部片の先端部は、前記底板に形成される孔に嵌め込まれる凸部を有することを特徴とする配線カバー接続具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、屋外においては、配線する距離が長くなる場合が多く、配線カバーを繋げて使用しなければならない状況になることが多いが、配線カバーを壁などに貼り付けられない場合がある。例えば、外壁に凹凸があり、接着が不可能な場合である。あるいは、配線カバーを壁などに貼り付けられたとしても、配線カバー同士を繋げた部分や分岐させる部分において隙間が生じてしまい、屋外での使用に耐えうる接続部分の強度や配線カバー内の配線の保護に不安がある場合がある。
【0005】
そのため、配線カバーを固定せず、配線カバー同士を直接接続することができるような配線カバーの接続具も提案されているが、接続部の固定に螺子止めが必要で工事が煩雑であったり、螺子止めが不要であっても配線カバーとの接続部を固定する構造が弱いために外れやすいといった課題があり、屋外での強度と工事の簡便性を両立させる配線カバー接続具に対する要望がある。
【0006】
また、このような接続具により配線カバー同士を直接接続できれば、屋外に限らず室内や屋根裏、床下配線等の屋内における配線の自由度も向上する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、配線カバーの固定が不要な配線カバー接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の配線カバー接続具は、少なくとも2つの配線カバー同士を接続するための接続ベースと前記接続される配線カバーに被せて当該配線カバーの隙間を覆うための接続部蓋とを含む配線カバー接続具であって、前記配線カバーは、2つの側板と1つの底板とにて樋状に形成されたレール部を含み、前記接続ベースには、前記配線カバーを取り付ける方向に張り出した取付部が形成され、前記取付部は、前記底板に沿って配置される底部片と、前記各側板に沿って配置される側部片とを含
み、前記底部片を当該底部片の周縁部分と当該周縁部分以外の中央部分とに分けた場合、前記中央部分は、前記周縁部分のうちの前記接続ベースに接続される部分である基部に接続され、当該基部以外とは分離されることで小底部片を構成し、前記小底部片は弾性を有し、且つ、前記小底部片の先端部は、前記底板に形成される孔に嵌め込まれる凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の配線カバー接続具によれば、接続ベースには、配線カバーを取り付ける方向に張り出した取付部が形成され、取付部は、配線カバーの底板に沿って配置される底部片と、配線カバーの各側板に沿って配置される側部片とを含むので、配線カバー同士を壁などに固定せずとも、簡易に強度をもった配線カバーの接続が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る配線カバー接続具を示す図である。
図2は、
図1の一部を詳細に説明するための図である。
【0013】
図1は、一例として、壁1000伝いに配置した配線カバー200A、200B(総称して、単に配線カバーともいう)を直線的に接続する様子を示している。
【0014】
図2に示すように、各配線カバー200A、200Bは、レール部201と、レール部201に被せる蓋部202とを含む。レール部201は、2つの側板2011と1つの底板2012とにて樋状に形成される。底板2012には、外れ防止用の孔201Aが形成される。孔201Aは、配線カバーの製造時または施行現場で空けられる。
【0015】
接続ベース1は、配線カバー200Aと配線カバー200Bを接続するものである。接続部蓋2は、接続ベース1に被せて、配線カバー200A、200Bの隙間を覆うためのものである。接続ベース1、接続部蓋2の材質は、例えば、プラスチックである。
【0016】
接続ベース1には、配線カバー200Aを取り付ける方向に張り出した取付部11Aと、配線カバー200Bを取り付ける方向に張り出した取付部11Bとが形成されている。
【0017】
なお、ここでは、2つの取付部を反対方向に向けて設けたが、例えば、取付部同士が90°をなすようにしてもよい。つまり、デズミ状やイリズミ状としてもよい。また、取付部の数は3以上であってもよい。例えば、取付部を3つ設けT字状としてもよい。また、取付部を4つ設け十字状としてもよい。また、取付部を多数設け放射状としてもよい。
【0018】
また、接続ベース1には、接続ベース1を壁1000に固定するための螺子通し孔13を設けてもよい。
【0019】
各取付部11A、11Bは、底板2012に沿って配置される底部片111と、各側板2011に沿って配置される側部片112とを含む。
【0020】
底部片111をその周縁部分111Aと当該周縁部分111A以外の中央部分111Bとに分けた場合、中央部分111Bは、周縁部分111Aのうちの接続ベース1に接続される部分である基部111AAに接続され、当該基部111AA以外とは分離されることで小底部片を構成している。すなわち、底部片111は、書類などをとめるクリップ状になっている。
【0021】
この小底部片、すなわち中央部分111Bは弾性を有し、且つ、小底部片(111B)の先端部は孔201Aに嵌め込まれる凸部111BAを有する。
【0022】
なお、ここでは、配線カバー200Aと取付部11Aを外れにくくするために、小底部片(111B)の先端部に、孔201Aに嵌め込むための凸部111BAを設けたが、配線カバーが短くて、元々外れにくい場合などにおいては、凸部111BAを設けなくてもよい。
【0023】
(配線カバーの接続方法)
配線カバー200Aは取付部11Aに取り付けられ、配線カバー200Bは取付部11Bに取り付けられる。
【0024】
具体的には、取付部11Aの2つの側部片112が、配線カバー200Aの側板2011の内側にスライドして配置され、底部片111が、底板2012の外側にスライドして配置される。すなわち、各側部片112と底部片111とでレール部201を挟持する。これにより、レール部201が取付部11Aから外れるの防止することができる。
【0025】
取付部11Aに配線カバー200Aを取り付ける際、中央部分111Bが弾性で外側に撓み、凸部111BAが孔201Aに外側から嵌め込まれる。これにより、外れ防止の効果が増す。また、中央部分111Bに弾性をもたせることで、レール部201を取付部に対して容易に嵌め込むことができるという効果も得られる。
【0026】
レール部201には蓋部202がスライドして嵌め込まれる。同様に配線カバー200Bも取付部11Bに取り付けられる。
【0027】
なお、ここでは、側部片112が、レール部201の内側に配置され、底部片111が、レール部201の外側に配置されるようにしたが、側部片112が、レール部201の外側に配置され、底部片111が、レール部201の内側に配置されるようにしてもよい。
【0028】
また、底部片111は以下のように構成してもよい。つまり、底部片111をクリップ状とはせず、底部片111に弾性をもたせ、底部片111の先端部に凸部111BAを設けてもよい。かかる構成によっても、クリップ状とした底部片111と同様の作用により、レール部201が取付部11Aから外れるの防止できる。
【0029】
接続部蓋2は、配線カバー200Aのレール部201の端部と配線カバー200Bのレール部201の端部に跨って被され、これにより、配線カバー200A、200Bの隙間を覆う。このとき、蓋部202の端面2021と接続部蓋2の端面21が当接する。また、接続部蓋2のフック22が、接続ベース1のフック12に引っ掛かり、外れを防止する。
【0030】
このように、接続ベース1と接続部蓋2により、配線カバー200A、200Bを互いに接続することができる。
【0031】
配線時には、例えば、接続部蓋2が一旦外され、配線300が配線カバー200A、200Bの内部へ導かれ、再び接続部蓋2が取り付けられる。接続部蓋2により、配線300の露出、配線カバー内への異物の侵入を防止できる。なお、接続部蓋2を取り付けたまま、配線300を一方の配線カバーから接続ベース1を介して他方の配線カバーに通してもよい。
【0032】
(変形例)
図3は、接続部蓋2とは別な形状の接続部蓋3の構成を示す図である。ここでは、接続部蓋2との差異を説明する。
【0033】
接続部蓋3には、配線カバー200A、200Bの隙間から引き出した配線300を外部に導出するための配線導出管31Aが形成されている。これにより、配線300を例えば、配線導出管31Aに接続したパイプPの中に通し、その方向を変えることができる。
【0034】
例えば、当初は接続部蓋2を使用し、必要時、接続部蓋3に取り替えるという使用方法を採用できる。また、その逆も可能である。
【0035】
図4に示すように、配線導出管31Aは、配線300を引き出す先端部311から2分割可能である。フック32をフック孔33に引っ掛けることで、分割された配線導出管31Aが一体化し(
図5)、外せば配線導出管31Aは分割される。
【0036】
配線導出管31Aは、分割可能なので、パイプPを接続するための特別な仕組みは必要なく、単にパイプPを挟み込んで取り付けることができる。
【0037】
また、仮に先端部311から分割できないこととすると、配線導出管31Aは、配線300をパイプPに通した後からでは取り付けることができない。つまり、配線300を一旦パイプPから引き抜き、先端部311の開口を通してから、再びパイプPに通さなければならない。
【0038】
しかし、先端部311から分割可能な配線導出管31Aは、配線300を挟み込むようにすればよいので、一旦パイプPから配線300を引き抜かなくても、つまり、配線300をパイプPに通した後からでも取り付けることができる。
【0039】
あるいは、配線導出管31Aを用いて配線を敷設した場合において、新たな配線が別の方向に必要になり、後述のような配線導出管31Bに交換する必要が生じた場合についても、分割可能な構造とすることで簡単に交換することができる
また、先端部311の内周面には、パイプPの外周面に形成された溝P1に嵌り込む襞3111が形成されている。これにより、パイプPが先端部311から抜けるのを防止することができる。
【0040】
次に、
図6、
図7、
図8を用い、配線導出管31Aとは別な形状の配線導出管31Bについて説明する。ここでは、配線導出管31Aとの差異を説明する。
【0041】
配線導出管31Bは、接続部蓋3に対し立体的に交差するように形成される。例えば、配線導出管31Bを、接続部蓋3に対し平面的に交差するように形成すると、
図7に示す配線300Aは配線300Bに強く擦れ、パイプPに通しにくい。しかし、立体的に交差させることで、配線300Aは配線300Bに強く擦れず、パイプPに通しやすくなる。
【0042】
また、
図8に示すように、配線導出管31Bは、配線300を引き出す先端部311から2分割可能である。各フック32Bを、対応する凹部33Bに引っ掛けることで、分割された配線導出管31Bが一体化し、外せば配線導出管31Bは分割される。
【0043】
配線導出管31Bの先端部311は、当初は蓋311Fで閉塞されている。例えば、パイプPを接続すべき先端部311の蓋311Fを、溝311Gに刃物を入れて切り落とすことで、先端部311が開放する。これにより、パイプPを接続できる。
【0044】
逆に、パイプPを接続しない先端部311を閉塞のままにでき、つまり、配線の露出、異物の侵入を防止できる。
【0045】
なお、配線導出管31Bは、2つのパイプPを接続できる構造だが、一方のみを接続できるようにしてもよい。例えば、一方の先端部311に蓋を設けず且つ閉塞してもよい。
【0046】
このような利用形態により、例えば後日、パイプPを接続された一方とは逆方向の先端部311の方向に配線する必要性が生じた場合、閉塞している先端部311を開放することにより、容易に逆方向への配線が可能になる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の配線カバー接続具によれば、壁などの造営面に対する施工をして配線カバーを造営面に固定することなく、配線カバー同士を接続できる。つまり、造営面に凹凸があっても、配線カバー同士を接続できる。
【0048】
また、配線カバー接続具は配線カバーと一体になるので、
図2に示すように、螺子通し孔13などにより接続カバーを造営面(壁)に固定することで、配線カバーを造営面に取り付けることもできる。
【0049】
しかし、基本的には造営面への施工が不要なので、配線カバーの取り付け作業が省力化でき、造営面から離れた位置に配線カバーを取り付けることもできる。また、造営面への施工によって美観が損なわれることも防止できる。
【0050】
また、基本的には造営面への施工が不要なので、
図2に示す螺子通し孔13などのような加工を最小限にすることができる。
【0051】
また、配線カバー接続具は接続ベースと接続部蓋で構成されるので、接続部蓋を開け閉めでき、よって、配線が容易であり、増設、撤去、メンテナンスも容易に行える。
【0052】
なお、本実施の形態の配線カバー接続具は、屋外での使用において効果が大きいが、屋内で使用することで屋内配線の利便性を向上させることができる。