【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、複数の色成分を有する動画像について、変換空間で色成分間の相関を用いて復号する動画像復号装置(例えば、
図1の動画像復号装置1に相当)であって、符号化された信号(例えば、
図1のビットストリームSIG1に相当)から、予測係数(例えば、
図1の予測係数SIG4に相当)を復号する予測係数復号手段(例えば、
図1の予測係数復号部13に相当)と、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた基準となる色成分(例えば、後述の輝度成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の輝度成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG3に相当)を復号する基準変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の輝度変換係数レベル復号部12に相当)と、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた予測対象となる色成分(例えば、後述の色差成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の色差成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG5に相当)を復号する対象変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の色差変換係数レベル復号部14に相当)と、前記符号化された信号から、前記基準となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の輝度量子化係数SIG2に相当)を導出する基準量子化係数導出手段(例えば、
図1の輝度量子化係数復号部11に相当)と、前記符号化された信号から、前記予測対象となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の色差量子化係数SIG6に相当)を導出する予測対象量子化係数導出手段(例えば、
図1の色差量子化係数復号部15に相当)と、前記予測係数復号手段により復号された予測係数と、前記基準量子化係数導出手段により導出された量子化係数と、前記予測対象量子化係数導出手段により導出された量子化係数と、に基づいて、実予測係数(例えば、
図1の実予測係数SIG7に相当)を導出する実予測係数導出手段(例えば、
図1の実係数導出部16に相当)と、前記基準変換係数レベル復号手段により復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記対象変換係数レベル復号手段により復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記実予測係数導出手段により導出された実予測係数と、に基づいて、前記予測対象となる色成分の変換係数実レベル(例えば、
図1の色差変換係数実レベルSIG8に相当)を導出する対象変換係数実レベル導出手段(例えば、
図1の色差変換係数実レベル導出部17に相当)と、前記基準変換係数レベル復号手段により復号された予測残差信号の変換係数レベルを逆量子化および逆変換して、前記基準となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の輝度成分の残差信号SIG9に相当)を導出する基準逆変換手段(例えば、
図1の輝度逆量子化・逆変換部18に相当)と、前記対象変換係数実レベル導出手段により導出された変換係数実レベルを逆量子化および逆変換して、前記予測対象となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の色差成分の残差信号SIG10に相当)を導出する予測対象逆変換手段(例えば、
図1の色差逆量子化・逆変換部19に相当)と、を備えることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、実予測係数導出手段により、予測係数と、基準となる色成分の量子化係数と、予測対象となる色成分の量子化係数と、に基づいて、実予測係数を導出することとした。また、対象変換係数実レベル導出手段により、基準となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、予測対象となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、実予測係数導出手段により導出された実予測係数と、に基づいて、予測対象となる色成分の変換係数実レベルを導出することとした。このため、基準となる色成分の予測残差信号の復号結果を用いることなく、予測対象となる色成分の予測残差信号の復号を行うことができる。したがって、予測対象となる色成分の予測残差信号の復号が完了するまで、基準となる色成分の予測残差信号の復号結果を記憶しておく必要がないため、必要とする記憶容量を削減することができる。また、逆変換後の信号に対して色成分間の相関を復元するわけではないので、変換ブロック内の全ての信号に対して上述の数式(2)の計算を行うわけではなく、処理負荷を軽減することができる。
【0018】
(2) 本発明は、(1)の動画像復号装置について、前記実予測係数導出手段は、前記予測係数復号手段により復号された予測係数と、前記基準量子化係数導出手段により導出された量子化係数と、を乗算して第1の乗算結果を求め、前記第1の乗算結果を、前記予測対象量子化係数導出手段により導出された量子化係数で除算して、前記実予測係数を導出することを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、(1)の動画像復号装置において、予測係数と、基準となる色成分の量子化係数と、を乗算し、この乗算結果を予測対象となる色成分の量子化係数で除算して、実予測係数を導出することができる。
【0020】
(3) 本発明は、(2)の動画像復号装置について、前記実予測係数導出手段は、前記基準量子化係数導出手段により導出された量子化係数と、前記予測対象量子化係数導出手段により導出された量子化係数と、の組み合せごとの、前記基準量子化係数導出手段により導出された量子化係数を前記予測対象量子化係数導出手段により導出された量子化係数で除算した結果が定められているテーブルを備えることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、(2)の動画像復号装置において、基準となる色成分の量子化係数を、予測対象となる色成分の量子化係数で除算した結果を、テーブルとして用意しておくこととした。このため、(2)の動画像復号装置において必要であった除算を行うことなく、実予測係数を導出することができる。したがって、除算による桁落ちを考慮する必要がなくなるため、処理負荷をさらに軽減することができる。
【0022】
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれかの動画像復号装置について、対象変換係数実レベル導出手段は、前記基準変換係数レベル復号手段により復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記実予測係数導出手段により導出された実予測係数と、を乗算して第2の乗算結果を求め、前記第2の乗算結果に、前記対象変換係数レベル復号手段により復号された予測残差信号の変換係数レベルを加算して、前記予測対象となる色成分の変換係数実レベルを導出することを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれかの動画像復号装置において、基準となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、実予測係数導出手段により導出された実予測係数と、を乗算し、この乗算結果に、予測対象となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルを加算して、予測対象となる色成分の変換係数実レベルを導出することができる。
【0024】
(5) 本発明は、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置について、前記符号化された信号は、前記基準となる色成分と、前記予測対象となる色成分と、の画素数比が1:1の色形式の画像(例えば、後述のRGB4:4:4色形式の画像に相当)を符号化して得られたものであることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置において、基準となる色成分と、予測対象となる色成分と、の画素数比が1:1の色形式の画像を符号化して得られた信号の復号において、上述の効果を奏することができる。
【0026】
(6) 本発明は、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置について、前記符号化された信号は、前記基準となる色成分と、前記予測対象となる色成分と、の画素数比が、水平方向に1:1で、垂直方向に2:1である色形式の画像(例えば、後述のYUV4:2:2色形式の画像に相当)を符号化して得られたものであることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置において、基準となる色成分と、予測対象となる色成分と、の画素数比が、水平方向に1:1で、垂直方向に2:1である色形式の画像を符号化して得られた信号の復号において、上述の効果を奏することができる。
【0028】
(7) 本発明は、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置について、前記符号化された信号は、前記基準となる色成分と、前記予測対象となる色成分と、の画素数比が、水平方向に2:1で、垂直方向に2:1である色形式の画像(例えば、後述のYUV4:2:0色形式の画像に相当)を符号化して得られたものであることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0029】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれかの動画像復号装置において、基準となる色成分と、予測対象となる色成分と、の画素数比が、水平方向に2:1で、垂直方向に2:1である色形式の画像を符号化して得られた信号の復号において、上述の効果を奏することができる。
【0030】
(8) 本発明は、(1)から(7)のいずれかの動画像復号装置について、前記符号化された信号に基づいて、変換ブロック内における前記基準となる色成分と前記予測対象となる色成分との変換基底を比較する基底比較手段(例えば、後述の基底比較部に相当)を備え、前記予測係数復号手段は、前記基底比較手段により変換基底が異なると判定された場合には、前記予測係数をゼロとすることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)から(7)のいずれかの動画像復号装置において、変換ブロック内における基準となる色成分と予測対象となる色成分との変換基底が異なる場合、予測係数をゼロにすることとした。このため、変換ブロック内における基準となる色成分と予測対象となる色成分との変換基底が異なる場合に、予測係数復号手段による処理負荷を軽減することができる。
【0032】
(9) 本発明は、(1)から(7)のいずれかの動画像復号装置について、変換ブロックのサイズごとに変換基底が定められている場合に、前記符号化された信号に基づいて、変換ブロック内における前記基準となる色成分と前記予測対象となる色成分との変換基底を比較する基底比較手段を備え、前記予測係数復号手段は、前記基底比較手段により変換基底が異なると判定された場合には、前記予測係数をゼロとすることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0033】
この発明によれば、(1)から(7)のいずれかの動画像復号装置において、変換ブロックのサイズごとに変換基底が定められており、変換ブロック内における基準となる色成分と予測対象となる色成分との変換基底が異なる場合、予測係数をゼロにすることとした。このため、変換ブロックのサイズごとに変換基底が定められており、変換ブロック内における基準となる色成分と予測対象となる色成分との変換基底が異なる場合に、予測係数復号手段による処理負荷を軽減することができる。
【0034】
(10) 本発明は、予測係数復号手段(例えば、
図1の予測係数復号部13に相当)、基準変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の輝度変換係数レベル復号部12に相当)、対象変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の色差変換係数レベル復号部14に相当)、基準量子化係数導出手段(例えば、
図1の輝度量子化係数復号部11に相当)、予測対象量子化係数導出手段(例えば、
図1の色差量子化係数復号部15に相当)、実予測係数導出手段(例えば、
図1の実係数導出部16に相当)、対象変換係数実レベル導出手段(例えば、
図1の色差変換係数実レベル導出部17に相当)、基準逆変換手段(例えば、
図1の輝度逆量子化・逆変換部18に相当)、および予測対象逆変換手段(例えば、
図1の色差逆量子化・逆変換部19に相当)を備え、複数の色成分を有する動画像について、変換空間で色成分間の相関を用いて復号する動画像復号装置(例えば、
図1の動画像復号装置1に相当)における動画像復号方法であって、前記予測係数復号手段が、符号化された信号(例えば、
図1のビットストリームSIG1に相当)から、予測係数(例えば、
図1の予測係数SIG4に相当)を復号する第1のステップと、前記基準変換係数レベル復号手段が、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた基準となる色成分(例えば、後述の輝度成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の輝度成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG3に相当)を復号する第2のステップと、前記対象変換係数レベル復号手段が、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた予測対象となる色成分(例えば、後述の色差成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の色差成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG5に相当)を復号する第3のステップと、前記基準量子化係数導出手段が、前記符号化された信号から、前記基準となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の輝度量子化係数SIG2に相当)を導出する第4のステップと、前記予測対象量子化係数導出手段が、前記符号化された信号から、前記予測対象となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の色差量子化係数SIG6に相当)を導出する第5のステップと、前記実予測係数導出手段が、前記第1のステップにおいて復号された予測係数と、前記第4のステップにおいて導出された量子化係数と、前記第5のステップにおいて導出された量子化係数と、に基づいて、実予測係数(例えば、
図1の実予測係数SIG7に相当)を導出する第6のステップと、前記対象変換係数実レベル導出手段が、前記第2のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記第3のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記第6のステップにおいて導出された実予測係数と、に基づいて、前記予測対象となる色成分の変換係数実レベル(例えば、
図1の色差変換係数実レベルSIG8に相当)を導出する第7のステップと、前記基準逆変換手段が、前記第2のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルを逆量子化および逆変換して、前記基準となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の輝度成分の残差信号SIG9に相当)を導出する第8のステップと、前記予測対象逆変換手段が、前記第7のステップにおいて導出された変換係数実レベルを逆量子化および逆変換して、前記予測対象となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の色差成分の残差信号SIG10に相当)を導出する第9のステップと、を備えることを特徴とする動画像復号方法を提案している。
【0035】
この発明によれば、予測係数と、基準となる色成分の量子化係数と、予測対象となる色成分の量子化係数と、に基づいて、実予測係数を導出することとした。また、基準となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、予測対象となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、実予測係数と、に基づいて、予測対象となる色成分の変換係数実レベルを導出することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
(11) 本発明は、予測係数復号手段(例えば、
図1の予測係数復号部13に相当)、基準変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の輝度変換係数レベル復号部12に相当)、対象変換係数レベル復号手段(例えば、
図1の色差変換係数レベル復号部14に相当)、基準量子化係数導出手段(例えば、
図1の輝度量子化係数復号部11に相当)、予測対象量子化係数導出手段(例えば、
図1の色差量子化係数復号部15に相当)、実予測係数導出手段(例えば、
図1の実係数導出部16に相当)、対象変換係数実レベル導出手段(例えば、
図1の色差変換係数実レベル導出部17に相当)、基準逆変換手段(例えば、
図1の輝度逆量子化・逆変換部18に相当)、および予測対象逆変換手段(例えば、
図1の色差逆量子化・逆変換部19に相当)を備え、複数の色成分を有する動画像について、変換空間で色成分間の相関を用いて復号する動画像復号装置(例えば、
図1の動画像復号装置1に相当)における動画像復号方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記予測係数復号手段が、符号化された信号(例えば、
図1のビットストリームSIG1に相当)から、予測係数(例えば、
図1の予測係数SIG4に相当)を復号する第1のステップと、前記基準変換係数レベル復号手段が、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた基準となる色成分(例えば、後述の輝度成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の輝度成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG3に相当)を復号する第2のステップと、前記対象変換係数レベル復号手段が、前記符号化された信号から、前記複数の色成分のうち予め定められた予測対象となる色成分(例えば、後述の色差成分に相当)について、予測残差信号の変換係数レベル(例えば、
図1の色差成分の予測残差信号の変換係数レベルSIG5に相当)を復号する第3のステップと、前記基準量子化係数導出手段が、前記符号化された信号から、前記基準となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の輝度量子化係数SIG2に相当)を導出する第4のステップと、前記予測対象量子化係数導出手段が、前記符号化された信号から、前記予測対象となる色成分の量子化係数(例えば、
図1の色差量子化係数SIG6に相当)を導出する第5のステップと、前記実予測係数導出手段が、前記第1のステップにおいて復号された予測係数と、前記第4のステップにおいて導出された量子化係数と、前記第5のステップにおいて導出された量子化係数と、に基づいて、実予測係数(例えば、
図1の実予測係数SIG7に相当)を導出する第6のステップと、前記対象変換係数実レベル導出手段が、前記第2のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記第3のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルと、前記第6のステップにおいて導出された実予測係数と、に基づいて、前記予測対象となる色成分の変換係数実レベル(例えば、
図1の色差変換係数実レベルSIG8に相当)を導出する第7のステップと、前記基準逆変換手段が、前記第2のステップにおいて復号された予測残差信号の変換係数レベルを逆量子化および逆変換して、前記基準となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の輝度成分の残差信号SIG9に相当)を導出する第8のステップと、前記予測対象逆変換手段が、前記第7のステップにおいて導出された変換係数実レベルを逆量子化および逆変換して、前記予測対象となる色成分の予測残差信号(例えば、
図1の色差成分の残差信号SIG10に相当)を導出する第9のステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0037】
この発明によれば、コンピュータを用いてプログラムを実行することで、予測係数と、基準となる色成分の量子化係数と、予測対象となる色成分の量子化係数と、に基づいて、実予測係数を導出することとした。また、基準となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、予測対象となる色成分の予測残差信号の変換係数レベルと、実予測係数と、に基づいて、予測対象となる色成分の変換係数実レベルを導出することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。