【実施例】
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1または
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12がヒンジ部を介して開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置(図示せず)が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護部材46で前後に開口する窓口13aを覆うよう構成された装飾枠として前枠13がヒンジ部を介して開閉可能に組み付けられている。また、前記外枠11と中枠12とおよび中枠12と前枠13の夫々は、前記ヒンジ部とは反対側の側部に位置設けられた後述する施錠機構60,70,100,120により相互に閉鎖した閉鎖状態に保持されて、パチンコ機10の前面側から鍵により解錠操作することで開放し得るよう構成されている。そして、前枠13の前面下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14および下球受け皿(図示せず)が上下に離間して設けられており、前枠13と一体的に上下の球受け皿を中枠12に対して開閉可能に構成されている。なお、図柄表示装置としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置や、ドラム式の図柄表示装置、ドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0015】
また、
図1に示すように、パチンコ機10の前面右下部には、該中枠12に配設された打球発射装置18を作動させる操作ハンドル16が設けられている。前記操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置18が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20の遊技領域20aに向けて1球ずつ発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置18によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aの回動量を調節することで、前記遊技領域20aへのパチンコ球の発射位置(到達位置)を任意に変更し得るようになっている。なお、実施例では前枠13の前面右下部に操作ハンドル16を設けてあるが、中枠12や球受け皿等に操作ハンドル16を設けることも可能である。また、実施例では、上下の球受け皿を前枠13に設けるよう構成したが、当該上下の球受け皿の一方または両方を前記中枠12の前面に対して個別に開閉可能に組み付けるようにしてもよく、また球受け皿を1つだけ備える構成とすることも可能である。
【0016】
(遊技盤20について)
図1に示すように、前記遊技盤20は、ベニヤ材や合成樹脂材により形成された略矩形状の板部材の前面(盤面)に、略円形状に湾曲させた案内レール21が配設されており、該案内レール21により画成される略円形の遊技領域20aに、中枠12に配設された打球発射装置18から発射されたパチンコ球が打ち出されるようになっている。また、遊技盤20の板部材には、前後に貫通する装着口(図示せず)が適宜位置に開設されており、各装着口に対して図示しない遊技盤設置部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口22が開設されている。ここで、前記遊技盤20には、前記遊技盤設置部品として、パチンコ球が入賞可能な各種の入球部(始動入賞部、特別入賞部、普通入賞部、ゲート部等)や、装飾部品等の各種の遊技盤設置部品(何れも図示省略)が設けられており、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が入賞部に入賞することで、遊技者に有利な大当り遊技等の特別遊技状態を生起させるか否かの当り判定や、所定数の賞球の払い出し等が行われることで、所期の遊技が行われるようになっている。具体的に、パチンコ球の入球(入賞)を契機として当り判定が行われる始動入賞部や、特別遊技状態の発生に伴ってパチンコ球が入球(入賞)可能となる特別入賞部、始動入賞部として入賞口を開閉可能な可変始動入賞部を備える場合に、パチンコ球の入球を契機として入賞口を開放するか否かの開放判定が行われるゲート部が遊技盤20に配設されている。また、前記遊技盤20の裏側には、可動演出装置や発光演出装置等の各種の演出装置が配設された設置部材(何れも図示せず)が備えられており、前記図柄表示装置の表示に合わせて演出装置が作動されるよう構成してある。
【0017】
(外枠11について)
前記外枠11は、
図1、
図2に示すように、上縁枠部11a、下縁枠部11b、左縁枠部11cおよび右縁枠部11dの端部を連結して、前後方向に開放する矩形枠状に組み付けられている。上縁枠部11aおよび下縁枠部11bは、上下方向に所定厚みを有する木質系材料で構成される一方、左縁枠部11cおよび右縁枠部11dは、アルミ材等の金属材料で構成されており、左右の縁枠部11c,11dの薄型化を図りつつ外枠11全体の剛性を高めている。なお、下縁枠部11bの前側には、左右方向に延在する化粧板11eが設けられ、パチンコ機10の前面下部の意匠面を構成している。
図2に示すように、外枠11の左上端部および左下端部(左右一方の端部)には、ヒンジ部を構成する上支持受具51および下支持受具52が配設されており、該上支持受具51に下方へ突出形成した外枠上ヒンジ軸51aと、下支持受具52に上方へ突出形成した外枠下ヒンジ軸52aとを介して前記中枠12が外枠11に対して開閉可能に支持されるようになっている。また、前記外枠11には、前記右縁枠部11dの内側(左側面)に、施錠機構の外枠施錠部60を構成する複数(実施例では2つ)の外枠係合片(係合受け部)61が上下に離間して設けられ、中枠12に設けられた後述する中枠作動体71の中枠係合片80が外枠係合片61に係脱可能な状態で係合することで、外枠11に対して中枠12が閉鎖された閉鎖状態で保持される(施錠される)ようになっている。ここで、前記施錠機構60,70,100,120は、外枠11、中枠12および前枠13の夫々がヒンジ接続される側部(実施例では左側部)と反対側の側部(右側部)に設けられている。
【0018】
(中枠12について)
図2に示すように、前記中枠12は、上縁をなす上枠部31と、下縁をなし、前記打球発射装置18や図示しない各種制御装置等を設置する設置部として機能する下枠部32と、左側縁をなす左枠部33と、右側縁をなす右枠部34とから構成されて、これら上下左右の各枠部31,32,33,34の端部を連結して前後方向に開放する矩形枠状に組み付けられている。そして、前記上下左右の枠部を組み付けた際に開口する前後の開口領域(以下、遊技盤設置部という)に、遊技盤20が着脱自在に設置されるようになっている。なお、実施例では、上枠部31および下枠部32が合成樹脂材で成形されると共に、左右の枠部がアルミ等の金属材により成形されて、中枠12全体としての剛性を確保しつつ軽量化が図られている。
【0019】
ここで、前記中枠12は、前記外枠11の各縁枠部11a〜11dにより形成される前側開口より僅かに小さな大きさで形成されており、中枠12を外枠11に対して閉鎖させた閉鎖状態で、外枠11の開口内側に中枠12が収容されるようになっている(
図1、
図4参照)。具体的に、前記上枠部31は、前記外枠11における上縁枠部11aの下面に対向する上枠本体部31aと、当該上枠本体部31aの前端部から上方に延出するよう設けられて中枠12の上縁を画成する上縁部31bとを基本的に備えて、当該上縁部31bが外枠11の上縁枠部11bと略同一の高さに位置して、中枠12を外枠11に対し閉鎖した際に上縁部31bの後面が上縁枠部11aの前面に当接するようになっている。なお、前記中枠12の上枠部31には、パチンコ球を貯留するタンク部31cが前記上枠本体部31aの後端部に一体的に形成されている。同様に、前記左右の枠部は、前記外枠11において対応する左右の縁枠部11c,11dの側面に対向する左右の枠本体部33a,35と、当該左右の枠本体部33a,35の前端部から中枠12の側外方に延出するよう設けられて中枠12の側縁を画成する左右の側縁部33b,37とを基本的に備えており、当該左右の側縁部33b,37が外枠11の対応する左右の縁枠部11c,11dの前方に位置して、中枠12を外枠11に対し閉鎖した際に左右の側縁部33b,37の後面が左右の縁枠部11c,11dの前面に当接するようになっている。そして、左右に対向する左枠部33および右枠部34の間に前記下枠部32が位置するよう設けられている。すなわち、中枠12の閉鎖状態では外枠11の内周面(各縁枠部の内側面)と中枠12の外周面(各枠部の外側面)とが対向するようになっている。
【0020】
また、
図2に示すように、前記中枠12の上枠部31の前面における左上端部(左右一方の端部)、および下枠部32の前面における左下端部(左右一方の端部)には、ヒンジ部としての第1の連結金具54および第2の連結金具55が夫々配設されている。前記第1の連結金具54には、上方および左方に開口して前記外枠11の外枠上ヒンジ軸51aを挿通可能なる第1軸孔54aが形成されると共に、下方および前方に開口して前記前枠13の前枠ヒンジ軸57aを挿通可能な第2軸孔54bが形成されている。そして、前記第1軸孔54aの左方開口は、第1の連結金具54に回動操作可能に組み付けられた第1レバー体54cにより開閉されると共に、第2軸孔54bの前方開口は、第1の連結金具54に回動操作可能に組み付けられた第2レバー体54dにより開閉されるよう構成されている。また、前記第2の連結金具55には、上方に突出する中枠ヒンジ軸55aおよび下方に開口する第3軸孔55bが形成されており、当該第3軸孔55bの下方から前記外枠11の外枠下ヒンジ軸52aを挿通し得るようになっている。前記第3軸孔55bに対して外枠11の外枠下ヒンジ軸52aを下方から挿通した状態で、前記第1レバー体54cを回動操作して開放させた前記第1軸孔54aの左方開口から外枠11の外枠上ヒンジ軸51aを挿通して、当該第1レバー体54cで第1軸孔54aの左方開口を閉鎖することで、中枠12が外枠11に対して開閉自在に枢支されるようになっている。そして、前記中枠12には、前記外枠11の右縁枠部11dとの間に位置するよう前記右枠部34(右枠本体部35)に施錠機構を構成する中枠施錠部70が設けられており、当該中枠施錠部70を構成する中枠係合片(係合片)80が、前記外枠係合片61に係脱可能な状態で係合することで、外枠11に対して中枠12が閉鎖された閉鎖状態に保持され、当該外枠係合片61と第1中枠係合片80との係合が解除されることで、外枠11に対して中枠12を開放させ得るようになっている。
【0021】
ここで、前記中枠施錠部70が設けられる前記中枠12の右枠部34は、
図4に示すように、前記遊技盤設置部の右側部を画成する右枠本体部35の前端に機外側(
図4では右方)へ延出する連結壁36が形成されて、該連結壁36の延出端部(右端部)から前方へ突出するよう前記右側縁部37が設けられている。そして、前記右枠本体部35の右側面に前記中枠施錠部70が設けられている。すなわち、外枠11に対して中枠12を閉鎖した状態で、当該外枠11の右縁枠部11dと中枠12の右枠部34との間に前記中枠施錠部70を収容する収容空間が画成されて(
図4参照)、当該中枠施錠部70に対して外部から容易にアクセスし得ないようになっている。また、前記連結壁36には、前後方向に開口する貫通孔36a,36bが上下に離間した複数箇所(実施例では5箇所)に形成されており、当該貫通孔36a,36bを介して前記中枠施錠部70の第2中枠係合片90が連結壁36の前側(右枠部34の前側)に突出すると共に、後述する前枠施錠部100の突出片103bが連結壁36の後側(右枠部34の後側)に突出するようになっている。なお、以下の説明で、中枠施錠部70の第2中枠係合片90が突出する貫通孔を第1の貫通孔36aと指称し、前枠施錠部100の突出片103bが突出する貫通孔を第2の貫通孔36bと指称して区別する場合がある。実施例では、前記連結壁36における上下に離間する3箇所に第1の貫通孔36aが形成されると共に、当該第1の貫通孔36aの間に位置するよう上下に離間する2箇所に第2の貫通孔36bが形成されている。
【0022】
また、前記中枠12の右枠部34には、前記右枠本体部35の前端部から連結壁36に亘って連続する操作窓部36cが開設されている(
図2、
図10参照)。すなわち、前記中枠施錠部70が収容される収容空間は、前記操作窓部36cを介して右枠部34の前後方向および左右方向に開口するよう構成されている。そして、前記操作窓部36cに対応する位置に、前枠13に設けられた後述する解錠操作部120が位置するよう構成されて、当該操作窓部36cを介して解錠操作部120の第1作動片122aが収容空間内に臨むようになっている。
【0023】
(前枠13について)
図2に示すように、前記前枠13は、前記中枠12の外郭形状に略合致する矩形板状に形成されると共に前後方向に開口する窓口13aが開設された前枠基体部41を基本構成とし、該前枠基体部41の前面に窓口13aの周囲を囲繞するよう各種の装飾部材42を配設して構成されている。そして、前記前枠基体部41の前面における窓口13aの下部位置に、前記上球受け皿14の球貯留部を画成する上球皿部材43が配設され、当該上球受け皿14部材の下部位置に、前記下球受け皿の球貯留部を画成する下球皿部材(図示せず)が配設されている。また、前枠13を中枠12に対して閉鎖した閉鎖状態では、中枠12の前側が前枠13によって全面的に覆われて、前記窓口13aを介して遊技盤20の遊技領域20aが前枠13の前方に露出するよう構成されている。そして、前記前枠基体部41の後側に、ガラス板等からなる透視保護部材46が窓口13aを覆う状態で着脱可能に配設されて、前枠13の閉鎖状態で遊技盤20の遊技領域20aを前側から透視可能な状態で透視保護部材46が保護している。
【0024】
図1、
図2に示すように、前記前枠基体部41の左上隅部(左右一方の端部)には、ヒンジ部としての第3の連結金具57が配設されており、当該第3の連結金具57の上端部に上方に突出する前枠ヒンジ軸57aが形成されている。また、当該前枠基体部41の左下隅部(左右一方の端部)には、ヒンジ部としての第4の連結金具58が配設されており、当該第4の連結金具58の下端部に第4軸孔58aが上下方向に開口するよう形成されている。そして、前記中枠12の第2の連結金具55に形成された中枠ヒンジ軸55aを、前枠13の第4軸孔58aに下方から挿入すると共に、中枠12の第1の連結金具54に形成された前記第2軸孔54bに前枠13の前枠ヒンジ軸57aを挿入することで、当該前枠13が中枠12に対して開閉自在に枢支される。また、前記前枠13には、前記前枠基体部41の後面側の右側部に、施錠機構を構成する前枠施錠部100が設けられており、当該前枠施錠部100の前枠係合片110が前記中枠施錠部70の中枠係合片90に係脱可能な状態で係合することで、中枠12に対して前枠13が閉鎖された閉鎖状態に保持され、当該前枠係合片110と中枠係合片90との係合が解除されることで、中枠12に対して前枠13を開放させ得るようになっている。
【0025】
(施錠機構60,70,100,120について)
前記施錠機構は、
図2、
図10に示すように、前記外枠11に設けられた外枠施錠部60と、前記中枠12に設けられて外枠施錠部60に対して相互に係脱可能に係合する中枠施錠部70と、前記前枠13に設けられて中枠施錠部70に対して相互に係脱可能に係合する前枠施錠部100とを備えており、外枠施錠部60と中枠施錠部70とが係合することで外枠11に対して中枠12が閉鎖状態に保持され、中枠施錠部70と前枠施錠部100とが係合することで中枠12に対して前枠13が閉鎖状態に保持されよう構成されている。また、施錠機構60,70,100,120は、パチンコ機10の前面側から鍵による解錠操作が可能な解錠操作部120を備えており、解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って外枠施錠部60と中枠施錠部70との係合が解除されて外枠11に対して中枠12を開放可能となると共に、解錠操作部120の前枠解錠操作に伴って中枠施錠部70と前枠施錠部100との係合が解除されて中枠12に対して前枠13を開放可能となるよう構成されている。なお、実施例のパチンコ機10では、前記前枠13に解錠操作部120が設けられている。
【0026】
(外枠施錠部60について)
前記外枠施錠部60は、
図2、
図3に示すように、前記外枠11の右縁枠部11dの左側面に取り付けられて対向する左縁枠部11cへ向けて突出する平板状の係合板部62と、当該係合板部62の上縁部および左縁部から後方へ延出する屈曲部63とから外枠係合片(係合受け部)61が形成されて、当該外枠係合片61が後方および下方へ開口する箱状に形成されている。そして、前記外枠施錠部60の下方側の開口を介して、前記中枠施錠部70の第1中枠係合片80が下方から外枠係合片61(係合板部62)の後面に係脱可能に当接係合するようになっている。すなわち、外枠施錠部60の外枠係合片61の後面に中枠施錠部70の第1中枠係合片80が当接係合することで外枠11に対する中枠12の開放が規制され、第1中枠係合片80が外枠係合片61から離間して係合が解除されることで、外枠11に対する中枠12の開放が許容されるようになっている。
【0027】
(中枠施錠部70について)
前記中枠施錠部70は、
図5に示すように、前記中枠12に配設されて鍵による解錠操作部120の中枠解錠操作に伴い中枠施錠位置(施錠位置)から中枠解錠位置(解錠位置)に移動される中枠作動体(作動体)71と、前記外枠係合片61に対応するよう中枠作動体71に設けられて当該中枠作動体71が中枠施錠位置にある状態で対応する外枠係合片61に対して係合する複数(実施例では2つ)の第1中枠係合片(第1の係合片)80とを備えており、鍵による中枠解錠操作に伴って中枠作動体71が中枠解錠位置に移動することで各第1中枠係合片80と対応する外枠係合片61との係合が解除されるよう構成されている。すなわち、前記中枠施錠位置において前記外枠係合片61および第1中枠係合片80が当接係合することで前記外枠11および中枠12が閉鎖状態で保持され、前記中枠解錠位置において各外枠係合片61および第1中枠係合片80の係合が解除されることで外枠11および中枠12の相対的な開放を許容するよう構成されている。
【0028】
(中枠作動体71について)
前記中枠作動体71は、
図5に示すように、前記中枠12の右枠本体部35に沿って上下方向に延在する長尺な平板状部材であって、当該右枠本体部35に対して上下方向に移動可能に支持されている。ここで、前記中枠作動体71は、当該中枠作動体71の上下の端部に設けられて前記右枠本体部35に接触する上下の摺接板部72と、当該右枠本体部35から離間するよう上側の摺接板部72の下端部および下側の摺接板部72の上端部に連設されて、右枠本体部35との間に空間を画成する連設板部73とを備えており、前記解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って上下の摺接板部72が右枠本体部35に摺接した状態で上下に移動するよう構成されている。そして、前記連設板部73の左側面には、当該連設板部73と右枠本体部35との間に位置するよう揺動板75が支軸75aを介して枢支されている。
【0029】
図5、
図10に示すように、前記揺動板75には、前記連設板部73の前縁から前方へ突出する端部に、引張バネ部材(付勢部材)76の一端が係合するバネ掛止部75bが設けられており、当該バネ掛止部75bに一端が係合された引張バネ部材76の他端が右枠本体部35に形成されたバネ掛止部35aに係合されている。すなわち、前記揺動板75は、引張バネ部材76により前端側が上方へ引き上げられるよう付勢されている。また、前記連設板部73には、前記揺動板75を支持する支軸75aの上方位置に、前記右枠本体部35側へ突出する規制突部73aが形成されており、引張バネ部材76の付勢力により支軸75aを中心として回転される揺動板75の回転を、当該規制突部73aに接触する位置で規制するよう構成されている。すなわち、前記揺動板75に係合された引張バネ部材76により、前記中枠作動体71が常には上方の中枠施錠位置へ向けて付勢されている。なお、前記揺動板75を付勢する付勢部材として引張バネ部材76を採用してあるが、これに限られるものではない。
【0030】
また、前記揺動板75には、
図5、
図10に示すように、前記連設板部73の前縁から前方へ突出する端部に、右方向へ延出する当接部75cが形成されている。ここで、前記当接部75cは、前記操作窓部36cを介して前記右枠本体部35の前方および左側方へ露出するよう設けられて、前記前枠13を中枠12に対して閉鎖した閉鎖状態において、前記解錠操作部120の第1作動片122a(後述)が当接部75cの上方に対向するよう構成されている。すなわち、前記解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って解錠操作部120の第1作動片122aが当接部75cに上方から当接して、当該当接部75cが下方へ押し下げられるようになっている。ここで、前記中枠作動体71(連設板部73)には、前記当接部75cに対して下方に離間して対向する押圧部74が設けられており、前記揺動板75を引張バネ部材76の付勢力に抗して揺動させた際に、当該当接部75cが押圧部74に当接するよう構成されている。すなわち、前記解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って前記第1作動片122aが前記揺動板75の当接部75cを下方へ押し下げることで、当該当接部75cにより前記押圧部74が下方へ押し下げられて、前記中枠作動体71が前記引張バネ部材76の付勢力に抗して下方の中枠解錠位置へ移動されるようになっている。このように、前記揺動板75を介して中枠作動体71を移動させるよう構成することで、不用意に中枠作動体71が作動されて中枠解錠位置に移動されないよう構成してある。また、前記中枠作動体71(連設板部73)と右枠本体部35との間に揺動板75を位置させて、前記中枠12(右枠本体部35)の操作窓部36cに中枠作動体71が直接露出しないよう構成することで、当該操作窓部36cを介して不正器具が挿入された場合に、当該不正器具で中枠作動体71が不正に操作されるのを防止している。
【0031】
(第1中枠係合片80について)
前記第1中枠係合片80は、
図5〜
図7に示すように、前記中枠作動体71に対して左右方向に延在する支軸80aを介して枢支され、当該支軸80aから後方(中枠作動体71の移動方向に交差する方向)へ延在する第1基部(基部)81と、当該第1基部81の後端部(一方端部)に設けられて上方へ突出する第1爪部(爪部)82とを備え、中枠12を外枠11に対して閉鎖した閉鎖状態において、前記外枠係合片61の後面に当該第1中枠係合片80の第1爪部82が当接係合し得るよう構成されている。具体的に、前記第1中枠係合片80は、前記中枠作動体71おける上下の端部に設けられた前記上下の摺接板部72の右側面に個別に揺動し得るよう枢支されており、上側の第1中枠係合片80が対応する上側の外枠係合片61に係脱可能に当接係合すると共に、下側の第1中枠係合片80が対応する下側の外枠係合片61に係脱可能に当接係合するよう構成されている。なお、実施例における上下の第1中枠係合片80は同一構成により形成されている。
【0032】
ここで、
図5〜
図6に示すように、前記各第1中枠係合片80(第1基部81)には、第1中枠係合片80を支持する支軸80aより前側の端部に引張バネ部材(付勢部材)84の一端が係合するバネ掛止部80bが設けられており、当該バネ掛止部80bに一端が係合された引張バネ部材84の他端が前記中枠作動体71(摺接板部72)に形成されたバネ掛止部71aに係合されている。すなわち、前記各第1中枠係合片80は、第1基部81において中枠作動体71との支軸80aを挟んで前記第1爪部82と反対側に位置する端部に前記引張バネ部材84が取り付けられており、当該引張バネ部材84により前記第1爪部82が上方へ向けて付勢されるようになっている。従って、前記中枠作動体71が中枠施錠位置にある状態において、第1爪部82が対応する外枠施錠部60の外枠係合片61と係合可能な係合位置強制解除位置(
図6の実線位置)と、当該引張バネ部材84の付勢力に抗して係合位置から第1爪部82が下方へ変位して外枠係合片61が係合不能な強制解除位置強制解除位置(
図6の二点鎖線位置)との間で、各第1中枠係合片80を独立して個別に揺動(変位)させ得るようになっている。なお、前記第1中枠係合片80を係合位置に付勢する付勢部材として引張バネ部材84を採用してあるが、これに限られるものではない。
【0033】
すなわち、実施例の施錠機構60,70,100,120では、鍵を利用した解錠操作部120の中枠解錠操作により前記中枠作動体71を中枠施錠位置から中枠解錠位置に移動させることで外枠施錠部60(外枠係合片61)と中枠施錠部70(第1中枠係合片80)との係合が同時に解除されて中枠12を外枠11に対して開放可能となると共に、上下の第1中枠係合片80を同時に強制解除位置まで個別に強制的に移動させることで、鍵を利用した解錠操作部120によらずに外枠施錠部60(外枠係合片61)と中枠施錠部70(第1中枠係合片80)との係合を解除して中枠12を外枠11に対して開放可能となるよう構成されている。一方で、上下の第1中枠係合片80の何れか一方を強制解除位置まで強制的に移動させた場合には、他方の第1中枠係合片80が係合位置に保持されることで、外枠施錠部60(外枠係合片61)と中枠施錠部70(第1中枠係合片80)との当接係合が維持されて中枠12を外枠11に対して開放不能となるようになっている。
【0034】
また、前記第1中枠係合片80(第1基部81)には、
図5、
図10に示すように、当該第1中枠係合片80の係合位置において前記中枠作動体71のバネ掛止部71aに対して上方から当接する第1の規制部81aが形成されると共に、当該中枠作動体71には、第1中枠係合片80の強制解除位置において当該第1中枠係合片80の第1基部81の下端部が上方から当接する第2の規制部73bが形成されている。すなわち、前記中枠作動体71は、前記第1の規制部81aがバネ掛止部71aに当接することで前記引張バネ部材84による回転移動が規制されて前記係合位置に保持されると共に、前記第1基部81の下端部が第2の規制部73bに当接することで、引張バネ部材84に抗した回転移動が規制されて前記強制解除位置に保持されるようになっている。ここで、前記第2の規制部73bは、前記第1中枠係合片80に係合された引張バネ部材84がバネ特性(復元力)を喪失しない範囲で弾性変形する位置に設けられており、強制解除位置まで回転変位された第1中枠係合片80を、当該引張バネ部材84の付勢力により係合位置まで復帰させ得るようになっている。言い換えると、前記第1中枠係合片80の回転を第2の規制部73bで規制することで、不正器具等により第1中枠係合片80が係合位置から強制的に回転変位された場合に、当該第1中枠係合片80を係合位置に保持する引張バネ部材84が破壊されないようにしてある。
【0035】
また、
図5〜
図7に示すように、前記中枠作動体71には、前記連設板部73の上端部から上方へ延出すると共に上端部が前記上側の摺接板部72に接続する上側の支持片78aが形成されており、当該上側の支持片78aと上側の摺接板部72との間に前後に開口する挿通孔部71bが形成されるようになっている。また、同様に、前記中枠作動体71には、前記連設板部73の下端部から下方へ延出すると共に下端部が前記下側の摺接板部72に接続する下側の支持片78bが形成されており、当該下側の支持片78bと下側の摺接板部72との間に前後に開口する挿通孔部71bが形成されるようになっている。
【0036】
そして、
図7に示すように、前記上下の摺接板部72に支持された前記第1中枠係合片80の第1基部81が対応する上下の挿通孔部71bに前方から挿通されて、各第1中枠係合片80の第1爪部82が前記支持片78a,78bの後方に位置するよう構成されている。ここで、前記挿通孔部71bの左右方向の開口幅は、当該挿通孔部71bに挿通される前記第1中枠係合片80の左右の厚み寸法と略同じになるよう設定されている。従って、前記挿通孔部71bに挿通された第1中枠係合片80の右側面が支持部に接触(挿通孔部71bの開口縁部に接触)して、前記中枠12の右枠本体部35から離間する方向(係合位置および強制解除位置への移動方向と交差する方向)への第1爪部82の変位が規制されるようになっている。すなわち、不正器具により第1中枠係合片80が側方へ引っ張られた際に、当該第1中枠係合片80が第1基部81の枢支端部から屈曲されるのを前記上下の支持片78a,78bで防止して、当該第1中枠係合片80が外枠係合片61に対して係合不能とされるのを防いでいる。
【0037】
(第2中枠係合片90について)
また、
図5、
図6、
図10に示すように、前記中枠施錠部70は、前記複数の前枠係合片110に対応するよう前記中枠12に配設された複数(実施例では3つ)の第2中枠係合片(第2の係合片)90を備えており、前記前枠施錠部100を構成する前枠作動体105が前枠施錠位置にある状態で、各第2中枠係合片90が対応する前枠係合片110と係合すると共に、鍵による解錠操作に伴って前枠作動体105が前枠解錠位置に移動することで各第2中枠係合片90と対応する前枠係合片110との係合が解除されるよう構成されている。すなわち、前記前枠施錠位置において前記前枠係合片110および第2中枠係合片90が係合することで前記前枠13および中枠12が閉鎖状態で保持され、前記前枠解錠位置において各前枠係合片110および第2中枠係合片90の係合が解除されることで前枠13および中枠12の相対的な開放を許容するよう構成されている。
【0038】
前記第2中枠係合片90の夫々は、
図5、
図6、
図10に示すように、前記右枠本体部35の右側面に左右方向に延在する支軸90aを介して枢支される第2基部91と、該第2基部91の前端部(一方端部)に設けられて上方へ突出する第2爪部(第2の爪部)92とを備え、前枠13を中枠12に対して閉鎖した閉鎖状態において、前記前枠係合片110の前面に当該第2中枠係合片90の第2爪部92が当接係合し得るよう構成されている。具体的に、前記第2中枠係合片90は、前記右枠本体部35おける前記各第1の貫通孔36aの後方に個別に枢支されて、上側の第2中枠係合片90が対応する上側の前枠係合片110に係脱可能に当接係合し、中間の第2中枠係合片90が対応する中間の前枠係合片110に係脱可能に当接係合すると共に、下側の第2中枠係合片90が対応する下側の前枠係合片110に係脱可能に当接係合するよう構成されている。なお、実施例における各第2中枠係合片90は同一構成により形成されている。
【0039】
図6に示すように、前記第2中枠係合片90の夫々は、前記右枠本体部35に係合された捻りバネ部材(付勢部材)93により前記第2爪部92が上方へ向けて付勢されており、第2中枠係合片90の夫々を対応する前枠施錠部100の前枠係合片110が係合可能な上方の係合位置(
図6の実線位置)と、当該係合位置から下方へ揺動変位して第2爪部92が前枠係合片110に係合不能な下方の強制解除位置(
図6の二点鎖線位置)との間で個別に揺動し得るようになっている。すなわち、不正器具等により第2中枠係合片90の何れかを係合位置から強制解除位置に揺動変位させたとしても、他の第2中枠係合片90と前枠係合片110との係合が維持されることで、前枠13が不正に開放されないようになっている。なお、前記第2中枠係合片90を係合位置に付勢する付勢部材として捻りバネ部材93を採用してあるが、これに限られるものではない。
【0040】
(規制部材95について)
また、
図5、
図8に示すように、前記中枠施錠部70は、前記中枠12に対して前枠13を開放した状態で前記中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への移動を規制する規制部材95を備えている。前記規制部材95は、前記中枠12における右枠本体部35の右側面に対向した状態で支軸96aを中心に揺動可能に枢支される平板部96と、当該平板部96の上端部に設けられて右方向に延出する規制受け片97と、当該平板部96の前端部に設けられて右方向に延出する作動受け片98とを備えている。ここで、前記規制部材95は、前記中枠作動体71の中枠施錠位置において、当該中枠作動体71の前端に設けられた受け部71cが前記規制受け片97の上方に対向する解錠規制位置(
図8(a)参照)と、当該中枠施錠位置において当該受け部71cより前方へ規制受け片97が退避した解錠許容位置(
図8(b)参照)との間を揺動し得るよう構成されている。すなわち、前記規制部材95が解錠規制位置にある状態では、受け部71cが規制受け片97に対して上方から当接することで、前記中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への移動が規制され、当該規制部材95が解錠許容位置にある状態では、受け部71cに規制受け片97に対して上方から当接しないことで、中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への移動が許容されるようになっている。そして、前記規制部材95の夫々は、前記右枠本体部35および規制部材95に係合された捻りバネ部材(付勢部材)99により前記解錠規制位置へ向けて付勢されている。なお、前記規制部材95を解錠規制位置に付勢する付勢部材として捻りバネ部材99を採用してあるが、これに限られるものではない。
【0041】
また、
図8(a)に示すように、前記規制部材95が解錠規制位置にある状態では、前記作動受け片98が前記右枠本体部35の連結壁36の後面に当接して、当該連結壁36に形成された第2の貫通孔36bの後方開口を閉塞するよう構成されている。すなわち、前記中枠12に対して前枠13を開放した状態では、捻りバネ部材99の付勢力により前記規制部材95が解錠規制位置に保持されることで、前記中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への変位が規制され、中枠12に対して前枠13を閉鎖した状態では、前記連結壁36の第2の貫通孔36bに挿通された後述する前枠13の突出片103bが作動受け片98を後方へ押圧することで(
図8(b)参照)、当該規制部材95が解錠規制位置から解錠許容位置へ変位されて、鍵による解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への変位が許容されるようになっている。このように、中枠12に対して前枠13を開放した状態において中枠作動体71の中枠施錠位置から中枠解錠位置への変位を規制することで、不正器具を利用して中枠作動体71が不正に操作されるのを防止している。
【0042】
(前枠施錠部100について)
前記前枠施錠部100は、
図1、
図2、
図9に示すように、前記前枠基体部41の後面右端部に配設された支持案内部101と、該支持案内部101に移動自在に支持されて鍵による解錠操作部120の前枠解錠操作に伴い前枠施錠位置から前枠解錠位置に移動される前枠作動体105と、前記第2中枠係合片90に対応するよう前枠作動体105に設けられて当該前枠作動体105が前枠施錠位置にある状態で対応する第2中枠係合片90に対して係合する複数(実施例では3つ)の前枠係合片110とを備えている。前記支持案内部101は、上下方向に長尺な金属部材であって、前記前枠基体部41に取着される取着板部102と、該取着板部102の左縁部から後方へ折曲形成された案内板部103とから構成される。前記案内板部103は、前枠13を中枠12に対して閉鎖した閉鎖状態で、前記中枠12の第1の貫通孔36aから突出する第2中枠係合片90より左方に位置すると共に、当該案内板部103の後縁部から右方向へ屈曲する保持片103aが上下方向に離間して複数(実施例では4つ)に形成されている。そして、前記保持片103aの上端部が前方へ屈曲するよう形成されており、当該保持片103aと案内板部103との間に前記前枠作動体105が上下方向に移動可能に支持されるようになっている。また、案内板部103における上下方向の略中央位置に、該案内板部103の後縁部から左方へ延出する設置板104が設けられており、該設置板104に前記解錠操作部120が固定されている。
【0043】
前記前枠作動体105は、
図9に示すように、前記支持案内部101より僅かに短い上下長さを有する長尺な平板状部材であって、案内板部103の右面に接した状態で前記保持片103aと案内板部103との間に上下に移動可能に保持されている。また、前記前枠作動体105の後縁部には、右方へ延出するよう前記前枠係合片110が上下に離間して複数(実施例では3つ)形成されており、当該前枠係合片110の前面に前記中枠施錠部70の第2中枠係合片90に係脱可能に係合するよう構成されている。そして、前記前枠作動体105の右側面には、引張バネ部材108の上端部が支持されるバネ掛止部105aが形成されて、当該前枠作動体105のバネ掛止部105aに支持された引張バネ部材108の下端部が前記支持案内部101の取着板部102に形成されたバネ掛止部102aに支持されて、当該引張バネ部材108の弾性力(付勢力)により前枠作動体105が下方へ向けて付勢されている。すなわち、前記前枠作動体105は、引張バネ部材108の付勢力により常には下方の前枠施錠位置に保持されて、引張バネ部材108の付勢力に抗して上方の前枠解錠位置へ移動させ得るよう構成されている。そして、前枠13を中枠12に対し閉鎖した閉鎖状態において、前枠作動体105が前枠施錠位置に位置することで、前記前枠係合片110が第2中枠係合片90に係合して前枠13が中枠12に対して施錠され、当該前枠作動体105を前枠解錠位置に移動させることで、前枠係合片110と第2中枠係合片90との係合が解除されて前枠13を中枠12に対して開放させ得るようになっている。更に、前記前枠作動体105には、前記設置板104に対応する位置に、当該設置板104より後方へ延出する係合操作部106が形成されており、前記解錠操作部120の前枠解錠操作に伴って第2作動片122bが当該係合操作部106の下端部に下方から当接して上方へ押圧されることで、前枠作動体105を前枠施錠位置から前枠解錠位置へ移動させ得るようになっている。
【0044】
(解錠操作部120)
前記解錠操作部120は、
図9に示すように、図示しない鍵を差し込み可能な鍵孔121aが前端面に形成された錠本体121と、当該錠本体121の後端部に設けられて鍵孔121aに差し込んだ鍵の回動操作(解錠操作)に伴って回動する回動盤122と、当該回動盤122の外周部から径方向外方へ延出する第1作動片122aおよび第2作動片122bとを備えており、前記設置板104の前面側に錠本体121が前方に突出すると共に、当該設置板104の裏側に回動盤122(第1および第2作動片122a,122b)が位置する状態で取り付けられている。ここで、前記第1作動片122aは、前記回動盤122の周縁から後方へ折曲した後に当該回動盤122の径方向外方へ延出するよう形成されると共に、前記第2作動片122bは、回動盤122の板面と同じ位置に設けられており、第1作動片122aと第2作動片122bとが前後にずれて位置するよう構成されている。すなわち前記第1作動片122aは、前記前枠作動体105の係合操作部106より後方に位置するよう構成されている。
【0045】
そして、前記中枠12に対して前枠13を閉鎖した閉鎖状態において、前記第1作動片122aが前記中枠施錠部70における揺動板75の当接部75cの上方に対向して、前記回動盤122の右回転に伴う当該第1作動片122aの移動軌跡上に当接部75cが位置するようになっている。すなわち、前記解錠操作部120は、錠本体121の鍵孔121aに差し込んだ鍵を一方(実施例では右回転方向)へ回動操作(中枠解錠操作)することで、前記第1作動片122aが揺動板75(すなわち中枠作動体71)を押し下げるよう構成されており、これにより中枠作動体71が中枠施錠位置から中枠解錠位置へ移動されて中枠12の第1中枠係合片80と外枠11の外枠係合片61の当接係合が解除され、中枠12が外枠11に対し解錠されるようになっている。
【0046】
また、前記中枠12に対して前枠13を閉鎖した閉鎖状態において、前記第2作動片122bが前記前枠施錠部100における係合操作部106の下方に対向して、前記回動盤122の左回転に伴う当該第2作動片122bの移動軌跡上に係合操作部106が位置するようになっている。すなわち、前記解錠操作部120は、錠本体121の鍵孔121aに差し込んだ鍵を他方(実施例では左回転方向)へ回動操作(前枠解錠操作)することで、前記第2作動片122bが係合操作部106(すなわち前枠作動体105)を押し上げるよう構成されており、これにより前枠作動体105が前枠施錠位置から前枠解錠位置へ移動されて中枠12の第2中枠係合片90と前枠13の前枠係合片110の当接係合が解除され、前枠13が中枠12に対し解錠されるようになっている。
【0047】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0048】
前記外枠11に対して中枠12を閉鎖した状態では、
図10(a)に示すように、前記中枠施錠部70の中枠作動体71が中枠施錠位置に保持されると共に、当該中枠作動体71に設けられた上下の第1中枠係合片80の第1爪部82が係合位置に保持されることにより、各第1中枠係合片80の第1爪部82が前記外枠施錠部60の対応する外枠係合片61の後面に対して当接係合して中枠12が外枠11に対して開放不能に施錠される。また、前記中枠12に対して前枠13を閉鎖した状態では、
図10(a)に示すように、前記前枠施錠部100の前枠作動体105が前枠施錠位置に保持されると共に、前記中枠施錠部70を構成する複数(実施例では3つ)の第2中枠係合片90の第2爪部92が係合位置に保持されることにより、各第2中枠係合片90の第2爪部92が前枠作動体105に設けられた対応する前枠係合片110の前面に対して当接係合して前枠13が中枠12に対して開放不能に施錠される。そして、前記中枠12に対して前枠13を閉鎖した状態では、中枠12(右枠本体部35)に開設された第2の貫通孔36bに挿通された前枠施錠部100の各突出片103bが前記中枠施錠部70における規制部材95の作動受け片98を押圧して、当該規制部材95を解錠規制位置から解錠許容位置に変位させることで、中枠作動体71を中枠施錠位置から中枠解錠位置へ移動させ得るようになる。
【0049】
また、前記外枠11に対して中枠12を閉鎖すると共に中枠12に対して前枠13を閉鎖した状態では、前記解錠操作部120における錠本体121の鍵孔121aに挿入した鍵を一方(右回転方向)へ回動操作する中枠解錠操作に伴い、前記中枠施錠部70の揺動板75に設けられた当接部75cに対して上方から当接する解錠操作部120の第1作動片122aにより当該揺動板75が下方へ押し下げられる。そして、前記揺動板75が下方へ押し下げられることで、当該揺動板75が支持された前記中枠作動体71が中枠施錠位置から中枠解錠位置へ移動されて、当該中枠作動体71に支持された上下の第1中枠係合片80の第1爪部82が前記外枠施錠部60の対応する外枠係合片61の後面から下方に離間して同時に係合が解除されることで、外枠11に対して中枠12を開放可能に解錠される(
図10(b)参照)。また、前記中枠作動体71は、中枠解錠位置から中枠施錠位置へ向けて常時付勢されているから、中枠解錠操作の後には解錠操作部120の前記第1作動片122aを中枠作動体71(揺動板75)により押し戻すことができ、中枠作動体71を中枠施錠位置に確実に保持することができる。そして、第1作動片122aと中枠作動体71との間に揺動板75が介在することで、第1作動片122aが完全に初期位置まで復帰していなくても中枠作動体71を中枠施錠位置に保持でき、意図せずに中枠12が開放されるのを防止することができる。また、前記第1作動片122aが臨む操作窓部36cと中枠作動体71との間に揺動板75が位置することで、中枠作動体71に対する当該操作窓部36cを介した不正器具による不正操作を防ぐことができる。
【0050】
また、前記中枠12に対して前枠13を閉鎖した状態では、前記解錠操作部120における錠本体121の鍵孔121aに挿入した鍵を他方(左回転方向)へ回動操作する前枠解錠操作に伴い、前記前枠施錠部100の前枠作動体105に設けられた係合操作部106に対して下方から当接する解錠操作部120の第2作動片122bにより上方へ押し上げられた前枠作動体105が前枠施錠位置から前枠解錠位置へ移動されて、当該前枠作動体105に支持された各前枠係合片110が対応する第2中枠係合片90の第2爪部92から上方に離間して同時に係合が解除されることで、中枠12に対して前枠13を開放可能に解錠される(
図10(c)参照)。また、前記前枠作動体105は、引張バネ部材108および自重により前枠解錠位置から前枠施錠位置へ向けて常時付勢されているから、前枠解錠操作の後には解錠操作部120の前記第2作動片122bを前枠作動体105により押し戻すことができ、前枠作動体105を前枠施錠位置に確実に保持することができる。そして、前記中枠12に対して前枠13を開放した状態では、中枠12(右枠本体部35)の第2の貫通孔36bから前枠施錠部100の各突出片103bが前方へ抜き出されることで、前記中枠施錠部70における規制部材95が解錠許容位置から解錠規制位置に変位されて、中枠作動体71を中枠施錠位置から中枠解錠位置へ移動させ得なくなる。このため、不正器具等により中枠12に対して前枠13が不正に開放されたとしても、中枠作動体71を操作して外枠11に対する中枠12の施錠状態を解除し得ないから、外枠11に対する中枠12の不正な開放を防止することができる。
【0051】
ここで、前記上下の第1中枠係合片80は、鍵による解錠操作部120の中枠解錠操作に伴って中枠施錠位置から中枠解錠位置に移動される中枠作動体71に対して、係合位置および強制解除位置に個別に変位し得るよう支持されている。このため、鍵を用いた解錠操作部120の中枠解錠操作によらずに、不正器具等によって何れかの第1中枠係合片80を強制解除位置へ変位させるように強制的に操作された場合でも、他の第1中枠係合片80が係合位置に保持されるから、中枠施錠部70と外枠施錠部60との係合状態(施錠状態)を維持することができ、外枠11に対する中枠12の不正な開放を防止することができる。
【0052】
また、前記中枠施錠部70が係脱可能に係合する外枠施錠部60の外枠係合片61は、前記対応する第1中枠係合片80が後面に当接係合する係合板部62の外周縁部(上縁部および左側縁部33b)から後方へ延出する屈曲部63が形成されている。すなわち、前記中枠作動体71の中枠施錠位置および中枠解錠位置との間の変位、あるいは前記係合位置と強制解除位置との間の変位に伴って前記第1中枠係合片80が係合板部62の後面に対して近接および離間する縁部(すなわち下縁部)を除く縁部から屈曲部63が屈曲するよう外枠係合片61を形成することで、係合板部62(外枠係合片61)の後面に当接係合した第1中枠係合片80を屈曲部63で囲うことができる。このため、外枠係合片61(係合板部62)に係合する第1中枠係合片80まで不正器具を到達させるのを困難にでき、当該第1中枠係合片80が強制的に強制解除位置に変位されるのを防いで、外枠11に対して中枠12が不正に開放されるのを防止することができる。
【0053】
また、前記上下の第1中枠係合片80の夫々は、中枠作動体71(具体的には対応する上下の摺接板部72)と支持片78a,78bとの間に画成される挿通孔部71bを貫通するよう第1基部81が挿通されている。このため、解錠操作部120に差し込んだ鍵による中枠解錠操作によらずに中枠12を外枠11に対して開放させることを企図して、第1中枠係合片80に引っ掛けた不正器具を外枠係合片61との係合が解除されるように当該第1中枠係合片80を変形させる不正行為が成された場合でも、係合位置および強制解除位置への移動方向と交差する方向への第1中枠係合片80の変形を支持片78a,78bで規制し得るから、第1中枠係合片80が対応する外枠係合片61に対して係合不能とされるのを防ぐことができ、外枠11に対して中枠12が不正に開放されるのを防止することができる。
【0054】
また、各第1中枠係合片80は、中枠作動体71に支持される第1基部81において、当該第1基部81の支軸80aを挟んで第1爪部82と反対側に位置する端部に取り付けられた引張バネ部材84の付勢により係合位置に保持されるよう構成されている。このため、第1中枠係合片80の不正な操作を企図して差し込まれた不正器具が引張バネ部材84まで到達するのを困難にして、引張バネ部材84の切断等により破壊されたり、当該引張バネ部材84が中枠作動体71や第1中枠係合片80から取り外されるのを防止でき、第1中枠係合片80を係合位置で安定して保持することができる。更に、前記第1中枠係合片80は、前記中枠作動体71に設けられた第2の規制部73bにより回動規制されるよう構成されているから、作業者が第1中枠係合片80を強制解除位置に変位させた際や、不正器具により第1中枠係合片80が強制解除位置に強制的に変位された際に引張バネ部材84が損傷するのを防止することができる。
【0055】
(変更例)
なお、本発明に係る遊技機の構成としては、前述した実施例に示したものに限らず、種々の変更が可能である。
【0056】
(1) 実施例では、第1の基体としての外枠に複数の係合受け部(外枠係合片)を設けると共に、第2の基体としての中枠に設けた施錠位置および解錠位置に移動可能な作動体(中枠作動体)に、係合受け部に対して係脱可能に係合する複数の係合片(第1中枠係合片)を対応して設けて、各係合片(第1中枠係合片)の夫々を係合位置および強制解除位置に個別に独立して変位し得るよう構成したが、第1の基体および第2の基体としてはこれらの外枠および中枠に限られるものではない。すなわち、中枠を第1の基体とし、前枠を第2の基体として、当該中枠および前枠に係合受け部や作動体、係合片を設けるようにしてもよい。そして、中枠を第1の基体とすると共に外枠を第2の基体としてもよく、前枠を第1の基体とすると共に中枠を第2の基体としてもよい。
(2) 第1の基体および第2の基体としては、外枠、中枠および前枠に限られるものではなく、ヒンジ接続により相対的に開閉可能に支持されると共に、鍵による解錠操作により相対的な開放が許容されるよう構成された2つの部材を、第1の基体および第2の基体とすることができる。例えば、中枠や前枠の枠体に対して球皿部材を開閉可能に設けて、当該球皿部材を、鍵による解錠操作により開放させ得るよう構成した場合には、当該枠体および球皿部材の一方を第1の基体とし、他方を第2の基体とすることができる。同様に、遊技盤を着脱可能に保持する遊技盤保持枠を中枠に対して開閉可能に設けた構成であれば、中枠および遊技盤保持枠の一方を第1の基体とし、他方を第2の基体とすることができる。
(3) 実施例では、作動体に対して上下に離間して2つの係合片(第1中枠係合片)を設けるように構成したが、3つ以上の係合片を設けるようにしてもよい。
(4) 実施例では、作動体(中枠作動体)に対して各係合片(第1中枠係合片)を、支軸を中心に揺動し得るよう構成したが、当該各係合片を上下方向に平行移動し得るよう作動体に設けるようにしてもよい。すなわち、各係合片は、作動体が施錠位置にある状態において、係合受け部に対して係合可能な係合位置と、係合受け部との係合が解除される強制解除位置との間を個別に変位させ得る構成であればよい。
(5) 実施例では、第1の基体に設けられる係合受け部(外枠係合片)を、係合板部と屈曲部とから下方および後方へ開口する箱状に形成したが、下方(係合および係合解除に伴って係合片が移動する方向)にのみ開口する箱状に係合受け部を形成するようにしてもよい。この場合には、係合受け部と対応する係合片との係合箇所全体が囲繞されて、不正器具を用いた不正行為を一層困難にできる。
(6)実施例では、外枠および中枠の左側部、前枠および中枠の左側部の夫々にヒンジ部を設け、右側部側に施錠機構を設けたが、ヒンジ部および施錠機構が左右反対の側部に配置された構成とすることもできる。
(7) 実施例では、パチンコ球を遊技媒体として遊技が行われるパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機(回胴式遊技機)等の各種遊技機を採用し得る。
例えば、スロットマシン機(回胴式遊技機)は、前方へ開口する箱状の筐体に、当該筐体の前方開口を塞ぐ前扉が開閉可能にヒンジ接続され、図柄が配列された複数のリール(回転体)が前側から視認し得るように筐体内部に配設されている。そして、遊技者が所定の開始操作手段(スタートレバー)の操作を行うことを契機にリール(回転体)が回転して図柄が変動開始すると共に、変動ゲームの当否に関連した当否判定を行い、所定の停止操作手段(ストップボタン)の操作を契機に、当否判定に基づく図柄停止制御を実行し、停止した図柄の組合せによって遊技利益が付与される制御される遊技機である。このようなスロットマシン機では、前記筐体および前扉を第1の基体および第2の基体として採用することができる。