特許第6154865号(P6154865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154865
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】発泡性組成物を含む無煙タバコ製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20170619BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   A24B13/00
   A24B15/28
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-185173(P2015-185173)
(22)【出願日】2015年9月18日
(62)【分割の表示】特願2013-528246(P2013-528246)の分割
【原出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2016-27816(P2016-27816A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】12/876,785
(32)【優先日】2010年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594112886
【氏名又は名称】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリツク・テイラー・ハント
(72)【発明者】
【氏名】ダーレル・ユージン・ジユニア・ホルトン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ケリー・セント・チヤールズ
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−511611(JP,A)
【文献】 特開2007−277271(JP,A)
【文献】 特公平08−030005(JP,B2)
【文献】 国際公開第2009/068279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00 − 15/42
A61K 9/00 − 47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性材料を含み、口腔使用に適している無煙タバコ組成物であって、
(i)タバコ材料;および
(ii)酸成分および塩基成分を含む発泡性材料を含み、
酸成分が約2:1から約1:2の重量比のトリカルボン酸およびジカルボン酸の組み合わせを含み、および発泡性材料の量が、組成物の合計乾燥重量を基準にして、少なくとも約10乾燥重量パーセントであり;酸成分の量が、約3から約20乾燥重量パーセントであり;塩基成分が約3から約20乾燥重量パーセントの量で存在する炭酸塩材料および約3から約20乾燥重量パーセントの量で存在する重炭酸塩材料を含み;全パーセントが組成物の合計乾燥重量を基準にしており;および塩基材料が、重炭酸材料が全ての酸成分と反応して二酸化炭素を形成するのに十分であるように、酸成分に対して化学量論量の重炭酸塩材料を含む、組成物。
【請求項2】
トリカルボン酸が、クエン酸である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ジカルボン酸が、酒石酸である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
塩基成分が、炭酸塩材料、重炭酸塩材料、またはこれらの混合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
塩、香味料、甘味料、充填剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、湿潤剤、オーラルケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、粉状化助剤、抗酸化剤、ハーブまたは植物性原料由来添加剤、流動助剤、圧縮助剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の添加剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、所定の形状の圧縮または押し出し製品である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
所定の形状が、ペレット、ロッド、またはフィルムである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、少なくとも1つの発泡性層および少なくとも1つの非発泡性層を含む多層製品である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の合計重量を基準にして、
少なくとも約20乾燥重量パーセントのタバコ材料;
少なくとも約10乾燥重量パーセントの発泡性材料;
少なくとも約0.1乾燥重量パーセントの少なくとも1つの甘味料;
少なくとも約10乾燥重量パーセントの少なくとも1つのフィラー;
少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つのバインダー;
少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つの香味料;および
少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つの流動助剤
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
発泡性材料が、少なくとも1つの炭酸塩または重炭酸塩材料ならびにクエン酸および酒石酸の組み合わせを含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
フィラーが、結晶セルロース、マンニトール、およびマルトデキストリンの内の少なくとも1つを含む請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
外面コーティングをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
外面コーティングがセルロース系ポリマーおよび可塑剤を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
セルロース系ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
可塑剤がモノステアリン酸グリセリンおよびトリエチルクエン酸塩からなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
外面コーティングが、コーティング配合物の合計重量を基準にして、約75重量パーセントまでのフィルム形成ポリマー溶液、約5重量パーセントまでの可塑剤、約5重量パーセントまでの甘味料、および約10重量パーセントまでの1つまたは複数の着色剤を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
タバコ材料が粒子状材料またはタバコ抽出物の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が少なくとも約5kpの硬度を有する圧縮ペレットの形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
硬度が少なくとも約10kpである請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
発泡性材料の量が、組成物の合計乾燥重量を基準にして、少なくとも約15乾燥重量パーセントである請求項に記載の組成物。
【請求項21】
塩基成分の量が、組成物の合計乾燥重量を基準にして、約4から約30乾燥重量パーセントである請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
塩基成分の量が、組成物の合計乾燥重量を基準にして、約5から約25乾燥重量パーセントである請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、タバコから作られるか、もしくはタバコ由来の製品、またはそれら以外の、タバコを含む製品に関し、ヒトによる消費を対象としている。特に、本発明は、無煙型で採用されることが意図されているタバコを含む組成物または配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
紙巻きタバコ、葉巻、およびパイプ煙草は、種々の形態でタバコを用いた、普及喫煙用品である。このような喫煙用品は、タバコを加熱または燃焼して使われ、喫煙者が吸入できるエアロゾル(例えば、煙)を生成する。タバコは、また、いわゆる「無煙」型でも嗜まれる。特に普及している無煙タバコ製品は、ある種の処理タバコまたはタバコ含有配合物として利用者が口に入れることより使用される。無煙タバコの配合物、成分、および処理方法の形態に関しては、例えば、下記特許の記載を参照されたい:米国特許第1,376,586号(Schwartz);同3,696,917号(Levi);同4,513,756号(Pittman et al.);同4,528,993号(Sensabaugh、Jr.et al.);同4,624,269号(Story et al.);同4,991,599号(Tibbetts);同4,987,907号(Townsend);同5,092,352号(Sprinkle、III et al.);同5,387,416号(White et al.);同6,834,654号(Williams);同6,953,040号(Atchley et al.);同7,032,601号(Atchley et al.);および同7,694,686号(Atchley et al.);米国特許公開第2002/0162562号(Williams);同2002/0162563号(Williams);同2003/0070687号(Atchley et al.);同2004/0020503号(Williams);同2005/0115580号(Quinter et al.);同2005/0178398号(Breslin et al.);同2005/0244521号(Strickland et al.);同2006/0191548号(Strickland et al.);同2007/0062549号(Holton、Jr.et al.);同2007/0186941号(Holton、Jr.et al.);同2007/0186942号(Strickland et al.);同2008/0029110号(Dube et al.);同2008/0029116号(Robinson et al.);同2008/0029117号(Mua et al.);同2008/0173317号(Robinson et al.);同2008/0196730号(Engstrom et al.);同2008/0209586号(Neilsen et al.);同2008/0305216号(Crawford et al.);同2009/0065013号(Essen et al.);および同2009/0293889号(Kumar et al.);国際公開第04/095959号(Arnarp et al.);および2009年12月15日出願の米国特許出願第12/638,394号(Mua et al.)。これらの特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。代表的無煙タバコ製品には、R.J.Tobacco CompanyのCAMEL Snus、CAMEL Orbs、CAMEL StripsおよびCAMEL Sticks;U.S.Smokeless Tobacco CompanyのREVEL Mint Tobacco PacksおよびSKOAL Snus;ならびにPhilip Morris USAのMARLBORO SnusおよびTabokaがある。
【0003】
例えば、無煙タバコ製品のような、嗜むことが可能な形態のタバコ製品を提供し、無煙タバコ製品に使用するために適したタバコ含有組成物を調製するプロセスを提供することが望ましと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献2】米国特許第3,696,917号明細書
【特許文献3】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献4】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献5】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献6】米国特許第4,991,599号明細書
【特許文献7】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献8】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献9】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献10】米国特許第6,834,654号明細書
【特許文献11】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献12】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献13】米国特許第7,694,686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2002/0162562号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2002/0162563号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2003/0070687号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2005/0178398号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2005/0244521号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0029117号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献34】国際公開第2004/095959号
【特許文献35】米国特許出願第12/638,394号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、タバコ製品、最も好ましくは、利用者が口に入れることが意図されているか、またはそのように作られている無煙タバコ製品、およびこのような無煙タバコ製品への使用に適した配合物を調製するプロセスに関する。本発明は、タバコ製品、および、特に、ニコチアナ種由来材料(例えば、タバコ由来材料)および発泡性材料を含む無煙タバコ製品、に関する。発泡性は、無煙タバコ製品に特有の嗜好特性を付与し、また、口腔中でのタバコ製品の粉状化を助ける。本発明は、本発明の無煙タバコ製品の発泡性材料としての使用に特に有用な酸および塩基材料、ならびに発泡性材料を製造中に混合するための有用な技術を明らかにする。
【0006】
一態様では、本発明は、口腔使用に適する発泡性無煙タバコ組成物を提供し、その材料は、タバコ材料(例えば、粒子状形態の、またはタバコ抽出物として)ならびに酸成分および塩基成分を含む発泡性材料を含む。酸成分は、典型的には、三塩基酸、例えば、トリカルボン酸、および少なくとも1つの追加の酸、例えば、ジカルボン酸を含む。本発明での使用に適する酸の組み合わせの1例は、クエン酸および酒石酸の組み合わせである。2つの酸の重量比は変わってもよいが、典型的には、約2:1〜約1:2である。発泡性材料として使用される代表的塩基材料には、炭酸塩材料、重炭酸塩材料、またはこれらの混合物が含まれる。他の添加物として、例えば、塩、香味料、甘味料、充填剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、湿潤剤、オーラルケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、粉状化助剤、抗酸化剤、ハーブまたは植物性原料由来の添加剤、流動助剤、圧縮助剤、およびこれらの組み合わせを、発泡性無煙タバコ組成物に混合できる。本発明の発泡性無煙タバコ組成物は、通常、所定の形、例えば、ペレット、ロッド、またはフィルムの形に圧縮または押し出される。
【0007】
一実施形態では、発泡性無煙タバコ組成物は、組成物の合計重量を基準にして、少なくとも約20乾燥重量パーセントのタバコ材料;少なくとも約10乾燥重量パーセントの発泡性材料;少なくとも約0.1乾燥重量パーセントの少なくとも1つの甘味料;少なくとも約10乾燥重量パーセントの少なくとも1つのフィラー;少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つのバインダー;少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つの香味料;および少なくとも約0.5乾燥重量パーセントの少なくとも1つの流動助剤を含む。代表的充填剤には、結晶セルロース、マンニトール、およびマルトデキストリンの内の少なくとも1つが含まれる。本発明の無煙タバコ組成物は、複数の製品ユニットを携帯用無煙タバコ容器に入れてパッケージ化してもよい。
【0008】
特定の実施形態では、無煙タバコ組成物は、外面コーティング、例えば、セルロース系ポリマー、等のフィルム形成ポリマー、および任意選択の可塑剤を含む外面コーティングをさらに含む。他の任意選択のコーティング成分には、香味料、甘味料、着色剤、および塩が含まれる。
【0009】
別の態様では、本発明は、無煙タバコ組成物を作る方法を提供し、その方法は、タバコ材料、酸成分の第1の部分、および任意選択で少なくとも1つの追加の添加剤(例えば、塩、香味料、甘味料、充填剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、湿潤剤、オーラルケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、粉状化助剤、抗酸化剤、ハーブまたは植物性原料由来添加剤、流動助剤、圧縮助剤、およびこれらの組み合わせ)を含む造粒用混合物を調製し;その造粒用混合物をバインダー溶液と混合して造粒し、造粒材料を形成し;その造粒材料を、塩基成分、酸成分の第2の部分、および任意選択で少なくとも1つのさらなる添加剤(例えば、塩、香味料、甘味料、充填剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、湿潤剤、オーラルケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、粉状化助剤、抗酸化剤、ハーブまたは植物性原料由来の添加剤、流動助剤、圧縮助剤、およびそれらの組み合わせ)と混合して発泡性無煙タバコ組成物を形成し;さらに発泡性無煙タバコ組成物を所定の形に成形することを含む。酸成分の第1の部分は、典型的には、無煙タバコ組成物の合計酸成分の約25〜約75乾燥重量パーセントであり、さらに多くの場合、約25〜約50乾燥重量パーセントである。酸成分に加えて、塩基成分もまた、造粒用混合物と最終混合成分の間で分配されても良く、これは、造粒用混合物が少なくとも1つの塩基成分を含んでもよいことを意味する。成形ステップは、通常、発泡性無煙タバコ組成物の所定の形状への圧縮または押し出しを伴う。任意選択で、方法には、成形ステップ後、無煙タバコ組成物に外面コーティングの塗布をさらに含んでもよい。
【0010】
一実施形態では、造粒用混合物は、充填剤、結合剤、甘味料、着色剤、および/または圧縮助剤からなる群より選択される1つまたは複数の添加剤を含み、さらに、混合ステップで使われる添加剤には、1つまたは複数の香味料および/または流動助剤が含まれる。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、多層製品、およびこのような製品を製造するプロセスを提供し、その多層製品は、少なくとも1つの発泡性層および少なくとも1つの非発泡性層を含む。例えば、回転造粒(rotor granulation)設備を使ってこのような製品を製造する方法は、以下のステップを含んでもよい:
(i)実質的に球形(例えば、圧縮性粉末材料で、例えば、約600μ〜約3,000μの直径を有する結晶セルロース、塩または糖)のコア材料を提供し;
(ii)第1の粉末コーティング材料およびバインダー溶液をコア材料に塗布して第1のコーティング層を形成し;および
(iii)第2の粉末コーティング材料およびバインダー溶液を第1のコーティング層に塗布して第2のコーティング層を形成し、第1と第2のコーティング層の内の1つが、非発泡性であり、タバコ材料(例えば、コーティング組成物が、タバコ材料、1つまたは複数の充填剤、および少なくとも1つの香味料または甘味料を含む)を含み、さらに第1と第2のコーティング層の内のもう1つが、発泡性材料(例えば、コーティング組成物が、炭酸塩材料、重炭酸塩材料、酸成分、1つまたは複数の充填剤、および任意選択でタバコ材料を含む)を含む。
【0012】
2つの粉末コーティング材料は、典型的には、約10〜約100μの範囲の粒径を持つ。バインダー溶液は、通常、フィルム形成ポリマー、例えば、ポビドンまたはヒドロキシプロピルセルロースを含む水性またはアルコールベースの溶液である。目的の製品寸法が得られるまで任意の順で追加の発泡性および非発泡性層を塗布して、所望により、層形成プロセスを繰り返してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、以降でさらに完全に記載する。しかし、本発明は、多くの異なる形式で例示できるものであり、本明細書で述べられる実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が充分に完全になるように、かつ、本発明の範囲が当業者に理解されるように提供される。本明細書と請求項で使われる単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに別義が示されない限り、複数の参照対象を含む。「乾燥重量パーセント」または「乾燥重量基準」への言及は、乾燥成分(すなわち、水を除く全成分)を基準にした重量を意味する。
【0014】
本発明は、タバコ材料および発泡性材料を含む、口腔へ入れるのに適した無煙タバコ製品を提供する。発泡性材料は、通常、水性の環境下で反応して、ガスを生成することが可能な、2つ以上の成分の組み合わせである。生じたガスは、典型的には、二酸化炭素であるが、ヒトの消費に対し安全な、例えば、酸素、等の他のガスを生成する反応性物質の組み合わせも可能である。発泡性材料の存在により、口腔での無煙タバコ製品の粉状化を助け、さらに、製品に、特に、味と口当たりの観点から、特有の嗜好特性を付与する。発泡性材料の使用は、例えば、下記の特許に記載されている:米国特許第4,639,368号(Niazi et al.);同5,178,878(Wehling et al.);同5,223,264号(Wehling et al.);同6,974,590号(Pather et al.);および同7,381,667号(Bergquist et al.)、ならびに、米国特許公開第2006/0191548号(Strickland et al.);同2009/0025741号(Crawford et al);同2010/0018539号(Brinkley et al.);および同2010/0170522号(Sun et al.);ならびに国際公開第97/06786号(Johnson et al.)。これらの特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0015】
一実施形態では、発泡性材料は、反応して二酸化炭素を放出できる少なくとも1つの酸(またはその無水物もしくは塩)および少なくとも1つの塩基を含む反応性の対である。複数の酸および複数の塩基は、同じ製品中で組み合わされて所望の反応を起こすことができる。
【0016】
特定の実施形態では、発泡性材料の酸成分は、約2〜約12炭素原子を有するカルボン酸(例えば、C2〜C10またはC2〜C8またはC2〜C6カルボン酸)から選択され、カルボン酸は、一塩基または多塩基(例えば、ジカルボン酸またはトリカルボン酸)である。代表的有機酸には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。代表的な酸塩には、ナトリウム塩、カルシウム塩、二水素リン酸塩、および二ナトリウム二水素ピロ燐酸塩が含まれる。
【0017】
一実施形態では、酸の組み合わせが利用され、少なくとも1つの酸は、多塩基酸、例えば、ジカルボン酸(酒石酸)またはトリカルボン酸(例えば、クエン酸)である。また、ジカルボン酸およびトリカルボン酸の組み合わせ、例えば、酒石酸およびクエン酸の組み合わせも、本発明の使用に適する。クエン酸は、特に有用な酸成分である。理由は、全体の無煙タバコ組成物に対し一定の粘着性または結合効果を付与するからである。
【0018】
代表的塩基には、炭酸塩および重炭酸塩材料、特に、それらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩が含まれる。本発明で使用可能な炭酸塩および重炭酸塩ベース材料には、ナトリウム炭酸塩、ナトリウム重炭酸塩、カリウム炭酸塩、カリウム重炭酸塩、マグネシウム炭酸塩、カルシウム炭酸塩、ナトリウムセスキ炭酸塩、ナトリウムグリシン炭酸塩、リシン炭酸塩、およびアルギニン炭酸塩が含まれる。
【0019】
製品中の合計発泡材料(すなわち、ガスを生成する全反応性材料)の量は、変わってもよい。このような材料の量は、口腔中に置かれた場合に発泡させるのに充分な量でなければならない。発泡性材料の量は、通常、無煙タバコ組成物の合計重量を基準にして、約5〜約50乾燥重量パーセント、多くの場合、約8〜約30乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約10〜約25乾燥重量パーセント(例えば、約10、約12、約14、約16、約18、約20、または約22乾燥重量パーセント)である。一部の実施形態では、発泡性材料の量が、少なくとも約10乾燥重量パーセント、または少なくとも約15乾燥重量パーセント、または少なくとも約20乾燥重量パーセント、または少なくとも約25乾燥重量パーセント、であることを特徴としてもよい。一部の実施形態では、発泡性材料の量が約50乾燥重量パーセント未満、約40乾燥重量パーセント未満、約35乾燥重量パーセント未満、または約30乾燥重量パーセント未満であることを特徴としてもよい。
【0020】
特定の実施形態では、酸および塩基成分の間の反応が完全に進行することが望ましい。このような結果を確実にするために、酸と塩基の適切な量を調節し、必要な等価量が存在するようにできる。例えば、二塩基酸が使用される場合は、二反応性塩基を凡そ等量で使用するか、または一反応性塩基を酸の凡そ2倍量で使用することができる。あるいは、酸または塩基が、単に発泡性を与えること以上に、無煙タバコ組成物の嗜好特性に対し独立した効果を与えることが意図されている場合は、特に、過剰量の酸または塩基を使用することもできる。
【0021】
製品中の発泡性材料の酸成分の量は、変わってもよいが、通常は、約1〜約25乾燥重量パーセント、多くの場合、約3〜約20乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約5〜約15乾燥重量パーセント(例えば、約6、約7、約8、約9、約10、約11、または約12乾燥重量パーセント)である。2つの酸の組みあわせが利用される実施形態では、各酸は、通常、約2:1〜約1:2(例えば、約1.5:1〜約1:1.5または約1:1)の重量比で存在する。3つ以上の酸が利用される場合は、各酸は、通常、酸の合計重量を基準にして、約10〜約35乾燥重量パーセントの量で存在する。
【0022】
製品中の発泡性材料の塩基成分(例えば、炭酸塩または重炭酸塩材料)の量は、変わってもよいが、通常は、約4〜約30乾燥重量パーセント、多くの場合、約5〜約25乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約8〜約20乾燥重量パーセント(例えば、約8、約10、約12、約14、約16、約18、または約20乾燥重量パーセント)である。特定の実施形態では、本発明の製品は、炭酸塩成分および重炭酸塩成分の両方を含む。このような実施形態に対し、炭酸塩材料の量は変わってもよいが、通常は、約3〜約20乾燥重量パーセント、多くの場合、約5〜約15乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約8〜約15乾燥重量パーセント(例えば、約8、約9、約10、約11、約12、約13、または約14乾燥重量パーセント)である。重炭酸塩材料の量は変わってもよいが、通常は、約3〜約20乾燥重量パーセント、多くの場合は、約5〜約15乾燥重量パーセント、最も多くの場合は、約8〜約15乾燥重量パーセント(例えば、約8、約9、約10、約11、約12、約13、または約14乾燥重量パーセント)である。
【0023】
炭酸塩および重炭酸塩成分の組み合わせが望ましい可能性がある。理由は、重炭酸塩材料は、発泡反応に関しては非常に反応性が高いが、他方、好ましい製品pH領域で効果的緩衝剤ではないからである。従って、重炭酸塩および炭酸塩材料の両方を利用する特定の実施形態では、重炭酸塩量を発泡性材料の酸成分に化学量論的に合わせ、炭酸塩材料を主要緩衝剤として使用するのが好都合である。この方式では、炭酸塩材料は、限られた程度で発泡性反応に寄与することが期待できるが、重炭酸塩材料は、利用可能酸成分と完全に反応するのに十分な量で存在し、炭酸塩材料は、所望のpH領域を与えるのに充分な量で存在する。
【0024】
本発明の製品は、いくつかの形態の植物のニコチアナ種を含み、最も好ましくは、これらの組成物または製品は、いくつかの形態のタバコを含む。ニコチアナ種の選択は多様であってよく、特に、タバコまたはタバコ(複数)の型の選択は、種々あってよい。採用可能なタバコには、フル−・キュアード(flue−cured)またはバージニアたばこ(例えば、K326)、バレー種の葉タバコ、サン・キュアード(sun−cured)(例えば、Katerini、Prelip、Komotini、XanthiおよびYambolタバコ、等を含むIndian Kurnoolおよびオリエンタルタバコ)、メリーランドタバコ、ダーク、ダーク・ファイヤード(dark−fired)、ダーク・エアー・キュアード(dark air cured)(例えば、Passanda、Cubano、JatinおよびBezukiタバコ)、ライト・エアー・キュアード(light air cured)(例えば、North WisconsinおよびGalpaoタバコ)、インディアン・エアー・キュアード(Indian air cured)、レッド・ロシアン(Red Russian)およびルスチカタバコ(Rustica tobacco)、ならびに種々の他の希有なまたは特殊タバコおよび前出タバコのいずれかの種々のブレンド、が含まれる。種々のタバコのタイプ、育成法および採取法の説明は、タバコ生産、化学と技術(Tobacco Production、Chemistry and Technology)、Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。他の種々の代表的なタイプのニコチアナ種由来の植物は、Goodspeed、ニコチアナ属(The Genus Nicotiana)、(Chonica Botanica)(1954);米国特許第4,660,577号(Sensabaugh、Jr.et al.);同5,387,416号(White et al.)および同7,025,066号(Lawson et al.);米国特許公開第2006/0037623号(Lawrence、Jr.)および2008/0245377号(Marshall et al.)、に記載されている。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。代表的ニコチアナ種には、N.tabacum、N.rustica、N.alata、N.arentsii、N.excelsior、N.forgetiana、N.glauca、N.glutinosa、N.gossei、N.kawakamii、N.knightiana、N.langsdorffi、N.otophora、N.setchelli、N.sylvestris、N.tomentosa、N.tomentosiformis、N.undulata、N.xsanderae、N.africana、N.amplexicaulis、N.benavidesii、N.bonariensis、N.debneyi、N.longiflora、N.maritina、N.megalosiphon、N.occidentalis、N.paniculata、N.plumbaginifolia、N.raimondii、N.rosulata、N.simulans、N.stocktonii、N.suaveolens、N.umbratica、N.velutina、N.wigandioides、N.acaulis、N.acuminata、N.attenuata、N.benthamiana、N.cavicola、N.clevelandii、N.cordifolia、N.corymbosa、N.fragrans、N.goodspeedii、N.linearis、N.miersii、N.nudicaulis、N.obtusifolia、N.occidentalissubsp.Hersperis、N.pauciflora、N.petunioides、N.quadrivalvis、N.repanda、N.rotundifolia、N.solanifolia、およびN.spegazzinii、が含まれる。
【0025】
ニコチアナ種は、遺伝子組換えまたは交雑技術を使って得ることができる(例えば、タバコ植物は、遺伝的操作または交雑されて、成分、特性または属性を高める、または低下させることができる)。例えば、米国特許第5,539,093号(Fitzmaurice et al.);同5,668,295号(Wahab et al.);同5,705,624号(Fitzmaurice et al.);同5,844,119号(Weigl);同6,730,832号(Dominguez et al.);同7,173,170号(Liu et al.);同7,208,659号(Colliver et al.)および同7,230,160号(Benning et al.);米国特許公開第2006/0236434号(Conkling et al.);および国際公開第2008/103935号(Nielsen et al.)、に記載の植物の遺伝子組換えのタイプを参照されたい。
【0026】
無煙および喫煙タバコ製品の調製のために、通常、採取ニコチアナ種植物は、乾燥プロセスに供される。各種タバコに対する種々のタイプの乾燥プロセスについては、タバコ生産、化学と技術(Tobacco Production、Chemistry and Technology)、Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。フル−・キュアードタバコを乾燥するための代表的技術と条件は、Nestor et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、20、467−475(2003)および米国特許第6,895,974号(Peele)に記載されている.これらは、参照により本明細書に組み込まれる。自然乾燥タバコ用の代表的技術と条件は、米国特許第7,650,892号(Groves et al.);Roton et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、305−320(2005)およびStaaf et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、321−330(2005)、に記載されている。これらは参照により本明細書に組み込まれる。特定のタイプのタバコは、別のタイプの乾燥プロセス、例えば、火力乾燥または自然乾燥に供することができる。乾燥した採取タバコは、次に、熟成するのが好ましい。従って、タバコ組成物または製品の調製に使用されるタバコは、乾燥し、熟成されているタバコの成分を組み込むのが最も好ましい。
【0027】
ニコチアナ種植物の少なくとも一部(例えば、タバコの少なくとも一部)を、未熟形態で採用してもよい。すなわち、植物、またはその植物の少なくとも1つの部分を、通常、熟成(ripe)または熟成(mature)していると見なされる段階に達する前に、採取できる。従って、例えば、タバコは、タバコ植物が、発芽しつつある、葉形成開始している、開花開始している、等の時点で採取できる。
【0028】
ニコチアナ種植物の少なくとも一部(例えば、タバコの少なくとも一部)を、熟成形態で採用してもよい。すなわち、植物、またはその植物の少なくとも1つの部分を、その植物(またはその部分)が、熟成(ripe)、過熟または熟成(mature)していると通常見なされる時点に達するときに採取できる。従って、例えば、従来から農業従事者により採用されているタバコ採取技術を使用して、オリエンタルタバコ植物を採取でき、バレー種の葉タバコ植物を採取でき、またはバージニアタバコの葉を、茎の位置に沿って、採取または収穫できる。
【0029】
採取後、ニコチアナ種植物、またはその一部は、未乾燥形態で使用可能である(例えば、タバコは、どのような乾燥プロセスに供することもなく使用可能である)。例えば、未乾燥形態のタバコは、凍結され、照射に曝され、黄変させ、乾燥し、調理され(例えば、焼かれ、油で揚げられ、またはゆでられ)てもよく、あるいは、貯蔵され、または後の使用のために処理されてもよい。また、このようなタバコを、熟成条件に供してもよい。
【0030】
タバコ材料は、通常、細断、粉砕、造粒、微粒化、または粉末形態として記載できる形で使用される。細かく分割された、または粉末化された形でタバコ材料を提供する方法は多様であってよい。植物の部分または小片は、粉砕、ミリング、等用の設備と技術を使って粒子形状に細分化され、粉砕され、または粉末化されているのが好ましい。植物材料は、設備、例えば、ハンマーミル、カッターヘッド、エアーコントロールミル、等を使って粉砕またはミリングの間、相対的に乾燥状態であることが最も望ましい。タバコ材料は、通常、約10〜約100μ、多くの場合、約20〜約75μ、最も多くの場合、約25〜約50μの平均粒形である。
【0031】
タバコ組成物または製品に採用されるタバコ材料の少なくとも一部は、抽出物の形態であってもよい。タバコ抽出物は、例えば、蒸留水または水道水等の水性の特性を有する溶媒を使ってタバコを抽出することにより得ることができる。従って、水性のタバコ抽出物は、タバコを水で抽出し、水性溶媒から、水に不溶性のパルプ材料、その中に溶解し分散した水溶性および分散可能タバコ成分を分離できる。タバコ抽出物は、種々の形態で採用可能である。例えば、水性タバコ抽出物は、基本的に無溶媒形態で単離でき、例えば、スプレー乾燥もしくは冷凍乾燥プロセス、または他の類似の処理ステップの使用の結果として得ることができる。あるいは、水性タバコ抽出物は、液体の形態で採用でき、従って、液体溶媒中に可溶のタバコ含量は、抽出用に採用された溶媒の量、溶媒の除去による液体タバコ抽出物の濃度、液体タバコ抽出物を希釈するための溶媒の添加、等の選択により制御できる。タバコ成分の代表的抽出技術は、下記の特許に記載されている:米国特許第4,144,895号(Fiore);同4,150,677号(Osborne、Jr.et al.);同4,267,847号(Reid);同4,289,147号(Wildman et al.);同4,351,346号(Brummer et al.);同4,359,059号(Brummer et al.);同4,506,682号(Muller);同4,589,428号(Keritsis);同4,605,016号(Soga et al.);同4,716,911号(Poulose et al.);同4,727,889号(Niven、Jr.et al.);同4,887,618号(Bernasek et al.);同4,941,484号(Clapp et al.);同4,967,771号(Fagg et al.);同4,986,286号(Roberts et al.);同5,005,593号(Fagg et al.);同5,018,540号(Grubbs et al.);同5,060,669号(White et al.);同5,065,775号(Fagg);同5,074,319号(White et al.);同5,099,862号(White et al.);同5,121,757号(White et al.);同5,131,414号(Fagg);同5,131,415toMunoz et al.);同5,148,819号(Fagg);同5,197,494号(Kramer;5,230,354号(Smith et al.);同5,234,008号(Fagg);同5,243,999号(Smith);同5,301,694号(Raymond et al.);同5,318,050号(Gonzalez−Parra et al.);同5,343,879号(Teague);同5,360,022号(Newton);同5,435,325号(Clapp et al.);同5,445,169号(Brinkley et al.);同6,131,584号(Lauterbach);同6,298,859号(Kierulff et al.);同6,772,767号(Mua et al.);および同7,337,782号(Thompson)。これらの特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
タバコ材料は、低温殺菌処理または他の適切な熱処理プロセスステップに供してもよい。典型的な低温殺菌プロセス条件は、タバコ材料を、最も好ましくは湿潤形態で、熱処理にかけることを含む。熱処理は、密封容器(例えば、制御雰囲気環境、制御雰囲気成分、および制御気圧を与えるもの)中、または基本的に外気に開かれた容器中で、行ってもよい。タバコ材料を充分に高温で、充分に長い時間曝すことにより行われる熱処理は、組み合わされた材料の全体特性または特質を、所望の程度に変える能力を有する。例えば、熱処理は、所望の色または視覚的特性をタバコ材料に、所望の感覚特性をタバコ材料に、または所望の物理的性質もしくは組織をタバコ材料に付与するために使用できる。さらに、熱処理は、タバコ材料に、低温殺菌処理タイプに特有の処理を受けさせる。従って、特定のタイプと量の胞子、カビ、微生物、細菌、等は、不活性化されるか、またはそれにより生成される酵素は、変性、あるいは不活性化されうる。不活性化された、あるいは、効果的に数が減らされた特定の成分は、タバコ特異的ニトロソアミンの形成を促進する能力を有する生物学的因子(例えば、酵素)である。低温殺菌技術は、例えば、米国食品医薬品局および米国農務省のウエブサイトで記載されている。代表的なタイプの低温殺菌設備、方法およびプロセス条件は、また、米国特許公開第2009/0025738号(Mua et al.)および同2009/0025739号(Brinkley et al.)に記載されている。これらの特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。所望に応じ、タバコ材料を、低温殺菌処理の利点を得るために充分な照射に曝してもよい。
【0033】
一実施形態では、湿潤タバコ材料は、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価および三価の陽イオンを含む組成物、アスパラギナーゼ、特定の非還元性糖類、特定の還元剤、フェノール性化合物、少なくとも1つの遊離チオール基または官能性を有する特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される1つまたは複数の添加物とタバコ材料を混合後、熱処理(例えば、少なくとも約100℃の温度で湿潤タバコ材料を加熱)を受ける。このような熱処理プロセスは、2009年6月2日出願の米国特許出願第12/476、621号(Chen et al.)に記載されている。本特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0034】
無煙タバコ製品中のタバコ材料の量は、変わってもよいが、通常、タバコ材料が主要成分である。代表的重量範囲は、約10〜約80乾燥重量パーセント、多くの場合、約20〜約60乾燥重量パーセント、さらに多くの場合、約25〜約40乾燥重量パーセントである。一部の実施形態では、タバコ材料の量が、少なくとも約10乾燥重量パーセント、または少なくとも約20乾燥重量パーセント、または少なくとも約25乾燥重量パーセント、または少なくとも約30乾燥重量パーセントであることを特徴としてもよい。一部の実施形態では、タバコ材料の量が、約80乾燥重量パーセント未満、約60乾燥重量パーセント未満、約50乾燥重量パーセント未満、または約40乾燥重量パーセント未満であることを特徴としてもよい。
【0035】
さらなる添加物を、本発明の無煙タバコ組成物または配合物の主剤を形成するタバコ材料と発泡性材料の混合物に混入、あるいは取り込んでもよい。添加物は、人工でも、またはハーブもしくは生物学的原料から得るか、もしくはそれに由来してもよい。代表的な添加物タイプには、以下が含まれる:塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ナトリウムクエン酸塩、カリウムクエン酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、等)、天然甘味料(例えば、果糖、ショ糖、ブドウ糖、マルトース、バニリン、エチルバニリングルコシド、マンノース、ガラクトース、ラクトース、等)、人工甘味料(例えば、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセサルフェームK、ネオテーム、等)、有機および無機充填剤(例えば、穀物、加工穀物、膨らませた穀物、マルトデキストリン、デキストロース、カルシウム炭酸塩、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、糖アルコール、例えば、イソマルト、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、またはソルビトール、細分割セルロース、CARBOPOL(登録商標)ポリマー、等)、結合剤(例えば、ポビドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび他の修飾セルロース型結合剤、アルギン酸ナトリウム、ザンタンガム、デンプンベース結合剤、アラビアゴム、レシチン、等)、pH調整剤または緩衝剤(例えば、金属水酸化物、好ましくはアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、ならびに他のアルカリ金属緩衝液、例えば、金属炭酸塩、好ましくはカリウム炭酸塩もしくはナトリウム炭酸塩、または金属重炭酸塩、例えば、ナトリウム重炭酸塩、等)、着色剤(例えば、カラメル着色剤、二酸化チタニウム、等を含む染料および顔料)、湿潤剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、等)、オーラルケア添加剤(例えば、サイム油、ユーカリ油、および亜鉛)、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム、等)、シロップ剤(例えば、蜂蜜、高果糖コーンシロップ、等)、粉状化または圧縮助剤(例えば、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、プレゼラチン化コーンスターチ、等)、香味料および調味料混合物、脂質、例えば、可溶脂質またはオイル、抗酸化剤、ならびにこれらの混合物。所望に応じ、添加剤は、米国特許公開第2008/0029110号(Dube et al)に記載のように、カプセル化できる。この特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
上述のタイプの添加物は、一緒に(例えば、添加配合物として)、または別々に(例えば、個別添加成分を最終タバコ製品の調製に関与する異なる段階で添加してもよい)採用することができる。無煙タバコ配合物中の種々の成分の相対的量は、変わってもよいが、通常、タバコ製品に所望の感覚性および性能特性を与えるように選択される。
【0037】
代表的緩衝剤には、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、およびこれらの混合物が含まれる。本明細書で記載のように、炭酸塩および重炭酸塩材料は、また、本発明の組成物中の発泡性材料の一部としても有用である。緩衝液またはpH調整剤としての使用に対する所望に応じ、このような材料の補足量を、所望のレベルの発泡を得るための必要量を超えて使用できる。代表的緩衝液は、実質的に全てのナトリウム炭酸塩から構成でき、さらに別の代表的緩衝液は、実質的に、全てのナトリウム重炭酸塩から構成できる。特定の実施形態では、緩衝液またはpH調整成分は、約1〜約15乾燥重量パーセント、多くの場合、約5〜約12乾燥重量パーセント、さらに多くの場合、約6〜約10乾燥重量パーセントの量で存在する。
【0038】
本明細書で使われる「香味料(flavorant)」または「香味剤(flavoring agent)」は、無煙タバコ組成物に関連する感覚特性を変えることができる、味わいのある、または芳香性物質である。香味料により改善されうる代表的感覚特性には、味、口当たり、湿り気、冷たさ/熱さ、および/または香気(fragrance)/芳香(aroma)が含まれる。香味料は、天然でも合成でもよく、これらの着香料の特性は、限定されないが、新鮮さ、甘さ、ハーブ、糖菓、花、果物またはスパイスの風味として記載できる.特定のタイプの着香料には、限定されないが、バニラ、コーヒー、チョコレート、クリーム剤、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ラベンダー、ショウズク、ナツメグ、シナモン、チョウジ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、ジャスミン、ショウキョウ、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、サクランボ、およびイチゴ、が含まれる。本発明で使用される香味料は、また、給湿、冷却またはユーカリ等の滑らかにする薬剤、とみなされる成分を含んでもよい。これらの着香料は、純粋状態で(すなわち、単独で)、または複合物(例えば、スペアミントおよびメントールまたはオレンジおよびシナモン)として提供されてもよい。香味料は、通常、約0.5〜約10乾燥重量パーセント、多くの場合、約1〜約6乾燥重量パーセント、最も多くは、約2〜約5乾燥重量パーセントの量で存在する。
【0039】
甘味料は、天然または人工の形態で、または人工および天然甘味料の組み合わせで、使用可能である。一実施形態では、スクラロースが、主要甘味料成分である。甘味料の量は、通常、約0.1〜約10乾燥重量パーセント、多くの場合、約0.5〜約6乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約1〜約4乾燥重量パーセントである。
【0040】
着色剤または着色剤混合物が含まれる場合には、最終製品の所望の着色を得るのに必要な量で存在する。着色剤の量は、通常、約0.1〜約10乾燥重量パーセント、多くの場合、約0.5〜約5乾燥重量パーセント、最も多くは、約1〜約4乾燥重量パーセントである。
【0041】
本発明の無煙タバコ組成物は、通常、少なくとも1つのフィラー成分を含む。このような組成物の成分は、質感や口当たり等の特定の嗜好特性を高める、製品の接着性または圧縮性を高める等の、複数の機能を果たすことが多い。本発明特定の実施形態では、フィラー成分の組み合わせ、例えば、結晶セルロース、マンニトール、およびマルトデキストリンの混合物が利用される。1つまたは複数の充填剤が存在する場合は、通常、約5〜約60乾燥重量パーセント、多くの場合、約10〜約35乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約20〜約30乾燥重量パーセントの量である。
【0042】
また、バインダー成分、例えば、ポビドンは、配合物に添加して、全体配合物の接着性を高めることができる。バインダー成分は、固形粒子状として、または溶媒中に溶解して添加できる。バインダーが存在する場合には、通常、約0.5〜約15乾燥重量パーセント、多くの場合、約1〜約10乾燥重量パーセント、最も多くの場合、約2〜約8乾燥重量パーセントの量である。
【0043】
無煙タバコ製品下流処理、例えば、造粒または混合の必要な場合は、また、材料に流動助剤を添加して、無煙タバコ材料の流動性を高めることもできる。代表的流動助剤には、結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、亜鉛ステアリン酸塩、カルナウバ蝋、およびこれらの組み合わせが含まれる。流動助剤が存在する場合、代表的な量は、配合物の合計乾燥重量の少なくとも約0.5パーセントまたは少なくとも約1パーセントを配合してもよい。配合物中の流動助剤の量は、配合物の合計乾燥重量の約5パーセントを超えないのが好ましく、多くの場合、約3パーセントを超えないであろう。
【0044】
無煙タバコ製品の種々の成分を組み合わせる方法は、多様であってよい。製品の種々の成分を、円錐型ブレンダー、混合ドラム、リボンブレンダー、等の中で一緒に接触させ、組み合わせ、混合することができる。従って、種々成分の全体の混合物は、相対的に均質な性質である可能性がある。また、例えば、米国特許公開第2005/0244521号(Strickland et al.)および同2009/0293889号(Kumar et al.)に記載の種々の方法を参照されたい。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
本発明の無煙タバコ製品は、丸剤、錠剤、球状、ストリプ、フィルム、シート、コイン状、立方体、ビーズ型、卵形、立体楕円、円柱、豆型、スティック、またはロッド、等の種々の形状に成形できる。製品の断面形状は、多様であってもよく、代表的断面形状には、円、正方形、卵型、矩形、等が含まれる。このような製品形状は、移動ベルト、ニップ、押出機、造粒装置、圧縮装置、等の設備を使って、種々の方法で形成できる。
【0046】
本発明の代表的無煙タバコ製品形状には、以下のものが含まれる:ペレット化タバコ製品(例えば、粉末化または処理タバコ、例えば、所望形状に成形されたものから製造された圧縮または型成形ペレット)、タバコの押し出または鋳込み小片(例えば、所望形状に成形された多層フィルムを含むストリプ、フィルムまたはシートとして)、固体マトリックスにより保持されているタバコを組み込んだ製品(例えば、マトリックス材料は、食用穀物から非食用セルロース系スティックまでの範囲に及ぶ)、押し出しまたは成形タバコ含有ロッドまたはスティック、外殻領域と内部芯領域を有するタバコ含有カプセル様材料、ストロー様(例えば、中空形成)タバコ含有形状、タバコ含有サシェまたは小包(例えば、スヌース様製品)、タバコ含有ガム小片、テープ様フィルムロール、水易溶解性または水分散性フィルムまたはストリップ(例えば、米国特許公開第2006/0198873号(Chan et al.)参照)、または外殻(例えば、柔軟、または堅い外殻で、透明、無色、半透明でも、高度に着色されていてもよい)とタバコまたはタバコ風味(例えば、何らかの形態のタバコを含むニュートン流体またはチクソトロピック流体)を有する内部領域を持つカプセル様材料、等。
【0047】
ロッドおよび立方体、等の形状は、最初に所望の断面(例えば、丸または正方形)を有するダイを通して材料を押し出し、その後、任意選択で、押し出した材料を所望の長さに切断して成形できる。本発明での使用に適する代表的押し出し設備には、産業用パスタ押出機、例えば、Emiliomiti、LLC of Italyから入手可能な、モデルTP200/300が含まれる。シート様材料は、タバコ組成物を移動ベルト上に置き、移動ベルトを反対側のローラーにより形成されたニップを通過させ、続けて、シートを所望の長さに切断することにより調製でできる。
【0048】
特定の好ましい実施形態では、無煙タバコ製品は、圧縮または型成形ペレットの形であるが、ペレットは、従来の丸剤または錠剤形状を含む種々の形状のいずれであってもよい。代表的ペレット寸法には、約3mm〜約20mmの範囲、さらに典型的には、約5〜約12mmの範囲の長さおよび幅を有するペレットが含まれる。代表的ペレット重量は、約250mg〜約600mg、さらに典型的には、約300mg〜約450mgの範囲である。圧縮無煙タバコペレットは、造粒タバコおよび関連配合成分をペレット形状に圧縮して、任意選択で、上塗り材料で各ペレットをコーティングして作ることができる。代表的造粒装置は、FL−Mシリーズ造粒設備(例えば、FL−M−3)として、また、Alexanderwerk、Inc.からWP120VおよびWP200VNとして入手可能である。代表的圧縮装置、例えば、圧縮プレスは、Vector CorporationからColton2216およびColton2247として、また、Fette Compactingから1200i、2200i、3200、2090、3090および4090として、入手可能である。圧縮ペレット化タバコ配合物に外殻コーティング層を付与する装置は、Thomas EngineeringからCompuLab24、CompuLab36、Accela−Cota48およびAccela−Cota60として、入手可能である。
【0049】
一実施形態では、圧縮ペレットを作るプロセスは、最初にタバコ含有造粒用混合物を形成し、バインダー溶液の添加によりその混合物を造粒して中間造粒製品を製造し、その後、造粒粉を第2の組成物と混合し、最終ペレット用組成物を形成することを含む。最終ペレット組成物は、次に、ペレット形状に圧縮され、任意選択で、コーティングされる。タバコ含有造粒用混合物は、通常、タバコ材料、発泡性材料の酸成分の第1の部分(例えば、クエン酸および酒石酸の混合物の第1の部分)、任意選択で、発泡性材料の塩基成分の第1の部分(例えば、炭酸塩材料)、および任意選択で、1つまたは複数の結合剤、充填剤、甘味料、香味料、着色剤、圧縮助剤、または他の添加物を含む。塩基成分が造粒用混合物
に添加される場合には、炭酸塩材料(重炭酸塩とは対照的に)のみを使って、酸成分内の塩基成分の反応性を低減させるのが、好都合である。製造中、組成物を相対的に不活性の状態に維持するのが望ましく、それにより、最終製品中に発泡効果が保持される。重炭酸塩ベース材料は、酸との反応性がより高く、湿気の存在下で起沸し、従って、製品中での早発性の反応に繋がる可能性がある。造粒用混合物は、通常、比較的に乾生であり、液体成分が導入されず、代わりに、混合物は、基本的に全乾燥粉成分を含むことを意味する。造粒材料は、バインダー溶液と混合し(例えば、バインダー溶液を造粒機中にスプレーすることにより、)、所望の粒径、例えば、約100〜約200μに造粒される。当技術分野で理解されているように、バインダー溶液は、乾燥粉造粒用混合物のより大きな顆粒への凝集を促進する。
【0050】
造粒プロセスで使用されるバインダー溶液は、結合剤、特に高分子結合剤、例えば、ポビドンまたはヒドロキシプロピルセルロースを含むいずれの水性またはアルコールベース溶液でもよく、また、本明細書で考察されたいずれかの添加物、例えば、マンニトール、マルトデキストリン、タバコ材料、甘味料、香味料、および発泡性材料を含むほかの添加物を含んでもよい。バインダー溶液は、通常、約5〜約20パーセント(w/w)の固形分含量を有し、好ましい溶剤には、水およびエタノールが含まれる。造粒プロセスで使われるバインダー溶液は、造粒用混合物内で顕著な早発性発泡を起こすことの無い、事実上水性であってよい。いずれか特定の理論に拘泥する意図はないが、プロセス中のこの段階で、有害な結果も無く水性の溶液を使用する能力は、造粒用混合物中の塩基成分として炭酸塩材料のみの使用に関連している可能性がある。炭酸塩材料は、水の存在下で酸材料と反応して発泡するが、炭酸塩材料は、重炭酸塩材料ほど反応性が高くない。
【0051】
造粒後、顆粒は、典型的には、約7.0重量パーセント未満、より典型的には、約6.5重量パーセント未満、また、多くの場合、約6.0重量パーセント未満(例えば、約4.0〜約7.0重量パーセントの範囲)の湿度レベルに好都合に乾燥される。代表的湿度レベルは、約5.5重量パーセントである。
【0052】
乾燥顆粒は、次に、発泡性材料の酸成分の第2の部分(例えば、クエン酸および酒石酸の混合物の第2の部分)、発泡性材料の塩基成分(例えば、重炭酸塩材料)、ならびに任意選択で、1つまたは複数の結合剤、充填剤、甘味料、香味料、着色剤、流動助剤、または他の添加物を含む無煙タバコ製品の残りの所望の成分と混合される。造粒された材料と残りの成分の混合は、造粒機またはいずれかの他の混合装置を使って行うことができる。最終混合された材料は、その後、従来の錠剤化技術を使って圧縮される。
【0053】
発泡性材料の酸成分の2つの部分への分割が、製品特性に有用な効果を与えることが明らかになった。いずれか特定の操作理論に拘泥する意図はないが、少なくとも一部の酸成分を取り込むことは、凝集/造粒プロセスの間に、増加した安定性を混合物に付与すると考えられている。造粒用混合物中の酸の存在は、最終製品の感覚特性を高めると考えられており、これは最終製品中の酸のより良好な分散および初期の酸性の味覚の制限が理由である可能性が最も高い。
【0054】
別の態様では、本発明は、回転造粒機を使って形成されたペレットを提供し、この装置では、乾燥粉層は、実質的に球状のコア材料上に積み重ねられ、凡そ球状のペレット製品を形成する。コア材料は変わってもよいが、通常は、圧縮性粉末材料、例えば、結晶セルロース、糖、または塩を含む。コア材料は、所望に応じ、タバコ材料を取り込んでもよい。コア材料の直径は、通常、約600μ〜約3,000μである。大きなコアサイズは、好都合である。理由は、コアサイズが大きくなるにつれ、層状化効率が増加するからである。約700〜約900μの範囲のサイズの市販の結晶セルロースは、代表的コア材料の1つである。別の例では、約2〜約3mmの範囲のサイズの押し出しタバコ製品が、コア材料として使用される。押し出しタバコ製品は、R.J.Reynolds Tobacco Companyによる市販のCAMEL Orbs製品に類似の製品であってもよい。
【0055】
コア材料は、回転造粒機、例えば、Vector Corporationから入手可能なGXR−35GRANUREX(登録商標)Rotor Processorに投入され、所望の粉末コーティング材料および付随するバインダー溶液が、コア材料に塗布され、それにより、追加の層がコア上に積み上げられ、球状ペレットのサイズが増加する。粉末コーティング材料は、通常、タバコ材料を主要成分として、本明細書に記載のいずれかの添加物、例えば、塩、香味料、甘味料、充填剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、湿潤剤、オーラルケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、粉状化助剤、抗酸化剤、ハーブまたは植物性原料由来添加剤、流動助剤、圧縮助剤、およびこれらの組み合わせを含む他の乾燥粉成分を一緒に含む。マンニトール、マルトデキストリン、スクラロース、および結晶セルロースは、タバコ材料と混合できる代表的添加物である。回転造粒プロセスで使われる粉末材料の粒径は変わってもよいが、層形成プロセスの効率は、粒径が減少するにつれ増加する。代表的粒径範囲は、約10〜約100μである。
【0056】
回転造粒プロセス用の代表的バインダー溶液は、ポビドンおよびヒドロキシプロピルセルロースを含むポリマー結合剤の水性またはアルコールベース溶液を含み、さらに、本明細書で考察したいずれかの添加物、例えば、マンニトール、マルトデキストリン、タバコ材料、甘味料、香味料、および発泡性材料を含む他の添加物を含んでもよい。バインダー溶液は、通常、約5〜約20パーセント(w/w)の固形分含量を有し、好ましい溶剤には、水およびエタノールが含まれる。エタノールまたは他のアルコール溶剤は、一部の実施形態では、有利である。理由は、非水性溶剤の使用は、ペレット中の湿度レベルを下げ、これが、最終製品の調製に必要な乾燥時間を減らすことができるからである。
【0057】
回転造粒に関連する1つの利点は、粉末コーティング材料の組成および/またはプロセス中の所定の時点でバインダー溶液を単に変えることにより、複数の異なる組成物の同心円層を有する製品を生成する能力にある。本明細書記載のタイプの発泡性製品との関連では、回転造粒は、利用者がある所定の層のみが発泡性材料を含む層状製品を構築するのを可能とする。例えば、多層製品は、1つまたは複数の非発泡性タバコ含有組成物の層および1つまたは複数の発泡性材料を含む組成物の層を含むことができ、ここで、2つのタイプの層は、任意の所望の順で存在する。製品は、タバコ含有、非発泡性層、続けて、発泡性材料を含む外側の層により囲まれたコアを含むことができる。さらに、製造プロセスは、連続的に、同心円状発泡性および非発泡性層を反復して、所望の製品サイズに到達するまで形成することが可能となる。この方法で、ユニークな感覚プロファイルを有する多層製品を生成でき、この場合、使用している間、口腔中で外の層が溶解し、追加の発泡性材料が露出するに伴い、発泡が複数回起こる。層の数は、変わってもよいが、回転造粒製品は、通常、1〜約20層、多くの場合、約2〜約10層により囲まれたコアを含む。
【0058】
回転造粒プロセスの一実施形態では、タバコ材料および1つまたは複数の添加物、例えば、充填剤、結合剤、香味料、等を含む非発泡性粉末コーティング材料が調製される。代表的非発泡性粉末コーティング材料は、少なくとも約30乾燥重量パーセントのタバコ材料、少なくとも約30乾燥重量パーセントの1つまたは複数の充填剤(例えば、マンニトール、マルトデキストリン、結晶セルロース、またはそれらの混合物)、および少なくとも約1乾燥重量パーセントの1つまたは複数の香味料および/または1つまたは複数の甘味料(例えば、スクラロース)を含む。非発泡性材料のフィラー成分は約65パーセントもの合計乾燥重量パーセントを有することが多く、通常、混合物、例えば、少なくとも約20乾燥重量パーセントのマンニトール、少なくとも約10乾燥重量パーセントのマルトデキストリン、および少なくとも約20乾燥重量パーセントの結晶セルロースの混合物の形である。
【0059】
また、発泡性材料(例えば、ナトリウム炭酸塩、ナトリウム重炭酸塩およびクエン酸の組み合わせ)および1つまたは複数の添加物、例えば、1つまたは複数の充填剤、タバコ材料、香味料または甘味料を含む発泡性粉末コーティング材料が調製される。代表的発泡性粉末コーティング材料は、少なくとも約50乾燥重量パーセントの炭酸塩/重炭酸塩材料(例えば、ナトリウム炭酸塩およびナトリウム重炭酸塩の混合物)、少なくとも約15乾燥重量パーセントの酸成分(例えば、クエン酸)、および少なくとも約20重量パーセントの1つまたは複数の充填剤(例えば、マンニトール、マルトデキストリン、結晶セルロース、またはこれらの混合物)を含む。別の実施形態では、発泡性粉末コーティング材料は、少なくとも約40乾燥重量パーセントの炭酸塩/重炭酸塩材料、少なくとも約10乾燥重量パーセントの酸成分、少なくとも約15乾燥重量パーセントの1つまたは複数の充填剤(例えば、マンニトール)、少なくとも約15乾燥重量パーセントのタバコ材料、および少なくとも約1乾燥重量パーセントの1つまたは複数の香味料および/または1つまたは複数の甘味料(例えば、スクラロース)を含む。
【0060】
発泡性および非発泡性層は、回転造粒プロセスおよびコーティング材料、例えば、実施例2または米国特許公開第2010/0170522号(Sun et al.)(この特許は参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のものを使って、コア材料上に任意の順で同心円状に層化される。例えば、コア材料は、非発泡性材料の第1層と、続けて、発泡性材料の上位層を有することができる。所望に応じ、バリア層(例えば、バインダー溶液のみからなる層)をペレット上の各発泡性および非発泡性層の間にスプレーし、乾燥して、発泡性材料と非発泡性層中に存在する可能性のある湿気の間の相互作用を減らすことができる。
【0061】
また、多層化製品を調製する他の方法も使用可能である。例えば、従来の錠剤プレスを使って、複数の異なる顆粒組成物を単純に錠剤プレスに加えることにより、層化製品を製造できる。一実施形態では、多層錠剤またはペレットは、第1の組成物を含む顆粒混合物を錠剤プレス型に加え、続いて、第1とは異なる第2の組成物を含む顆粒混合物の添加により形成される。このプロセスは、所望の数の層が得られるまで反復できる。その後、錠剤プレス型に圧力を加えて、複数の、異なる層を有するペレットまたは錠剤製品が得られる。このプロセスを使って作られた多層化製品は、回転造粒系に関連して上で述べたものと同じ特性を有するであろう。例えば、加圧成形ペレットは、複数の発泡性および非発泡性層を含むことができる。
【0062】
さらに別の実施形態では、層化製品は、「ペレット−イン−ペレット(pellet−in−pellet)」手法を使って作製可能であり、この方法では、第1の組成物を含む第1のペレットが、錠剤プレスを使って圧縮・成形され、次に、異なる外層の追加により変更される。外層は、所望の組成物の顆粒混合物を錠剤プレス型中の、既に型に入れられている事前成形ペレットの各側に入れることにより追加することができる。錠剤プレスを使って、顆粒混合物を事前成形ペレット上に圧縮し、層化構造を生成する。
【0063】
上述のように、無煙タバコ製品は、任意選択の外面コーティングを含んでもよく、これは、本発明の無煙タバコ製品の貯蔵安定性を改善するのを助け、ならびに脆弱性および表面粉化を減らすことによりパッケージングプロセスを改善するのを支援することができる。
【0064】
コーティングは、通常、フィルム形成ポリマー、例えば、セルロース系ポリマー、任意選択で、可塑剤、および任意選択で、香味料、着色剤、塩、甘味料または他の本明細書に記載のタイプの添加物を含む。コーティング組成物は、通常、事実上水性であり、当技術分野で既知のいずれかのペレットまたは錠剤コーティング技術、例えば、パンコーティングを使って塗布できる。代表的フィルム形成ポリマーには、セルロース系ポリマー、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、が含まれる。代表的可塑剤には、モノステアリン酸グリセリンおよびトリエチルクエン酸塩の水溶液または乳剤が含まれる。
【0065】
一実施形態では、コーティング組成物は、約75重量パーセントまでのフィルム形成ポリマー溶液(例えば、コーティング配合物の合計重量を基準にして、約40〜約70重量パーセント)、約5重量パーセントまでの可塑剤(例えば、約0.5〜約2重量パーセント)、約5重量パーセントまでの甘味料(例えば、約0.5〜約2重量パーセント)、約10重量パーセントまでの1つまたは複数の着色剤(例えば、約1〜約5重量パーセント)、約5重量パーセントまでの1つまたは複数の香味料(例えば、約0.5〜約3重量パーセント)、約2重量パーセントまでの塩、例えば、NaCl(例えば、約0.1〜約1重量パーセント)、および残りの水を含む。
【0066】
ペレット中の発泡性材料の早発性反応を防ぐために、水性コーティング組成物をペレットに加える速度を制御できる。例えば、一実施形態では、パンコーター中でコーティング材料をペレットに加える速度を、25lbペレットバッチに対し、約55gコーティング組成物/min未満、さらに典型的には約50g/min未満の速度に維持した。
【0067】
コーティング後、無煙製品を、最終所望湿気レベルまで乾燥できる。利用者の使用の前の無煙タバコ製品の湿気含量は変わってもよい。典型的には、利用者の口に入る前の製品の単一ユニット中に存在する無煙タバコ製品中の湿気含量は、製品ユニットの合計重量を基準に、約2〜約6重量パーセント(例えば、約4パーセント)の範囲内である。製品の最終湿気の制御は、貯蔵安定性にとって重要でありうる。
【0068】
タバコ製品の湿気含量を制御する方法は、多様であってよい。例えば、タバコ製品は、熱または対流加熱を受けてもよい。具体的な例として、配合物は、約40℃〜約95℃の温度範囲、好ましいのは、約60℃〜約80℃の温度範囲の暖気中で、所望の湿気含量を得るのに適切な時間の間、オーブン乾燥してもよい。あるいは、タバコ配合物を、ケーシングドラム(casing drum)、調節シリンダーまたはドラム、液体スプレー装置、リボンブレンダー、Littleford Day、Inc.のFKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000およびFKM3000として利用可能なミキサー、Plough Shareタイプミキサーシリンダー、等を使って湿潤させてもよい。
【0069】
pHに換算して特徴付けられることが多い、無煙タバコ製品の酸性またはアルカリ性は、変わってもよい。その配合物のpHは、典型的には、少なくとも約6.5であり、好ましくは、少なくとも約7.5である。典型的には、その配合物のpHは、約9.5以下、多くの場合、約9.0以下である。代表的タバコ配合物は、約6.8〜約8.8(例えば、約7.4〜約8.2)のpHを示す。無煙タバコ配合物のpHを測定する代表的な技術には、5gのその配合物を100mlの高速液体クロマトグラフィー水に分散し、得られた懸濁液/溶液のpHを測定する(例えば、pHメーターを使って)ことが含まれる。
【0070】
本発明の無煙タバコ製品の硬度は、変わってもよいが、典型的には、少なくとも約5kp(キロポンド)、さらに多くの場合、少なくとも約8kpであり、最も多くの場合、少なくとも約10kpまたは少なくとも約12kp(例えば、約5kp〜約20kpまたは約8kp〜約15kpの硬度範囲)である。硬度は、硬度試験機、例えば、Varian VK200または同等品を使って測定できる。
【0071】
各製品ユニットの発泡反応から放出される二酸化炭素の量は、変わってもよく、1つには、製品の所望の感覚特性に依存する。発泡性材料の量は、所望の二酸化炭素放出レベルを得るように選択できる。製品ユニット(例えば、単一ペレット)から放出された二酸化炭素の量を測定する1つの方法は、以下のステップを含む:(1)ピペットを使って1mlの水をバイアル中へ入れる;(2)バイアルをキャッピングする;(3)例えば、Mettler Model AE163天秤または0.0001gまで読み取れる同等の分析天秤を使って、キャッピングしたバイアルを事前秤量する;(4)試験される製品ユニットと一緒に、キャッピングしたバイアルを再秤量する;(5)バイアル中の水に製品ユニットを加え、バイアルを緩くキャッピングする(少しきつくなるまで締め付けて、その後、キャップを少し緩める);(6)約30分後、ボルテックスミキサー、例えば、Fisher Scientific Touch Mixer Model 232または同等品を使って、3〜4秒間ボルテックスする;(8)キャップを緩め、捕捉ガスを放出し、再度バイアルを緩くキャッピングする;(9)約1時間後、ステップ7と8を繰り返し、バイアルを再秤量する;さらに(10)約1.5時間後、ステップ7と8を繰り返し、バイアルを再秤量する。製品ユニットから放出された二酸化炭素の量は、ステップ4〜ステップ10の重量の差である。
【0072】
上記試験で、目的は、バイアル中の充分な水を使用して、酸と塩基の間の反応を開始することであるが、二酸化炭素のかなりの量が水中に溶解して残るほど多くではいけない。試料をボルテックスすることにより、液体を攪拌し、水に対する二酸化炭素の過飽和を回避する。バイアルは、緩くキャッピングされ、水を蒸発させることなく二酸化炭素を逃がすことを可能とする。二酸化炭素は、空気より重いので、異なる時点での重量が採取され、二酸化炭素が、バイアルの上部の空間から拡散して出て行ったことが確認される。最後の2つのバイアル重量は、約1.5mgの範囲内で一致するはずである。
【0073】
本発明の製品ユニットから放出された二酸化炭素の量は、放出二酸化炭素の重量の合計製品ユニット重量に対する比率で表すことができる。特定の実施形態では、この比率は、約10μg二酸化炭素/mg製品〜約120μg二酸化炭素/mg製品、さらに典型的には、約10mcg二酸化炭素/mg〜約60mcg二酸化炭素/mg、さらに多くの場合、約10mcg二酸化炭素/mg〜約30mcg二酸化炭素/mgであってもよい。特定の実施形態では、放出二酸化炭素の量は、少なくとも約10mcg二酸化炭素/mg製品、または少なくとも約15mcg二酸化炭素/mg製品として特徴付けることができる。
【0074】
無煙タバコ製品は、いずれかの適切な内側パッケージング材料および/または外側容器の中にパッケージングできる。また、例えば、以下で記載の無煙タイプの製品用の種々のタイプの容器を参照されたい:米国特許第7,014,039号(Henson et al.);同7,537,110号(Kutsch et al.);同7,584,843号(Kutsch et al.);同D592,956号(Thiellier)および同D594,154号(Patel et al.);米国特許公開第2008/0173317号(Robinson et al.);同2009/0014343号(Clark et al.);同2009/0014450号(Bjorkholm);同2009/0250360号(Bellamah et al.);同2009/0266837号(Gelardi et al.);同2009/0223989号(Gelardi);同2009/0230003号(Thiellier);同2010/0084424号(Gelardi;および2010/0133140号(Bailey et al);ならびに2009年8月20日出願の米国特許出願第29/342,212号(Bailey et al.);2009年4月16日出願の同12/425,180号(Bailey et al.);2010年1月12日出願の同12/685,819号(Bailey et al.);および2010年1月11日出願の同12/814,015号(Gelardi et al.)。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
実験
本発明の態様は、以下の実施例によりさらに完全に説明される。これらの実施例は、本発明の特定の態様の例示のために記載され、それらに限定するものと解釈されるべきではない。他に断らない限り、全ての割合およびパーセンテージは乾燥重量基準である。
【0076】
実施例1
タバコ組成物は、2009年6月2日出願の米国特許出願第12/476、621号(Chen et al.)に記載のプロセスに従って、リシンの存在下で熱処理される。タバコ組成物は、約82.7重量パーセントの粒子状タバコ材料、約8.5重量パーセントのナトリウム炭酸塩、約1.7重量パーセントのナトリウム重炭酸塩、および約0.75重量パーセントの塩化ナトリウムを含む。造粒用混合物は、下表1に従って調製され、この場合、タバコ組成物は、上述の熱処理タバコ組成物である。
【表1】
【0077】
表1の乾燥成分を、Littleford Model FM130Dミキサーまたは同等品を使って、一緒に混合し乾燥混合物を形成する。PLASDONE(登録商標)K29/32(ポビドン)をWaring Commercial Blender Model 34BL22を使って、脱イオン水中に分散(10%固形物含量)させることにより液体バインダー溶液を調製する。
【0078】
次に、乾燥混合物中に液体バインダー溶液を加え、Freund Vector VFC60流動床造粒機または同等品を使って、約150μを目標粒径として、造粒用混合物を凝集させ、造粒する。PLASDONEバインダーは、造粒用混合物中に約4.0重量パーセントの量で存在する。造粒された材料は、その後、追加の成分と混合され、表2に記載の最終錠剤組成物を形成する。
【表2】
【0079】
表2の成分を、3立方フィートのPatterson Kelley Cross Flow Blenderを用いて、下記の方法を使って混合する:(1)約10〜20パーセントの造粒用混合物を、二酸化ケイ素と約10分間混合する;(2)ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を除く、表2の他の全成分を加え、約10分間混合する;さらに(3)ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を加え、約10分間混合する。
【0080】
次に、混合された錠剤組成物をFette 1200i錠剤プレスを使って圧縮成形する。最終錠剤重量は、約300mgである。
【0081】
コーティング組成物を、表3に記載の組成物を使って調製する。
【表3】
【0082】
コーティング組成物を、以下のプロセスに従って、Caframo Stirrer Model RZR50を使って混合する:(1)PlasACRYL(登録商標)材料、脱イオン水の半分およびスクラロースを、WALOCEL(登録商標)溶液に、挙げた順に混合しながら添加する;(2)残っている脱イオン水を乾燥香味料およびメントールと別々に混合し、溶液を形成する;さらに(3)ステップ(2)由来の溶液を、ステップ(1)由来の混合物に加える。コーティング組成物を、パンコーター(Thomas Engineering Accela−Cota Model 24−111)を使って錠剤に塗布する。コーティングにより、コートされた錠剤の重量が約305mgになる。
【0083】
実施例2
Vector Corporationから入手できるGXR−35 GRANUREX(登録商標) Rotor Processorを使って、乾燥粉層化発泡性タバコ球状物を作製する。この実施例は、0.805mmの結晶セルロース(MCC)コアから1.5mm〜8mmの範囲の大きさに作られるタバコ球状物の作製について記載している。タバコ球状物は、乾燥粉タバコ混合物およびポビドン(例えば、PVPK30またはPLASDONE(登録商標)K29/32)を含む水性のバインダー溶液を使って作製される。
【0084】
表4に示されるタバコ配合物は、最初、全成分を2立方フィートのV−Shell Blender中で配合し、10分間混合することにより調製される。次に、混合物を20USメッシュスクリーンを備えたAllen Bradley 542ボールミルを通過させ、全ての凝集物を粉砕する。最後に、混合物をV−Shell Blenderに戻し、追加で10分間混合する。
【表4】
【0085】
クエン酸:ナトリウム重炭酸塩:ナトリウム炭酸塩=1:1.31:1.55の重量比の発泡性混合物を25%マンニトールで希釈する。最初、発泡性混合物をV−Shell Blenderに入れ、10分間混合する。次に、混合物を20USメッシュスクリーンを備えたAllen Bradley 542ボールミルを通過させて全ての凝集物を粉砕する。最後に、混合物をV−Shell Blenderに戻し、追加で10分間混合する。次に、使用前に、混合物を乾燥剤と一緒にマイラーポーチに入れて誘導加熱シールする。
【0086】
初回の実行では、微結晶性球状物を、コア材料として使用する。平均粒径710〜850μmの750グラムバッチCELPHERE(登録商標)CP−708結晶セルロースをGXR−35回転造粒機に加える。初回の実行は、バインダーとしてポビドン10%(w/w)溶液を使って、3,460gのタバコ混合物が塗布されるまで処理を行う。この実行でのポビドン(PLASDONE(登録商標)K29/32)のタバコ混合物に対する比率は、1:23.2である。回転造粒機を以下のパラメータを使って稼働させる:粉末供給速度15〜38g/min;溶液供給速度8.8〜12.0g/min;回転速度225〜255rpm;および流動床空気排出温度17.9〜19.1℃。この実行で使用された合計バインダー溶液は、1,486gで、合計実行時間は、110分である。材料の目視検査では、大量のタバコ混合物がペレットに付着しなかったことが認められる。
【0087】
上記実行で作製された球状物を、18メッシュUSふるいを使って選別し、18メッシュ(1mm)サイズを超える球状物は、回転造粒機に戻し、再コーティングを行う。追加の1,560gのタバコ混合物を塗布した後、実行を停止する。この実行では、ポビドンのタバコ混合物に対する比率は、1:20.9である。回転造粒機は、下記のパラメータで稼働させる:粉末供給速度15〜40g/min;回転速度250rpm;および流動床空気排出温度18.2〜19.6℃。この実行で使用された合計バインダー溶液は、745gで、合計実行時間は、60分である。
【0088】
2回目の実行で作製された球状物を、10メッシュUSふるいを使って選別し、10メッシュ(2mm)サイズを超える球状物は、回転造粒機に戻し、再コーティングを行う。追加の2,200gのタバコ混合物を塗布した後、実行を停止する。この実行では、ポビドンのタバコ混合物に対する比率は、1:22である。回転造粒機は、下記のパラメータで稼働させる:粉末供給速度15〜30g/min;回転速度250rpm;および流動床空気排出温度16.6〜18.3℃。この実行で使用された合計バインダー溶液は、1,000gで、合計実行時間は、85分である。
【0089】
3回目の実行で作製された球状物を、6メッシュUSふるいおよび8メッシュUSふるいを使って選別し、8メッシュ(2.38mm)サイズを超える球状物は、回転造粒機に戻し、再コーティングを行う。追加の2,884gのタバコ混合物を塗布した後、実行を停止する。この実行では、ポビドンのタバコ混合物に対する比率は、1:22.9である。回転造粒機は、下記のパラメータで稼働させる:粉末供給速度15〜35g/min;回転速度250rpm;および流動床空気排出温度19.4〜26.1℃。この実行で使用された合計バインダー溶液は、1,262gで、合計実行時間は、100分である。
【0090】
4回目の実行で作製された球状物を、4メッシュUSふるいおよび8メッシュUSふるいを使って選別し、4メッシュ(4.76mm)サイズを超える球状物は、回転造粒機に戻し、再コーティングを行う。追加の3,115gのタバコ混合物を塗布した後、実行を停止する。この実行では、ポビドンのタバコ混合物に対する比率は、1:25.2である。回転造粒機は、下記のパラメータで稼働させる:粉末供給速度15〜40g/min;回転速度260rpm;および流動床空気排出温度19.6〜24.7℃。この実行で使用された合計バインダー溶液は、1,236gで、合計実行時間は、95分である。得られた球状物のサイズは、8〜10mmである。
【0091】
乾燥減量(LOD)天秤を使って最終球状物で行った水分分析は、17.87パーセンテージ(w/w)である。オーブン中で約3時間の追加の乾燥を行う。得られた乾燥球状物は、堅く、目視で乾燥表面を示すが、材料断面の調査では、内部コアが湿気を帯びていることがわかる。
【0092】
次に、タバコ球状物に対し、発泡性材料を含むタバコ製品を作製するための発泡性混合物を使ったコーティングの準備を行う。上記最終実行由来の球状物バッチを回転造粒機にチャージし、エタノールベースの10%w/wポビドン溶液(PLASDONE(登録商標)K29/32)を調製して、バインダー溶液として使用する。球状物に最初のポビドンのコーティングを行い、球状物と残りの湿気発泡性コーティングとの相互作用を防ぐ。その後、球状物を乾燥させる。
【0093】
発泡性混合物のコーティングのために、回転造粒機を下記のパラメータを使って稼働させる:粉末供給速度15g/min;回転速度200rpm;および流動床空気排出温度20.1〜34.5℃。約593gの発泡性混合物および約586gのバインダー溶液を43分かけて球状物に対し塗布し、その後、発泡性層の付着不良が観察されて停止される。しかし、コートされた球状物の水浴中への浸漬により、コート層による激しい発泡が認められる。
【0094】
タバコ球状物への発泡性対の付着を増加させるために、20%(w/w)のタバコ混合物を、1%スクラロースと一緒に、発泡性混合物中に混合する。改良混合物を、最初に2立方フィートのV−Shell Blender中に投入し、10分間混合する。この混合物を、次に、20USメッシュスクリーンを備えたAllen Bradley 542スクリーン造粒機を通過させ、全ての凝集物を破砕する。最終的に、混合物を、V−Shell Blenderに戻し、さらに10分間混合する。次に、使用前に、この混合物を乾燥剤と一緒にマイラーポーチ入れて誘導加熱によりシールする。
【0095】
2.38mm球状物バッチをGXR−35回転造粒機にチャージし、処理の前に乾燥する。乾燥後、451gの10%(w/w)PLASDONE(登録商標)K29/32EtOHベース溶液を球状物上にスプレーしてバリアコートを付与し、表面湿分含量測定値5.9%まで乾燥する。その後、同じ10%(w/w)PLASDONE(登録商標)K29/32EtOHベース系をバインダー溶液として使用し、発泡性材料を含むタバコ混合物を塗布する。765gの改良発泡性混合物を塗布後、実行を停止する。この実行での、ポビドンバインダーの発泡性混合物に対する比率は、1:6.03である。改良発泡性混合物のコーティングに対し、回転造粒機を下記のパラメータを使って稼働させる:粉末供給速度15〜25g/min;回転速度200〜250rpm;および流動床空気排出温度17.8〜35.6℃。この実行中に塗布された合計バインダー溶液は、817gで、合計実行時間は、40分である。これらの球状物を、18US通篩スクリーン(1mm)を通して選別する。ペレットの水浴中への浸漬では、コート層に起因して、激しい発泡が認められた。
【0096】
エタノールベースバインダー溶液を使ってペレットコア上へのタバコ混合物のコートの可能性を確認するために、また、タバコ混合物が発泡性コートペレット上にコート可能かどうかを確認するために、1,021gの改良発泡性材料でコートされた球状物をGXR−35回転造粒機に戻す。同じ10%(w/w)エタノールベースポビドン溶液をバインダー溶液として使用する。2,066gのタバコ混合物を球状物に塗布後、実行を停止した。この実行で、ポビドンバインダーのタバコ混合物に対する比率は、1:9.8であった。改良発泡性混合物のコーティングのために、回転造粒機を以下のパラメータを使って稼働させる:粉末供給速度15〜35g/min;回転速度250rpm;および流動床空気排出温度18.1〜21.2℃。この実行中に塗布された合計バインダー溶液は、2,095gで、合計実行時間は、75分である。発泡性層は、タバコ混合物コーティングで完全に被覆されていることが観察される。
【0097】
水性ベースバインダー溶液を使っている間に、タバコペレット中に大量の残余水分が残されることを理由に、10%(w/w)PLASDONE(登録商標)K29/32、45%(w/w)水、および45%(w/w)エタノールで構成される代替バインダー溶液が検討されている。前に形成された4.76mmサイズのタバココート球状物をGXR−35回転造粒機にチャージする。約2時間の回転造粒後、2,944gのタバコ混合物をタバコ球状物に塗布する。この実行では、ポビドンバインダーのタバコ混合物に対する比率は、1:16.8であった。回転造粒機を、下記のパラメータを使って稼働させる:粉末供給速度15〜35g/min;回転速度250rpm;および流動床空気排出温度15.2〜17.7℃。この実行中に塗布された合計バインダー溶液は、1,747gである。これらの球状物は、次に、回転造粒機中で3時間乾燥させる。得られた水分含量のLOD天秤測定値は、6%未満である。
【0098】
前述の記載に示された教示の利益を有する本発明に関係する当業者には、本発明の多くの変更および他の実施形態が想起されるであろう。従って、本発明は、開示された具体的実施形態およびその変更物に限定されるものではなく、他の実施形態も添付請求項の範囲に含まれることが意図されていることは理解されよう。本明細書では、特定の用語が採用されているが、それらは、一般的かつ説明的な意味のみで使用され、制限する目的のためではない。