【文献】
Tetrahedron,2006年,vol. 62,pp. 12211-12219
【文献】
Synthesis,2012年 8月15日,vol. 44,pp. 2985-2998
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン、5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オン、5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オン、5−tert−ブチルオクタン−2−オン、6,6−ジメチル−5−プロピルオクタン−2−オンおよび5−tert−ブチル−7−メチルノナン−2−オンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【発明の概要】
【0004】
我々は、以下に定義する式(I)で表される置換分岐ケトンの小さなクラスが、非常に自然なオリス様の匂いを有することを今見出した。式(I)で表されるこれらの新規化合物は、オリスオイルの主な匂い物質である重要なイロン類とは構造的に関係していない。
【0005】
第1の態様において、式(I)で表される化合物のフレグランスとしての使用を提供する:
【化2】
式中、
RおよびR
1が、独立して、水素およびメチルから選択され;
C−3およびC−4の間の結合ならびにC−5およびC−6の間の結合が、単結合であるか;または
点線が、C−3およびC−4の間の結合ならびにC−5およびC−6の間の結合と共に、二重結合を示す。
【0006】
本発明の化合物は、二重結合異性体として、ならびに、幾何学的におよび/または鏡像異性的に純粋な形態に分離されてもよい立体的異性体混合物として、使用することができる。立体異性体の分離は、これらの化合物の製造および精製の複雑性を増大させるので、単に経済的な理由のために、これらを立体異性体の混合物として当該化合物を使用することが好ましい。しかしながら、個々の立体異性体を調製することが望ましい場合には、当該技術分野において既知の手法に従って、例えば、立体選択的な合成によって、または分取HPLCおよびGCによって達成可能である。二重結合異性体については、C−3およびC−5の二重結合の両方またはいずれかにおいて(E)配置が好ましい。
【0007】
非限定例は、RおよびR
1が水素である式(I)で表される化合物である。
さらなる非限定例は、R
1が水素であり、点線がC−3およびC−4の間の結合ならびにC−5およびC−6の間の結合と共に二重結合を表す、式(I)で表される化合物である。一態様において、1つまたは両方の二重結合は(E)配置である。
【0008】
式(I)で表される化合物の特定の例として、ニンジン様およびウッディ−レザー調のアンダートーンを有する、典型的なオリス、イロン、ニオイスミレ(sweet-violet)の匂いを有する、(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(R=R
1=H、Δ
3,5)が非限定例として挙げられる。これらの非常に自然なオリス様特徴とは別に、この化合物は、はるかに低い匂い閾値およびより高い蒸気圧を有し、それが既知のイロン類と比較してはるかに拡散性のフレグラント成分をもたらすので、極めて興味深い。
【0009】
さらなる非限定例は、5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(R=R
1=H、Δ
3,5)、5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オン(R=H、R
1=Me、Δ
2,5)、5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オン(R=Me、R
1=H、Δ
2,5)、5−tert−ブチルオクタン−2−オン(R=R
1=H)、6,6−ジメチル−5−プロピルオクタン−2−オン(R=H、R
1=Me)および5−tert−ブチル−7−メチルノナン−2−オン(R=Me、R
1=H)からなる群から選択される、式(I)で表される化合物、これらのラセミ混合物ならびに個々に単離された異性体の両方である。
【0010】
式(I)で表される化合物は、単独で、それらの混合物として、またはベース材料と組み合わせて使用してもよい。本明細書において使用される「ベース材料」は、天然生成物および現在利用可能な合成分子、例えば、エッセンシャルオイル、アルコール、アルデハイドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大員環および複素環などの幅広い範囲から選択される全ての既知の匂い分子、および/または、フレグランス組成物において匂い物質と共に慣用的に使用される1種もしくは2種以上の成分または賦形剤、例えば担体材料、ならびに、当該技術分野において一般的に使用される他の補助剤を含む。
【0011】
本明細書において使用される「フレグランス組成物」は、式(I)で表される少なくとも1つの化合物およびベース材料、例えば匂い物質と共に従来使用される希釈剤、例えばジプロピレングリコール(DPG)、イソプロピルミリスタート(IPM)、トリエチルシトラート(TEC)およびアルコール(例えば、エタノール)、を含むあらゆる組成物を意味する。
【0012】
以下のリストは、本明細書で定義された式(I)で表される化合物と組み合わせてもよい、既知の匂い分子の例を含む:
− エッセンシャルオイルおよび抽出物、例えば、カストリウム、コスタスルートオイル、オークモスアブソリュート、ゲラニウムオイル、ツリーモスアブソリュート、バジルオイル、ベルガモットオイルおよびマンダリンオイルなどのフルーツオイル、ミルテオイル、パルマローズオイル、パチョリオイル、プチグレンオイル、ジャスミンオイル、ローズオイル、サンダルウッドオイル、ヨモギオイル、ラベンダーオイルまたはイランイランオイル;
【0013】
− アルコール、例えば、シンナミックアルコール、cis−3−ヘキサノール、シトロネロール、Ebanol
TM、オイゲノール、ファルネソール、ゲラニオール、Super Muguet
TM、リナロオール、メントール、ネロール、フェニルエチルアルコール、ロジノール、Sandalore
TM、テルピネオールまたはTimberol
TM;
− アルデヒドおよびケトン、例えば、Azurone
(R)[7−(3−メチルブチル)−1,5−ベンゾジオキセピン−3−オン]、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、Georgywood
TM、ヒドロキシシトロネラール、Iso E
(R) Super、Isoraldeine
(R)、Hedione
(R)、Lilial
(R)、マルトール、メチルセドリルケトン、メチルイオノン、ベルベノンまたはバニリン;
【0014】
− エーテルおよびアセタール、例えば、Ambrox
(R)、ゲラニルメチルエーテル、ローズオキシドまたはSpirambrene
(R);
− エステルおよびラクトン、例えば、ベンジルアセタート、セドリルアセタート、γ−デカラクトン、Helvetolide
(R)、γ-ウンデカラクトンまたはベチベニルアセタート;
【0015】
− 大員環、例えば、アンブレットリド、エチレンブラッシラートまたはExaltolide
(R);および
− 複素環、例えば、イソブチルキノリン。
【0016】
式(I)で表される化合物は、広範囲の賦香された製品において、例えば、上質なおよび機能的な香水、例えばパフューム、エアケア製品、家庭用製品、洗濯用製品、ボディケア製品および化粧品などのあらゆる分野において使用することができる。特定の用途および他の匂い物質成分の性質および量に依存して、当該化合物は幅広い様々な量において用いることができる。割合は、典型的には、適用品の0.1重量パーセントから10重量パーセントまでである。一態様において、本発明の化合物は、ファブリック柔軟剤において0.001重量パーセントから0.1重量パーセントまでの量において用いてもよい。他の態様において、本発明の化合物は、上質な香水において、0.01重量パーセントから20重量パーセントまで(例えば約10重量パーセントまで)、より好ましくは0.01重量パーセントと5重量パーセントとの間で使用してもよい。しかしながら、熟練したパフューマーが、より低いもしくはより高い濃度で、効果を達成することもでき、または新規な調和を作り出すこともできるため、これらの値は例示のためだけに与えられたものである。
【0017】
上述の化合物は、式(I)で表される少なくとも1つの化合物を単に直接混合することによって消費者製品ベースに用いられるか、または消費者製品ベースと共にフレグランス組成物において用いられ得るか、あるいは、それらは、より早い段階で、封入材料、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、リポソーム、フィルム形成剤、カーボンまたはゼオライトなどの吸着剤、環状オリゴ糖およびこれらの組み合わせにより封入され得るか、あるいは、それらは、光、酵素等の外部刺激への利用に際しフレグランス分子を放出するように調整された物質に化学的に結合させて、次いで消費者製品ベースと混合され得る。
【0018】
したがって、本発明は、従来の技法または方法を使用して、式(I)で表される化合物を消費者製品ベースに直接混合するか、または当該化合物を含むフレグランス組成物を消費者製品ベースに混合することにより、式(I)で表される化合物をフレグランス成分として組み込むことを含む、賦香された製品の製造方法も提供する。嗅覚的に許容可能な量の少なくとも1つの上述の本発明の化合物の添加を介して、消費者製品ベースの匂いノートが改良され、強化されまたは変更される。
【0019】
したがって、本発明は、嗅覚的に許容可能な量の式(I)で表される少なくとも1つの化合物のそれへの添加によって、消費者製品ベースを改良、強化または変更する方法をさらに提供する。
【0020】
本発明はまた、
a)匂い物質としての式(I)で表される少なくとも1つの化合物;および
b)消費者製品ベース
を含む、賦香された製品も提供する。
【0021】
本明細書において使用される「消費者製品ベース」は、洗浄、柔軟およびケアなどの特定の作用を果たすために消費者製品として使用するための組成物を意味する。かかる製品の例は、上質な香水、例えばパフュームおよびオードトワレ;洗濯ケア洗剤、リンスコンディショナー、パーソナル洗浄組成物、食器洗いのための洗剤、表面洗浄剤などのファブリックケア、家庭用製品およびパーソナルケア製品、;洗濯製品、例えば柔軟剤、漂白剤、洗剤;ボディケア製品、例えばシャンプー、シャワージェル;エアケア製品および化粧品、例えば、デオドラント、バニシングクリームを含む。製品のこのリストは、例示のために与えられるものであり、限定するものであるとみなされるべきではない。
【0022】
我々の知る限り、式(I)の定義内の化合物はいずれも、文献において記載されたものではなく、したがって、それ自体新規である。
したがって、本発明は、さらなる側面において、式(I)で表される化合物に言及する:
【化3】
式中、
RおよびR
1が、独立して、水素およびメチルから選択され;
C−3およびC−4の間の結合ならびにC−5およびC−6の間の結合が、単結合であるか;または
点線が、C−3およびC−4の間の結合ならびにC−5およびC−6の間の結合と共に、二重結合を示す。
【0023】
式(I)で表される化合物は、2当量のエチルマグネシウムクロライドとブタ−3−イル−2−オールとから対応するケトンへ調製されたグリニャール試薬との添加から開始して調製するか、または立体障害の場合、まず、アセチレンマグネシウムブロマイドを添加し、得られた生成物をグリニャール試薬自体へ変換し、そして後者をアセトアルデヒドと反応させることによる、二段階の方法で調製してもよい。必要なケトン出発材料は、対応する酸塩化物との銅触媒グリニャール反応によって、または、マンガン触媒によるアシル化反応を適用することにより、合成することができる。得られたこれらのケトンのアルカ−3−イン−2,5−ジオール誘導体の第二級ヒドロキシ官能基は次いで、例えば、二酸化マンガンで酸化し、この間、第三級ヒドロキシ官能基が除去される。除去−酸化の順序の逆転と同じように、除去方法は二重結合の幾何学的形状に影響を与える。好ましい(5E)配置のために、除去の前に酸化することが有利である。式(I)、式中C−3およびC−4の間の結合が(E)配置の二重結合を表す、で表される化合物は、水素化アルミニウムリチウムで三重結合およびカルボニル官能基の両方を還元させることによって得てもよい。例えば二酸化マンガンでの、得られたアリル型第二級アルコールの酸化は、その後水素化されて、式(I)で表される別の誘導体を提供することができる、一般式(I)で表される二重不飽和構造を提供する。
【0024】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例を参照して説明する。これらの実施例は、例示のみを目的とするものであり、変形および変更が当業者によってなされ得ることが理解される。
【0025】
例1:(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(R=R1=H、Δ3,5)
テトラヒドロフラン(150mL)中の三塩化セリウムの溶液(29.0g、118mmol)を室温で10分間撹拌した。0℃で、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,2−ジメチルヘキサン−3−オン(15.0g、117mmol)の溶液を撹拌しながら30分以内に滴加し、撹拌を室温で4h継続した。第2のフラスコ中で、テトラヒドロフラン(200mL)中のブタ−3−イン−2−オール(9.00g、128mmol)を、テトラヒドロフラン中のエチルマグネシウムクロリドの撹拌溶液(2M、140mL、280mmol)に1h以内に滴加した。得られた反応混合物を3.5h還流し、室温まで放冷し、その後、上記で調製した三塩化セリウム/2,2−ジメチルヘキサン−3−オンの懸濁液に45分以内で滴加した。45℃で2hおよび室温で16h撹拌した後、反応混合物を氷/水(200mL)に注ぎ、5M塩酸水溶液(70mL)でpH1まで酸性化し、エーテル(2×600mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(2×400mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。得られた残留物のフラッシュクロマトグラフィー(400gHシリカゲル、ペンタン−エーテル、2:1、R
f=0.17、1:1)は、無臭の、わずかに黄色がかった液体として5−tert−ブチルオクタ−3−イン−2,5−ジオール(19.5g、84%)与え、これは、−78℃の冷却浴中での短い浸漬後に急速に結晶化した(Mp:56.3〜57.2℃)。
【0026】
ジクロロメタン(400mL)中の二酸化マンガン(90%、214g、2.22mol)および5−tert−ブチルオクタ−3−イン−2,5−ジオール(44.0g、222mmol)の懸濁液を室温で終夜攪拌した。不溶物をセライトのパッドでの濾過により除き、ジクロロメタンで十分に洗浄した。濾液および洗液を合わせ、減圧下で濃縮した。得られた残留物のフラッシュクロマトグラフィー(800gシリカゲル、ペンタン−エーテル、5:1、Rf=0.25)は、わずかに黄色がかった液体として、5−tert−ブチル−5−ヒドロキシオクタ−3−イン−2−オン(33.8g、78%)を与えた。
【0027】
3hの過程の間、ジクロロメタン(1.5L)中のメタンスルホン酸無水物(387g、2.22mol)の溶液を、0℃で、ジクロロメタン(1.5L)中の5−tert−ブチル−5−ヒドロキシオクタ−3−イン−2−オン(55.1g、253mmol)およびトリエチルアミン(616mL、450g、4.45mol)の撹拌溶液に加えた。そして、得られた反応混合物を前に、放置して室温まで温め、その温度で30min撹拌し、その後氷冷した濃縮塩酸水溶液(500mL)中に注いだ。生成物をジクロロメタン(2×1000mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を水(2×1000mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮し、オレンジ色のオイルとして粗生成物を得た。勾配クロマトグラフィー(1kgシリカゲル、ペンタン−エーテル、40:1/20:1;R
f=0.10、40:1)により、黄色がかったオイルとして(5Z)−5−tert−ブチルオクタ−5−エン−3−イン−2−オンを提供した。
【0028】
テトラヒドロフラン(100mL)中の(5Z)−5−tert−ブチルオクタ−5−エン−3−イン−2−オン(21.5g、121mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(100mL)中のリチウムアルミニウム水素化物(9.64g、241mmol)の撹拌懸濁液に30分以内に滴加し、この際、温度が50℃まで上昇した。反応混合物を室温まで放冷し、そして撹拌をこの温度で終夜継続した。0℃で、水(100mL)、2M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)および水(100mL)の滴加により反応を停止し、次いで水(100mL)に注いだ。生成物をエーテル(2×300mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(2×200mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。得られた残留物のフラッシュクロマトグラフィー(400gシリカゲル、ペンタン−エーテル、5:1;R
f=0.27)は、わずかに黄色がかった液体として(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オール(14.9g、62%)を与えた。
【0029】
匂いの説明:グリーン−フローラル、根のような、わずかにニンジン、オリスファセットを伴う。
【数1】
【0030】
二酸化マンガン(66.3g、686mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中の(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オール(13.9g、68.6mmol)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を終夜室温で撹拌した。その後、セライトのパットでの濾過およびジクロロメタンでの十分な洗浄により不溶性材料を除いた。濾液および洗浄液を組み合わせ、減圧下で濃縮した。得られた残留物のフラッシュクロマトグラフィー(380gシリカゲル、ペンタン−エーテル、30:1;R
f=0.27)で、わずかに黄色がかった液体として(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(10.0g、81%)を得た。
【0031】
匂いの説明:オリス、イロン、ニオイスミレ、ニンジン様およびウッディ−レザー調のアンダートーンを伴う。
【数2】
【0032】
例2:(3E,5E)−5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オン(R=H、R1=Me、Δ2,5)
[マグネシウム(25.5g、1.05mol)、およびテトラヒドロフラン(1000mL)中の2−クロロ−2−メチルブタン(98g、919mmol)の溶液から調製した;1,10−フェナントロリンを指示薬として使用し、THF中のrac−メントールの溶液で滴定した]テトラヒドロフラン中のtert−ペンチル塩化マグネシウムの溶液(0.6M、1000mL、600mmol)を、室温で、テトラヒドロフラン(450mL)中の塩化ブチリル(63.9g、600mmol)および塩化銅(I)(2.97g、30.0mmol、5.0mol%)の撹拌溶液に、5h以内に加えた。得られた反応混合物を、17h攪拌し、その後、氷冷2M塩酸水溶液(500mL)中に注いだ。生成物をエーテル(2×600mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(2×400mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、減圧下で濃縮した。粗生成物の蒸留(93℃/102mbar)によって、標題化合物3,3−ジメチルヘプタン−4−オン(65.8g、69%;GC純度:89%)を無色の液体として得、これを更なる精製なしに使用した。
【0033】
5−tert−ブチルオクタ−3−イン−2,5−ジオールの合成のために、例1で説明したように、テトラヒドロフラン(550mL)中の三塩化セリウム(95.0g、386mmol)の溶液(550mL)、前もって調製したテトラヒドロフラン(550mL)中の3,3−ジメチルヘプタン−4−オン(89%、58.7g、367mmol)の溶液、テトラヒドロフラン(600mL)中のブタ−3−イン−2−オールの溶液(28.3g、404mmol)、テトラヒドロフラン中のエチルマグネシウムクロリド溶液(2M、440mL、881mmol)から。標準的な仕上げ、勾配クロマトグラフィー(1.8kgシリカゲル、ペンタン−エーテル、3:1/1:1/1:3、R
f=0.36、2:1)による精製、真空中での乾燥(45℃、0.20mbar)によって、無臭の、わずかにオレンジ色、粘性オイルとして、ジアステレオマーの6,6−ジメチル−5−プロピルオクタ−3−イン−2,5−ジオール(54.4g、70%)を得た。
【0034】
5−tert−ブチル−5−ヒドロキシオクタ−3−イン−2−オンの合成のために、例1で説明したように、ジクロロメタン(1L)中の二酸化マンガン(90%、365g、3.78mol)の懸濁液との6,6−ジメチル−5−プロピルオクタ−3−イン−2,5−ジオール(54.1g、255mmol)から。セライトの短いパッドでの濾過、ジクロロメタンでの濾過ケーキの十分な洗浄、それに続く勾配クロマトグラフィー(1.8kgシリカゲル、ペンタン−エーテル、9:1/4:1/1:1;R
f=0.40、10:1)は、黄色がかった液体として5−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−5−プロピルオクタ−3−イン−2−オン(47.0g、88%)を与えた。
【0035】
(5Z)−5−tert−ブチルオクタ−5−エン−3−イン−2−オンの合成のために、例1において説明したように、ジクロロメタン(12mL)中のメタンスルホン酸無水物(2.50g、14.4mmol)の溶液、ジクロロメタン(10mL)中の5−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−5−プロピルオクタ−3−イン−2−オン(300mg、1.43mmol)およびトリエチルアミン(4.0mL、2.92g、28.9mmol)の撹拌溶液から、および2M塩酸水溶液(20mL)での停止。標準的な仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィー(38gシリカゲル、ペンタン−エーテル、50:1;R
f=0.33、50:1)による精製は、黄色がかったオイルとして(Z)−5−(tert−ペンチル)オクタ−5−エン−3−イン−2−オン(190mg、69%)を提供した。
【0036】
(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オールの合成のために、例1において説明したように、テトラヒドロフラン(40mL)中の(Z)−5−(tert−ペンチル)オクタ−5−エン−3−イン−2−オン(3.83g、19.9mmol)の溶液から、テトラヒドロフラン(30mL)中のLiAlH
4(1.80g、47.4mmol)の撹拌懸濁液と共に。0℃での、水(5mL)および2M塩酸水溶液(10mL)の滴加により反応を停止した。標準的な仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィー(400gシリカゲル、ペンタン−エーテル、5:1;R
f=0.27、5:1)による精製は、わずかに黄色がかった液体として(3E,5E)−5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オール(3.62g、93%)を与えた。
【0037】
匂いの説明:フルーティ、ペア、グレープフルーツ、わずかにレザー調。
【数3】
【0038】
標題の化合物(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オンの合成のために、例1において説明したように、(3E,5E)−5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オール(3.41g、17.3mmol)およびジクロロメタン(100mL)中の二酸化マンガン(90%、24.1g、249mmol)懸濁液から。セライトの短いパッドでの濾過、およびジクロロメタンでの濾過ケーキの十分な洗浄、その後に続くフラッシュクロマトグラフィー(350gシリカゲル、ペンタン−エーテル、30:1;R
f=0.24、30:1)による精製により、黄色がかった液体として、(3E,5E)−5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オン(3.02g、90%)を得た。
【0039】
匂いの説明:オリス、ハニー、タバコ、干し草、フローラル−グリーン。
【数4】
【0040】
例3:(3E,5E)−5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オン(R=Me、R1=H、Δ2,5)
N
2雰囲気下室温で、DMF(7滴、0.110g、1.50mmol)を3−メチルペンタン酸(50.0g、0.430mol)に添加した。2hの期間にわたって、塩化チオニル(77.0g、0.647mol)を撹拌しながらゆっくりと加え、この際激しいガスの発生を伴い温度が12℃まで下がった。室温でさらに30分間攪拌した後、温度を徐々に80℃まで上昇させ、次いで反応混合物を2h還流した。粗物質の蒸留により、73℃/200mbarで無色の液体として3−メチルペンタノイルクロリド(47.8g、83%)を得た。
【0041】
3,3−ジメチルヘプタン−4−オンのために、例2において説明したように、エーテル(178mL、355mmol)中のtert−ブチルマグネシウムクロリドの2.0Mの溶液、3−メチルペンタノイルクロリド(47.8g、355mmol)の撹拌溶液、エーテル(270mL)中の塩化銅(I)(1.76g、17.8mmol、5.0mol%)から。標準的な仕上げ、および得られた残留物の蒸留(120〜122℃/180mbar)により、無色の液体として2,2,5−トリメチルヘプタン−3−オン(34.9g、63%)を得た。
【0042】
室温において、テトラヒドロフラン(15mL)中の2,2,5−トリメチルヘプタン−3−オン(4.69g、30.0mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(50mL、30mmol)中のLaCl
3・2LiClの撹拌した0.6M溶液へ50分以内に滴加した。撹拌をその温度で1h続けた。第2のフラスコ中で、テトラヒドロフラン(50mL)中のブタ−3−イン−2−オール(2.31g、33mmol)を、THF中のEtMgClの撹拌溶液(2M、36mL、72mmol)へ2h以内に滴加した。得られた反応混合物を3.5h還流し、室温まで放冷し、その後上記で調製したLaCl
3・2LiCl/2,2,5−トリメチルヘプタン−3−オン溶液へ2.5h以内に滴加した。還流で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで放冷し、5−tert−ブチルオクタ−3−イン−2,5−ジオールの合成のために、例1において説明したように仕上げた。フラッシュクロマトグラフィー(180gシリカゲル、ペンタン−エーテル、2:1;R
f=0.19、2:1)は、無臭の、無色の固体(Mp:41.0〜43.3℃)として、5−tert−ブチル−7−メチルノナ−3−イン−2,5−ジオール(1.60g、24%)を提供した。
【0043】
5−tert−ブチル−5−ヒドロキシオクタ−3−イン−2−オンの合成のために、例1において説明したように、tert−ブチル−7−メチルノナ−3−イン−2,5−ジオール(33.0g、146mmol)およびジクロロメタン(580mL)中の二酸化マンガン(90%、190g、1.97mol)の懸濁液から。セライトの短いパッドでの濾過、およびジクロロメタンでの濾過ケーキの十分な洗浄、その後に続く勾配クロマトグラフィー(1kgシリカゲル、ペンタン−エーテル、9:1;R
f=0.12、9:1)は、無色の液体として5−tert−ブチル−5−ヒドロキシ−7−メチルノナ−3−イン−2−オン(27.5g、84%)を与えた。
【0044】
5−tert−ブチル−5−ヒドロキシオクタ−3−イン−2−オンの合成のために例1において説明したように、ジクロロメタン(395mL)中のメタンスルホン酸無水物(100g、574mmol)の溶液、ジクロロメタン(415mL)中の5−tert−ブチル−5−ヒドロキシ−7−メチルノナ−3−イン−2−オン(14.6g、65.2mmol)およびトリエチルアミン(182mL、132g、1.31mmol)撹拌溶液から、および、2M塩酸水溶液(400mL)での停止。標準的な仕上げおよび勾配クロマトグラフィー(600gシリカゲル、ペンタン−エーテル、98:2;R
f=0.15、98:2)による精製は、黄色がかったオイルとして、(Z)−5−tert−ブチル−7−メチルノナ−5−エン−3−イン−2−オン(10.4g、75%)を提供した。
【0045】
(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オールの合成のために、例1において説明したように、テトラヒドロフラン(95mL)中の(Z)−5−tert−ブチル−7−メチルノナ−5−エン−3−イン−2−オン(9.90g、48.0mmol)の溶液、およびテトラヒドロフラン(75mL)中の水素化アルミニウムリチウム(4.37g、115mmol)の撹拌懸濁液から。0℃において、水(30mL)および5M塩酸水溶液(50mL)の滴加により反応を停止した。標準的な仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィー(600gシリカゲル、ペンタン−エーテル、9:1;R
f=0.2、9:1)による精製は、無色の液体として(3E,5E)−5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オール(7.80g、77%)を与えた。
【0046】
匂いの説明:非常に弱い、ファッティ−オイリー、わずかにフルーティ−ムスク調。
【数5】
【0047】
標題の化合物(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オンの合成のために、例1において説明したように、(3E,5E)−5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オール(7.80g,37.1mmol)、およびジクロロメタン(140mL)中の二酸化マンガン(90%、48.4g、501mmol)の懸濁液から。セライトの短いパッドでの濾過、およびジクロロメタンでの濾過ケーキの十分な洗浄、その後に続くフラッシュクロマトグラフィー(600gシリカゲル、ペンタン−エーテル、19:1;R
f=0.17、19:1)による精製により、無色の液体として(3E,5E)−5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オン(4.90g、64%)を得た。
【0048】
匂いの説明:オリス、ウッディ−アンバリー、イオノン、わずかにフルーティおよびペッパー調。
【数6】
【0049】
例4:5−tert−ブチルオクタン−2−オン(R=R1=H)
エタノール(30mL)中の例1からの(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(1.50g、8.32mmol)およびPd/C(10%、50.0mg)の溶液を、水素雰囲気下で終夜撹拌した。不溶性材料を、セライトのパッドを介した濾過により除き、エタノールで十分に洗浄した。減圧下で溶媒を除くことおよびフラッシュクロマトグラフィー(70gシリカゲル、ペンタン−エーテル、50:1;R
f=0.15)により、黄色がかった液体として、5−tert−ブチルオクタン−2−オン(1.26g、82%)を得た。
【0050】
匂いの説明:オリスルート、ナチュラル、グリーン−ファッティ、ニンジン様、わずかにフルーティなファセット。
【数7】
【0051】
例5:6,6−ジメチル−5−プロピルオクタン−2−オン(R=H、R1=Me)
5−tert−ブチルオクタン−2−オンの合成のために例4において説明したように、エタノール(30mL)中の、例2からの(3E,5E)−5−(tert−ペンチル)オクタ−3,5−ジエン−2−オン(1.26g、6.49mmol)およびPd/C(10%、50.0mg)の溶液から。セライトの短いパッドでの濾過、およびエタノールでの濾過ケーキの十分な洗浄、その後に続くフラッシュクロマトグラフィー(65gシリカゲル、ペンタン−エーテル、50:1;R
f=0.26、50:1)により、薄く黄色がかった液体として6,6−ジメチル−5−プロピルオクタン−2−オン(1.15g、89%)を得た。
【0052】
匂いの説明:ペッパー調、ウッディ−オリス。
【数8】
【0053】
例6:5−tert−ブチル−7−メチルノナン−2−オン(R=Me、R1=H)
例4において5−tert−ブチルオクタン−2−オンの合成のために説明したように、エタノール(27mL)中の(3E,5E)−5−(tert−ブチル)−7−メチルノナ−3,5−ジエン−2−オン(1.00g、4.80mmol)およびPd/C(10%、50.0mg)の溶液から。セライトの短いパッドでの濾過、およびエタノールでの濾過ケーキの十分な洗浄、その後に続くフラッシュクロマトグラフィー(40gシリカゲル、ペンタン−エーテル、19:1;R
f=0.19、19:1)は、無色の液体として5−tert−ブチル−7−メチルノナン−2−オン(1.00g、98%)を提供した。
【0054】
匂いの説明:フレッシュペッパー調、フルーティ−ウッディ−シトラス調、リナリルアセタート、オリス様。
【数9】
【0055】
例7:女性用フローラル上質フレグランス
【表1-1】
【0057】
たった1%で、(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(例1)は、ソフトなオリスバターが下地(fond)からトップノートまで組成物全体にわたって及ぶ、非常にナチュラルでリッチなパウダリーで暖かなオリス効能を提供し、ここで、これは組成物全体のボリュームおよび輝きを増幅させ、それによりこのモダンで、エレガントなフローラルの女性用の上質なフレグランス組成物のための、独特で最も特徴的なシグネチャを提供する。
【0058】
例8:シャワーゲル用およびアフターシェーブとしてのウッディ−スパイシー男性用パフュームオイル
【表2-1】
【0060】
3%未満で、(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オン(例1)は、この男性用のシプレー組成物、特にそのトップノートおよびハートコード(heart chord)に、とても深く、暖かさおよびボディ(body)をもたらす。これはエレガンスさ、ハーモニーおよび価値を組成物に加え、石鹸調の調子へと転覆することを防ぐが、その代わりに、シャンプーまたはアフターシェーブ製品の機能的な使用に、暖かく、心地よい感覚、および多くのシグネチャおよびボリュームを与える。当該フレグランスの、特に蒸発曲線の始めにおける、高貴なオリスの輝きは、実際には、(3E,5E)−5−tert−ブチルオクタ−3,5−ジエン−2−オンの含有のみによるものであり、これは、その中心的なオークモス香料の調和を有するウッディ−アンバリーの下地を期待させ、かつ増強し、そして当該フレグランスのトップセクションからミドルセクションにおいてスパイシーで、ペッパー調−アニス性のコントラストを釣り合わせ、これによりこのクラシックな組成物のテーマがモダン化される。