特許第6154920号(P6154920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6154920
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】文書行数カウンター
(51)【国際特許分類】
   B42D 9/00 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   B42D9/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-3720(P2016-3720)
(22)【出願日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年2月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第一法規株式会社は,平成27年8月21日〜平成28年1月12日にかけて,池田法律事務所,山本英二法律事務所を含む延べ1701件の法律事務所等において,裁判文書行数カウンターを配布した。
(73)【特許権者】
【識別番号】399109687
【氏名又は名称】第一法規株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113930
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 正洋
(72)【発明者】
【氏名】圓道 至剛
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−131867(JP,U)
【文献】 第一法規の方には、「次はこれを作って欲しい。ニーズはあるはず!」と力説しておいた。ある判決文の記載がその何行目かを特定する下敷き、ニーズあるよね!?,2015年 2月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/00
B42D 15/00
B43L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた書式を有する文書において,文書の位置を特定する文書カウンターであって,
第1の方向に延びる2以上の線と,
当該線の両端近傍にそれぞれ設けられた数字と,
を具備し,
前記数字は,前記第1の方向と直交する第2の方向に昇順もしくは降順になるように設けられた2つの数字群を形成し,
当該2つの数字群のうちの1つの数字群は,降順及び昇順のうちの一方であり,
当該2つの数字群のうちの他の数字群は,降順及び昇順のうちの他方であること,
を特徴とする文書カウンター。
【請求項2】
請求項1に記載された文書カウンターにおいて,前記数字群の数字は,一定の規則性を持ってそのサイズが変更されていること,
を特徴とする文書カウンター。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された文書カウンターにおいて,前記線は,一定の規則性を持ってその太さが変更されていること,
を特徴とする文書カウンター。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載された文書カウンターにおいて,透明又は半透明な素材から構成されていること,
を特徴とする文書カウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,文書の行数をカウントするカウンターに関する。本発明は,特定の書式(一ページあたりの行数や行間隔が指定されていること)を具備する文書に適用されるものであり,そのような特定の書式を具備する文書であれば広く適用可能な発明であるが,本明細書では説明の便宜上,裁判所に提出する文書の行数をカウントする文書行数カウンターを例として説明を行う。
【背景技術】
【0002】
訴訟において,当事者は,その主張を訴状,答弁書及び準備書面等(以下,これらを総称して「準備書面等」という。)に記載し,紙媒体として,裁判所に提出している。この場合,準備書面等の書式は,どのような形式でもよいわけではない。
【0003】
現在,準備書面等の書式は,裁判所より特段の依頼がない限り,平成13年1月1日から,原則として,A4判横書書面である。また,最高裁判所事務総局から日本弁護士連合会に提供された参考書式の仕様は,1行37文字・1頁26行・左余白30ミリメートル・上余白35ミリメートルであるから,準備書面等を作成するにあたっては,当該参考書式の仕様に従うことになる。
【0004】
さらに,日本弁護士連合会が最高裁判所事務総局に照会した結果は,以下の(1)〜(5)のとおりであるから,準備書面等を作成するにあたっては,以下の(1)〜(5)に従うことになる。すなわち,(1)印刷仕様は片面印刷。(2)A3判の袋とじは使用せず,A4判によるものとする。(3)複数枚の文書の綴じ方は左綴じとし,左余白30ミリメートル以内のところで,ホチキスにより2か所をとめる。(4)使用文字の大きさは12ポイントの文字で,見出しの文字の大きさを変更するのは任意である。(5)読点の種類について裁判文書は「,」に統一しているので,「,」を使用する。ただし「、」を使用されている文書も用いることができる。
【0005】
一方当事者が準備書面等を作成するにあたり,他方当事者の準備書面等における主張を特定し,これを引用したり,これに反論することが行われている。この特定とは,他方当事者の主張が他方当事者の準備書面等のどこに記載されているのかを特定することを意味する。具体的には,他方当事者の主張が他方当事者の準備書面等の何頁目の何行目から何行目に記載されているのかを特定することによって行われる。
【0006】
このような特定は,紙媒体である他方当事者の準備書面等をもとに,人が地道に数えることによって行われているのが現状である。しかし,このような特定方法では,人が数えている以上,どうしてもある程度時間がかかるばかりか,ミスが発生してしまうという問題があった。また,人は,加齢により,目が悪くなるので,加齢によってなおさらミスが発生し易くなるという問題もあった。
【0007】
これに関し,行間や字隔を計算するという目的を達成するために,従来,行数差し定規に関する考案がある(例えば,特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭52−11337号公報
【0009】
しかし,特許文献1は,文書を写植する際に使用する行数差し定規であって,既に存在する文書を新たな文書に写植するにあたり,新たな文書における行間及び字隔等のレイアウトを計算するための道具に過ぎない。つまり,特許文献1は,既に存在する文書を対象とし,当該文書における文章の行数をカウントするカウンターに関するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで,本発明は,以上のような問題を解決するため,既に存在する文書そのものを対象として,簡単かつ正確に準備書面等の行数を数えることができる文書行数カウンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は,解決手段として,予め定められた書式を有する文書において,文章の位置を特定する文書カウンターであって,第1の方向に延びる2以上の線と,当該線に関連付けられた位置に設けられた数字と,を具備する文書カウンターを提供するものである。後述するように,本発明にかかる文書カウンターは文書に重ねて使用されて文書の行数を測定するものであるため,文書に重ねて使用されたときに文書の文字が判読可能な程度に透明もしくは半透明であることが望ましい。
【0012】
また,上記解決手段における文書行数カウンターにおいて,前記数字は,前記第1の方向と直交する第2の方向に昇順もしくは降順になるように2以上設けられて数字群を形成している,という態様を具備するものでもよい。
【0013】
さらに,上記解決手段における文書行数カウンターにおいて,前記数字群は,2以上設けられており,当該2以上の数字群のうちの一部は,降順及び昇順のうちの一方であり,当該2以上の数字群のうちの一部以外の数字群は,降順及び昇順のうちの他方である,という態様を具備するものでもよい。
【発明の効果】
【0014】
前述したように,本発明の文書行数カウンターを使用すれば,準備書面等,一定の書式を具備する文書における文章の行数を簡単かつ正確に数えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例を示す文書行数カウンターの外観図
図2】本発明が対象とする裁判文書の外観図
図3】同裁判文書に同文書行数カウンターを重ねた状態の外観図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明の実施の形態を図1図3に基づいて説明する。
【0017】
図1において,文書行数カウンター1は,アクリル等からなる透明板であって,略A4判形状を有している。文書行数カウンター1は,後述するように,裁判文書の上に重ねるように置いて使用するものであり,使用の際に,文書行数カウンター1を通して裁判文書を読むことができさえすればよい。したがって,文書行数カウンター1は,厳密な意味において透明である必要はなく,使用の際に,文書行数カウンター1を通して裁判文書を読むことができさえすれば,半透明であってもよく,色が付いていてもよい。そこで,本発明において,文書行数カウンター1が透明とは,文書行数カウンター1の透過率が,文書行数カウンター1を通して裁判文書を読むことができる程度の透過率であることを意味するものとする。
【0018】
2は,左右方向に引かれた複数の直線である。直線2の本数は,裁判文書の書式に準拠するものであるところ,前述した,現在における裁判文書であるA4判の準備書面等には,最大で26行にわたる文章が予定されているから,これに準拠して決定される。具体的には,26本から27本程度であることが望ましい。直線2の間隔は,裁判文書の書式に準拠して決定される。
【0019】
3は,直線2に関連付けられて配置された数字を表している。図1において,数字3は,直線2の延長上である直線2の左右側方であって,直線2の間にそれぞれ設けられており,それぞれ,昇順及び降順となっている。しかし,数字3の配置は,図1の例に限定されるものではなく,直線2に関連付けられて配置されさえすればよい。すなわち,数字3が直線2に関連付けられて配置されるとは,図1に示されたように,数字3を直線2の延長上であって,かつ直線2の間に配置することに加えて,直線2の上に重ねて若しくは直線2の延長上又は直線2の近傍に設けることも含む。ここで,直線2の近傍とは,直線2又は直線2の延長上から直線2の幅方向であって,隣接する直線2までの領域をいう。また,数字3が直線2の左右側方においてそれぞれ一つだけ設けられた場合,数字3からなる数字群は,降順となるのが望ましいが,昇順であってもよい。さらに,数字3は,図1の例では,5の倍数の数字のサイズが大きくなっているが,これに限定されるものではない。例えば,数字3のすべてが同一のサイズであってもよいが,5の倍数の数字は他の数字より若干大きく,10の倍数の数字は,さらに大きくするというように,数字3の大きさは,一定の規則性を持って変えてもよい。数字3のサイズの変更に合わせて,または,数字3のサイズの変更と独立して,直線2の太さを適宜変更することもできる。さらに,数字3は,図1においては,「1」「2」「3」・・・といった連続した自然数の数字群が形成されるようになっているが,「5」「10」「15」・・・といった5の倍数の数字群を形成するように設けられてもよく,その他の自然数の倍数の数字群を形成するように設けられてもよい。
【0020】
図2図3は,本発明の文書行数カウンター1の使用方法の一例を示すものである。図2に示された裁判文書4は,準備書面等であって,3つの連続した「■■■」は,特定したい文章の先頭部分を意味し,3つの連続した「▲▲▲」は,特定したい文章の後尾部分を意味するものとする。この場合,裁判文書4に図1の文書行数カウンター1を重ねた状態を示したのが図3である。
【0021】
図3の例では,先頭部分の「■■■」の文字の下に左右方向に位置する直線2の右側方には,「15」という文字がある。これは,当該先頭部分の「■■■」の文字が当該裁判文書4の上から第「15」行目に位置することを意味する。他方,当該直線2の左側方には,「12」という文字がある。これは,当該先頭の「■■■」の文字が当該文書の下から第「12」行目に位置することを意味する。
【0022】
同様に,図3の例では,後尾部分の「▲▲▲」の文字の下に左右方向に位置する直線2の右側方には,「22」という文字がある。これは,当該後尾部分の「▲▲▲」の文字が当該裁判文書4の上から第「22」行目に位置することを意味する。他方,当該直線2の左側方には,「5」という文字がある。これは,当該後尾部分の「▲▲▲」の文字が当該文書の下から第「5」行目に位置することを意味する。
【0023】
以上から,当該裁判文書4における当該先頭部分の「■■■」の文字から始まって,当該後尾部分の「▲▲▲」の文字で終わる文章が位置するのは,当該裁判文書4の上から第15行目から第22行目まで又は下から第5行目から第12行目までとなる。
【0024】
以上の実施例では,裁判文書4の上に文書行数カウンター1を置くものとしたが,文書行数カウンター1の上に裁判文書4を置き,裁判文書4越しに文書行数カウンター1を読み取ることによって,裁判文書4の行数を数えてもよい。この場合,裁判文書4越しに文書行数カウンター1を読み取ることができるように,直線2の太さを太くしたり,数字3のサイズを大きくしたりすることが望ましい。
【0025】
以上,本明細書では裁判文書を具体例として本発明の説明を行ったが,本発明は特定の書式を具備する文書であれば適用可能である。その場合,当該文書が具備する書式に応じて直線2の間隔が変動することはいうまでもない。また,本発明は,文書における文章の行数を簡単かつ正確に数えるという目的・効果を阻害しない範囲で変形することができる。たとえば,直線2は必ずしも厳密な直線である必要はなく,破線,点線,波線などであっても適用可能である。
【0026】
また,数字3は必ずしも一つのページを貫いて昇順又は降順に表記されている必要はなく,行数を計測する対象となる文書の指定書式によって変化を加えることができる。たとえば,指定書式上,上下2段に分割された文書においては,それぞれの段ごとに昇順又は降順に数字3が表記されることもある。この場合は,数字3にかかる「1」「2」「3」・・・という表記は一つのページに複数回なされることになる。
【0027】
さらに,本発明は対象となる文書が具備する書式が横書きの場合に限定されるものではなく,縦書きその他の方向に行が並ぶ態様の文書の場合でも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 文書行数カウンター
2 直線
3 数字
4 裁判文書(準備書面等)

【要約】
【課題】 従来から,裁判文書における文章の位置の特定は,人間が数えることによって行われていたが,ある程度時間がかかるばかりか,ミスが発生してしまうという問題があった。
【解決手段】
予め定められた書式を有する文書において、文章の位置を特定する文書カウンターであって,第1の方向に延びる2以上の線と,当該線のいずれかの延長位置の少なくとも一方に設けられた数字群と,を具備する文書カウンターを使用することにより,裁判文書における文章の位置の特定を簡単かつ正確に行うことができる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3