【実施例1】
【0017】
20歳から39歳の男性14名に、試験食品1(にんにく粉末)及び試験食品2(にんにく卵黄粉末)をクロスオーバーで単回摂取させ、経時的に血中SAC及びアリイン濃度を測定し、吸収性を比較検討した。
【表1】
【0018】
にんにく粉末の調製方法
にんにくを混練しながら減圧状態で80〜100度に加熱し、粉末状になるまで撹拌を続け、SAC、アリインの濃度がにんにく卵黄粉末と同等となるようにデキストリンを加えて調製した。
【0019】
にんにく卵黄粉末の調製方法
にんにく70〜90重量部を混練しながら減圧状態で80から100℃に加熱し、混練後に常圧にし、65℃以下の温度で卵黄10〜30重量部加え混練をしながら減圧、80〜100℃まで昇温し粉末状になるまで撹拌しにんにく卵黄粉末を得た。
【0020】
SACの測定方法
高速液体クロマトグラム分析法
(カラム:4.6×150mm、Inertsil ODS−45μm)
移動相:リン酸バッファー pH2.6/メタノール=85/15
検出器:UV205nm
【0021】
アリインの測定方法
高速液体クロマトグラム分析法
(カラム:4.6×150mm、Inertsil ODS−45μm)
移動相:リン酸バッファー pH2.6/メタノール=85/15
検出器:UV205nm
【0022】
試験食品の組成 1袋(3.5g当たり)
【表2】
【0023】
空腹時に1袋(3.5g)をオブラートに包み、水180mLとともに単回摂取させた。
【0024】
SAC及びアリインの測定は、摂取前(0h)、摂取後(1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h)に行った。
【0025】
SACのAUC
0−8h及びアリインのAUC
0−8hについて、順序効果、時期効果を解析し、クロスオーバーデザインが適切であったことを確認した後に、クロスオーバー法による試験食品1と試験食品2の比較を、2標本t検定を用いて評価した。AUCの算出は、摂取前の値を基準として台形法にて求めた面積とした。また、摂取後の0から上の面積(ΔAUC
0−8h)ついても解析した。
【0026】
Cmaxについては、試験食品1と試験食品2の比較を、1標本t検定を用いて評価した。参考として、各時点の濃度についても、同様に評価した。
【0027】
数値は平均値±標準偏差で示し、検定の有意水準は両側5%とした。
【0028】
SAC濃度AUC
0−8h
SAC濃度AUC
0−8hについて、順序効果、時期効果を検討したところ順序効果、時期効果は有意であり、クロスオーバーデザインは適切でなかった。
【表3】
【0029】
変化量から求めたSAC濃度ΔAUC
0−8hは、時期効果は有意であったが、順序効果は有意ではなく、クロスオーバーデザインは適切であった。
【表4】
【0030】
SAC濃度ΔAUC0−8hは、試験食品1では3345.53±654.11ng/mL・h、試験食品2では3597.93±584.33ng/mL・hであり、食品効果として試験食品2は試験食品1と比較して有意に高かった。
【表5】
【0031】
アリイン濃度AUC
0−8h
アリイン濃度AUC
0−8hについて、クロスオーバーの順序効果、時期効果を検討したところ時期効果は有意であったが、順序効果は有意でなく、クロスオーバーデザインは適切であった。
【表6】
【0032】
アリイン濃度AUC
0−8hは、試験食品1摂取では3253.74±701.79ng/mL・h、試験食品2摂取では3613.51±588.18ng/mL・hであり、食品効果として試験食品2は試験食品1と比較して有意に高かった。
【表7】
【0033】
アリイン濃度ΔAUC
0−8hも、時期効果は有意であったが、順序効果は有意でなくクロスオーバーデザインは適切であった。
【表8】
【0034】
アリイン濃度ΔAUC
0−8hは、試験食品1摂取では3011.51±716.76ng/mL・h、試験食品2摂取では3313.20±543.41ng/mL・hであり、食品効果として試験食品2は試験食品1と比較して有意に高かった。
【表9】
【0035】
SAC濃度Cmax
実測値では、クロスオーバーデザインは不適切であったことから、第I期のみの結果から、試験食品1のCmaxは611.33±197.41ng/mL、試験食品2のCmaxは503.04±126.11ng/mLであり、試験食品1摂取の方が高い値を示したが、有意差は認められなかった(2標本t検定)。その時のTmaxは試験食品1及び2ともに摂取後2時間であった。
【0036】
変化量では、試験食品1のCmaxは524.73±116.93ng/mL、試験食品2のCmaxは562.45±141.89ng/mLであり、試験食品2の方が高い値を示したが、有意差は認められなかった(1標本t検定)。その時のTmaxは試験食品1及び2ともに摂取後2時間であった。
【0037】
アリイン濃度Cmax
実測値では、試験食品1のCmaxは799.45± 266.72ng/mL、試験食品2のCmaxは910.14±217.74ng/mLであり、試験食品2の方が高い値を示したが、有意差は認められなかった(1標本t検定)。その時のTmaxは試験食品1及び2ともに摂取後1時間であった。
【0038】
変化量では、試験食品1のCmaxは769.18±262.01ng/mL、試験食品2のCmaxは872.60±214.48ng/mLであり、試験食品2の方が高い値を示したが、有意差は認められなかった(1標本t検定)。その時のTmaxは試験食品1及び2ともに摂取後1時間であった。
【0039】
有効性の結論
主要評価項目のSAC濃度AUC
0−8hは、実測値ではクロスオーバーデザインは適切ではなかったが、変化量でのSAC濃度ΔAUC
0−8hでは、クロスオーバーデザインは適切であり、試験食品2は試験食品1よりもΔAUC0−8hは有意に高かった。
【0040】
アリイン濃度AUC
0−8h、アリイン濃度ΔAUC
0−8hは、クロスオーバーデザインは適切であり、試験食品2は試験食品1よりもAUC
0−8h及びΔAUC
0−8hが有意に高かった。
【0041】
SAC濃度Cmax及びアリイン濃度Cmaxにおいては、試験食品1と試験食品2との有意差は認められなかった。
【0042】
以上の結果から、試験食品2(にんにく卵黄粉末)は、試験食品1(にんにく粉末)と比較してSAC及びアリインの吸収性が良いことが確認された。
【0043】
安全性については、有害事象の発現はなく、問題は認められなかった。