特許第6154992号(P6154992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154992
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20170619BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   G03G15/00 550
   G03G15/16 103
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-96031(P2012-96031)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-224982(P2013-224982A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165136
【氏名又は名称】桂川電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橘高 英治
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−090826(JP,A)
【文献】 特開平09−034181(JP,A)
【文献】 特開2004−145285(JP,A)
【文献】 特開2004−069958(JP,A)
【文献】 特開2011−191579(JP,A)
【文献】 特開2006−267486(JP,A)
【文献】 特開2011−013241(JP,A)
【文献】 特開2005−242120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00−21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により記録媒体を搬送し、画像形成手段により該記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成手段は、二つ以上、前記記録媒体の幅方向に配置されており、前記各画像形成手段は載置部材に設けられ、前記載置部材の移動により、前記各画像形成手段と記録媒体との離間を所定間隔に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、第一搬送ローラと第二搬送ローラ対とからなり、前記記録媒体は、前記第一搬送ローラを頂点として、前記第二搬送ローラ対により、凸状に張架され、前記画像形成手段は、前記第一搬送ローラと一方の前記第二搬送ローラとに張架された記録媒体側と、前記第一搬送ローラと他方の前記第二搬送ローラとに張架された記録媒体側とに、各々、設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、表面が平滑または、表面が凹凸を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一搬送ローラは、前記画像形成手段で形成された画像を前記記録媒体に転写する転写手段となることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段または各前記画像形成手段には、所定の転写バイアスが印加されることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写バイアスは、直流成分に交流成分を重畳したものであることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段と記録媒体とは、接触または、所定の間隔で離間していることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記離間の所定間隔は、前記記録媒体の厚さ、材質、前記転写バイアスの印加電圧により設定されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が凹凸を有する幅広の記録媒体、特に、紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物等に画像を転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物等の表面に凹凸を有する記録媒体に、画像を記録する装置として、特許文献1がある。
【0003】
これら特許文献1は、第1図、2図に示すように、乾式の現像剤を用いて、記録媒体に画像を転写するものである。
【0004】
【特許文献1】特開昭52−18983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、第18図に示すように、転写ローラ(117、117´)により、記録媒体をドラム(D、D´)に押圧する構成であるため、記録媒体の凸部には現像剤が転写しやすく、記録媒体の凹部には現像剤が転写されにくい。この結果、記録媒体の凹部部分は鮮明さが欠け、記録媒体に転写された画像の品質が低下してしまうという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の構造は、記録媒体の最大幅毎に対応した画像を形成する装置がそれぞれ必要となる。また、記録媒体が幅広の場合、その最大幅に対応した記録媒体に画像を形成する装置が必要となるため、画像形成装置が大型になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1記載の発明は、搬送手段により記録媒体を搬送し、画像形成手段により該記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成手段は、二つ以上、前記記録媒体の幅方向に配置されており、前記各画像形成手段は載置部材に設けられ、前記載置部材の移動により、前記各画像形成手段と記録媒体との離間を所定間隔に設定することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、搬送手段が、第一搬送ローラと第二搬送ローラ対とからなる。さらに、記録媒体は、第一搬送ローラを頂点として、第二搬送ローラ対により、凸状に張架され、画像形成手段は、第一搬送ローラと一方の第二搬送ローラとに張架された記録媒体側と、第一搬送ローラと他方の第二搬送ローラとに張架された記録媒体側とに、各々、設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、記録媒体は、表面が平滑または、表面が凹凸を有するものであることを特徴とする。請求項4記載の発明は、第一搬送ローラは、画像形成手段で形成された画像を記録媒体に転写する転写手段となることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、転写手段または、各画像形成手段には、所定の転写バイアスが印加されることを特徴とし、さらに、請求項6記載の発明は、転写バイアスに、直流成分に交流成分を重畳したことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、画像形成手段と記録媒体とは、接触または、所定の間隔で離間していることを特徴とする
【0012】
請求項記載の発明は、前記離間の所定間隔は、前記記録媒体の厚さ、材質前記転写バイアスの印加電圧により設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、画像形成手段を、二つ以上、記録媒体の幅方向に配置する構成により、記録媒体の最大幅毎に対応した画像形成手段を設ける必要がない。また、記録媒体が幅広の場合であっても、その幅方向に複数の画像形成手段を配置するために、画像形成装置を小型化することができる。
【0014】
また、具体的に、画像形成手段の配置は、搬送手段を第一搬送ローラと第二搬送ローラ対とにより、記録媒体を凸状に張架して搬送させ、第一搬送ローラと一方の第二搬送ローラとに張架された記録媒体側と、第一搬送ローラと他方の第二搬送ローラとに張架された記録媒体側とに、各々、設けることにより、先に述べた効果をえることができる。
【0015】
さらに、第一搬送ローラに所定の転写バイアスが印加される転写手段の機能をもたせるとともに、各画像形成手段を設けた載置部材を移動させて、記録媒体に接触または所定の間隔で離間させることにより、凹凸を有する記録媒体であっても、現像剤を均一に転写することができる。
【0016】
またさらに、転写手段に、転写部に直流成分に交流成分を重畳した転写バイアスを印加することにより、記録媒体に、現像剤を均一に転写することができる。この結果、録媒体に転写された画像の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の画像形成装置の概略図。
図2図1の上面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の画像形成装置の概略図を示す。この装置は、搬送手段100と画像形成手段200とからなる。
【0019】
搬送手段100は、記録媒体Pを画像形成手段200に搬送するものであり、第一搬送ローラ110と、第二搬送ローラ対120(120a、120b)とからなる。第一搬送ローラ110は、矢印E方向に回転し、記録媒体Pは、第一搬送ローラ110を頂点として、各第二搬送ローラ対120(120a、120b)とにより凸状に張架されている。
【0020】
なお、図示されていないが、画像形成手段200への記録媒体Pの供給は、図示しない繰出部により行われ、さらに、画像が形成された記録媒体Pは、図示しない巻取部により矢印B方向に巻き取られる。図示しない繰出部から巻取部間の記録媒体Pは張架した状態にある。
【0021】
ここで、記録媒体Pは、表面が平滑または、表面が凹凸を有する紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物等が適用される。
【0022】
第一搬送ローラ110および第二搬送ローラは、金属ローラ、導電性ゴムローラ、または金属ローラの表面に導電性ゴムをコーティングされたものからなる。第一搬送ローラ110は、記録媒体P側に、直流成分または直流成分に交流成分を重畳した転写バイアスを印加する電源500に接続されている。
【0023】
この構成により、第一搬送ローラ110は、記録媒体Pの搬送の機能と、転写手段300(第二転写手段)の機能とを備える。さらに、第一搬送ローラ110と一方の第二搬送ローラ120b間には、仮定着手段600が設けられている。仮定着手段600は、現像剤像が転写された記録媒体Pが一方の第二搬送ローラ120bを通過した時に、現像剤像が一方の第二搬送ローラ120bに接触して、現像剤像が壊れないように、一旦、現像剤像を記録媒体Pに固定するものである。
【0024】
画像形成手段200は、記録媒体Pに転写する画像を形成するものである。二つの画像形成手段200によって、記録媒体Pに現像剤像を転写するため、画像形成手段200は、図2に示すように、記録媒体Pの中央で、両画像形成手段200で転写された現像剤像(S1、S2)が重なるように、第一搬送ローラ110の両側に配置されている。
【0025】
また、図2では、第一搬送ローラ110の両側に一つずつ配置されているがこれに限定されることはなく、記録媒体Pの中央Cを基準として、第一搬送ローラ110の両側に複数、配置しても良い。さらに、サイズの異なる画像形成手段200を配置しても良い。
【0026】
この構成により、記録媒体Pの幅に応じた画像形成手段200を設ける必要がなくなり、装置を小型化することができる。また、特に、同じサイズの画像形成手段200を配置した場合には、部品の共通化を図ることが可能となり、装置の製造原価を低廉化することができる。
【0027】
画像形成手段200は、各色に対応した画像形成部210と、これら画像形成部210に対応した第一転写手段220と、現像剤像搬送手段230とからなる。
【0028】
画像形成手段200は現像剤像搬送手段230に転写された現像剤像の搬送方向(矢印D)とは逆に、順から、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkが並列に配置されている。像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)の周囲に、像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)上の残留電荷を除去する除電手段(212Y、212M、212C、212Bk)と、像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)の表面を特定極性に帯電する帯電手段(213Y、213M、213C、213Bk)、帯電された像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)の静電潜像を形成する露光手段(214Y、214M、214C、214Bk)と、像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)の表面に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置(215Y、215M、215C、215Bk)とからなる。
【0029】
現像装置(215Y、215M、215C、215Bk)は供給された現像剤を攪拌する攪拌手段(215aY、215aM、215aC、215aBk)と、攪拌された現像剤を現像ローラ(215cY、215cM、215cC、215cBk)に搬送する供給ローラ(215bY、215bM、215bC、215bBk)と、現像剤を像担持体(211Y、211M、211C、211Bk)に形成された静電潜像に現像する現像ローラ(215cY、215cM、215cC、215cBk)とからなる。
【0030】
各色の現像剤の供給はトナーカートリッジ(216Y、216M、216C、216Bk)により行われる。なお、この実施の形態では、矢印D方向に、順から、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkが並列に配置されているが、これに限定されることはなく、各色の混色が生じたとしても、余り目立たないようにするために、矢印Dの逆方向に、ブラックBK、シアンC、マゼンタM、イエローYとしてもよい。
【0031】
現像剤像搬送手段230は、各色の画像形成手段200で形成された現像剤像を記録媒体P側に搬送するものである。現像剤像搬送手段230は、ループ状のベルト231(無端ベルト)と、駆動ローラ232と、従動ローラ233とからなる。従動ローラ232側は接地されている。駆動ローラ232と従動ローラ233とによって、ベルト231は、張力がかかった状態で掛け渡されている。
【0032】
さらに、各画像形成手段200は、載置部材400に設けられている。載置部材400は、第一搬送ローラ110の軸線方向に対して、略垂直(図1、2の矢印A方向)に移動できる構成となっている。この載置部材400の移動により、記録媒体Pと画像形成部との間を、所定の間隔で離すことがきる。
【0033】
この所定の離間Gは、記録媒体Pの特性、例えば、表面が平滑または凹凸を有する、紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物等の種類、厚みの程度、さらに、転写バイアスの印加電圧に応じて、調整される。この調整時に、第一搬送ローラ110に印加する印加バイアスも設定される。
【0034】
なお、記録媒体Pと画像形成部との離間Gの設定は、予め、記録媒体Pの特性を入力して、この入力結果に基づいて、制御手段(図示せず)により、接離機構(図示せず)を起動させて、載置手段を移動させる。
【0035】
または、記録媒体Pと画像形成部との離間Gの設定を、記録媒体Pに現像剤像を転写位置よりも上流の適宜位置に設置した検知手段(図示せず)により検知し、その検知結果に基づいて、制御手段(図示せず)により、接離機構(図示せず)を起動させて、載置手段を移動させる。
【0036】
このように構成することにより、凹凸を有する記録媒体Pであっても、記録媒体Pに、現像剤を均一に転写することができる。
【0037】
このように、画像形成部と記録媒体Pとを離間または接触して配置し、接触する場合には、第一搬送ローラ110に直流成分の転写バイアスを印加し、さらに、所定の間隔で離間する場合には、転写部に直流成分に交流成分を重畳した転写バイアスを印加することにより、凹凸を有する記録媒体Pであっても、現像剤を均一に転写することができる。
【0038】
さらに、記録媒体Pの特性、転写バイアスの印加電圧に応じて、転写部と画像形成部との離間Gを、所定間隔に調整することにより、上記の効果をさらに向上させることができる。
【0039】
なお、図1において、転写バイアスは第一搬送ローラ110から印加されているがこれに限定されることはなく、画像形成部、具体的には、第一搬送ローラ110と対向する従動ローラから転写バイアスを印加しても良い。この時、第一搬送ローラ110は接地されている。
【符号の説明】
【0040】
100 搬送手段
110 第一搬送ローラ(300 転写手段)
120 第二搬送ローラ対
200 画像形成手段
400 転写部材
P 記録媒体
G 間隔
図1
図2