【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。まず、本発明における評価方法について説明する。
(1)JTETC消臭性区分消臭試験
酢酸およびイソ吉草酸の2成分を用いて消臭試験を行い、下記の方法により消臭性能を評価した。
<消臭性能評価>
JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準に従い、上記2成分について機器分析による消臭試験を行った。機器分析試験は、容器に臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後の臭気成分の残留濃度(2時間後の試料試験濃度)を測定した。臭気成分のみを入れた容器の残留濃度を空試験濃度として、下記式により、臭気成分の減少率を計算した。
減少率(%)=[(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/(2時間後の空試験濃度)]×100
なお、酢酸は検知管法により、イソ吉草酸はガスクロマトグラフィー法により測定した。
判定:酢酸の減少率80%以上、イソ吉草酸の減少率85%以上の条件を全て満足する場合を合格「○」と判定し、それ以外を不合格「×」と判定した。
【0032】
(2)風合い(洗濯前のやわらかさ、洗濯後のやわらかさ)の評価方法
以下の洗濯方法に従う洗濯前後の編織物について、10名の被験者により、以下の5段階の評価基準に従って得られた編織物の風合いを評価し、平均値を導出した。
5:とても柔らかい。
4:やや柔らかい。
3:どちらでもない。
2:やや硬い。
1:とても硬い。
評価には、編織物を20℃×65%RHの環境下にて調湿したものを用いた。
【0033】
(3)洗濯方法
JIS−L−1027 103法に準じ、洗濯と乾燥とを繰り返し30回行った。
(4)Si強度の検出方法
蛍光X線分析装置RIX3001((株)リガク社製)を用いて、Si元素強度(SiO
3で測定し、換算)を測定した。
測定条件:8SCN 2θスキャン、3OHMTL 30mm
【0034】
(5)染色物のK/S値の測定方法
マクベス分光光度計MS−2020型を用いて、試料の視感染色濃度を測定する。具体的には、試料5cm×5cmを分光光度計の所定の場所に挟み、波長範囲400〜700nmの各K/S値を測定する。最大吸収波長でのK/S値を用いて視感染色濃度を推定する。K/S値が大きいほど染色濃度が高い。
【0035】
<実施例1>
1.4dtex×38mm長のベンベルグ短繊維わた(キュプラ:旭化成せんい(株)製)をオーバーマイヤー染色機に入れ、超分子化アミノ変性シリコーン(大原パラヂウム化学(株)製、パラシリコンBS−230(数平均分子量12,000))の0.5重量%水溶液を用いて35℃で30分間処理し、加圧脱水したのち、パッケージ型乾燥機にて85℃で90分熱処理した。
得られたベンベルグ短繊維わたをリング紡績機にて紡績し、ベンベルグ40綿番手の紡績糸(単糸繊度1.4dtex)を得た。
得られた紡績糸を用いて、19GG小寸丸編機にてフライス編物を試作した。得られた編地を液流染色機にて、下記条件で精練して、ネット型乾燥機にて130℃×1分で乾燥した。目付が155g/m
2、セルロース混率が100質量%、コース数50、ウェール数24の丸編物を得た。
<条件> 精練:スコアロールFC−250(北広ケミカル社製) 1g/l
80℃で20分
湯洗い:60℃で20分
得られた丸編物の評価結果を表1に示す。
【0036】
<比較例1>
実施例1で用いた1.4dtex×38mm長のベンベルグ短繊維わたに、ステアリル硫酸エステルナトリウムを37重量%含有する油剤を0.4重量%付与した。得られた油剤のみが付与されたベンベルグ短繊維わたを用いて、実施例1と同様に目付が155g/m
2、セルロース混率が100質量%、コース数50、ウェール数24の丸編物を得た。
得られた丸編物の評価結果を表1に示す。
【0037】
<実施例2>
実施例1で得られたフライス編物を液流染色機にて、下記条件で精練し、反応染料を用いて染色、ソーピングを行い、ネット型乾燥機にて130℃×1分で乾燥した。目付が155g/m
2、セルロース混率が100質量%、コース数50、ウェール数24の丸編物を得た。
<条件> 精練:スコアロールFC−250(北広ケミカル社製) 1g/l
80℃で20分
湯洗い:60℃で20分
染色:Sumifix HF Blue BG gran 1.0%omf
硫酸ナトリウム 30g/l
炭酸ナトリウム 15g/l
60℃で90分
中和:酢酸 1cc/l
40℃で10分
ソーピング:グランアップNC(三洋化成社製) 1cc/l
90℃で20分
湯洗い:60℃で20分
得られた丸編物の評価結果を表1に示す。
【0038】
<比較例2>
比較例1で得られたフライス編物を液流染色機にて、実施例2と同様に精練し、反応染料を用いて染色、ソーピングを行い、ネット型乾燥機にて130℃×1分で乾燥した。目付が155g/m
2、セルロース混率が100質量%、コース数50、ウェール数24の丸編物を得た。
得られた丸編物の評価結果を表1に示す。
【0039】
<比較例3>
比較例1で得られたフライス編物にアミノ変性シリコーン(ニッカシリコーンAMZ−3(日華化学(社)製)を2重量%含有する水溶液を付与して、ネット型乾燥機にて130℃×1分で乾燥した。目付が155g/m
2、セルロース混率が100質量%、コース数50、ウェール数24の丸編物を得た。
得られた丸編物の評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
<実施例3〜6、比較例4>
超分子化アミノ変性シリコーン(大原パラヂウム化学(株)製、パラシリコンBS−230(数平均分子量12,000))の濃度を0.05重量%(比較例4)、0.2重量%(実施例3)、1.0重量%(実施例4)、3.0重量%(実施例5)、5.0重量%(実施例6)に変更した以外は、実施例2と同条件で実施した。得られた丸編物の消臭試験を行い、結果を表2に示した。なお、実施例2で得られた丸編物の消臭試験も行い、得られた結果を表2に併せて示した。
【0042】
【表2】
【0043】
表1の結果より、実施例1及び2と比較例1及び2とを比較すると、洗濯前の柔らかさに差がある。更に洗濯後の柔らかさに大きなさがあり、実施例1及び2の柔軟性が明白である。又、比較例3において、洗濯前の柔らかさが洗濯後で低下していることは、柔軟剤に耐久性のないことを明白に示している。実施例2と比較例2の比較により、染色性には差のないことが明白である。
表2の結果より、実施例2、3、4、5、6は消臭効果が得られた。