(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貯蔵ピットは、開放部が長方形状に開放して形成されており、前記歩廊は、前記貯蔵ピットにおける距離の近い側の縁間を跨いで設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の新燃料用貯蔵設備。
複数の前記収納セルを燃料収納ラックで支持して当該燃料収納ラックの外周部にスペーサを配置し、前記燃料収納ラックを前記貯蔵ピットの床面に固定せず載置することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の新燃料用貯蔵設備。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントに使用される原子炉として、加圧水型原子炉や沸騰型原子炉などがある。この原子炉では、内部に多数の燃料集合体(燃料)を配置すると共に、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、燃料が核分裂することで発生した熱により軽水を加熱し、この加熱された軽水(蒸気)により発電を行っている。
【0003】
このような原子炉では、新たに使用する未使用の燃料集合体(以下、新燃料という)を一時的に貯蔵する貯蔵ピットが原子炉建屋に設けられている。この貯蔵ピットは、内部に新燃料を立てた状態で支持する新燃料用収納ラックが設置されている。
【0004】
従来、例えば、特許文献1に記載された新燃料用貯蔵設備(核燃料集合体の貯蔵設備)では、周囲が側壁で囲まれて上部が開放する貯蔵ピット(貯蔵庫)の床面に、新燃料を収容する筒状の収納セル(ラック)が複数林立して固定してある。貯蔵ピットは、収納セルの上方であって開放部分の全体を覆う板状の歩廊が設けられている。歩廊は、貯蔵ピットに固定された各収納セルの直上の位置に開口部が貫通して形成されている。開口部は、透明な蓋により開閉可能に設けられている。歩廊は、作業員の収納セルへの接近手段として頑丈に構成されている。蓋は、透明であることで、開口部を閉塞した状態で収納セルに収納されている新燃料の点検(所在有無の確認)を行うことができ、開口部を開放することで、収納セルに対する新燃料の出し入れを行えるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の新燃料用貯蔵設備では、歩廊が貯蔵ピットの開放部分の全体を覆うように設けられ、その上を作業員が乗って歩行し、各開口部に接近し、燃料の点検や収納セルに対する新燃料の出し入れを行う。そのため、歩廊は、それ自体が頑丈となる厚さに形成され、かつ収納セルの上方で貯蔵ピットの開放部分に設置できるように頑丈な補強が施されていなければならない。この結果、特許文献1に記載の新燃料用貯蔵設備は、歩廊の物量が多く、施工時において歩廊の搬入や設置に手間がかかり、しかも強度を担保するために大掛かりな点検を要するため、製造コストや維持コストが嵩むことになる。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、貯蔵ピットに貯蔵される新燃料の点検や収納セルに対する新燃料の出し入れの際に収納セルに接近する手段を、製造コストや維持コストを抑えて得ることのできる新燃料用貯蔵設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明の新燃料用貯蔵設備は、床面の周りを縦壁面で囲まれて上部が開放する貯蔵ピットと、上端が開口する筒状に形成されており前記貯蔵ピットの床面に複数配置された状態で上端の開口部から新燃料を出し入れされる収納セルと、前記貯蔵ピットの開放部の縁間の一部を跨いで設けられて一部の前記収納セルの上方で架け渡される可搬式の歩廊と、を有することを特徴とする。
【0009】
この新燃料用貯蔵設備によれば、収納セルに対して新燃料を出し入れするため、または収納セルに収納されている新燃料の点検(所在有無の確認)をするために作業員の収納セルへの接近手段として用いられる歩廊を、貯蔵ピットの開放部の縁間の一部を跨いで設けられて一部の収納セルの上方で架け渡される構成とした。歩廊は、可搬式であるため、貯蔵ピットに貯蔵される全ての新燃料に接近する手段として適用することができる。このため、従来と比較して歩廊の物量が少なくなり、新燃料用貯蔵設備の施工時において歩廊の搬入や設置の手間が低減され、しかも強度を担保する点検も大掛かりになることがない。この結果、貯蔵ピットに貯蔵される新燃料の点検や収納セルに対する新燃料の出し入れの際に収納セルに接近する手段を、製造コストや維持コストを抑えて得ることができる。
【0010】
また、第2の発明の新燃料用貯蔵設備は、第1の発明において、前記収納セルの開口部を開閉可能とし前記収納セルの開口部に対応する少なくとも一部が透明材で形成された蓋を有しており、前記歩廊は、その直下の前記収納セルの前記蓋に対応する位置に窓部を有することを特徴とする。
【0011】
この新燃料用貯蔵設備によれば、歩廊の上から貯蔵ピットに貯蔵される新燃料の点検を容易に行うことができる。
【0012】
また、第3の発明の新燃料用貯蔵設備は、第2の発明において、前記窓部が透明材で覆われていることを特徴とする。
【0013】
この新燃料用貯蔵設備によれば、歩廊を作業員が歩く際に窓部の開口に足を取られることがなく安全性を確保することができる。
【0014】
また、第4の発明の新燃料用貯蔵設備は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記貯蔵ピットは、開放部が長方形状に開放して形成されており、前記歩廊は、前記貯蔵ピットにおける距離の近い側の縁間を跨いで設けられることを特徴とする。
【0015】
この新燃料用貯蔵設備によれば、歩廊の長さ(大きさ)を極力小さくすることで、歩廊の物量がより少なくなり、収納セルに接近する手段を、製造コストや維持コストをより抑えて得ることができる。
【0016】
また、第5の発明の新燃料用貯蔵設備は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記歩廊は、吊ピースを有する。
【0017】
この新燃料用貯蔵設備によれば、可搬式に構成する具体的手段として、天井クレーンなどにより歩廊を吊り下げる吊ピースを適用することで実現することができる。
【0018】
また、第6の発明の新燃料用貯蔵設備は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記歩廊は、前記貯蔵ピットにおける開放部の縁を転動する車輪を有することを特徴とする。
【0019】
この新燃料用貯蔵設備によれば、可搬式に構成する具体的手段として、貯蔵ピットにおける開放部の縁に沿って歩廊をスライド移動させる車輪を適用することで実現することができる。
【0020】
また、第7の発明の新燃料用貯蔵設備は、第1〜第6のいずれか1つの発明において、複数の前記収納セルを燃料収納ラックで支持して当該燃料収納ラックの外周部にスペーサを配置し、前記燃料収納ラックを前記貯蔵ピットの床面に固定せず載置することを特徴とする。
【0021】
この新燃料用貯蔵設備によれば、収納セルを貯蔵ピットの床面に固定せず、燃料収納ラックを貯蔵ピットの床面に載置し、スペーサにより貯蔵ピットの縦壁面や、隣接する燃料収納ラックとの間隔を保つ。このため、収納セルを貯蔵ピットの床面に固定する基礎ボルトなどを用いないため、基礎ボルトの製作、取り付けに係るコストを省くことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、貯蔵ピットに貯蔵される新燃料の点検や収納セルに対する新燃料の出し入れの際に収納セルに接近する手段を、製造コストや維持コストを抑えて得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
本実施形態の新燃料用貯蔵設備は、原子力発電プラントにおいて適用される。
図8は、原子力発電プラントを示す概略構成図であり、
図9は、原子炉格納容器を示す概略図である。
【0026】
本実施形態において、原子力発電プラントは、例えば、
図8に示すように、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)112が適用される。加圧水型原子炉112は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器113に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン118へ送って発電機123で発電する。
【0027】
この加圧水型原子炉112を有する原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器111の内部に、加圧水型原子炉112および蒸気発生器113が格納されている。加圧水型原子炉112と蒸気発生器113とは、冷却水配管114,115を介して連結されている。冷却水配管114は、加圧器116が設けられ、冷却水配管115は、冷却水ポンプ117が設けられている。この場合、減速材および一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器116により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉112にて、燃料として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水としての軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器116により所定の高圧に維持された状態で冷却水配管114を通して蒸気発生器113に送られる。この蒸気発生器113では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管115を通して加圧水型原子炉112に戻される。
【0028】
蒸気発生器113は、原子炉格納容器111の外部に設けられたタービン118および復水器119と冷却水配管120,121を介して連結されており、冷却水配管121に給水ポンプ122が設けられている。また、タービン118は、発電機123が接続され、復水器119は、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管124および排水管125が連結されている。従って、蒸気発生器113にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管120を通してタービン118に送られ、この蒸気によりタービン118を駆動して発電機123により発電を行う。タービン118を駆動した蒸気は、復水器119で冷却して水に戻された後、冷却水配管121を通して蒸気発生器113に戻される。
【0029】
このように構成された原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器111は、
図9に示すように、その内部に、上述した加圧水型原子炉112、蒸気発生器113、加圧器116などが収容されている。また、原子炉格納容器111に隣接して燃料取扱建屋130が設置され、この燃料取扱建屋130に新燃料用貯蔵設備1が設けられている。また、燃料取扱建屋130は、その天井部に天井クレーン131が設置されている。
【0030】
新燃料用貯蔵設備1は、コンクリート製であり床面2aの周りが縦壁面2bで囲まれて上方が開放された貯蔵ピット2を有している。この貯蔵ピット2は、その中に燃料収納ラック3が設置される。燃料収納ラック3は、原子炉に設置される未使用の燃料集合体である新燃料が収納される。なお、燃料集合体は、図には明示しないが、PWR用の場合、複数の燃料棒が支持格子により外形が矩形状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、燃料集合体は、沸騰型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)用の場合、複数の燃料棒がスペーサグリッドにより外形が矩形状に束ねられ、上端部に上部タイプレートが固定される一方、下端部に下部タイプレートが固定されており、下部タイプレートの下側にノーズピースが突出して固定されている。
【0031】
図1〜
図7は、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備を示す。
図1および
図2に示すように、貯蔵ピット2は、平面視で矩形状の床面2aの4辺に、縦壁面2bが垂直に立設し、上部が開放した凹部として形成されている。貯蔵ピット2は、その凹部の外側に操作床2cが設けられている。また、貯蔵ピット2は、開放部の周縁を囲むように操作床2cから突出する堰2dが形成されている。なお、
図1〜
図7に示す貯蔵ピット2は、平面視(床面2aおよび開放部)が長方形状に形成されており、
図1〜
図6に示す貯蔵ピット2は、
図7に示す貯蔵ピット2と比較して細長に形成されている。このような貯蔵ピット2は、その内部に燃料収納ラック3が設置される。
【0032】
燃料収納ラック3は、
図1〜
図3に示すように、上部支持部3A、中間支持部3B、台盤3Cを有する。上部支持部3Aは、
図3に示すように、格子状に組まれた支持格子3Aaと、支持格子3Aaの周りを囲む矩形状の外枠3Abとを有し、支持格子3Aaおよび外枠3Abにより新燃料の収納エリアをなす格子が形成されている。中間支持部3Bは、上部支持部3Aと同様に構成されており、格子状に組まれた支持格子3Baと、支持格子3Baの周りを囲む矩形状の外枠3Bbとを有し、支持格子3Baおよび外枠3Bbにより新燃料の収納エリアをなす格子が形成されている。台盤3Cは、燃料収納ラック3の基台となるもので、貯蔵ピット2の床面2aに固定されず載置されるものである。これら上部支持部3A、中間支持部3B、台盤3Cは、上から上部支持部3A、中間支持部3B、台盤3Cの順で所定の間隔をあけ、連結部材3Dにより連結されている。連結部材3Dは、上部支持部3Aと中間支持部3Bとの間の外周部、および中間支持部3Bと台盤3Cとの間の外周部にて交差して配置されている。また、燃料収納ラック3は、上部支持部3Aの外枠3Abの外周部、中間支持部3Bの外枠3Bbの外周部、および台盤3Cの外周部に、スペーサ3Eが設けられている。スペーサ3Eは、
図1および
図2に示すように、貯蔵ピット2の縦壁面2bや、隣接する燃料収納ラック3のスペーサ3Eに当接することで、貯蔵ピット2の縦壁面2bや、隣接する燃料収納ラック3との間隔を保つ。
【0033】
この燃料収納ラック3は、収納セル4が配置される。収納セル4は、角鋼管により上部が開口する矩形状の筒体からなり、新燃料を挿入して収納するものである。収納セル4は、上部支持部3Aの収納エリアと、中間支持部3Bの収納エリアに挿入され、下端部が台盤3Cに支持される。燃料収納ラック3において、上部支持部3Aおよび中間支持部3Bの支持格子3Aa,3Baがなす格子は、隣接する収納セル4を所定の間隔に保持するように構成されている。すなわち、1つの燃料収納ラック3において収納セル4は、隣接して収納される新燃料を所定の間隔に保つように配置される。このため、隣接する新燃料同士が臨界に達するのを防止することができる。また、隣接する燃料収納ラック3は、スペーサ3Eにより各燃料収納ラック3を所定の間隔に保つように配置される。このため、隣接する燃料収納ラック3において隣接する新燃料同士が臨界に達するのを防止することができる。
【0034】
収納セル4は、その上端が外側上方に斜めに広がる案内部4Aが形成されている。この案内部4Aは、筒内に収納される新燃料の挿入を案内する。また、収納セル4は、その下端部内に筒内を閉塞する止板4Bが固定されている。止板4Bは、筒内に挿入される新燃料の下端を支持する。この止板4Bは、収納セル4の筒状の下端から嵩上げされた位置に設けられており、上下に貫通する貫通穴4Baが形成されている。この貫通穴4Baは、BWR用の新燃料を収納する場合にノーズピースが挿入され、または万一筒内に塵埃が進入した場合にこれを落下させる。また、収納セル4は、その下端から止板4Bに掛かる部分に至り、筒内外に貫通する切欠4Cが形成されている。万一筒内に塵埃や水が進入した場合にこれを止板4Bおよび切欠4Cから筒外に出し、塵埃や水が筒内に滞留しないようにする。
【0035】
また、収納セル4は、
図4および
図5に示すように、上端部に蓋4Dが取り付けられる。蓋4Dは、収納セル4の上端の開口部を開閉するもので、収納セル4の上端部に取り付けられた場合に収納セル4の上端の開口部を閉塞することで、収納セル4内への塵埃などの異物の侵入を防ぐ。一方、蓋4Dは、収納セル4の上端部から取り外された場合に収納セル4の上端の開口部を開放することで、収納セル4内に新燃料が出し入れされる。この蓋4Dは、収納セル4の開口部に被さる被覆部4Daと、収納セル4の上端部の周りを囲む外枠部4Dbとを有する。被覆部4Daは、全体または少なくとも一部が、強化ガラスやポリカーボネート樹脂などの合成樹脂からなる透明材で形成されている。また、蓋4Dは、取手部4Dcを有する。取手部4Dcは、蓋4Dを収納セル4の上端部に対して取り付けまたは取り外す際に掴むためのものである。取手部4Dcは、蓋4Dの上方に突出しており、本実施形態では被覆部4Daの上面に固定されている。蓋4Dは、例えばJ形フックを下端に取り付けた棒状の工具により開閉することができる。
【0036】
この燃料収納ラック3を貯蔵ピット2内に配置した状態では、
図1に示すように、収納セル4が貯蔵ピット2内に収められ、収納セル4の上端が貯蔵ピット2の開放部の下方に位置する。
【0037】
なお、本実施形態において、
図1〜
図6に示す新燃料用貯蔵設備1は、燃料収納ラック3が収納セル4を3×4で計12個配置したもので、貯蔵ピット2の平面視の細長い方向で5個並べて配置され、貯蔵ピット2内に全体で60個の収納セル4を配置した形態を示している。また、
図7に示す新燃料用貯蔵設備1は、燃料収納ラック3が収納セル4を6×10で計60個配置したもので、貯蔵ピット2内に全体で60個の収納セル4を配置した形態を示している。この貯蔵ピット2の平面視形状や、燃料収納ラック3の収納セル4の配置数や、燃料収納ラック3の配置は、上記形態に限定されるものではない。
【0038】
本実施形態の新燃料用貯蔵設備1は、歩廊5を有する。歩廊5は、貯蔵ピット2の開放部の縁間の一部を跨いで設けられる架橋となる歩廊本体5Aを有する。歩廊本体5Aは、炭素鋼またはステンレス鋼などの鋼製とするか、軽量化を図るためにアルミニウム合金などの非鉄金属とすることが好ましい。歩廊本体5Aは、貯蔵ピット2の開放部の対向する縁間よりも長い寸法に形成され、長手方向の両端が貯蔵ピット2の開放部の縁に形成された対向する堰2dに掛かるように操作床2cに置かれ、上述した一部の収納セル4の上方で架け渡される。具体的に、歩廊本体5Aは、開放部が長方形状に開放して形成された貯蔵ピット2において距離の近い側の縁間を跨いで設けられる。すなわち、歩廊本体5Aは、収納セル4の上方で架け渡された状態において、その直下に一部(本実施形態では6個)の収納セル4が存在し、その他の収納セル4の上方が開放された形態とする。
【0039】
歩廊5は、歩廊本体5Aの両幅端に、長手方向に沿って間隔をおいて側柱5Bが立てられている。歩廊本体5Aの各幅端で並ぶ各側柱5Bは、手摺5Cで繋がれている。手摺5Cは、鋼棒やワイヤやロープなどで形成される。なお、側柱5Bは、歩廊本体5Aから取り外しが可能であり、手摺5Cは、側柱5Bから取り外しが可能であって、後述のように可搬式に構成された歩廊5において可搬性の向上が図られている。
【0040】
また、歩廊5は、歩廊本体5Aの両幅端に、一対の吊ピース5Dがそれぞれ設けられている。吊ピース5Dは、上述した燃料取扱建屋130の天井クレーン131により吊り下げられる。これにより、歩廊5は、可搬式として構成される。また、歩廊5は、操作床2cに置かれる歩廊本体5Aの長手方向の両端の底面に、ゴム材などからなる滑止パッド5Eが設けられ、収納セル4の上方で架け渡された位置を維持できるように構成される。
【0041】
さらに、歩廊5は、歩廊本体5Aが収納セル4の上方で架け渡された状態で、直下の収納セル4(収納セル4の蓋4D)に対応する歩廊本体5Aの位置に、窓部5Fが設けられている。窓部5Fは、貫通穴として形成されていてもよいが、貫通穴を塞ぐように強化ガラスやポリカーボネート樹脂などの合成樹脂からなる透明材で覆われていることが好ましい。
【0042】
なお、歩廊5は、
図6に示すように、操作床2cに置かれる歩廊本体5Aの長手方向の両端の底面に、滑止パッド5Eに換えて車輪5Gが設けられていてもよい。車輪5Gは、貯蔵ピット2における開放部の縁(操作床2c)を転動する。これにより、歩廊5は、収納セル4の上方で架け渡された状態でスライド移動する可搬式として構成される。さらに、歩廊5は、車輪5G自体または歩廊本体5Aに図示しないストッパが設けられ、このストッパによりスライド移動した位置を維持できるように構成されている。
【0043】
このように構成された新燃料用貯蔵設備1では、歩廊5は、収納セル4に対して新燃料を出し入れするため、または収納セル4に収納されている新燃料の点検(所在有無の確認)をするため、作業員が収納セル4へ歩いて近づく接近手段として用いられる。収納セル4に対して新燃料を出し入れする場合、歩廊5から天井クレーン131を用いて、または作業員自身が収納セル4の蓋4Dを外し、天井クレーン131により新燃料の出し入れ作業を行う。また、新燃料の点検をする場合、収納セル4の蓋4Dにおける透明材を透して新燃料の点検作業を行う。
【0044】
そして、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1は、床面2aの周りを縦壁面2bで囲まれて上部が開放する貯蔵ピット2と、上端が開口する筒状に形成されており貯蔵ピット2の床面2aに複数配置された状態で上端の開口部から新燃料を出し入れされる収納セル4と、貯蔵ピット2の開放部の縁間の一部を跨いで設けられて一部の収納セル4の上方で架け渡される可搬式の歩廊5と、を有する。
【0045】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、収納セル4に対して新燃料を出し入れするため、または収納セル4に収納されている新燃料の点検(所在有無の確認)をするために作業員の収納セル4への接近手段として用いられる歩廊5を、貯蔵ピット2の開放部の縁間の一部を跨いで設けられて一部の収納セル4の上方で架け渡される構成とした。歩廊5は、可搬式であるため、貯蔵ピット2に貯蔵される全ての新燃料に接近する手段として適用することができる。このため、従来と比較して歩廊5の物量が少なくなり、新燃料用貯蔵設備1の施工時において歩廊5の搬入や設置の手間が低減され、しかも強度を担保する点検も大掛かりになることがない。この結果、貯蔵ピット2に貯蔵される新燃料の点検や収納セル4に対する新燃料の出し入れの際に収納セル4に接近する手段を、製造コストや維持コストを抑えて得ることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、収納セル4の開口部を開閉可能とし収納セル4の開口部に対応する少なくとも一部が透明材で形成された蓋4Dを有しており、歩廊5は、その直下の収納セル4の蓋4Dに対応する位置に窓部5Fを有する。
【0047】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、歩廊5の上から貯蔵ピット2に貯蔵される新燃料の点検を容易に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、窓部5Fが透明材で覆われている。
【0049】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、歩廊5を作業員が歩く際に窓部5Fの開口に足を取られることがなく安全性を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、貯蔵ピット2は、開放部が長方形状に開放して形成されており、歩廊5は、貯蔵ピット2における距離の近い側の縁間を跨いで設けられる。
【0051】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、歩廊5の長さ(大きさ)を極力小さくすることで、歩廊5の物量がより少なくなり、収納セル4に接近する手段を、製造コストや維持コストをより抑えて得ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、歩廊5は、吊ピース5Dを有する。
【0053】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、可搬式に構成する具体的手段として、天井クレーン131などにより歩廊5を吊り下げる吊ピース5Dを適用することで実現することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、歩廊5は、貯蔵ピット2における開放部の縁を転動する車輪5Gを有する。
【0055】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、可搬式に構成する具体的手段として、貯蔵ピット2における開放部の縁に沿って歩廊5をスライド移動させる車輪5Gを適用することで実現することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る新燃料用貯蔵設備1では、複数の収納セル4を燃料収納ラック3で支持して当該燃料収納ラック3の外周部にスペーサ3Eを配置し、燃料収納ラック3を貯蔵ピット2の床面2aに固定せず載置する。
【0057】
この新燃料用貯蔵設備1によれば、収納セル4を貯蔵ピット2の床面2aに固定せず、燃料収納ラック3を貯蔵ピット2の床面2aに載置し、スペーサ3Eにより貯蔵ピット2の縦壁面2bや、隣接する燃料収納ラック3との間隔を保つ。このため、収納セル4を貯蔵ピット2の床面2aに固定する基礎ボルトなどを用いないため、基礎ボルトの製作、取り付けに係るコストを省くことができる。