【文献】
北川敏哉 他,“長距離,複数タグアクセスを可能にしたRFID用リード/ライトアンテナ”,OMRON TECHNICS,オムロン株式会社,1998年 9月20日,Volume 38, Number 3,Pages 268-274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同一の周波数で複数の発信機から送信されて各々が発信機の固有情報で変調されている音波を収音した一つのマイクロフォンから、当該音波を表す第1信号を取得する取得手段と、
前記第1信号を復調し、当該第1信号の振幅に応じたレベルの第2信号を抽出する抽出手段と、
前記第2信号を、予め有する閾値で二値化して当該二値化の結果から前記固有情報を特定する特定手段と、
を有し、
前記発信機は、複数の店内に複数配置され、前記特定手段は、前記複数の店毎に前記閾値を変更する端末装置。
同一の周波数で複数の発信機から送信されて各々が発信機の固有情報で変調されている音波を収音した一つのマイクロフォンから、当該音波を表す第1信号を取得する取得ステップと、
前記第1信号を復調し、当該第1信号の振幅に応じたレベルの第2信号を抽出する抽出ステップと、
前記第2信号を、予め有する閾値で二値化して当該二値化の結果から前記固有情報を特定する特定ステップと、
を有し、
前記発信機は、複数の店内に複数配置され、前記特定ステップは、前記複数の店毎に前記閾値を変更する情報取得方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る特典付与システムの一例であるポイントシステム1を構成する装置を示した図である。ポイントシステム1は、店3に来店した者に対して、ロイヤリティプログラムを提供するシステムである。店3には、複数の商品が陳列されており、陳列されている商品には、商品を表すバーコードが付されている。ポイントシステム1は、サーバ装置20、発信機30A,30B及びレジスター40を有する。本実施形態においては、発信機30A、30Bの構成は同じであるため、以下、各々を区別する必要のない場合は発信機30と記載する。通信網2は、音声通信やデータ通信などの通信サービスを提供する通信網である。なお、通信網2は、インターネットや固定電話網なども含めることができる。サーバ装置20、レジスター40及び端末装置10は、通信網2を介してデータ通信を行う。
【0014】
端末装置10は、本実施形態においてはスマートフォンであり、通信網2を介して音声通信やデータ通信を行う。本実施形態においては、端末装置10はスマートフォンであるが、スマートフォンに限定されるものではなく、通信網2を介してデータ通信を行う機能を備えているものであれば、タブレットPC(Personal Computer)、フィーチャーフォン又はPDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。なお、端末装置10は複数存在するが、図面が繁雑になるのを防ぐため、
図1においては、一つの端末装置10のみを示している。
【0015】
サーバ装置20は、端末装置10のユーザに対して与えられたポイントを管理する装置である。サーバ装置20は、端末装置10のユーザ毎に、ユーザに与えられているポイントを管理する。
【0016】
発信機30は、予め定められた周波数の音波の信号を送信する装置である。発信機30は、予め定められた領域内に複数配置される。本実施形態においては、予め定められた領域は、店3の中であり、発信機30は、店3にある複数の棚のそれぞれに配置されている。発信機30は、発信機30に固有の情報であって、発信機を一意に識別する発信機識別子を示す音波の信号を予め定められた周期(例えば1秒)で送信する。なお、発信機30が信号を送信する周期は、1秒に限定されるものではなく、1秒を超える周期又は1秒未満の周期であってもよい。また、本実施形態においては、発信機30Aが送信する音波の音圧と、発信機30Bが送信する音波の音圧は、同じとなっている。レジスター40は、POS(Point Of Sale)システムに対応した電子レジスターであり、商品に付されているバーコードを読み取って商品の価格を表示する機能や、NFC(Near Field Communication)として知られる無線通信の国際規格に従った通信を行う機能を備えたレジスターである。
【0017】
ポイントシステム1においては、店3に来店した者が所有する端末装置10が、発信機30,30Bから送信されている信号を受信すると、端末装置10のユーザに対してサーバ装置20が特典の一例であるポイントを与える。なお、発信機30が配置された店3は複数存在するが、図面が繁雑になるのを防ぐため、
図1においては、一つの店3のみを示している。また、発信機30は店3の中に複数配置されるが、図面が繁雑になるのを防ぐため、
図1においては、2つの発信機30のみを示している。
【0018】
ここで、発信機30が出力する信号について、
図2を用いて説明する。発信機30は、発信機識別子を2進数で記憶しており、記憶している発信機識別子を表す信号S1を予め定められた周期で生成する。例えば、発信機30Aの発信機識別子が「1001100」である場合、信号S1は、
図2の(a)に示したように、発信機識別子の「0」の桁に対応してL(Low)レベルとなり、発信機識別子の「1」の桁に対応してH(High)レベルとなる。なお、本実施形態においては、発信機識別子の一桁に対応して信号S1がHレベル又はLレベルになる期間は、予め定められており、いずれも同じ期間となっている。
【0019】
また、発信機30は、
図2に示した予め定められた周波数の正弦波の信号S2を生成し、この信号S2を信号S1で変調して信号S3を生成する。本実施形態においては、信号S2の周波数は、超音波の帯域の周波数であるが可聴域の音波の帯域の周波数であってもよい。
図2に示したように、信号S3は、信号S1がLレベルの期間は、振幅が0となり、信号S1がHレベルの期間は、信号S2と同じ波形となる。つまり、信号S3は発信機識別子の情報が重畳された音波となる。なお、発信機30Bの発信機識別子が「1001101」である場合、発信機30Bの信号S1は、
図2の(b)に示したものとなり、発信機30Bの信号S3は、
図2の(b)に示したものとなる。
【0020】
(端末装置10の構成)
図3は、端末装置10のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコントローラである。CPUがROMに記憶されているプログラムを実行すると、スマートフォンの基本的な機能が実現する。
【0021】
表示部103は、液晶ディスプレイを備えており、端末装置10を操作するための画面や各種メッセージを表示する。操作部104は、端末装置10を操作するための複数のキーを備えている。また、操作部104は、表示部103の表面に設けられ、表示部103が表示した画像を透過し、指が触れた位置を検出するタッチパネルを備えている。通信部105は、通信網2を介して通信を行う通信インターフェースとして機能し、各種情報の受信や送信を行う。読取り部106は、レンズやイメージセンサを有するカメラモジュールを備えている。読取り部106は、イメージセンサに結像した被写体の像を電気信号に変換し、被写体の画像を示すデータを制御部101へ出力する。近距離通信部108は、NFCとして知られる無線通信の国際規格に従った通信を行う通信インターフェースである。
【0022】
音声処理部107は、マイクロホンとスピーカを有している。音声処理部107は、端末装置10同士が音声通話を行う場合、通話相手の音声に係るデジタル信号が通信部105から供給されると、供給されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、スピーカへ供給され、スピーカからは、通話相手の音声が放音される。また、音声処理部107は、マイクロホンに音波が入力されると、入力された音波をデジタル信号に変換する。音声処理部107は、端末装置10が音声通話を行う場合、ユーザの音声を変換したデジタル信号を通信部105へ供給する。このデジタル信号は、通信部105から通信網2へ送信され、通話相手の端末装置10へ送信される。なお、音声処理部107は、後述するアプリケーションプログラムが実行された場合、入力された音波をデジタル信号に変換し、このデジタル信号を制御部101へ供給する。
【0023】
記憶部102は、不揮発性メモリであり、各種アプリケーションプログラムを記憶する。本実施形態においては、記憶部102は、端末装置10のユーザに対してポイントプログラムのサービスを提供する機能を実現するアプリケーションプログラム(以下、アプリAと称する)を記憶している。また、記憶部102は、アプリAのユーザを識別するユーザ識別子を記憶している。制御部101のCPUが、記憶部102に記憶されているアプリAを実行すると、ポイントプログラムのサービスを提供する機能が実現する。
【0024】
図4は、アプリAを実行した制御部101において実現する機能のうち、本発明に係る特徴的な機能の構成を示したブロック図である。取得手段1001は、音声処理部107が出力したデジタル信号、即ち、マイクロフォンが収音した音波を表す信号S3(第1信号)を取得する手段である。抽出手段1002は、取得手段が取得した信号S3を復調し、音波の振幅に応じた信号S1(第2信号)を抽出する手段である。特定手段1003は、復調して得られた信号S1を予め有する閾値で二値化し、発信機識別子を特定する手段である。送信手段1004は、通信部105と協働し、特定手段1003が特定した発信機識別子をサーバ装置20へ送信する手段である。
【0025】
(サーバ装置20の構成)
図5は、サーバ装置20のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。表示部203は、液晶ディスプレイを備えており、サーバ装置20を操作するための画面や記憶部202に記憶されている情報などを表示する。操作部204は、キーボードやマウスを備えており、サーバ装置20は、キーボードやマウスに行われた操作に応じて動作する。通信部205は、通信網2を介して通信を行う通信インターフェースとして機能する。通信部205は、通信網2を介して端末装置10やレジスター40と情報のやり取りを行う。なお、本実施形態においては、サーバ装置20は、表示部203と操作部204を備えているが、表示部203と操作部204を備えていない構成であってもよい。
【0026】
記憶部202は、ハードディスク装置を有しており、店3に来店した者に対して、ポイントプログラムのサービスを提供する機能を実現するプログラムを記憶している。また、記憶部202は、ポイントサービスを提供するときに使用する発信機テーブルTB1及びユーザテーブルTB2を記憶している。
【0027】
発信機テーブルTB1は、発信機30の発信機識別子を格納したテーブルである。発信機テーブルTB1においては、
図6に示したように、発信機識別子と、当該発信機識別子の音波を受信した端末装置10のユーザへ与えるポイントとが対応付けて格納されている。
【0028】
ユーザテーブルTB2は、上述したアプリAを使用するユーザの情報を格納したテーブルである。ユーザテーブルTB2は、アプリAを実行している端末装置10において、ユーザがポイントプログラムのサービスへの登録操作を行うことにより、ユーザ毎に作成される。ユーザテーブルTB2は、アプリAのユーザを識別するユーザ識別子を格納している。また、ユーザテーブルTB2は、
図7に示したように、ユーザが獲得したポイントを格納している。例えば、ユーザ識別子が「u0001」であるユーザが獲得しているポイントが100ポイントである場合、ユーザテーブルTB2は、
図7に示したものとなる。
【0029】
制御部201は、CPU、ROM及びRAMを備えている。記憶部202に記憶されているプログラムが制御部201で実行されると、店3に来店した者に対して、ポイントプログラムのサービスを提供する機能が実現する。
【0030】
図8は、サーバ装置20において実現する機能のうち、本発明に係る機能の構成を示したブロック図である。受信手段2001は、通信部205と協働し、端末装置10が送信した情報を受信する手段である。更新手段2002は、受信手段2001が受信したユーザ識別子に対応付けて記憶部202に記憶されているポイントの情報を、受信手段2001が受信した発信機識別子に対応したポイントで更新する手段である。
【0031】
(実施形態の動作例)
次に、本実施形態の動作の一例について説明する。なお、以下の説明においては、
図9に示したように店3に配置された棚50Aに発信機30Aが配置され、棚50Aと並べて配置された棚50Bに発信機30Bが配置された場合を想定して動作説明を行う。なお、
図9は、店3の中を天井側から見た図となっている。以下の説明においては、発信機30Aと発信機30Bが送信する音波の音圧が同じであり、位置P3は、発信機30Aと発信機30Bとの中間の位置である場合を想定して動作説明を行う。
【0032】
まず、端末装置10のユーザは、店3に入店する前に、上述したアプリAの起動を指示する操作を操作部104において行う。制御部101は、ユーザの操作に応じてアプリAを実行する。
【0033】
制御部101がアプリAを実行すると、音声処理部107においては、マイクロホンで取得した音波がデジタル信号に変換され、このデジタル信号が制御部101へ供給される。制御部101は、デジタル信号が供給されると、
図10に示した処理を実行する。まず、制御部101は、供給されるデジタル信号を解析して所定周波数(信号S2の周波数)の信号の抽出を行う(ステップSA1)。制御部101は、所定周波数の信号を抽出した場合(ステップSA2でYES)、抽出した信号を復調する(ステップSA3)。
【0034】
例えば、端末装置10が店3の外にある場合、発信機30が送信している信号S3が音声処理部107のマイクロホンには届かない。このため、制御部101は、マイクロホンで取得した音波をデジタル信号に変換しても、発信機30が送信する所定周波数の信号は得られない。この場合、制御部101は、ステップSA2でNOと判断する。
【0035】
一方、端末装置10のユーザが、端末装置10を持って店3に入店し、棚50Aと棚50Bとの間に移動すると、発信機30Aが送信している信号S3aと発信機30Bが送信している信号S3bとが音声処理部107のマイクロホンで取得される。
【0036】
信号S3aと信号S3bとの送信のタイミングがずれており、信号S3aと信号S3bとが同時にマイクロホンで取得されない場合、信号S3aと信号S3bとが交互にマイクロホンで取得される。音声処理部107は、マイクロホンが取得した信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号を制御部101へ供給する。制御部101(取得手段1001)は、供給されたデジタル信号を取得する。制御部101(抽出手段1002)は、発信機30が送信した周波数の信号を抽出し、この抽出された信号を復調して信号S1を得る。なお、信号S1のレベルは、信号S3の振幅に応じたものとなる。
【0037】
例えば、ユーザが位置P1に位置した場合、位置P1は、発信機30Aに近いため、位置P1における信号S3aを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは、
図11の(a)の上段に示したものとなる(
図11(a)の信号S1a)。また、位置P1は、発信機30Bから遠いため、位置P1における信号S3bを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは、
図11の(a)の中段に示したものとなる(
図11(a)の信号S1b)。
【0038】
また、ユーザが
図9の位置P2に位置した場合、位置P2は、発信機30Bに近いため、位置P2における信号S3bを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは、
図11の(c)の中段に示したものとなる(
図11(c)の信号S1b)。また、位置P2は、発信機30Aから遠いため、位置P2における信号S3aを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは、
図11の(c)の上段に示したものとなる(
図11(c)の信号S1b)。
【0039】
また、ユーザが位置P3に位置した場合、位置P2は、位置P1より発信機30Aから遠いため、位置P3における信号S3aを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは位置P1のときより低くなり、
図11の(b)の上段に示したものとなる(
図11(b)の信号S1a)。また、位置P3は、位置P2より発信機30Bから遠いため、位置P3における信号S3bを制御部101が復調すると、復調して得られる信号S1のレベルは位置P2のときより低くなり、
図11の(b)の中段に示したものとなる(
図11(b)の信号S1b)。
【0040】
制御部101(特定手段1003)は、信号S1のレベルを解析し、信号S1から発信機識別子を特定する(ステップSA4)。具体的には、制御部101は、予め定められた閾値thで信号S1を二値化する。閾値thは、端末装置10で取得し得る信号S3の最大振幅(例えば、端末装置10を発信機30に隣接させたときの信号S3の最大振幅)のn%(本実施形態ではn=70)の値となっている。位置P1で制御部101が信号S1aを抽出した場合、信号S1aは、
図11の(a)に示したように「1」を示すレベルが閾値th以上となり、信号S1aを閾値で二値化して得られる値は「1001100」となる。また、位置P1で制御部101が信号S1bを抽出した場合、信号S1bは、
図11の(a)に示したように「1」を示すレベルが閾値th未満となるため、信号S1bを二値化して得られる値は「0000000」となる。
【0041】
また、位置P2で制御部101が信号S1bを抽出した場合、信号S1bは、
図11の(c)に示したように「1」を示すレベルが閾値th以上となり、信号S1bを二値化して得られる値は「1001101」となる。また、位置P2で制御部101が信号S1aを抽出した場合、信号S1aは、
図11の(c)に示したように「1」を示すレベルが閾値th未満となるため、信号S1aを二値化して得られる値は「0000000」となる。
【0042】
また、位置P3で制御部101が信号S1aを抽出した場合、信号S1aは、
図11の(b)に示したように「1」を示すレベルが閾値th未満となり、信号S1aを二値化して得られる値は「0000000」となる。また、位置P3で制御部101が信号S1bを抽出した場合、信号S1bは、
図11の(c)に示したように「1」を示すレベルが閾値th未満となり、信号S1bを二値化して得られる値は「0000000」となる。
【0043】
なお、発信機30Aと発信機30Bとで発信機識別子を示す音波の送信タイミングが重なる場合、音波が重なるため、得られる信号S1の波形は、
図11の上段や中段に示したものとは異なるものとなる。例えば、発信機30Aが送信する音波の位相と発信機30Bが送信する音波の位相とが同じであり、発信機30Aの発信機識別子のMSB(Most Significant Bit)の音波の送信中に発信機30Bの発信機識別子のMSBの音波の送信が開始された場合、信号S3を復調して得られる信号S1の波形は、
図11の下段に示したものとなる。
【0044】
例えば、端末装置10が位置P1に位置した場合、
図11の(a)の下段に示したように、発信機30Aの音波と発信機30Bの音波とが重なるタイミングにおいては、復調して得られる信号S1のレベルが音波が重ならない場合より高くなる。ここで閾値thで信号S1を二値化して得られる値は「1001100」となり、複数の発信機30のうち端末装置10に近い発信機30Aの発信機識別子を得ることができる。
また、端末装置10が位置P2に位置した場合、
図11の(c)の下段に示したように、発信機30Aの音波と発信機30Bの音波とが重なるタイミングにおいては、復調して得られる信号S1のレベルが音波が重ならない場合より高くなる。ここで閾値thで信号S1を二値化して得られる値は「1001101」となり、複数の発信機30のうち端末装置10に近い発信機30Bの発信機識別子を得ることができる。
なお、端末装置10が位置P3に位置した場合、
図11の(b)の下段に示したように、発信機30Aの音波と発信機30Bの音波とが重なるタイミングにおいては、復調して得られる信号S1のレベルが音波が重ならない場合より高くなる。しかしながら、ここで信号S1のレベルは閾値th以上とならないため、信号S1を二値化すると得られる値は「0000000」となる。
つまり、本実施形態においては、複数の発信機30の音波が重なっても、端末装置10は、音波が重ならないときと同様に、複数の発信機30のうち端末装置10に近い発信機30の発信機識別子を取得することができる。
【0045】
制御部101は、抽出した発信機識別子の値が「0000000」の場合(ステップSA5でYES)、
図10に示した処理を終了する。一方、制御部101は、抽出した発信機識別子の値が「0000000」ではない場合(ステップSA5でNO)、抽出した発信機識別子をRAMに記憶させる(ステップSA6)。制御部101は、最後にRAMに記憶させた発信機識別子と、最後にRAMに記憶させた発信機識別子の一つ前にRAMに記憶させた発信機識別子とが同じであるか判断する(ステップSA7)。制御部101は、ステップSA7でNOと判断した場合、
図10に示した処理を終了する。また、制御部101は、ステップSA7でYESと判断した場合、記憶部102に記憶されているユーザ識別子と、抽出した発信機識別子とをサーバ装置20へ送信する。
【0046】
サーバ装置20においては、端末装置10から送信されたユーザ識別子と発信機識別子とを通信部205が受信すると、制御部201が、
図12に示した処理を実行する。まず、制御部201は、受信した発信機識別子を発信機テーブルTB1において検索する(ステップSB1)。制御部201は、受信した発信機識別子が発信機テーブルTB1に格納されていた場合(ステップSB2でYES)、発信機識別子と共に受信したユーザ識別子をユーザテーブルTB2において検索する(ステップSB3)。
【0047】
制御部201は、受信したユーザ識別子がユーザテーブルTB2に格納されている場合(ステップSB4でYES)、ユーザにポイントを与える処理を行う(ステップSB5)。具体的には、制御部201は、受信した発信機識別子を格納した行を発信機テーブルTB1において特定し、特定した行に格納されているポイントを抽出する。次に制御部101は、ユーザテーブルTB2において、受信したユーザ識別子を格納した行を特定し、特定した行に対応付けて格納されているポイントに発信機テーブルTB1から取得したポイントを加算する。なお、制御部201は、ユーザテーブルTB2において、受信したユーザ識別子が格納されていない場合、受信したユーザ識別子を格納した行をユーザテーブルTB2において新たに作成し、作成した行に発信機テーブルTB1から取得したポイントを格納する。
【0048】
例えば、端末装置10が位置P1に位置した場合、サーバ装置20へは発信機識別子として「1001100」が送信される。
図6に示したように、発信機識別子「1001100」に対しては「10」が対応付けられているため、10ポイントが端末装置10のユーザに加算される。また、端末装置10が位置P2に位置した場合、サーバ装置20へは発信機識別子として「1001101」が送信される。
図6に示したように、発信機識別子「1001101」に対しては「5」が対応付けられているため、5ポイントが端末装置10のユーザに加算される。
【0049】
このように、本実施形態によれば、店3に来店した端末装置10のユーザが棚に近づくとユーザに近い棚に対応したポイントを付与することができる。また、本実施形態によれば、同じ周波数の音波が重なっても、複数のマイクロフォンを用いることなく、端末装置10に近い棚(発信機)を特定することができる。換言すると、端末装置10が棚50A又は棚50Bに近い位置にあることが分かり、端末装置10のユーザがいる位置を知ることができる。
【0050】
次に、端末装置10のユーザが、獲得したポイントを商品を購入するときに利用するときの動作例について説明する。端末装置10のユーザは、購入する商品を持って店3の中でレジスター40のある場所へ行く。店員が商品に付されているバーコードをレジスター40に読み取らせると、レジスター40は、バーコードで特定される商品の値段を表示する。
端末装置10のユーザは、ポイントサービスを利用する場合、端末装置10をレジスター40に近づける。端末装置10がリーダに近づくと、レジスター40と、アプリAを実行している端末装置10との間で近距離無線通信が開始される。まず、制御部101は、近距離通信部108を制御し、記憶部102に記憶されているユーザ識別子をレジスター40へ送信する。レジスター40は、ユーザ識別子を受信すると、受信したユーザ識別子をサーバ装置20へ送信する。
【0051】
サーバ装置20の通信部205が、ユーザ識別子を受信すると、制御部201は、受信したユーザ識別子をユーザテーブルTB2において検索する。制御部201は、受信したユーザ識別子がユーザテーブルTB2にある場合、受信したユーザ識別子を格納した行に格納されているポイントを取得する。制御部201は、通信部205を制御し、取得したポイントを示すデータをレジスター40へ送信する。
【0052】
レジスター40は、サーバ装置20が送信したデータを受信すると、受信したデータが示すポイントを表示する。端末装置10のユーザが、表示されたポイントを使用する旨を店員に伝えると、店員は、表示されたポイントを使用する操作をレジスター40において行う。レジスター40は、この操作が行われると、表示されている商品の価格からポイントに応じた金額を値引きして表示する。ユーザが、表示された金額を支払い、店員がレジスター40において精算の操作を行うと、レジスター40は、ユーザ識別子を含み、ポイントの使用を通知するメッセージをサーバ装置20へ送信する。
【0053】
サーバ装置20は、このメッセージを受信すると、受信したユーザ識別子をユーザテーブルTB2において検索する。制御部201は、受信したユーザ識別子を格納した行がユーザテーブルTB2にある場合、受信したユーザ識別子を格納した行を特定し、特定した行に対応付けて格納されているポイントの値を0にする。
【0054】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0055】
上述した実施形態においては、発信機30Aの音波の音圧と発信機30Bの音波の音圧が同じであるが、発信機30Aと発信機30Bの音波の音圧が異なるようにしてもよい。この構成によれば、端末装置10が発信機識別子を抽出できる領域を調整することができる。また、上述した実施形態においては発信機30の数が2つとなっているが、3つ以上の発信機30を店3の中に配置してもよい。
【0056】
また、本発明においては、発信機30から送信される音波の方向を調整してもよい。例えば、
図13に示したように、店3の隅に発信機30を配置し、発信機30において音波を出すスピーカを店3の内側に向けるようにしてもよい。この構成によれば、店3の内側へ音波が送信される。なお、発信機30から送信された音波は、壁60で反射又は壁60に吸収され、店3の外に漏れることがない。このため、店3の外で音波を収音してポイントを取得されるのを防ぐことできる。
【0057】
また、本発明においては、発信機30から送信される音波の指向性の広狭を調整してもよい。例えば、発信機30から送信される音波の指向性を鋭くしてビーム状とすれば、発信機識別子を取得できる領域を狭くすることができる。この狭い領域において、端末装置10のユーザに高ポイントを付与するようにすれば、ユーザは、高ポイントを得られる場所を探索するために店内を歩きまわることとなり、店3にある商品をユーザに見せ、購買意欲を高めることが可能となる。また、音波の指向性を鋭くする構成によれば、発信機識別子を取得できる領域を店3の中で細かく分けることが可能となり、ポイントの与え方を多様なものにすることができる。
【0058】
上述した実施形態においては、復調して得られた信号S1を二値化する閾値thは、端末装置10が取得し得る信号S3の最大振幅のn%となっているが、この構成に限定されるものではない。例えば、制御部101は、マイクロフォンで得られた信号から信号S3の音圧レベルを求める。制御部101は、閾値thとして予め定められた固定値を記憶し、音圧レベルが閾値以上の場合に発信機識別子を抽出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、端末装置10の機種ごとに閾値thを異ならせるようにしてもよい。上述した実施形態においては、端末装置10はスマートフォンであるが、機種によってスマートフォンに設けられているマイクロフォンの性能が異なり、同じ位置で音波を収音しても、信号S3を復調して得られる信号S1のレベルが異なる場合がある。この場合、アプリAで機種毎の閾値thを保持し、アプリAが実行される端末装置10に応じて、閾値thを変更するようにしてもよい。また、アプリAに閾値thを持たせるのではなく、端末装置10は、サーバ装置20から機種に対応した閾値thを取得して記憶するようにしてもよい。
【0059】
また、複数の店3で発信機30を配置する場合、どの店3でも同じ閾値thを使用するのではなく、店3に定められた閾値thを用いるようにしてもよい。例えば、閾値thについて、端末装置10で取得し得る信号S3の最大振幅の90%とした場合、70%の場合と比較すると、ユーザは、発信機30に近い位置に位置したときにポイントを得ることができる。つまり、発信機30の音波の音圧を変更しなくても、ポイントを得られる領域を調整することができる。
なお、閾値を店3によって変更する場合、店3の入り口にNFCの通信を行う装置を配置し、アプリAを実行している端末装置10が店3に入ったときに店3の入り口にある装置から端末装置10へ閾値thを送信し、端末装置10は、送信された閾値thを使用するようにしてもよい。
また、閾値thを変更可能な構成にあっては、端末装置10は、ユーザが操作に応じて閾値thを変更してもよい。また、ユーザの操作に応じて閾値thを変更する場合、端末装置10は、閾値thをサーバ装置20から取得し、取得した閾値thを使用するようにしてもよい。
【0060】
上述した実施形態においては、端末装置10が抽出した発信機識別子に応じてユーザにポイントを付与する構成となっているが、この構成に限定されるものではない。例えば、発信機テーブルTB1において、ポイントに替えて発信機30が配置されている位置を示す情報(地名、店名、緯度及び経度など)を対応付けて格納するようにしてもよい。この構成によれば、端末装置10の位置をサーバ装置20において特定することができる。なお、発信機識別子と位置を示す情報とが対応付けられた発信機テーブルTB1を端末装置10に記憶させれば、サーバ装置20と通信を行うことなく、端末装置10の位置を特定することできる。
【0061】
上述した実施形態においては、発信機30が送信するのは発信機識別子となっているが、発信機30が送信する発信機30に固有の情報は、発信機識別子に限定されるものではない。例えば、発信機30が配置される棚に固有の番号を発信機30に書き込み、発信機30は、この固有の番号を送信するようにしてもよい。また、発信機30が配置される位置を表す情報を発信機30に書き込み、発信機30は、書き込まれた位置を示す情報を送信するようにしてもよい。
また、棚の番号の情報又は位置の情報と共に、端末装置10のユーザに付与するポイントを示す情報を発信機30に書き込み、発信機30は、棚の番号の情報又は位置の情報と共に、ポイントを示す情報を送信するようにしてもよい。端末装置10においては、取得した音波が示す棚の番号の情報又は位置の情報を過去に取得しているか判断し、過去に取得していない場合には、取得した音波が示すポイントの情報をサーバ装置20へ送信してもよい。サーバ装置20においては、端末装置10から送信されたポイントの情報を端末装置10のユーザに付与するようにしてもよい。
【0062】
本発明に係る機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、各装置にインストールしてもよい。また、通信網2を介してプログラムをダウンロードして各装置にインストールしてもよい。