(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、(B)成分:下記一般式(b1)で表される化合物と、(C)成分:下記一般式(c1)で表される化合物と、(D)成分:水溶性無機塩と、を含有する。
本発明の液体洗浄剤は、家庭用、商業用、工業用の用途として利用可能であり、なかでも家庭用として好適に利用可能であり、衣料用の液体洗浄剤として特に好適である。
洗浄対象物(被洗物)の種類は、家庭における洗濯で洗浄対象とされているものと同様のものが挙げられ、たとえば衣類、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品等が例示される。
【0011】
<(A)成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩>
(A)成分は洗浄主成分であり、(A)成分の配合により主として洗浄効果が発揮される。
(A)成分としては、公知のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を用いることができ、市場において容易に入手できるものが挙げられる。なかでも、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
該アルキル基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。直鎖状アルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(以下「直鎖状AES」と記す)としては、天然原料(植物等)に由来するものが挙げられる。従来、無機塩を配合する場合、直鎖状AESを洗浄主成分として用いると、低温条件での保存によって無機塩が析出しやすい、という傾向が強まる。しかし、本発明においては、直鎖状AESを洗浄主成分として用いる場合でも、低温条件での保存によって無機塩が析出しにくい。したがって、本発明は、直鎖状AESを洗浄主成分として用いる場合に特に有用である。
該アルキル基の炭素数は10〜14がより好ましく、また、エチレンオキシドの平均付加モル数は1〜4がより好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
(A)成分として具体的には、EMAL270N、シノリン SPE−1350(いずれも商品名)等の市販品が好適に挙げられる。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中、(A)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して3〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。
(A)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、製剤の流動性及び使用時の溶解性が悪くなりやすい。一方、好ましい下限値未満では、充分な洗浄効果が得られにくい。
【0012】
<(B)成分:一般式(b1)で表される化合物>
(B)成分は、下記一般式(b1)で表される、直鎖状のアルコールアルコキシレートである。
【0013】
【化2】
[式中、R
1は炭素数8〜18の直鎖状の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり;xはオキシアルキレン基の平均繰返し数を表し、5〜30の数である。]
【0014】
前記式(b1)中、R
1の炭化水素基は、直鎖状のアルキル基、又は直鎖状のアルケニル基が挙げられる。R
1の炭化水素基の炭素数は8〜18であり、洗浄力向上の点から、炭素数は10〜16が好ましく、10〜14がより好ましい。R
1の炭素数が8以上であれば、界面活性剤としての機能を充分に発揮でき、液体洗浄剤に優れた洗浄力を付与できる。一方、炭素数が18以下であれば、(B)成分は液体状態が維持されやすいため、液体洗浄剤の液安定性がより向上する。
前記式(b1)中、AOは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシブチレン基のいずれか1種であってもよく、これらの2種以上が混在するものであってもよい。AOのなかでも、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。オキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシブチレン基の2種以上が混在する場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
前記式(b1)中、xは5〜30の数であり、洗浄力向上の点から、xは10〜20の数が好ましく、12〜18の数がより好ましい。
なお、xは、オキシエチレン基の「平均」繰返し数を表している。すなわち、(B)成分は、オキシエチレン基の繰返し数が異なる分子の集合体である。また、R
1の異なる分子の集合体であってもよい。
【0015】
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中、(B)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。
(B)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、低温条件での保存安定性が悪くなるおそれがある。また、粘度の増加によって、製剤の流動性及び使用時の溶解性が悪くなりやすい。一方、好ましい下限値未満では、充分な洗浄力向上の効果が得られにくい。
【0016】
<(C)成分:一般式(c1)で表される化合物>
(C)成分は、下記一般式(c1)で表される、分岐鎖状のアルコールエトキシレートである。
【0017】
【化3】
[式中、R
2は炭素数8〜18の分岐鎖状の炭化水素基であり;yはオキシエチレン基の平均繰返し数を表し、0超7未満の数である。]
【0018】
前記式(c1)中、R
2の炭化水素基は、分岐鎖状のアルキル基、又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。R
2の炭化水素基の炭素数は8〜18であり、洗浄力向上の点から、炭素数は10〜16が好ましい。R
2の炭素数が8以上であれば、界面活性剤としての機能を充分に発揮でき、液体洗浄剤に優れた洗浄力を付与できる。一方、炭素数が18以下であれば、(C)成分は液体状態が維持されやすいため、液体洗浄剤の液安定性がより向上する。
前記式(c1)中、yは0超7未満の数であり、低温条件での保存安定性向上の点から、yは1〜7の数が好ましく、1〜5の数がより好ましく、3〜5の数がさらに好ましい。
なお、yは、オキシエチレン基の「平均」繰返し数を表している。すなわち、(C)成分は、オキシエチレン基の繰返し数が異なる分子の集合体である。また、R
2の異なる分子の集合体であってもよい。
【0019】
(C)成分としては、たとえば、(i)n−オレフィンをオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるもの、(ii)α−オレフィンをオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるもの、(iii)n−パラフィンを酸化させたものに、酸触媒の存在下、エチレンオキシドを付加して得られるもの、(iv)ブチレン3量体をオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるもの、(v)プロピレン4量体をオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるもの、(vi)炭素数3のオレフィンと炭素数4のオレフィンとの混合オレフィンオリゴマーをオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるもの、等を好適に用いることができる。
なかでも、(v)プロピレン4量体をオキソ化したアルコールに、エチレンオキシドを付加して得られるものがより好ましい。この具体例としては、BASF社製のLutensol TO3、Lutensol TO5(いずれも商品名)等の市販品が挙げられる。
【0020】
(C)成分として具体的には、下記一般式(c1−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0021】
【化4】
[式中、R
3は炭素数1〜14の鎖状の炭化水素基である。R
4は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はヒドロキシ基である。R
5は炭素数2〜16の分岐鎖状のアルキレン基である。yは7未満の数であり、前記式(c1)中のyと同様である。]
【0022】
前記式(c1−1)中、R
3における鎖状の炭化水素基は、アルキル基であってもアルケニル基であってもよく、洗浄力向上の点から、炭素数は1〜12が好ましい。
前記式(c1−1)中、R
4は水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
前記式(c1−1)中、R
5のアルキレン基は、炭素数が2〜16であり、好ましくは炭素数が2〜12であり、より好ましくは炭素数が2〜9である。R
5の具体例を以下に例示する。
【0024】
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中、(C)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
(C)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、液体洗浄剤の粘度増加が図りにくくなる。一方、好ましい下限値未満では、低温条件での保存安定性が悪くなるおそれがある。
【0025】
本発明において「(B)成分/(C)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中に含まれる(C)成分の含有量に対する、(B)成分の含有量の割合(質量基準)を表す。
本発明の液体洗浄剤においては、(B)成分/(C)成分で表される質量比が1〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、3〜4であることがさらに好ましい。
(B)成分/(C)成分が好ましい上限値を超えると、低温条件での保存安定性が悪くなるおそれがある。一方、好ましい下限値未満では、液体洗浄剤の粘度増加が図りにくくなる。加えて、低温における流動性が悪くなりやすい。
【0026】
<(D)成分:水溶性無機塩>
(D)成分は水溶性無機塩である。
本発明において「水溶性無機塩」とは、日本薬局方で「やや溶けやすい」から「極めて溶けやすい」に属する無機塩を示す。20℃において1gを溶解するのに必要な水の量が30mL未満であれば水溶性の無機塩といえる。
(D)成分としては、特に限定されず、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、液体洗浄剤の増粘効果の観点から、硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。また、硫酸ナトリウムとこれ以外の水溶性無機塩とを併用することも好ましい。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中、(D)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
(D)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、粘度の増加によって、製剤の流動性及び使用時の溶解性が悪くなりやすい。一方、好ましい下限値未満では、液体洗浄剤への増粘効果が充分に得られにくい。
【0027】
本発明において「(A)成分/[(C)成分+(D)成分]で表される質量比」とは、液体洗浄剤中に含まれる(C)成分と(D)成分との合計の含有量に対する、(A)成分の含有量の割合(質量基準)を表す。
本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分/[(C)成分+(D)成分]で表される質量比が1〜15であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
(A)成分/[(C)成分+(D)成分]が好ましい上限値を超えると、液体洗浄剤の粘度増加が図りにくくなる、又は適度な粘度が得られにくい。一方、好ましい下限値未満では、粘度が増加しすぎるおそれがある、又は液安定性に劣る。
【0028】
本発明において「[(B)成分+(C)成分]/(D)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中に含まれる(D)成分の含有量に対する、(B)成分と(C)成分との合計の含有量の割合(質量基準)を表す。
本発明の液体洗浄剤においては、[(B)成分+(C)成分]/(D)成分で表される質量比が0.2〜10であることが好ましく、0.4〜5であることがより好ましく、0.5〜2.5であることがさらに好ましい。
[(B)成分+(C)成分]/(D)成分が好ましい上限値を超えると、液体洗浄剤の粘度増加が図りにくくなる。一方、好ましい下限値未満では、低温条件での保存安定性が悪くなるおそれがある。
【0029】
<溶媒>
本発明の液体洗浄剤は、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤中、水の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して45質量%以上が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。
水の含有量が好ましい下限値以上であると、経時に伴う液体洗浄剤の液安定性がより良好となり、一方、好ましい上限値以下であれば、液粘度が適度に低くなり、使用性の観点から良好である。
溶媒としては、水以外に、水混和性有機溶媒を用いてもよい。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、そのなかでも、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0030】
<その他の成分>
本発明の液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した(A)〜(D)成分以外のその他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、特に限定されず、衣料用などの液体洗浄剤に通常用いられる成分を配合することができ、具体的には(A)成分以外の陰イオン界面活性剤、(B)成分及び(C)成分以外の非イオン界面活性剤、アルカリ剤、陽イオン性化合物、防腐剤、蛍光増白剤、再汚染防止剤、泡コントロール剤、キレート剤、減粘剤又は可溶化剤、酵素、着香剤、着色剤、乳濁化剤、エキス類、pH調整剤などを配合してもよい。
【0031】
≪(E)成分:α−スルホ脂肪酸エステル塩≫
本発明の液体洗浄剤は、(E)成分:α−スルホ脂肪酸エステル塩をさらに含有することができる。(E)成分の配合により、特に皮脂汚れに対する洗浄力がより向上する。また、(E)成分を用いる場合でも、容易に製剤化が可能である。
(E)成分は、公知の製造方法により得られるもの、例えば、撹拌機付きの槽型反応装置などを定法により使用し、原料の脂肪酸エステルを、無水硫酸等に接触させてスルホン化することによりα−スルホ脂肪酸エステル(α−SF酸)を調製し、次いで、該α−SF酸を、水酸化ナトリウム等で中和することにより得られるものを用いることができる。尚、中和の前後に、過酸化水素等で漂白を行ったものでもよい。
(E)成分としては、下記一般式(e1)で表される化合物を好適に用いることができる。
【0032】
【化6】
[式中、R
6は炭素数8〜18の炭化水素基であり、R
7は炭素数1〜6の炭化水素基であり、Mは対イオンである。]
【0033】
前記式(e1)中、R
6の炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、又は環状の構造を含んでいてもよい。なかでも、R
6の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基、直鎖状のアルケニル基がさらに好ましい。
R
6の炭素数は8〜18であり、炭素数10〜18であることが好ましく、炭素数10〜16であることがより好ましく、炭素数14〜16であることがさらに好ましい。R
6の炭素数が8以上であると、洗浄力が向上する。一方、R
6の炭素数が18以下であると、液安定性が向上し、特にゲル化又は低温保存時の析出が抑制される。
【0034】
前記式(e1)中、R
7の炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、又は環状の構造を含んでいてもよい。なかでも、R
7の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基、直鎖状のアルケニル基がさらに好ましい。
R
7の炭素数は1〜6であり、炭素数1〜3であることが好ましい。
R
7の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することから、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0035】
前記式(e1)中、Mは、対イオンであり、R
6CH(COOR
7)SO
3−とともに水溶性の塩を形成し得るものであればよい。該対イオンとしては、アルカリ金属イオン、プロトン化したアミン、アンモニウム等が挙げられる。
該対イオンとなり得るアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。 該対イオンとなり得るアミンは、1〜3級のいずれであってもよく、総炭素数が1〜6であることが好ましい。該アミンは、ヒドロキシ基を有していてもよく、低温条件下での液体洗浄剤の水に対する溶解性が高まることから、ヒドロキシ基を有していることが好ましい。このようなアミンとしては、アルカノールアミンが挙げられ、該アルカノール基の炭素数は1〜3が好ましい。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。なかでも、Mとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0036】
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中、(E)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.01〜8質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜6質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。
(E)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、低温条件での保存安定性が悪くなるおそれがある。一方、好ましい下限値未満では、(E)成分の配合効果が得られにくい。
【0037】
本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分及び(E)成分以外の陰イオン界面活性剤、たとえば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)等を併用することもできる。これにより、多様な汚れに対して総合的に洗浄力が向上する。
液体洗浄剤にLASを用いる場合、LASの含有量は、陰イオン界面活性剤の総質量に対して、好ましくは20〜70質量%程度であり、より好ましくは20〜65質量%程度である。LASの含有量が好ましい下限値以上では、多様な汚れに対する洗浄力がより向上し、好ましい上限値以下では、低温条件での保存安定性が高まる。
また、液体洗浄剤中、LASは、(A)成分/LASで表される質量比が、好ましくは0.4〜4、より好ましくは0.5〜3の範囲内となるように、(A)成分と併用することが好ましい。(A)成分/LASの質量比が好ましい下限値以上では、低温条件での保存安定性が高まり、一方、好ましい上限値以下では、多様な汚れに対する洗浄力がより向上する。
【0038】
また、本発明の液体洗浄剤は、(B)成分及び(C)成分以外の非イオン界面活性剤を併用することもできる。かかる非イオン界面活性剤としては、特に限定されず、たとえば、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル;長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間(カルボニル基と酸素原子との間)に、アルキレンオキシドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0039】
アルカリ剤としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸又はその塩、ローム・アンド・ハース社製のケーソンCG(商品名)、プロキセル等が挙げられる。
酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ等が挙げられる。たとえば、プロテアーゼとして、ノボザイムズ社製のエバラーゼ
16L TypeEX、サビナーゼ16L TypeEX、リカナーゼ ウルトラ2.5XL(いずれも商品名)を用いることができる。
着香剤としては、代表的な例として、特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物などが挙げられる。
【0040】
本発明の液体洗浄剤には、pHを所望の値とするためにpH調整剤を配合してもよい。但し、上述した各成分を配合したのみで液体洗浄剤のpHが所望の値となる場合は、pH調整剤は必ずしも配合しなくてもよい。
pH調整剤としては、たとえば硫酸、塩酸、クエン酸等の酸性化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合物が挙げられる。これらのpH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるpHが7〜11であることが好ましく、pHが7〜9であることがより好ましい。液体洗浄剤のpHが前記の好ましい範囲内であると、液安定性がより向上する。また、酵素を添加した際、酵素活性の安定化が図られて、良好な洗浄力が維持されやすい。
本発明において、液体洗浄剤のpHは、液体洗浄剤を25℃に調整し、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)等により測定される値を示す。
【0042】
また、本発明の液体洗浄剤は、被洗物への塗布性と、液体洗浄剤の容器からの排出性の観点から、30℃における粘度が100〜1000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは200〜500mPa・sである。
本発明において、液体洗浄剤の粘度は、液体洗浄剤を30℃に調整し、B型粘度計により測定される値を示す。
【0043】
上述の通り、本発明の液体洗浄剤は、(A)〜(D)成分を含有することで、無機塩を用いて粘度増加が図れ、かつ、低温条件での保存安定性に優れる。
本発明の液体洗浄剤は、洗浄主成分として(A)成分を用いた系で、(D)成分の配合により粘度調整が可能である。加えて、本発明の液体洗浄剤は、(B)成分と(C)成分との併用により、粘度調整とともに、低温条件での保存安定化が図られ、特に冬場の気温変動に対しても析出を生じにくいものである。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
各例の液体洗浄剤の組成を表1〜5に示した。表中、各配合成分の含有量の単位は「質量%」であっていずれも純分換算量を示す。表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。
なお、実施例8、9及び11においてそれぞれ使用した原料のBC−3、BC−4及びBC−6は、分岐鎖状分子と直鎖状分子との混合物である。表中、「BC由来」とは、この混合物中の直鎖状分子を意味する。BC由来(該直鎖状分子)の含有量を、括弧書きで示した。「BC−3(分岐鎖)」は、上段が原料であるBC−3、下段の括弧書きが該混合物中の分岐鎖状分子をそれぞれ意味する。BC−3(分岐鎖)の含有量は、上段が原料であるBC−3としての含有量、下段の括弧書きが該分岐鎖状分子の含有量をそれぞれ示す。「BC−4(分岐鎖)」、「BC−6(分岐鎖)」についても同様である。
また、表中、「(B)/(C)」は、液体洗浄剤中の(C)成分(分岐鎖状分子)の含有量に対する、(B)成分(直鎖状分子)の含有量の割合(質量比)を意味する。
「[(B)+(C)]/(D)」は、液体洗浄剤中の(D)成分の含有量に対する、(B)成分(直鎖状分子)と(C)成分(分岐鎖状分子)との合計の含有量の割合(質量比)を意味する。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0045】
<(A)成分>
A−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(炭素数12の直鎖状アルキル基を有する分子と、炭素数14の直鎖状アルキル基を有する分子との混合物;エチレンオキシドの平均付加モル数が2のもの)AES(2)、商品名「EMAL270N」、花王株式会社製。
A−2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(炭素数12の直鎖状アルキル基を有する分子と、炭素数14の直鎖状アルキル基を有する分子との混合物;エチレンオキシドの平均付加モル数が3のもの)AES(3)、商品名「シノリン SPE−1350」、新日本理化株式会社製。
【0046】
<(B)成分>
B−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(b1)中のR
1=炭素数12,14の直鎖状アルキル基、x=15)、商品名「Ecolat 24−15/85」、Ecogreen社製。なお、「R
1=炭素数12,14の直鎖状アルキル基」とは、B−1が、炭素数12の直鎖状アルキル基を有する分子と、炭素数14の直鎖状アルキル基を有する分子との混合物であることを意味する。
BC由来:後述のBC−3、BC−4又はBC−6にそれぞれ含まれる、直鎖状のポリオキシエチレンアルキルエーテル。
【0047】
<(C)成分>
C−1:C13−branched oxo alcohol(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基、y=3)分岐鎖状分子のみからなるもの、商品名「Lutensol TO3」、BASF社製。なお、「R
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基」とは、C−1が、炭素数12の分岐鎖状アルキル基を有する分子と、炭素数13の分岐鎖状アルキル基を有する分子との混合物であることを意味する(以下同様)。
C−2:C13−branched oxo alcohol(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基、y=5)分岐鎖状分子のみからなるもの、商品名「Lutensol TO5」、BASF社製。
BC−3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基を有するものと、炭素数12,13の直鎖状アルキル基を有するものとの混合物、y=4.9)分岐鎖状分子と直鎖状分子との混合物(質量比:直鎖/分岐鎖=5/5)、商品名「Safol 4.9EO」、Sasol社製。
BC−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基を有するものと、炭素数12,13の直鎖状アルキル基を有するものとの混合物、y=5)分岐鎖状分子と直鎖状分子との混合物(質量比:直鎖/分岐鎖=8/2)、商品名「ドバノール 5EO」、三菱化学株式会社。
C−5:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基、y=6)分岐鎖状分子のみからなるもの、商品名「エクソノール 6EO」、エクソン化学社製。
BC−6:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基を有するものと、炭素数12,13の直鎖状アルキル基を有するものとの混合物、y=5)分岐鎖状分子と直鎖状分子との混合物(質量比:直鎖/分岐鎖=8/2)、商品名「ネオドール5EO」、シェル化学株式会社製。
C−7:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基、y=3)分岐鎖状分子のみからなるもの、商品名「ソフタノール」、株式会社日本触媒製。
【0048】
<(C’)成分:(C)成分の比較成分>
C’−1:C13−branched oxo alcohol(前記式(c1)中のR
2=炭素数12,13の分岐鎖状アルキル基、y=10)、商品名「Lutensol TO10、BASF社製。
【0049】
<(D)成分>
D−1:Na
2SO
4(芒硝)、商品名「硫酸ナトリウム」、関東化学株式会社製。
D−2:NaCl、商品名「塩化ナトリウム」、東京化成工業株式会社製。
D−3:KCl、商品名「塩化カリウム」、関東化学株式会社製。
D−4:Na
2CO
3、商品名「炭酸ナトリウム」、関東化学株式会社製。
D−5:CaCl
2、商品名「塩化カルシウム」、関東化学株式会社製。
【0050】
<(E)成分>
E−1:α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、商品名「MIZULAN FL−80」、ライオンエコケミカルズ株式会社製。
【0051】
<その他の成分>
LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名「ライポンLS−250」、ライオン株式会社製。
MEA:モノエタノールアミン、株式会社日本触媒製。
Citric acid:クエン酸、扶桑化学工業株式会社製。
Sodium Benzoate:安息香酸ナトリウム、伏見製薬株式会社製。
Enzyme:商品名「Everlase」、NOVO社製。
Perfume:特開2002−146399号公報における表11〜18に記載の香料組成物A。
H
2SO
4:硫酸、関東化学株式会社製。
精製水。
【0052】
共通成分の組成:
各配合成分の含有量(質量%)は液体洗浄剤中の割合を示す。
MEA 0.5質量%、Citric acid 0.2質量%、Sodium Benzoate 0.5質量%、Enzyme 0.3質量%、Perfume 0.4質量%、H
2SO
4 0.25質量%;合計2.15質量%。
【0053】
[液体洗浄剤の調製]
(実施例1〜38、比較例1〜6)
表1〜5に示す組成(配合成分、含有量)に従い、各例の液体洗浄剤を下記の手順で調製した。
スターラー(MAGNETIC STIRRER SW−RS077 NISSIN社製)を用い、500mLビーカーに精製水と(A)成分と攪拌子とを入れ、均一になるまで攪拌した。次いで、(B)成分と、(C)成分又は(C’)成分と、(D)成分とを、それぞれ均一に溶解したことを確認しながら加えた。次いで、共通成分を添加し、均一になるまで攪拌した。なお、(E)成分又はLASを配合する場合、(A)成分と共に加えた。
かかる液体洗浄剤の調製は、特に温度を制御せず、室温で行った。攪拌速度については、攪拌子が良好に回転するように回転数を適宜設定した。
なお、実施例10、20〜27、29、31、34〜38は、参考例である。
【0054】
[液体洗浄剤の評価]
各例の液体洗浄剤について、粘度の測定、及び、低温条件での保存安定性の評価をそれぞれ行った。
【0055】
(粘度の測定)
容量50mLのバイヤル瓶(SV−50A、NICHIDEN−RIKA GLASS CO製)に、液体洗浄剤50gを充填し、30℃に設定した恒温槽(T22LA THOMAS製)内に2時間保存した。その後、B型粘度計(Viscometer TV−20、TOKIMEC製)を用いて、液体洗浄剤の粘度を測定した。
測定条件を、回転数30rpm、ローターNo.2、回転時間30秒間、温度30℃に設定し、測定される粘度が100〜1000mPa・sとなるものを合格とした(これは、粘度が100mPa・s未満の製剤は、粘度が低いことで、被洗物への塗布性、滞留性などが悪くなりやすく、また、充分な洗浄力が得られにくく;粘度が1000mPa・sを超える製剤は、粘度が高すぎることで、容器からの排出性が悪くなりやすい点を考慮したものである)。
【0056】
(低温条件での保存安定性)
容量50mLのバイヤル瓶(SV−50A、NICHIDEN−RIKA GLASS CO製)に、液体洗浄剤50gを充填し、−5℃の環境下に1日間保存して液体洗浄剤を完全に凍結させた。その後、5℃の環境下に1日間保存し、自然解凍した。
この操作(−5℃の環境下に1日間保存の後、5℃の環境下に1日間保存:−5℃⇔5℃)を5回繰り返した後、及び、10回繰り返した後、5℃の環境下にて液体洗浄剤の外観を観察した。そして、下記の評価基準に従い、低温条件での保存安定性について評価した。
なお、かかる−5℃⇔5℃の繰り返しは、特に冬季の日間の気温変動を想定した評価条件である。
≪評価基準≫ Crystalであったものを不合格とした。
Clear:濁り又は結晶の析出が全く認められなかった。
Cloudy:濁りが認められた。
Sedimentation:分離が認められた。
Crystal:結晶の析出が認められた。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
表1〜5に示す結果から、本発明を適用した実施例の液体洗浄剤は、無機塩を用いて粘度増加が図れ、かつ、低温条件での保存安定性に優れていることが分かる。