【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、びんを搬送するコンベヤラインで、上流の給びんコンベヤから振分け装置を介してびんが多列に搬送供給され、各列に分割された状態でびんが整列及びアキュームされる多列コンベヤより成るアキュームコンベヤにおいて、振分け装置後の多列コンベヤを、びんが前後に密着するような搬送速度まで段階的に減速するとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、多列コンベヤの各列でびんをほぼ均等にばらばらのびん配列となるようにアキューム搬送制御をしているが、単列アキュームコンベヤにおける各コンベヤの接続部で、衝突によるびんの傷付きや凹みを防止するアキュームの搬送制御については言及されていない。
【0005】
ここで、 従来の単列アキュームコンベヤのアキューム制御について、
図1および
図3、
図4を基に説明する。
図1は、容器(びん)搬送コンベヤラインを摸式的に示した平面図である。
図3は、単列アキュームコンベヤのアキュームについて説明する平面図である。
図4は、従来の単列アキュームコンベヤのアキューム制御を説明する平面図である。
【0006】
図1において、上流にて液体を充填され、口部を封栓されたびん(以下びんを容器と称することがある)Bは、ラベラ入口コンベヤ21によって図示F1の方向に搬送されて、ラベラ20に供給され、ラベラ20によって該びんBの胴部にラベルを貼付された後、ラベラ出口コンベヤ22に排出され、単列アキュームコンベヤ2(
図1では記号2を( )表示している。)から検査機入口コンベヤ31を経由して検査機30に供給され、検査機30にてラベルの貼付状況、びんBの傷付き有無等の検査を受けて、検査機出口コンベヤ32から下流側の図示F2の方向へ排出搬送されるようになっている。
【0007】
なお、
図1において、びんBの図示は一部のみとして他のびんBの図示を省略してあり、ラベラ入口コンベヤ21においては、びんB(直径d)は適宜所定の間隔Pd(Pdはびん径dのP倍を指し、搬送中の前後のびんの前端と前端との間隔を表すが、間隔Pdを単に間隔Pと表現することがある。)をもって搬送される。
【0008】
前記単列アキュームコンベヤ2は、図示のように、コンベヤA(1)からコンベヤA(N)まで複数個(ここではN個)に分割された各コンベヤを上下流で直列に接続した構成となっており、上流側ではコンベヤA(1)がラベラ出口コンベヤ22に、コンベヤA(2)がコンベヤA(1)に直列に接続され、下流側ではコンベヤA(N−1)がコンベヤA(N)に、コンベヤA(N)が検査機入口コンベヤ31に直列に接続された構成となっている。
なお、前記ラベラ出口コンベヤ22からコンベヤA(1)への容器搬送等、上下流のコンベヤの前記接続部においてはびんBが図示しないびんガイドにガイドされて受け渡されるようになっており、各コンベヤの搬送制御は制御装置12(
図1では記号12を( )表示している。)からの指令によって行われるようになっている。
また、図示区間ALは、ラベラ20から払い出されるびんBの収容区間を示している。
【0009】
次に、
図3を基に単列アキュームコンベヤ2のアキューム制御について説明する。
図3において、(a)は通常搬送時を、(b)はアキューム動作終了時を示しており、
図3(a)においては、コンベヤA(N−3)からコンベヤA(N−2)、コンベヤA(N−1)を経由してコンベヤA(N)へ容器Bが通常搬送速度(通常速)で搬送され、容器Bは適宜の隙間をもった容器間隔Pdで搬送されている。
ここで、検査機30の停止等により検査機入口コンベヤ31が停止すると、コンベヤA(N)で搬送中の容器Bの前記隙間が詰められ、やがて前後の容器Bが接触して密着する満杯状態になって、図示しない容器センサーの検知によって制御装置12からの指令でコンベヤA(N)が停止する。
以降、検査機コンベヤ31が停止のままで、上流のラベラ20から容器Bの供給が継続していると、コンベヤA(N)の上流のコンベヤA(N−1)において、搬送中の容器Bの前後の隙間が詰められ、やがて前後の容器Bが接触して密着する満杯状態になって、前記コンベヤA(N)と同様に満杯により停止され、更にはその上流側へと順次コンベヤが満杯停止して、
図3(b)に示すように、容器Bの前後の隙間を詰めるように容器Bが収容(アキューム)される。
即ち、下流側の検査機30が停止しても、容器Bを単列アキュームコンベヤ2にアキュームすることによって上流側のラベラ20が運転を継続できるように制御されている。
【0010】
ここで、単列アキュームコンベヤ2の従来のアキューム制御方法について
図4を基に説明する。
図4において、(a)はコンベヤA(N−2)、コンベヤA(N−1)、コンベヤA(N)が通常搬送中を、(b)はコンベヤA(N)が停止してコンベヤA(N−1)が制御装置12からの指令によって低速に(減速)制御されるアキューム動作開始時を、(c)はコンベヤA(N−1)がアキューム動作中を、(d)はコンベヤA(N−1)が前記(c)の状態よりも更にアキューム量が多くなった場合のアキューム動作中を、(e)はコンベヤA(N−1)がアキューム満杯となって制御装置12からの指令によって停止へ動作移行し、上流のコンベヤA(N−2)が低速に移行するアキューム動作開始時の状態を示しており、単列アキュームコンベヤ2のアキューム制御の1例を、コンベヤA(N−2)、コンベヤA(N−1)、コンベヤA(N)で説明する。
【0011】
図4(a)に示すように、通常搬送時は、容器BはコンベヤA(N−2)からコンベヤA(N−1)を経由してコンベヤA(N)へ通常の搬送速度(通常速)でほぼ一定の隙間(容器間隔Pd)をもって搬送されている。
制御装置12からの指令でコンベヤA(N)が搬送停止となった場合には、
図4(b)に示すように、コンベヤA(N−2)は通常速のままで、先ずコンベヤA(N−1)が容器密着速度(密着速度とは供給能力に対して容器Bが丁度密着して搬送される速度を指す)である低速に移行してアキューム動作が開始される。
【0012】
図4(b)のアキューム動作開始時から容器Bのアキュームが進行すると、
図4(c)の図示二点鎖線のE部に示すように、コンベヤA(N−2)からコンベヤA(N−1)への接続部(乗り移り部)で、コンベヤA(N−1)とコンベヤA(N−2)の速度比によってコンベヤA(N−1)の上流側で容器Bの搬送間隔が詰まるが、コンベヤA(N−1)が低速(密着速度)であることから、容器Bは衝突せずに前後が密着して搬送される。
一方、図示二点鎖線のF部においては、下流側のコンベヤA(N)が停止しているので、コンベヤA(N−1)の下流側で、停止した容器Bに後続の容器Bが低速で順次衝突し、密着していく。
【0013】
コンベヤA(N−1)は、
図4(c)のアキューム状態がさらに進行すると、
図4(d)の図示二点鎖線のG部に示すように、コンベヤA(N−1)の上流側は容器Bが衝突衝撃無しで密着することによって詰っていき、また、図示二点鎖線のH部に示すように、コンベヤA(N−1)の下流側は容器Bが低速で衝突しながら密着していく。
そして、
図4(e)で二点鎖線のJ部に示すように、コンベヤA(N−1)がアキューム満杯になったと図示しない容器センサーが検知した段階で、制御装置12からの指令によりコンベヤA(N−1)は停止に移行し、上流のコンベヤA(N−2)の搬送速度が低速(密着速度)に移行する。
【0014】
しかしながら、前記
図4を基に説明した従来の単列アキュームコンベヤ2のアキューム搬送制御においては、
図4(c)および
図4(d)に図示のF側およびH側での前記容器衝突が、ライン搬送能力と容器サイズに依存するものであり、任意に決めることはできず、したがって衝突速度を任意の許容値以下に制御することができないため、一定以上の能力を有するラインにおいて、容器衝突速度がガラスびんに破びんを生じる領域に達することがあり、前記説明の制御方法をガラスびんのアキューム搬送ラインに適用するには破びんリスクが避けられない恐れがある。
また、破びんの恐れのないPETびんにおいても、近年のびん薄肉化傾向を考慮すれば、衝突による凹み等の損傷が生じる恐れがある。
【0015】
本発明は、上述の事情に鑑み、アキューム動作中において、搬送中の容器が前方の容器に密着する際の容器衝突を最小限にし、かつ、衝突速度を任意の許容値以下に制御できるようにして、破びん、びんの損傷が発生しないような単列アキュームコンベヤの搬送制御方法および単列アキュームコンベヤの搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法は、容器(以下、びんと称することがある。)を搬送するコンベヤラインで、上流側から下流側へ複数個に分割された各コンベヤが上下流で直列に接続されて、通常搬送時は上流からびんを単列で適宜所定の隙間をもって搬送し、アキューム搬送時はびんを密着状態でアキューム可能とする単列アキュームコンベヤの搬送制御方法において、通常搬送からアキューム搬送制御への切替え時に、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に、下流コンベヤの搬送速度を直前の上流コンベヤの搬送速度よりも減速させることを特徴とする。
【0017】
(2)第2の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法は、前記第1の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法において、前記下流コンベヤの搬送速度を直前の上流コンベヤの搬送速度よりも減速させる速度比を、該単列アキュームコンベヤの最上流から最下流に向けて一定の速度比1/K(Kは1以上の係数)としたことを特徴とする。
【0018】
(3)第3の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法は、前記第2の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法において、前記係数Kを、前記通常搬送時に適宜に隙間を開けて搬送される容器間隔P(Pは容器径のP倍を指し、搬送中の前後容器の前端と前端との間隔を表す)としたことを特徴とする。
【0020】
(
4)第
4の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法は、前記第1から
第3のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法において、前記アキューム搬送制御への切替え時に
、各接続部で前記減速に伴って密着搬送となるびん列の先頭びんが一つ下流の接続部に到着する時間が各コンベヤで同一となるように、前記各コンベヤのコンベヤ長さを設定して、アキューム搬送制御することを特徴とする。
【0022】
(
5)第
5の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法は、前記第1から
第4のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法において、前記アキューム搬送制御終了時に、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に搬送停止とするように制御することを特徴とする。
【0024】
(6)第6の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、容器(以下、びんと称することがある。)を搬送するコンベヤラインにおいて、上流側から下流側へ複数個に分割され、各々が上下流で直列に接続されて、通常搬送時は上流からびんを単列で適宜所定の隙間をもって搬送し、アキューム搬送時はびんを密着状態でアキューム可能とする複数のコンベヤから成る単列アキュームコンベヤと、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に、下流コンベヤの搬送速度を直前の上流コンベヤの搬送速度よりも減速させるように制御する制御装置とで構成したことを特徴とする。
【0025】
(7)第7の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、前記
第6の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記下流コンベヤの搬送速度を直前の上流コンベヤの搬送速度よりも減速させる速度比を、該単列アキュームコンベヤの最上流から最下流に向けて一定の速度比1/K(Kは1以上の係数)とするように前記制御装置を構成したことを特徴とする。
【0026】
(8)第8の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、前記
第7の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記係数Kを、前記通常搬送時に適宜に隙間を開けて搬送される容器間隔P(Pは容器径のP倍を指し、搬送中の前後容器の前端と前端との間隔を表す)とするように前記制御装置を構成したことを特徴とする。
【0028】
(9)第9の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、前記
第6から第8のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記アキューム搬送制御への切替え時に
、接続部で前記減速に伴って密着搬送となるびん列の先頭びんが一つ下流の接続部に到着する時間が各コンベヤで同一となるように、前記各コンベヤのコンベヤ長さを設定したことを特徴とする。
【0030】
(10)第10の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、前記
第6から第9のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記アキューム搬送終了時に、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に搬送停止とするように前記制御装置を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の第1から第3の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法、第9から第11の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、容器(びん)を搬送するコンベヤラインの中で、上流側から下流側へ複数個に分割された各コンベヤが上下流で直列に接続されて、通常搬送時は上流からびんを単列で適宜所定の隙間をもって搬送し、アキューム搬送時はびんを密着状態でアキューム可能とする単列アキュームコンベヤの搬送制御方法および搬送装置において、通常搬送からアキューム搬送制御への切替え時に、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に、下流コンベヤの搬送速度を直前の上流コンベヤの搬送速度よりも減速させる制御としたことにより、下流に行くに従ってアキューム搬送速度が遅くなるので、下流の接続部(乗り移り部)では停止した容器に後続の容器が衝突の衝撃が影響しない程度に低速で衝突してアキュームされるようになり、容器の損傷を防止できるという効果を有する。
特に、前記減速比が、前記通常搬送時に適宜に隙間を開けて搬送される容器間隔P(Pは容器径のP倍を指し、搬送中の前後容器の前端と前端との間隔を表す)として、1/Pの場合には、単列アキュームコンベヤを構成する各コンベヤの乗り移り部ではこの速度比によって容器の搬送隙間が丁度0になるように詰まり、容器は衝突の衝撃が無い状態で前後が密着するとともに、下流側では容器衝突が前方の容器に損傷を与えない程度の軽い衝突で容器がアキュームされるようになり、容器の損傷が無くなるという効果を有する。
【0034】
本発明の
第4の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法、第9の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、第1から
第3のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法および
第6から第8のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記アキューム搬送制御への切替え時に、前記各接続部で前記減速に伴って密着搬送となるびん列の先頭びんが一つ下流の接続部に到着する時間が各コンベヤで同一となるように、前記各コンベヤのコンベヤ長さを設定したことにより、アキューム区間全体でアキュームに無駄がないという効果を有する。
【0036】
本発明の
第5の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法、
第10の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置は、第1から
第4のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送制御方法および
第6から第9のいずれか一の手段の単列アキュームコンベヤの搬送装置において、前記アキューム搬送制御終了時に、該単列アキュームコンベヤを構成する全ての各コンベヤを、一斉に搬送停止とするようにしたことにより、アキューム区間全体でアキューム搬送が効率的に停止できるという効果を有する。