【実施例】
【0094】
以下に本発明の実施例を比較例と共に記載する。なお、以下の実施例は、本発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセス、条件及び性能値が本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0095】
はじめに、表1に示す組成のアルミニウム合金(合金番号:A1〜A18)をそれぞれ溶解し、鋳造して、直径20mmのビレットを製造した。次に、ビレットを550℃、10時間保持の条件で均質化処理を行った後、面削を施した。ついで、ビレットを500℃に加熱した後に、ビレットを押出加工し、表9に示す量のZnを溶射することによって、チューブの高さが1mm、幅が16mm、肉厚が0.3mmのアルミニウム合金チューブを作製した。これを200mmに切断し、熱交換器用チューブとした。
【表1】
【0096】
ヘッダプレート材およびタンクプレート材は、表2〜6にそれぞれ示す心材(L0)、L1、L2、L3、およびL4の合金を半連続鋳造法により鋳造し面削を施した。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0097】
次いで、表10〜14に示す組み合わせで、心材の片面もしくは両面にL1、L2、L3、またはL4をクラッド率10%で重ね合わせ、520℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで圧延した。さらに、冷間圧延及び390〜450℃で4時間の最終焼鈍を行って、厚さ1.6mm程度のブレージングシートを作製した。これを300mmに切断、成形後、バーリング加工によりチューブの差込穴を20箇所作製し、熱交換器用ヘッダプレートとした。また、ブレージングシートを300mmに切断、成形し、熱交換器用タンクプレートとした。
【0098】
フィン材は、表7および8にそれぞれ示す心材およびろう材の合金を半連続鋳造法により鋳造し面削を施した。次いで、表15に示す組み合わせで、心材の両面に皮材をクラッド率10%で重ね合わせ、520℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで圧延した。さらに、冷間圧延及び390〜450℃で4時間の最終焼鈍を行って、厚さ0.1mm程度のブレージングシートを作製した。これを幅16mmにスリットし、コルゲート加工し、熱交換器用フィンとした。
【0099】
チューブ20本の間にそれぞれフィンを配置し、チューブの両側をヘッダプレートに挿入し、ヘッダプレートとタンクプレートを嵌合し、熱交換器を組み立てた。これに、KF−AlF系のフラックス(KAlF4等)粉末を塗布乾燥後、窒素雰囲気中において600℃、5分のろう付け加熱を実施して室温まで冷却し、熱交換器を得た。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0100】
以上のようにして作製した熱交換器の特性を、以下のようにして評価した。
(a)孔食電位
熱交換器から、各部材を切り出し、チューブは表面から心材まで、0.01mm毎にエッチングを行った後に測定面以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。ヘッダプレートおよびタンクプレートは、表面と表面から0.5mmまでおよび裏面と裏面から0.5mmまで、0.01mm毎にエッチングを行った後に測定面以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。接合部は、接合部を樹脂埋め、鏡面研磨し、断面において、接合部以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。これらを供試材とし、前処理として、60℃の5%NaOH溶液に30秒浸漬、30%HNO
3溶液に60秒浸漬を行い表面を洗浄した。溶液は、5%NaClに酢酸を添加してpH3とし、30分間窒素脱気した。測定は室温で、ポテンショスタットを用いてアノード分極曲線を測定した。分極曲線において、急激に電流の上昇する電位を孔食電位とした。
【0101】
チューブとヘッダプレートとの接合部の孔食電位(A1)、チューブの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B1)、ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)ヘッダプレートとタンクプレートとの接合部の孔食電位(A2)、ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)、およびタンクプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B3)を測定した。それぞれの孔食電位が、A1>B1、A1>B2、A2>B2、およびA2>B3をそれぞれ満たすときを合格(○)とし、満たさないときを不合格(×)とした。
【0102】
(b)耐食性
熱交換器に、ASTM G85に準じたSWAATを1000時間行った。SWAAT試験後において、耐圧試験を行い、リークによる漏れ、フィンの腐食を調査した。リーク漏れが起こらなかった場合は、チューブ/ヘッダプレート接合部およびヘッダプレート/タンクプレート接合部の耐食性は合格(○)とし、接合部からリーク漏れした場合には、その接合部の耐食性を不合格(×)とした。耐圧試験によりフィンが座屈しなかった場合には、フィンの耐食性は合格(○)とし、フィンが座屈した場合には、フィンの耐食性を不合格(×)とした。
【0103】
次に、熱交換器表面の腐食生成物を除去し、チューブ、ヘッダプレート、およびタンクプレートの腐食深さを測定した。測定箇所はそれぞれ10箇所とし、それらの最大値をもって腐食深さとした。チューブにおいて、腐食深さが0.1mm未満の場合を合格(○)とし、0.1mm以上の場合と貫通の場合を不合格(×)とした。ヘッダプレート、およびタンクプレートにおいて、腐食深さが0.5mm未満の場合を合格(○)とし、0.5mm以上の場合と貫通の場合を不合格(×)とした。
【0104】
(c)製造性
製造による外観不良や成形性に問題がなければ合格(○)とし、割れ等の外観不良、成形性に問題があった場合は不合格(×)とした。
【0105】
(発明例1−1〜1−51及び比較例1−1〜1−26)
表16に、
図4(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表16】
【0106】
発明例1−1〜1−51では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0107】
これに対して、比較例1−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0108】
比較例1−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0109】
比較例1−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0110】
比較例1−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0111】
比較例1−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0112】
比較例1−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0113】
比較例1−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0114】
比較例1−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0115】
比較例1−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0116】
比較例1−10では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0117】
比較例1−11では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0118】
比較例1−12では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0119】
比較例1−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0120】
比較例1−14では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0121】
比較例1−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0122】
比較例1−16では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0123】
比較例1−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0124】
比較例1−18では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0125】
比較例1−19では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0126】
比較例1−20では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0127】
比較例1−21では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0128】
比較例1−22では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0129】
比較例1−23では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0130】
比較例1−24では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0131】
比較例1−25では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0132】
比較例1−26では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0133】
(発明例2−1〜2−51及び比較例2−1〜2−27)
表17に、
図4(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表17】
【0134】
発明例2−1〜2−51では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0135】
これに対して、比較例2−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0136】
比較例2−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0137】
比較例2−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0138】
比較例2−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0139】
比較例2−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0140】
比較例2−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0141】
比較例2−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0142】
比較例2−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0143】
比較例2−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0144】
比較例2−10では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0145】
比較例2−11では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0146】
比較例2−12では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0147】
比較例2−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0148】
比較例2−14では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0149】
比較例2−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0150】
比較例2−16では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0151】
比較例2−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0152】
比較例2−18では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0153】
比較例2−19では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0154】
比較例2−20では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0155】
比較例2−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0156】
比較例2−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0157】
比較例2−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0158】
比較例2−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0159】
比較例2−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0160】
比較例2−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0161】
比較例2−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0162】
(発明例3−1〜3−58及び比較例3−1〜3−29)
表18に、
図5(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表18】
【0163】
発明例3−1〜3−58では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0164】
これに対して、比較例3−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0165】
比較例3−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0166】
比較例3−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0167】
比較例3−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0168】
比較例3−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0169】
比較例3−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0170】
比較例3−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0171】
比較例3−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0172】
比較例3−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0173】
比較例3−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0174】
比較例3−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0175】
比較例3−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0176】
比較例3−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0177】
比較例3−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0178】
比較例3−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0179】
比較例3−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0180】
比較例3−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0181】
比較例3−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0182】
比較例3−19では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0183】
比較例3−20では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0184】
比較例3−21では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0185】
比較例3−22では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0186】
比較例3−23では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0187】
比較例3−24では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0188】
比較例3−25では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0189】
比較例3−26では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0190】
比較例3−27では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0191】
比較例3−28では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0192】
比較例3−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0193】
(発明例4−1〜4−58及び比較例4−1〜4−31)
表19に、
図5(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表19】
【0194】
発明例4−1〜4−58では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0195】
これに対して、比較例4−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0196】
比較例4−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0197】
比較例4−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0198】
比較例4−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0199】
比較例4−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0200】
比較例4−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0201】
比較例4−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0202】
比較例4−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0203】
比較例4−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0204】
比較例4−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0205】
比較例4−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0206】
比較例4−12では、タンクプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0207】
比較例4−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0208】
比較例4−14では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0209】
比較例4−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0210】
比較例4−16では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0211】
比較例4−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0212】
比較例4−18では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0213】
比較例4−19では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0214】
比較例4−20では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0215】
比較例4−21では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0216】
比較例4−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0217】
比較例4−23では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0218】
比較例4−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0219】
比較例4−25では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0220】
比較例4−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0221】
比較例4−27では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0222】
比較例4−28では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0223】
比較例4−29では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0224】
比較例4−30では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0225】
比較例4−31では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0226】
(発明例5−1〜5−56及び比較例5−1〜5−27)
表20に、
図6(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表20】
【0227】
発明例5−1〜5−56では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0228】
これに対して、比較例5−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0229】
比較例5−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0230】
比較例5−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0231】
比較例5−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0232】
比較例5−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0233】
比較例5−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0234】
比較例5−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0235】
比較例5−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0236】
比較例5−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0237】
比較例5−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0238】
比較例5−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0239】
比較例5−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0240】
比較例5−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0241】
比較例5−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0242】
比較例5−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0243】
比較例5−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0244】
比較例5−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0245】
比較例5−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0246】
比較例5−19では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0247】
比較例5−20では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0248】
比較例5−21では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0249】
比較例5−22では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0250】
比較例5−23では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0251】
比較例5−24では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0252】
比較例5−25では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0253】
比較例5−26では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0254】
比較例5−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0255】
(発明例6−1〜6−56及び比較例6−1〜6−29)
表21に、
図6(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表21】
【0256】
発明例6−1〜6−56では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0257】
これに対して、比較例6−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0258】
比較例6−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0259】
比較例6−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0260】
比較例6−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0261】
比較例6−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0262】
比較例6−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0263】
比較例6−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0264】
比較例6−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0265】
比較例6−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0266】
比較例6−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0267】
比較例6−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0268】
比較例6−12では、タンクプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0269】
比較例6−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0270】
比較例6−14では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0271】
比較例6−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0272】
比較例6−16では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0273】
比較例6−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0274】
比較例6−18では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0275】
比較例6−19では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0276】
比較例6−20では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0277】
比較例6−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0278】
比較例6−22では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0279】
比較例6−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0280】
比較例6−24では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0281】
比較例6−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0282】
比較例6−26では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0283】
比較例6−27では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0284】
比較例6−28では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0285】
比較例6−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0286】
(発明例7−1〜7−53及び比較例7−1〜7−28)
表22に、
図7(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表22】
【0287】
発明例7−1〜7−53では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0288】
これに対して、比較例7−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0289】
比較例7−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0290】
比較例7−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0291】
比較例7−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0292】
比較例7−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0293】
比較例7−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0294】
比較例7−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0295】
比較例7−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0296】
比較例7−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0297】
比較例7−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0298】
比較例7−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0299】
比較例7−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0300】
比較例7−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0301】
比較例7−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0302】
比較例7−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0303】
比較例7−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0304】
比較例7−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0305】
比較例7−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0306】
比較例7−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0307】
比較例7−20では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0308】
比較例7−21では、タンクプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0309】
比較例7−22では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0310】
比較例7−23では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0311】
比較例7−24では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0312】
比較例7−25では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0313】
比較例7−26では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0314】
比較例7−27では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0315】
比較例7−28では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0316】
(発明例8−1〜8−53及び比較例8−1〜8−27)
表23に、
図7(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表23】
【0317】
発明例8−1〜8−53では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0318】
これに対して、比較例8−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0319】
比較例8−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0320】
比較例8−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0321】
比較例8−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0322】
比較例8−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0323】
比較例8−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0324】
比較例8−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0325】
比較例8−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0326】
比較例8−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0327】
比較例8−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0328】
比較例8−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0329】
比較例8−12では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0330】
比較例8−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0331】
比較例8−14では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0332】
比較例8−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0333】
比較例8−16では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0334】
比較例8−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0335】
比較例8−18では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0336】
比較例8−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0337】
比較例8−20では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0338】
比較例8−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0339】
比較例8−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0340】
比較例8−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0341】
比較例8−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0342】
比較例8−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0343】
比較例8−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0344】
比較例8−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0345】
(発明例9−1〜9−55及び比較例9−1〜9−29)
表24に、
図8(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表24】
【0346】
発明例9−1〜9−55では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0347】
これに対して、比較例9−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0348】
比較例9−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0349】
比較例9−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0350】
比較例9−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0351】
比較例9−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0352】
比較例9−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0353】
比較例9−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0354】
比較例9−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0355】
比較例9−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0356】
比較例9−10では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0357】
比較例9−11では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0358】
比較例9−12では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0359】
比較例9−13では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0360】
比較例9−14では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0361】
比較例9−15では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0362】
比較例9−16では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0363】
比較例9−17では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0364】
比較例9−18では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0365】
比較例9−19では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0366】
比較例9−20では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0367】
比較例9−21では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0368】
比較例9−22では、タンクプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0369】
比較例9−23では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0370】
比較例9−24では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0371】
比較例9−25では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0372】
比較例9−26では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0373】
比較例9−27では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0374】
比較例9−28では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0375】
比較例9−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0376】
(発明例10−1〜10−55及び比較例10−1〜10−27)
表25に、
図8(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表25】
【0377】
発明例10−1〜10−55では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0378】
これに対して、比較例10−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0379】
比較例10−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0380】
比較例10−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0381】
比較例10−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0382】
比較例10−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0383】
比較例10−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
【0384】
比較例10−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0385】
比較例10−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
【0386】
比較例10−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0387】
比較例10−10では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0388】
比較例10−11では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0389】
比較例10−12では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0390】
比較例10−13では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0391】
比較例10−14では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0392】
比較例10−15では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0393】
比較例10−16では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0394】
比較例10−17では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0395】
比較例10−18では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0396】
比較例10−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0397】
比較例10−20では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0398】
比較例10−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0399】
比較例10−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0400】
比較例10−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0401】
比較例10−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
【0402】
比較例10−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
【0403】
比較例10−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0404】
比較例10−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
【0405】
(発明例11−1〜11−9及び比較例11−1〜11−8)
表26に、
図1(a)に示す構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
【表26】
【0406】
発明例11−1〜11−9では、フィンが本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
【0407】
これに対して、比較例11−1では、フィンの心材のSi濃度が低いために、フィンの強度が低かった。
【0408】
比較例11−2では、フィンの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0409】
比較例11−3では、フィンの心材のMn濃度が低いために、フィンの強度が低かった。
【0410】
比較例11−4では、フィンの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0411】
比較例11−5では、フィンの心材のZn濃度が低いために、チューブの腐食が促進され、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
【0412】
比較例11−6では、フィンの心材のZn濃度が高いために、フィンの腐食が促進され、フィンの耐食性が不合格(×)であった。
【0413】
比較例11−7では、フィンのろう材のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
【0414】
比較例11−8では、フィンのろう材のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
【0415】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。