特許第6155175号(P6155175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155175
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】電動工具の制動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/24 20060101AFI20170619BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20170619BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   H02P6/24
   H02P27/06
   B25F5/00 C
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-237852(P2013-237852)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-100156(P2015-100156A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慈
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−184391(JP,A)
【文献】 特開2011−005588(JP,A)
【文献】 特開平11−178389(JP,A)
【文献】 特開2011−211799(JP,A)
【文献】 特開平07−184392(JP,A)
【文献】 特開平07−184393(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0074881(US,A1)
【文献】 特開平09−047054(JP,A)
【文献】 特開2006−141110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/24
B25F 5/00
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源として3相ブラシレスモータを備えた電動工具において、当該電動工具の停止時又は減速時に前記3相ブラシレスモータに制動力を発生させる制動装置であって、
前記3相ブラシレスモータの3つの端子と直流電源の正極側及び負極側とをそれぞれ接続する正極側通電経路及び負極側通電経路に設けられて、各通電経路を導通・遮断する6つのスイッチング素子からなるスイッチング回路と、
前記3相ブラシレスモータの回転時に、当該電動工具の停止指令若しくは減速指令が入力されると、前記スイッチング回路において前記正極側通電経路若しくは前記負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することで、前記3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流して制動力を発生させる制動制御手段と、
を備え、
前記制動制御手段は、当該スイッチング素子がオフ状態に切り換えられても、当該スイッチング素子に並列に設けられたダイオードを介して前記ブレーキ電流を流すことができ、しかも、前記スイッチング素子に流れるブレーキ電流が減少方向にあるタイミングで、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換えることを特徴とする電動工具の制動装置。
【請求項2】
前記制動制御手段にてオン・オフ状態が制御される前記スイッチング素子が、前記負極側通電経路に設けられたローサイドスイッチであるとき、
前記制動制御手段は、前記ローサイドスイッチから前記3相ブラシレスモータに向かってブレーキ電流が流れているときに、前記ローサイドスイッチをオン状態からオフ状態に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の電動工具の制動装置。
【請求項3】
前記制動制御手段にてオン・オフ状態が制御されるスイッチング素子が、前記正極側通電経路に設けられたハイサイドスイッチであるとき、
前記制動制御手段は、前記3相ブラシレスモータから前記ハイサイドスイッチに向かってブレーキ電流が流れているときに、前記ハイサイドスイッチをオン状態からオフ状態に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の電動工具の制動装置。
【請求項4】
前記制動制御手段は、前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、少なくとも一定期間は、前記3つのスイッチング素子を同時にオフ状態にすることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項5】
前記制動制御手段は、前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、少なくとも一定期間は、前記3つのスイッチング素子を同時にオン状態にすることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項6】
駆動源として3相ブラシレスモータを備えた電動工具において、当該電動工具の停止時又は減速時に前記3相ブラシレスモータに制動力を発生させる制動装置であって、
前記3相ブラシレスモータの3つの端子と直流電源の正極側及び負極側とをそれぞれ接続する正極側通電経路及び負極側通電経路に設けられて、各通電経路を導通・遮断する6つのスイッチング素子からなるスイッチング回路と、
前記3相ブラシレスモータの回転時に、当該電動工具の停止指令若しくは減速指令が入力されると、前記スイッチング回路において前記正極側通電経路若しくは前記負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することで、前記3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流して制動力を発生させる制動制御手段と、
を備え、
前記制動制御手段は、
当該スイッチング素子がオフ状態に切り換えられても、当該スイッチング素子に並列に設けられたダイオードを介して前記ブレーキ電流を流すことのできるタイミングで、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換え、
前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、少なくとも一定期間は、前記3つのスイッチング素子を同時にオフ状態にすることを特徴とする電動工具の制動装置。
【請求項7】
駆動源として3相ブラシレスモータを備えた電動工具において、当該電動工具の停止時又は減速時に前記3相ブラシレスモータに制動力を発生させる制動装置であって、
前記3相ブラシレスモータの3つの端子と直流電源の正極側及び負極側とをそれぞれ接続する正極側通電経路及び負極側通電経路に設けられて、各通電経路を導通・遮断する6つのスイッチング素子からなるスイッチング回路と、
前記3相ブラシレスモータの回転時に、当該電動工具の停止指令若しくは減速指令が入力されると、前記スイッチング回路において前記正極側通電経路若しくは前記負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することで、前記3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流して制動力を発生させる制動制御手段と、
を備え、
前記制動制御手段は、
当該スイッチング素子がオフ状態に切り換えられても、当該スイッチング素子に並列に設けられたダイオードを介して前記ブレーキ電流を流すことのできるタイミングで、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換え、
前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、少なくとも一定期間は、前記3つのスイッチング素子を同時にオン状態にすることを特徴とする電動工具の制動装置。
【請求項8】
前記制動制御手段は、前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、前記3つのスイッチング素子を選択的にオン状態にして前記3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流す導通制御と、前記3つのスイッチング素子を同時にオフ状態にする非導通制御とを交互に行うことを特徴とする請求項4又は請求項6に記載の電動工具の制動装置。
【請求項9】
前記3相ブラシレスモータの所定の回転角度毎に回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、
前記制動制御手段は、前記回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき、前記スイッチング素子のオン状態からオフ状態への切換タイミングを設定することを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項10】
前記制動制御手段は、前記回転位置検出手段にて所定の回転位置が検出されてから、所定時間経過後に、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換えることを特徴とする請求項9に記載の電動工具の制動装置。
【請求項11】
前記制動制御手段は、前記3相ブラシレスモータの駆動状態に基づき、前記スイッチング素子のオン状態からオフ状態への切換タイミングを設定することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の電動工具の制動装置。
【請求項12】
前記制動制御手段は、前記3相ブラシレスモータの駆動状態として、前記3相ブラシレスモータの回転数、温度、前記直流電源の電圧、及び、電動工具の駆動を指令する操作部の操作量、の少なくとも一つを検出し、その検出した駆動状態に基づき、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換える切換タイミングを設定することを特徴とする請求項11に記載の電動工具の制動装置。
【請求項13】
前記制動制御手段は、前記回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき、前記スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切換タイミングを設定することを特徴とする請求項9〜請求項12の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項14】
前記制動制御手段は、前記回転位置検出手段にて所定の回転位置が検出されてから、所定時間経過後に、前記スイッチング素子をオフ状態からオン状態へ切り換えることを特徴とする請求項13に記載の電動工具の制動装置。
【請求項15】
前記制動制御手段は、前記3相ブラシレスモータの駆動状態に基づき、前記スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切換タイミングを設定することを特徴とする請求項9〜請求項13の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項16】
前記制動制御手段は、前記3相ブラシレスモータの駆動状態として、前記3相ブラシレスモータの回転数、温度、前記直流電源の電圧、及び、電動工具の駆動を指令する操作部の操作量、の少なくとも一つを検出し、その検出した駆動状態に基づき、前記スイッチング素子をオフ状態からオン状態へ切り換える切換タイミングを設定することを特徴とする請求項15に記載の電動工具の制動装置。
【請求項17】
前記制動制御手段は、前記3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、制御の対象となるスイッチング素子を、前記正極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子と、前記負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子との何れかに、交互に切り換えることを特徴とする請求項1〜請求項16の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【請求項18】
前記制動制御手段が前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換えてから、当該スイッチング素子を次にオフ状態からオン状態へ切り替えるタイミングは、当該スイッチング素子に並列に設けられた前記ダイオードに前記ブレーキ電流が流れていないときに設定される、ことを特徴とする請求項1〜請求項17の何れか1項に記載の電動工具の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相ブラシレスモータを備えた電動工具において、そのモータの端子間を短絡することで制動力を発生させる電動工具の制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3相ブラシレスモータを駆動源とする電動工具において、3相ブラシレスモータの回転を低下若しくは停止させる際には、3相ブラシレスモータの各端子間を短絡することで制動力を発生させる、所謂短絡ブレーキが利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この短絡ブレーキでは、例えば、3相ブラシレスモータの各端子と直流電源の負極との間の通電経路に設けられる3つのスイッチング素子(所謂ローサイドスイッチ)をオン状態、3相ブラシレスモータの各端子と直流電源の正極との間の通電経路に設けられる3つのスイッチング素子(所謂ハイサイドスイッチ)をオフ状態とすることで、3相ブラシレスモータに制動力を発生させる。
【0004】
このため、短絡ブレーキによれば、3相ブラシレスモータへの通電制御に用いられるスイッチング素子のオン・オフ状態を切り換えるだけで、3相ブラシレスモータを制動(減速若しくは停止)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−74194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の短絡ブレーキでは、3相ブラシレスモータの全相にブレーキ電流を流し、制動力を発生させるため、制動力が大きくなりすぎ、その制動力により電気機器に加わる力が大きくなって、電気機器に不具合が生じることがあった。
【0007】
例えば、駆動源として3相ブラシレスモータを備えた電動工具において、従来の短絡ブレーキにて、3相ブラシレスモータの回転を停止させると、制動力が強すぎるため、反動が大きく、使用者による使用感を損なうとか、工具ビットを取り付けているネジやナットが緩んでしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、短絡ブレーキにより3相ブラシレスモータに制動力を発生させる電動工具の制動装置において、短絡ブレーキにより発生する制動力を適正に設定して、制動力の過不足により電動工具に不具合が発生するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた本発明の電動工具の制動装置においては、駆動源である3相ブラシレスモータの回転時に、当該電動工具の停止指令若しくは減速指令が入力されると、制動制御手段が動作する。
【0010】
そして、制動制御手段は、スイッチング回路において3相ブラシレスモータへの正極側通電経路若しくは負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することで、3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流して制動力を発生させる。
【0011】
つまり、本発明の制動装置においては、従来のように、3相ブラシレスモータへの正極側通電経路若しくは負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子を全て導通させる3相短絡制御を行うのではなく、3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を切り換えることで、3相ブラシレスモータに流れるブレーキ電流を制御する。
【0012】
このため、本発明の制動装置によれば、従来装置に比べ、3相ブラシレスモータに流れるブレーキ電流を抑制して、3相ブラシレスモータに発生する制動力を低減することができる。
【0013】
また、この制動力は、3相ブラシレスモータに流すブレーキ電流によって制御できることから、本発明によれば、各スイッチング素子のオン・オフ状態の切換タイミングを調整することで、電動工具を停止若しくは減速させる際の減速特性を所望特性に設定することができる。
【0014】
また、制動制御手段は、3相ブラシレスモータの回転時に、スイッチング素子がオフ状態に切り換えられても、当該スイッチング素子に並列に設けられたダイオード(例えば、FETの寄生ダイオード)を介してブレーキ電流を流すことのできるタイミングで、スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換える。
【0015】
この結果、本発明の制動装置によれば、スイッチング素子をオフした際に、スイッチング素子を介して3相ブラシレスモータの巻線(コイル)に流れていた電流が遮断されて、コイルに高電圧が発生し、その高電圧により直流電源側に回生電流が流れるのを防止できる。
【0016】
つまり、本発明では、スイッチング素子のオン・オフ状態を切り換えることで、3相ブラシレスモータに流れるブレーキ電流を制御するが、スイッチング素子をオフするタイミングを、そのスイッチング素子に並列に設けられたダイオードに流れないタイミングに設定すると、3相ブラシレスモータの巻線(コイル)に流れていた電流が遮断されて、そのコイルに接続された端子に高電圧が発生する。
【0017】
すると、この高電圧により、同一端子に接続された他のスイッチング素子を介して直流電源側に回生電流が流れ、他のスイッチング素子を劣化させてしまうことがある。
しかし、本発明では、電動工具(延いては3相ブラシレスモータ)の制動時にスイッチング素子をオフするタイミングを、上記のように設定しているので、スイッチング素子のオフ時に高電圧が発生して、直流電源側に回生電流が流れるのを防止し、延いては、その回生電流が流れることによる他のスイッチング素子が劣化するのを防止できる。
【0018】
なお、このように回生電流が流れるのを防止するには、スイッチング素子をオフするタイミングを、スイッチング素子に流れる電流が零になるタイミングに設定するようにしてもよい。
【0019】
しかし、このようにするには、3相ブラシレスモータの回転位置(角度)から、スイッチング素子に流れる電流が零になるタイミングを検出する必要があり、そのためには、高精度の回転位置センサを用い、スイッチング素子をオフするタイミングを高精度に制御する必要があり、制動装置のコストアップを招く。
【0020】
これに対し、本発明によれば、スイッチング素子を介して3相ブラシレスモータに流れる電流方向を検出して、スイッチング素子をオフするタイミングを設定すればよいので、高精度の回転位置センサを用いる必要がなく、回生電流が流れるのを防止し得る制動装置を低コストで実現できる。
【0021】
また、本発明によれば、スイッチング素子をオフした際に、スイッチング素子に並列に設けられたダイオードを介して、ブレーキ電流を流すことから、ダイオードが発熱することが考えられる。しかし、ダイオードの発熱量は、ダイオードに電流が流れる時間によって変化し、その時間は、スイッチング素子をオフするタイミングによって決まる。
【0022】
このため、本発明によれば、スイッチング素子をオフするタイミングを調整することで、回生電流が流れるのを防止しつつ、ダイオード(延いてはスイッチング素子)が高温になるのを防止できる。
【0023】
なお、本発明において、対象となる電動工具は、ドリルドライバ、インパクトドライバ、グラインダ等の一般的な電動工具は勿論のこと、草や小径木を刈払うための刈払機、道具本体を前後に引くことなく対象物を切断できるチェーンソー、といった園芸用の電動工具も含まれる。つまり、駆動源として3相ブラシレスモータを備え、その回転により所定の作業を行うことのできる電動工具であれば、本発明を適用することができる。
【0024】
また、本発明は、直流電源としてバッテリを備えた電動工具は勿論のこと、ACアダプタ等の外部の直流電源から電源供給を受けて動作する電動工具であっても、或いは、商用電源等の交流電源から電源供給を受けて動作する電動工具であっても、適用することができる。
【0025】
次に、本発明の電動工具の制動装置において、制動制御手段がオン・オフ状態を制御するスイッチング素子が、負極側通電経路に設けられたローサイドスイッチである場合には、制動制御手段は、請求項2に記載のように構成すればよい。
【0026】
また、制動制御手段がオン・オフ状態を制御するスイッチング素子が、正極側通電経路に設けられたハイサイドスイッチである場合には、制動制御手段は、請求項3に記載のように構成すればよい。
【0027】
つまり、請求項2に記載の制動装置において、制動制御手段は、ローサイドスイッチから3相ブラシレスモータに向かってブレーキ電流が流れているときに、ローサイドスイッチをオン状態からオフ状態に切り換える。
【0028】
このため、制動制御手段がローサイドスイッチをオフした際には、ローサイドスイッチに並列に設けられたダイオードを介してブレーキ電流が流れ、ローサイドスイッチのオフ時に高電圧が発生して、他のスイッチング素子(ハイサイドスイッチ)を介して直流電源に回生電流が流れるのを防止できる。
【0029】
また、請求項3に記載の制動装置において、制動制御手段は、3相ブラシレスモータからハイサイドスイッチに向かってブレーキ電流が流れているときに、ハイサイドスイッチをオン状態からオフ状態に切り換える。
【0030】
このため、制動制御手段がハイサイドスイッチをオフした際には、ハイサイドスイッチに並列に設けられたダイオードを介してブレーキ電流が流れ、ハイサイドスイッチのオフ時に高電圧が発生して、他のスイッチング素子(ハイサイドスイッチ)を介して直流電源に回生電流が流れるのを防止できる。
【0031】
次に、本発明において、制動制御手段が制御対象となるスイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り換えるタイミングは、スイッチング素子を介して流れるブレーキ電流が減少方向にあるときに設定される。
【0032】
つまり、スイッチング素子がオン状態にあるときに流れるブレーキ電流は、3相ブラシレスモータの回転に応じて増・減する。
そして、そのブレーキ電流が上昇しているときにスイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り換えるようにすると、ブレーキ電流が上昇して最大電流になり、その後減少して零になるまでの間、ダイオードに電流が流れ続けることになり、ダイオードの発熱量が増加する。
【0033】
これに対し、スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り換えるタイミングを、スイッチング素子に流れるブレーキ電流が減少方向にあるときに設定すれば、ダイオードに電流が流れる期間を短くして、ダイオードの発熱量を低減できる。
【0034】
次に、3つのスイッチング素子がオン状態であるときに各スイッチング素子に流れるブレーキ電流は、3相ブラシレスモータの回転状態に応じて変化する。また、3相ブラシレスモータの回転状態は、3相ブラシレスモータに通常設けられている回転位置検出手段(ホール素子やエンコーダ等)を用いて検出することができる。なお、回転位置検出手段は、3相ブラシレスモータの所定の回転角度毎に回転位置を検出するものである。
【0035】
このため、制動制御手段は、回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき、スイッチング素子のオン状態からオフ状態への切換タイミングを設定するようにするとよい。
【0036】
つまり、このようにすれば、スイッチング素子の切換タイミングを設定するために、スイッチング素子のオン時に流れる電流方向を検出するための検出素子を別途設ける必要がなく、本発明の制動装置を低コストで実現できる。
【0037】
また、この場合、制動制御手段は、回転位置検出手段にて所定の回転位置が検出されてから、所定時間経過後に、スイッチング素子をオン状態からオフ状態へ切り換えるように構成するとよい。
【0038】
このようにすれば、制動制御手段がスイッチング素子をオフするタイミングを、回転位置検出手段からの検出信号を基準として、簡単に設定することができ、制動装置の設計がし易くなる。
【0039】
また、この場合、制動制御手段は、3相ブラシレスモータの駆動状態に基づき、スイッチング素子のオン状態からオフ状態への切換タイミングを設定するように構成してもよい。
【0040】
このようにすれば、制動制御手段がスイッチング素子をオフするタイミングを、3相ブラシレスモータの駆動状態に応じて変更できることになり、スイッチング素子のオフ後にダイオードに流れる電流(延いてはダイオードの発熱量)を最適に制御することができる。
【0041】
例えば、モータの回転数(速度)が高いときには、スイッチング素子をオフしたときにダイオードに流れる電流量が大きくなるので、スイッチング素子をオフするタイミングを遅らせ、ダイオードに流れる電流量を少なくして、ダイオードの発熱を抑える、といったことができる。
【0042】
なお、制動制御手段がスイッチング素子をオフするタイミングを制御するのに用いる3相ブラシレスモータの駆動状態としては、3相ブラシレスモータの回転数、温度、直流電源の電圧、及び、電動工具の駆動を指令する操作部の操作量、を挙げることができる。
【0043】
に、制動制御手段は、回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき、スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切換タイミングを設定するように構成してもよい。
【0044】
つまり、制動制御手段が、スイッチング素子をオフするタイミングだけでなく、スイッチング素子をオンするタイミングについても、回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき設定するように構成するのである。
【0045】
このようにすれば、制動制御手段がスイッチング素子をオン状態にして、3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流す期間(換言すれば、その期間に流れる電流量に応じて発生する制動力)を、回転位置検出手段にて検出された回転位置に基づき設定することができる。
【0046】
また、この場合、制動制御手段は、回転位置検出手段にて所定の回転位置が検出されてから、所定時間経過後に、スイッチング素子をオフ状態からオン状態へ切り換えるようにしてもよい。
【0047】
このようにすれば、制動制御手段がスイッチング素子をオンするタイミングを、回転位置検出手段からの検出信号を基準として、簡単に設定することができ、制動装置の設計がし易くなる。
【0048】
また、制動制御手段は、3相ブラシレスモータの駆動状態に基づき、スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切換タイミングを設定するようにしてもよい
【0049】
このようにすれば、制動制御手段がスイッチング素子をオンするタイミングを、3相ブラシレスモータの駆動状態に応じて変更できることになり、3相ブラシレスモータに流れるブレーキ電流(延いては制動力)を最適に制御することができる。
【0050】
例えば、モータの回転数(速度)が高いときには、低速時よりも大きなブレーキ電流(延いては制動力)が発生するため、スイッチング素子をオンするタイミングを遅くして、その間のブレーキ電流(延いては制動力)を小さくし、制動力による反動を低減する、といったことができる。
【0051】
なお、制動制御手段がスイッチング素子をオンするタイミングを制御するのに用いる3相ブラシレスモータの駆動状態としては、3相ブラシレスモータの回転数、温度、直流電源の電圧、及び、電動工具の駆動を指令する操作部の操作量、を挙げることができる。
【0052】
次に、本発明の制動装置において、制動制御手段は、3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御して、3相ブラシレスモータに制動力を発生させる際、少なくとも一定期間は、3つのスイッチング素子を同時にオフ状態にするよう構成してもよい。
【0053】
このようにすれば、制動制御手段が、3つのスイッチング素子を同時にオフすることによって、3相ブラシレスモータにブレーキ電流が流れない期間が設定され、これによって、3相ブラシレスモータに発生する制動力をより小さくすることができる。
【0054】
また、この場合、制動制御手段は、3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、3つのスイッチング素子を選択的にオン状態にして3相ブラシレスモータにブレーキ電流を流す導通制御と、3つのスイッチング素子を同時にオフ状態にする非導通制御とを交互に行うようにしてもよい。
【0055】
このようにすれば、3相ブラシレスモータにはブレーキ電流が間欠的に流れることになり、この間欠制御における導通制御と非導通制御との実施割合を調整することで、3相ブラシレスモータに発生する制動力の調整可能範囲を拡大することができる。
【0056】
一方、本発明の制動装置において、制動制御手段は、3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、少なくとも一定期間は、3つのスイッチング素子を同時にオン状態にするよう構成してもよい。
【0057】
このようにすれば、制動制御手段が、3つのスイッチング素子を同時にオンすることによって、3相ブラシレスモータに最大の制動力を発生させる期間を設定することができ、この期間を調整することで、3相ブラシレスモータに発生する制動力を調整することができる。
【0058】
また次に、制動制御手段は、3つのスイッチング素子のオン・オフ状態を制御する際、制御の対象となるスイッチング素子を、正極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子と、負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子との何れかに、交互に切り換えるようにしてもよい。
【0059】
このようにすれば、3相ブラシレスモータの制動時にブレーキ電流が流れるダイオードを、正極側通電経路と負極側通電経路との間で交互に切り換えることができ、一つのダイオードに流れる電流量を少なくして、ダイオードの発熱をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】実施形態の電動工具全体の構成を表す説明図である。
図2】電動工具に設けられたモータ駆動装置の構成を表す回路ブロック図である。
図3】3相−2相交互ブレーキ制御でのホール信号、駆動信号、相電流の変化を表す説明図である。
図4】制御回路でブレーキ制御部としての機能を実現するために実行される制御処理を表すフローチャートである。
図5】3相−2相間欠ブレーキ制御でのホール信号、駆動信号、相電流の変化を表す説明図である。
図6図5に示した3相−2相間欠ブレーキ制御の変形例を表す説明図である。
図7図6に示した3相−2相間欠ブレーキ制御を実現するために実行される制御処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動工具2は、所謂ドリルドライバであり、モータハウジング4と、モータハウジング4の前方に位置するギアハウジング6と、ギアハウジング6の前方に位置するドリルチャック8と、モータハウジング4の下方に位置するハンドグリップ10とを備える。
【0062】
モータハウジング4は、ドリルチャック8を回転駆動させる駆動力を発生するモータ20(図2参照)を収容している。なお、モータ20は、3相ブラシレスモータである。
ギアハウジング6は、モータ20の駆動力をドリルチャック8に伝達するギア機構(図示せず)を収容している。
【0063】
ドリルチャック8は、当該ドリルチャック8の前端部に工具ビット(図示せず)を着脱自在に装着する装着機構(図示せず)を備えている。
ハンドグリップ10は、電動工具2の使用者が当該ハンドグリップ10を片手で把持できるように成形されている。そして、ハンドグリップ10の上部前方には、電動工具の使用者がモータ20を駆動/停止するためのトリガスイッチ12が設けられている。
【0064】
また、ハンドグリップ10の下端部には、電池パック16を装着するための電池パック装着部14が設けられている。
電池パック装着部14は、使用者が電池パック16を電動工具2の前方に摺動させることで、電池パック16を電池パック装着部14から離脱できるように構成されている。
【0065】
電池パック16は、電動工具2に直流電源を供給するためのものであり、リチウムイオン電池等からなる二次電池を内蔵している。
そして、電池パック16は、電池パック装着部14に装着されることで、電動工具2内のモータ駆動装置30(図2参照)と電気的に接続され、電動工具2に直流電源を供給できるようになる。
【0066】
次に、モータ駆動装置30は、電動工具2に内蔵されて、トリガスイッチ12からの駆動・停止指令に従いモータ20を駆動・制動するためのものであり、図2に示すように構成されている。
【0067】
図2に示すように、本実施形態のモータ駆動装置30には、電池パック16の正極側に接続される電源ラインと、電池パック16の負極側に接続されるグランドラインとが備えられている。
【0068】
そして、その正極側の電源ラインと負極側のグランドラインとの間には、モータ20の各相U,V,Wに流れる電流を制御するためのスイッチング回路32が設けられている。
スイッチング回路32は、モータ20の各相U,V,Wの端子と電源ラインとの間の正極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3(詳しくは、U相ハイサイドスイッチQ1,V相ハイサイドスイッチQ2,W相ハイサイドスイッチQ3)と、モータ20の各相U,V,Wの端子とグランドラインとの間の負極側通電経路に設けられた3つのスイッチング素子Q4,Q5,Q6(詳しくは、U相ローサイドスイッチQ4,V相ローサイドスイッチQ5,W相ローサイドスイッチQ6)とから構成されている。
【0069】
また、スイッチング回路32とグランドラインとの間(つまり、負極側のスイッチング素子Q4〜Q6とグランドラインとの間)の負極側通電経路には、通電遮断用のスイッチング素子(通電遮断スイッチ)Q7及び抵抗R1が設けられている。
【0070】
この抵抗R1の両端には、抵抗R1の両端電圧からモータ20に流れた電流を検出する電流検出回路34が接続されており、通電遮断スイッチQ7の近傍には、通電遮断スイッチQ7の温度に応じて特性が変化する温度センサ37が設けられている。
【0071】
また、温度センサ37には、温度センサ37を介して通電遮断スイッチQ7の温度を検出する温度検出回路38が接続されており、この温度検出回路38からの検出信号は、電流検出回路34からの検出信号と共に、制御回路50に入力される。
【0072】
なお、上記各スイッチング素子Q1〜Q7は、本実施形態では、nチャネルのMOSFETにて構成されている。このため、スイッチング素子Q1〜Q7を構成するFETのドレイン−ソース間には、ソースからドレインに向けて順方向となる寄生ダイオードが並列に接続されることになる。
【0073】
また、電池パック16の正極側からスイッチング回路32に至る電源ライン(正極側通電経路)とグランドラインとの間には、平滑用のコンデンサC1が設けられると共に、そのライン間の電圧(つまりバッテリ電圧)を検出する電圧検出回路36が設けられている。
【0074】
また、モータ駆動装置30には、モータ20の回転位置を検出するロータ位置検出回路40も設けられている。そして、電圧検出回路36、及び、ロータ位置検出回路40からの検出信号も、制御回路50に入力される。
【0075】
なお、ロータ位置検出回路40は、モータ20に設けられた回転位置検出用の3つのホールセンサ21,22,23からの検出信号(ホール信号)に基づき、モータ20の回転位置(換言すれば回転角度)を検出するものである。
【0076】
すなわち、ホールセンサ21,22,23は、それぞれ、モータ20のロータの周囲に120度の間隔で配置されており、ロータが180度回転する度に増減方向が反転する、U相,V相,W相のホール信号を出力する。
【0077】
そして、ロータ位置検出回路40は、各ホールセンサ21,22,23からの各相U,V,Wのホール信号を波形整形することで、ロータの180度毎に正負が反転するパルス状のホール信号(図3参照)を生成し、各ホール信号のエッジから60度間隔でモータ20(詳しくはロータ)の回転位置を検出する。
【0078】
次に、制御回路50は、CPU、ROM、RAMを中心に構成されるマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されており、使用者により操作されるトリガスイッチ12の操作量に従い、モータ20の駆動制御及び制動制御を実行する。
【0079】
つまり、制御回路50は、トリガスイッチ12が使用者により操作されると、駆動指令が入力されたと判断して、トリガスイッチ12の操作量に応じてモータ20を駆動し、使用者によるトリガスイッチ12の操作が終了すると、減速指令若しくは停止指令が入力されたと判断して、モータ20にブレーキをかける。
【0080】
そして、こうしたモータ20の駆動制御及び制動制御を実行するために、制御回路50は、ROMに記憶された各種制御プログラムを実行し、時刻を計時するタイマ52、ロータ回転速度演算部54、進角・通電角生成部56、ブレーキ制御部58、PWM生成部60、及び、ゲート駆動信号生成部62としての機能を実現する。
【0081】
ここで、ロータ回転速度演算部54は、ロータ位置検出回路40からモータ20の所定の回転角度毎(本実施形態では60度回転毎)に出力される検出信号とタイマ52による計時時刻とに基づいてモータ20の回転速度を演算する。
【0082】
また、進角・通電角生成部56は、電流検出回路34により検出されるモータ20への通電電流やロータ位置検出回路40により検出されるモータ20の回転位置に基づき、予めROM内に記憶された進角・通電角マップを参照して、モータ20の駆動時の進角・通電角を表す通電指令を生成し、ゲート駆動信号生成部62へ出力する。
【0083】
また、PWM生成部60は、モータ20への通電をPWM制御するための駆動デューティ比を演算し、その駆動デューティ比を表すPWM指令を生成してゲート駆動信号生成部62へ出力する。
【0084】
そして、ゲート駆動信号生成部62は、トリガスイッチ12が操作されて、モータ20の駆動制御を行う際に、通電遮断スイッチQ7をオンさせ、更に、進角・通電角生成部56からの通電指令に従って、スイッチング回路32を構成する正極側のスイッチング素子(ハイサイドスイッチ)Q1〜Q3のいずれか1つ及び負極側のスイッチング素子(ローサイドスイッチ)Q4〜Q6のいずれか1つをオンさせる駆動信号を生成し、スイッチング回路32へ出力する。
【0085】
また、ゲート駆動信号生成部62は、ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの何れか一方に対する駆動信号を、PWM生成部60からのPWM指令に対応した駆動デューティ比のPWM信号とすることで、そのスイッチをデューティ駆動する。
【0086】
この結果、モータ20の各相U,V,Wに、駆動デューティ比に対応した電流が流れ、モータ20は、トリガスイッチ12の操作量に対応した回転速度で回転することになる。
また、制御回路50は、電圧検出回路36及び温度検出回路38からの検出信号に基づき、バッテリ電圧及び温度を監視し、バッテリ電圧の低下時や、温度上昇時には、モータ20の駆動制御を停止する。
【0087】
次に、ブレーキ制御部58は、本発明の制御装置(詳しくは制動制御手段)としての機能を実現する制御ブロックであり、モータ20の駆動制御実行時に、使用者によるトリガスイッチ12の操作が終了すると、減速指令若しくは停止指令が入力されたものとして、モータ20に制動力を発生させる。
【0088】
具体的には、ブレーキ制御部58は、ゲート駆動信号生成部62を介して、通電遮断スイッチQ7をオフ状態にし、更に、スイッチング回路32内のスイッチング素子Q1〜Q6の一部を選択的にオン状態にすることでモータ20の端子間を接続し、モータ20に制動力を発生させる。
【0089】
このように、モータ20の各相U,V,Wの端子間を接続して制動力を発生させる短絡ブレーキとしては、モータ20の各相U,V,Wの正極側(H側)のスイッチング素子Q1〜Q3をオフ状態に制御し、負極側(L側)のスイッチング素子Q4〜Q6をオン状態とする全相短絡ブレーキが知られている。
【0090】
しかし、この全相短絡ブレーキでは、モータ20の回転に応じて、モータ20の各相U,V,Wに電流(所謂ブレーキ電流)が流れ、そのブレーキ電流に応じた制動力が発生するため、モータ20の回転状態(回転速度等)によっては、制動力が大きくなりすぎ、電気機器に不具合が生じることがある。
【0091】
そこで、本実施形態では、ブレーキ制御部58は、図3に示した3相−2相交互ブレーキ制御を実行することで、モータ20を所望の制動力で制動するようにされている。
すなわち、図3に示す3相−2相交互ブレーキ制御では、通電遮断スイッチQ7、及び、スイッチング回路32内で正極側(H側)通電経路に設けられたスイッチング素子(つまりハイサイドスイッチ)Q1〜Q3をオフ状態にする。
【0092】
そして、ロータ位置検出回路40にて検出されるモータ20の回転位置の変化に同期して、負極側(L側)通電経路に設けられたスイッチング素子(ローサイドスイッチ)Q4〜Q6のオン・オフ状態を切り換えることで、モータ20に所望のモータ電流を流し、モータ20に所望の制動力を発生させる。
【0093】
つまり、本実施形態では、スイッチング素子Q4〜Q6を周期的にオフして、ブレーキ電流の流れる阻止する電流遮断期間を設けることで、従来の全相短絡ブレーキに比べて、モータ20に発生する制動力を抑制するようにしている。
【0094】
また、スイッチング素子(ローサイドスイッチ)Q4〜Q6のオン・オフ状態の切り換えは、ロータ位置検出回路40にて検出されるモータ20の回転位置の変化に同期して、相毎に所定パターンで行う。
【0095】
そして、各相のスイッチング素子Q4〜Q6をオン状態からオフ状態へ切り換えるタイミングtu、tv、twは、図3に示すように、各スイッチング素子Q4〜Q6からモータ20側へとブレーキ電流が+方向に流れる期間内で、且つ、モータ電流が減少する期間内に設定される。
【0096】
これは、各相のスイッチング素子Q4〜Q6をオン状態からオフ状態へとターンオフさせた際に、ブレーキ電流が、各スイッチング素子Q4〜Q6の寄生ダイオードを介して継続して流れるようにし、しかも、寄生ダイオードにブレーキ電流が流れる期間が長くなるのを防止するためである。
【0097】
つまり、本実施形態では、スイッチング素子Q4〜Q6をオフするタイミングを、スイッチング素子Q4〜Q6をオフしても寄生ダイオードを介してモータ電流を継続して流すことのできるタイミングに設定することにより、各スイッチング素子Q4〜Q6のオフ時に、各スイッチング素子Q4〜Q6が接続されたモータ20の端子に高電圧が発生して、ハイサイドスイッチであるスイッチング素子Q1〜Q6の寄生ダイオードを介して回生電流が流れ、スイッチング素子Q1〜Q6が損傷するのを防止している。
【0098】
また、スイッチング素子Q4〜Q6をオフするタイミングを、ブレーキ電流がスイッチング素子Q4〜Q6からモータ20に向けて流れ(図3に示す+方向に流れ)、しかも、その+方向のブレーキ電流が減少する期間に設定することで、スイッチング素子Q4〜Q6がオフ状態になってからブレーキ電流が零になるまでの期間を短くして、ブレーキ電流が流れることによって生じる寄生ダイオードの発熱を抑え、スイッチング素子Q4〜Q6の温度が上昇するのを防止している。
【0099】
次に、こうした3相−2相交互ブレーキ制御を行うブレーキ制御部58の機能を実現するために、制御回路50を構成するマイコンにて実行される制御処理について説明する。
図4に示すように、この制御処理は、ホール信号のエッジタイミングに同期して、モータ20の60度回転毎に実行されるホール信号割り込み処理と、このホール信号割り込み処理に対し必要に応じて実行されるタイマ割り込み処理とにより実現される。
【0100】
ホール信号割り込み処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、前回のホール信号割り込みからの経過時間を取得し、続くS120にて、その取得した経過時間から、モータ20の回転数(換言すれば回転速度)を算出する、といった手順で、ロータ回転速度演算部54としての処理を実行する。
【0101】
次に、S130では、各相U,V,Wのホール信号の信号レベルから、モータ20の回転位置(角度:0度、60度、120度、…)を検出する。
そして、S140では、予めメモリ(ROM等)に記憶されている3相−2相交互ブレーキの制御マップから、S130で検出したモータ20の回転位置で、次にオン・オフ状態を切り換えるべきスイッチング素子の切り換え時間を求め、S120にて算出したモータ20の回転数に基づき切り換え時間を補正することで、次にオン・オフ状態を切り換えるべきスイッチング素子の切り換え時間を決定する。
【0102】
なお、このようにモータ20の回転数に基づき、基準となる切り換え時間を補正するのは、モータ20の回転数によって、モータ20を制動するのに必要な制動力やブレーキ電流が変化するためである。
【0103】
つまり、本実施形態では、スイッチング素子をオン・オフさせるタイミングを、モータ20の回転数に応じて補正することで、モータ20に流れるブレーキ電流(延いては制動力)を最適に制御できるようにしている。
【0104】
次に、S150では、S140にて決定された切り換え時間が零であるか否か、つまり、現時点で直ぐにスイッチング素子のオン・オフ状態を切り換える必要があるか否かを判断する。
【0105】
そして、切り換え時間が零であれば、S190に移行し、3相−2相交互ブレーキの制御マップから、現在のモータ20の回転位置に対応した各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動信号パターンを読み込み、その読み込んだ駆動信号パターンに従い、各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートに駆動信号を出力し、当該ホール信号割り込み処理を一旦終了する。
【0106】
一方、S150にて、切り換え時間は零ではないと判断されると、S160に移行して、S140にて切り換え時間が決定されたスイッチング素子のオフ・オン状態切換後の、各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動信号パターンを、上記制御マップから取得し、その取得した駆動信号パターンをバッファに格納する。
【0107】
そして、続くS170では、S140にて決定した切り換え時間をタイマレジスタにセットし、S180にて、タイマを起動することで、切り換え時間の計時を開始させ、当該ホール信号割り込み処理を一旦終了する。
【0108】
次に、S180にてタイマによる計時をスタートさせると、その後、切り換え時間が経過した時点で、タイマ割り込みが発生する。
このため、制御回路50では、このタイマ割り込みにより、S310の処理を実行し、S160にてバッファにセットした各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動信号を、対応するスイッチング素子Q1〜Q6のゲートに出力させる。
【0109】
従って、スイッチング回路32内のスイッチング素子Q1〜Q6の内、ローサイドスイッチを構成するスイッチング素子Q4〜Q6には、モータ20の回転に同期して、図3に示した駆動信号が入力され、オン・オフ状態が切り換えられることになる。
【0110】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、従来の全相短絡ブレーキに対し、モータ20の回転に同期して各相のスイッチング素子Q4〜Q6をオフする期間を設定することで、スイッチング素子Q4〜Q6を介して流れるブレーキ電流を低減し、制動力を抑制している。
【0111】
しかし、スイッチング素子Q4〜Q6をオン・オフする期間は、相毎に一致させる必要はなく、例えば、図5に示すように、スイッチング素子Q4〜Q6をオン・オフさせる制御パターンを、相毎に異なる制御パターンに設定してもよい。
【0112】
なお、図5に示すブレーキ制御は、3つのスイッチング素子Q4〜Q6の内、U相とW相の2つのスイッチング素子Q4、Q6を異なる制御パターンにて周期的にオン・オフさせ、V相のスイッチング素子Q5をオフ状態に保持することで、2つのスイッチング素子Q4、Q6を介してモータ20に間欠的にブレーキ電流を流し、そのブレーキ電流に対応した制動力を発生させる3相−2相間欠ブレーキ制御を表している。
【0113】
そして、この3相−2相間欠ブレーキ制御でも、スイッチング素子Q4、Q6をオン状態からオフ状態に切り換えた際に電池パック16側に回生電流が流れることのないように、各スイッチング素子Q4、Q6をオフするタイミングが設定される。
【0114】
つまり、このブレーキ制御では、スイッチング素子Q6からモータ20、スイッチング素子Q4の順にブレーキ電流が流れるようにスイッチング素子Q4、Q6を同時にオンし、その後、電流方向が反転する前にスイッチング素子Q6をオフする。また、スイッチング素子Q6のオフタイミングは、スイッチング素子Q6に流れる+方向のブレーキ電流が一旦最大となってから減少している期間に設定される。
【0115】
このため、スイッチング素子Q6がオフされても、モータ電流は寄生ダイオードを介して流れ続け、電池パック16側に回生電流が流れるのを防止できると共に、寄生ダイオードを介してモータ電流が流れる期間を短くして、スイッチング素子Q6の発熱を抑えることができる。
【0116】
なお、スイッチング素子Q4のオフタイミングは、スイッチング素子Q6がオフされてからスイッチング素子Q6の寄生ダイオードを介して+方向のブレーキ電流が流れなくなった後に設定される。これは、スイッチング素子Q6によりブレーキ電流が遮断されているときにスイッチング素子Q4をオフすれば、電池パック16側に回生電流が流れることがないためである。
【0117】
一方、上記実施形態のブレーキ制御,及び、図5に示したブレーキ制御では、スイッチング回路32を構成するスイッチング素子Q1〜Q6の内、負極側(L側)通電経路に設けられたスイッチング素子(ローサイドスイッチ)Q4〜Q6のオン・オフ状態を制御することで、モータ20にブレーキ電流を流し、制動力を発生させる。
【0118】
しかし、ブレーキ制御は、ローサイドスイッチ(スイッチング素子Q4〜Q6)をオフ状態に保持し、ハイサイドスイッチ(スイッチング素子Q1〜Q3)のオン・オフ状態を制御することによっても、実現できる。
【0119】
なお、この場合にも、ハイサイドスイッチ(スイッチング素子Q1〜Q3)のオフ後に回生電流が流れるのを防止するには、寄生ダイオードを介してモータ電流を継続して流すことのできるタイミングに設定する必要がある。
【0120】
従って、ブレーキ制御にハイサイドスイッチ(スイッチング素子Q1〜Q3)を利用する際には、モータ20からハイサイドスイッチに向けてモータ電流が流れているとき(つまり、モータ電流が−方向であるとき)に、ハイサイドスイッチをオフするように、ハイサイドスイッチのオフタイミングを設定すればよい。
【0121】
また、ブレーキ制御に、ローサイドスイッチとハイサイドスイッチの何れか一方だけを利用すると、寄生ダイオードにブレーキ電流が流れることによって、ブレーキ制御に用いられるスイッチだけが発熱し、劣化し易くなる。
【0122】
このため、図6に示すように、ブレーキ制御には、ハイサイドスイッチ(スイッチング素子Q1〜Q3)と、ローサイドスイッチ(スイッチング素子Q4〜Q6)とを、交互に利用するようにしてもよい。
【0123】
なお、図6に示すブレーキ制御は、ローサイドスイッチ(スイッチング素子Q4,Q6)と、ハイサイドスイッチ(スイッチング素子Q1、Q2)とを、モータ20の1回転毎に交互に利用することで、図5に示した3相−2相間欠ブレーキ制御を実施する場合の動作波形を表している。
【0124】
そして、このブレーキ制御では、ハイサイドスイッチ(Q1、Q2)を利用してブレーキ電流を流す際には、スイッチング素子Q1に−方向の電流が流れ、スイッチング素子Q2に+方向の電流が流れるように、スイッチング素子Q1、Q2を同タイミングでオンする。
【0125】
また、スイッチング素子Q1のオフタイミングは、スイッチング素子Q1に−方向のブレーキ電流が流れていて、その電流が減少方向にあるときに設定され、スイッチング素子Q2のオフタイミングは、スイッチング素子Q1によりブレーキ電流が完全に遮断された後に設定されている。
【0126】
このため、図6に示すブレーキ制御においても、スイッチング素子Q1、Q2がオン状態からオフ状態に切り換えられた際に、回生電流が流れるのを防止できる。
そして、このようにハイサイドスイッチとローサイドスイッチとを交互に利用してブレーキ制御を実行する場合、図6に示したように、モータ20の1回転毎に、利用するスイッチを変更するようにしてもよく、モータ20が所定回転する毎に、利用するスイッチを変更するようにしてもよい。
【0127】
また、図6に示したように、モータ20の1回転毎に利用するスイッチを変更する場合、制御回路50では、図7に示すホール信号割り込み処理を実行するようにすればよい。
すなわち、図7に示すホール信号割り込み処理では、図4に示したホール信号割り込み処理と同様に、S110〜S130の処理を実行した後、S210にて、ホール信号の組み合わせは、予め設定された設定値(具体的には、U相、W相のホール信号がローレベル、V相のホール信号がハイレベル)であるか否かを判断する。
【0128】
なお、S210の処理は、ホール信号の組み合わせから、モータ20の回転位置が基準位置(図6における回転角:0度の位置)であるかを判断するための処理である。
S210にて、ホール信号の組み合わせは設定値であり、モータ20は基準位置にあると判断されると、S250に移行して、前回のブレーキ制御では正極側のスイッチング素子に駆動信号を出力していたか否か(つまり、ブレーキ制御にハイサイドスイッチを利用したか否か)を判断する。
【0129】
そして、S250にて、前回のブレーキ制御ではハイサイドスイッチを利用していたと判断されると、S260に移行して、今後、ブレーキ制御には、ローサイドスイッチを利用するよう、駆動信号の出力を負極側のスイッチング素子(つまりローサイドスイッチ)に設定し、S220に移行する。
【0130】
また、S250にて、前回のブレーキ制御ではローサイドスイッチを利用していたと判断されると、S270に移行して、今後、ブレーキ制御には、ハイサイドスイッチを利用するよう、駆動信号の出力を正極側のスイッチング素子(つまりハイサイドスイッチ)に設定し、S220に移行する。
【0131】
S220では、今回のブレーキ制御では、駆動信号を正極側のスイッチング素子に出力するよう設定されているか否かを判断し、駆動信号を正極側のスイッチング素子に出力するように設定されていれば、S230に移行し、そうでなければ、S240に移行する。
【0132】
S230では、ハイサイドスイッチを利用してブレーキ制御を行うための制御マップを利用して、S130で検出したモータ20の回転位置で、次にオン・オフ状態を切り換えるべきスイッチング素子の切り換えパターンを求める。
【0133】
また、S240では、ハイサイドスイッチを利用してブレーキ制御を行うための制御マップを利用して、S130で検出したモータ20の回転位置で、次にオン・オフ状態を切り換えるべきスイッチング素子の切り換えパターンを求める。
【0134】
そして、続くS145では、S120にて算出したモータ回転数に基づき補正することで、次にオン・オフ状態を切り換えるべきスイッチング素子の切り換え時間を決定する。
次に、S150では、S145にて決定された切り換え時間が零であるか否か、つまり、現時点で直ぐにスイッチング素子のオン・オフ状態を切り換える必要があるか否かを判断する。
【0135】
そして、切り換え時間が零であれば、S190に移行し、S230またはS240で決定した駆動信号パターンに従い、各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートに駆動信号を出力し、当該ホール信号割り込み処理を一旦終了する。
【0136】
一方、S150にて、切り換え時間は零ではないと判断されると、S160に移行して、S145にて切り換え時間が決定されたスイッチング素子のオフ・オン状態切換後の、S230またはS240で決定した駆動信号パターンをバッファに格納する。
【0137】
そして、続くS170では、S145にて決定した切り換え時間をタイマレジスタにセットし、S180にて、タイマを起動することで、切り換え時間の計時を開始させ、当該ホール信号割り込み処理を一旦終了する。
【0138】
次に、S180にてタイマによる計時をスタートさせると、その後、切り換え時間が経過した時点で、タイマ割り込みが発生する。
このため、制御回路50では、このタイマ割り込みにより、S310の処理を実行し、S160にてバッファにセットした各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動信号を、対応するスイッチング素子Q1〜Q6のゲートに出力させる。
【0139】
次に、図4図7に示したホール信号割り込み処理において、駆動信号を切り換える時間、つまり、スイッチング素子のオン・オフ状態の切換タイミングは、制御マップから基準となるタイミングを求め、これを、モータ回転数に基づき補正することで、決定するものとして説明した。
【0140】
しかし、この切換タイミングの補正は、必ずしも実施する必要はなく、制御マップから求めた切換タイミングをそのまま利用してもよい。また、切換タイミングを補正することで、モータ20に発生する制動力をより高精度に制御する場合には、モータ回転数に加えて、温度、直流電源の電圧等、制動力の発生に影響を与えるパラメータを利用するようにしてもよい。
【0141】
また、使用者からの制動要求は、操作部であるトリガスイッチ12の操作量によって変化するので、この操作量を用いて、切換タイミングを補正するようにしてもよい。また、切換タイミングの補正は、これら各パラメータの組み合わせ、若しくは、これら各パラメータの一つ、を用いて行うようにしてもよい。
【0142】
また次に、上記実施形態では、スイッチング素子のオン・オフ状態の切換タイミングは、モータ20の回転位置を検出するホールセンサ21〜23からの検出信号(ホール信号)に基づき設定するが、この切換タイミングは、エンコーダ等、回転位置検出用の他の回転センサからの検出信号を用いて設定するようにしてもよい。
【0143】
また更に、上記実施形態では、制御回路50は、3相−2相交互ブレーキ制御を実行するものとして説明したが、3相−2相間欠ブレーキ制御等の他の制御マップもメモリ(ROM)に記憶しておき、モータ20の状態に応じて(換言すれば、発生すべき制動力に応じて)、ブレーキ制御を切り換えるようにしてもよい。
【0144】
そして、このようにすれば、モータ20の回転停止時や減速時に発生させる制動力を、より最適に制御することが可能となる。
また、上記実施形態では、スイッチング回路32を構成するスイッチング素子Q1〜Q6を、寄生ダイオードを有するnチャネルのMOSFETにて構成しているが、スイッチング素子Q1〜Q6に寄生ダイオードがない場合には、スイッチング素子Q1〜Q6にダイオードを並列接続すればよい。
【符号の説明】
【0145】
2…電動工具、4…モータハウジング、6…ギアハウジング、8…ドリルチャック、10…ハンドグリップ、12…トリガスイッチ、14…電池パック装着部、16…電池パック、20…モータ、21〜23…ホールセンサ、22…回転速度演算回路、30…モータ駆動装置、32…スイッチング回路、Q1〜Q3…スイッチング素子(ハイサイドスイッチ)、Q4〜Q6…スイッチング素子(ローサイドスイッチ)、34…電流検出回路、36…電圧検出回路、37…温度センサ、38…温度検出回路、40…ロータ位置検出回路、50…制御回路、52…タイマ、54…ロータ回転速度演算部、56…進角・通電角生成部、58…ブレーキ制御部、60…PWM生成部、62…ゲート駆動信号生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7