(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば分岐部を有する管腔内に挿入して押し込んだ際に、その管腔に対し進ませたい方向に確実に進ませることができるガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜
(8)の本発明により達成される。
(1) 本発明のガイドワイヤは、可撓性を有する長尺体で構成されたワイヤ本体と、
前記ワイヤ本体の先端部に設けられ、該ワイヤ本体の中心軸に対して偏心した位置に、その偏心方向に向かって突出した突出部と
、
前記ワイヤ本体を前記突出部ごと覆って外層となる被覆層とを備え
、
前記被覆層には、前記突出部の突出形状にならって突出した先端突出部が形成されていることを特徴とするガイドワイヤである。
(2) また、本発明のガイドワイヤでは、当該ガイドワイヤは、血管内に挿入して用いられるものであり、
前記先端突出部は、前記血管の分岐部に係合して、当該ガイドワイヤを前記分岐部の分岐方向に導く部分であるのが好ましい。
【0009】
(3) また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体は、その先端部に外径が先端方向に向かって漸減するテーパ部を有し、
前記突出部は、前記ワイヤ本体と別体で構成され、前記テーパ部が挿通する部材であるのが好ましい。
【0010】
(4) また、本発明のガイドワイヤでは、前記部材は、その形状が長尺状をなしており、
前記突出部は、前記部材の長手方向に延在する溝を有し、
前記溝内に前記テーパ部の一部が位置しているのが好ましい。
(5) また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体は、その長手方向に沿って外径が一定であり、最大外径となっている外径一定部を有し、
前記部材は、管状体であり、該管状体の外径は、前記外径一定部の外径よりも大きいのが好ましい。
【0011】
(6) また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体は、その先端部に板状をなす板状部を有し、
前記突出部は、前記ワイヤ本体と別体で構成され、前記板状部の一方の面側に配置されたものである
のが好ましい。
【0012】
(7) また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体は、その先端部に、外力を付与しない自然状態で、一方向に湾曲した湾曲部を有し、
前記突出部は、前記湾曲部に対しその湾曲内側を向いているのが好ましい。
【0013】
(8) また、本発明のガイドワイヤでは、前記突出部は、造影性を有するのが好ましい。
【0014】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記突出部は、その両端部が固定部材を介して前記テーパ部に対し固定されているのが好ましい。
【0015】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記突出部は、その形状が半球状をなすものであるのが好ましい。
【0016】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体は、金属材料で構成され、
前記突出部は、樹脂材料で構成されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記ワイヤ本体の外表面を被覆する樹脂被覆層をさらに備え、
前記突出部は、前記樹脂被覆層と一体的に形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば分岐部を有する管腔内にガイドワイヤを挿入して押し込んだ際に、当該ガイドワイヤをその管腔に対し進ませたい方向に確実に進ませることができる。
【0019】
例えばガイドワイヤを分岐部側に進ませたい場合、ガイドワイヤの突出部で突出した部分を、分岐部に係合させることができる。そして、この状態のままガイドワイヤを先端方向に向かって押し込むと、当該ガイドワイヤは、分岐部側に確実に向かう、すなわち、進むこととなる。
【0020】
このように、本発明によれば、挿入された管腔に対し、進ませたい方向に確実に進ませることができ、よって、操作性に優れたものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す部分縦断面側面図、
図2は、
図1中のA−A線断面図、
図3は、
図1に示すガイドワイヤの使用状態を順に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1および
図3中(
図4、
図8および
図9についても同様)の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。また、
図1および
図3中(
図4、
図8および
図9についても同様)では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向との比率は実際とは異なる。
【0024】
図1に示すガイドワイヤ1は、本実施形態では、例えば比較的細い血管(管腔)100内に挿入して用いられるガイドワイヤである。このガイドワイヤ1は、長尺体で構成されたワイヤ本体2と、ワイヤ本体2の先端部(先端側の部分)に設置された造影マーカ(突出部)3と、ワイヤ本体2全体を造影マーカ3ごと覆う被覆層(樹脂被覆層)4とを備えている。
【0025】
ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。
【0026】
ワイヤ本体2は、可撓性を有する、すなわち、柔軟性または弾性を有する1本の線材で構成されている。
図1に示すように、ワイヤ本体2は、その先端部に設けられたテーパ部22と、テーパ部22の基端側に設けられた外径一定部23とで構成されている。
【0027】
テーパ部22は、その外径φd
3が先端方向に向かって漸減した外径漸減部である。なお、テーパ部22のテーパ角度(外径d
3の減少率)は、
図1に示す構成ではワイヤ長手方向(ワイヤ本体2の中心軸O
1方向)に沿って一定であるが、これに限定されず、例えば、ワイヤ長手方向に沿って変化する部位があってもよい。この場合、例えば、テーパ角度が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
【0028】
そして、このテーパ部22が設けられていることにより、ワイヤ本体2は、全体として先細り形状をなすものとなる。これにより、ワイヤ本体2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部11に良好な狭窄部の通過性および柔軟性を得て、血管100等への追従性、安全性が向上するとともに、折れ曲がり等も防止することができる。また、ワイヤ本体2は、その先端側の部分では柔軟性に富み、基端側の部分では比較的剛性が高いものとなるので、先端部11の柔軟性と優れた操作性(押し込み性、トルク伝達性等)とを両立することができる。
【0029】
外径一定部23は、その外径φd
4がワイヤ本体2の中で最も大きく、ワイヤ長手方向に沿って一定となっている大径部である。なお、外径一定部23の外径φd
4とテーパ部22の最大外径とは、ほぼ同等である。また、外径一定部23の基端部には、面取りを施した面取り部231が設けられている。
【0030】
ワイヤ本体2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)が好ましく、より好ましくは超弾性合金である。
【0031】
超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難いので、ワイヤ本体2を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、特に、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管等に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、ワイヤ本体2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、ワイヤ本体2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中にワイヤ本体2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
【0032】
超弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
【0033】
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。なお、Ni−Ti系合金に代表される超弾性合金は、被覆層4の密着性にも優れている。
【0034】
図1に示すように、ガイドワイヤ1の外表面には、その全体を被覆する被覆層4が設けられている。この被覆層4は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
【0035】
ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)の低減を図るためには、被覆層4は、以下に述べるような摩擦を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、血管壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、血管100内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1を血管100内で移動させたり、回転させたりした際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれを確実に防止することができる。
【0036】
このような摩擦を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
【0037】
また、被覆層4は、ガイドワイヤ1を血管100等に挿入する際の安全性の向上を目的として設けることもできる。この目的のためには、被覆層4は柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成されているのが好ましい。
【0038】
このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
【0039】
また、被覆層4は、先端41および基端42は、それぞれ、丸みを帯びている。これにより、ガイドワイヤ1を血管100等に押し込んで挿入した際に、先端41で血管を傷つけるのを確実に防止することができたり、基端42でガイドワイヤ1の操作者の指等を傷つけるのを確実に防止したりすることができる。
【0040】
また、被覆層4は、単層のものであってもよいし、2層以上の積層体でもよい。
【0041】
ワイヤ本体2のテーパ部22には、当該ワイヤ本体2と別体の長尺な管状体(部材)で構成された造影マーカ3が設置されている。造影マーカ3は、その内側をテーパ部22が挿通しており、当該テーパ部22の途中、
図1に示す構成ではできる限り先端側に配置され、固定部材5a、5bを介して固定されている。
【0042】
なお、固定部材5a、5bは、それぞれ、例えば接着剤、ろう材または半田であり、固定部材5aが造影マーカ3の先端部33を固定し、固定部材5bが造影マーカ3の基端部34を固定している。このように造影マーカ3がその両端部で固定されていることにより、当該造影マーカ3は、ワイヤ本体2に確実に固定され、よって、例えばガイドワイヤ1の使用中にワイヤ本体2から離脱するのが確実に防止される。
【0043】
造影マーカ3は、例えば、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金等のような金属材料で構成されている。このような金属材料は、X線不透過材料であり、造影マーカ3がX線造影性を有するものとなる。これにより、X線透視下でガイドワイヤ1の先端部11の位置を確認しつつ血管100内に挿入することができる。
【0044】
この管状体で構成された造影マーカ3は、その外径φd
5が中心軸O
1方向に沿って一定であり、ワイヤ本体2の外径一定部23の外径φd
4よりも大きい。
【0045】
また、造影マーカ3には、その管壁を厚さ方向に貫通し(欠損し)、中心軸O
1方向に沿ったスリット(欠損部)31が形成されている。換言すれば、
図2に示すように、造影マーカ3は、その横断面形状が「C」字状をなす部材で構成されている。そして、スリット31(溝)内にテーパ部22の一部が位置している。このような配置により、造影マーカ3は、ワイヤ本体2の中心軸O
1に対して偏心した位置(
図1中の下側)に、その偏心方向(
図1中の下方)に向かって突出することとなる、すなわち、造影マーカ3の中心軸O
2がワイヤ本体2の中心軸O
1とズレて配置されている。
【0046】
以上のような構成の造影マーカ3を備えるガイドワイヤ1を血管100に挿入して用いた場合について、
図3を参照しつつ説明する。なお、血管100には、その長手方向の途中から分岐した側枝101がある。そして、ここでは、ガイドワイヤ1を側枝101に挿入させる場合について説明する。また、この手技は、X線造影下で行なわれる。
【0047】
図3(a)に示す状態は、ガイドワイヤ1が血管100の奥側(末梢側)に向かって押し込まれている。また、この状態では、ガイドワイヤ1は、その最大外径φd
1よりも若干大きい内径φd
2の比較的細い血管100内に挿入されているため、当該挿入された部分、特に先端部11が血管の形状にならって、直線状に近い状態(直線状態)に矯正されている。
【0048】
図3(a)に示す状態から、ガイドワイヤ1をさらに押し込む。この際、造影マーカ3を確認しつつ、すなわち、手掛かりとして、造影マーカ3で突出した部分(以下この部分を「先端突出部12」と言う)を図中下側に向けておく。
【0049】
そして、ガイドワイヤ1の先端突出部12が側枝101の根元部(分岐部)102に到達したとき、
図3(b)示すように、当該先端突出部12が根元部102を確実に捕える、すなわち、根元部102に係合する。
【0050】
図3(b)に示す状態のままガイドワイヤ1を押し込むと、
図3(c)に示すように、先端部11が湾曲しつつ、側枝101に確実に向かうこととなり、その結果、ガイドワイヤ1を側枝101に確実に挿入させることができる。
【0051】
このように、ガイドワイヤ1では、側枝101を有する血管100内に挿入して用いた際に、当該血管100に対し進ませたい方向、すなわち、
図3に示す状態では側枝101の方向に確実に進ませることができ、よって、操作性に優れたものとなっている。
【0052】
<第2実施形態>
図4は、本発明のガイドワイヤの第2実施形態を示す部分縦断面側面図、
図5は、
図4中のB−B線断面図である。
【0053】
以下、これらの図を参照して本発明のガイドワイヤの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0054】
本実施形態は、主に、造影マーカの形状およびワイヤ本体に対する固定方法が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0055】
図4に示すように、本実施形態では、ワイヤ本体2は、テーパ部22よりも先端側に、板状部(平板部)24を有している。この板状部24は、板状(リボン状)をなしている。
【0056】
造影マーカ3Aは、ワイヤ本体2と別体で構成され、板状部24の一方の面側(
図4、
図5中では下側の面241)に配置されている。この造影マーカ3Aの形状は、半球状をなしている。このような配置と形状により、造影マーカ3Aは、ワイヤ本体2の中心軸O
1に対して偏心した位置(
図4中の下側)に、その偏心方向(
図4中の下方)に向かって突出することとなる。これにより、ガイドワイヤ1の先端部11には、造影マーカ3Aで突出した先端突出部12が形成される。そして、前記第1実施形態と同様に、ガイドワイヤ1を血管100内に挿入した際に、先端突出部12で側枝101の根元部102を確実に捕えることができ、ガイドワイヤ1を側枝101に確実に向かわせることとができる。
【0057】
また、造影マーカ3Aのワイヤ本体2に対する固定方法(固定構造)は、本実施形態では、次のようになっている。
【0058】
図5に示すように、板状部24には、その厚さ方向に貫通する円形の貫通孔242が形成されている。そして、貫通孔242に対し、造影マーカ3Aの
図5中の上面から柱状に突出形成された柱状部36を挿入し、当該柱状部36の上部を潰して塑性変形させる。これにより、柱状部36に変形部361が形成され、よって、造影マーカ3Aがワイヤ本体2から離脱するのが確実に防止される。
【0059】
また、ガイドワイヤ1の少なくとも先端部11では、被覆層4上に、さらに、親水性材料をコーティングしてなる親水性層6が、例えばポリ塩化ビニル(PVC(polyvinyl chloride))で構成された下地層7を介して形成されている。これにより、親水性層6を構成する親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。
【0060】
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0061】
<第3実施形態>
図6は、本発明のガイドワイヤ(第3実施形態)の先端部を示す横断面図である。
【0062】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0063】
本実施形態は、造影マーカのワイヤ本体に対する固定方法が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0064】
造影マーカ3Aのワイヤ本体2に対する固定方法(固定構造)は、本実施形態では、次のようになっている。
【0065】
図6に示すように、造影マーカ3Aの板状部24の下側の面241と接する面には、貫通孔242の内径それよりも若干大きい外径の嵌合部35が突出形成されている。この嵌合部35を貫通孔242に圧入して、嵌合部35が貫通孔242に嵌合することにより、造影マーカ3Aをワイヤ本体2に対し確実に固定することができる。
【0066】
<第4実施形態>
図7は、本発明のガイドワイヤ(第4実施形態)の先端部を示す横断面図である。
【0067】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0068】
本実施形態は、造影マーカのワイヤ本体に対する固定方法が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0069】
造影マーカ3Aのワイヤ本体2に対する固定方法(固定構造)は、本実施形態では、次のようになっている。
【0070】
図7に示す構成では、造影マーカ3Aは、板状部24の下側の面241に、圧着による方法、溶接による方法、接着による方法、めっきを施す方法のうちの少なくとも1つの方法を用いて、ワイヤ本体2に対し確実に固定されている。
【0071】
<第5実施形態>
図8は、本発明のガイドワイヤの第5実施形態を示す部分縦断面側面図である。
【0072】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0073】
本実施形態は、造影マーカの構成材料が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0074】
図8に示す本実施形態では、造影マーカ3Bは、金属粉末を含有する樹脂材料で構成れている。この金属粉末は、樹脂材料全体にわたって均一に分散しており、例えば、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金等のような金属材料で構成されている。このような金属材料は、X線不透過材料であり、造影マーカ3BがX線造影性を有するものとなる。
【0075】
また、造影マーカ3Bを構成する樹脂材料としては、被覆層4の構成材料と同様のものが用いられている。これにより、造影マーカ3Bと被覆層4とを一体的に形成することができ、よって、ガイドワイヤ1の製造が容易となる。
【0076】
<第6実施形態>
図9は、本発明のガイドワイヤの第6実施形態を示す側面図である。
【0077】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、ワイヤ本体の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0078】
図9に示すように、本実施形態では、ワイヤ本体2は、その先端部、すなわち、テーパ部22が、外力を付与しない自然状態で、円弧状に(一方向に)湾曲した湾曲部を構成している。
【0079】
また、造影マーカ3は、円弧状に湾曲したテーパ部22に対し、その湾曲内側を向いている。これにより、ガイドワイヤ1を血管100内に挿入した際、先端突出部12で側枝101の根元部102をより確実に捕えることができる。
【0080】
<第7実施形態>
図10は、本発明のガイドワイヤ(第7実施形態)の先端部を示す横断面図である。
【0081】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、造影マーカの形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0082】
図10に示す本実施形態では、造影マーカ3Cは、円柱状をなし、その外周部に、中心軸O
2方向に延在する溝(欠損部)37が形成されている。そして、この溝37をワイヤ本体2のテーパ部22が挿通している。このような位置関係により、造影マーカ3Cは、ワイヤ本体2の中心軸O
1に対して偏心した位置(
図10中の下側)に、その偏心方向(
図10中の下方)に向かって突出することとなる、すなわち、造影マーカ3Cの中心軸O
2がワイヤ本体2の中心軸O
1とズレて配置される。
【0083】
このような構成の造影マーカ3Cを有するガイドワイヤ1でも、前記第1実施形態と同様に、ガイドワイヤ1の先端突出部12が側枝101の根元部102を確実に捕えることができる。これにより、ガイドワイヤ1の先端部11を側枝101に確実に向かわせて、ガイドワイヤ1を側枝101に確実に挿入させることができる。
【0084】
<第8実施形態>
図11は、本発明のガイドワイヤ(第8実施形態)の先端部を示す横断面図である。
【0085】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、造影マーカの形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0086】
図11に示す本実施形態では、造影マーカ3Dは、円柱状をなし、中心軸O
2と偏心した位置に、当該中心軸O
2方向に貫通して延在する貫通孔(欠損部)38が形成されている。そして、この貫通孔38をワイヤ本体2のテーパ部22が挿通している。これにより、造影マーカ3Cの中心軸O
2がワイヤ本体2の中心軸O
1とズレて配置される。
【0087】
このような構成の造影マーカ3Dを有するガイドワイヤ1でも、前記第1実施形態と同様に、ガイドワイヤ1の先端突出部12が側枝101の根元部102を確実に捕えることができる。これにより、ガイドワイヤ1の先端部11を側枝101に確実に向かわせて、ガイドワイヤ1を側枝101に確実に挿入させることができる。
【0088】
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0089】
また、本発明のガイドワイヤは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0090】
また、ワイヤ本体は、前記各実施形態では1本の線材で構成されているが、先端側に配置された第1ワイヤと、第1ワイヤの基端側に配置された第2ワイヤとの2本の線材で構成され、これら線材同士が溶接により接合(連結)してなるものであってもよい。この場合、第1ワイヤは、超弾性合金で構成されているのが好ましく、第2ワイヤは、ステンレス鋼で構成されているのが好ましい。
【0091】
また、ワイヤ本体の先端部に設けられ、該ワイヤ本体の中心軸に対して偏心した位置に、その偏心方向に向かって突出した突出部は、前記各実施形態では造影性を有するものであったが、これに限定されず、例えば、造影性が省略されたものであってもよい。この場合、突出部の突出方向(偏心方向)を確認するためのマーカを、突出部とは別に設けるのが好ましい。このマーカとしては、特に限定されず、例えば、欠損部を有する部材、すなわち、横断面形状が「C」字状をなす部材を用いることができる。