(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155227
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】橋梁点検装置
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20170619BHJP
E01D 19/10 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01D19/10
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-107310(P2014-107310)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-221996(P2015-221996A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】597140545
【氏名又は名称】株式会社NTEC
(73)【特許権者】
【識別番号】599113590
【氏名又は名称】株式会社美貴本
(73)【特許権者】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 潤祐
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−275385(JP,A)
【文献】
特開昭49−015202(JP,A)
【文献】
特開2003−119722(JP,A)
【文献】
特開2005−090072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00〜 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に立設された垂直ベース軸と、
前記垂直ベース軸に対して水平方向に取り付けられ、一端側が水平方向から上方に回動可能な水平ベース軸と、
前記水平ベース軸の側面に取り付けられ、円弧状のガイド穴を有し、前記水平ベース軸が回動すると共に回転するガイド板と、
前記ガイド穴をスライドし、前記垂直ベース軸に螺合し、前記垂直ベース軸にねじ込むことにより前記ガイド板を固定すると共に前記水平ベース軸を前記垂直ベース軸に対して適宜の角度で固定する水平ベース軸固定ボルトと、
前記水平ベース軸の上方に回動可能な側に取り付けられた撮影機能を有する点検手段と、
前記垂直ベース軸に取り付けられ、前記点検手段により撮影された画像を表示するモニターとを備えた
ことを特徴とする橋梁点検装置。
【請求項2】
移動可能な台車と、
前記台車上に、前記水平ベース軸の点検手段を備えた側に片寄って着脱自在に取り付けられ、垂直方向に円形凹溝を有する筒状をなし、その側壁部にボルト穴が形成されたベース部と、
前記台車において、前記ベース部を取り付けた側の反対側に片寄って着脱自在に取り付けられた台車用バランスウエイトと、
前記ベース部の円形凹溝に嵌め込み可能な断面多角形状をなし、前記水平ベース軸の中間位置の下面に頂部を位置させて前記水平ベース軸を支持する垂直ベース軸と、
前記ベース部における側壁部のボルト穴にねじ込むことにより前記ベース部の円形凹溝に嵌め込まれた前記垂直ベース軸を固定する垂直ベース軸固定ボルトと、
前記水平ベース軸において、点検手段を備えた一端側の反対側である他端側に着脱自在に取り付けられた水平ベース軸用バランスウエイトとを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の橋梁点検装置。
【請求項3】
前記点検手段が、
前記水平ベース軸の上方に回動可能な一端側に、軸継手を介して、長さ方向を軸として回転可能でかつ適宜位置で固定可能であり、長さ方向にスライド可能でかつ適宜位置で固定可能に着脱自在に取り付けられ、それ自体が伸縮可能でかつ適宜位置で伸縮固定可能な垂直ロッドと、
前記垂直ロッドの上部に設けた垂直ロッド回転操作ハンドルと、
前記垂直ロッドの下端に、ロッド継手を介して、長さ方向を軸として回転可能でかつ適宜位置で固定可能であり、長さ方向にスライド可能でかつ適宜位置で固定可能に着脱自在に取り付けられ、それ自体が伸縮可能でかつ適宜位置で伸縮固定可能な水平ロッドと、
前記水平ロッドの一端側に取り付けられた撮影機と、
水平ロッドの他端側に取り付けられ、前記水平ロッドの水平を保持する水平ロッド用バランスウエイトとを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の橋梁点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の下面に配置されている配管等の状況を点検する点検装置に関し、特に橋上からは直接目視して点検することが困難な箇所をビデオカメラ等により撮影して点検する点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、橋梁の下面を点検する装置として、下記特許文献1に記載の発明がなされている。当該特許文献1に記載の橋梁点検装置は、橋上を移動可能な台車に支持されて先端部が橋の側方外部にオーバーハングして張り出される基部アームと、前記基部アームの先端部に取り付けられ昇降可能かつ垂直軸線まわりに回動可能に垂直ロッドを保持するロッドホルダーと、前記垂直ロッドの下端部に中間部を固定されて水平方向に延在する水平アームと、前記水平アーム上の一方の側に取り付けられたカメラと、他方の側に取り付けられたバランスウエイトと、前記水平アームを昇降させる昇降装置と、前記カメラの撮影画像を表示する表示装置から構成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の橋梁点検装置は、橋の側方外部にオーバーハングして張り出される基部アームを備えるものであるが、基部アームの先端部には垂直ロッドが取り付けられ、垂直ロッドの下端部にはカメラを取り付けた水平アームを備えているため、橋の欄干の高さが水平アームの先端部の高さより高い場合には、これらの器具を取り付けた状態で基部アームの先端部を橋の欄干を乗り越えて橋の側方外部に張り出させることはかなりの困難を伴うものであった。
【0005】
そこで本発明者は、鋭意研究を重ね、橋梁の現場において設置が容易な橋梁点検装置を案出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の橋梁点検装置は、垂直方向に立設された垂直ベース軸と、前記垂直ベース軸に対して水平方向に取り付けられ、一端側が水平方向から上方に回動可能な水平ベース軸と、
前記水平ベース軸の側面に取り付けられ、円弧状のガイド穴を有し、前記水平ベース軸が回動すると共に回転するガイド板と、前記ガイド穴をスライドし、前記垂直ベース軸に螺合し、前記垂直ベース軸にねじ込むことにより前記ガイド板を固定すると共に前記水平ベース軸を前記垂直ベース軸に対して適宜の角度で固定する水平ベース軸固定ボルトと、前記水平ベース軸の上方に回動可能な側に取り付けられた撮影機能を有する点検手段と、前記垂直ベース軸に取り付けられ、前記点検手段により撮影された画像を表示するモニターとを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第2の橋梁点検装置は、上記第1の橋梁点検装置の構成に加え、移動可能な台車と、前記台車上に、前記水平ベース軸の点検手段を備えた側に片寄って着脱自在に取り付けられ、垂直方向に円形凹溝を有する筒状をなし、その側壁部にボルト穴が形成されたベース部と、前記台車において、前記ベース部を取り付けた側の反対側に片寄って着脱自在に取り付けられた台車用バランスウエイトと、前記ベース部の円形凹溝に嵌め込み可能な断面多角形状をなし、前記水平ベース軸の中間位置の下面に頂部を位置させて前記水平ベース軸を支持する垂直ベース軸と、前記ベース部における側壁部のボルト穴にねじ込むことにより前記ベース部の円形凹溝に嵌め込まれた前記垂直ベース軸を固定する垂直ベース軸固定ボルトと、前記水平ベース軸において、点検手段を備えた一端側の反対側である他端側に着脱自在に取り付けられた水平ベース軸用バランスウエイトとを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る第3の橋梁点検装置は、上記第1の橋梁点検装置の構成に加え、前記点検手段が、前記水平ベース軸の上方に回動可能な一端側に、軸継手を介して、長さ方向を軸として回転可能でかつ適宜位置で固定可能であり、長さ方向にスライド可能でかつ適宜位置で固定可能に着脱自在に取り付けられ、それ自体が伸縮可能でかつ適宜位置で伸縮固定可能な垂直ロッドと、前記垂直ロッドの上部に設けた垂直ロッド回転操作ハンドルと、前記垂直ロッドの下端に、ロッド継手を介して、長さ方向を軸として回転可能でかつ適宜位置で固定可能であり、長さ方向にスライド可能でかつ適宜位置で固定可能に着脱自在に取り付けられ、それ自体が伸縮可能でかつ適宜位置で伸縮固定可能な水平ロッドと、前記水平ロッドの一端側に取り付けられた撮影機と、水平ロッドの他端側に取り付けられ、前記水平ロッドの水平を保持する水平ロッド用バランスウエイトとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成したことにより、本発明に係る橋梁点検装置は、橋梁の下面を容易にかつ迅速に点検でき、軽量かつコンパクトで、組立作業や欄干乗り越え等の設置作業が簡便で設置スペースが僅かでよく、しかも製作コストも安価である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る橋梁点検装置を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る橋梁点検装置を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る橋梁点検装置を示す平面図である。
【
図4】台車に垂直ベース軸を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図5】水平ベース軸に垂直ロッドを取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図6】垂直ロッドに水平ロッドを取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に係る橋梁点検装置を示す斜視図である。
【実施例1】
【0011】
図1〜
図3に示すAは、本実施例の橋例点検装置を示し、橋梁点検装置Aは、垂直ベース軸20、該垂直ベース軸20の頂部に設置された上方に回動可能な水平ベース軸30、該水平ベース軸30の上方に回動する側の一端に設置された撮影機能を有する点検手段40、及び、該点検手段40により得られる撮影画像を表示するモニター50により構成される。なお、図において、Bは橋梁を示し、Cは橋梁の幅方向端部に設置された欄干を示す。
【0012】
前記垂直ベース軸20は台車10に立設されており、当該台車10は、
図4に示すように、移動可能な手押し車よりなり、台車10上にベース部11がボルト12により着脱自在に設置されている。すなわちボルト12をねじ込むことによりベース部11は台車10に固定され、ボルト12を緩めるとベース部11は台車10から取り外すことが可能となっている。当該ベース部11は、前記水平ベース軸30の点検手段40を備えた側に片寄って設置されており、前記ベース部11を取り付けた側の反対側に片寄って台車用バランスウエイト13が載置されていて、垂直ベース軸20に掛かる水平ベース軸30及び点検手段40の荷重と釣り合いがとれて転倒しないように構成されている。また、当該ベース部11は、垂直方向に円形凹溝11aを有する筒状をなしており、その側壁部にボルト穴11bが形成されていて、前記垂直ベース軸20が嵌め込み可能となっており、垂直ベース軸固定ボルト11cにより前記垂直ベース軸20が着脱自在に取り付け可能に構成されている。
【0013】
前記垂直ベース軸20は、断面四角形状をなしていて、前記ベース部11の円形凹溝11aに嵌め込み可能で、その一側面が前記垂直ベース軸固定ボルト11cのねじ込みによる押圧力により固定できるようになっており、垂直ベース軸固定ボルト11cのねじ込みを緩めれば、ベース部11から垂直ベース軸20を引き抜いて取り外すことが可能となっている。
【0014】
また、前記垂直ベース軸20には、載置台21が適宜位置に着脱自在に取り付けられており、モニター50が載置できるようになっている。
【0015】
そして、垂直ベース軸20の上端には、垂直ベース軸20に対して水平方向に水平ベース軸30が着脱自在に取り付けられており、その一端側が水平方向から上方に回動可能になっている。すなわち、前記水平ベース軸30の中間位置の下面に前記垂直ベース軸20の頂部を位置させて垂直ベース軸20により水平ベース軸30を支持し、前述のように水平ベース軸30の一端に設置された点検手段40の荷重と重量バランスがとれるように、他端側には水平ベース軸用バランスウエイト31が着脱自在に嵌め込むことができるようになっている。そして、前記水平ベース軸30の両側部には、ガイド板32が取り付けられており、当該ガイド板32には、円弧状のガイド穴32aが形成されており、当該ガイド穴32aを通じて水平ベース軸固定ボルト32bを垂直ベース軸20に対してねじ込むことにより、水平ベース軸30は垂直ベース軸20に固定されるようになっている。この水平ベース軸固定ボルト32bを緩めれば、水平ベース軸固定ボルト32bに対してガイド穴32aがスライド可能となってガイド板32が回転可能となり、ガイド板32が回転することにより、垂直ベース軸20に対して水平ベース軸30が回動可能となる。そして、水平ベース軸30を適度な角度まで回動させて水平ベース軸固定ボルト32bをねじ込めば、その適度な角度で水平ベース軸30が固定されるようになっている。もちろん、水平ベース軸固定ボルト32bを取り外し、その以外の蝶番部材等を取り外せば、垂直ベース軸20から水平ベース軸30を取り外すことが可能となる。
【0016】
また、水平ベース軸の下面には、手巻きウインチ33が取り付けられ、ワイヤー33aが巻き付けられており、手巻きウインチ33を操作してワイヤー33aを巻き取り又は巻き戻しすることにより、後述する垂直ロッド41が昇降可能になっている。33bは手巻きウインチ33を操作するハンドルである。
【0017】
前記点検手段40は、その枠組みは前記の垂直ロッド41と水平ロッド45により構成され、いずれも軽量化を図るために樹脂製のものを採用している。
【0018】
垂直ロッド41は、
図5(モニター50及び載置台21は図示を省略)に示すように、軸継手42により着脱可能に連結されている。すなわち、軸継手42は、垂直ロッド41が貫通する垂直軸42aと水平ベース軸30が嵌め込み可能な水平結合穴を有する水平軸42bとからなるT字型の形態をなす樹脂製のもので、水平ベース軸30の一端が前記水平結合穴に嵌め込まれてボルト42cにより軸継手42に着脱可能に連結されている。垂直軸42aにはボルト42dが螺合されており、ボルト42dをねじ込むことにより垂直貫通穴に貫通されている垂直ロッド41を固定でき、緩めれば垂直ロッド41は垂直軸42aに対してスライド可能となる。また、垂直ロッド41は、それ自体で伸縮可能に構成されている。すなわち、振り出し竿式の径の異なる2本のロッドからなり、大径の方のロッド(図において上方のロッド)に小径の方のロッド(図において下方のロッド)をしまい込むことができるにようにスライド可能に構成され、大径の方のロッドの下端に小径の方のロッドのスライドを停止させる固定具42eが取り付けられていて、ボルト42fをねじ込めばスライドが停止し、ボルト42fを緩めればスライド可能になっている。また、垂直ロッド41の上端には垂直ロッド回転操作ハンドル42gが取り付けられており、垂直ロッド41をその長手方向を軸として回転できるように構成されている。この回転により、後述する水平ロッド45の方向を変化させることができる。また、この垂直ロッド回転操作ハンドル42gは、軸継手42から垂直ロッド42が抜け出て落下してしまうことを防止するストッパの役割を兼用する。なお、垂直ロッド回転操作ハンドル42gを操作することができない場合には、端部に垂直ロッド41又は垂直ロッド回転操作ハンドル42gを把持する部材が取り付けられた適宜の棒材を使用してもよい。そして、垂直ロッド41に取り付けられている軸継手42の垂直軸42aの下部には、回転する円盤状のクリール42hが取り付けられており、前述のワイヤー33aが掛けられており、ワイヤー33aの方向が水平方向から垂直方向に変化して手巻きウインチ33の回転に合わせてスムーズにワイヤー33aの巻き取り及び巻き戻しができるようになっている。
【0019】
そして、垂直ロッド41の下端にはロッド継手43がボルト等により着脱可能に取り付けられている(固定されていてもよい)。このロッド継手43は垂直ロッド41が嵌め込み可能な垂直穴を有する垂直軸43aと水平ロッド45が貫通する貫通穴を有する水平軸43bとからなるT字型の形態をなす樹脂製のものである。そして、垂直軸43aにおいて、前記のクリール42hからワイヤー33aが垂下する位置にワイヤー留め具43cが設けられており、このワイヤー留め具43cにワイヤー33aの端部を固定することにより、手巻きウインチ33の回転に合わせて垂直ロッド41を昇降させることができる。
【0020】
ロッド継手43の水平軸43bの貫通穴には、
図6に示すように、水平ロッド45が貫通され、水平軸43bに設けたボルト43dをねじ込むことにより、水平軸43bに対して水平ロッド45が固定され、ボルト43dを緩めると長さ方向を軸として回転可能となると共に長さ方向にスライド可能となり、水平軸43bから水平ロッド45を引き抜くことが可能となる。この水平ロッド45は、それ自体で伸縮可能に構成されている。すなわち、振り出し竿式の径の異なる2本のロッドからなり、大径の方のロッド(図において左側のロッド)に小径の方のロッド(図において右側のロッド)をしまい込むことができるにようにスライド可能に構成され、大径の方のロッドに対して適宜の位置で小径の方のロッドを回転させれば、その位置で小径の方のロッドのスライドが停止し、逆に回転させればスライドが可能になっている。そして、水平ロッド45の先端部(図において右側)には、撮影機46が着脱自在に取り付けられており、図示を省略するが、当該撮影機46は、前述したように、前記垂直ベース軸20に取り付けられた載置台21に載置されているモニター50とケーブル接続されており、撮影機46により撮影された撮影画像がモニター50に映し出されるようになっている。もちろん、映し出された撮影画像はモニター50を備えるコンピュータに記録保存できるようになっている。また、水平ロッド45の後端部(図において左側)には、水平ロッド45に取り付けた撮影機46の荷重及び水平ロッド45を伸長したことによる荷重との釣り合いがとれるように、水平ロッド用バランスウエイト47がボルト47aにより着脱自在に取り付けられている。
【0021】
図7は組立後の橋梁点検装置Aの完成図(モニター50及び載置台21は図示を省略)である。このように組み立てることにより、撮影機46を橋梁Bの下面側に位置させることができ、かつ、垂直ロッド回転操作ハンドル42gを回転させることによりロッド継手43を中心にして撮影機46が円を描くように移動させることができるため、撮影機46により橋梁Bの下面を幅広く映し出すことが可能となり、また、台車10を橋梁Bの長さ方向、すなわち欄干Cに沿って移動させることにより、全方位的に橋梁Bの下面を映し出すことができるので、橋梁Bの下面に配置されている配管等の状況の全てを網羅的に点検することが可能となる。
【0022】
この橋梁点検装置Aの橋梁Bに対する設置方法についてその概要を説明すると、まず、台車10に垂直ベース軸20及び水平ベース軸30を取り付け、水平ベース軸30に垂直ロッド41を取り付ける。その際、垂直ロッド41は最も短く収縮させておくと共に軸継手42の下端に固定具42eが位置するように垂直ロッド41全体を上方に移動させておく。そして、垂直ロッド41の下端に水平ロッド45を欄干Cと平行になるように取り付け、水平ロッド45に撮影機46及び水平ロッド用バランスウエイト47を取り付ける。このように構成すれば、水平ベース軸30を上方に回動させて固定し、台車10を欄干C側に移動させれば、水平ベース軸30が垂直ロッド及び水平ロッド45を取り付けたままで、すなわち点検手段全体40が欄干Cを乗り越えることが可能となり、かつ、前述のように点検手段全体40が軽量であるため、乗り越え作業がさらに容易になる。そして、水平ベース軸30を水平位置に戻して固定し、垂直ロッド41を伸長すると共に下降させ、垂直ロッド41を回転させれば、
図1に示すように、水平ロッド45の先端に取り付けた撮影機46が橋梁Bの下面に位置させることが可能となる。
【0023】
なお、本実施例において使用される各種のボルト類は、ボルト頭部に把持部、例えば周縁に凹凸を形成した握り部を備えたものやコックを備えたものが使用され、全て特別な工具を必要とせずにねじ込んだり緩めたりできるようにしており、それによって橋梁点検装置全体が容易に組立及び分解ができるようになっている。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0025】
A………橋梁点検装置
B………橋梁
C………欄干
10……台車
11……ベース部
11a…円形凹溝
11b…ボルト穴
11c…垂直ベース軸固定ボルト
12……ボルト
13……台車用バランスウエイト
20……垂直ベース軸
21……載置台
30……水平ベース軸
31……水平ベース軸用バランスウエイト
32……ガイド板
32a…ガイド穴
32b…水平ベース軸固定ボルト
33……手巻きウインチ
33a…ワイヤー
33b…ハンドル
40……点検手段
41……垂直ロッド
42……軸継手
42a…垂直軸
42b…水平軸
42c…ボルト
42d…ボルト
42e…固定具
42f…ボルト
42g…垂直ロッド回転操作ハンドル
42h…クリール
43……ロッド継手
43a…垂直軸
43b…水平軸
43c…ワイヤー留め具
43d…ボルト
45……水平ロッド
46……撮影機
47……水平ロッド用バランスウエイト
47a…ボルト
50……モニター