(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]従来技術の半導体パッケージの断面図である。
【
図2】[0011]オーバーモールド剤を伴う従来技術の半導体パッケージの断面図である。
【
図3】[0012]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法を使用して製造された、半導体パッケージの断面図である。
【
図4a】[0013]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、半導体パッケージ樹脂組成物が電子部品上に配置される工程の概略断面図である。
【
図4b】[0014]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、半導体パッケージ樹脂組成物の一部分が光で照射される工程の概略断面図である。
【
図4c】[0015]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、電子部品が基板に圧着される工程の概略断面図である。
【
図5a】[0016]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、上に半導体パッケージ樹脂組成物が印刷される支持体が、バンプを備えたウエファー上に積層される工程の概略図である。
【
図5b】[0017]本発明の実施形態による、バンプを備えた、上に第1の半導体パッケージ樹脂組成物が配置されるウエファーの概略図である。
【
図5c】[0018]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、ウエファーが、半導体パッケージ樹脂組成物のBステージ変換に続いて基板に圧着される工程の概略図である。
【
図6】[0019]本発明の実施形態による、半導体パッケージ樹脂組成物が、バンプを備えていない表面上に配置される、電子部品の図である。
【
図7a】[0020]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、半導体パッケージ樹脂組成物が光での照射によってBステージ変換される工程の概略断面図である。
【
図7b】[0021]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、電子部品が基板に圧着される工程の概略断面図である。
【
図7c】[0022]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法を使用して製造された、半導体パッケージの断面図である。
【
図8a】[0023]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、第1の半導体パッケージ樹脂組成物が基板の表面上に配置される工程の概略断面図である。
【
図8b】[0024]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法の、第2の半導体パッケージ樹脂組成物が基板の表面上に配置される工程の概略断面図である。
【
図8c】[0025]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法を使用して製造された、半導体パッケージの断面図である。
【
図9】[0026]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法を使用して製造された、半導体パッケージの断面図である。
【
図10】[0027]本発明の実施形態による半導体パッケージ樹脂組成物の流動性を示すグラフである。
【
図11】[0028]本発明の実施形態による半導体パッケージ樹脂組成物の光硬化性を示すグラフである。
【
図12】[0029]本発明の実施形態による半導体パッケージ製造方法を使用して製造された、半導体パッケージの断面を示す写真である。
【0011】
[詳細な説明]
[0030]本願において、全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなす。終点による数字範囲の詳細説明には、その範囲内に含まれる全ての数が包含される(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)。特に指示しない限り、本明細書で引用された全ての部は重量による。
【0012】
[0031]本発明の半導体パッケージ樹脂組成物で使用するのに好適なエポキシ樹脂類には、脂肪族、脂環式、芳香族、若しくは複素環式単量体又はオリゴマーエポキシ化合物類が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は一般的に、平均で、1分子当たり少なくとも1個の重合可能なエポキシ基を有し、1分子当たり少なくとも1.5個又は少なくとも2個の重合可能なエポキシ基を有してもよい。特定のモードでは、1分子当たり3個又は4個の重合可能なエポキシ基を有する多官能性エポキシ化合物を使用することが可能である。エポキシ化合物は、純化合物であってもよく、又は1分子当たり1個、2個、3個、又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。
【0013】
[0032]上述されるエポキシ化合物類は、任意の種類の主鎖を有してもよく、置換基を含有してもよい。好適な置換基の例には、ハロゲン類、エステル基、エーテル類、スルホン酸基、シロキサン基、ニトロ基、リン酸基等が挙げられるが、これらに限定されない。エポキシ化合物のエポキシ当量値は、一般的に、50〜2000の範囲内で変更することができる。
【0014】
[0033]オリゴマーエポキシ化合物類の例には、末端エポキシ基を有する直鎖オリゴマー類(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ単位を有するオリゴマー類(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、又はペンダントエポキシ基を有するオリゴマー類(例えば、グリシジルメタクリレートオリゴマー若しくはコオリゴマー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
[0034]特定のモードでは、以下の式で表されるグリシジルエーテルモノマーを使用することが可能である。
【化1】
[0035]式中、Rは、nの価数を有するラジカルであり、nは、1〜6の整数である。Rは、芳香族基、脂環式基、脂肪族基、又はこれらの組み合わせであることができる。典型的なエポキシ化合物類には、多価フェノールを過度のエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパン)等のクロロヒドリンと反応させることによって得られる、多価フェノール類のグリシジルエーテル類が挙げられるが、これに限定されない。具体的には、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等を使用することが可能である。
【0016】
[0036]好適な芳香族エポキシ化合物類には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルのジグリシジルエーテル、これらのジグリシジルエーテル類のオリゴマー類、クレゾールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル類(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂類)、及びフェノールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル類(フェノールノボラック型エポキシ樹脂類)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
[0037]例示的な脂環式エポキシ化合物類には、水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物類及び水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物類等、上述される芳香族エポキシ化合物類を水素化することによって得られる化合物類が挙げられるが、これに限定されない。加えて、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等のシクロヘキセンオキシド基、及び3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類、並びにビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートを含有する化合物類を使用することが可能である。
【0018】
[0038]好適な脂肪族エポキシ化合物類には、脂肪族多価アルコール類又はそのアルキレンオキシド付加物のグリシジルエーテル類が挙げられるが、これに限定されない。その例として、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル等に言及することができる。
【0019】
[0039]上述されるエポキシ樹脂類に加えて、ハロゲン化エポキシ樹脂(臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等)又はグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物を使用することが可能である。グリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物類は、エピハロヒドリンの作用によってアミン類をエポキシド化することによって得られるエポキシ化合物類(エポキシ樹脂類)であり、その例には、アミノフェノール型エポキシ樹脂類、トリグリシジルイソシアヌレート類、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタ−キシレンジアミン、及びヘキサグリシジルトリアミノベンゼンが挙げられる。
【0020】
[0040]アミノフェノール型エポキシ樹脂類は、当業者に既知の方法を使用してアミノフェノール類をエポキシ化することによって得られる。アミノフェノール類の例には、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−p−クレゾール、3−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、及び6−アミノ−m−クレゾール等のアミノフェノール類並びにアミノクレゾール類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
[0041]使用するのに好適な他のエポキシ樹脂類には、1つ以上の共重合可能なビニル化合物類を伴う、グリシドールのアクリル酸エステル類(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート等)のコポリマー類が挙げられる。この種類のコポリマーには、スチレン−グリシジルメタクリレート及びメチルメタクリレート−グリシジルアクリレートコポリマーが挙げられる。加えて、また、シリコン原子がエポキシアルキル基で置換されているポリジメチルシロキサンである、エポキシ−官能性シリコンを使用することも可能である。
【0022】
[0042]半導体パッケージ樹脂組成物の最終的な硬化の後の特徴の観点から、上述されるエポキシ樹脂類のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はアミノフェノール型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。加えて、半導体パッケージ樹脂組成物の粘度と最終的な硬化の後の特徴との間のバランスを取る観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂の両方、又はビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂にアミノフェノール型エポキシ樹脂を更に添加することによって得られる3成分系を使用することが好ましい。具体的に、両方とも市販されている、製品ZX1059(Nippon Steel Chemical Co.,Ltd.によって製造される、ビスフェノールAとビスフェノールFとの混合物)又はアミノフェノール型エポキシjER(登録商標)630(Mitsubishi Chemical Corporationによって製造される)を使用することが可能である。
【0023】
[0043]エポキシ樹脂のブレンド量は、一般的に、半導体パッケージ樹脂組成物の総量に対して、50質量%以下、幾つかのモードでは10〜40質量%である。
【0024】
[0044]本発明の半導体パッケージ樹脂組成物に含有される硬化剤は、エポキシ化合物を熱硬化させるために一般的に使用される硬化剤であることができる。その具体的な例には、アミノ化合物類、酸無水物化合物類、アミド化合物類、フェノール化合物類、BF3−モノエタノールアミン等のトリフッ化ホウ素錯体化合物類、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、アミノジヒドラジド等のヒドラジド類、テトラメチルグアニジン等のグアニジン類、及びジシアンジアミドが挙げられるが、これらに限定されない。硬化剤は、単一の硬化剤又は異なる硬化剤の混合物であることができる。粘度の観点から、酸無水物化合物が好ましい。
【0025】
[0045]非芳香族酸無水物化合物を使用することが好適である。例えば、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、1−メチルナジック酸無水物、5−メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物等を使用することが好適である。
【0026】
[0046]これらのうち、化合物中に二重結合を有さない、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、又はノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物が、特に好適である。4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物とヘキサヒドロフタル酸無水物(New Japan Chemical Co.,Ltd.によって製造されるRikacid MH−700(4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物/ヘキサヒドロフタル酸無水物比=70/30)等)との混合物は、この混合物を含有する半導体パッケージ樹脂組成物が低粘度であり、ほとんど結晶化しないため、特に好適である。
【0027】
[0047]例示的なフェノールベースの硬化剤には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン、テルペン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン類、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、及びビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類、テルペンジフェノール類等のフェノール類を原材料として使用して得られるノボラック樹脂類等のノボラック樹脂類、キシリレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂類、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラック樹脂類、ビフェニル骨格を有するフェノールノボラック樹脂類、フルオレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂類、及びフラン骨格を有するフェノールノボラック樹脂類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
[0048]例示的なアミノベースの硬化剤には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はテトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン類、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類、ジアミノジフェニルスルホン、メタ−キシレンジアミン、及び芳香族アミン類とアルデヒド類との縮合生成物類、ポリアミドアミン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
[0049]得られる硬化生成物の特徴の観点から、硬化剤のブレンド量は、エポキシ樹脂のブレンド量とほぼ等しい。広くは、硬化剤のブレンド量は、半導体パッケージ樹脂組成物の総重量に対して5〜15質量%である。
【0030】
[0050]無機粒子は、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物中に実質的に均質に分散される。無機粒子は、半導体パッケージ樹脂組成物に高弾性率及び低熱膨張係数を付与するために使用され、単一の種類の無機粒子又は2つ以上の種類の無機粒子の組み合わせを使用することが可能である。広くは、これらの無機粒子は、シリカ(溶融シリカ、結晶シリカ)、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、若しくはチタニア等の粉末、又はこれらの粉末を球状にすることによって得られるビーズ、ガラス繊維等であることができる。単一の種類の無機粒子又は2つ以上の種類のこれらの無機粒子の組み合わせを使用することができる。
【0031】
[0051]上述される無機粒子のうち、溶融シリカは、熱膨張特性の観点から特に好適であり、結晶シリカ及びアルミナは、高熱伝導率を有するという観点から特に好適である。加えて、有機ゾルから無機粒子としてシリカ粒子を生成する際、その粒子サイズ分布が狭いため、粒子を樹脂組成物中に効果的に分布させることが可能である。更に、無機粒子の一次粒子の形状は特に重要ではないが、流動して微細な間隙に侵入することができるという観点から、球状の粒子が好ましい。
【0032】
[0052]加えて、半導体パッケージ樹脂組成物の流動性の観点から、無機粒子は、小さい平均粒径及び狭い粒子サイズ分布を有する。無機粒子は、半導体パッケージ樹脂組成物が狭い間隙に押し込まれる際に積み重なる傾向があるため、本発明で使用される無機粒子は、10μm以下の平均粒径を有する。一実施形態では、無機粒子の平均粒径は、具体的には5μm以下、より具体的には3μm以下、及び更により具体的には2μm以下である。しかしながら、無機粒子の平均粒径の下限は特に制限されていないが、流動性の観点から、平均粒径は、シリカ粒子の場合では0.05μm以上、及びアルミナ粒子の場合では0.1μm以上である。一実施形態では、半導体パッケージ樹脂組成物中の無機粒子の粒径は、「平均粒径±(平均粒径×0.3)」(例えば、1±0.3μm)の範囲内である。電子顕微鏡又はレーザー散乱装置を用いて、無機粒子の平均粒径及び粒子サイズ分布を測定することができる。更に、無機粒子は、樹脂組成物中への粒子の分散性を損なわない程度に表面処理されてもよい。
【0033】
[0053]ゾル−ゲル方法によって調製され、狭い粒子サイズ分布を有するシリカ粒子は、無機粒子として特に好適であり、ゾル−ゲル方法によって調製され、狭い粒子サイズ分布(平均粒径±(平均粒径×0.3))を有し、0.8〜1.8μmの平均粒径を有する溶融シリカは、更により好適である。そのような無機粒子は、例えば、シリカKE−S150及びKE−S10(Nippon Shokubai Co.,Ltd.によって、ゾル−ゲル方法を使用して製造される)、シリカHPS−1000(Toagosei Co.,Ltd.によって、ゾル−ゲル方法によって製造される)、又はシリカSS−07、SS−10、及びSS−14(Tokuyama Corporationによって、ゾル−ゲル方法によって製造される)として市販されている。
【0034】
[0054]本発明の半導体パッケージ樹脂組成物は、光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子を含有する。光(例えば、紫外線及び/又は可視光)に暴露することによって、短期間(数秒間から数十秒間)照射することによって、樹脂組成物の流動性を調節すること、及びBステージ変換を実施する(つまり、加熱される際に軟化するが融解しないように、組成物の十分な硬化を実施する)ことが可能である。
【0035】
[0055]広くは、これらのナノ粒子は、シリカ(例えば、溶融シリカ又は結晶シリカ)、アルミナ、ケイ酸化カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、若しくはチタニア等の粉末、又はこれらの粉末を球状にすることによって得られるビーズ、ガラス繊維等であることができる。単一の種類の無機粒子又は2つ以上の種類のこれらの無機粒子の組み合わせを使用することができる。
【0036】
[0056]ナノ粒子のうち、シリカ粒子は、化学安定性の観点から特に好適であり、アルミナは、熱伝導率の観点から好ましい。加えて、有機ゾルからナノ粒子としてシリカ粒子を生成する際、その粒子サイズ分布が狭いため、粒子を樹脂組成物中に効果的に分布させることが可能である。更に、ナノ粒子の形状は特に重要ではないが、球状の粒子は、流動して微細な間隙に侵入することができるという観点から特に好適である。
【0037】
[0057]本発明の組成物で使用するのに好適なナノ粒子は、1nm〜1μm未満の範囲内の平均粒径を有する。光重合可能な官能基の反応性を向上させるために、ナノ粒子の平均粒径は、好ましくは小さい。一般的に、ナノ粒子の平均粒径は、5nm〜500nm、具体的には10nm〜300nm、及びより具体的には10nm〜100nmであることができる。
【0038】
[0058]光によって重合することができる官能基には、CH
2=CH−C(=O)−O−基、CH
2=CCH
3−C(=O)−O−基、グリシジル基、ビニル基等が挙げられる。
【0039】
[0059]光重合可能な官能基を含有するシランは、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、又は3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、若しくは3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレートシランであることができる。これらは、化学結合(共有結合若しくはイオン結合)又は強力な物理結合のいずれかによって、ナノ粒子の表面に結合することができる。
【0040】
方法
[0060]例えば、以下の方法を使用して、光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子を調製することができる。
【0041】
[0061]液体は、光重合可能な官能基を含有するシランを溶媒に添加し、次いでこの液体をコロイドシリカに撹拌しながら添加することによって調製される。撹拌した後、高温で10〜20時間加熱することによって、表面修飾ナノ粒子を含有する反応混合物が得られる。
【0042】
[0062]反応混合物は次いで、室温に冷却され、ロータリーエバポレーターの手段によって、混合物から水が除去される。次に、溶媒が添加され、蒸発器の手段によって、いかなる残りの水も除去される(この工程は、数回繰り返されてもよい)。次いで、その中の固体内容物を調節するために、反応混合物に溶媒が添加される。反応混合物分散は次いで、溶媒中の堆積物を除去し、光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子を含有する分散を得るために、1.0μmのガラスマイクロファイバーフィルタを通してフィルタ処理される。
【0043】
[0063]半導体パッケージ樹脂組成物中の無機粒子及び光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子の量は、得られる硬化物質の熱膨張係数の観点から、半導体パッケージ樹脂組成物の全体量に対して60質量%以上であり、樹脂組成物の粘度の観点から、半導体パッケージ樹脂組成物の全体量に対して90質量%以下である。無機粒子のブレンド量がこの範囲内である場合、一般的に、35ppm以下の熱膨張係数を有する硬化生成物を得ることが可能であり、また、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物を半導体パッケージ樹脂組成物として使用することも可能である。
【0044】
[0064]光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子の量は、ナノ粒子及び無機粒子の総量に対して、0.1質量%以上かつ10質量%以下である。Bステージ変換が実施される場合、樹脂組成物の所望の粘度(流動性)を得るために、添加されるナノ粒子の量が調節される。光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子の量が少なすぎる場合、光で照射される際にさえ、樹脂組成物の粘度(流動性)を調節することができず、この量が多すぎる場合、完全硬化が生じ、光での照射に続く熱硬化中に硬化収縮が生じ、硬化生成物内に亀裂が現れる。
【0045】
[0065]本発明の半導体パッケージ樹脂組成物に光重合反応開始剤を添加することは、特に好適である。光重合反応開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ジアセチル、エオシン、チオニン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルベンゾインホルメート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロペン、ジクロロチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、フェニルジスルフィド−2−ニトロソフルオレン、ブチロイン、アニソイソエチル(anisoisoethyl)エーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられるが、これらに限定されない。その1つ以上の種類が使用されてもよい。
【0046】
[0066]半導体パッケージ樹脂組成物に有機チタン化合物が添加されてもよい。有機チタン化合物は、化合物中に加水分解性基又は疎水基を有してもよい。そのような有機チタン化合物類は、一般的に、チタンカップリング剤として知られている。有機チタン化合物は、無機粒子の表面上の−OH基と反応し、加水分解によってアルコールを排除することによって、例えば、チタンとの共有結合を形成する。理論に束縛されるものではないが、これは、無機粒子の表面を有機化し、これは、エポキシ樹脂中の無機粒子の良好な分散性をもたらすと考えられる。
【0047】
[0067]有機化合物中の加水分解性基は、例えば、R
1O−、−O−CH
2−CH
2−O−、又は−O−CH
2−C(=O)−O−等であることができる。ここで、R
1は、置換された、若しくは非置換の直鎖又は分枝鎖アルキル基、アルケニル基、アリール基、あるいはアラルキル基であることができる。R
1は、無機粒子との反応の後に排除される(例えば、アルコールを形成することによって排除される)ため、R1は、排除の後に幾らか低い沸点を有する基であることが好ましい。したがって、特に好適なR
1は、少数の炭素原子を有する基、及び具体的には、1〜10個の炭素原子(及びより具体的には1〜8個の炭素原子)を有する、置換された、若しくは非置換の直鎖又は分枝鎖アルキル基である。
【0048】
[0068]加えて、有機チタン化合物中の疎水基は、−O−C(=O)−R
2、−O−S(=O)
2−Ph−R
2、−O−P(=O)(−OH)−O−P(=O)−(OR
2)
2、−O−P(=O)−(OR
2)
2、HO−P−(OR
2)
2、−O−(CH
2)m−NH−(CH
2)n−NH
2等であることができる。ここで、Phは、フェニル基を示し、m及びnはそれぞれ、1〜10の整数であり、R
2は、置換された、若しくは非置換の直鎖又は分枝鎖アルキル基、アルケニル基、アリール基、あるいはアラルキル基であることができる。無機粒子の表面が被覆される効率を改善するために、R
2は、具体的には、多くの炭素原子を有する基、及びより具体的には、8〜30個の炭素原子を有する、置換された、若しくは非置換の直鎖又は分枝鎖アルキル基である。
【0049】
[0069]これらのうち、−O−C(=O)−R
2、HO−P−(OR
2)
2、及び−O−(CH
2)m−NH−(CH
2)n−NH
2は、半導体パッケージ樹脂組成物中の無機粒子との反応性、及び半導体パッケージ樹脂組成物の低減した粘度の観点から、特に好適な疎水基である。流動性の観点から、−O−C(=O)−R
2又はHO−P−(OR
2)
2がより好適であり、チタンカップリング剤の安定性の観点から、−O−C(=O)−R
2がより好適である。ここで、R
2は、8〜30個の炭素原子、及び好ましくは10〜30個の炭素原子を有する、置換された、若しくは非置換の直鎖又は分枝鎖アルキル基である。
【0050】
[0070]具体的に、チタンカップリング剤は、例えば、テトラアルコキシチタン(テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、又はテトラブトキシチタン等)、テトラ(エチレングリコール)チタネート、ジ−n−ブチルビス(トリエタノールアミン)チタネート、ジ−イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、イソプロポキシチタンオクタノエート、イソプロピルチタントリメタクリレート、イソプロピルチタントリアクリレート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ブチル、メチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルジ(ジラウリルホスファイト)チタネート、ジメタクリルオキシアセテートチタネート、ジアクリルオキシアセテートチタネート、ジ(ジオクチルホスファイト)エチレンチタネート、イソプロポキシチタントリ(ジオクチルホスフェート)、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等であることができる。
【0051】
[0071]Ajinomoto Fine−Techno Co.,Inc.によって販売される、Plenact(登録商標)シリーズのKRTTS(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(CH
3)
2CHOTi[OCO(CH
2)
14CH(CH
3)
2]
3)、KR 46B(テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート)、KR 55(テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート)、KR 41B(テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート)、KR 38S(イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート)、KR 138S(ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート)、KR 238S(トリス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート)、338X(イソプロピルジオクチルピロホスフェートチタネート)、KR 44(イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート)、KR 9SA(イソプロピルトリス(ドデシルベンジルフェニル)チタネート等を使用することができる。Plenact KR TTS、KR 46B、及びKR 9SAは、好適であり、Plenact KR TTS及びKR 46Bは、より好適である。
【0052】
[0072]半導体パッケージ樹脂組成物の粘度を低減するという観点から、有機チタン化合物のブレンド量は、半導体パッケージ樹脂組成物の総量に対して1質量%以上、具体的には2質量%以上、及びより具体的には2.5質量%以上である。しかしながら、得られる硬化生成物の低下したガラス転移温度及び弾性率の観点から、有機チタン化合物のブレンド量は、半導体パッケージ樹脂組成物の総量に対して5質量%以下、具体的には4質量%以下、及びより具体的には3質量%以下である。
【0053】
[0073]有機リン酸化合物類の中で、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物で使用することができるリン酸エステル類には、リン酸及びアルコールを脱水縮合させることによって得られるエステル類が挙げられるが、これに限定されない。リン酸エステルを上述の有機チタン化合物に更に添加することによって、リン酸エステルは、チタンとの配位結合等の弱結合を形成する。結果として、有機チタン化合物によって有機化される無機粒子の表面上の有機層は、深さが増す。
【0054】
[0074]具体的に、リン酸エステルは、リン酸(O−P(OH)
3)中の3個の水素原子の全て又はそのうちの幾つかが有機基によって置換される構造を有する。1個、2個、及び3個の水素原子が置換される化合物は、それぞれ、リン酸モノエステル(P(OZ)
3)、リン酸ジエステル(HOP(OZ)
2)、及びリン酸トリエステル((HO)
2POZ)として既知である。ここで、Zは、10〜50個の炭素原子を有する、置換された、若しくは非置換のアルキル基、フェニル基、ポリエステル、又はポリカプロラクトン等を示す。無機粒子の表面上に形成される有機層の厚さを増加させるという観点から、Zは特に、高分子量を有する。具体的には200〜20,000の重量平均分子量、及びより具体的には300〜10,000の重量平均分子量である。
【0055】
[0075]例えば、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスファイト、ジオクチルホスフェート、ジフェニルホスフェート等を、上述される化合物として使用することができる。好適な市販される製品には、BYK Chemicals Japanによって製造されるDisperbyk 111が挙げられるが、これに限定されない。
【0056】
[0076]上述されるリン酸エステル類のうち、リン酸ジエステル類は、特に好適であり、Zがポリカプロラクトンであるリン酸ジエステル類は、無機粒子の分散の観点からより特に好適である。
【0057】
[0077]半導体パッケージ樹脂組成物の粘度を低減するという観点から、リン酸エステルのブレンド量は、半導体パッケージ樹脂組成物の総量に対して少なくとも0.5質量%、具体的には少なくとも1質量%、及びより具体的には少なくとも1.2質量%である。しかしながら、得られる硬化生成物の電気特性(絶縁特性)の低減をもたらす可能性の観点から、リン酸エステルのブレンド量は、半導体パッケージ樹脂組成物の総量に対して3質量%以下、具体的には2質量%以下、及びより具体的には1.8質量%以下である。
【0058】
[0078]上述されるように、有機チタン化合物をリン酸エステルと組み合わせることによって、エポキシ樹脂中の無機粒子の分散性を向上させること、及び得られる半導体パッケージ樹脂組成物の流動性を向上させることが可能である。具体的には、R
3OTi(OCOR
4H)
3又は(R
3O)
4Ti[HOP(OR
4)
2]で表される化学構造(R
3は、3〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、R
4は、10〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を示す)を有する有機チタン化合物と、200〜20,000の重量平均分子量を有し、HOP(OZ)
2で表される化学構造(Zは、10〜50個の炭素原子を有する、置換された、若しくは非置換のアルキル基、フェニル基、ポリエステル、又はポリカプロラクトンを示す)を有するリン酸ジエステルとの組み合わせは、特に好適である。
【0059】
[0079]上述される成分に加えて、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物はまた、反応促進剤も含有してもよい。ここで、エポキシ樹脂と硬化剤との間の反応を促進するために使用される反応促進剤は、シクロアミジン化合物、第三級アミン、第四級アンモニウム塩、イミダゾール、ルイス酸として作用する有機金属化合物、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン等のリンベースの化合物、又はそれらの誘導体若しくはテトラフェニルホウ素塩等の当業者に既知の反応促進剤であることができる。単一の反応促進剤又はそれらの2つ以上の種類の組み合わせを使用することができる。更に、反応促進効果が達成される限り、反応促進剤のブレンド量に特に制限はない。
【0060】
[0080]加えて、半導体デバイスの耐湿性及び高温暴露特徴を改善するために、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物にイオン捕獲剤をブレンドすることが可能である。イオン捕獲剤に特に制限はなく、当業者に既知の任意のイオン捕獲剤を使用することが可能である。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、若しくはビスマス等の元素のハイドロタルサイト又は含水酸化物を使用することが可能である。
【0061】
[0081]更に、本発明の目的を損なわないレベルで、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤、染料、カーボンブラック等の着色剤、レベリング剤、消泡剤、及び他の無機充填剤(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸亜鉛、又はモリブデン酸亜鉛等の難燃効果を有する無機充填剤)等を、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物にブレンドすることができる。加えて、赤リン、リン酸エステル類、メラミン、メラミン誘導体類、トリアジン環を有する化合物類、シアヌル酸誘導体類又はイソシアヌル酸誘導体類等の窒素含有化合物類、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物類、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、及びフェロセン等の金属化合物類、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、及び五酸化アンチモン等の酸化アンチモン類、並びに臭素化エポキシ樹脂類等の難燃剤等もまた、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物にブレンドすることができる。
【0062】
[0082]上述される成分をブレンドし、均一に分散させることができる限り、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物は、任意の種類の製造方法を使用して製造されてもよい。一般的な製造方法は、原材料の指定されるブレンド量を、混合ローラー、押出成形機、プラネタリミキサー等の中で、これらの成分を一緒に、又は別個に、撹拌し、溶解させ、ブレンドし、分散させ、必要であれば加熱及び冷却し、次いで冷却し、必要であれば変形及び破砕することである。更に、また、半導体パッケージ樹脂組成物を得るために、最初に無機粒子を除く全ての成分の混合物を調製し、次いでこの混合物に無機粒子を添加することも可能である。加えて、また、要求される場合には、半導体パッケージ樹脂組成物を、モールド条件に適切な寸法及び重量を有するタブレットに形成することも可能である。
【0063】
[0083]本発明の半導体パッケージ樹脂組成物は、Bステージ変換をもたらす(つまり、加熱される際に軟化するが融解しないように、組成物の十分な硬化を実施する)ように、光重合によって十分に硬化することができる。
【0064】
[0084]一実施形態では、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物の最終的な硬化生成物は、10〜35ppmの熱膨張係数を有する。シリコンは、低熱膨張係数を有するため、半導体を封止する際にもまた低熱膨張係数を有するようにシリコンを封止するために使用される材料に好ましい。熱膨張係数が35ppmを超える場合、熱応力のために生じる亀裂に対する懸念が存在する。更に、熱膨張係数を測定するために、TMA(熱機械分析器)を使用することが可能である。具体的に、Rigaku Corporationによって製造されるTMA 8310熱機械分析装置を用いて、熱膨張係数を測定することが可能である。試料(サイズ:4×5×10mm
3)は、窒素ストリーム中で20℃/分の速度で加熱され、10mNの負荷が適用され、圧縮モードで測定が実施される。
【0065】
[0085]一実施形態では、本発明の半導体パッケージ樹脂組成物の最終的な硬化生成物は、60〜120℃のガラス転移温度(Tg)、及び5〜40GPaの弾性率(動的貯蔵弾性率、E’)を有する。DMA(動的機械分析)装置を使用して、ガラス転移温度及び弾性率を測定することができる。測定の方法は、Rheometric Scientificによって製造される固体分析器(RSA−III)を3点円弧モード(歪み:0.05%、周波数:1Hz)で、及び3℃/分の速度で加熱される試料(サイズ:2×10×35mm
3)を使用することを伴う。
【0066】
[0086]具体的に、上述の立方体試料(サイズ:2×10×35mm
3)を2つの刃縁部(25mm隔てられた)上に定置し、試料の中心部分を押し下げ、それによって試料を変形させるために使用される負荷を測定することによって弾性率(動的貯蔵弾性率)を測定するために、3点円弧方法を使用することが可能である。この場合、歪みは、0.05%の最大値を有する正弦波として印加され、負荷もまた、正弦波(正弦波周波数は、1Hz)として測定される。
【0067】
[0087]半導体パッケージを製造するための方法
実施形態では、本発明は、(1)電子部品及び/又は基板を提供する工程と、(2)エポキシ樹脂、硬化剤、無機粒子、及び光架橋可能な基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子を含有する第1の半導体パッケージ樹脂組成物を、電子部品及び/又は基板上に配置する工程と、(3)第1の半導体パッケージ樹脂組成物の全て又は部分が光で照射される、Bステージ変換工程と、(4)加熱することによって第1の半導体パッケージ樹脂組成物を硬化する工程とを含む、半導体パッケージを製造するための方法を提供する。本発明の半導体パッケージ製造方法は、電子部品を別の電子部品に接続するため、又は電子部品を基板に接続するために使用されてもよい。
【0068】
[0088]本発明の一実施形態では、
図3に示されるように、電子部品(31)及び基板(34)が接続される半導体パッケージが製造される。電子部品(31)及び基板(34)を準備した後、電子部品(31)及び/又は基板(34)の表面上に、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(36)が配置される。樹脂組成物を配置するための方法には、低圧トランスファー成形、射出成形、圧縮成形等が挙げられる。加えて、分注方法、鋳造方法、印刷方法等を使用することが可能である。充填特性の観点から、低圧条件下で成形することを可能にする成形方法を使用することが特に好適である。
【0069】
[0089]第1の半導体パッケージ樹脂組成物(36)が、基板(34)と電子部品(31)との間の空間、及び隣接するバンプ(33)間の空間に配置される際、充填される樹脂組成物(36)の粘度は低く、樹脂組成物(36)が基板(34)と電子部品(31)との間の空間の外に流れることを可能にする。しかしながら、樹脂組成物(36)の不必要な流出は、基板上の他の要素に悪影響を及ぼす可能性があるため、流出(361)は、光で照射することによってBステージ変換される。光は、基板(34)と電子部品(31)との間に位置する樹脂組成物には到達しないため、この空間内では、Bステージ変換は生じない。加えて、Bステージ変換された流出(361)は、ダムとしての機能を果たし、更なる流出を防止する。
【0070】
[0090]照射に使用される光は、紫外線又は可視光等、樹脂組成物の光重合をもたらすことができ、任意の波長領域の光であることができる。光源は、低圧、中圧、又は高圧水銀蒸気ランプ、レーザー、キセノンフラッシュランプ等であることができる。
【0071】
[0091]最終的な硬化は、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(36)を所定の条件下(即ち、時間及び温度)で加熱することによって実施される。流出(361)もまた、硬化される。
【0072】
[0092]最終的な硬化は一般的に、120℃以上かつ200℃以下の温度で10分間〜3時間の期間加熱することによって実施される。この工程中、エポキシ樹脂中のグリシジル基は、硬化剤と反応する。この種類の硬化生成物は、三次元的に架橋された化学構造を有する。
【0073】
[0093]
図4aに示されるように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(46)を電子部品(41)又は基板上に配置する工程は、電子部品(41)上のバンプ(43)間の空間を充填するように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(46)を、バンプ(43)を備えた電子部品(41)の表面上に配置することによって実施することができる。
【0074】
[0094]加えて、
図5aに示されるように、上に第1の半導体パッケージ樹脂組成物(56)が印刷される支持体(57)、例えば、剥離フィルム又は剥離紙を、バンプ(53)を備えた個々に分割された電子部品(51)の表面上に積層することが可能である。また、
図5bに示されるように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(56)を、バンプ(53)を備えた電子部品(51)の表面に転写することも可能である。この配置するための方法では、電子部品(51)は、透明な支持体(57)と共に積層され、支持体側面は、樹脂組成物(56)をBステージ変換させ、流動性を排除するために、光で照射され、次いで支持体(57)を電子部品(51)から引き剥がすことができる。配置するためにこの種類の方法を使用することによって、樹脂組成物を個々に分割された電子部品上に容易に配置することができる。
【0075】
[0095]電子部品(51)は、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(56)の硬化を更に促進するために、オーブン等の装置を使用して加熱されるが、反応は、最終的な硬化(ゲル化)が生じる前に停止される。このようにして、
図5cに示されるように、電子部品(51)であって、バンプ(53)を備えた電子部品の表面上に形成されたその上の樹脂組成物(56)が硬化されている、電子部品(51)を基板(54)に圧着することによって、半導体パッケージ(500)を製造することが可能である。
【0076】
[0096]更に、
図6に示されるように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物を電子部品又は基板上に配置する工程を、バンプ(63)を備えていない電子部品(61)の表面に第1の半導体パッケージ樹脂組成物(66)を滴下で追加し、次いでスピンコーティングすることによって実施することができる。この半導体パッケージ樹脂組成物にセラミック充填剤(シリカ、アルミナ等)を添加することによって、熱伝導性樹脂組成物を得て、電子部品によって生成される熱を外に消散することが可能である。
【0077】
[0097]一実施形態では、電子部品及び/又は基板上に配置される第1の半導体パッケージ樹脂組成物を光で照射する工程は、
図3に示されるように、流出(361)を光で照射する上述の工程であることができる。別の実施形態では、また、第1の半導体パッケージ樹脂を光で照射することは、
図2に示されるように、樹脂組成物(24)をオーバーコーティング剤として電子部品(21)及び基板(26)上に配置し、次いで樹脂組成物(26)全体を光で照射することによっても実施することができる。
【0078】
[0098]加えて、
図4aに示されるように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(46)を電子部品(41)上に配置し、
図4bに示されるように、バンプ(43)が光に暴露されないようにマスク(49)を定置し、次いで第1の半導体パッケージ樹脂組成物(46)を光(48)で照射することが可能である。マスクされたバンプ(43)の樹脂組成物は、Bステージ変換されず、流体のままであるため、
図4cに示されるように、基板(44)上に配置される際、電極(441)と基板(44)の表面上のバンプ(43)との間の良好な電気的接触が得られる。
【0079】
[0099]更に、
図7aに示されるように、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(76)を基板(74)上に配置し、基板(74)の表面上の電極(741)が光に暴露されないようにマスク(79)を位置付け、次いで第1の半導体パッケージ樹脂組成物(76)を光(78)で照射することが可能である。マスクされた電極(741)の樹脂組成物(761)は、Bステージ変換されず、流体のままであるため、
図7b及び
図7cに示されるように、電子部品(71)上に配置される際、電極(741)と電子部品(71)上のバンプ(73)との間の良好な電気的接触が得られる。
【0080】
[00100]本発明の別の実施形態では、
図8cに示されるような電子部品(81)及び基板(84)が接続される半導体パッケージが製造される。この半導体パッケージ製造方法では、電気的構成要素(81)及び基板(84)は、
図8aに示されるように準備され、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(861)は、基板(84)の表面上に配置される。樹脂組成物(861)を配置するためのこの方法は、上述される様々な方法のうちのいずれかであることができるが、樹脂組成物(861)は、電子部品(81)を包囲するダムとしての機能を果たすように配置される。
【0081】
[00101]次に、樹脂組成物(861)は、光(88)で照射されることによってBステージ変換され、次いで、
図8bに示されるように、第2の半導体パッケージ樹脂組成物(862)が基板(84)の表面上に配置される。また、第2の半導体パッケージ樹脂組成物(862)は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機粒子、及び光架橋可能な基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子も含有する。一実施形態では、第2の半導体パッケージ樹脂組成物(862)は、最終的な硬化の後に第1の半導体パッケージ樹脂組成物とほぼ同一の弾性率、熱膨張係数、及びガラス転移点(Tg)を得るために、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(861)と全く同一の組成物を有する。
【0082】
[00102]次いで、第1の半導体パッケージ樹脂組成物(861)及び第2の半導体パッケージ樹脂組成物(862)は、最終的な硬化をもたらすように同時に加熱され、それによって、
図8cに示される半導体パッケージを製造する。第1の半導体パッケージ樹脂組成物(861)及び第2の半導体パッケージ樹脂組成物(862)は、別個に加熱されてもよいが、最終的な硬化の後にほぼ同一の弾性率、熱膨張係数、及びガラス転移点(Tg)を達成するために、好ましくは同時に加熱される。
【0083】
[00103]本発明の別の実施形態では、
図9に示されるように、基板(94)上に配置される半導体パッケージ樹脂組成物(96)上に蓋(99)を配置することによって得られる半導体パッケージが製造される。半導体パッケージ樹脂組成物(96)は、半導体チップ等の電子部品(91)を包囲するように分注され、基板(94)に実装され、紫外線で照射することによってBステージ変換され、蓋(99)で被覆され、樹脂組成物(96)を蓋(99)に結合するように加熱及び加圧され、硬化される。分注及び紫外線照射工程は、数回実施されてもよく、樹脂壁の高さもまた、十分な高さに増加されてもよい。
【実施例】
【0084】
[00104]本発明について以下の実施例でより具体的に説明するが、本発明の範囲内での多数の修正及び変形が当業者には明らかとなるため、以下の実施例は例示のみを目的としたものである。別段の指定がない限り、以下の実施例で報告される全ての部、百分率、及び比率は、重量を基準としたものである。
【0085】
[00105]半導体パッケージ樹脂組成物の製造で使用される成分を表1に示す。
【表1】
【0086】
[00106]ナノエポキシ20101104を製造するために、最初に、25.73gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(製品名A174、Aldrichによって製造される98%の3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)及び0.5gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル遊離基(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.によって製造される)の5質量%の水溶液を450gの1−メトキシ−2−プロパノールに添加することによって、液体が調製された。液体は次いで、400gのコロイドシリカ(製品名O−40、Nissan Chemical Industries,Ltd.によって製造される、固体含有量40%)に撹拌しながら添加された。10分間撹拌した後、液体を80℃で16時間加熱することによって、表面修飾ナノ粒子を含有する反応混合物が得られた。
【0087】
[00107]反応混合物は、室温に冷却され、次いで、ロータリーエバポレーターを使用して、混合物中の水が除去された。次いで、液体に200gの1−メトキシ−2−プロパノールが添加され、蒸発器を使用して、いかなる残りの水も除去された。この工程を更に2回繰り返すことによって、シリカナノ分散が得られた。固体含有量は、1−メトキシ−2−プロパノールをこのシリカナノ分散に添加することによって、約45重量%に調節された。分散から堆積物を除去するために、1−メトキシ−2−プロパノール中に45重量%のA−174/シリカナノ粒子を含有する分散を得るように、分散を1.0μmのガラスマイクロファイバーフィルタに通した。
【0088】
[00108]ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(製品名ZX1059、Nippon Steel Chemical Co.,Ltd.によって製造される)が、ナノ粒子分散(固体含有量45%)に添加され、均質になるまで撹拌された。次いで、ナノエポキシ20101104(ナノ粒子含有量33%)、光重合可能な官能基を含有するシランで表面処理されたナノ粒子のエポキシ樹脂分散を得るために、ロータリーエバポレーターを使用して、1−メトキシ−2−プロパノール溶媒が完全に除去された。
【0089】
実施例1、比較例A、及び参照例B
[00109]表2に示されるブレンド量を使用して、化学成分がDACミキサー(モデル名AR−250、Thinkyによって製造される)に添加され、室温で3000rpmで撹拌することによってブレンドされ、それによって実施例1、比較例A、及び参照例Bの半導体パッケージ樹脂組成物を得た。
【0090】
【表2】
【0091】
半導体パッケージ樹脂組成物の評価
流動性
[00110]実施例1の半導体パッケージ樹脂組成物の、40μmの間隙によって隔てられた2枚のガラスプレート(上部プレート30×30mm、下部プレート40×40mm)間への侵入の時間及び長さが測定された。ガラスプレートは、100℃の温度のホットプレート上に定置され、半導体パッケージ樹脂組成物が、上部プレートの縁部に適用された。半導体パッケージ樹脂組成物の上部プレートの縁部からの侵入の長さ、及びこの侵入に要した時間が測定され、記録された。結果を
図10に示す。
【0092】
光硬化
[00111]実施例1の半導体パッケージ樹脂組成物は、金属マスクを使用して、50×50mmのプリント基板(Arm Electronics Co.,Ltd.によって製造される)上に印刷された。印刷を実施する際、回路基板上に金属マスクが定置され、回路基板のマスクによって被覆されていない部分上にのみ組成物が印刷された。2つのこれらの印刷された試料が準備され、そのうちの1つは、低圧水銀蒸気ランプを使用して、500Mj/cm
2の紫外線で照射された(試料a)。次いで、両方の試料はオーブンで120℃で60分間加熱され、次いでオーブンから取り出され、写真が撮られた。結果を
図11に示す。
図11に見ることができるように、紫外線で照射された樹脂組成物は、高温で低減した流動性を呈し、印刷中に元の形状を維持した。
【0093】
[00112]実施例1及び参照例Bの半導体パッケージ樹脂組成物がそれぞれ、ガラスプレート(30×30mm)に適用され、その上にガラスプレート(6×6mm)が上方から定置された。ガラスプレートは次いで、低圧水銀蒸気ランプを使用して、500Mj/cm
2の紫外線で照射され、次いで250℃のホットプレート上で30秒間加熱された。硬化の後、実施例1の試料中には外部亀裂が見られなかったが、参照例Bの試料は、紫外線で照射されることによって過度に硬化されたため、樹脂中に亀裂が生じた。
【0094】
最終的な硬化の後のTg、弾性率、及び熱膨張係数
[00113]UVを伴う実施例1の試料は、実施例1の半導体パッケージ樹脂組成物を、低圧水銀蒸気ランプを使用して、500Mj/cm
2の紫外線で照射し、次いで165℃で2時間の最終的な硬化を実施することによって準備された。UVを伴わない、実施例1を使用する別の試料は、実施例1の半導体パッケージ樹脂組成物を、紫外線で照射することなく、165℃で2時間、最終的に硬化させることによって準備された。UVを伴う、比較例Aを使用する更に別の試料は、比較例Aの半導体パッケージ樹脂組成物を、低圧水銀蒸気ランプを使用して、500Mj/cm
2の紫外線で照射し、次いで165℃で2時間の最終的な硬化を実施することによって準備された。これらの試料のガラス転移温度(Tg)は、DMA方法及び25℃での弾性率を使用して測定された。
【0095】
[00114]DMA方法を使用するTg測定は、Rheometric Scientificによって製造される固体分析器(RSA−III)の3点円弧モード(歪み:0.05%、周波数:1Hz)での使用を伴う。試料のサイズは、2×10×35mm
3であり、試料は、3℃/分の速度で加熱された。具体的な弾性率測定は、3点円弧方法を使用し、上述の立方体試料(サイズ:2×10×35mm
3)を2つの刃縁部(25mm隔てられた)上に定置し、試料の中心部分を押し下げ、それによって試料を変形させるために使用された負荷を測定することを伴った。この場合、歪みは、0.05%の最大値を有する正弦波として適用され、負荷もまた、正弦波として測定された(正弦波の周波数は、1Hzであった)。測定結果を表3に示す。
【表3】
【0096】
[00115]UVを伴う、実施例1を使用する試料、及びUVを伴わない、実施例1を使用する試料は、記載されるものと同一の方法で準備された。それらのガラス転移温度(Tg)は、TMA方法及び熱膨張係数(CTE)を使用して測定された。
【0097】
[00116]TMA方法及びCTEを使用してTgを測定する際、Rigaku Corporationによって製造されるTMA 8310熱機械分析装置が使用された。試料は、窒素ストリーム中で20℃/分の速度で加熱された。測定は、圧縮モードで実施され、測定中、10mNの負荷が適用された。試料長さは、温度の関数として測定され、熱膨張係数は、関数の勾配から得られた。加えて、長さ対温度をプロットする際の勾配が最大となる温度からTg値が得られた。測定結果を表4に示す。α1及びα2はそれぞれ、Tg値未満及びTg値超過の熱膨張係数である。
【表4】
【0098】
[00117]UVを伴う、実施例1を使用する試料、及びUVを伴わない、実施例1を使用する試料は、上述されるものと同一の方法で準備され、DSC方法を使用して測定された。
【0099】
[00118]DSC測定は、PERKIN ELMERによって製造されるPyris 1を使用して実施され、温度が10℃/分の上昇速度で50℃から300℃に上昇された際の熱量対温度のプロット領域が判定され、ΔHとして表された。加えて、このプロットのピーク温度が判定された。結果を表5に示す。
【表5】
【0100】
半導体パッケージの製造
[00119]電子部品(チップ)(Top Lineによって製造される0.5mmピッチのプラスチックBGA)及び5mm×5mmの基板(Arm Electronics Co.,Ltd.によって製造される)が準備され、ディスペンサーを使用して、実施例1の半導体パッケージ樹脂組成物が基板の表面に適用された。チップは、フリップチップボンダー(Nippon Avionics Co.,Ltd.によって製造されるMB−4500)を使用して、光学ユニットの手段によって基板及びチップの位置を識別し、チップ上の半田ボールが基板上のランドと並ぶように熱的に圧着させることによって、基板上に実装された。次いで、紫外線ランプ(Toshiba Corporationによって製造されるFL10BL)を使用して、紫外線で300秒間照射することによって、半導体パッケージ樹脂組成物の縁部がBステージ変換された。150℃のオーブンで2時間加熱することによって半導体パッケージ樹脂組成物を最終的に硬化させることによって、半導体パッケージが得られた。この半導体パッケージの断面は、ダイヤモンドブレードを使用して切断され、写真が取られた。写真を
図12に示す。
【0101】
[00120]半導体パッケージ樹脂組成物の縁部をBステージ変換させることによって、半導体チップの位置は、最終的な硬化中に高温に暴露される際にさえ移動しなかった。加えて、Bステージ変換に要した時間は、極めて短かった、即ち300秒間であった。
【0102】
[00121]好ましい実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行えることを認識するであろう。