【文献】
R.M.O.Galvao, et al.,Physics and engineering basis of multifunctional compact tokamak reactor concept,[online],2008年10月,[検索日:2016年6月17日],全9頁,インターネット,URL,https;//www.researchgate.net/publication/43652638
【文献】
A.Sykes,The Development of the Spherical Tokamak,[online],2008年10月,[検索日:平成28年6月17日],全31頁,インターネット,URL,http://www.sunist.org/shared documents/ISTW2008/TM/Talks/Sykes/Sykes talk1.pd
【文献】
W.T.Reiersen, et al.,The engineering design of TPX,[online],IEEE,1994年,[検索日:平成28年6月17日],p.387-392,インターネット,URL,ieeexplore.ieee.org/xpls/abs_all.jsp?arnumber=518356
【文献】
Craig H. Williams, et al.,Realizing "2001: A Space Odyssey": Piloted Spherical Torus Nuclear Fusion Propulsion,[online],NASA,2005年 3月,[検索日:平成28年6月17日],全48頁,インターネット,URL,http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20050160960.pdf
【文献】
Venkat Selvamanickam,2G HTS Wire for High Magnetic Field Applications,[online],2011年 5月,[検索日:平成28年6月17日],全19頁,インターネット,URL,http://www.superpower-inc.com/system/files/2011_0526+HTS4Fusion+WS_Karlsrul
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トロイダル磁場の磁石が作られる材料は、中性子遮蔽のための大きな空間を許容するべく、HTS製材料内での約90ミクロン未満の組み合わされた厚さを有する非HTS層又は約1ミクロンを超える厚さを有するHTS層を含むことにより、増加された電流密度を与えるべく構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の核融合炉。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Jassby D L ‘Optimisation of Fusion Power Density in the Two Energy Component Tokamak Reactor’ Nuclear Fusion 1975 Vol 15 p453
【非特許文献2】A. Sykes et al, ‘Fusion for Neutrons - a realizable fusion neutron source’, Proc of 24th IEEE Symposium on Fusion Engineering, Chicago 2011 Invited Paper SO2B-1
【非特許文献3】M.Valovic et al, Nuclear Fusion 51 (2011) 073045
【非特許文献4】C Hellesen et al, Nuclear Fusion 50 (2010) 022001
【非特許文献5】R D Stambaugh et al, ‘The Spherical Tokamak Path to Fusion Power’, Fusion Technology Vol 33 P1 (1998)
【非特許文献6】T C Hender et al, ‘Spherical Tokamak Volume Neutron Source’, Fusion Engineering and Design 45 (1990) p265
【非特許文献7】H R Wilson et al ‘The Physics Basis of a Spherical Tokamak Component Test Facility Proc. 31st EPS Conf 2004
【非特許文献8】G M Voss et al, ‘Conceptual design of a Component Test Facility based on the Spherical Tokamak’, FED 83 (2008) p1648
【非特許文献9】A Dnestrovskij et al, Plasma Devices and Operations, 15, 2007, p1
【非特許文献10】Y-K M Peng et al 2005 Plasma Phys. Control. Fusion 47 B263
【非特許文献11】M. Kotschenreuther, P. Valanju, S. Mahajan, L.J. Zheng, L.D. Pearlstein, R.H. Bulmer, J. Canik and R. Maingi ‘The super X divertor (SXD) and a compact fusion neutron source (CFNS)’ Nucl. Fusion 50 (2010) 035003 (8pp)
【非特許文献12】R M O Galvao et al, ‘Physics and Engineering Basis of a Multi-functional Compact Tokamak Reactor Concept’, paper FT/P3-20, IAEA conf 2008
【非特許文献13】B V Kuteev et al, ‘Plasma and Current Drive parameter options for a low-power Fusion Neutron Source’ 23rd IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering, 2009. SOFE 2009.
【非特許文献14】D L Jassby, Comments Plasma Phys. Controlled Fusion, 3 (1978) 151
【非特許文献15】Y-K.M. Peng and D.J. Strickler, Nucl. Fusion 26, 769 (1986).
【非特許文献16】M Gryaznevich at all, Phys. Rev. Letters, 80, (1998) 3972
【非特許文献17】O. Mitarai and Y. Takase, Plasma current ramp-up by the outer vertical field coils in a spherical tokamak reactor, Fusion Sci. Technol. 43 (2003)
【非特許文献18】V. Shevchenko, Nuclear Fusion Vol 50 (2010) p22004
【非特許文献19】Y-K M Peng and J B Hicks,: proceedings of the 16th Symposium on Fusion Technology, London, U.K., 3-7 September 1990, Vol 2 p1288
【非特許文献20】V. Selvamanickam, ‘2G HTS Wire for High Magnetic Field Applications’, HTS4 Fusion Conductor Workshop, May 26-27, 2011, Karlsruhe, Germany
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1側面によれば、エネルギー源又は高効率中性子源として使用するためのコンパクト核融合炉が与えられる。炉は、トロイダルプラズマチャンバと、当該プラズマチャンバの中にプラズマを閉じ込めるための磁場を生成するべく配列されるプラズマ閉じ込めシステムとを含む。プラズマ閉じ込めシステムは、閉じ込められるプラズマの大半径が1.5m以下、好ましくは1.0m以下、より好ましくは0.5m以下となるように構成される。炉は球状トカマクであり得る。
【0007】
プラズマ閉じ込めシステムは高温超伝導体(HTS)コイルを含む。これは、大半径で3T以上、好ましくは5T以上、好ましくは10T、より好ましくは15Tという測定トロイダル磁場を生成することができる。HTSコイルは使用中、77Kまで、オプションとして30K以下又は4K以下にまで冷却される。
【0008】
小型核融合装置のための従前の設計は通常、壁負荷の問題を抱えている。すなわち、プラズマチャンバ壁を通り抜ける中性子束又はプラズマ熱の分散の問題である。プラズマへの10MW以下、好ましくは6MW、より好ましくは3MW、より好ましくは1MWという低パワー入力をオプションとして使用することにより、既存の材料及び技術によっても装置は実現可能となる。
【0009】
かかる炉からのパワー出力は、たとえ従来型の銅磁石であっても少なくとも1MWとなり得る。HTSトロイダル磁場磁石が使用される場合、核融合パワー出力の大幅な増加による極めて高いトロイダル磁場での炉の運転が可能となる。
【0010】
中性子生成は、一以上の中性ビームをプラズマの中に向けることにより向上させることができる。中性ビームは、200keV未満、好ましくは130keV未満、より好ましくは80keV、より好ましくは40keV未満のエネルギーを有する。複数の中性ビームが、ビーム内の粒子と熱プラズマとの核融合反応を最適化するべく選択された方向からプラズマの中に向けられて衝突ビームを含み得る。
【0011】
一実施形態では、プラズマは、10秒を超え、好ましくは100秒を超え、より好ましくは1000秒を超え、より好ましくは10000秒を超えて定常状態に維持し得る。実際のところプラズマは、数年まで連続して定常状態に維持し得る。このことは、中性子又はエネルギー生成の有用性を劇的に増加させる。放出される中性子の総数及びエネルギーの総量が長パルスによって増加するからである。かかる長パルスを達成するべく、誘導なしで、例えば中性ビーム又はRF電流駆動を使用することにより、プラズマ電流を駆動することができる。RF電流駆動は、当該電流を駆動する任意の電磁波技術を含む。これは、電子バーンスタイン波、低域混成及び電子サイクロトロン共鳴、並びにこれらの任意の組み合わせを含む。低エネルギー中性ビームは、電流を駆動する運動量の伝達が高効率(単位エネルギー入力当たり)であり得る。HTS磁石の使用が、プラズマを定常状態に維持することに役立つ。これは、超伝導体であることにより、磁石内の抵抗による加熱効果が存在せず、かつ、HTS磁石に対する電流供給が抵抗性磁石に対する電力供給よりも安定するからである。
【0012】
プラズマの立ち上げには、マージング圧縮、若しくはプラズマ電流を増大させるプラズマリングを振動電流が生成するための磁気ポンピング、若しくはトロイダルチャンバの中心コアに配置される一以上のソレノイド(引き込み可能でもよい)のアクティベーション、及び/又はジャイロトロン若しくは他の適切な高周波生成器によるRF電流立ち上げが使用される。プラズマ電流のランプアップには、ソレノイドのアクティベーション、RF電流駆動、及び/又は、プラズマをその成長に合わせて包含するのに必要なポロイダル磁場の急増によってプラズマ電流を所望動作値までランプアップさせるのにほぼ十分な磁束が投入されるようなプラズマ加熱が使用される。引き込み可能なソレノイドが使用される場合、当該ソレノイドはオプションとして、予め冷却された高温超伝導ソレノイドを含む。プラズマ電流は、RF電流駆動及び/又は中性ビーム入射を使用して維持される。
【0013】
中性ビーム及び/又はプラズマは、中性子生成を向上させるべくトリチウムを含む。トリチウムは高価かつ放射性なので、ジュウテリウムのみを使用して炉を動作させるのが好ましい。いくつかの中性子が依然、D−D核融合反応により生成される(D−D核融合は通常、同じトロイダル磁場、プラズマ電流、及びプラズマ加熱条件下のD−T核融合により生成される数の近似的に1/80を生成するとされている)。しかしながら、D−D核融合は、トリチウムを使用する前に炉を試験する上で、及び、例えば、コスト、複雑性、安全性、規制又は入手可能性等の理由によりトリチウムの使用が望ましくない場合において、重要となり得る。
【0014】
D−D核融合によって驚くべき高中性子束が達成できる所定の場合が存在する。これは、トロイダル磁場を増加させることにより、中性ビーム入射の慎重な使用により、プラズマ加熱方法を最適化することにより、及び/又は10倍を超える中性子生成の増加を示しているICRH(イオンサイクロトロン共鳴加熱)の適用により(非特許文献4)達成することができる。
【0015】
中性子による損傷を低減又はなくすべく中心柱のまわりには遮蔽体が設けられる。HTS製材料は、例えばHTS製材料内におけるHTS層の厚さを増加させることによって、中性子損傷に対する耐性を向上させるべく構成される。
【0016】
HTS製材料は、例えば、大きな遮蔽用空間が許容されるようにHTS製材料内における非HTS層の厚さを低減すること又はHTS層の厚さを増加させることによって、電流密度を増加させるべく構成される。
【0017】
中心柱は、ベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料を含む。これらは、中性子束とは無関係に受容可能レベルの構造的完全性及び伝導性を維持する。ベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料は、その抵抗を低減するべくオプションとして極低温で冷却され、かつ、中心柱から離れたトロイダル磁石の残りの部分を形成するHTS材料に接合される。
【0018】
中心柱の内側部分がHTSから作られ、外側部分はベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料から作られる。非HTS材料は、中性子からHTSへの損傷に対する遮蔽を与える。ベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料は、オプションとしてその抵抗を低減するべく極低温に冷却され、及び、オプションとしてHTS材料に接合されて中心柱から離れたところにトロイダル磁石の残りを形成する。HTS材料は、中性子損傷に対する耐性を向上させ及び/又は電流密度を向上させるべく構成される。
【0019】
炉から放出される中性子は、とりわけ、電気の生成、熱の生成、医療等の用途の同位体形成、がん治療、水素生成(例えば高温電気分解による)、核廃棄物の処理、リチウムの中性子ボンバードメントによるトリチウム製造、核分裂燃料の増殖、中性子分光法、材料とコンポーネントの試験、及び/又は科学的研究を目的として使用され得る。
【0020】
従来型核融合炉では、プラズマにおいて生成されたα粒子は保持される。ここに記載される本発明は従来型核融合炉よりもはるかに小型であるが、高磁場ゆえにα粒子が依然として閉じ込められてプラズマ加熱に著しく貢献する。
【0021】
炉が稼働している間、オプションとして、トーラス中心にソレノイドが存在しないようにする必要がある。高い中性子フルエンスによる損傷を受けるからである。
【0022】
本発明の特徴は、高温超伝導体(HTS)が、主要トロイダル磁場磁石において(及びオプションとして他の磁石において)使用され、コンパクト球状トカマクにおいて低運転コストで高磁場を得ることができる点にある。高磁場、小型サイズ、及び低アスペクト比(これは安定性改善及びエネルギー閉じ込めの改善を与える)の組み合わせにより、従前の設計よりもはるかに小型スケールで核融合エネルギーを実現可能にすることができる。
【0023】
HTSクライオスタットは、液体冷凍材あり又はなしで設計することができる。冷凍材は、必要な温度及び冷却パワーに応じてHe、H
2、Ne又はN
2を含む分子又は化合物の範囲であり得る。クライオスタットは、トカマク及びトロイダル磁場コイルの構造強度及び剛性を高めるように設計することもできる。
【0024】
HTSは、必要な構造的特性及び工学技術的電流密度を与える基材、スタビライザ、バッファ及び上層の範囲にあるテープ又はワイヤの形態にあるYBCO又は(Re)BCO(ここで、Reは希土類元素)の材料範囲から製造することができる。
【0025】
核融合炉は、プラズマチャンバ壁の単位面積当たりの負荷を低減するべく最適化されたダイバータ板、並びに/又は、プラズマの排出プルームを配向させ、当該排出プルームの占有面積を大きな半径まで拡張させ、及び/若しくは当該排出面積全体の接触領域を掃引させるべく構成されるダイバータコイルを含む。ダイバータの一以上は液体リチウムで被覆される。真空チャンバ壁も液体リチウムで被覆される。
【0026】
炉はまた、放出される中性子束を(個別の中性子エネルギーを犠牲にして)増加させるべく構成される増倍ブランケットを含む。束密度の局所的増加をもたらすべく及び/又はポロイダルコイル等のトカマクコンポーネントを大規模な中性子照射から保護するように中性子を炉の外に向けるべく、リフレクタブランケットを設けることができる。
【0027】
炉はまた、核融合・核分裂混成炉を形成する核分裂物質又は燃料親物質(例えばトリウム)の未臨界ブランケットを含む。この構成において、核融合により生成される多量の中性子が、核分裂反応を開始かつ持続させ及び/又は燃料親同位体を核分裂同位体に変換する。この構成は、新たな核燃料を増殖させ、核廃棄物を破壊し、及び/又はエネルギーを生成するべく使用することができる。
【0028】
本発明はまた、上述のような複数の核融合炉を含む発電所も与える。
【0029】
本発明の他の側面によれば、トロイダルプラズマチャンバを含む核融合炉を運転することによって中性子又はエネルギーを生成する方法が与えられる。方法は、プラズマチャンバ内でプラズマを立ち上げることと、当該プラズマチャンバ内に、大半径1.5m以下のプラズマを閉じ込めるべく3T以上、好ましくは5T以上、好ましくは10T以上、好ましくは15T以上のトロイダル成分を有する磁場を生成することと、中性子及び他のエネルギー粒子を放出することとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願は、トカマクの非常にコンパクトな形態に基づき、かつ、革新的な特徴の範囲を用いる。これは、高温超伝導磁石の使用を含む。「高効率コンパクト核融合炉」(ECFR)は、コンパクトな核融合発電プラントを与えることを意図する。
【0033】
核融合中性子は、ジュウテリウム・トリチウム(D−T)又はジュウテリウム・ジュウテリウム(D−D)プラズマが、当該原子核がともに融合する程度まで非常にホットとなって高エネルギー中性子を放出する場合に生成される。現在のところ、これを達成する最も有望な方法は、トカマクを使用することである。従来型トカマクの核融合へのアプローチ(ITERにより実施されている)において、プラズマは、このプロセスを最適化するべく長い閉じ込め時間、高温及び高密度を有する必要がある。
【0034】
トカマクは、核融合が生じ得るホットな安定プラズマを生成するべく、強いトロイダル磁場B
T、高いプラズマ電流I
p、並びに通常は大きなプラズマ体積及び著しい補助加熱を特徴とする。補助加熱(例えば高エネルギーのH、D又はTの数十メガワットの中性ビーム入射による)は、核融合が生じ及び/又はプラズマ電流を維持するのに必要な十分高い値にまで温度を増加させる必要がある。
【0035】
問題なのは、一般に必要とされる大型サイズ、大きな磁場及び高いプラズマ電流ゆえに建設コスト及び維持コストが非常に高くなり、磁石システム及びプラズマ双方に存在する当該大きな貯蔵エネルギーに対処するべく、工学技術に非常な忍耐力が必要となることである。プラズマは、「ディスラプション」、すなわちメガアンペア電流が猛烈な不安定性において数千分の1秒でゼロまで低減すること、を引き起こす傾向がある。
【0036】
この状況は、従来型トカマクのドーナツ状トーラスをその限界にまで収縮させ、芯のあるリンゴの外観を有する「球状」トカマク(‘spherical’tokamak(ST))とすることによって改善することができる。Culhamにおける当該概念の最初の実現が、膨大な効率増加を実証した。ホットなプラズマを包含するのに必要な磁場を10分の1まで低減することができる。加えて、プラズマ安定性が改善され、建設コストも低減される。
【0037】
STの欠点は、中心柱の限られた空間により、中性子環境にある中心巻線を保護するべく必要な実質的遮蔽体の設置が禁じられることにある。これにより、従来型トロイダル磁場巻線及び従来型中心ソレノイド(プラズマ電流を誘導かつ維持するべく使用される)が実用的でなくなる。STに基づく発電プラントが(限られた遮蔽を伴う中実の銅中心柱であって毎年又は中性子による損傷時に変更される中心柱を使用して)設計されているが、当該プラントは、暖められた銅の相対的に高い抵抗に起因する中心柱での高エネルギー散逸を有するので、発電を経済的にするべく大きな装置が要求される。
【0038】
重要な因子は、トロイダル磁場B
Tの強度である。トカマクにおける熱核融合による核融合パワーはB
Tの4乗に比例するので、トカマクは、これが課す著しい応力及び当該磁石に必要な著しい電気コストに整合する最大限に可能なB
Tを使用するべく設計される。こうしたコストを最小限にするべく、ITERのような長パルスの現代的な装置は、液体ヘリウムによって冷却されるLTS磁石を特徴とする。
【0039】
高磁場アプローチの現行の制限は、現在はロシア・イタリア合同プロジェクトとして開発されている中型サイズのIGNITORプロジェクトによって例示されている。IGNITORは、鋼支持構造物による従来型銅磁石によって得られるプラズマ大半径(1.43m)で〜13テスラかつ中心スタック周縁で〜20Tという、その非常に高い磁場B
Tゆえに、大規模な補助加熱を必要とせずに短パルス点火を達成すると予測されている。
【0040】
STアプローチの欠点は、中心柱における低減された空間ゆえに、その中のトロイダル磁場磁石が限られたサイズとなり、その結果、現在のところ、1テスラ未満という相対的に低いトロイダル磁場のみがSTにおいて達成されているにすぎない。この問題は、ECFRにおいて高温超伝導磁石の使用により克服される。
【0041】
核融合への小型スケールアプローチは、非特許文献1によって最初に提案された効果を使用する。高エネルギー中性ビームを小さな単なる「暖かい」プラズマに入射させることによっても著しい核融合パワーが生成される。この効果をSTと組み合わせたものが、B
T=1.5テスラを有する「超コンパクト中性子源」(SCFNS)(非特許文献2)のための我々の設計の基礎である。
【0042】
D−T核融合により動作するSCFNSによって生成されるパワー(P
fus)が1−2MWと見積もられる一方、投入パワー(PNBI)はNBIの〜6MWである。したがって、Q
eng(P
fus/P
total)は〜0.05であるが、NBIの6MWをもたらすには〜18MWの電気が必要なので、Q(P
fus/P
NBI)が〜0.25となる。さらに約10MWが銅磁石における散逸で失われる。核融合による正味の電力生成にはQ
eng>1とする必要がある。それにもかかわらず、SCFNSは、小型装置に対する著しい核融合パワーを生成する。14MeVの中性子は、電力入力から核融合パワー出力への低変換効率を補償する多くの価値あるアプリケーションを有し得る。
【0043】
これまでずっと、この小型スケールアプローチは、経済的な核融合エネルギー発電プラントをもたらし得ないと考えられてきた。これは、入力中性ビーム入射(NBI)パワーが相対的に大きく、かつ、磁場が、プラズマ内の核融合反応により生成されたホットな荷電アルファ粒子を包含するには十分ではなく、ひいては得られる自己加熱を失うからである。これは、核融合パワー生成を目標とする従来型トカマク設計の鍵となる特徴である。しかしながら、最近の技術進歩により、このような小型STも、以下に述べるように高磁場を達成することができる。
【0045】
最近の高温超伝導体(HTS)の進歩は、核融合に対して幅広い影響を与えている。従来型低温超伝導体(LTS)磁石が液体ヘリウム範囲(〜4K)の温度を使用する一方、HTSは、便宜かつ容易に類似の結果を与え、
図1に示されるように77K又はこれよりさらに高い液体窒素温度を達成することができる。
【0046】
それでも、HTSの利点は、コスト及び利便性をはるかに超えている。
図2からわかるように、HTSが77K未満の低温で現実に動作される場合、電流搬送能力が大きく増加し(
図2中、任意の所与適用磁場において垂直方向に動くことによってわかる)、かつ、はるかに高い磁場において伝導体が動作し得る(
図2中、水平方向に動くことによってわかる)。実際のところ、オックスフォード・インストゥルメンツが最近、ほぼ23TをもたらすHTS磁石を実証した。これは、LTSが最大で達成する20Tを超える(実際には、HTSコアをLTS外側材の中に挿入することによって行われた)。
【0047】
高い最大磁場、増加した電流搬送能力、及び低減された冷却複雑性を組み合わせることが意味するのは、非常に高いトロイダル磁場のHTS磁石が、球状トカマクコアの限られた空間において可能になるということである。例えば、中心柱の周縁において(
図2が示すように)30Tが実現可能である場合、SCFNSのようなアスペクト比1.66であるSTの大半径において12Tが得られる。SCFNSのようなビーム駆動装置における核融合パワーが近似的にB
Tの3乗に比例することが観測されている(非特許文献3)。これが示唆するのは、既存のSCFNS設計のための1.5Tからここに記載される高磁場バージョンのための12TまでB
Tを増加させることによって、核融合パワーが近似的に12/1.5の3乗だけ、すなわち512だけ増加するということである。したがって、Q
fus〜128、Q
eng〜38となり、しかも、すべて小型装置においてである!付加的な利点は、こうした高磁場において、荷電アルファ粒子核融合反応がプラズマ内に残り、著しい自己加熱を与え、及び炉の効率をさらに増加させることである。非特許文献1は、Q
fus〜3付近での理想的なビーム・プラズマ核融合の効率には基本的な限界が存在することを示した。このため、依然として小型装置から高効率中性子源が得られるが、エネルギー生成に対する実現可能なアプローチとはいえない。しかしながら、ここで企図される高磁場において、我々は、中性ビーム加熱の必要性なしに、高度な閉じ込め、高いプラズマ温度、及びそれゆえのビームプラズマ核融合と熱核融合、可能であれば純粋な熱核融合、との組み合わせを得ている。
【0048】
最大の達成可能熱核融合パワーは、トロイダル磁場の4乗に比例することが周知である(非特許文献5)。実際には、β
2B
T4Vに比例する。ここで、βは正規化されたプラズマ圧力であり、Vは体積である。β制限は、球状トカマクにおいては従来型の低アスペクト比トカマクよりも4倍から5倍高い。その結果、B
Tが12T以上もの高さにあってかつ高プラズマ圧力が得られる場合、小型球状トカマクであっても高い熱核融合パワーが可能となる。例えば、ITERは、トロイダル磁場5.5Tにより核融合パワー500MWを生成することが期待されている。2倍のトロイダル磁場及び4倍高いβを有する球状トカマクは、同じパワーを1/256の体積で生成することができる。
【0049】
高温超伝導技術は急速に進歩を続けている。第1世代のHTS材料すなわちBSCCOは、急速にYBCOに取って代わられている。基本的に高い臨界磁場及び臨界電流を有する新しいHTS材料の発見と同様に、YBCO(又はより一般には(Re)BCO(ここでReは希土類原子))のような既存の材料の工学技術的性能も急速に改善されている。その結果、HTS製磁石は、ますます小さな伝導体によってますます高磁場を達成できるようになっている。本明細書では、HTS材料が、低磁場における約30Kを超える温度で超伝導特性を有する任意の材料を含むものと理解される。
【0050】
強力な高エネルギー中性子ボンバードメントのもとでのHTSの性能はまだ知られてないが、数か月又は数年の運転を有効に維持するべく10cmを超える遮蔽体が必要になるという懸念が存在する。かかる量の遮蔽体は大きすぎるので、小型球状トカマクの中心柱まわりに収容することができない。高電流が中心柱を貫通できるようにするべく、いくつかの代替手段が利用される。
【0051】
図5は、標準のHTSテープ500のコンポーネントの概略的な例示である。かかるテープ500は一般には近似的に100ミクロン厚であり、近似的に50ミクロン厚の電解研磨されたハステロイ基板501を含む。ハステロイ基板501の上には、IBAD又はマグネトロンスパッタリングによって、それぞれが近似的に0.2ミクロン厚である一連のバッファスタック層502が堆積される。エピタキシャル(RE)BCO−HTS層503(MOCVDによって堆積される)が、バッファ層を覆い、かつ、典型的には1ミクロン厚である。HTS層上にはスパッタリングによって2ミクロンの銀層504が堆積され、当該テープの両側面に20ミクロンの銅スタビライザ層505が電気めっきされる。テープにおける電流を増加させるべく、HTS層の厚さは、1ミクロン付近から4ミクロンと20ミクロンとの間まで増加される。これにより、電流の搬送が2から5倍増加し(非特許文献20)、かつ、中性子への耐性が4から20倍増加する。上述のように、全体的なテープ厚は通常100ミクロンなので、これが唯一の変化であれば、テープ厚の増加は20%未満となる。
【0052】
他のアプローチは、銅505及びハステロイ501層(又はテープにおける他の伝導/支持非HTS層)の厚さを低減することである。こうした非HTS層の厚さを有することで、テープにおける電流密度が近似的に倍増するので、遮蔽のための空間を大きくすることができる。
【0053】
第3のアプローチは、HTSの代わりに、極低温に冷却されたベリリウム又はアルミニウムの中心柱を球状トカマクに使用することである。これは、
図6のオプションBに示される。ベリリウム又はアルミニウムには望ましくない抵抗損失が存在するが、当該損失は、理想的には30K以下まで冷却することにより、かつ、ベリリウム又はアルミニウムの中心柱をトロイダル磁場コイルのHTS外側アームに接続することにより最小限にすることができる。ベリリウム又はアルミニウムが選択されるのは、温度30Kにおいて低抵抗性だからであり、かつ、高エネルギー中性子による損傷に耐性があるからである。このような特性又は類似の特性を有する他の元素又は材料も使用することができる。
【0054】
第4の手段は、外側の極低温に冷却されたベリリウム又はアルミニウムの中心柱とHTS製の内側部分との組み合わせを使用することである。これはまた、
図6のオプションCに示される。ベリリウム又はアルミニウムの外側により、HTSの所定の遮蔽が与えられる。理想的には30K以下までの冷却、及びベリリウム又はアルミニウム/HTSの中心柱をトロイダル磁場コイルのHTS外側アームに接続することは、抵抗損失を最小限にするべく依然として必要である。
【0055】
これらの技術、例えば第1、第2及び第4手段、の組み合わせが使用され得る。
【0056】
高効率ST核融合中性子又はエネルギー源を実用的にするべく、以下の問題を解決することが望ましい。すなわち、
・従来型中心ソレノイドなしでのプラズマ電流の立ち上げ、
・要求される値までのプラズマ電流のランプアップ、
・低パワー入力による長時間のプラズマ電流の維持、
・低パワー入力で中性子を生成するためのプラズマの加熱、
・プラズマからダイバータ領域への熱負荷が許容可能であることの保証、
・中性子損傷から自身を保護する一方、エネルギー生成目的又は科学的な及び他のアプリケーション目的で中性子のフルエンスを生成することができる構造の設計である。
【0057】
高トロイダル磁場で動作する高効率コンパクト核融合炉を目的としていくつかのオプションが考慮されている。すなわち、
(a)銅又は超伝導磁石を有し、かつ、アスペクト比A=3から4(A=R/a(小半径aに対するトーラスの大半径Rの比))であるトカマク、
(b)超伝導磁石を有し、かつ、A=2であるトカマク、
(c)銅磁石を有し、かつ、A=1.5から1.8であるコンパクト球状トカマク、
(d)LTS磁石を有し、かつ、A=1.5から1.8であるコンパクト球状トカマク、
(e)HTS磁石を有し、かつ、A=1.5から1.8であるコンパクト球状トカマク、
(f)ベリリウム又はアルミニウムとHTS磁石との組み合わせを有し、かつ、A=1.5から1.8であるコンパクト球状トカマクである。
【0058】
オプション(a)及び(b)は周知であるが、これらは、ITERのサイズに匹敵する大きさの場合に高効率が達成できるにすぎない。かかる装置における電流駆動のためには中性ビーム入射が重要であるが、これは、中性子又はエネルギーの生成にそれほど貢献しない。
【0059】
オプション(c)は、電流搬送能力及び銅の強度によって制限される。低アスペクト比を有する小型装置で高磁場を達成することは、トカマクの中心にある空間が限られるので困難である。加えて、銅を介した高電流に対するパワー及び冷却の要件が非常に大きいので、長いパルス動作が事実上妨げられる。
【0060】
オプション(d)は実現可能であって、LTS(MgB
2、Nb
3Sn及びNbTiのような材料)の性能は十分な可能性があるが、これらの材料に高磁場を達成させる低温クライオスタットの設計に課題がある。
【0061】
オプション(e)はオプション(d)よりも良好である。HTSの性能がLTSよりも良好だからである。HTSは、LTSよりも高磁場かつ高温で高い電流密度を維持することができる。これは、HTS伝導体及びその周囲のクライオスタットのサイズが、LTSに対するものよりも小さくなり得ることを意味する。そして、このことは、装置全体が小型かつ安価となる一方、高磁場ひいては高効率での動作が可能になることを意味する。
【0062】
オプション(f)はオプション(e)よりも良好である。ベリリウム又はアルミニウムの中心柱又は部分的な中心柱が、高速中性子によるHTSへの損傷の問題を克服し得るからである。
【0063】
本明細書は、オプション(e)及び(f)に集中する。すなわち、HTSトロイダル磁場コイルを有するか又はベリリウム若しくはアルミニウムとHTSトロイダル磁場コイルとの組み合わせを有するコンパクト球状トカマクに基づく高効率コンパクト核融合炉(ECFR)に集中する。これは、小型球状トカマク炉を3T以上の相対的に高いトロイダル磁場で運転する機会を与え、潜在的には、生成される核融合パワーの膨大な増加を与える。熱核融合の場合、核融合パワーがトロイダル磁場の4乗で増加し得るからである。加えて、HTSが使用される場合、磁石における散逸でのエネルギー損失が大幅に低減される。
【0065】
本装置を詳細に記載する前に、球状トカマクに基づく核融合装置の従前の研究を考慮しておくことが役に立つ。
【0066】
非特許文献5は、大半径R〜0.7m(プラズマ電流I
p〜10MA、中心トロイダル磁場B
To〜2.8T)のパイロットプラントを含む球状トカマク(ST)ファミリーを記載する。これは、著しい出力(400MW)を有する。楽観的に高いH因子(従来型トカマクのスケーリング則に対するエネルギー閉じ込め増加)は〜7であり、β
N(効率の尺度すなわち必要な磁場圧力に対する包含プラズマ圧力の比)は〜62%であり、壁負荷は8MW/m
2であり(半径Ro+2aにおいて仮定される壁)、これらは経済的に発電するべく設計される。
【0067】
非特許文献6は、試験核融合炉コンポーネントを試験するのに十分な中性子フルエンスを与えるべく設計された、同様の中程度サイズのST(適度なH因子〜1.3、β
N〜2.6、及び壁負荷(Ro+2a)〜0.75MW/m
2においてR〜0.7m、I
p〜10.3MA、B
To〜3T、核融合出力〜40MW)に基づくコンポーネント試験施設(CTF)を考えた。
【0068】
非特許文献7は、非特許文献6の作業を拡張し、再びA〜1.6のCTFを提案した。これは、毎年1kg未満のトリチウムを消費するように設計され、特に、コンポーネント及び材料を試験することによって核融合パワーへの野心的アプローチを促した。当該装置は、R〜0.75m、I
p〜8MA、B
To〜2.8、H〜1.3、PNBI〜60MW、及び、その約25%がビーム・プラズマ相互作用(以下でさらに述べる)からもたらされる収率P
fus〜50MWを有する。
【0069】
非特許文献8、非特許文献7の設計を進展させた。サイズをR=0.85m、a=0.55mまでわずかに増加させ、電流及び磁場を6.5MA及び2.5Tまでわずかに減少させ、再びH=1.3を仮定し、PNBI=44MW及びP
fus=35MWを有する。
【0070】
非特許文献9は、非特許文献7のCTFのDINAコードシミュレーションを与えた。NBIエネルギー(40keVにおいて6MW及び150keVにおいて44MW)の異なる混合を使用することにより、電流をランプアップさせ、70%(50%と対比)という大きなトリチウム割合による補助を受けて同じ核融合出力(50MW)ではあるが相当に低いプラズマ電流(8MAと対比して5.5MA)が得られることが見出された。トリチウムは稀少かつ高価であるが、大きなトリチウム割合を使用して同じ中性子出力ではあるが低いプラズマ圧力(それゆえプラズマ安定性が改善される)を得るというオプションは魅力的である。
【0071】
非特許文献10は、R=1.2m、A=1.5、k=3.07、B
T=1.1から2.2T、I
p=3.4から8.2MA、加熱パワー15から31MW、ブートストラップ(自己駆動電流)割合〜0.5、Q(投入パワーからの核融合パワー比)=0.5から2.5、P
fus=7.5から75MWを有する大きなCTFを提案した。このCTFはまた、トリチウム増殖というオプションを有する。
【0072】
非特許文献12は、「多機能コンパクトトカマク炉概念」を研究した。これは、大半径Ro=1.2(MAST及びNSTXよりも50%程度大きい)の装置であって、A=1.6、I
p=5MA、B
To=3.5Tを有し、及び、5MWから40MWの補助加熱パワー範囲に対して核融合利得(Q)〜1が得られた。興味深いことに、低パワーにおいて、最大Q〜1の利得がかなり低い密度で生じる一方で、ブートストラップ電流が密度に対してほぼ直線的に増加する。その結果、当該高性能オプションは、最大の自己駆動電流という利点を有する。しかしながら、この研究は、ビーム・プラズマ相互作用によって与えられる付加的な中性子生成を考慮しなかった。
【0073】
より最近では、非特許文献11が、重要なダイバータ熱負荷問題を解決するべく「スーパーX」ダイバータを使用した100MWの核融合出力を有する大きな核融合中性子源(Ro=1.35m、アスペクト比1.8、B
To=3.1T、I
p=10から14MA)を提案した。この装置は、CTFとして又は核融合・核分裂混成の基礎として使用するべく設計されている。
【0074】
上記研究はすべて、電流駆動及びα粒子加熱を伴う加熱に対してNBIを用いる(なお、α粒子は、上記研究において用いられた高プラズマ電流では即時損失が低い)。十分に理解された技術(例えば銅巻線)及びアスペクト比1.4〜1.6が使用される(当該アスペクト比においては十分なトリチウムが中心柱ブランケットの必要なしで供給できる)。
【0075】
最近では、小型かつ低パワーのコンパクト核融合中性子源が提案されている。これは、1から2MWという、そう大きくはない核融合出力を有する。その要件の厳しさは、上記研究よりも、特に、コスト効率のよい発電を保証するべく安定性限界に近くかつ高壁負荷での長パルス運転を必要とする非特許文献5の研究よりも著しく少ない。非特許文献6及び7は、十分なコンポーネント試験を与えかつ高プラズマ電流で動作するべく、長周期の高中性子束を必要とする。これら最近の提案では、物理学的限界及び工学技術に対する要求がかなり低減されているが、有用な核融合パワーを得られるようにする必要がある。
【0076】
2つの最近の研究が特に関連する。非特許文献13は、小型施設の必要性に具体的に対処した。これは、核融合パワー10MWまで発展する一方で、補助加熱と電流駆動パワーの合計が15MW未満、かつ、パワー消費の合計が30MWであることを要求する。非特許文献13は、非特許文献5の範囲の最小(Ro〜0.5m)部材を、I
p〜3MA、核融合パワー〜1MWに対応する中性子フルエンス〜3×10
17n/sを伴うB
To〜1.35T、及び中性子負荷0.1MW/m
2という極めて低減された条件下で再評価した。モデル化は、中性子生成が、ビーム・オン・プラズマ効果により2倍を超えることを示す。最初のパイロット装置にとって重要なのは、建設コストが2億ポンド未満に見積もられたことである。
【0077】
したがって、高プラズマ電流での運転よりむしろ、著しいNBI補助加熱を用いることによって、非特許文献1が注目したNBIのビーム・オン・プラズマ相互作用からの著しい中性子生成を享受することができる。この効果は、入射されたビームが熱トカマクプラズマにおいて減速するときに生じ、ここで考慮されるSTプラズマにおいて有効となる。
【0078】
非特許文献2は、ビーム・プラズマ核融合概念を展開し、1から2MWの核融合パワー(ビーム・プラズマ核融合によって支配される)を有する小型球状トカマク(SCFNS(超コンパクトFNS))を提案する。SCFNSは、パラメータR〜0.5m、I
p=1.5MA(非特許文献13の設計の半分)及びB
T=1.5Tを有する。〜6MWにすぎない中性ビームパワーで十分にプラズマ電流を維持し、かつ、核融合パワーを与える。この低い投入パワーにより、壁及びダイバータの付加が許容可能値まで低減されるので、ITERに対して開発された技術を利用することができる。
【0079】
球状トカマクは、従来型トカマクの低アスペクト比バージョンを代表し、かつ、本発明の重要なコンポーネントである。
【0080】
球状トカマク(ST)の概念は、最初に非特許文献14により、その後、非特許文献15により導入された。同時に、小型かつ低アスペクト比のトカマクGUTTAが、ロシアのIoffe研究所において建設かつ運転され、ST概念のいくつかの独特な特徴が確認された。球状トカマクの主要な利点(すなわち、高いベータ、高度の自然延伸、改善された安定性、及び向上した閉じ込めすなわちHモード)の最初の実証は、START装置(非特許文献16)であった。これは、Culham研究所において1990年から1998年まで運転された。STARTは、小型トカマクであったが、正規化プラズマ圧力β
t〜40%(これは依然トカマクの記録である)を達成した。STにおいては、プラズマ柱のアスペクト比Aが従来型トカマクアスペクト比範囲(A≒3から4)に対して実質的に低減される場合、プラズマ安定性の著しい改善を与える。この10年間で運転された15を超える小型及び中型サイズのSTにおいて確認された単純な構造、優れた結果及び高い信頼性の組み合わせが、核融合研究の次のステップとしてSTへの強力な動機をもたらし、この高性能及び小型サイズによってSTは、建設コスト及びトリチウム消費双方において経済的となっている(D−T運転が望ましい場合)。
【0081】
図3(非特許文献10の著者からの提供による)は、アスペクト比低減の効果を例示する。この図は、従来型トカマク31及び球状トカマク32における周縁磁力線を示す。従来型トカマク31において、磁力線は、好ましい曲率の領域(内側の高磁場の安定領域)及び好ましくない曲率の磁場(外側の不安定領域)において同等の長さを有する。球状トカマク32において、内側の安定領域にある磁力線経路は、外側の不安定領域よりも著しく長く、当該磁力線は一般に、トロイダル磁場が最高となるプラズマ柱の中心コアに巻きつく。磁気トラップにおける粒子の動きは当該磁力線に拘束されるので、アスペクト比減少の最も直接的な結果は、プラズマ柱の電磁流体力学的(MHD)安定性の増加となる。この改善されたMHD安定性により、プラズマ電流の著しい増加又はトロイダル磁場強度の減少のいずれかが許容される。この特徴は、とりわけ、UKAEAのCulhamにおけるSTARTという成功したST実験(非特許文献16)において開拓された。この図は、STARTトカマクにおけるプラズマ33を示す。非常に鮮明なプラズマ周縁が、STプラズマにおいて得ることができる非常に良好な閉じ込め特性(Hモード)を実証している。
【0082】
現在のところ、STは良好な物理的性能をもたらしているが、これまでは低磁場かつ低加熱パワーであり、これらのほとんどは短パルス装置である。トリチウムが使用されていないので、中性子束はそれほど大きくはない。モデル化は、たとえD−T混合が用いられても、中性子収率は小さくなることを示す。これは主に、低トロイダル磁場に起因する。
【0083】
提案される装置である高効率コンパクト核融合炉(ECFR)は、高磁場、高入手可能性、高中性子フルエンス、低維持コスト、及び長時間にわたり正味のエネルギーを生成する能力を有する最初のSTである。
【0085】
ECFR装置は、延伸プラズマ及びダブルヌルダイバータを有する長パルス球状トカマクである。その設計目的は、ジュウテリウム・ジュウテリウム(DD)に進み、及び、その後所望により、相当な中性子フルエンスがもたらされるであろうジュウテリウム・トリチウム(DT)混合に進む前に、水素(放射能の問題なしに最適化及び任意の必要な修正ができる)においてルーチン定常状態運転を実証することにある。この設計は、試験目的での中性子出力制御を可能とするオプションとしての特徴(とりわけ、遮蔽/中性子リフレクタ及び重水ブランケット)を組み入れる。
【0086】
標準運転により、ほとんどの工学技術要件について「準定常状態」として決定される1000秒よりも長い燃焼長さに対し、著しいD−T核融合パワーが生成される。約200keVまでのエネルギーの中性ビームを入射することにより、主要な補助パワー源が得られ、かつ、電流駆動の補助が可能となる。RF加熱及び電流駆動も考慮される。
【0088】
既存のトカマクにおいては、プラズマ電流は、大きな中心ソレノイドを使用した変圧器作用によって立ち上げられる。大きな中心ソレノイドを使用せずに、ECFRのプラズマ電流のスタートアップ及びランプアップを得ることが計画されている。これは、最終設計において、大きな中性子フルエンスが、巻線保護に必要な大規模遮蔽のための空間が不十分であるがゆえにその使用を禁止し得るからである。本発明においては、広い範囲の技術が使用される。
【0089】
球状トカマクの大きな利点は、(低アスペクト比及び高延伸の)プラズマのインダクタンスが低いことにより、大きなプラズマ電流が容易に得られることにある。すなわち、プラズマを拘束するのに必要な、増加する垂直磁場からの入力束も、低アスペクト比において著しい(非特許文献17)。
【0090】
MASTの実験では、(垂直磁場ランプにより補助される)28GHzかつ100kWのジャイロトロンを0.7A/ワットの効率で使用することによりスタートアップが実証されている(非特許文献18)。ECFRに適合するジャイロトロンは、〜1MWのパワーを有し、かつ、〜700kAのスタートアップ電流を生成すると予測されている。
【0091】
代替的スキームが、小型遮蔽体によるミネラル絶縁を使用して作られた小型ソレノイド(又は一対の上側/下側ソレノイド)を使用する(又はD−T運転が開始する前に引っ込められるよう設計される)。かかるコイルは、MAST又はNSTXに対して使用されたものと同等のソレノイドとして近似的に25%の電圧・秒出力を有することが期待される。0.5MAオーダの立ち上げ電流が期待される。双方のスキームの組み合わせが特に効率的となる。
【0092】
「引き込み可能ソレノイド」概念の新規な開発では、HTS由来のソレノイド巻線を使用し、これを当該トカマクの外側にある液体窒素の円筒において冷却し、これを中心管に挿入する一方、依然超伝導が当該電流を通過させて立ち上げプラズマをもたらし、その後、D−T運転前に当該ソレノイドが引っ込められる。HTSを使用する利点は、低い電源要件、及び被支持HTS巻線が許容し得る高い応力を含む。
【0093】
この立ち上げプラズマ電流は、低エネルギーNBIビームにとって適切な標的であり、当該ビームが生成する加熱及び電流駆動は、動作レベルまでの電流ランプアップを与える。
【0095】
上述のように、建設コスト、維持コストを最小化するべく、及び、ダイバータ熱負荷を許容可能レベルに維持するべく、最小補助加熱及び最小電流駆動において著しい中性子フルエンスを得ることが望ましい。
【0096】
CCFEのMAST及びプリンストンのNSTX双方に対する最近の結果から導出された最近のエネルギー閉じ込めスケーリングは、STにおけるエネルギー閉じ込めが、従来型トカマクに対してものよりも磁場に強い依存性を有し、かつ、プラズマ電流に低い依存性を有することを示唆する。これにより、エネルギー閉じ込めは、この設計の高磁場に対して改善される。
【0097】
NBI法及び所定範囲の無線周波数(RF)法を含む様々な加熱(及び電流駆動)の方法が適切である。NBIは、最も広く使用されているスキームであり、プラズマへの容易な入射というる利点を有し、ほとんどのRF法よりもプラズマパラメータに対する感受性が少ない。
【0098】
NBIは、最も一般的に使用される電流駆動方法でもある。その効率は、多くのパラメータ、すなわちビームエネルギー、入射角、プラズマ密度、に依存する。典型的には1MWのNBIが、0.1MAのプラズマ電流を駆動する。NBIのコストはMW当たり約300万ポンドであってこれが主要なコストである。潜在的に役立つ特徴は、ホットな高エネルギープラズマにおいて生成される自己駆動「ブートストラップ」電流である。これは、可能であれば必要な電流の半分を占め得る。しかしながら、ブートストラップ電流が密度とともに増加する一方、NBI電流駆動は高密度において低減するので、慎重な最適化が必要とされる。
【0100】
加熱又は電流駆動生成のいずれかを目的としてプラズマの中にポンピングされるエネルギーの一部は、ダイバータコイルによって局所的なダイバータ衝撃点に向けられるプラズマ周縁にあるスクレイプ・オフ層(SOL)に沿って現れる。ここで単位面積当たりのパワーが、すべての核融合装置において重要な関心事となり、通常であれば、小さな中性子源又はエネルギー源に受容可能とはならない。しかしながら、本提案におけるプラズマ電流は非常に小さいので、投入パワーが大幅に低減される(他設計における数十MWに対し数MWオーダである)。これに対応して、ダイバータ負荷が低減される。単位面積当たりの当該負荷をさらに低減するべく付加的な方法が使用される。これは、衝撃点掃引、STARTにおいて観測された特徴である「天然ダイバータ」の使用、排出プルームを配向させるダイバータコイルの使用(非特許文献19が提唱している)、非特許文献11が提唱している「スーパーX」ダイバータにおいてのような、占有面積を可能であれば大半径まで拡張することの組み合わせによる。この後者は通常、ダイバータ制御コイルに大電流を必要とする。当該コイルは、保護のため当該中性子源からある程度は除去する必要がある。しかしながら、この要求は、ここでは扱いやすい。必要なのは非常に低いプラズマ電流だからである。例えば閉じたリチウム流ループにおいて、当該容器からガスをポンピングするためにも使用される標的面積全体に液体リチウムの流れを使用することにより、さらなる利点が得られる。
【0102】
中性子源としての使用に適した従来型銅磁石を有する球状トカマクの断面が
図4に示される。トカマクの主要コンポーネントは、トロイダル磁場磁石(TF)41、オプションとしての小型中心ソレノイド(CS)42、及びプラズマをトロイダル真空容器44の内側で磁気的に閉じ込め、形成及び制御するポロイダル磁場(PF)コイル43である。D字形状TFコイル41に作用する中心力は、これらのコイルが、その直線セクションによって形成されるアーチ状部分に嵌まり込むことによって反作用を受ける。TFコイル41の外側部分及び外部PFコイルが、ブランケット(D
2Oであり得る)及び遮蔽体45によって中性子束から保護される。TFコイルの中心部分、中心ソレノイド及びダイバータコイルは遮蔽体のみによって保護される。
【0103】
真空容器44は二重壁であり、プラズマに面するタイルを有するハニカム構造を含み、下部ポート及び他の構造を介して直接支持される。容器に統合されるのは、オプションとしての中性子リフレクタ46である。これは、高速中性子の閉じ込めを与える。当該高速中性子は、中性子束の10倍までの増倍を、ポートを介して外側ブランケットへ与える。ここでは、中性子を、標的の照射若しくは他の高速中性子アプリケーションに使用するか、又は、強力な低速中性子源を与えるべく低エネルギーまで熱運動化することができる。かかるアセンブリとする理由は、トカマクの構造における低速中性子の相互作用及び捕獲を回避するためである。外側容器は、他タイプのブランケット(Pb、塩等)による将来的な交換又は異なる試験及び研究目的で将来的に他要素を含めるためのオプションを有するD
2Oを包含する。外側遮蔽体は、TFコイル及びPFコイル並びに他のすべての外側構造を中性子照射から保護する。磁石システム(TF、PF)は、重力サポートにより支持される。その一つが各TFコイルの下にある。ポートは、中性ビーム入射47のために及びアクセス48のために設けられる。
【0104】
外側容器の内側において、内部コンポーネント(及びその冷却システム)はまた、D
2Oに加え、プラズマからの放射熱及び中性子を吸収し、当該外側構造及び磁石コイルを過剰な中性子照射から保護する。内部コンポーネント及び容器に付与された熱は、冷却水システムを使用して環境に放出される。特別の構成が用いられて容器内のプラズマに面する表面がベーキングされ、その結果、トラップされた不純物及び燃料ガスを放出させることによって清浄化される。
【0105】
トカマク燃料供給システムは、水素、ジュウテリウム、及びトリチウムの燃料ガス又は固体ペレット、並びに気体又は固体の形態をとる不純物を入射するべく設計される。プラズマのスタートアップ中、低密度の気体燃料が、ガス入射システムにより真空容器チャンバ内に導入される。プラズマは、プラズマ電流がランプアップされるにつれて電子サイクロトロン加熱及びEBW補助立ち上げから進展し、可能であれば、小さな単数若しくは複数の引き込み可能ソレノイド及び/又は「マージング圧縮」スキーム(START及びMASTにおいて使用されるような)からの磁束とともに、延伸ダイバータ構成にまで至る。ST概念の主要な利点は、プラズマが非常に低いインダクタンスを有することにある。それゆえ、必要に応じて大プラズマ電流が容易に得られる。すなわち、プラズマを拘束するのに必要な増加垂直磁場からの束投入が著しくなる(非特許文献18)。簡単な内部大半径伝導体が生成するプラズマリングのシーケンスを加えることも、当該電流のランプアップに用いることができる。
【0106】
電流フラットトップに到達した後、付加的加熱を伴う引き続いてのプラズマ燃料供給(ガス又はペレット)が、MW範囲の核融合パワーを有するD−T燃焼をもたらす。加熱システムからの非誘導電流駆動により、燃焼持続時間が約1000秒を十分に超えることが企図され、当該システムは定常状態運転のために設計される。診断センサからのフィードバックに基づくPFシステム、ポンピング、燃料供給(H、D、T、及び、必要に応じてHe、並びに、N
2、Ne、及びArのような不純物)、及び加熱システムによって、統合プラズマ制御が与えられる。
【0107】
補助加熱及び電流駆動システムのパワーを低減し、引き続いての電流のランプダウン及びプラズマ終了により、パルスを終了させることができる。加熱及び電流駆動システム並びに冷却システムは、長パルス動作のために設計されるが、当該パルス持続時間は、プラズマに面するコンポーネントのホットスポットの進展及び当該プラズマ内の不純物増加により決定することができる。
【0108】
上記概要のアプローチにより、正味のパワー生成を目的とする従前の設計よりもはるかに小さく、これに対応して低い建設及び運転コスト(既存設計の1/5から1/15の体積、磁場エネルギー及びトリチウム消費が10から100倍低い)を有する高効率コンパクト核融合炉(ECFR)の設計が可能となる。ECFRは、定常状態運転、プラズマ制御、トリチウム運転等のような従前は未試験であった領域を評価する一方、科学的研究、材料試験、医療等のアプリケーションのための同位体生成等にとって理想的な少なくとも1MWの核融合中性子を生成するのに理想的な最初の装置である。ECFRは、正味のエネルギーを長期間にわたって生成することができる。このようにしてこれは、核融合技術の有用な実証をはるかに超え得るので、核融合発電所の最初の実現可能な実証となり得る。
【0109】
この設計は、新しくかつ確立された技術の新規な組み合わせによって可能となる。当該技術は、プラズマ立ち上げと、プラズマ電流のランプアップと、相対的に低い電流、磁場及び補助加熱において中性子生成を向上させる鍵となる方法と、改善されたエネルギー閉じ込めの使用と、中性子エネルギーを制御可能かつチューニング可能に変える手段と、定常状態運転をもたらす効率的な手段と、排出熱負荷に対処する方法と、コイル巻線保護及び中性子出力制御双方に対する遮蔽体及びオプションのリフレクタを特徴とする特別な建設方法と、小さな球状トカマクにおける例外的に高いトロイダル磁場とをカバーする広範囲にわたる。
【0110】
エネルギー又は中性子源としての使用に適したHTS磁石を有する球状トカマクの1/4断面図が
図6Aに示される。
図4に示される主要コンポーネントに加え、このトカマクの重要な特徴は、HTS又はベリリウム若しくはアルミニウムいずれかであり得る中心柱61、中心柱の冷却を可能とする熱絶縁及び冷却チャネル62、HTS製外側取り付けコイル64への中性子損傷を防止する遮蔽体63、HTSを冷却するクライオスタット65、並びに遮蔽体63の内側又は外側に存在し得る真空容器66である。
【0111】
中心柱61に対してはいくつかのオプションが存在する。一つのオプションは、中性子遮蔽あり又はなしのHTSを含む。
図6Bに示される他のオプションは、ベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料の内側部分61、冷却材チャネル62a、真空絶縁体62b及び熱絶縁体62cである。さらなるオプションは
図6Cに示されており、内側部分61bがHTS製であり、かつ、外側部分61cが、中性子からのHTSへの損傷に対する所定の遮蔽を与えるベリリウム、アルミニウム又は他の非HTS材料製である組み合わせによって形成される。球状トカマクにおける空間上の制約に応じて、付加的な中性子遮蔽を各オプションに加えることができる。
【0112】
プラズマ立ち上げ:方法は、マージング圧縮と、プラズマ電流を増大させるプラズマリングを振動電流が生成するための磁気ポンピングと、引き込み可能ソレノイド又はかかるソレノイドの対の使用と、ジャイロトロンによるRF電流立ち上げとを含む。
【0113】
電流ランプアップ:方法は、予め冷却された高温超伝導体ソレノイドであり得る単数又は複数の引き込み可能ソレノイドと、RF電流駆動と、成長するプラズマを包含するのに必要なポロイダル磁場の急増が、プラズマ電流を所望動作値までランプアップさせるのにほぼ十分な磁束を投入するべく、プラズマを加熱することによりもたらされる効率的な駆動とを含む。
【0114】
向上した中性子生成:従来型核融合装置においては、ほぼすべての中性子生成がプラズマの中心最高温度領域の熱核融合から生じる。対照的に、SCFNS超コンパクト中性子源においては、ほとんどの中性子生成は、一以上の中性ビームとプラズマとの相互作用に由来する。提案のECFR装置においては、トロイダル磁場の高い値によって高プラズマ温度が得られ、かつ、中性子出力が熱とビーム・熱核融合との混合となる。新たなモデル化によって示されるのは、高度に延伸したプラズマ(ST本来の特徴)を通って最適角で向けられる場合のNBIビームの相対的に長い経路によってかつトリチウム割合を最適化することによって、中性子生成がさらに向上されるということである。トリチウム割合は、加熱及び電流駆動と同様に燃料補給も与えるジュウテリウム又はトリチウムいずれかの中性ビームを使用することで最適化することができる。
【0115】
可変中性子エネルギー:従来型核融合装置において、中性子エネルギーは、D−T核融合に対しては14MeVに、D−D核融合に対しては2.5MeVに固定される。提案の装置の一つのバージョンでは、イオンサイクロトロン共鳴加熱(ICRH)を誘導するべく構成されたアンテナが、トロイダルチャンバの内側に取り付けられる。このICRHシステムはまた、放出される中性子のエネルギーを数MeVだけ、制御可能かつチューニング可能に増加させるべく構成し得る。
【0116】
D−D核融合からの中性子出力最適化:いくつかのアプリケーションに対しては最高中性子束及びエネルギーを達成するのにD−T核融合が最善の方法である一方、トリチウムに関連する問題(例えば、コスト、複雑性、安全性、規制、又は入手可能性)を回避し、その代わりにICRHを使用して中性子エネルギーを増加させ及び/又はD−Dプラズマ加熱で中性子束を増加させることが有効であり得る。このICRHの使用は、高トロイダル磁場及び高プラズマ電流と組み合わせることにより、同じ中性子束を生成するD−T核融合システムよりもコスト効率がよいシステムにおいて、D−D核融合由来の驚くべきほど高い中性子出力を与えることができる。JETによるデータ(非特許文献4)は、ICRHが、中性子収率をD−D核融合に対して14倍だけ増加させ得ることを示す。
【0117】
好ましい閉じ込めスケーリング:最近の研究は、STにおけるエネルギー閉じ込めが、従来型トカマクに対して導出されたITERスケーリングよりも磁場依存性が強く、プラズマ電流依存性が低いことを提案する。この予測は、ECFRの高磁場及び相対的に低いプラズマ電流に対して非常に有望である。
【0118】
建設上の特徴:低電圧トロイダル磁場コイルセグメントが、高強度と相対的に高い抵抗とを組み合わせるステンレス鋼によって絶縁され得る。TFシステムが、CCFEのVossが開発したフェルト金属摺動ジョイントの高デューティーバージョンを利用して取り付け解除可能である。当該装置自体が、PFコイル及び外部TFコイルを低エネルギー中性子から保護し並びに中性子の主要ストリームを研究及び処理タスクに向けるべく、重水タンクと(例えばBe又はPbの)遮蔽/リフレクタ層との組み合わせを特徴とする。
【0119】
磁場を遮蔽する鉄管を通して正イオンビームをプラズマの中に直接打ち込むことも可能である。
【0120】
わかることだが、ここに記載されたコンパクト核融合炉は、大型トカマクよりもはるかに大きな単位プラズマ体積当たりの表面積を有する。一般に、コスト及び実装困難性がプラズマ体積に対して少なくとも直線的に比例する一方、エネルギー出力(これは受容可能な損傷レベルによって制限されるとみなし得る)は表面積に対して直線的に比例する。加えて、「一つ(又はいくつか)しかない」装置のコストが、「たくさんある」装置のコストよりも高くなることは周知である。したがって、多くの小型核融合炉が、一つの大型核融合炉よりも単位正味パワー出力当たり安価となる可能性は高いと思われる。
【0121】
上記実施形態からの変形も依然として本発明の範囲内にあることがわかる。