(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係るネットワーク接続装置を、Wクライアント(ウォールクライアント:Wall Client、壁クライアント)と呼ぶ。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るWクライアントシステムの構成例を示した図である。
図1に示すように、Wクライアントシステムは、Wクライアント10と、ネットワーク20と、情報処理装置30とを有している。
【0012】
図1には、建物S1〜S3が示してある。建物S1〜S3は、例えば、家、ビル、または宿泊施設などの建物である。
【0013】
図1の建物S1には、建物S1内の壁W1の一部断面が示してある。Wクライアント10は、壁W1内に設置される。
【0014】
Wクライアント10は、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタが挿入されるコネクタを有し、そのコネクタが壁W1の外面に現れるように壁W1内に設置される。すなわち、Wクライアント10は、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタが挿入可能なように、壁W1内に設置されている。建物S2,S3も建物S1と同様に、建物内の壁内にWクライアントが設置されている。
【0015】
入力装置1,2は、例えば、キーボードなどのキー入力装置やマウスなどのポインティングデバイスなどである。出力装置3は、例えば、LCD(Liquid crystal display)などの表示装置(モニタ)である。
【0016】
Wクライアント10は、ネットワーク20を介して、情報処理装置30と接続されている。ネットワーク20は、例えば、インターネットや専用線である。
【0017】
情報処理装置30は、例えば、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバである。情報処理装置30は、内部に複数の仮想コンピュータ31,32,…,33を生成し、ユーザに仮想デスクトップを提供する。
【0018】
建物S1のWクライアント10には、例えば、仮想コンピュータ31が割り当てられている。建物S2のWクライアントには、例えば、仮想コンピュータ32が割り当てられている。建物S3のWクライアントには、例えば、仮想コンピュータ33が割り当てられている。従って、例えば、建物S1の住人等であるユーザは、建物S1に設置されたWクライアント10を介して、仮想コンピュータ31の仮想デスクトップを使用することができる。建物S2の住人等であるユーザは、建物S2に設置されたWクライアントを介して、仮想コンピュータ32の仮想デスクトップを使用することができる。建物S3の住人等であるユーザは、建物S3に設置されたWクライアントを介して、仮想コンピュータ33の仮想デスクトップを使用することができる。
【0019】
図1のWクライアントシステムの動作について説明する。建物S1の住人等であるユーザは、建物S1において、情報処理装置30が提供する仮想コンピュータ31にアクセスしたいとする。この場合、ユーザは、入力装置1,2のコネクタと、出力装置3のコネクタとを、壁W1内に設置されているWクライアント10のコネクタに挿入する。
【0020】
Wクライアント10は、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタの少なくとも1つの接続を検出すると、Wクライアント10に割り当てられた仮想コンピュータ31に接続要求を行う。これにより、入力装置1,2および出力装置3は、Wクライアント10を介して、仮想コンピュータ31と通信を行うことができる。
【0021】
このように、Wクライアント10は、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタの少なくとも1つの接続を検出すると、Wクライアント10に割り当てられた仮想コンピュータ31に接続要求を行う。これにより、ユーザは、仮想コンピュータ31に接続を行うための資源を備えた端末装置等を用いなくても、仮想コンピュータ31にアクセスすることができる。例えば、ユーザは、仮想コンピュータ31に接続を行うためのアプリケーションソフトや、それを実行するCPU、記憶装置、およびオペレーティングシステム等を備えたパーソナルコンピュータ等を用いなくても、キーボード、マウス、およびモニタなど、資源の少ない装置をWクライアント10に接続することにより、仮想コンピュータ31にアクセスすることができる。
【0022】
なお、
図1では、建物S1〜S3は、3つしか示していないが、これに限られない。例えば、建物は、4以上あってもよい。
【0023】
また、
図1では、Wクライアント10は、建物S1内の壁W1内に1つしか設置されていないが、これに限られない。例えば、Wクライアント10は、建物S1内の壁W1内に2以上設置されてもよい。
【0024】
また、
図1では、Wクライアント10に2つの入力装置1,2が接続され、1つの出力装置3が接続されるとしたが、これに限られない。例えば、Wクライアント10には、1つの入力装置が接続され、2以上の出力装置が接続されてもよい。
【0025】
図2は、壁内に設置されたWクライアントの斜視図である。
図2において、
図1と同じものには、同じ符号が付してある。
図2に示すように、Wクライアント10は、壁W1内に設置される。
【0026】
Wクライアント10は、フロントパネル10aを有している。
図2では、フロントパネル10aの一部が、壁W1の外面へ現れている。
【0027】
フロントパネル10aには、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタが接続されるためのコネクタ11a〜11cが設けられている。コネクタ11a,11bは、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタである。コネクタ11cは、例えば、HDMI(High Definition Multimedia Interface)コネクタである。これにより、例えば、コネクタ11aには、USBコネクタを有するキーボードを接続することがき、コネクタ11bには、USBコネクタを有するマウスを接続することがきる。また、コネクタ11cには、HDMIコネクタを有するモニタを接続することができる。
【0028】
Wクライアント10は、
図2に示すように、コネクタ11a〜11cが壁W1の外面に現れるよう、壁W1内に設置される。これにより、ユーザは、キーボード、マウス、およびモニタ等の入出力装置を壁W1に接続(Wクライアント10に接続)することができる。そして、ユーザは、Wクライアント10に割り当てられている仮想コンピュータ31にアクセスすることができる。
【0029】
なお、
図2では、Wクライアント10は、3つのコネクタ11a〜11cを有しているが、これに限られない。例えば、Wクライアント10は、4つ以上のコネクタを有していてもよい。
【0030】
また、コネクタ11a〜11cの種類は、USBコネクタやHDMIコネクタに限られない。例えば、コネクタ11a〜11cは、イヤホンジャック等のコネクタであってもよい。
【0031】
図3は、Wクライアントのブロックの一例を示した図である。
図3において、
図2と同じものには同じ符号が付してある。
図3に示すように、Wクライアント10は、コネクタ11a〜11cと、検出部12と、通信部13と、コネクタ14と、を有している。
【0032】
コネクタ11a〜11cは、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタが接続されるコネクタである。コネクタ11a〜11cは、例えば、USBコネクタやHDMIコネクタである。
【0033】
検出部12は、入力装置1,2または出力装置3(以下、単に入出力装置と呼ぶことがある)のコネクタの、コネクタ11aへの接続を検出する。すなわち、検出部12は、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出する。
【0034】
検出部12は、入出力装置のコネクタ11aへの接続を、一般的な方法を用いて検出することができる。例えば、検出部12は、コネクタ11aがUSBコネクタの場合、一般的なUSB装置の検出方法を用いて、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出することができる。また、検出部12は、コネクタ11aがHDMIコネクタの場合、一般的なHDMI装置の検出方法を用いて、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出することができる。
【0035】
なお、
図3の例では、検出部12は、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出しているが、コネクタ11b,11cへの接続も検出してもよい。また、検出部12は、コネクタ11a〜11cの少なくとも1つに対して、入出力装置の接続を検出してもよい。例えば、検出部12は、コネクタ11a,11bの両方に入出力装置が接続された場合に、入出力装置のコネクタへの接続を検出してもよい。または、検出部12は、コネクタ11a〜11cの全てに入出力装置が接続された場合に、入出力装置のコネクタへの接続を検出してもよい。
【0036】
検出部12は、例えば、CPU、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を有したマイクロプロセッサ等によって実現される。ROMには、例えば、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出するプログラムが記憶されており、CPUがそのプログラムを実行することにより、検出部12の機能が実現される。RAMには、ROMに記憶されたプログラムの一部や、CPUが演算等を行う際のデータが一時的に記憶される。検出部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によってその機能を実現するようにしてもよい。
【0037】
通信部13は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、ネットワーク20に接続されている情報処理装置30と通信を開始する。そして、通信部13は、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、ネットワーク20に接続されている情報処理装置30との間の通信を仲介する(例えば、通信部13は、コネクタ11a〜11cに接続される入出力装置の通信機能を担い、情報処理装置30と通信を行う)。
【0038】
例えば、通信部13は、Wクライアント10に割り当てられた情報処理装置30の仮想コンピュータ31のIPアドレスを予め記憶している。通信部13は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、予め記憶しているIPアドレス等を用いて、ネットワーク20に接続されている情報処理装置30の仮想コンピュータ31に接続要求を行う。そして、通信部13は、仮想コンピュータ31との通信の接続が確立されると、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、仮想コンピュータ31との間の通信を仲介する。通信部13は、例えば、VPN(Virtual Private Network)や専用線によって、仮想コンピュータ31と通信を行う。
【0039】
通信部13と仮想コンピュータ31との間の通信が確立されると、例えば、情報処理装置30のビデオカードは、仮想デスクトップ画面の画像データを通信部13に送信する。通信部13は、受信した仮想デスクトップ画面の画像データを、コネクタ11a〜11cに接続されたモニタ等の出力装置3に出力する。これにより、ユーザは、仮想コンピュータ31を用いて、様々な作業を行うことができるようになる。
【0040】
通信部13は、例えば、CPU、ROM、およびRAM等を有したマイクロプロセッサとONU(Optical Network Unit)とよって実現される。マイクロプロセッサは、例えば、ROMに記憶されたプログラムに従って、情報処理装置30の仮想コンピュータ31に接続要求を行ったり、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、仮想コンピュータ31との間の通信を制御したりする。その際、マイクロプロセッサは、ROMまたはRAMに予め記憶された、Wクライアント10に割り当てられた仮想コンピュータ31のIPアドレスを参照する。また、マイクロプロセッサは、コネクタ11a〜11cに接続されたキーボードやマウス等から送られてくるデータを、パケットに格納したり、仮想コンピュータ31から送られてくるパケットから、コネクタ11a〜11cに接続されたモニタ等に出力する画像データを抽出したりする。ONUは、電気−光信号変換を行う。例えば、ONUは、マイクロプロセッサから出力された電気信号を光信号に変換してネットワーク20に出力し、ネットワーク20から受信した光信号を電気信号に変換してマイクロプロセッサに出力する。
【0041】
通信部13は、サウスブリッジやASICによってその機能を実現するようにしてもよい。また、検出部12と通信部13は、1つのマイクロプロセッサで実現してもよい。
【0042】
コネクタ14は、ネットワーク20に接続されている。コネクタ14は、例えば、SC(Square Shaped)コネクタであり、光ケーブルと接続される。
【0043】
図4は、Wクライアントの動作の一例を示したフローチャートである。Wクライアント10は、
図4に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0044】
まず、検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されたか否か判定する(ステップS1)。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されていないと判定した場合(S1の「No」)、ステップS1の処理を続ける。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されたと判定した場合(S1の「Yes」)、処理をステップS2に移行する。
【0045】
通信部13は、ステップS1にて、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出された場合(S1の「Yes」)、情報処理装置30の仮想コンピュータ31に接続要求を行う(ステップS2)。
【0046】
次に、通信部13は、ステップS2にて、情報処理装置30の仮想コンピュータ31に接続要求を行って、仮想コンピュータ31との通信の接続を確立すると、仮想コンピュータ31と通信を行う(ステップS3)。すなわち、通信部13は、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、仮想コンピュータ31との間の通信を仲介する。例えば、通信部13は、仮想コンピュータ31から送られてくる、仮想デスクトップ画面の画像データを受信し、コネクタ11a〜11cに接続されているモニタ等に出力する。また、通信部13は、コネクタ11a〜11cに接続されているキーボードやマウス等から送られてくるデータを、仮想コンピュータ31に送信したりする。
【0047】
次に、検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されたか否か判定する(ステップS4)。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されていないと判定した場合(S4の「No」)、処理をステップS3に移行する。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されたと判定した場合(S4の「Yes」)、処理をステップS5に移行する。
【0048】
通信部13は、ステップS4にて、入出力装置がコネクタ11aから外されたと判定された場合(S4の「Yes」)、仮想コンピュータ31との通信接続を切断し、通信を終了する(ステップS5)。
【0049】
以上説明したように、Wクライアント10は、建物S1の壁W1内に設置され、Wクライアント10の検出部12は、入出力装置のコネクタ11aへの接続を検出する。そして、通信部13は、検出部12によって入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、情報処理装置30の仮想コンピュータ31と通信を行う。
【0050】
これにより、ユーザは、仮想コンピュータ31に接続を行うための資源を備えた端末装置等を用いなくても、仮想コンピュータ31にアクセスすることができる。例えば、ユーザは、資源の少ないキーボードやマウス、モニタ等をWクライアント10に接続することにより仮想コンピュータ31にアクセスすることができる。
【0051】
また、ユーザは、少ないコストで仮想コンピュータ31を使用することができる。例えば、ユーザは、キーボードやマウス、モニタ等を揃えれば、仮想コンピュータ31を使用することができる。
【0052】
また、ユーザは、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータの本体等を部屋に置かなくて済むので、部屋のスペースを有効に使用することができる。
【0053】
また、Wクライアント10は、少ない資源によって実現することができる。例えば、Wクライアント10は、入出力装置のコネクタ11a〜11cの接続を検出する資源と、入出力装置と仮想コンピュータ31との間の通信を行う資源とによって実現できる。具体的には、Wクライアント10は、大規模なCPU、汎用的なアプリケーションソフトを記憶するHDD、または大規模なメインメモリ等を必要とせず、小規模なマイクロプロセッサやASICによって実現できる。
【0054】
また、情報処理装置30は、例えば、ビデオカードを備え、圧縮画像データを復号し、復号した画像データ(非圧縮の画像データ)をWクライアント10に送信する。そして、Wクライアント10の通信部13は、非圧縮の画像データを受信し、モニタ等の出力装置3が接続されたコネクタ11a〜11cに出力する。これにより、Wクライアント10は、圧縮画像データを復号するための資源(例えば、ビデオカードや圧縮画像データを復号するCPU)を必要とせず、小規模なハードウェアで実現することができる。
【0055】
また、Wクライアント10は、小規模な資源によって実現することができるので、コストを抑えることができる。
【0056】
また、建物S1が宿泊施設等であれば、宿泊提供者は、宿泊者にパーソナルコンピュータ等の高資源な装置を貸し出さなくても、キーボードやマウス、モニタ等の低資源な装置を貸し出すだけで、宿泊者に仮想コンピュータ31の使用を提供することができる。
【0057】
なお、上記では、Wクライアント10には、キーボードやマウス、モニタ等の入出力装置が接続されるとしたが、これに限られない。例えば、Wクライアント10には、キーボードとモニタとが一体化された入出力装置、USBメモリ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライバ、プリンタ、スピーカ、イヤホン、ゲームコントローラ等の入出力装置が接続されてもよい。
【0058】
また、上記では、Wクライアント10を使用する権限のない不正ユーザ(例えば、建物S1の住人でないユーザ等)であっても、Wクライアント10に入出力装置を接続すれば、Wクライアント10に割り当てられた仮想コンピュータ31〜33にアクセスできる。そこで、通信部13は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11a〜11cへの接続が検出されると、ユーザ認証を行って、仮想コンピュータ31〜33と通信を行ってもよい。
【0059】
例えば、通信部13は、Wクライアント10を使用できるユーザのユーザID(identification)とユーザPSW(password)とを予め記憶する。通信部13は、検出部12によって入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、ユーザ認証を行う画面データを出力装置3に出力する。例えば、通信部13は、ユーザからユーザIDとユーザPSWとを受付ける画面データを出力装置3に出力する。そして、通信部13は、入力装置1,2から入力された認証情報が適切である場合(出力装置3の画面で入力されたユーザIDとユーザPSWとが、予め記憶されているユーザIDとユーザPSWと一致する場合)に、仮想コンピュータ31〜33と通信を行う。これにより、Wクライアント10は、不正ユーザのアクセスを防止することができる。ユーザ認証は、カード認証や指紋認証、筆跡認証等を用いてもよい。
【0060】
また、仮想コンピュータ31〜33が、ユーザ認証を行ってもよい。例えば、仮想コンピュータ31〜33のオペレーティングシステム等において、ユーザ認証を行うように設定すればよい。これによっても、不正ユーザのアクセスを防止することができる。
【0061】
また、Wクライアント10の通信部13は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11a〜11cへの接続が検出され、ユーザからの通信開始指示があると、情報処理装置30との通信を開始してもよい。例えば、通信部13は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、通信を行うか否かを問う画面データを出力装置3に出力する。そして、通信部13は、入力装置1,2から、通信を行う旨の指示を受信すると、仮想コンピュータ31〜33と通信を行う。
【0062】
また、壁W1には、天井の壁や柱の壁等が含まれる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。第1の実施の形態では、Wクライアントに仮想コンピュータが割り当てられ、Wクライアントは、割り当てられた仮想コンピュータと通信を行った。第2の実施の形態では、ユーザに仮想コンピュータを割り当て、Wクライアントは、ユーザに割り当てられた仮想コンピュータと通信を行う。これにより、ユーザは、どの建物の壁内に設置されたWクライアントからでも、自分に割り当てられた仮想コンピュータにアクセスできるようになる。例えば、ユーザは、出張先の宿泊施設からでも、その宿泊先にWクライアントが設置されていれば、自分に割り当てられた仮想コンピュータにアクセスできるようになる。以下では、第1の実施の形態と異なる部分ついて詳細に説明する。
【0064】
図5は、第2の実施の形態に係るWクライアントシステムの構成例を示した図である。
図5において、
図1と同じものには同じ符号が付してある。
【0065】
図5に示すWクライアントシステムは、認証装置50を有している。認証装置50は、例えば、認証サーバである。認証装置50は、ネットワーク20を介して、Wクライアント40と接続される。
【0066】
Wクライアント40を利用するユーザA〜Cには、予め情報処理装置30の仮想コンピュータ31〜33が割り当てられている。例えば、ユーザAには、仮想コンピュータ31が割り当てられている。ユーザBには、仮想コンピュータ32が割り当てられている。ユーザCには、仮想コンピュータ33が割り当てられている。
【0067】
認証装置50には、仮想コンピュータ31〜33を使用できるユーザA〜Cのユーザ情報と、ユーザA〜Cに割り当てられた仮想コンピュータ31〜33の情報とが記憶されている。ユーザ情報は、例えば、仮想コンピュータ31〜33にアクセスするためのユーザIDとユーザPSWとであり、仮想コンピュータ31〜33の情報は、例えば、仮想コンピュータ31〜33のIPアドレスである。
【0068】
図6は、認証装置に記憶される認証情報のデータ構成例を示した図である。
図6に示す認証情報60は、例えば、認証装置50に記憶されている。認証情報60は、ユーザID61と、ユーザPSW62と、IPアドレス63とを有している。
【0069】
ユーザID61およびユーザPSW62は、ユーザA〜Cが仮想コンピュータ31〜33にアクセスするためのユーザ情報である。ユーザID61およびユーザPSW62は、例えば、Wクライアントシステムを提供する業者または仮想コンピュータ31〜33を提供する業者によって発行される。
【0070】
例えば、業者は、Wクライアントシステムを利用したいユーザA〜Cからの申込みに応じて、ユーザID61およびユーザPSW62をユーザA〜Cに発行する。そして、業者は、ユーザA〜Cに発行したユーザID61およびユーザPSW62と、ユーザA〜Cに割り当てた仮想コンピュータ31〜33のIPアドレス63とを対応づけて、認証装置50に記憶する。
【0071】
例えば、ユーザAには、IPアドレスが「xxx」の仮想コンピュータ31が割り当てられたとする。そして、ユーザAには、割り当てられた仮想コンピュータ31を利用するためのユーザID「aaa」とユーザPSW「xyz」とが発行されたとする。この場合、認証情報60のユーザID61には、「aaa」が記憶され、ユーザPSW62には、「xyz」が記憶され、IPアドレス63には、「xxx」が記憶される。
【0072】
図5に戻り、Wクライアントシステムの動作について説明する。ユーザAは、自分に割り当てられた情報処理装置30の仮想コンピュータ31にアクセスしたいとする。この場合、ユーザAは、入力装置1,2のコネクタと、出力装置3のコネクタとを、Wクライアント40のコネクタに挿入する。
【0073】
Wクライアント40は、入力装置1,2のコネクタおよび出力装置3のコネクタの少なくとも1つの接続を検出すると、認証装置50に認証要求を行う。認証装置50は、Wクライアント40から認証要求があると、ユーザ認証を行うための画像データを、Wクライアント40に送信する。Wクライアント40は、認証装置50からユーザの認証画面の画像データを受信すると、受信した画像データを出力装置3に出力する。
【0074】
図7は、出力装置に表示される画面例を示した図である。
図7に示すように、出力装置3には、認証画面70が表示される。認証画面70には、ユーザIDを入力するための入力ボックス71と、ユーザPSWを入力するための入力ボックス72とが表示される。
【0075】
ユーザAは、出力装置3に表示された認証画面70において、業者から発行されたユーザIDとユーザPSWとを、入力装置1,2を用いて入力する。例えば、ユーザAは、ユーザID「aaa」と、ユーザPSW62「xyz」とを、入力ボックス71,72に入力する。Wクライアント40は、入力されたユーザIDとユーザPSWとを認証装置50に送信する。
【0076】
認証装置50は、ユーザIDとユーザPSWとを受信すると、記憶装置に記憶されている認証情報60を参照し、認証処理を行う。認証装置50は、受信したユーザIDとユーザPSWとが、認証情報60のユーザID61とユーザPSW62と一致すると、対応するIPアドレス63をWクライアント40に送信する。上記例の場合、認証装置50は、ユーザAに割り当てられた仮想コンピュータ31のIPアドレス「xxx」をWクライアント40に送信する。
【0077】
Wクライアント40は、認証装置50から送信されたIPアドレスを用いて、仮想コンピュータ31と通信を行う。これにより、ユーザAは、自分に割り当てられた仮想コンピュータ31を使用することができる。
【0078】
このように、Wクライアント40は、認証装置50によってユーザAのユーザ認証が適切であると判定されると、ユーザAに割り当てられた仮想コンピュータ31と通信を行う。これにより、ユーザAは、例えば、建物S2,S3に設置されたWクライアント40からでも、自分に割り当てられた仮想コンピュータ31と通信を行うことができる。
【0079】
図8は、Wクライアントのブロックの一例を示した図である。
図8において、
図3と同じものには同じ符号が付してある。以下では、
図3と異なる部分について説明する。
【0080】
図8に示すように、Wクライアント40は、通信部41を有している。通信部41は、記憶部41aを有している。
【0081】
通信部41は、検出部12によって、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出されると、認証装置50にアクセスする。そして、通信部41は、認証装置50から、例えば、
図7に示した認証画面70の画像データを受信し、出力装置3に出力する。
【0082】
通信部41は、入力装置1,2から、ユーザA〜CのユーザIDとユーザPSWとを受信する。そして、通信部41は、受信したユーザIDとユーザPSWとを、認証装置50に送信する。
【0083】
認証装置50は、受信したユーザIDとユーザPSWとに基づいて、認証情報60を参照し、ユーザ認証を行う。認証装置50は、ユーザ認証が適切であると判定した場合、受信したユーザIDとユーザPSWとに対応するIPアドレスをWクライアン40の通信部41に送信する。
【0084】
通信部41は、受信したIPアドレスを記憶部41aに記憶する。そして、通信部41は、記憶部41aに記憶したIPアドレス等を用いて、ネットワーク20に接続されている情報処理装置30の仮想コンピュータ31〜33に接続要求を行う。そして、通信部41は、仮想コンピュータ31〜33との通信の接続が確立されると、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、仮想コンピュータ31との間の通信を仲介する。
【0085】
図9は、Wクライアントの動作の一例を示したフローチャートである。Wクライアント10は、
図9に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0086】
まず、検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されたか否か判定する(ステップS11)。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されていないと判定した場合(S11の「No」)、ステップS11の処理を続ける。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aに接続されたと判定した場合(S11の「Yes」)、処理をステップS12に移行する。
【0087】
通信部41は、ステップS11にて、入出力装置のコネクタ11aへの接続が検出された場合(S11の「Yes」)、認証装置50にアクセスし、認証画面の画像データを受信する(ステップS12)。そして、通信部41は、受信した認証画面の画像データを、コネクタ11a〜11cに接続されたモニタ等の出力装置3に出力する。
【0088】
次に、通信部41は、コネクタ11a〜11cに接続された入力装置1,2から、ユーザが入力したユーザ情報(ユーザIDとユーザPSW)を受信し、認証装置50に送信する(ステップS13)。
【0089】
なお、認証装置50は、通信部41から送信されたユーザ情報に基づいて、ユーザの認証処理を行う。認証装置50は、ユーザの認証が適切であると判定した場合、ユーザ情報に対応するIPアドレスを通信部41に送信する。すなわち、認証装置50は、認証要求を行ってきたユーザの認証が適切であると判定した場合、そのユーザに割り当てられている仮想コンピュータのIPアドレスを通信部41に送信する。
【0090】
次に、通信部41は、認証装置50からIPアドレスを受信し、記憶部41aに記憶する(ステップS14)。
【0091】
次に、通信部41は、記憶部41aに記憶したIPアドレスを参照し、情報処理装置30の仮想コンピュータ31〜33に接続要求を行う(ステップS15)。
【0092】
次に、通信部41は、ステップS15にて、情報処理装置30の仮想コンピュータ31〜33に接続要求を行って、仮想コンピュータ31〜33との通信の接続を確立すると、仮想コンピュータ31〜33と通信を行う(ステップS16)。すなわち、通信部41は、コネクタ11a〜11cに接続された入出力装置と、仮想コンピュータ31〜33との間の通信を仲介する。通信部41は、ステップS14にて記憶部41aに記憶したIPアドレスを用いて、仮想コンピュータ31〜33と通信を行う。
【0093】
次に、検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されたか否か判定する(ステップS17)。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されていないと判定した場合(S17の「No」)、処理をステップS16に移行する。検出部12は、入出力装置がコネクタ11aから外されたと判定した場合(S17の「Yes」)、処理をステップS18に移行する。
【0094】
通信部41は、ステップS17にて、入出力装置がコネクタ11aから外されたと判定された場合(S17の「Yes」)、仮想コンピュータ31〜33との通信接続を切断し、通信を終了する(ステップS18)。
【0095】
次に、通信部41は、記憶部41aに記憶したIPアドレスを消去する(ステップS19)。
【0096】
以上説明したように、Wクライアント40は、ユーザに割り当てられた仮想コンピュータ31〜33と通信を行う。これにより、ユーザは、どのWクライアント40からも、仮想コンピュータ31〜33にアクセスすることができる。
【0097】
なお、上記では、情報処理装置30と認証装置50は、別々の装置として説明したが、同じ装置で実現してもよい。例えば、情報処理装置30が認証装置50を有していてもよい。
【0098】
また、認証装置50は、ダイナミックにIPアドレスをユーザに割り当ててもよい。例えば、認証装置50は、ユーザにダイナミックに割り当て可能なIPアドレスを複数有している。認証装置50は、ユーザの要求に応じてユーザ認証を行い、そのユーザが適切なユーザであると判定した場合、そのユーザに、複数あるうちの1つのIPアドレスを割り当てる。そして、認証装置50は、IPアドレスを割り当てたユーザが、仮想コンピュータ31〜33の使用を終えると(例えば、
図9のステップS18の処理を実行すると)、そのユーザに割り当てていたIPアドレスを開放し、他のユーザに割り当て可能なIPアドレスとする。
【0099】
また、ユーザ認証は、カード認証や指紋認証、筆跡認証等を用いてもよい。
【0100】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、Wクライアントを壁内に設置しなくても仮想コンピュータを利用することができる。
【0101】
図10は、第3の実施の形態に係るWクライアントの斜視図である。
図10に示すように、Wクライアント80は、壁W11内に設置されず、壁外に載置できるようになっている。
【0102】
Wクライアント80は、入出力装置が接続されるためのコネクタ11a〜11cを有している。また、Wクライアント80は、コネクタ81を有している。コネクタ81は、Wクライアント80の図示していない通信部とケーブルを介して接続されている。Wクライアント80は、
図3で説明したWクライアント10または
図8で説明したWクライアント40と同様の機能を有している。
【0103】
コネクタ81は、壁W11に設けられたコネクタ91と接続される。壁W11に設けられたコネクタ91は、例えば、モジュラージャックであり、ネットワーク20に接続されている。これにより、Wクライアント80は、コネクタ81が壁W11のコネクタ91に接続されることにより、情報処理装置30と通信することができる。
【0104】
以上説明したように、Wクライアント80は、ネットワーク20に接続されるコネクタ81を有する。これにより、Wクライアント80は、壁W11内に設置されなくても、コネクタ81を、壁W11のコネクタ91に接続することにより、情報処理装置30と通信することができる。
【0105】
また、Wクライアント80は、例えば、壁W11内に設置するための工事等が不要となる。
【0106】
なお、上記では、Wクライアント80は、有線によってネットワーク20に接続されるが、無線によってネットワーク20に接続されてもよい。例えば、Wクライアント80の通信部は、無線通信機能を有し、携帯電話の無線ネットワークやWiMAXの無線ネットワーク等を介して、ネットワーク20に接続するようにしてもよい。
【0107】
上述したWクライアントシステムの機能構成は、Wクライアントシステムの構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。Wクライアントシステムの構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0108】
また、上述したフローチャートの各処理単位は、Wクライアントシステムの処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。Wクライアントシステムの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、処理の順番も上記フローチャートに限られない。
【0109】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、上記の各実施の形態を組み合わせることもできる。また、本発明は、ネットワーク接続方法、Wクライアントのネットワークに接続するプログラム、当該プログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。