【実施例】
【0017】
図1は、本発明に係るコウモリ種の判別方法を実施するのに好適な、第1のシステム構成装置を示す全体図である。その第1のシステム構成装置11では、空中に浮遊し得る飛翔体12と、その飛翔体12に取り付けられて該飛翔体12と共に空中に浮遊される採取器13等で構成されている。
【0018】
前記飛翔体12は、遠隔操作やコンピュータ制御によって飛行して、空中を浮遊し得る、例えばドローンと呼ばれる無人航空機である。その飛翔体12には、GPS(全地球測位システム)が組み込まれており、現在地の緯度・経度及び高さを計算しながら、予め設定された定位置(緯度・経度及び高さ)に浮遊された状態で飛行し得る。その飛翔体12の高度は、遠隔制御により250メートル程度まで浮遊することが可能である。
【0019】
前記採取器13は、円環状に形成されたヘリウムガス風船14と、そのヘリウムガス風船14の下面全周から環状に垂れ下がった状態にして、該ヘリウムガス風船14に取り付けられているカスミ網15と、よりなる。また、ヘリウムガス風船14内には、空気よりも軽い機体であるヘリウムガスが充填されている。したがって、ヘリウムガス風船14は浮力を有し、カスミ網15と共に空中に浮遊し得る状態になっている。一方、カスミ網15は、黒色若しくは半透明な糸を使用して網状に形成されており、飛来するコウモリ種が網目内に突入して捕獲できるようになっている。
【0020】
さらに、前記採取器13には、環状に垂れ下がったカスミ網15の内部に、コウモリ種の餌となる蛾などを誘引するための集虫灯16が取り付けられている。その集虫灯16は、明るくて電力消費の少ない、例えばLEDなどが使用される。
【0021】
そして、採取器13と飛翔体12との間は、連結紐17と連結棒18及び連結ロープ19を介して連結されており、この連結により前記飛翔体12と採取器13と集虫灯16は一体化されている。
【0022】
このように構成されたシステム構成装置11は、
図1に示すように、夜間、採取器13及び集虫灯16を吊り下げた飛翔体12をコウモリ種の既知のねぐらや飛来位置付近などにおける、森林上空の定位置(例えば、10メートルから100メートル程度の高高度位置)に浮遊させておく。この状態で、コウモリ種が集虫灯16に集まった蛾などの餌をめがけて飛来してくると、カスミ網15にコウモリ種が懸かり、コウモリ種自体が検体として捕獲される。そして、コウモリ種自体が捕獲された場合は、そのコウモリ種からコウモリの種類を直接判別することができる。
【0023】
したがって、このようにして飛来しているコウモリ種の判別を行うにより、周囲に生息するコウモリ種を知り、バードストライクや環境アセスメント資料として使用することができる。
【0024】
なお、
図1に示したシステム構成装置11では、採取器13と飛翔体12との間を、連結紐17と連結棒18及び連結ロープ19を介して連結し、その連結により採取器13と前記飛翔体12と集虫灯16を一体化してなる構成を開示した。しかし、この構成に限ることなく、例えば
図2に示すような構成にすることも可能である。
【0025】
すなわち、
図2は
図1に示したシステム構成装置11の変形例である。その
図2に示すシステム構成装置11の構成を、
図1と同じ部材には同じ符号を付し、構成の異なる部分だけを次に説明する。
図2に示すシステム構成装置11では、飛翔体12の下面側から支柱20を垂下させている。また、その支柱20の下端部分に集虫灯16を取り付け、さらに支柱20の途中に連結紐17を介して採取器13を取り付けている。これにより、前記飛翔体12と採取器13と集虫灯16が一体化されている。
【0026】
したがって、
図2に示す変形例によるシステム構成装置11でも、夜間、採取器13及び集虫灯16が吊り下げられた飛翔体12を、コウモリ種の既知のねぐらや飛来位置付近などにおける、森林上空の定位置(高高度位置)に浮遊させておくと、カスミ網15でコウモリ種を検体として採取することができる。そして、その検体から飛来しているコウモリ種の判別を行い、周囲に生息するコウモリ種を知って環境モニタリング資料として使用することができる。
【0027】
また、
図2に
図1の変形例として示したシステム構成装置11を更に
図3に示す変形例のようにして実施することも可能である。すなわち、
図3は
図2に示したシステム構成装置11を更に変形例したものである。その
図3に示すシステム構成装置11の構成を、
図1及び
図2と同じ部材には同じ符号を付し、構成の異なる部分だけを次に説明する。
図3に示すシステム構成装置11では、支柱20の下端部分に採取器13を取り付けている。その採取器13は、支柱20の外周等間隔の位置から放射状に外側へ水平に延びる4本の梁21と、各梁21からそれぞれ幕状にして垂れ下がる、4枚のカスミ網25とでなる。そして、前記集虫灯16は、その垂れ下がった4つのカスミ網25の中心に配置されている。
【0028】
したがって、
図3に示す変形例によるシステム構成装置11でも、採取器13及び集虫灯16が吊り下げられた飛翔体12を、夜間、コウモリ種の既知のねぐらや飛来位置付近などにおける森林上空の定位置(高高度位置)に浮遊させておくと、カスミ網25でコウモリ種を検体として採取することができる。そして、その検体から飛来しているコウモリ種の判別を行い、周囲に生息するコウモリ種を知って環境モニタリング資料として使用することができる。
【0029】
次に、
図4は、本発明に係るコウモリ種の判別方法を実施するのに好適な、第2のシステム構成装置31を示す全体図である。その
図4に示すシステム構成装置31の構成を、
図1〜
図3に示した第1のシステム装置11と同じ部材には同じ符号を付し、構成の異なる部分だけを次に説明する。その第2のシステム構成装置31は、飛翔体12の下面側から支柱32を垂下させ、その支柱32の下端部分に採取器13を取り付けている。その採取器13は、
図3に示した採取器13と同様に、支柱32の外周等間隔の位置から放射状に外側へ水平に延びる4本の梁21と、その各梁21からそれぞれ幕状にして垂れ下がる4枚のカスミ網25とでなる。そして、前記集虫灯16は、その垂れ下がった4つのカスミ網25の中心に配置されている。
【0030】
また、各梁21にはそれぞれ、ヘリウムガスが充填された浮遊するヘリウムガス風船34を取り付け、そのヘリウムガス風船で採取器13に浮力を与え、飛翔体12の浮遊力を軽減させている。さらに、支柱32には、ロープ33が取り付けられ、第2のシステム構成装置31が風などで不用意に飛んでいかないようにするために、そのロープ33を介して地上の定位置に留めておくことができるようになっている。
【0031】
このように構成された第2のシステム構成装置31は、
図4中に示すように、夜間、採取器13及び集虫灯16を吊り下げた飛翔体12を風力発電装置35付近もしくはその計画予定地に浮遊させておく。この状態で、コウモリ種が集虫灯16に集まった蛾などの餌をめがけて飛来してくると、カスミ網25にコウモリ種が懸かり、コウモリ種自体が検体として捕獲される。そして、捕獲されたコウモリ種からコウモリの種類を直接判別することができる。こうして飛来しているコウモリ種の判別を行うにより、周囲に生息するコウモリ種を知り、またバードストライクや環境アセスメント資料などとして使用することができる。
【0032】
なお、
図1〜
図4に示す各実施例及び変形例において、集虫灯16に変えて、コウモリ類の好きな餌、若しくは疑似餌を取り付けてもよい。
【0033】
次に、
図5は、本発明に係るコウモリ種の判別方法を実施するのに好適な、第3のシステム構成装置41を示す全体図である。
図5に示す第3のシステム構成装置41は、飛翔体として、測量用のバルーン(係留気球)42を使用したものであり、浮遊させたバルーン紐43の途中に採取器としての粘着性のあるトラップ(罠)44と、そのトラップ42にコウモリ種を誘き寄せるための疑似餌45を取り付けた構成になっている。
【0034】
このように構成された第3のシステム構成装置41は、
図5中に示すように、バルーン紐43の途中に採取器としてのストラップ44と疑似餌45を吊り下げた飛翔体としてのバルーン42を、夜間、風力発電装置35付近に飛ばして浮遊させておく。この状態で、コウモリ種が疑似餌45をめがけて飛来してくると、ストラップ44にコウモリ種が触れることで検体として毛が残される。そして、その採取された残毛からDNAを分析してコウモリ種を判別する。こうして飛来しているコウモリ種の判別を行うにより、周囲に生息するコウモリ種を知り、またバードストライク資料などとして使用することができる。
【0035】
なお、DNA分析は、例えば国際塩基配列データベース(INSD)及び日本DNAデータバンク(DDBJ)などで実施可能である。
【0036】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り
図1〜
図5に示した以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。