特許第6155319号(P6155319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6155319有機材料およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
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  • 特許6155319-有機材料およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 図000140
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155319
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】有機材料およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/86 20060101AFI20170619BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 409/10 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20170619BHJP
   C07D 251/24 20060101ALN20170619BHJP
【FI】
   C07D209/86
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   C07D405/04CSP
   C07D333/76
   C07D307/91
   C07D409/04
   C07D401/04
   C07D403/04
   C07D403/14
   C07D405/10
   C07D409/10
   C07D401/14
   !C07D251/24
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2015-255207(P2015-255207)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-155797(P2016-155797A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2015年12月29日
(31)【優先権主張番号】14/585,219
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516002015
【氏名又は名称】機光科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100134566
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】顏 豐文
(72)【発明者】
【氏名】張 正▲ハオ▼
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/005559(WO,A1)
【文献】 特表2011−528033(JP,A)
【文献】 特表2011−505696(JP,A)
【文献】 特開2010−027761(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/009079(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/062075(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/129491(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/109045(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/180241(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0175384(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0209866(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0175383(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0166988(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0131664(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/136755(WO,A1)
【文献】 特表2016−525512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(A)を有する有機材料。
【化1】

但し、mは1または2を表し、Lは単結合、6ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリレン基、または3ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリレン基を表し、XはO、S、またはNRを表し、YないしYはそれぞれ独立して窒素原子またはCRを表し、RおよびRは独立して水素原子、置換基、またはLとの結合を表し、pは0ないし7の整数を表し、qは0ないし10の整数を表し、RないしRのそれぞれは、独立して水素原子、ハロゲン化物、1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アラルキル基、および3ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【請求項2】
は以下に示す群から選択された基である、請求項1記載の有機材料。
【化2】
【請求項3】
前記一般式(A)を有する有機材料が、以下のA1ないしA37からなる群から選択される、請求項1記載の有機材料。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】
【請求項4】
陰極と陽極からなる一対の電極を備え、前記一対の電極間に、請求項1記載の一般式(A)を有する前記有機材料からなる少なくとも1つの層を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記一般式(A)を有する有機材料からなる発光層を備える、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記一般式(A)を有する有機材料を備えた発光層が、リン光ホスト材料または熱活性化遅延蛍光ホスト材料である、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記発光層が、リン光性ドーパントまたは熱活性化遅延蛍光ドーパントを含む、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記リン光性ドーパントイリジウム(Ir)錯体である、請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記一般式(A)を有する有機材料からなる電子輸送層を備える、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記電子輸送層がLi、Caまたは8−ヒドロキシキノリノラト−リチウムを含む、請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記一般式(A)を有する有機材料からなる正孔阻止電子輸送層を備える、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料および該有機材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する)素子に関する。特に、本発明は、一般式(A)を有する有機材料、および該有機材料を正孔阻止層(HBL)、電子輸送層(ETL)またはリン光ホストとして使用して効率的な駆動電圧および消費電力の低減と効率向上を可能にする有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子は、電流に反応して発光する有機化合物によってなる膜である発光層を備えた発光ダイオード(LED)である。有機化合物の発光層は2つの電極間に挟持されている。有機ELは、その高照度、低重量、極薄の断面、逆光のない自発照明、低消費電力、広視野角、高コントラスト、単純な製造方法、および高速の応答時間のためにフラットパネルディスプレーに応用されている。
【0003】
有機材料におけるエレクトロルミネッセンスを最初に観測したのは、1950年代初期、フランス、ナンシー大学のAndre Bernanoseと共同研究者らであった。ニューヨーク大学のMartin Popeと彼の共同研究者らは、1963年に真空下でアントラセンの純粋単結晶上およびテトラセンがドープされたアントラセン結晶上の直流(DC)エレクトロルミネッセンスを最初に観測した。
【0004】
最初のダイオード素子は、1987年にEastman Kodak社のChing W.TangとSteven Van Slykeによって報告された。この素子は、離れた正孔輸送層と電子輸送層を有する2層構造を使用して動作電圧の低減と効率の向上をもたらし、それが今日の有機EL研究と素子製造につながった。
【0005】
一般に、有機ELは、2つの電極間に位置する、正孔輸送層(HTL)と、発光層(EML)と、電子輸送層(ETL)とを含む複数の有機材料層から構成されている。有機ELの基本的な機構には、キャリアの注入、輸送、キャリアの再結合、および励起子の形成による発光が含まれる。外部電圧が有機発光素子に印加されると、電子と正孔が陰極と陽極からそれぞれ注入され、電子は陰極からLUMO(最低空分子軌道)に、正孔は陽極からHOMO(最高被占分子軌道)に注入される。電子が発光層内で正孔と再結合すると、励起子が形成され、発光する。発光性分子がエネルギーを吸収して励起状態に達すると、励起子は、電子と正孔のスピンの結合の仕方によって一重項状態または三重項状態になる。励起子のうちの75%は、電子と正孔の再結合によって形成され、三重項励起状態に達する。三重項状態からの崩壊はスピン禁制である。したがって、蛍光エレクトロルミネッセンス素子の内部量子効率は25%にすぎない。蛍光エレクトロルミネッセンス素子とは対照的に、リン光有機発光ダイオードは、スピン−軌道相互作用を利用して一重項状態と三重項状態の間の項間交差を促進させ、それにより、一重項状態と三重項状態の両方からの発光を実現し、エレクトロルミネッセンス素子の内部量子効率を25%から100%まで達成させる。
【0006】
近年、Adachiと共同研究者らによって、熱活性化遅延蛍光(TADF)の機構を組み込んだ新しいタイプの蛍光有機EL素子が開発されており、この技術は、逆項間交差(RISC)の機構によってスピン禁制三重項励起子を一重項レベルに変換することによって高効率の励起子形成を実現する有望な方法である。
【0007】
リン光有機ELは三重項励起子と一重項励起子の両方を利用する。一重項励起子と比較して、三重項励起子はより長い寿命と拡散距離を有するため、リン光有機ELは、一般に、発光層(EML)と電子輸送層(ETL)との間にさらに正孔阻止層(HBL)を必要とするか、または一般的なETLの代わりに正孔阻止能を有する電子輸送層(HBETL)を必要とする。HBLまたはHBETLを使用する目的は、注入された正孔と電子の再結合および生成された励起子の緩和をEML内に限定することであり、それにより、素子の効率を向上させることができる。そのような役割を満たすため、正孔阻止材料は、EMLからETLへの正孔輸送の阻止とETLからEMLへの電子の通過に適したHOMO(最高被占分子軌道)およびLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位を有していなければならず、さらに、材料の消費電力の低減化、優れた熱的および電気化学的安定性も必要とされる。
【0008】
消費電力を低減化させるとともに、優れた熱的安定性と高い発光効率を有し、効率的な電子輸送と正孔阻止が可能な有機EL材料が依然として求められている。上記の理由により、本発明は、上記従来技術の問題を解決するとともに、消費電力低減化、熱的安定性、高輝度、および長い半減期間の点で優れた有機EL素子を提供するという目的を有する。本発明は、一般式(A)を有し、良好な電荷キャリア移動度と優れた操作耐久性を有する正孔阻止層(HBL)、電子輸送層(ETL)またはリン光ホストとして使用されて有機EL素子の駆動電圧と消費電力を効率的に低減させるとともに、有機EL素子の効率を向上させることができる新規の有機材料を開示する。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、正孔阻止材料(以下、HBMと称する)、電子輸送材料(以下、ETMと称する)またはリン光ホスト用の有機材料と、該有機材料の有機EL素子への使用が提供される。上記有機材料は、低効率、高消費電力などの従来材料の欠点を克服することができる。
【0010】
本発明の目的は、有機EL素子用の正孔阻止材料(HBM)または正孔阻止電子輸送材料(HBETM)として使用可能で、励起子の電子輸送層への移動を効率的に制限することができる有機材料を供給することである。
【0011】
本発明の目的は、有機EL素子用の電子輸送材料(ETM)として使用可能な有機材料を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、有機EL素子用の発光層のリン光ホスト材料として使用可能な有機材料を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、有機EL素子に有機材料を適用し、駆動電圧および消費電力を低減させ、効率を向上させることである。
【0014】
本発明は、産業上で実施するにあたり経済的に有利である。したがって、本発明には、有機EL素子に使用可能な有機材料が開示されている。有機材料は下記の式(A)によって表される。
【0015】
【化1】
【0016】
但し、mは0ないし2を表す。mが1または2のとき、Lは単結合、6ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリレン基、または3ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリレン基を表す。mが0のとき、Lは3ないし40個の環炭素原子を有する置換または非置換ヘテロアリレン基を表す。XはO、S、NRを表す。YないしYはそれぞれ独立して窒素原子またはCRを表す。RおよびRは独立して水素原子、置換基、またはLとの結合を表す。pは0ないし7の整数を表す。qは0ないし10の整数を表す。RないしRは、独立して水素原子、ハロゲン化物、1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アラルキル基、および3ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【0017】
式(A)において、Lが単結合ではなく、mが1または2のとき、Lとして好適なアリレン基およびヘテロアリレン基の一部の例は、以下に示す群からなる。
【0018】
【化2】
【0019】
式(A)において、Lが単結合ではなく、mが0のとき、Lとして好適なヘテロアリレン基の一部の例は、以下に示す群からなる。
【0020】
【化3】

【化4】
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の有機EL素子の一例を示す。6は透明電極、13は金属電極、7は透明電極6に被着された正孔注入層、8は正孔注入層7に被着された正孔輸送層、9は正孔輸送層8に被着された蛍光性またはリン光性発光層、10は発光層9に被着された正孔阻止層または正孔阻止電子輸送層、11は正孔阻止層または正孔阻止電子輸送層10に被着された電子輸送層、12は電子輸送層11に被着された電子注入層である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態において、式(A)にかかる有機材料の一部の例を以下に示す。
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】
【化16】
【0035】
【化17】
【0036】
【化18】
【0037】
【化19】
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
【化22】
【0041】
【化23】
【0042】
【化24】
【0043】
【化25】
【0044】
【化26】
【0045】
【化27】
【0046】
【化28】
【0047】
【化29】
【0048】
【化30】
【0049】
【化31】
【0050】
【化32】
【0051】
【化33】
【0052】
【化34】
【0053】
【化35】
【0054】
【化36】
【0055】
【化37】
【0056】
【化38】
【0057】
【化39】
【0058】
【化40】
【0059】
【化41】
【0060】
【化42】
【0061】
【化43】
【0062】
【化44】
【0063】
【化45】
【0064】
【化46】
【0065】
本発明の有機材料の詳細な調製は、例示の実施形態によって明らかになるが、本発明はそれら例示の実施形態に限定されるものではない。中間体IaないしIgおよび実施例1ないし17は、本発明の有機材料の実施例に関する調製を示す。実施例18および19は、有機EL素子の製造と、有機EL素子試験報告のI−V−Bと半減期間を示す。
【0066】
<中間体Iaの合成>
2−フェニルニコチン酸メチルの合成
【0067】
【化47】
【0068】
2−ブロモニコチン酸メチル(10.8g、50mmol)、フェニルボロン酸(6.1g、50mmol)、2MのNaCO(100ml、200mmol)、およびPd(PPh(1.5g、1mmol)の混合物をN下でトルエン300ml/エタノール100ml混合溶液に溶解させた。80℃で24時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却させた。残渣をジクロロメタンと水を用いて抽出し、有機層を蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、2−フェニルニコチン酸メチル6.1gを得た。収率は57.2%だった。
【0069】
5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジンの合成
【0070】
【化48】
【0071】
2−フェニルニコチン酸メチル(10.6g、50mmol)をTHF(20ml)に溶解させた後、CHMgBr(3Mエーテル溶液)35mlを加える。還流反応を一晩保持した後、停止させる。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、回転蒸発で溶剤を除去した後、中間生成物を得る。その後、中間生成物を酢酸(100ml)/硫酸(5ml)混合溶液に溶解させる。還流反応を4時間保持した後、停止し、冷却する。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、回転蒸発で溶剤を除去した後、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジン3.1g(収率31.8%)を得た。
【0072】
7−ブロモ−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジンの合成
【0073】
【化49】
【0074】
5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジン(3.9g、20mmol)をクロロホルム(300ml)に溶解させ、光が当たらないようにして、クロロホルム(10ml)で希釈された臭素(3.2g、20mmol)を滴下した。混合物を室温で24時間撹拌し、その後水(600ml)を加えた後、沈殿した生成物を吸引濾別し、MeOHで洗浄し、クロロホルムから再結晶させて7−ブロモ−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2b]ピリジン3.7gを得た。収率は67.5%だった。
【0075】
7−(ビフェニル−2−イル)−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジンの合成
【0076】
【化50】
【0077】
7−ブロモ−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]−ピリジン(10g、36.5mmol)、ビフェニル−2−イルボロン酸(7.2g、36.5mmol)、Pd(PPh(0.43g、0.368mmol)、2MのNaCO(37ml)、EtOH50mlおよびトルエン150mlの混合物を脱気し、窒素下に置いた後、90℃で24時間加熱した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。酢酸エチルと水で有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、7−(ビフェニル−2−イル)−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]ピリジン8.4gを得た。収率は66%だった。
【0078】
中間体Iaの合成
【0079】
【化51】
【0080】
窒素条件下で、7−(ビフェニル−2−イル)−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]−ピリジン(3.47g、10mmol)を無水ジクロロメタン(250ml)に溶解させた後、1.62g(100mmol)の塩化鉄(III)を加え、混合物を1時間撹拌した。メタノール10mlを混合物に加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、1.4gの生成物を得た。収率は40%だった。
【0081】
<中間体Ibの合成>
【0082】
【化52】
【0083】
中間体Ia13.82g(40mmol)をクロロホルム100mlに溶解させ、mCPBA9.2g(52mmol)をその溶液に25℃で撹拌しながら加え、さらに室温で2時間撹拌した。反応後、チオ硫酸ナトリウムを混合物に添加し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮させ、スラリーをクロロホルムで洗浄し、粗材料をシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して、中間体IaのN−オキシド5.8gを得た。収率は41%だった。
【0084】
その後、オキシ塩化リン15mlを上記N−オキシド5.8g(16mmol)に加え、95℃で10時間加熱および撹拌した。反応物を濃縮させた後、クロロホルム(200ml)を濃縮物に加えた。クロロホルム溶液を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に滴下し、1時間撹拌した。混合物をクロロホルムで抽出し、飽和.NaCl(水溶液)で洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濃縮し、粗材料をシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して、3.1グラムを得た。収率は51%だった。HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.75(s、1H)、8.49〜8.44(m、3H)、8.32〜8.28(m、3H)、8.14〜8.06(m、4H)、7.77(d、J=8.0Hz、1H)、1.63(s、6H)
【0085】
<実施例1>
化合物A1の合成
【0086】
【化53】
【0087】
250ml三口フラスコに、中間体Ib(10mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルボロン酸(10mmol)、Pd(PPh(0.25g、0.21mmol)、含水NaCO(2M、12ml、24mmol)、エタノール(15ml)およびトルエン(50ml)を入れた。混合物を脱気し、窒素雰囲気下で24時間還流させた。冷却後、混合物に水(50ml)を加えた。粗生成物を濾過で固体粉末として回収し、メタノールで数回洗浄して不純物を除去した。さらに、真空下60℃で乾燥させ、52.1%の収率で生成物を得た。MS(m/z、FAB+):511.2、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.44(s、1H)、8.90(m、2H)、8.12〜8.08(m、4H)、7.92〜7.81(m、6H)、7.42〜7.31(m、5H)、7.10(d、J=8.0Hz、1H)、1.76(s、6H)
【0088】
<実施例2>
[化合物A30の合成]
9,9’−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−フェニレン)ビス(9H−カルバゾール)の合成
【0089】
【化54】
【0090】
1,3− ジブロモクロロベンゼン(8.11g、39mmol)、カルバゾール(13.7g、82mmol)、酢酸パラジウム(450mg、2mmol)、t−ブチルホスフィン(6ml、1M溶液)、ナトリウムt−ブトキシド(15g、156mmol)および乾燥o−キシレン(250ml)を四口フラスコに入れた。混合物を窒素下125℃で30時間反応させた。室温まで冷却後、反応溶液を水に注入し、クロロホルムで抽出し、飽和NaCl(水溶液)で洗浄した。その後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、溶剤を蒸発装置で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、3,5−ジ(カルバゾール−9−イル)クロロベンゼン4gを得た。収率は23.2%だった。
【0091】
四口フラスコに、3,5−ジ(カルバゾール−9−イル)クロロベンゼン(4g、9mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.4g、9.4mmol)、KOAc(2.5g、25.8mmol)、Pd(dba)(258mg、0.284mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(385mg、1.4mmol)および無水1,4−ジオキサン(120ml)を入れた。混合物を窒素下80℃で16時間一晩反応させた。反応溶液を水に注入し、酢酸エチルで抽出し、飽和NaCl(水溶液)で洗浄した。その後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、溶剤を蒸発装置で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物1.5gを得た。収率は32%だった。
【0092】
化合物A30の合成
【0093】
【化55】
【0094】
合成手順は化合物A1と同じ工程であり、最終生成物の収率は56.8%である。MS(m/z、FAB+):751.4、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.54(s、1H)、8.92(d、J=8.0Hz、1H)、8.72〜8.64(m、4H)、8.19〜8.13(m、4H)、8.05(s、1H)、7.96〜7.86(m、6H)、7.62〜7.56(m、5H)、7.35〜7.28(m、7H)、7.02(s、1H)、1.66(s、6H)
【0095】
<実施例3>
[化合物A33の合成]
2−3 (ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの合成
【0096】
【化56】
【0097】
4−ジベンゾフランボロン酸(10g、47mmol)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(14.7g、52mmol)、およびPd(PPh(0.55g)のトルエン250mL/エタノール150ml混合溶液からなる混合物を加熱し、30分間脱気し、その後2MのNaCO(水溶液)(94ml)を加えた。反応混合物を100℃で一晩還流させた。その後、混合物を室温まで冷却し、300ml酢酸エチルで希釈した。有機層を水300mlで2回、飽和NaCl(水溶液)300mlで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濃縮させた後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、4−(3−ブロモ−フェニル)−ジベンゾフラン8.5gを得た。収率は56%だった。
【0098】
4−(3−ブロモ−フェニル)−ジベンゾフラン(17.8mmol)5.76g、ビス(ピナコラート)ジボロン(21.4mmol)5.43g、Pd(dppf)Cl(4%mol)0.582gを1,4−ジオキサン100mlに加熱しながら溶解させ、その後KOAc(5.25g、53.5mmol)で処理した。反応混合物を16時間還流で撹拌し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過し、真空で濃縮させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物4.81gを得た。収率は73%だった。
【0099】
化合物A33の合成
【0100】
【化57】
【0101】
合成手順は化合物A1と同じ工程であり、最終生成物の収率は52.1%である。MS(m/z、FAB+):587.1、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.47(s、1H)、8.91(m、2H)、8.17〜8.13(m、2H)、8.07〜8.01(m、3H)、7.93〜7.81(m、8H)、7.62〜7.51(m、3H)、7.22〜7.17(m、3H)、7.04(d、J=8.0Hz、1H)、1.70(s、6H)
【0102】
<実施例4>
化合物A13の合成
【0103】
【化58】
【0104】
カルバゾール(3.34g、20mmol)、中間体Ib(3.80g、10mmol)、18−クラウン−6(0.32g、1.96mmol)、炭酸カリウム(2.5g、1.8mmol)、Pd(dba)(0.1g、0.12mmol)およびトリ−t−ブチルホスフィン(0.5ml、0.5mmol、1.0Mトルエン溶液)をo−キシレン50ml中で混合させた。混合物をN下で30分間撹拌し、N下で一晩加熱して還流させた。o−キシレン溶液をデカントした。その後、溶剤を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物2.65gを得た。収率は52%だった。MS(m/z、FAB+):510.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.04(s、1H)、8.80〜8.76(m、2H)、8.73〜8.66(m、5H)、7.76〜7.63(m、5H)、7.38〜7.31(m、4H)、7.42〜7.28(m、2H)、7.20(d、J=8Hz、1H)、1.67(s、6H)
【0105】
<中間体Icの合成>
2−(ビフェニル−2−イルl)−6−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレンの合成
【0106】
【化59】
【0107】
3,6−ジブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン35.2g(100mmol)、ビフェニル−2−イルボロン酸21.8g(110mmol)、Pd(PPh2.31g(2mmol)、2MのNaCO75ml、EtOH150ml、およびトルエン300mlの混合物を脱気し、窒素下に置き、その後100℃で12時間加熱した。反応終了後、混合物を室温まで冷却させた。有機層を酢酸エチルと水で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、残渣をシリカのカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物(26.8g、63.0mmol、63%)を白色固体として得た。
【0108】
中間体Icの合成
【0109】
【化60】
【0110】
脱気され窒素を充填した3000ml三口フラスコ内で、2−(ビフェニル−2−イル)−7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン26.8g(60mmol)を無水ジクロロメタン(1500ml)に溶解させ、その後、塩化鉄(III)97.5g(600mmol)を加え、混合物を1時間撹拌した。メタノール500mlを混合物に加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。残渣をシリカ(ヘキサン−ジクロロメタン)のカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体(10.7g、25.3mmol、40%)を得た。HNMR(CDCl、500MHz):化学シフト(ppm)8.93(s、1H)、8.77〜8.71(m、2H)、8.67〜8.65(m、3H)、8.08(d、J=1.5Hz、1H)、7.71〜7.64(m、4H)、7.49(dd、J1=8.5Hz、J2=1.5Hz、1H)、7.37(d、J=8.5Hz、1H)、1.62(s、6H)
【0111】
<中間体Idの合成>
【0112】
【化61】
【0113】
中間体Ic10.7g(25.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン7.7g(30.3mmol)、Pd(PPh0.3g(0.26mmol)、酢酸カリウム7.4g(75.4mmol)および1,4−ジオキサン500mlの混合物を脱気し、窒素下に置き、その後90℃で16時間加熱した。反応終了後、混合物を室温まで冷却させた。有機相を分離し、酢酸エチルと水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、溶剤を真空中で除去した。残渣をシリカのカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物(9.5g、20.2mmol、80%)を淡黄色の固体として得た。HNMR(CDCl、500MHz):化学シフト(ppm)8.93(s、1H)、8.77〜8.71(m、2H)、8.67〜8.65(m、3H)、7.88(d、J=1.5Hz、1H)、7.71〜7.64(m、4H)、7.29(dd、J1=8.5Hz、J2=1.5Hz 1H)、7.42(d、J=8.5Hz、1H)、1.62(s、6H)、1.42(s、12H)
【0114】
<実施例5>
化合物A2の合成
【0115】
【化62】
【0116】
250ml三口フラスコに、中間体Ic4.2g(10mmol)、ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イルボロン酸2.3g(10mmol)、Pd(PPh(0.25g、0.21mmol)、含水NaCO(2M、12ml、24mmol)、エタノール(15ml)およびトルエン(50ml)を入れた。混合物を脱気し、窒素雰囲気下で24時間還流させた。冷却後、混合物に水(50ml)を加えた。粗生成物を濾過で固体粉末として回収し、メタノールで数回洗浄して不純物を除去した。残渣をシリカ(ヘキサン−ジクロロメタン)のカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体(2.1g、40%)を得た。MS(m/z、FAB+):526.2、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.94(s、1H)、8.80(m、2H)、8.62〜8.51(m、4H)、7.92〜7.84(m、6H)、7.55〜7.45(m、5H)、7.29(d、J=8.0Hz、1H)、1.69(s、6H)
【0117】
<実施例6>
化合物A12の合成
【化63】
【0118】
中間体Id4.4g(10mmol)、3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール3.2g(10mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.23g(0.2mmol)、2MのNaCO15ml、EtOH20mlおよびトルエン40mlの混合物を脱気し、窒素下に置き、その後一晩90℃で加熱した。反応終了後、混合物を室温まで冷却させた。MeOH100mlを撹拌しながら加え、沈殿した生成物を吸引濾別した。トルエンからの再結晶化により、黄色生成物3.7g(収率63%)を得た。MS(m/z、FAB+):585.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.96(s、1H)、8.81(d、J=8Hz、1H)、8.76(d、J=8Hz、1H)、8.67〜8.60(m、4H)、7.73〜7.66(m、6H)、7.53〜7.43(m、10H)、7.21〜7.16(m、2H)、1.66(s、6H)
【0119】
<実施例7>
[化合物A20の合成]
9−(4−(3−ブロモフェニル)−6−フェニルピリミジン−2−イル)−9H− カルバゾールの合成
【0120】
【化64】
【0121】
4,6−ジヨード−2−クロロピリミジン(18.3g、50mmol)、フェニルボロン酸(6.1g、50mmol)、KCO(13.8g、100mmol)およびPd(PPh(1.16g、1mmol)の混合物をN下で1,4ジオキサン500ml/水20ml混合溶液に溶解させた。80℃で24時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却させた。固体を濾過除去し、濾液を蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、2−クロロ−4−ヨード−6−フェニルピリミジン8.3gを得た。収率は52.3%だった。
【0122】
2−クロロ−4−ヨード−6−フェニルピリミジン(8.3g、26.2mmol)、3−ブロモ−フェニルボロン酸(3.2g、26.2mmol)、KCO(7.2g、52.4mmol)およびPd(PPh(0.58g、0.5mmol)の混合物をN下で1,4ジオキサン200ml/水10ml混合溶液に溶解させた。80℃で24時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却させた。固体を濾過除去し、濾液を蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、4(3−ブロモフェニル)−2−クロロ−6−フェニル−ピリミジン4.1gを得た。収率は45.2%だった。
【0123】
4−(3−ブロモフェニル)−2−クロロ−6−フェニル−ピリミジン(4.1g、11.9mmol)、カルバゾール(2.2g、13mmol)、テトラフルオロホウ酸トリ−t−ブチルホスホニウム(0.7g、2.4mmol)およびPd(dba)(0.55g、5mol%)の混合物をN下でo−キシレン300mlとソジウムt−ブトキシド2.9gに溶解させた。その結果生じた溶液を一晩加熱して還流させた。室温まで冷却後、残渣をCHClと水を用いて3回抽出した。有機層を回収して蒸発させた。その結果生じた粗生成物をクロマトグラフィーで精製し、生成物2.6gを得た。収率は45.9%だった。
【0124】
化合物A20の合成
【0125】
【化65】
【0126】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は48.4%である。MS(m/z、FAB+):739.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.14(s、1H)、8.86(d、J=8Hz、1H)、8.80(d、J=8Hz、1H)、8.73(s、1H)、8.63〜8.48(m、6H)、7.84〜7.67(m、13H)、7.42〜7.28(m、8H)、1.66(s、6H)
【0127】
<実施例8>
[化合物A23の合成]
9−(4−クロロ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−9H−カルバゾールの合成
【0128】
【化66】
【0129】
塩化シアヌル10g(54mmol)を乾燥THF50mlに加え、その後臭化フェニルマグネシウム(1.0molTHF溶液)54mlを0℃で滴下し、混合物を0℃で3時間撹拌した。反応溶液に水50mlとトルエン100mlを加え、無水硫酸マグネシウムを加えて有機層を乾燥させ、溶剤を減圧下で留去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、2,4−ジクロロ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを得た。収率は49.2%だった。
【0130】
条件下で、THF80mlを水素化ナトリウム3.9g(102mmol)(油中に62.2%分散)に加え、30分間室温で撹拌した。得られた懸濁液にカルバゾール16.5g(96mmol)のDMF溶液(100ml)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。その結果生じた懸濁液に2,4−ジクロロ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン20.3g(90mmol)を加え、60℃で40分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水300mlを撹拌しながら加え、沈殿した固体を濾過で回収した。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物14gを得た。収率は43.6%だった。
【0131】
化合物A23の合成
【0132】
【化67】
【0133】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は48.4%である。MS(m/z、FAB+):664.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.96(s、1H)、8.83(d、J=8Hz、1H)、8.74(d、J=8Hz、1H)、8.75〜8.57(m、10H)、7.78〜7.59(m、4H)、7.44〜7.23(m、7H)、7.16〜7.14(m、2H)、1.66(s、6H)
【0134】
<実施例9>
[化合物A27の合成]
9,9’−(6−クロロ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ビス(9H−カルバゾール)の合成
【0135】
【化68】
【0136】
下で、カルバゾール(28.4g、170mmol)を四口丸底フラスコ内の乾燥THF800mlに溶解させ、このカルバゾールの溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)(100ml、160mmol)を滴下し、混合物を15分間撹拌した。もう1瓶の三口丸底フラスコ内で、塩化シアヌル(14.8g、80mmol)をN雰囲気で乾燥THF400mlに溶解させた。移送カニューレを用いて、塩化シアヌルの溶液にカルバゾールリチウムの溶液を30分以内で滴下した。反応混合物を6時間還流させた。溶液を室温まで冷却した後、水500mlを加えた。生成物を濾別し、水、ヘキサン、ジエチルエーテルで洗浄し、エタノールから熱濾過でさらに精製した。生成物20gを得た。収率は56.1%だった。
【0137】
化合物A27の合成
【0138】
【化69】
【0139】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は52.2%である。MS(m/z、FAB+):753.4、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.04(s、1H)、8.84(d、J=8Hz、1H)、8.82(d、J=8Hz、1H)、8.69〜8.58(m、8H)、8.07〜8.02(m、6H)、7.76〜7.67(m、6H)、7.40〜7.36(m、3H)、7.14〜7.08(m、3H)、1.62(s、6H)
【0140】
<実施例10>
化合物A31の合成
【0141】
【化70】
【0142】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は41%である。MS(m/z、FAB+):602.4、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.94(s、1H)、8.80(d、J=8Hz、1H)、8.74(d、J=8Hz、1H)、8.72〜8.64(m、7H)、8.52〜8.49(m、2H)、7.78〜7.59(m、6H)、7.42〜7.28(m、5H)、7.16(d、J=8Hz、1H)、1.67(s、6H)
【0143】
<実施例11>
化合物A34の合成
【0144】
【化71】
【0145】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は47%である。MS(m/z、FAB+):585.8、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.93(s、1H)、8.81(d、J=8Hz、1H)、8.74(d、J=8Hz、1H)、8.76〜8.64(m、7H)、7.78〜7.59(m、7H)、7.44〜7.23(m、6H)、7.16〜7.14(m、2H)、1.66(s、6H)
【0146】
<実施例12>
化合物A17の合成
【0147】
【化72】
【0148】
合成手順は化合物A13と同じ工程であり、最終生成物の収率は47%である。MS(m/z、FAB+):509.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.03(s、1H)、8.83(d、J=8Hz、1H)、8.73(d、J=8Hz、1H)、8.63〜8.53(m、6H)、8.23〜8.14(m、6H)、7.79〜7.65(m、4H)、7.12〜7.08(m、2H)、1.76(s、6H)
【0149】
<中間体Ieの合成>
2−(ビフェニル−2−イル)−7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレンの合成
【0150】
【化73】
【0151】
2,7−ジブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン35.2g(100mmol)、ビフェニル−2−イルボロン酸21.8g(110mmol)、Pd(PPh2.31g(2mmol)、2MのNaCO75ml、EtOH150mlおよびトルエン300mlの混合物を脱気し、窒素下に置き、その後100℃で12時間加熱した。反応終了後、混合物を室温まで冷却させた。有機層を酢酸エチルと水で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、残渣をシリカのカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物(26.8g、63.0mmol、63%)を白色固体として得た。
【0152】
12−ブロモ−10,10−ジメチル−10H−インデノ[2,1−b]トリフェニレンの合成
【0153】
【化74】
【0154】
脱気され窒素を充填した3000ml三口フラスコ内で、2−(ビフェニル−2−イル)−7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン26.8g(60mmol)を無水ジクロロメタン(1500ml)に溶解し、その後、塩化鉄(III)97.5g(600mmol)を加え、混合物を1時間撹拌した。メタノール500mlを混合物に加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。残渣をシリカ(ヘキサン−ジクロロメタン)のカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体(10.7g、25.3mmol、40%)を得た。HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.95(s、1H)、8.79〜8.74(m、2H)、8.69〜8.68(m、3H)、7.84(d、J=8.0Hz、1H)、7.72〜7.65(m、5H)、7.57(d、J=8.0Hz、1H)、1.66(s、6H)
【0155】
中間体Ieの合成
【0156】
【化75】
【0157】
12−ブロモ−10,10−ジメチル−10H−インデノ−[1,2−b]トリフェニレン10.7g(25.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン7.7g(30.3mmol)、Pd(PPh0.3g(0.26mmol)、酢酸カリウム7.4g(75.4mmol)および1,4−ジオキサン300mlの混合物を脱気し、窒素下に置き、その後90℃で16時間加熱した。反応終了後、混合物を室温まで冷却させた。有機相を分離し、酢酸エチルと水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、溶剤を真空中で除去した。残渣をシリカ(ヘキサン−ジクロロメタン)のカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物(9.5g、20.2mmol、80%)を淡黄色の固体として得た。HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.03(s、1H)、8.81(d、J=7.84Hz、1H)、8.77(d、J=7.88Hz、1H)、8.70〜8.67(m、3H)、8.02〜7.93(m、3H)、7.71〜7.67(m、4H)、1.69(s、6H)、1.42(s、12H)
【0158】
<実施例13>
化合物A21の合成
【0159】
【化76】
【0160】
合成手順は化合物A23と同じ工程であり、最終生成物の収率は61%である。MS(m/z、FAB+):664.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.97(s、1H)、8.82(d、J=8Hz、1H)、8.75(d、J=8Hz、1H)、8.73〜8.55(m、10H)、7.73〜7.55(m、4H)、7.34〜7.20(m、7H)、7.15〜7.10(m、2H)、1.65(s、6H)
【0161】
<実施例14>
[化合物A32の合成]
3−(3−ブロモ−5−メチルフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成
【0162】
【化77】
【0163】
条件下で、3−(N−フェニルカルバゾール)ボロン酸(20mmol、5.74g)、3−ブロモ−5−メチル−ヨードベンゼン(24mmol、7.13g)、2MのNaCO(水溶液)(20ml、40mmol)、エタノール(40ml)、トルエン(40ml)およびPd(PPh(1.16g、1mmol)の混合物を加え、16時間還流させた。反応完了後、分液漏斗を用いて混合物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過し、濃縮させた。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物5gを得た。収率は61%だった。
【0164】
化合物A32の合成
【0165】
【化78】
【0166】
合成手順は化合物A12と同じ工程であり、最終生成物の収率は45%である。MS(m/z、FAB+):675.4、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.96(s、1H)、8.82(d、J=8Hz、1H)、8.75(d、J=8Hz、1H)、8.73〜8.61(m、8H)、8.23〜8.15(m、4H)、7.73〜7.55(m、6H)、7.34〜7.20(m、5H)、7.15〜7.10(m、2H)、2.24(s、3H)、1.65(s、6H)
【0167】
<中間体Ifの合成>
5−フェニルピリミジン−4−カルボン酸メチルの合成
【0168】
【化79】
【0169】
5−ブロモピリミジン−4−カルボン酸メチル(13g、60mmol)、フェニルボロン酸(7.3g、60mmol)、2MのNaCO(水溶液)(120ml、240mmol)およびPd(PPh(1.8g、1.2mmol)の混合物をN下でトルエン400ml/エタノール130ml混合溶液に溶解させた。80℃で24時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却させた。残渣をジクロロメタンと水を用いて抽出し、有機層を蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、5−フェニルピリミジン−4−カルボン酸メチル5.9gを得た。収率は45.4%だった。
【0170】
9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジンの合成
【0171】
【化80】
【0172】
5−フェニルピリミジン−4−カルボン酸メチル(8.6g、40mmol)を乾燥THF(160ml)に溶解させた後、CHMgBr(3Mエーテル溶液)30mlを加える。還流反応を一晩保持した後、停止させる。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、回転蒸発で溶剤を除去した後、中間生成物を得る。その後、中間生成物を酢酸(100ml)/硫酸(5ml)混合溶液に溶解させる。還流反応を4時間保持した後、停止し、冷却する。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、回転蒸発で溶剤を除去した後、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン2.5gを得た。収率は32%だった。
【0173】
7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジンの合成
【0174】
【化81】
【0175】
9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン(5.9g、30mmol)をクロロホルム(300ml)に溶解させ、光が当たらないようにして、クロロホルム(10ml)で希釈された臭素(4.8g、30mmol)を滴下した。混合物を室温で24時間撹拌し、その後水(600ml)を加えた後、沈殿した生成物を吸引濾別し、MeOHで洗浄し、クロロホルムから再結晶させて7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1d]のピリミジン5.4gを得た。収率は66%だった。
【0176】
7−(ビフェニル−2−イル)−9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジンの合成
【0177】
【化82】
【0178】
7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン(5g、18.3mmol)、ビフェニル−2−イルボロン酸(3.6g、18.3mmol)、Pd(PPh(0.22g、0.184mmol)、2MのNaCO(19ml)、EtOH30mlおよびトルエン100mlの混合物を脱気し、窒素下に置いた後、90℃で24時間加熱した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。酢酸エチルと水で有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、7−(ビフェニル−2−イル)−9,9−ジメチル−9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン3.5gを得た。収率は56%だった。
【0179】
中間体Ifの合成
【0180】
【化83】
【0181】
窒素条件下で、7−(ビフェニル−2−イル)−5,5−ジメチル−5H−インデノ[1,2−b]−ピリジン(3.48g、10mmol)を無水ジクロロメタン(250ml)に溶解させた後、1.62g(100mmol)の塩化鉄(III)を加え、混合物を1時間撹拌した。メタノール10mlを混合物に加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、1.35gの生成物を得た。収率は39%だった。
【0182】
<中間体Igの合成>
中間体Igの合成
【0183】
【化84】
【0184】
中間体If5.0g(14.4mmol)をクロロホルム100mlに溶解させ、mCPBA3.2g(18.7mmol)をその溶液に25℃で撹拌しながら加え、さらに室温で2時間撹拌した。反応後、チオ硫酸ナトリウムを混合物に添加し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮させ、スラリーをクロロホルムで洗浄し、粗材料をシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して、中間体のN−オキシド3.9gを得た。収率は74.5%だった。
【0185】
その後、オキシ塩化リン20mlを上記N−オキシド3.9g(10.7mmol)に加え、95℃で10時間加熱および撹拌した。反応物を濃縮させた後、クロロホルム(200ml)を濃縮物に加えた。クロロホルム溶液を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に滴下し、1時間撹拌した。混合物をクロロホルムで抽出し、飽和.NaCl(水溶液)で洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濃縮し、粗材料をシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して、1.8グラムを得た。収率は43.9%だった。HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)8.99(s、1H)、8.90(d、J=8.0Hz、1H)、8.79〜8.72(m、4H)、7.80(m、1H)、7.72〜7.60(m、4H)、1.65(s、6H)
【0186】
<実施例15>
化合物A16の合成
【0187】
【化85】
【0188】
合成手順は化合物A13と同じ工程であり、最終生成物の収率は61%である。MS(m/z、FAB+):511.6、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.12(s、1H)、9.05(s、1H)、8.91(d、J=8Hz、1H)、8.82(d、J=8Hz、1H)、8.73〜8.66(m、5H)、8.13〜7.98(m、4H)、7.68〜7.59(m、4H)、7.20〜7.17(m、2H)、1.66(s、6H)
【0189】
<実施例16>
化合物A28の合成
【0190】
【化86】
【0191】
合成手順は化合物A1と同じ工程であり、最終生成物の収率は36%である。MS(m/z、FAB+):752.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.08(s、1H)、8.90(m、2H)、8.82(d、J=8Hz、1H)、8.74〜8.62(m、8H)、8.23〜8.14(m、8H)、7.69〜7.48(m、4H)、7.34〜7.28(m、4H)、7.20〜7.14(m、2H)、1.66(s、6H)
【0192】
<実施例17>
化合物A38の合成
【0193】
【化87】
【0194】
合成手順は化合物A23と同じ工程であり、最終生成物の収率は67%である。MS(m/z、FAB+):575.3、HNMR(CDCl、400MHz):化学シフト(ppm)9.04(s、1H)、8.88〜8.86(m、2H)、8.82〜8.79(m、5H)、8.76(d、J=8Hz、1H)、8.72(s、1H)、8.67〜8.65(m、2H)、8.11(d、J=8Hz、1H)、7.73〜7.58(m、10H)、1.79(m、6H)
【0195】
<有機EL素子を製造する一般的方法>
抵抗9ないし12オーム/平方、厚み120ないし160nmのITO被覆ガラス(以下、ITO基板)を用意し、超音波浴(例えば、洗剤、脱イオン水)中で複数回の洗浄工程で洗浄する。複数の有機層を蒸着させる前に、洗浄済みのITO基板を紫外線およびオゾンでさらに処理する。ITO基板のすべての前処理は、クリーンルーム(クラス100)の環境下で行う。
【0196】
これら有機層を、抵抗加熱された石英ボートなどの高真空装置(10−7Torr)内で、ITO基板上に順に蒸着塗布する。各層の厚みと蒸着速度(0.1ないし0.3nm/sec)は正確にモニターされるか、または水晶モニターを用いて設定される。上述したように、個々の層を2種類以上の化合物から、一般的には、ドーパント材料がドープされた母材から構成することも可能である。この構成は、2個以上の供給源からの共蒸着によって達成される。
【0197】
この有機EL素子の正孔注入層として、ジピラジノ[2,3−f:2,3−]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)が使用される。正孔輸送層として、N,N−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N−ビス(フェニル−ベンジジン(NPB)が最も広く使用される。青色発光ホストとして、10,10−ジメチル−12−(4−(ピレン−1−イル)フェニル)−10H−インデノ[1,2−b]トリフェニレン(PT−312、米国特許出願公開第2014/0175384号)が使用され、青色ゲストとして、N1,N1,N6,N6−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン(D1)が使用される。電子輸送材料(ETM)として、4,7−ジフェニル−2,9−ビス(4−(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル)−1,10−フェナントロリン(LT−N8001、米国特許第7,754,348号)が使用され、有機EL素子において5%Liまたは8−ヒドロキシキノリノラト−リチウム(LiQ)と共蒸着される。リン光システム用の正孔阻止材料(HBM)およびリン光ホストとして、ビス(2−メチル−8−キノリン酸)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)が使用され、リン光性ドーパントとして、ビス(2−フェニルピリジナト(2,4−ジフェニルピリジナト)イリジウム(III)(D1)が使用される。標準的な有機EL素子の対照を製造するための従来技術の有機発光素子材料および本発明における同等材料の化学構造を以下に示す。
【0198】
【化88】
【0199】
【化89】
【0200】
【化90】
【0201】
【化91】
【0202】
【化92】
【0203】
【化93】
【0204】
【化94】

【0205】
【化95】
【0206】
【化96】
【0207】
一般的な有機EL素子は、熱蒸発による陰極として、Al、Mg、Ca、Li、Kなどの低仕事関数金属からなり、低仕事関数金属は、電子を陰極から電子輸送層に注入させやすくすることができる。さらに、電子注入障壁を低減させ、有機EL素子性能を向上させるために、陰極と電子輸送層との間に薄膜電子注入層が導入されている。従来の電子注入層の材料は、LiF、LiQ、MgO、LiOなどの低仕事関数の金属ハロゲン化物または金属酸化物である。一方、有機EL素子の製造後には、PR650 Spectra Scanスペクトロメータを用いてエレクトロルミネッセンススペクトルとCIE色座標が測定される。さらに、プログラム可能なKeithley2400電圧−電流源を用いて、電流/電圧特性、ルミネッセンス/電圧特性および収率/電圧特性が測定される。上記装置群は室温(約25℃)の大気圧下で操作される。
【0208】
<実施例18>
上記一般的な方法に類似した手順で、以下の素子構造を有する青色蛍光発光有機EL素子を製造した(図1参照)。ITO/HAT−CN(20nm)/NPB(130nm)/5%D1ドープPT−312(30nm)/HBM(10nm)/LiQ共蒸着ETM(ETM:LiQ、比率=1:1(40nm)/LiQ(1nm)/Al(160nm)。表1として、青色蛍光有機EL素子試験報告におけるI−V−B(1000ニト)および半減期間を示す。半減期間は、1000cd/mの初期輝度が半減した期間と定義する。
【0209】
【表1】
【0210】
<実施例19>
上記一般的な方法に類似した手順で、以下の素子構造を有するリン光発光有機EL素子を製造した(図1参照)。ITO/HAT−CN(20nm)/NPB(130nm)/リン光ホスト(PHホスト)+15%D2(30nm)/HBM(15nm)/LiQ共蒸着A38(A38:LiQ、比率=1:1)(40nm)/LiQ(1nm)/Al(160nm)。表2として、リン光発光有機EL素子試験報告におけるI−V−B(1000ニト)および半減期間を示す。半減期間は、3000cd/mの初期輝度が半減した期間と定義する。
【0211】
【表2】
【0212】
上記の有機EL素子試験報告のための好ましい実施形態(表1および表2参照)では、正孔阻止材料、電子輸送材料またはリン光ホストとして使用された本発明の有機材料の式(A)が従来技術の有機EL材料よりも優れた性能を示すことがわかる。
【0213】
要約すると、本発明は有機EL素子に使用可能な新規の有機材料を開示している。上記有機材料は下記の式(A)によって表される。
【0214】
【化97】
【0215】
但し、mは0ないし2を表す。mが1または2のとき、Lは単結合、6ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリレン基、または3ないし40個の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリレン基を表す。mが0のとき、Lは、3ないし40個の環炭素原子を有する置換または非置換ヘテロアリレン基を表す。XはO、S、NRを表す。YないしYはそれぞれ独立して窒素原子またはCRを表す。RおよびRは独立して水素原子、置換基、またはLとの結合を表す。pは0ないし7の整数を表す。qは0ないし10の整数を表す。RないしRは、独立して水素原子、ハロゲン化物、1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、6ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換アラルキル基、および3ないし30個の炭素原子を有する置換または非置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。
図1