特許第6155364号(P6155364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6155364
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20170619BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   F28F3/04 A
   F28D9/02
【請求項の数】9
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-106117(P2016-106117)
(22)【出願日】2016年5月27日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】グェン ゴク タム
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−085094(JP,A)
【文献】 特開2005−326074(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080256(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/132959(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある複数の凸条のそれぞれは、凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部と自身の直線部とを整列させ、伝熱プレートの第二面上にある凸条の直線部の低部位の数は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条の直線部の低部位の数と異なることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
伝熱プレートの第二面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されている請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項4】
第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項5】
伝熱プレートの第二面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上である請求項1乃至の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項6】
複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第二面上の凸条の直線部を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの第二面の凹条に沿わせた状態で、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの第二面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向で第二面同士を対向させる伝熱プレートの第一面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有する請求項1乃至5の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項7】
伝熱プレートの第一面上にある複数の凸条のそれぞれは、凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部と自身の直線部とを整列させ、伝熱プレートの第一面上にある凸条の直線部の低部位の数は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条の直線部の低部位の数と異なる請求項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項8】
伝熱プレートの第一面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されている請求項6又は7に記載のプレート式熱交換器。
【請求項9】
伝熱プレートの第一面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上である請求項6乃至8の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一流体を流通させる第一流路と第二流体を流通させる第二流路とを区画し、且つ、第一流路内の第一流体と第二流路内の第二流体とを熱交換させる伝熱プレートを備えたプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一流体と第二流体とを熱交換させるプレート式熱交換器は、それぞれが第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備える。
【0003】
複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有する。これに対し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有する。すなわち、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面についても、第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす凸条及び凹条であって、第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有する。
【0004】
この種のプレート式熱交換器において、複数の伝熱プレートは、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成する。
【0005】
これにより、プレート式熱交換器は、伝熱プレートを介して第一流路を流通する第一流体と第二流路を流通する第二流体とを熱交換させる。
【0006】
ところで、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含む。
【0007】
そして、粘性のある第一流体や固形物を含む第一流体と第二流体とを熱交換させる場合、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートと第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させる。これにより、粘性のある第一流体や固形物を含む第一流体を流通させる第一流路には、第一流体の流通の障害となる部分がなくなり、第一流体の流通性が確保される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平7−22618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のプレート式熱交換器では、第一流体を第一流路で流通させた場合、第一流体と第二流体との熱伝熱効率が低くなる傾向にある。
【0010】
具体的には、伝熱プレートの第二面の凸条は、第二方向及び第三方向に広がる仮想面であって、第一方向で隣り合う伝熱プレートの第二面の凸条の頂部に接する仮想面上に頂部が位置するように突出量が設定される。これにより、第二面の凸条と表裏の関係にある第一面の凹条の深さが深くなってしまう。
【0011】
そのため、粘性のある第一流体や固形物を含む第一流体が第一流路を流通するに際し、該第一流体が伝熱プレートの第一面の凹条の奥部に入り込んで滞留する傾向にある。従って、第一面の凹条内で滞留する第一流体が第二流体に対する熱交換効率を低下させてしまうといった問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、粘性を有する流体や固形物を含む流体を流通させても、該流体が部分的に滞留することを抑制し、最大限の熱交換性能を発揮することのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るプレート式熱交換器は、第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある複数の凸条のそれぞれは、凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部と自身の直線部とを整列させ、伝熱プレートの第二面上にある凸条の直線部の低部位の数は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条の直線部の低部位の数と異なることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、第一方向で第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第一流体を流通させる第一流路が形成され、第一方向で第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第二流体を流通させる第二流路が形成される。そして、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートと第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させているため、第一流路を形成する伝熱プレート間(直線部と凹条との間)が非接触になる。従って、第一流路内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。
【0015】
これにより、第一流路に粘性の高い第一流体や固形物を含む第一流体を流通させたときに、第一流体の流通の円滑性が確保される。また、伝熱プレートの第二面の凸条は、第一面の凹条と表裏の関係にあるため、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二面の凸条における直線部(高部位、低部位)の裏側になる第一面の凹条において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第一面上の凹条に深さの浅い部分では、第一流体が入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第一面の凹条における深さの浅い部分において、第一流体が滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第一面の凹条における深さの深い部分では、第一流体が入り込むことになるが、その凹条の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条の深さの深い部分に入り込んだ第一流体は深さの浅い部分を流通する第一流体に引き込まれ、第三方向に流通する。
【0016】
そして、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二流路内において直線部の低部位で第二流体が流通し易くなる。すなわち、直線部の低部位と相手方の伝熱プレートとの間隔が、直線部の高部位と相手方の伝熱プレートとの間隔よりも広くなるため、第二流体の流通抵抗を小さくなり、第二流体が流通し易くなる。
【0017】
これにより、第一流路内の第一流体及び第二流路内の第二流体のそれぞれが円滑に流通する結果、第一流路内を流通する第一流体と第二流路内を流通する第二流体との熱交換効率が向上する。
【0018】
また、伝熱プレートの第二面上にある複数の凸条のそれぞれは、凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部と自身の直線部とを整列させ、伝熱プレートの第二面上にある凸条の直線部の低部位の数は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条の直線部の低部位の数と異なるため、第二面上で第三方向に隣り合う凸条(直線部)の低部位の第二方向における配置が、凸条(直線部)毎に異なる。これに伴い、第一面の凹条の深さの浅い部分も凹条毎に異なることになる。従って、第一流路内で第三方向に流通する第一流体は、第一面の凹条の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第一流路内における第一流体の分散性が高まり、第一流体と第二流体との熱交換効率が高まる。
本発明の一態様として、伝熱プレートの第二面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されてもよい。このようにすれば、第二面上で第三方向に隣り合う凸条(直線部)の低部位の第二方向における配置が、凸条(直線部)毎に異なる。これに伴い、第一面の凹条の深さの浅い部分も凹条毎に異なることになる。従って、第一流路内で第三方向に流通する第一流体は、第一面の凹条の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第一流路内における第一流体の分散性が高まり、第一流体と第二流体との熱交換効率が高まる。
【0019】
本発明に係るプレート式熱交換器は、第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第一方向で第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第一流体を流通させる第一流路が形成され、第一方向で第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第二流体を流通させる第二流路が形成される。そして、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートと第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させているため、第一流路を形成する伝熱プレート間(直線部と凹条との間)が非接触になる。従って、第一流路内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。
これにより、第一流路に粘性の高い第一流体や固形物を含む第一流体を流通させたときに、第一流体の流通の円滑性が確保される。また、伝熱プレートの第二面の凸条は、第一面の凹条と表裏の関係にあるため、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二面の凸条における直線部(高部位、低部位)の裏側になる第一面の凹条において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第一面上の凹条に深さの浅い部分では、第一流体が入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第一面の凹条における深さの浅い部分において、第一流体が滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第一面の凹条における深さの深い部分では、第一流体が入り込むことになるが、その凹条の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条の深さの深い部分に入り込んだ第一流体は深さの浅い部分を流通する第一流体に引き込まれ、第三方向に流通する。
そして、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二流路内において直線部の低部位で第二流体が流通し易くなる。すなわち、直線部の低部位と相手方の伝熱プレートとの間隔が、直線部の高部位と相手方の伝熱プレートとの間隔よりも広くなるため、第二流体の流通抵抗を小さくなり、第二流体が流通し易くなる。
これにより、第一流路内の第一流体及び第二流路内の第二流体のそれぞれが円滑に流通する結果、第一流路内を流通する第一流体と第二流路内を流通する第二流体との熱交換効率が向上する。
そして、伝熱プレートの第二面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されているため、第二面上で第三方向に隣り合う凸条(直線部)の低部位の第二方向における配置が、凸条(直線部)毎に異なる。これに伴い、第一面の凹条の深さの浅い部分も凹条毎に異なることになる。従って、第一流路内で第三方向に流通する第一流体は、第一面の凹条の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第一流路内における第一流体の分散性が高まり、第一流体と第二流体との熱交換効率が高まる。
これらの場合、伝熱プレートの第二面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であることが好ましい。このようにすれば、直線部の低部位の形成範囲、及び第一面における凹条の深さの浅い部分の形成範囲が適正となり、第一流路における第一流体の流通性及び第二流路における第二流体の流通性が良好となる。
【0020】
本発明に係るプレート式熱交換器は、第一方向に第一面及び第一面の反対側の第二面を有する複数の伝熱プレートであって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、複数の伝熱プレートのそれぞれの第一面は、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に長手をなす複数の凸条及び凹条であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、複数の伝熱プレートのそれぞれの第二面は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条を有し、伝熱プレートの第一面の凸条及び第二面の凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第一流体を第三方向に流通させる第一流路を形成するとともに、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートと第二面と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートとの間に第二流体を第三方向に流通させる第二流路を形成し、第一方向で第一面同士を対向させる伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有し、伝熱プレートの第二面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であることを特徴とする。
上記構成によれば、第一方向で第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第一流体を流通させる第一流路が形成され、第一方向で第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレート間に第三方向に第二流体を流通させる第二流路が形成される。そして、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面上の凸条の直線部を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートと第一面の凹条に沿わせた状態で、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させているため、第一流路を形成する伝熱プレート間(直線部と凹条との間)が非接触になる。従って、第一流路内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。
これにより、第一流路に粘性の高い第一流体や固形物を含む第一流体を流通させたときに、第一流体の流通の円滑性が確保される。また、伝熱プレートの第二面の凸条は、第一面の凹条と表裏の関係にあるため、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二面の凸条における直線部(高部位、低部位)の裏側になる第一面の凹条において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第一面上の凹条に深さの浅い部分では、第一流体が入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第一面の凹条における深さの浅い部分において、第一流体が滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第一面の凹条における深さの深い部分では、第一流体が入り込むことになるが、その凹条の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条の深さの深い部分に入り込んだ第一流体は深さの浅い部分を流通する第一流体に引き込まれ、第三方向に流通する。
そして、第二面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第二流路内において直線部の低部位で第二流体が流通し易くなる。すなわち、直線部の低部位と相手方の伝熱プレートとの間隔が、直線部の高部位と相手方の伝熱プレートとの間隔よりも広くなるため、第二流体の流通抵抗を小さくなり、第二流体が流通し易くなる。
これにより、第一流路内の第一流体及び第二流路内の第二流体のそれぞれが円滑に流通する結果、第一流路内を流通する第一流体と第二流路内を流通する第二流体との熱交換効率が向上する。
また、伝熱プレートの第二面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であるため、直線部の低部位の形成範囲、及び第一面における凹条の深さの浅い部分の形成範囲が適正となり、第一流路における第一流体の流通性及び第二流路における第二流体の流通性が良好となる。
【0021】
これらの発明において、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第二面上の凸条の直線部を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの第二面の凹条に沿わせた状態で、自身の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの第二面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向で第二面同士を対向させる伝熱プレートの第一面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有してもよい。
【0022】
このようにすれば、第二流路を形成する伝熱プレート間(直線部と凹条との間)が非接触になる。従って、第二流路内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。
【0023】
これにより、第二流路に粘性の高い第二流体や固形物を含む第二流体を流通させたときに、第二流体の流通の円滑性が確保される。そして、伝熱プレートの第一面の凸条は、第二面の凹条と表裏の関係にあるため、第一面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第一面上の凸条における直線部(高部位、低部位)の裏側になる第二面の凹条において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第二面上の凹条に深さの浅い部分は、第二流体が入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第二面の凹条における深さの浅い部分において、第二流体が滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第二面の凹条における深さの深い部分では、第二流体が入り込むことになるが、その凹条の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条の深さの深い部分に入り込んだ第二流体は深さの浅い部分を流通する第二流体に引き込まれ、第三方向に流通する。
【0024】
また、第一面上の凸条における直線部が高部位と低部位とを有することで、第一流路内において直線部の低部位で第一流体が流通し易くなる。すなわち、直線部の低部位と相手方の伝熱プレートとの間隔が、直線部の高部位と相手方の伝熱プレートとの間隔よりも広くなるため、第一流体の流通抵抗を小さくなり、第一流体が流通し易くなる。
【0025】
これにより、第一流路内の第一流体及び第二流路内の第二流体のそれぞれがより円滑に流通する結果、第一流路内を流通する第一流体と第二流路内を流通する第二流体との熱交換効率がより向上する。
【0026】
また、伝熱プレートの第一面上にある複数の凸条のそれぞれは、凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部と自身の直線部とを整列させ、伝熱プレートの第一面上にある凸条の直線部の低部位の数は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条の直線部の低部位の数と異なってもよい。このようにすれば、第一面上で第三方向に隣り合う凸条(直線部)の低部位の第二方向における配置が、凸条(直線部)毎に異なる。これに伴い、第二面の凹条の深さの浅い部分も凹条毎に異なることになる。従って、第二流路内で第三方向に流通する第二流体は、第二面の凹条の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第二流路内における第二流体の分散性が高まり、第一流体と第二流体との熱交換効率が高まる。
【0027】
また、伝熱プレートの第一面上にある凸条における直線部の低部位は、該凸条に対して凹条を挟んで第三方向で隣り合う凸条の直線部の低部位に対して第二方向で位置ずれして配置されてもよい。このようにすれば、第一面上で第三方向に隣り合う凸条(直線部)の低部位の第二方向における配置が、凸条(直線部)毎に異なる。これに伴い、第二面の凹条の深さの浅い部分も凹条毎に異なることになる。従って、第二流路内で第三方向に流通する第二流体は、第二面の凹条の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第二流路内における第二流体の分散性が高まり、第一流体と第二流体との熱交換効率が高まる。
【0028】
また、伝熱プレートの第一面上にある凸条において、直線部の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位と低部位との第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であることが好ましい。このようにすれば、直線部の低部位の形成範囲、及び第一面における凹条の深さの浅い部分の形成範囲が適正となり、第一流路における第一流体の流通性及び第二流路における第二流体の流通性が良好となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、粘性を有する流体や固形物を含む流体を流通させても、該流体が部分的に滞留することを抑制し、最大限の熱交換性能を発揮することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の概略全体斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の概略分解斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの第一面側から見た図である。
図4図4は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの第二面側から見た図である。
図5図5は、図3におけるV部の拡大図である。
図6図6は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第一面上の凸条における二つの低部位を有する部分(第一直線部、第二直線部、短尺凸条)を長手方向に沿って切断した断面図である。
図7図7は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第一面上の凸条における一つの低部位を有する部分(第一直線部、第二直線部、短尺凸条)を長手方向に沿って切断した断面図である。
図8図8は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第一面上の凸条である第一長尺凸条の端部傾斜部を長手方向と直交する方向に沿って切断した断面図である。
図9図9は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第一面上の凸条である第一長尺凸条の接続傾斜部を長手方向と直交する方向に沿って切断した断面図である。
図10図10は、図4におけるX部の拡大図である。
図11図11は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第二面上の凸条における二つの低部位を有する部分(直線部、並列部)を長手方向に沿って切断した断面図である。
図12図12は、同実施形態に係る伝熱プレートの部分拡大断面図であって、第二面上の凸条における一つの低部位を有する部分(直線部、並列部)を長手方向に沿って切断した断面図である。
図13図13は、同実施形態に係るプレート式熱交換器におけるガスケット(第一流路形成用ガスケット、第二環状ガスケット)及び該ガスケットによって形成される流路(第一流路、第一流入路、第一流出路)を説明するための説明図である。
図14図14は、同実施形態に係るプレート式熱交換器におけるガスケット(第二流路形成用ガスケット、第一環状ガスケット)及び該ガスケットによって形成される流路(第二流路、第二流入路、第二流出路)を説明するための説明図である。
図15図15は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、伝熱プレートの主伝熱領域の一部を第三方向に沿って切断した部分断面図である。
図16図16は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの端部傾斜部付近の部分拡大図であって、隣り合う伝熱プレートの一方の伝熱プレートを仮想線で示し、隣り合う伝熱プレートの端部傾斜部の重なり状態を説明するための部分拡大図である。
図17図17は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの接続傾斜部付近の部分拡大図であって、隣り合う伝熱プレートの一方の伝熱プレートを仮想線で示し、隣り合う伝熱プレートの接続傾斜部の重なり状態を説明するための部分拡大図である。
図18図18は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの端部傾斜部及び接続傾斜部を含む部分概略拡大図であって、第一流路に第一流体を流通させるとともに、第二流路に第二流体を流通させた状態の部分概略拡大図である。
図19図19は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレートの端部傾斜部及び接続傾斜部を含む部分概略拡大図であって、第一流路内の流体圧が作用していない状態、或いは第一流路内の流体圧が第二流路の流体圧よりも小さい状態の部分概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1及び図2に示す如く、プレート式熱交換器1は、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…を備える。具体的には、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図2に示す如く、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…と、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,間に介装され、伝熱プレート2,…間を封止する複数のガスケット3,4,5,6とを備える。
【0033】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図1及び図2に示す如く、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…を挟み込む一対のエンドプレート7,7と、複数の伝熱プレート2,…を挟み込んだ一対のエンドプレート7,7を締結する締結部材8…(図1参照)とを更に備える。
【0034】
伝熱プレート2,…は、図3及び図4に示す如く、第一面S1と、第一面S1の反対側の第二面S2とを有する。伝熱プレート2,…は、金属プレートをプレス成型して作製される。これに伴い、第一面S1上の形態と第二面S2の形態とが対応関係にある。
【0035】
伝熱プレート2,…の第一面S1及び第二面S2のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向に延びる中心線(以下、横中心線という)CL1と第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CL2との交点を含む主伝熱領域A1と、第三方向で主伝熱領域A1を挟む一対の端部領域A2,A2とを含む。
【0036】
本実施形態において、伝熱プレート2,…は、正面視長方形状である。すなわち、伝熱プレート2,…の外形は、それぞれが第二方向に延び且つ第三方向に間隔をあけた一対の短辺SEと、それぞれが第三方向に延び且つ第二方向に間隔をあけた一対の長辺LEとにより画定される。
【0037】
主伝熱領域A1は、伝熱プレート2,…の外形を画定する一対の長辺LEを第二方向の両端縁とする正面視矩形状の領域である。一対の端部領域A2,A2のそれぞれは、主伝熱領域A1と連続する。一対の端部領域A2,A2のそれぞれは、伝熱プレート2,…の外形を画定する一対の長辺LEを第二方向の両端縁とし且つ伝熱プレート2,…の外形を画定する短辺SEを第三方向の端縁とする正面視矩形状の領域である。
【0038】
第一面S1の主伝熱領域A1と第二面S2の主伝熱領域A1とは、互いに表裏の関係にある。また、第一面S1の一方の端部領域A2と第二面S2の一方の端部領域A2とは、互いに表裏の関係にあり、第一面S1の他方の端部領域A2と第二面S2の他方の端部領域A2とは、互いに表裏の関係にある。
【0039】
一対の端部領域A2,A2のそれぞれは、第一開口20と、第一開口20に対して第二方向で間隔をあけて設けられた第二開口21とを有する。本実施形態において、一対の端部領域A2,A2のそれぞれは、縦中心線CL2を境にした二つの領域のうちの一方の領域に設けられた第一開口20と、縦中心線CL2を境にした二つの領域のうちの他方の領域に設けられた第二開口21とを有する。ここで、一方の領域とは、伝熱プレート2の第二方向における一端側の領域であり、他方の領域とは、伝熱プレート2の第二方向における他端側の領域である。従って、一対の端部領域A2,A2のそれぞれの第一開口20は、何れも伝熱プレート2の第二方向の一端側(一方の長辺LE側)に位置し、一対の端部領域A2,A2のそれぞれの第二開口21は、何れも伝熱プレート2の第二方向の他端側(他方の長辺LE側)に位置している。本実施形態において、第一開口20及び第二開口21は、円形である。
【0040】
伝熱プレート2,…の第一面S1及び第二面S2のそれぞれは、ガスケット3,4,5,6を配置するガスケット配置部22,23,24,25を有する。
【0041】
本実施形態において、伝熱プレート2,…は、第一流体を流通させる第一流路の形態に即して設けられた第一流路形成用ガスケット配置部22と、第二開口21を包囲する第二環状ガスケット配置部23と、第二流体を流通させる第二流路の形態に即して設けられた第二流路形成用ガスケット配置部24と、第一開口20を包囲する第一環状ガスケット配置部25とを有する。
【0042】
具体的には、伝熱プレート2,…の第一面S1は、図3に示す如く、ガスケット配置部22,23として、一対の第二開口21を躱した状態で、一対の第一開口20を一括して包囲する第一流路形成用ガスケット配置部22と、一対の第二開口21のそれぞれを包囲する一対の第二環状ガスケット配置部23とを有する。
【0043】
これに対し、伝熱プレート2,…の第二面S2は、図4に示す如く、ガスケット配置部24,25として、一対の第一開口20を躱した状態で、一対の第二開口21を一括して包囲する第二流路形成用ガスケット配置部24と、一対の第一開口20のそれぞれを包囲する一対の第一環状ガスケット配置部25とを有する。
【0044】
図3に示す如く、第一流路形成用ガスケット配置部22は、主伝熱領域A1及び端部領域A2,A2に跨って設けられる。具体的には、第一流路形成用ガスケット配置部22は、それぞれが第三方向に延びる一対のストレート部(以下、第一ストレート部という)220,220であって、第二方向に間隔をあけた一対の第一ストレート部220,220と、一対の第一ストレート部220,220の対応する端部に繋がる一対の折返部(以下、第一折返部という)221,221とを備える。
【0045】
一対の第一ストレート部220,220のそれぞれは、主伝熱領域A1の外縁(伝熱プレート2,…の第三方向の両端)に沿って配置される。一対の第一ストレート部220,220のそれぞれは、主伝熱領域A1と一方の端部領域A2との境界に一端を位置させ、主伝熱領域A1と他方の端部領域A2との境界に他端を位置させている。
【0046】
一対の第一折返部221,221のうちの一方の第一折返部221は、一方の端部領域A2内に設けられ、一対の第一折返部221,221のうちの他方の第一折返部221は、他方の端部領域A2内に設けられる。
【0047】
一対の第一折返部221,221のそれぞれは、端部領域A2,A2内の第一開口20の外周の一部を取り囲むターン部(以下、第一ターン部という)221aと、第一ターン部221aと一対の第一ストレート部220,220とに繋がる一対の接続部(以下、第一接続部という)221b,221bとを含む。
【0048】
第一ターン部221aは、一端と該一端の反対側の他端とを有する。本実施形態において、第一ターン部221aは、第一開口20の外周の一部に沿った円弧状に形成される。これに伴い、第一ターン部221aは、第一開口20の中心を曲率中心としている。第一ターン部221aにおいて、曲率中心と一端とを結ぶ仮想線と、曲率中心と他端とを結ぶ仮想線とのなす角度は、180度よりも小さい。第一ターン部221aの一端は、一方の第一ストレート部220の延長線上に位置する。
【0049】
一対の第一接続部221b,221bのうちの一方の第一接続部221bは、一方の第一ストレート部220と第一ターン部221aの一端とに繋がる。本実施形態において、一方の第一接続部221bは、真っ直ぐに延びている。すなわち、一方の第一接続部221bは、一方の第一ストレート部220の延長線上に設けられ、一方の第一ストレート部220と第一ターン部221aとに繋がる。
【0050】
これに対し、一対の第一接続部221b,221bのうちの他方の第一接続部221bは、他方の第一ストレート部220と第一ターン部221aの他端とに繋がる。他方の第一接続部221bは、第一ターン部221aの曲率半径よりも大きな曲率半径の円弧状をなす。他方の第一接続部221bは、第一ターン部221aに繋がる端部と他方の第一ストレート部220に繋がる端部との間が外方に膨らんでいる。
【0051】
本実施形態において、他方の第一ストレート部220が他方の第一接続部221bに対する接線方向に延びるように、他方の第一接続部221bの曲率が設定される。
【0052】
上述の如く、第一開口20は、伝熱プレート2,…の縦中心線(第三方向に延びる中心線)CL2を境界にして、端部領域A2を分けた二つの領域のうちの一方の領域に配置される。これに伴い、一対の第一折返部221,221は、伝熱プレート2,…における横中心線(第二方向に延びる中心線)CL1を基準に対称である。これにより、第一流路形成用ガスケット配置部22は、第三方向における寸法が第二方向における一端側から他端側に向かうに連れて小さくなった台形状の領域を画定する。
【0053】
第二環状ガスケット配置部23は、第一流路形成用ガスケット配置部22によって包囲された領域の外側の領域内で第二開口21を包囲する。一対の第二環状ガスケット配置部23のそれぞれは、第二開口21の形状に対応している。上述の如く、本実施形態において、第二開口21は、円形状である。これに伴い、一対の第二環状ガスケット配置部23は、円環状である。本実施形態において、第二環状ガスケット配置部23は、第二開口21と同心である。
【0054】
図4に示す如く、第二流路形成用ガスケット配置部24は、主伝熱領域A1及び端部領域A2,A2に跨って設けられる。具体的には、第二流路形成用ガスケット配置部24は、それぞれが第三方向に延びる一対のストレート部(以下、第二ストレート部という)240,240であって、第二方向に間隔をあけた一対の第二ストレート部240,240と、一対の第二ストレート部240,240の対応する端部に繋がる一対の折返部(以下、第二折返部という)241,241とを備える。
【0055】
一対の第二ストレート部240,240のそれぞれは、主伝熱領域A1の外縁(伝熱プレート2,…の第三方向の両端)に沿って配置される。一対の第二ストレート部240,240のそれぞれは、主伝熱領域A1と一方の端部領域A2との境界に一端を位置させ、主伝熱領域A1と他方の端部領域A2との境界に他端を位置させている。本実施形態において、一対の第二ストレート部240,240は、第一面S1上にある一対の第一ストレート部220,220と重複している。すなわち、一対の第二ストレート部240,240のうちの一方の第二ストレート部240は、一対の第一ストレート部220,220のうちの他方の第一ストレート部220と重複し、一対の第二ストレート部240,240のうちの他方の第二ストレート部240は、一対の第一ストレート部220,220のうちの一方の第一ストレート部220と重複している。
【0056】
一対の第二折返部241,241のうちの一方の第二折返部241は、一方の端部領域A2内に設けられ、一対の第二折返部241,241のうちの他方の第二折返部241は、他方の端部領域A2内に設けられる。
【0057】
一対の第二折返部241,241のそれぞれは、端部領域A2,A2内の第二開口21の外周の一部を取り囲むターン部(以下、第二ターン部という)241aと、第二ターン部241aと一対の第二ストレート部240,240とに繋がる一対の接続部(以下、第二接続部という)241b,241bとを含む。
【0058】
第二ターン部241aは、一端と該一端の反対側の他端とを有する。本実施形態において、第二ターン部241aは、第二開口21の外周の一部に沿った円弧状に形成される。これに伴い、第二ターン部241aは、第二開口21の中心を曲率中心としている。第二ターン部241aにおいて、曲率中心と一端とを結ぶ仮想線と、曲率中心と他端とを結ぶ仮想線とのなす角度は、180度よりも小さい。第二ターン部241aの一端は、一方の第二ストレート部240の延長線上に位置する。
【0059】
本実施形態において、第二ターン部241aの曲率半径は、第二環状ガスケット配置部23の曲率半径と同一である。すなわち、第二ターン部241aは、第二環状ガスケット配置部23の一部と重複している。
【0060】
一対の第二接続部241b,241bのうちの一方の第二接続部241bは、一方の第二ストレート部240と第二ターン部241aの一端とに繋がる。本実施形態において、一方の第二接続部241bは、真っ直ぐに延びている。すなわち、一方の第二接続部241bは、一方の第二ストレート部240の延長線上に設けられ、一方の第二ストレート部240と第二ターン部241aとに繋がる。
【0061】
これに対し、一対の第二接続部241b,241bのうちの他方の第二接続部241bは、他方の第二ストレート部240と第二ターン部241aの他端とに繋がる。
【0062】
本実施形態において、他方の第二接続部241bは、第三方向に一端と該一端の反対側の他端とを含む第一部242であって、一端が他方の第二ストレート部240に繋がる第一部242と、第一部242の他端と第二ターン部241aの他端とに繋がる第二部243とを含む。
【0063】
第一部242は、第三方向に真っ直ぐに延びる。すなわち、第一部242は、他方の第二ストレート部240の延長線上に設けられる。これに伴い、第一部242は、第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221における一方の第一接続部221bと重複している。
【0064】
第二部243は、第二ターン部241aの他端に繋がる第一延出部243aであって、横中心線CL1と交差する方向に延びる第一延出部243aと、第一部242の他端から延出した第二延出部243bと、第一延出部243aと第二延出部243bとに繋がる連結部243cとを含む。
【0065】
第一延出部243aは、第二ターン部241aの接線方向に延び、縦中心線(第三方向に延びる伝熱プレート2の中心線)CL2上で第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221における他方の第一接続部221bと交差している。
【0066】
第二延出部243bは、第一開口20の近傍に設けられる。第二延出部243bは、横中心線CL1の延びる方向、又は横中心線CL1と交差する方向に延びる。本実施形態において、第二延出部243bは、横中心線CL1と交差する方向に延びる。これに伴い、第二延出部243bの横中心線CL1に対する傾斜角度は、第一延出部243aの横中心線CL1に対する傾斜角度よりも小さく設定される。
【0067】
上述の如く、第一部242は、第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221における一方の第一接続部221bと重複しているため、第二延出部243bは、第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221における一方の第一接続部221bの途中位置と対応する位置から延びる。
【0068】
連結部243cは、円弧状に形成される。ここでは、第一開口20の外周に沿っている。すなわち、連結部243cは、第一開口20の中心を曲率中心として円弧状に形成される。
【0069】
上述の如く、第二開口21は、伝熱プレート2,…の縦中心線(第三方向に延びる中心線)CL2を境界にして、端部領域A2を分けた二つの領域のうちの他方の領域に配置される。これに伴い、一対の第二折返部241,241は、伝熱プレート2,…における横中心線(第二方向に延びる中心線)CL1を基準に対称である。これにより、第二流路形成用ガスケット配置部24は、第三方向における寸法が第二方向における他端側から一端側に向かうに連れて小さくなった台形状の領域を画定する。
【0070】
第一環状ガスケット配置部25は、第二流路形成用ガスケット配置部24によって包囲された領域の外側の領域内で第一開口20を包囲する。一対の第一環状ガスケット配置部25のそれぞれは、第一開口20の形状に対応している。上述の如く、本実施形態において、第一開口20は、円形状である。これに伴い、一対の第一環状ガスケット配置部25は、円環状である。本実施形態において、第一環状ガスケット配置部25は、第一開口20と同心である。
【0071】
本実施形態において、第一環状ガスケット配置部25の曲率半径は、第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221の第一ターン部221aの曲率半径と同一である。すなわち、第一環状ガスケット配置部25の一部は、第一流路形成用ガスケット配置部22の第一折返部221の第一ターン部221aと重複している。
【0072】
第一面S1上にある第一流路形成用ガスケット配置部22及び第二環状ガスケット配置部23は、当該第一面S1上において同一レベルにある。また、第二面S2上にある第二流路形成用ガスケット配置部24及び第一環状ガスケット配置部25は、当該第二面S2上において同一レベルにある。
【0073】
伝熱プレート2,…の第一面S1及び第二面S2のそれぞれは、図3及び図4に示す如く、第一流路形成用ガスケット配置部22の包囲する領域と、第二流路形成用ガスケット配置部24の包囲する領域との重複領域に複数の凸条26,27及び凹条28,29を有する。
【0074】
また、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第一流路形成用ガスケット配置部22の外周に沿って設けられた支持部(第一支持部という)30aを有し、伝熱プレート2,…の第二面S2は、第二流路形成用ガスケット配置部24の外周に沿って設けられた支持部(第二支持部という)30bを有する。
【0075】
第一支持部30aは、第一方向に突出した複数の支持凸部(以下、第一支持凸部)300aであって、間隔をあけて配置された複数の第一支持凸部300aと、隣り合う第一支持凸部300a間に設けられた複数の凹部(以下、第一凹部という)300bとを含む。
【0076】
また、第二支持部30bは、第一方向に突出した複数の支持凸部(以下、第二支持凸部)301aであって、間隔をあけて配置された複数の第二支持凸部301aと、隣り合う第二支持凸部301a間に設けられた複数の凹部(以下、第二凹部という)301bとを含む。
【0077】
本実施形態において、第一支持凸部300aは、第二凹部301bの裏側であり、第一凹部300bは、第二支持凸部301aの裏側である。従って、第一面S1にある第一支持凸部300aは、第二面S2にある第二支持凸部301a間に位置し、第二面S2にある第二支持凸部301aは、第一面S1にある第一支持凸部300a間に位置している。
【0078】
伝熱プレート2,…は、上述の如く、プレス成型により作製されるため、第一面S1上の凸条26は、第二面S2の凹条29と対応し、第一面S1上の凹条28は、第二面S2上の凸条27と対応する。すなわち、第一面S1上の凸条26と第二面S2上の凹条29とは表裏の関係にあり、第一面S1上の凹条28と第二面S2上の凸条27とは表裏の関係にある。
【0079】
伝熱プレート2,…の第一面S1上の凸条26の突出量は、第一面S1上の第一流路形成用ガスケット配置部22及び第二環状ガスケット配置部23のある位置(面)を基準レベルにして設定される。また、伝熱プレート2,…の第一面S1上の凹条28の窪み量(深さ)は、第一面S1上の第一流路形成用ガスケット配置部22及び第二環状ガスケット配置部23を基準レベルにして設定されている。
【0080】
これに対し、伝熱プレート2,…の第二面S2上の凸条27の突出量は、第二面S2上の第二流路形成用ガスケット配置部24及び第一環状ガスケット配置部25のある位置(面)を基準レベルにして設定される。また、伝熱プレート2,…の第二面S2上の凹条29の窪み量(深さ)は、第二面S2上の第二流路形成用ガスケット配置部24及び第一環状ガスケット配置部25のある位置(面)を基準レベルにして設定されている。
【0081】
伝熱プレート2,…の第一面S1は、図5に示す如く、凸条26として、一方の第一ストレート部220近傍から他方の第一ストレート部220近傍にまで延びる第一長尺凸条26aであって、第三方向に間隔をあけて設けられる複数の第一長尺凸条26aと、第一長尺凸条26a間に設けられる短尺凸条26bとを有する。なお、図5において、第一面S1上にある凸条26の最も高い頂部(後述する高部位260a,260b)にドットを付している。
【0082】
第一長尺凸条26a及び短尺凸条26bのそれぞれは、基準レベルからの突出量が標準高さに設定された高部位260a,260bと、基準レベルからの突出量が高部位260a,260bよりも低い低部位261a,261bとを含む。ここで「標準高さ」とは、伝熱プレート2,…を第一方向に重ね合わせた状態(隣り合う伝熱プレート2,2の支持部30a,30b同士を支持させた状態)において、隣り合う二つの伝熱プレート2,…の凸条26,27の頂点が第二方向及び第三方向に広がる仮想面上に位置する高さを意味する。
【0083】
伝熱プレート2の第一面S1の凸条26(第一長尺凸条26a)は、第二方向に間隔をあけて配置された複数の直線部262a,263aであって、第二方向で隣り合う直線部262a,263a同士が第三方向に位置ずれした複数の直線部262a,263aと、第二方向において隣り合う直線部262a,263aに繋がる傾斜部264aと、直線部262aの一方の端部にのみに繋がる傾斜部265aであって、当該凸条26(第一長尺凸条26a)の端部を構成する傾斜部265aとを備える。
【0084】
より具体的に説明する。第一面S1上の第一長尺凸条26aは、それぞれが第二方向に延びる複数の直線部(以下、第一直線部という)262aであって、第二方向に間隔をあけて直列に配置された複数の第一直線部262aと、それぞれが第二方向に延び、第二方向に間隔をあけて直列に配置された複数の直線部(以下、第二直線部という)263aであって、第三方向で第一直線部262aに対して位置ずれし且つ第二方向で隣り合う第一直線部262a間に対応した位置に配置された複数の第二直線部263aと、互いに近接する第一直線部262aの端部と第二直線部263aの端部とに繋がる複数の傾斜部(以下、接続傾斜部という)264aとを備える。
【0085】
さらに、第一長尺凸条26aは、第一ストレート部220と隣接する第二方向における自身の端部として、第一直線部262a又は第二直線部263aの端部に連続し且つ第二方向と交差する方向に延びる傾斜部(以下、端部傾斜部という)265aを備える。
【0086】
第一直線部262a及び第二直線部263aの第二方向の長さは、同一又は略同一の長さに設定される。
【0087】
第二方向で隣り合う第一直線部262a同士の間隔は、第二直線部263aの第二方向の長さよりも広く設定され、第二方向で隣り合う第二直線部263a同士の間隔は、第一直線部262aの第二方向の長さよりも広く設定される。
【0088】
本実施形態において、第一直線部262aは、第二方向で隣り合う第二直線部263a間の中央に自身の第二方向の中央を一致させ、第二直線部263aは、第二方向で隣り合う第一直線部262a間の中央に自身の第二方向の中央を一致させている。
【0089】
これに伴い、近接する第一直線部262aの端部と第二直線部263aの端部とに繋がる接続傾斜部264aは、第二方向に対して交差する方向に延びる。すなわち、第一直線部262aの両端部に繋がる二つの接続傾斜部264aの第二方向の間隔は、第二直線部263aに近づく(第一直線部262aから遠ざかる)につれて広がり、第二直線部263aの両端部に繋がる二つの接続傾斜部264aの第二方向の間隔は、第一直線部262aに近づく(第二直線部263aから遠ざかる)につれて広がっている。
【0090】
本実施形態において、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第一長尺凸条26aとして、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における一方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aと、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における他方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aとを有する。
【0091】
伝熱プレート2,…の第一面S1において、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における一方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aと、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における他方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aとが第三方向に交互に配置される。
【0092】
第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における一方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aと、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における他方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aとは、互いの間を通る仮想面(第二方向の延びる仮想線に沿った仮想面)を基準に面対称に配置される。
【0093】
これにより、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第三方向で隣り合う第一長尺凸条26aの第二直線部263a同士の間隔が、第一直線部262a同士の間隔よりも広くなった間隔拡大部(採番しない)と、第三方向で隣り合う第一長尺凸条26aの第一直線部262a同士の間隔が、第二直線部263a同士の間隔よりも広くなった間隔拡大部(採番しない)とを有する。
【0094】
第一直線部262a及び第二直線部263aのそれぞれは、高部位260aと低部位261aとを含む。具体的には、第一長尺凸条26aの第一直線部262a及び第二直線部263aのそれぞれは、低部位261aと、第二方向において低部位261aの両側に配置された高部位260aとを含む。
【0095】
また、本実施形態において、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第一長尺凸条26aとして、第一直線部262a及び第二直線部263aの低部位261aの数を異にした複数種類の第一長尺凸条26aを有する(図3参照)。
【0096】
具体的には、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における一方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aとして、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aと、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aとを有する。
【0097】
また、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第一直線部262aに対して第二直線部263aを第三方向における他方側に位置ずれさせた第一長尺凸条26aとして、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aと、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aとを有する。
【0098】
そして、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aに対して第三方向の一方側で、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aが隣り合っている。また、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aに対して第三方向の他方側で、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aが隣り合っている。
【0099】
さらに、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aに対して第三方向の一方側で、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び二つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aが隣り合っている。また、二つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aに対して第三方向の他方側で、一つの低部位261aを含む第一直線部262a及び一つの低部位261aを含む第二直線部263aを含む第一長尺凸条26aが隣り合っている。
【0100】
短尺凸条26bは、第二方向に延びる。すなわち、短尺凸条26b自身が直線部を構成している。短尺凸条26bは、間隔拡大部内に配置される。
【0101】
上述の如く、第一長尺凸条26aの第一直線部262a及び第二直線部263aのそれぞれが低部位261aを含むため、これに対応して短尺凸条26bも高部位260bと低部位261bを含む。本実施形態において、伝熱プレート2,…の第一面S1は、短尺凸条26bとして、一つの低部位261bを含む短尺凸条26bと、二つの低部位261bを含む短尺凸条26bとを有する。
【0102】
一つの低部位261bを含む短尺凸条26bは、二つの低部位261aを含む第一直線部262a間(間隔拡大部)及び二つの低部位261aを含む第二直線部263a間(間隔拡大部)に配置され、二つの低部位261bを含む短尺凸条26bは、一つの低部位261aを含む第一直線部262a(間隔拡大部)及び一つの低部位261aを含む第二直線部263a(間隔拡大部)に配置される。
【0103】
これにより、伝熱プレート2,…の第一面S1において、第一長尺凸条26aにおける第一直線部262aに設けられた一つの低部位261a及び短尺凸条26bに設けられた一つの低部位261bが一列に並ぶとともに、第一長尺凸条26aにおける第二直線部263aに設けられた一つの低部位261a及び短尺凸条26bに設けられた一つの低部位261bが一列に並ぶ。また、伝熱プレート2,…の第一面S1において、第一長尺凸条26aにおける第一直線部262aに設けられた二つの低部位261a及び短尺凸条26bに設けられた二つの低部位261bが二列に並ぶとともに、第一長尺凸条26aにおける第二直線部263aに設けられた二つの低部位261a及び短尺凸条26bに設けられた二つの低部位261bが二列に並ぶ。
【0104】
これにより、第三方向において隣り合う第一長尺凸条26a同士の低部位261aが第二方向において位置ずれするとともに、第三方向において隣り合う第一長尺凸条26aと短尺凸条26bとの低部位261a,261bが第二方向において位置ずれした配置になっている。
【0105】
図6及び図7に示す如く、第一面S1上の凸条26である第一長尺凸条26a(第一直線部262a、第二直線部263a)及び短尺凸条26bのそれぞれにおいて、低部位261a,261bは、当該低部位261a,261bにおける第二方向の幅寸法(W)と、高部位260a,260bの頂上と低部位261a,261bの頂上との第一方向における高低差(d)との比(W/d)が2以上になるように形成される。
【0106】
伝熱プレート2,…の第一面S1の凸条26(第一長尺凸条26a及び短尺凸条26b)の裏側は、第二面S2の凹条29である。従って、第一長尺凸条26a及び短尺凸条26bに低部位261a,261bが設けられるに伴い、第一面S1上の第一長尺凸条26a及び短尺凸条26bの裏側に形成される第二面S2上の凹条29には深さの深い部分と深さの浅い部分とが形成される。すなわち、第一長尺凸条26a(第一直線部262a、第二直線部263a)の高部位260a,260bの裏側になる第二面S2の凹条29は、深さの深い部分となり、第一長尺凸条26a(第一直線部262a、第二直線部263a)に低部位261a,261bの裏側になる第二面S2の凹条29は、深さの浅い部分となる。
【0107】
図5に戻り、第一長尺凸条26aの接続傾斜部264aは、隣り合う伝熱プレート2,…(本実施形態においては第一面S1)に対して、当接可能に構成される。また、第一長尺凸条26aの端部傾斜部265aは、隣り合う伝熱プレート2,…(本実施形態においては第一面S1)に対して、当接可能に構成される。
【0108】
具体的には、端部傾斜部265aは、図5及び図8に示す如く、基準レベルからの突出量が第一直線部262a及び第二直線部263aの高部位260aと同一又は略同一に設定された高部位(以下、端部高部位という)267aと、端部高部位267aと隣り合う逃部267bであって、基準レベルからの突出量が端部高部位267aよりも少ない逃部267bを含む。端部傾斜部265aは、隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1における端部傾斜部265aと交差する(図16参照)。
【0109】
これを前提に、逃部267bは、端部傾斜部265aにおける対向する伝熱プレート2,…の端部傾斜部265aとの交差部分に配置される。これに伴い、端部高部位267aは、逃部267bの両側に配置される。
【0110】
端部傾斜部265aにおける逃部267bの基準レベルからの突出量は、伝熱プレート2,…のたわみ量を考慮して設定される。すなわち、図8に示す如く、逃部267bの両側にある端部高部位267aと逃部267bとの第一方向における高低差d1は、当該伝熱プレート2,…の端部傾斜部265aの逃部267bのある部分におけるたわみ量に対応している。
【0111】
本実施形態において、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,…は、互いの第二方向における両端部(一対の第一ストレート部220の外側にある支持部30a,30b)同士で支持し合う。すなわち、伝熱プレート2,…は、第二方向において両端支持される。
【0112】
これにより、伝熱プレート2,…は、第二面S2側からの圧力が作用したときに、第二方向における第一流路Ra及び第二流路Rbの外側にある支持部30aを支点にして撓む。伝熱プレート2,…の撓み量(第一方向の変移量)は、支持部30aからの離間距離により異なり、各位置におけるたわみ量は支持部30a,30bからの離間量と比例的となる。
【0113】
従って、端部傾斜部265aにおける逃部267bは、その位置での伝熱プレート2,…のたわみ量に応じて第一直線部262a及び第二直線部263aの高部位260aよりも低く設定される。すなわち、端部傾斜部265aにおける逃部267bは、常態において、対向する端部傾斜部265aとの干渉を回避する。
【0114】
図5及び図9に示す如く、接続傾斜部264aは、基準レベルからの突出量が第一直線部262a及び第二直線部263aの高部位260aと同一又は略同一に設定された高部位(以下、接続高部位という)268aと、接続高部位268aと隣り合う逃部268bであって、基準レベルからの突出量が接続高部位268aよりも少ない逃部268bとを含む。接続傾斜部264aは、隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1における接続傾斜部264aと交差する(図17参照)。
【0115】
これを前提に、接続傾斜部264aにおいて、逃部268bは、対向する伝熱プレート2,…の接続傾斜部264aとの交差部分に配置される。これに伴い、接続高部位268aは、逃部268bの両側に配置される。
【0116】
接続傾斜部264aにおける逃部268bの基準レベルからの突出量は、伝熱プレート2,…のたわみ量を考慮して設定される。すなわち、図9に示す如く、逃部268bの両側にある接続高部位268aと逃部268bとの第一方向における高低差d2は、当該伝熱プレート2,…の接続傾斜部264aの逃部268bのある部分におけるたわみ量に対応している。
【0117】
本実施形態において、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,…は、上述の如く、互いの第二方向における両端部(一対の第一ストレート部220の外側にある支持部30a,30b)同士で支持し合っているため、伝熱プレート2,…は、第二面S2側からの圧力の作用が生じたときに、第二方向において第一流路Ra及び第二流路Rbの外側にある支持部30a,30bを支点にして撓む。伝熱プレート2,…の撓み量(第一方向の変移量)は、支持部30aからの離間距離により異なり、各位置におけるたわみ量は支持位置からの離間量と比例的となる。
【0118】
従って、接続傾斜部264aにおける逃部268bは、その位置での伝熱プレート2,…のたわみ量に応じて接続高部位268aよりも低く設定される。
【0119】
接続傾斜部264aは、端部傾斜部265aよりも第二方向において内側に存在する。従って、伝熱プレート2,…における接続傾斜部264aのある部分は、端部傾斜部265aのある部分よりもたわみ量が多くなる。
【0120】
従って、接続傾斜部264aの逃部268bは、端部傾斜部265aの逃部267bよりも低く設定される。すなわち、逃部268bの両側にある接続高部位268aと、接続傾斜部264aの逃部268bとの第一方向における高低差(深さ)d2は、端部傾斜部265aにおける端部高部位267aと端部傾斜部265aの逃部267bとの第一方向における高低差(深さ)d1よりも大きく(深く)なっている。
【0121】
これにより、接続傾斜部264aにおける逃部268bは、常態において対向する接続傾斜部264aとの干渉を回避する。
【0122】
伝熱プレート2,…の第一面S1の凸条26は、以上の通りであり、伝熱プレート2,…の第一面S1は、第三方向に並ぶ第一長尺凸条26aの間及び第三方向に並ぶ第一長尺凸条26aと短尺凸条26bとの間に凹条28を有する。そして、伝熱プレート2,…の第一面S1の凸条26(第一長尺凸条26a、短尺凸条26b)は、伝熱プレート2,…の第二面S2に凹条29を形成し、第一面S1の凹条28は、伝熱プレート2,…の第二面S2の凸条27を形成する。
【0123】
具体的には、本実施形態に係る伝熱プレート2,…の第二面S2は、図10に示す如く、凸条27として、一方の第二ストレート部240の近傍から他方の第二ストレート部240の近傍にまで延びる第二長尺凸条27を有する。なお、図10において、第二面S2上にある凸条27の最も高い頂部(後述する高部位273a)にドットを付している。
【0124】
第二長尺凸条27は、第二方向に延びる直線部(以下、直列直線部という)270であって、第二方向に間隔をあけて配置された直列直線部270と、それぞれが第二方向に延び且つ第三方向に間隔をあけて配置された一対の直線部(以下、並列直線部という)271であって、第二方向で隣り合う直列直線部270間に配置された一対の並列直線部271と、第二方向で隣り合う直列直線部270と一対の並列直線部271とを繋ぐ分岐部272とを備える。
【0125】
直列直線部270及び並列直線部271の第二方向の長さは、同一又は略同一の長さに設定される。
【0126】
第二方向で隣り合う直列直線部270同士の間隔は、並列直線部271の第二方向の長さよりも広く設定され、第二方向で隣り合う並列直線部271同士の間隔は、直列直線部270の第二方向の長さよりも広く設定される。
【0127】
本実施形態において、直列直線部270は、第二方向で隣り合う並列直線部271間の中央に自身の第二方向の中央を一致させ、並列直線部271は、第二方向で隣り合う直列直線部270間の中央に自身の第二方向の中央を一致させている。
【0128】
分岐部272は、第二方向に対して傾斜する方向に延びる一対の傾斜部(以下、分岐傾斜部という)272a,272aを含む。すなわち、分岐部272は、直列直線部270と一方の並列直線部271を繋ぐ分岐傾斜部272aと、直列直線部270と他方の並列直線部271を繋ぐ分岐傾斜部272aとを有する。一対の分岐傾斜部272a,272aのそれぞれは、直列直線部270上を通って第二方向に延びる仮想線に沿った仮想面を基準に面対称であり、横中心線CL1と交差する方向に延びる。
【0129】
これにより、一方の並列直線部271の両端部に繋がる分岐傾斜部272a,272aの第二方向の間隔は、直列直線部270に近づく(一方の並列直線部271から遠ざかる)につれて広がり、他方の並列直線部271に繋がる二つの分岐傾斜部272a,272aの第二方向の間隔は、直列直線部270に近づく(他方の並列直線部271から遠ざかる)につれて広がっている。
【0130】
伝熱プレート2,…の第二面S2において、第三方向で隣り合う第二長尺凸条27は、互いの並列直線部271を第二方向にずらして配置される。
【0131】
すなわち、第三方向で隣り合う第二長尺凸条27のうちの一方の第二長尺凸条27の直列直線部270は、他方の第二長尺凸条27の一対の並列直線部271のうちの一方の並列直線部271に対して第三方向で間隔をあけて配置され、第三方向で隣り合う第二長尺凸条27のうちの一方の第二長尺凸条27における一対の並列直線部271のうちの他方の並列直線部271は、他方の第二長尺凸条27の直列直線部270に対して第三方向で間隔をあけて配置される。
【0132】
第二長尺凸条27において、直列直線部270及び一対の並列直線部271のそれぞれは、高部位273aと低部位273bとを含む。具体的には、直列直線部270及び一対の並列直線部271のそれぞれは、低部位273bと、第二方向において低部位273bの両側に配置された高部位273aとを含む。
【0133】
また、本実施形態において、伝熱プレート2,…の第二面S2は、第二長尺凸条27として、直列直線部270及び一対の並列直線部271の低部位273bの数を異にした複数種類の第二長尺凸条27を有する(図4参照)。
【0134】
具体的には、伝熱プレート2,…の第二面S2は、第二長尺凸条27として、一つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27と、二つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27と、二つの低部位273bを含む直列直線部270、一つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、二つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27と、一つの低部位273bを含む直列直線部270、一つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、二つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27とを有する。
【0135】
これを前提に、一つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27の第三方向における一方側には、一つの低部位273bを含む直列直線部270、一つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、二つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27が配置される。
【0136】
一つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27の第三方向における他方側には、二つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27が配置される。
【0137】
すなわち、二つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27の第三方向の一方側には、一つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27が配置される。
【0138】
これに伴い、二つの低部位273bを含む直列直線部270、二つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、一つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27の第三方向の他方側には、二つの低部位273bを含む直列直線部270、一つの低部位273bを含む一方の並列直線部271、及び、二つの低部位273bを含む他方の並列直線部271を含む第二長尺凸条27が配置される。
【0139】
これにより、伝熱プレート2,…の第二面S2において、直列直線部270に設けられた一つの低部位273b及び並列直線部271に設けられた一つの低部位273bが一列に並ぶとともに、直列直線部270に設けられた二つの低部位273b及び並列直線部271二つの低部位273bが二列に並ぶ。
【0140】
これにより、第三方向において隣り合う第二長尺凸条27同士の低部位273bが第二方向において位置ずれした配置になっている。
【0141】
伝熱プレート2,…の第二面S2においても、それぞれの低部位273bは、図11及び図12に示す如く、当該低部位273bにおける第二方向の幅寸法(W)と、高部位273aの頂上と低部位273bの頂上との第一方向における高低差(d)との比(W/d)が2以上になるように形成される。
【0142】
伝熱プレート2,…の第二面S2の凸条(第二長尺凸条)27の裏側は、第一面S1の凹条28である。従って、上述の如く、第二長尺凸条27(直列直線部270及び並列直線部271)に低部位273bが設けられるに伴い、第一面S1の凹条28には、深さの深い部分と深さの浅い部分とが形成される。すなわち、第二長尺凸条27(直列直線部270及び並列直線部271)に高部位273aの裏側になる第一面S1の凹条28は、深さの深い部分となり、第二長尺凸条27(直列直線部270及び並列直線部271)に低部位273bの裏側になる第一面S1の凹条28は、深さの浅い部分となる。
【0143】
そして、伝熱プレート2,…の第二面S2において、第三方向に並ぶ複数の第二長尺凸条27の間に凹条29が形成される。伝熱プレート2,…の第二面S2の凹条29は、第一面S1の凸条26(第一長尺凸条26a、短尺凸条26b)の裏側である。
【0144】
本実施形態において、プレート式熱交換器1は、図2に示す如く、ガスケット3,4,5,6として、第一流路形成用ガスケット配置部22に配置される無端環状の第一流路形成用ガスケット3と、第二環状ガスケット配置部23に配置される無端環状の第二環状ガスケット4と、第二流路形成用ガスケット配置部24に配置される無端環状の第二流路形成用ガスケット5と、第一環状ガスケット配置部25に配置される無端環状の第一環状ガスケット6とを備える。
【0145】
第一流路形成用ガスケット3は、図13に示す如く、隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1間で、第一流体Aを第三方向に流通させる第一流路Raを画定するための第一流路形成用シールラインを構成する。第一流路形成用ガスケット3は、第一流路形成用ガスケット配置部22の形態に即して形成される。すなわち、第一流路形成用ガスケット3は、第一流路形成用ガスケット配置部22の一対の第一ストレート部220に対応する一対のストレートシール部(以下、第一ストレートシール部という)31と、一対の第一折返部221に対応する一対の折返シール部(以下、第一折返シール部という)32とを備える。
【0146】
具体的には、第一流路形成用ガスケット3は、それぞれが第三方向に延びて両端部が主伝熱領域A1と端部領域A2との境界に位置する一対の第一ストレートシール部31であって、第二方向に間隔をあけた一対の第一ストレートシール部31と、一対の第一ストレートシール部31の対応する端部に繋がる一対の第一折返シール部32とを有する。
【0147】
第一折返シール部32は、第一開口20の外周の一部を取り囲むターンシール部(以下、第一ターンシール部という)320と、該第一ターンシール部320の両端のそれぞれから延びて対応する第一ストレートシール部31に繋がる一対の接続シール部(以下、第一接続シール部という)321とを含む。
【0148】
第一ターンシール部320は、第一開口20の外周の一部に沿うように形成される。本実施形態において、第一開口20は、円形状にされるため、第一ターンシール部320は、円弧状にされる。これに伴い、第一ターンシール部320は、周方向に一端と該一端の反対側の他端とを有する。
【0149】
第一流路形成用ガスケット3において、第一折返シール部32の一対の第一接続シール部321のうちの一方の第一接続シール部321は、一方の第一ストレートシール部31の延長線上で延びて第一ターンシール部320の一端に繋がる。これに対し、第一流路形成用ガスケット3おける第一折返シール部32の一対の第一接続シール部321のうちの他方の第一接続シール部321は、第一ターンシール部320の他端と主伝熱領域A1と端部領域A2との境界にある他方の第一ストレートシール部31の端部とに繋がる。そして、第一流路形成用ガスケット3おける第一折返シール部32の一対の第一接続シール部321のうちの他方の第一接続シール部321は、外方に向けて凸をなす円弧状に形成されている。
【0150】
第一流路形成用ガスケット3の他方の第一ストレートシール部31は、第一流路形成用ガスケット3における第一折返シール部32の他方の第一接続シール部321に対して接線方向に延びている。
【0151】
第二環状ガスケット4は、第二開口21を取り囲む環状のシールラインを構成する。第二環状ガスケット4は、第二環状ガスケット配置部23の形態に即して形成される。
【0152】
本実施形態において、第二環状ガスケット配置部23は、円環状に形成されるため、第二環状ガスケット4も円環状に形成される。
【0153】
第二流路形成用ガスケット5は、図14に示す如く、隣り合う伝熱プレート2,…の第二面S2間で、第二流体Bを第三方向に流通させる第二流路Rbを画定するための第二流路形成用シールラインを構成する。第二流路形成用ガスケット5は、第二流路形成用ガスケット配置部24の形態に即して形成される。
【0154】
具体的に説明すると、第二流路形成用ガスケット5は、それぞれが第三方向に延びて両端部が主伝熱領域A1と端部領域A2との境界に位置する一対のストレートシール部(以下、第二ストレートシール部という)51であって、第二方向に間隔をあけた一対の第二ストレートシール部51と、一対の第二ストレートシール部51の対応する端部に繋がる一対の折返シール部(以下、第二折返シール部という)52とを有する。
【0155】
第二流路形成用ガスケット5の第二折返シール部52は、第二開口21の外周の一部を取り囲むターンシール部(以下、第二ターンシール部という)520と、該第二ターンシール部520の両端のそれぞれから延びて対応する第二ストレートシール部51に繋がる一対の接続シール部(以下、第二接続シール部という)521とを含む。
【0156】
第二ターンシール部520は、第二開口21の外周の一部に沿うように形成される。本実施形態において、第二開口21は、円形状にされるため、第二ターンシール部520は、円弧状にされる。これに伴い、第二ターンシール部520は、周方向に一端と該一端の反対側の他端とを有する。
【0157】
第二流路形成用ガスケット5における第二折返シール部52の一対の第二接続シール部521のうちの一方の第二接続シール部521は、一方の第二ストレートシール部51の延長線上で延びて第二ターンシール部520の一端に繋がる。
【0158】
第二流路形成用ガスケット5における第二折返シール部52の一対の第二接続シール部521のうちの他方の第二接続シール部521は、一端と他端とを有する第一シール部522であって、主伝熱領域A1と端部領域A2との境界にある他方の第二ストレートシール部51の端部に一端が繋がって該第二ストレートシール部51の延長線上で延びる第一シール部522と、第二ターンシール部520の他端と第一シール部522の他端とに繋がる第二シール部523とを含む。
【0159】
第二シール部523は、横中心線CL1に対して交差する方向に延びる第一延出シール部523aであって、第二ターンシール部520の他端に繋がる第一延出シール部523aと、第一シール部522の他端から延出した第二延出シール部523bと、第一延出シール部523aと第二延出シール部523bとに繋がる連結シール部523cとを含む。
【0160】
第二延出シール部523bの横中心線CL1に対する傾斜角度は、第一延出シール部523aの横中心線CL1に対する傾斜角度よりも小さく設定される。本実施形態において、第二延出シール部523bは、第一開口20の近傍に設けられる。本実施形態において、連結シール部523cは、第一開口20の外周に沿うように円弧状に形成される。
【0161】
第一環状ガスケット6は、第一開口20を取り囲む環状のシールラインを構成する。第一環状ガスケット6は、第一環状ガスケット配置部25の形態に即して形成される。
【0162】
本実施形態において、第一環状ガスケット配置部25は、円環状に形成されるため、第一環状ガスケット6も円環状に形成される。
【0163】
第一流路形成用ガスケット3及び第二環状ガスケット4は、図13に示す如く、伝熱プレート2,…の同一面上(第一面S1)に配置され、第二流路形成用ガスケット5及び第一環状ガスケット6は、図14に示す如く、伝熱プレート2,…の同一面上(第一面S1又は第二面S2)に配置される。
【0164】
本実施形態において、第一流路形成用ガスケット3及び第二環状ガスケット4のそれぞれは、独立している。また、第二流路形成用ガスケット5及び第一環状ガスケットのそれぞれは、独立している。
【0165】
伝熱プレート2,…及びガスケット3,4,5,6は、以上の通りであり、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上記構成の伝熱プレート2,…が複数重ね合わされる。このとき、複数の伝熱プレート2,…は、第一方向の一方側に第一面S1を向けた伝熱プレート2,…と、第一方向の一方側に第二面S2を向けた伝熱プレート2,…が交互に配置される。
【0166】
本実施形態において、複数の伝熱プレート2,…は、同一形態である。これに伴い、複数の伝熱プレート2,…は、重ね合わせ方向において(第一方向において)一つおきに第二方向に延びる軸線周りで180度反転して配置される。
【0167】
そして、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,…であって、第一面S1同士を対向させた伝熱プレート2,…間には、第一流路形成用ガスケット3及び第二環状ガスケット4が配置される。すなわち、第一流路形成用ガスケット3は、対向する伝熱プレート2,…の第一流路形成用ガスケット配置部22間に配置され、第二環状ガスケット4は、対向する伝熱プレート2,…の第二環状ガスケット配置部23間に配置される。
【0168】
また、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,…であって、第二面S2同士を対向させた伝熱プレート2,…間には、第二流路形成用ガスケット5及び第一環状ガスケット6が配置される。すなわち、第二流路形成用ガスケット5は、対向する伝熱プレート2,…の第二流路形成用ガスケット配置部24間に配置され、第一環状ガスケット6は、対向する伝熱プレート2,…の第一環状ガスケット配置部25間に配置される。
【0169】
この状態において、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…の両側に一対のエンドプレート7,7が配置され、該一対のエンドプレート7,7は、締結部材8,…を介して締結される。これにより、複数の伝熱プレート2,…は第一方向に締め付けられる。この状態において、第一方向で隣り合う伝熱プレート2のうちの一方の伝熱プレート2における第一面S1の第一支持凸部300aは、他方の伝熱プレート2における第一面S1の第一支持凸部300aに当接し、第一方向で隣り合う伝熱プレート2のうちの一方の伝熱プレート2における第二面S2の第二支持凸部301aは、他方の伝熱プレート2における第二面S2の第二支持凸部301aに当接する(図18参照)。従って、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,2は、第一流路形成用ガスケット3に取り囲まれた領域の外側、及び第二流路形成用ガスケット5に取り囲まれた領域の外側にある支持部30aによって互いに支持し合った状態になる。
【0170】
これに併せ、図13に示す如く、第一面S1同士を対向させた伝熱プレート2,…間において、第一流路形成用ガスケット3に取り囲まれた領域が第一流体Aを流通させる第一流路Raとなる。すなわち、第二方向の流路幅が伝熱プレート2,…の端部領域A2,A2において第一開口20から主伝熱領域A1に向けて第二方向に拡大し且つ主伝熱領域A1において最大になる第一流路Raが形成される。
【0171】
また、第一面S1同士を対向させた伝熱プレート2,…間において、第二環状ガスケット4に取り囲まれた領域が、第一流路Raと切り離された第二流入路Rb1及び第二流出路Rb2となる。
【0172】
また、図14に示す如く、第二面S2同士を対向させた伝熱プレート2,…間において、第二流路形成用ガスケット5に取り囲まれた領域が第二流体Bを流通させる第二流路Rbとなる。すなわち、第二方向の流路幅が伝熱プレート2,…の端部領域A2,A2において第二開口21から主伝熱領域A1に向けて第二方向に拡大し且つ主伝熱領域A1において最大になる第二流路Rbが形成される。
【0173】
また、第二面S2同士を対向させた伝熱プレート2,…間において、第一環状ガスケット6に取り囲まれた領域が、第二流路Rbと切り離された第一流入路Ra1及び第一流出路Ra2となる。
【0174】
この状態で、図15に示す如く、第一流路Raを画定する領域内において、第一面S1同士を対向させた伝熱プレート2,…の第一長尺凸条26aにおける第一直線部262a及び第二直線部263aは、第一方向から見て対向する伝熱プレート2,…(相手方)の凹条28と重なるとともに、第一面S1同士を対向させた伝熱プレート2,…における短尺凸条26bは、第一方向から見て相手方の凹条28と重なる。すなわち、第一流路を画定する領域内において、第一長尺凸条26aにおける第一直線部262a及び第二直線部263aは、対向する伝熱プレート2,…(相手方)の凹条28に対して第一方向で間隔をあけて重なる。
【0175】
これに対し、第一流路Raを画定する領域内において、図16に示す如く、端部傾斜部265aが第一方向から見て対向する伝熱プレート2,…(相手方)の端部傾斜部265aと交差する。また、図17に示す如く、接続傾斜部264aが第一方向から見て対向する伝熱プレート2,…(相手方)の接続傾斜部264aと交差する。
【0176】
本実施形態において、端部傾斜部265a同士の交差部分に逃部267bが設けられるとともに、接続傾斜部264a同士の交差部分に逃部268bが設けられているため、図18に示す如く、第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,…は、第一流路Raを画定する領域内においては互いに非接触である。
【0177】
しかし、逃部267b,268bは、伝熱プレート2の撓み量を考慮した高さに設定されているため、第一流路Ra内において流体圧が作用していない状態、或いは第一流路Ra内の流体圧が第二流路Rb内の流体圧よりも小さい場合、伝熱プレート2は、第一面S1側に押されて撓み、図19に示す如く、第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2の端部傾斜部265aの逃部267b同士が当接するとともに、接続傾斜部264aの逃部268b同士が当接する。
【0178】
すなわち、第一流路Ra内において流体圧が作用していない状態、或いは第一流路Ra内の流体圧が第二流路Rb内の流体圧よりも小さい場合、第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2の端部傾斜部265a及び接続傾斜部264aが支持し合う。
【0179】
図15に戻り、第二流路Rbを画定する領域内において、第二面S2同士を対向させた伝熱プレート2,…の第二長尺凸条27における直列直線部270及び並列直線部271は、第一方向から見て対向する伝熱プレート2,…(相手方)の凹条29と重なる。すなわち、第二流路を画定する領域内において、第二長尺凸条27における直列直線部270及び並列直線部271は、対向する伝熱プレート2,…(相手方)の凹条29に対して第一方向で間隔をあけて重なる。
【0180】
これに対し、第二流路Rbを画定する領域内において、分岐部272(分岐傾斜部272a,272a)が第一方向から見て対向する伝熱プレート2,…(相手方)の直列直線部270、並列直線部271、又は分岐部272(分岐傾斜部272a,272a)と交差衝合)する。すなわち、第二面S2を対向させて隣り合う伝熱プレート2,…は、互いに支持し合っている。
【0181】
上記構成のプレート式熱交換器1において、図13及び図14に示す如く、第一流入路Ra1に供給された第一流体Aは、第一流路Raを第三方向に流通した上で、第一流出路Ra2から流出する。これに対し、第二流入路Rb1に供給された第二流体Bは、第二流路Rbを第三方向に流通した上で、第二流出路Rb2から流出する。第一流路Ra及び第二流路Rbは、伝熱プレート2,…によって区画されるため、第一流路Raを流通する第一流体A及び第二流路Rbを流通する第二流体Bは、伝熱プレート2,…を介して熱交換する。
【0182】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一方向に第一面S1及び第一面S1の反対側の第二面S2を有する複数の伝熱プレート2,…であって、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…を備え、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの第一面S1は、第一方向と直交する第二方向に長手をなす複数の凸条26(26a,26b)及び凹条28であって、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条26(26a,26b)及び凹条28を有し、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの第二面S2は、第一面S1の凸条26(26a,26b)と表裏の関係にある凹条29及び第一面S1の凹条28と表裏の関係にある凸条27を有し、伝熱プレート2,…の第一面S1の凸条26(26a,26b)及び第二面S2の凸条27のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向又は第二方向を成分に含む方向に延びる少なくとも一つの直線部262a,263a,26b,270,271を含み、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、自身の第一面S1上の凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bを第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1の凹条28,29に沿わせた状態で、自身の第一面S1を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,…との間に第一流体Aを第三方向に流通させる第一流路Raを形成するとともに、自身の第二面S2を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート2,…と第二面S2と対向させ、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート2,…との間に第二流体Bを第三方向に流通させる第二流路Rbを形成し、第一方向で第一面S1同士を対向させる伝熱プレート2,…の第二面S2上における凸条27の直線部270,271は、第一方向で最も突出した高部位273aと、第一方向における突出量が高部位273aよりも低い低部位273bであって、当該直線部270,271の延びる方向で高部位273aと並ぶ少なくとも一つの低部位273bとを有する。
【0183】
上記構成によれば、第一方向で第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,…間に第三方向に第一流体Aを流通させる第一流路Raが形成され、第一方向で第二面S2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,…間に第三方向に第二流体Bを流通させる第二流路Rbが形成される。そして、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、自身の第一面S1上の凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bを第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,…と第一面S1の凹条28に沿わせた状態で、自身の第一面S1を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1に対して第一方向で間隔をあけて対向させているため、第一流路Raを形成する伝熱プレート2,…間(直線部262a,263a,26bと凹条28との間)が非接触になる。
【0184】
従って、第一流路Ra内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。これにより、第一流路Raに粘性の高い第一流体Aや固形物を含む第一流体Aを流通させたときに、第一流体Aの流通の円滑性が確保される。そして、伝熱プレート2,…の第二面S2の凸条27は、第一面S1の凹条28と表裏の関係にあるため、第二面S2上の凸条27における直線部270,271が高部位273aと低部位273bとを有することで、第二面S2上の凸条27における直線部270,271(高部位273a、低部位273b)の裏側になる第一面S1の凹条28において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第一面S1上の凹条28に深さの浅い部分は、第一流体Aが入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第一面S1の凹条28における深さの浅い部分において、第一流体Aが滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第一面S1の凹条28における深さの深い部分では、第一流体Aが入り込むことになるが、その凹条28の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条28の深さの深い部分に入り込んだ第一流体Aは深さの浅い部分を流通する第一流体Aに引き込まれ、第三方向に流通する。
【0185】
また、第二面S2上の凸条27における直線部270,271が高部位273aと低部位273bとを有することで、第二流路Rb内において直線部270,271の低部位273bで第二流体Bが流通し易くなる。すなわち、直線部270,271の低部位273bと相手方の伝熱プレート2,…との間隔が、直線部270,271の高部位273aと相手方の伝熱プレート2,…との間隔よりも広くなるため、第二流体Bの流通抵抗を小さくなり、第二流体Bが流通し易くなる。
【0186】
これにより、第一流路Ra内の第一流体A及び第二流路Rb内の第二流体Bのそれぞれが円滑に流通する結果、第一流路Ra内を流通する第一流体Aと第二流路Rb内を流通する第二流体Bとの熱交換効率が向上する。
【0187】
また、本実施形態において、伝熱プレート2,…の第二面S2上にある複数の凸条27のそれぞれは、凹条29を挟んで第三方向で隣り合う凸条27の直線部270,271と自身の直線部270,271とを整列させ、伝熱プレート2,…の第二面S2上にある凸条27の直線部270,271の低部位273bの数は、該凸条27に対して凹条29を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条27の直線部270,271の低部位273bの数と異なる。このようにすれば、第二面S2上で第三方向に隣り合う凸条27(直線部270,271)の低部位273bの第二方向における配置が、凸条27(直線部270,271)毎に異なる。これに伴い、第一面S1の凹条28の深さの浅い部分も凹条28毎に異なることになる。従って、第一流路Ra内で第三方向に流通する第一流体Aは、第一面S1の凹条28の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第一流路Ra内における第一流体Aの分散性が高まり、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換効率が高まる。
【0188】
さらに、本実施形態において、伝熱プレート2,…の第二面S2上にある凸条27における直線部270,271の低部位273bは、該凸条27に対して凹条29を挟んで第三方向で隣り合う凸条27の直線部270,271の低部位273bに対して第二方向で位置ずれして配置されている。このようにすれば、第二面S2上で第三方向に隣り合う凸条27(直線部270,271)の低部位273bの第二方向における配置が、凸条27(直線部270,271)毎に異なる。これに伴い、第一面S1の凹条28の深さの浅い部分も凹条28毎に異なることになる。従って、第一流路Ra内で第三方向に流通する第一流体Aは、第一面S1の凹条28の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第一流路Ra内における第一流体Aの分散性が高まり、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換効率が高まる。
【0189】
特に、本実施形態において、伝熱プレート2,…の第二面S2上にある凸条27において、直線部270,271の延びる方向における低部位273bの幅寸法Wと、高部位273aと低部位273bとの第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であるため、直線部270,271の低部位273bの形成範囲、及び第一面S1における凹条28の深さの浅い部分の形成範囲が適正となり、第一流路Raにおける第一流体Aの流通性及び第二流路Rbにおける第二流体Bの流通性が良好となる。
【0190】
本実施形態において、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、自身の第二面S2上の凸条27の直線部270,271を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート2,…の第二面S2の凹条29に沿わせた状態で、自身の第二面S2を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート2,…の第二面S2に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、第一方向で第二面S2同士を対向させる伝熱プレート2,…の第一面S1上における凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bは、第一方向で最も突出した高部位260a,260bと、第一方向における突出量が高部位260a,260bよりも低い低部位261a,261bであって、当該直線部262a,263a,26bの延びる方向で高部位260a,260bと並ぶ少なくとも一つの低部位261a,261bとを有している。
【0191】
これにより、第二流路Rbを形成する伝熱プレート2,…間(直線部270,271と凹条29との間)が非接触になる。従って、第二流路Rb内に流通抵抗となるもののない経路が形成される。
【0192】
これにより、第二流路Rbに粘性の高い第二流体Bや固形物を含む第二流体Bを流通させたときに、第二流体Bの流通の円滑性が確保される。従って、第一流路Raでの熱交換後の第一流体Aを第二流体Bとして第二流路Rbに供給したとしても、第二流体Bの流通の円滑性が確保される。
【0193】
そして、伝熱プレート2,…の第一面S1の凸条26(26a,26b)は、第二面S2の凹条29と表裏の関係にあるため、第一面S1上の凸条26(26a,26b)における直線部262a,263a,26bが高部位260a,260bと低部位261a,261bとを有することで、第一面S1の凸条26(26a,26b)における直線部262a,263a,26b(高部位260a,260b、低部位261a,261b)の裏側になる第二面S2の凹条29において、深さの深い部分と浅い部分とができる。第二面S2上の凹条29に深さの浅い部分は、第二流体Bが入り込む領域が深さの深い部分よりも小さくなるため、第二面S2の凹条29における深さの浅い部分において、第二流体Bが滞留することなく第三方向に流通する。これに対し、第二面S2の凹条29における深さの深い部分では、第二流体Bが入り込むことになるが、その凹条29の深さの深い部分に隣り合って深さの浅い部分が存在するため、凹条29の深さの深い部分に入り込んだ第二流体Bは深さの浅い部分を流通する第二流体Bに引き込まれ、第三方向に流通する。
【0194】
また、第一面S1上の凸条26(26a,26b)における直線部262a,263a,26bが高部位260a,260bと低部位261a,261bとを有することで、第一流路Ra内において直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bで第一流体Aが流通し易くなる。すなわち、直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bと相手方の伝熱プレート2,…との間隔が、直線部262a,263a,26bの高部位260a,260bと相手方の伝熱プレート2,…との間隔よりも広くなるため、第一流体Aの流通抵抗を小さくなり、第一流体Aが流通し易くなる。
【0195】
これにより、第一流路Ra内の第一流体A及び第二流路Rb内の第二流体Bのそれぞれがより円滑に流通する結果、第一流路Ra内を流通する第一流体Aと第二流路Rb内を流通する第二流体Bとの熱交換効率がより向上する。
【0196】
また、伝熱プレート2,…の第一面S1上にある複数の凸条26(26a,26b)のそれぞれは、凹条28を挟んで第三方向で隣り合う凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bと自身の直線部262a,263a,26bとを整列させ、伝熱プレート2,…の第一面S1上にある凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bの数は、該凸条26(26a,26b)に対して凹条28を挟んで第三方向の何れか一方側で隣り合う凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bの数と異なっている。このようにすれば、第一面S1上で第三方向に隣り合う凸条26(26a,26b)(直線部262a,263a,26b)の低部位261a,261bの第二方向における配置が、凸条26(26a,26b)(直線部262a,263a,26b)毎に異なる。これに伴い、第二面S2の凹条29の深さの浅い部分も凹条29毎に異なることになる。従って、第二流路Rb内で第三方向に流通する第二流体Bは、第二面S2の凹条29の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第二流路Rb内における第二流体Bの分散性が高まり、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換効率が高まる。
【0197】
また、伝熱プレート2,…の第一面S1上にある凸条26(26a,26b)における直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bは、該凸条26(26a,26b)に対して凹条28を挟んで第三方向で隣り合う凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bに対して第二方向で位置ずれして配置されている。このようにすれば、第一面S1上で第三方向に隣り合う凸条26(26a,26b)(直線部262a,263a,26b)の低部位261a,261bの第二方向における配置が、凸条26(26a,26b)(直線部262a,263a,26b)毎に異なる。これに伴い、第二面S2の凹条29の深さの浅い部分も凹条29毎に異なることになる。従って、第二流路Rb内で第三方向に流通する第二流体Bは、第二面S2の凹条29の深さの浅い部分を辿るように流通する。従って、第二流路Rb内における第二流体Bの分散性が高まり、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換効率が高まる。
【0198】
また、伝熱プレート2,…の第一面S1上にある凸条26(26a,26b)において、直線部262a,263a,26bの延びる方向における低部位261a,261bの幅寸法Wと、高部位260a,260bと低部位261a,261bとの第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上であるため、直線部262a,263a,26bの低部位261a,261bの形成範囲、及び第一面S1における凹条28の深さの浅い部分の形成範囲が適正となり、第一流路Raにおける第一流体Aの流通性及び第二流路Rbにおける第二流体Bの流通性が良好となる。
【0199】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0200】
上記実施形態において、第一流路形成用ガスケット3、第二環状ガスケット4、第二流路形成用ガスケット5、及び第一環状ガスケット6がそれぞれ独立したが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート2,…の同一面(第一面S1)上に配置される第一流路形成用ガスケット3及び第二環状ガスケット4が一体成型されてもよい。また、伝熱プレート2,…の同一面(第二面S2)上に配置される第二流路形成用ガスケット5及び第一環状ガスケット6が一体成型されてもよい。
【0201】
上記実施形態において、第一面S1の凸条26(26a,26b)の直線部262a,263a,26bが高部位260a,260b及び低部位261a,261bを含んだが、これに限定されない。例えば、第二流体Bが粘性のない流体或いは粘性の低い流体である場合には、第二面S2の凹条29の奥部で滞留する可能性が低いため、第一面S1の凸条26(26a,26b)の直線部(262a,263a,26b)を高部位260a,260bのみで構成してもよい。
【0202】
上記実施形態において、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bの数が異なったが、これに限定されない。例えば、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bの数は同数であってもよい。この場合、流体(第一流体A、第二流体B)が第三方向に流通するに際し、流体が低部位261a,261b,273bを巡る(第二方向に蛇行する)ように、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bが第二方向で位置ずれして配置されることが好ましい。
【0203】
上記実施形態において、伝熱プレート2の第一面S1上の凸条26として、第一直線部262a、第二直線部263a、傾斜部264a,265a(接続傾斜部264a、端部傾斜部265a)を有する第一長尺凸条26aと短尺凸条26bが設けられたが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート2の第一面S1上の凸条26が真っ直ぐに延びて自身で単一の直線部を構成してもよい。
【0204】
また、伝熱プレート2の第二面S2上の凸条(第二長尺凸条)27は、直線部270、一対の並列部(直線部)271及び分岐部272を有したが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート2の第二面S2上の凸条27が真っ直ぐに延びて自身で単一の直線部を構成してもよい。
【0205】
上記実施形態において、伝熱プレート2の第一面S1及び第二面S2の凸条26,27の直線部262a,263a,26b,270,271が第二方向に延びたが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート2の第一面S1及び第二面S2の凸条26,27の直線部262a,263a,26b,270,271は、第二方向を成分に含む方向に延びてもよい。すなわち、伝熱プレート2の第一面S1及び第二面S2の凸条26,27の直線部262a,263a,26b,270,271は、第二方向と第三方向との合成方向に延びてもよい。この場合、直線部262a,263a,26b,270,271の横中心線CL1に対する傾斜角度が、直線部262a,263a,270の縦中心線CL2に対する傾斜角度よりも小さくなることが好ましい。
【0206】
上記実施形態において、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271が第三方向で整列することを前提に、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bが第二方向で位置ずれして配置されたが、これに限定されない。例えば、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bが第二方向で位置ずれせずに配置され、第三方向で整列して配置されてもよい。但し、流体が低部位261a,261b,273bを巡る(第二方向に蛇行する)ようにする(分散性を高める)には、上記実施形態のように、第三方向で隣り合う直線部262a,263a,26b,270,271の低部位261a,261b,273bが第二方向で位置ずれして配置されることが好ましいことは勿論である。
【0207】
上記実施形態において、伝熱プレート2の第一面S1及び第二面S2の凸条26,27において、直線部262a,263a,26b,270,271の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位260a,260b,273aと低部位261a,261b,273bとの第一方向における高低差dとの比(W/d)が2以上にされたが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート2の第一面S1及び第二面S2の凸条26,27において、直線部262a,263a,26b,270,271の延びる方向における低部位の幅寸法Wと、高部位260a,260b,273aと低部位261a,261b,273bとの第一方向における高低差dとの比(W/d)が2よりも小さくてもよい。但し、流体(第一流体A、第二流体B)の流通性を考慮すれば、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0208】
1…プレート式熱交換器、2…伝熱プレート、3…第一流路形成用ガスケット(ガスケット:第一流路形成用シールライン)、4…第二環状ガスケット(ガスケット:シールライン)、5…第二流路形成用ガスケット(ガスケット:第二流路形成用シールライン)、6…第一環状ガスケット(ガスケット:シールライン)、7…エンドプレート、8…締結部材、20…第一開口、21…第二開口、22…第一流路形成用ガスケット配置部(ガスケット配置部)、23…第二環状ガスケット配置部(ガスケット配置部)、24…第二流路形成用ガスケット配置部(ガスケット配置部)、25…第一環状ガスケット配置部(ガスケット配置部)、26…凸条、26a…第一長尺凸条(凸条)、26b…短尺凸条(直線部:凸条)、27…第二長尺凸条(凸条)、28,29…凹条、30a…第一支持部(支持部)、30b…第二支持部(支持部)、31,…第一ストレートシール部(ストレートシール部)、32…第一折返シール部(折返シール部)、51…第二ストレートシール部(ストレートシール部)、52…第二折返シール部(折返シール部)、220…第一ストレート部(ストレート部)、221…第一折返部(折返部)、221a…第一ターン部(ターン部)、221b…第一接続部(接続部)、240…第二ストレート部(ストレート部)、241…第二折返部(折返部)、241a…第二ターン部(ターン部)、241b…第二接続部(接続部)、242…第一部、243…第二部、243a…第一延出部、243b…第二延出部、243c…連結部、260a,260b…高部位、261a,261b…低部位、262a…第一直線部(直線部)、263a…第二直線部(直線部)、264a,…接続傾斜部(傾斜部)、265a…端部傾斜部(傾斜部)、267a…端部高部位(高部位)、267b…逃部、268a…接続高部位(高部位)、268b…逃部、270…直列直線部(直線部)、271…並列直線部(直線部)、272…分岐部、272a…分岐傾斜部(傾斜部)、273a…高部位、273b…低部位、300a…第一支持凸部(支持凸部)、300b…第一凹部(凹部)、301a…第二支持凸部(支持凸部)、301b…第二凹部(凹部)、320…第一ターンシール部(ターンシール部)、321…第一接続シール部(接続シール部)、520…第二ターンシール部(ターンシール部)、521…第二接続シール部(接続シール部)、522…第一シール部、523…第二シール部、523a…第一延出シール部、523b…第二延出シール部、523c…連結シール部、A1…主伝熱領域、A2…端部領域、A…第一流体、B…第二流体、CL1…横中心線、CL2…縦中心線、d…高低差、d1…高低差、d2…高低差、Ra…第一流路、Ra1…第一流入路、Ra2…第一流出路、Rb…第二流路、Rb1…第二流入路、Rb2…第二流出路、S1…第一面、S2…第二面、SE…短辺、LE…長辺
【要約】
【課題】 本発明は、粘性を有する流体や固形物を含む流体を流通させても、該流体が部分的に滞留することを抑制し、最大限の熱交換性能を発揮することのできるプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】 本発明は、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、伝熱プレートの第一面及び第二面が第一方向及び第二方向と直交する第三方向に交互に形成された複数の凸条及び凹条を有し、各凸条は、少なくとも一つの直線部を含み、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの第一面に対して第一方向で間隔をあけて対向させ、伝熱プレートの第二面上における凸条の直線部は、第一方向で最も突出した高部位と、第一方向における突出量が高部位よりも低い低部位であって、当該直線部の延びる方向で高部位と並ぶ少なくとも一つの低部位とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
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