特許第6155377号(P6155377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155377
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】光源装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20170619BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170619BHJP
   F21V 9/08 20060101ALI20170619BHJP
   F21V 9/16 20060101ALI20170619BHJP
   F21V 9/06 20060101ALI20170619BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20170619BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170619BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
   F21S2/00 600
   F21V9/08 200
   F21V9/16 100
   F21V9/06
   H01L33/00 L
   F21Y113:13
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-199640(P2016-199640)
(22)【出願日】2016年10月11日
(62)【分割の表示】特願2012-509598(P2012-509598)の分割
【原出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-22137(P2017-22137A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-13544(P2011-13544)
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-94450(P2010-94450)
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505036098
【氏名又は名称】インテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(72)【発明者】
【氏名】八木 穣
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−049987(JP,A)
【文献】 特開2006−210079(JP,A)
【文献】 特開2005−174941(JP,A)
【文献】 特開2006−147820(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/073952(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/016913(WO,A1)
【文献】 特開2002−328652(JP,A)
【文献】 特開2002−203989(JP,A)
【文献】 特開2008−218460(JP,A)
【文献】 特開2004−128393(JP,A)
【文献】 特開2005−026303(JP,A)
【文献】 特開2009−117080(JP,A)
【文献】 特表2010−539689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21S 2/00−19/00
F21V 9/06
F21V 9/08
F21V 9/16
F21K 9/00−9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子と、赤色系発光ダイオード素子と、緑色系発光ダイオード素子が含まれている光源装置であって、
前記青色系発光ダイオード素子の出力を制御する前記制御部は、前記青色系発光ダイオード素子が射出する青色系波長を、当該光源装置を使用している人間が青色を認識することにより、白色光の下で青色と黒色とを認識できるのと同様に青色と黒色とを認識でき、白色光の下で白色と黄色とを認識できるのと同様に白色と黄色とを認識できるものであって、なおかつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる420nm以上490nm以下の波長とし、前記青色系発光ダイオード素子の発光消費電力が前記光源部の全体の発光消費電力の0.1〜30%以内で連続的に制御されるように形成されており、
前記使用者又は利用者が前記青色波長を選択し、加算方式であるスぺクトラムを構成する前記制御部を設定することにより、色調、明るさが制御される
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記青色系発光ダイオード素子の青色系波長が460nm以上490nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記波長の異なる複数個の発光ダイオード素子に蛍光体が塗布されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
【請求項4】
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子と、赤色系発光ダイオード素子と、緑色系発光ダイオード素子が含まれている光源装置を制御する方法であって、
前記青色系発光ダイオード素子の出力を制御する前記制御部は、前記青色系発光ダイオード素子が射出する青色系波長を、当該光源装置を使用している人間が青色を認識することにより、白色光の下で青色と黒色とを認識できるのと同様に青色と黒色とを認識でき、白色光の下で白色と黄色とを認識できるのと同様に白色と黄色とを認識できるものであって、なおかつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる420nm以上490nm以下の波長とし、前記青色系発光ダイオード素子の発光消費電力が前記光源部の全体の発光消費電力の0.1〜30%以内で連続的に制御されるように形成されており、
前記使用者又は利用者が前記青色系発光ダイオード素子の発光消費電力が前記光源部の全体の発光消費電力の0.1〜30%以内であるようにして前記青色波長を選択し、加算方式であるスぺクトラムを構成する前記制御部を設定することにより、色調、明るさを制御する
ことを特徴とする光源装置の制御方法
【請求項5】
前記青色系発光ダイオード素子の青色系波長が460nm以上490nm以下であることを特徴とする請求項4記載の光源装置の制御方法
【請求項6】
前記波長の異なる複数個の発光ダイオード素子に蛍光体が塗布されていることを特徴とする請求項4又は5記載の光源装置の制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源装置に関する。特に、光源装置を使用している者が色を認識することが可能で、なおかつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体工場等に用いられている光源には、半導体工場用とされている黄色の蛍光灯などが用いられている。
【0003】
この蛍光灯にはフィルター膜を施したり、プラスチックのフィルムで覆い、有害な波長域や、不必要な波長域を除去する工夫がされている。このような工夫によって、感光性材料が感光しないようにしている。
【0004】
しかし、このような照明下では、色の認識、明るさなど快適な環境とはいえない作業条件にならざるを得なかった。すなわち、黄色と白の区別、青と黒の区別などを判別しがたい環境とになっていた。
【0005】
一方、我々の日常生活においては、明るさ、色など不自由なく認識することができる。そこで、作業場においても、我々の日常生活と同じような環境下で作業を行いたいという欲求が人間生活の高度化と共に高まっている。
【0006】
上述した従来の手法は、紫外線を遮断する黄色のフィルムで蛍光灯を覆い、黄色の発光色を無くすものである。この手法は蛍光灯が発光している波長スペクトラムのうち、有害な波長を取り除く手段として、光源に覆いを取り付けるものである。すなわち、蛍光灯が発光している波長スペクトラムのうち、不必要な波長を取り除くという減算法である。不必要な波長を取り除く手段として光源に覆いを取り付けるものである。
【0007】
なお、この種の従来技術に関しては、例えば下記特許文献1を挙げることができる
上述したように、従来の半導体工場等に用いられている光源の場合、高精度で緻密な作業環境下で各種入力、手作業操作において障害となる色認識を正確に識別できないという問題があった。
【0008】
また、従来の蛍光管では、2〜3年に1回取り替えるというメンテナンスも作業も大きな作業の負担であった。
【0009】
波長スペクトラムという点から見て減算法である上述した不必要な波長を除去する方法では、除去する紫外線波長を急激に取り除くために、多層膜のフィルターを使うなどの方法がある。しかし、これは高価であるため一般的には使用されていない。
【0010】
そこで、紫外線波長を取り除くには通常530nmあたりから波長を吸収する光学フィルターなどを使用している。その結果として、黄色の光源装置になっていた。
【0011】
また、波長スペクトラムも、緑色以下の波長が少ない光源装置となる。その場合、使用者や利用者がその光源を使用した場合、緑色、青色などの色の区別ができないという課題があった。
【0012】
また、近年では、その利用が着目され、各分野で使われ始めている白色発光ダイオード素子においても、青色に蛍光体を加えた白色等の特定色である。その結果、使用者や利用者が希望に応じて波長選択ができる光源装置は、これまでに存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−243915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、色の認識が可能で、かつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置を提供することを目的にしている。また、使用者や利用者が目的に応じて波長を自由に選択できる光源装置を提供することを目的にしている。そして、長寿命で、明るい照明が得られる快適な光源装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明が提案する光源装置は、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子が含まれており、当該青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有している
ものである。
【0016】
また、本発明が提案する他の光源装置は、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも赤色系発光ダイオード素子と緑色系発光ダイオード素子とが含まれている
ものである。
【0017】
本発明の更に他の光源装置は、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子と、赤色系発光ダイオード素子と、緑色系発光ダイオード素子とが含まれていて、当該青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有している
ものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、色の認識が可能で、かつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置を提供することを目的にしている。また、使用者や利用者が目的に応じて波長を自由に選択できる光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による光源装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2】本発明による光源装置の波長スペクトラム図である。
図3】人間の目の構造図である。(a)は目の構造図の全体であり、(b)は視神経の構造図である。
図4】従来の半導体工場に使用されている一般的な波長スペクトラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明が提案する光源装置は、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、 前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子が含まれており、当該青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有している
ものである。
【0021】
光源部に波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装することにより波長を加算するものである。そして、各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御することにより、光源装置を使用する者が希望に応じて波長選択できるようにしたものである。
【0022】
また、本発明が提案する他の光源装置は、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも赤色系発光ダイオード素子と緑色系発光ダイオード素子とが含まれている
ものである。
【0023】
本発明が提案する更に他の光源装置は、これら両者を組み合わせた、
波長の異なる発光ダイオード素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、
前記光源部の各発光ダイオード素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、
当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、
前記複数個の発光ダイオード素子には少なくとも青色系発光ダイオード素子と、赤色系発光ダイオード素子と、緑色系発光ダイオード素子とが含まれていて、当該青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有している
ものである。
【0024】
以上に説明した本発明の光源装置は、紫外線感光の被照射物に対して感光させない光源を作るため、複数個の波長の異なる発光ダイオード素子を用いるものである。
【0025】
以上の本発明の光源装置において、前記波長の異なる複数個の発光ダイオード素子を同一回路基板上に実装することにより、波長選択を目的とするスペクトラムを有している構成にすることができる。
【0026】
また、本発明の光源装置において、複数個の発光ダイオード素子に少なくとも青色系発光ダイオード素子を含む場合、青色系波長が420nm以上で490nm以下である当該青色系発光ダイオード素子の発光消費電力が前記光源部の全体の発光消費電力の0.1%〜30%以内で制御されているものにすることができる。
【0027】
同じく、本発明の光源装置において、複数個の発光ダイオード素子に少なくとも青色系発光ダイオード素子を含む場合、青色系波長が420nm以上で490nm以下である当該青色系発光ダイオード素子の射出量が0.001mJ/cm以上50mJ/cm以内で制御されているようにすることができる。
【0028】
このように本発明の光源装置において、光源部に採用されている波長の異なる複数の発光ダイオード素子の中に、青色系発光ダイオード素子が含まれている場合、当該青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有しているようにすることによって、本発明の目的を達成することができる。すなわち、色認識を可能とし、メンテナンス費用も大幅に削減できる。
【0029】
更に、前述したように青色発光ダイオードに制限を加えることにより、本発明の目的をより効果的に達成することができる。すなわち、色認識を可能とし、メンテナンス費用を大幅に削減できる効果をより大きくできる。
【0030】
色を認識させるという目的で、なおかつ、紫外線感光剤を可能な限り感光しにくくさせるという目的を達成するため青色発光ダイオード素子を光源に加え、さらに青色ダイオードに制限を加えて本発明の目的を達成したものである。
【0031】
以上の本発明の光源装置において、前記光源部に、420nm以下の紫外線を除去できるフィルムまたはプラスチックで覆いを施すことができる。このようにすれば、より安全にかつ効果的に紫外線除去を行うことが出来る。
【0032】
また、以上の本発明の光源装置において、前記波長の異なる複数個の発光ダイオード素子に蛍光体が塗布されている構造にすることができる。これによってスペクトラムの形状などに変更を食われるものである。
【0033】
以上の本発明の光源装置において、前記光源部は、電球型光源、ライン型光源、または面発光型光源部のいずれかにすることができる。
【0034】
本発明による光源装置を半導体工場用光源装置として使用する場合、例えば、波長の異なる発光ダイオードの素子3種類、赤色(630nm)、緑色(525nm)、青色(450nm)とすることができる。このような組み合わせのものを少なくとも1組を実装した光源部を採用する。そして、前記の赤色、緑色、青色の発光ダイオード素子をそれぞれ独立してそれらの輝度を制御する制御部を設ける。また、光源部及び制御部にそれぞれ電力を供給する電源部を設ける。前記制御部が発光部の赤色、緑色、青色の各発光ダイオード素子を制御する。これによって、発光部からの出射光を任意のスペクトラムとし、各波長の発光強度を調整することが可能になる。
【0035】
波長の異なる複数個の発光ダイオードで構成された光源部、例えば、赤色発光ダイオード素子、緑色発光ダイオード素子及び青色発光ダイオード素子で構成された光源部の各発光ダイオード素子を独立して制御する。更に、この中で、青色発光ダイオードの出力などを制御して最適化を計る。これによって、感光性材料に感光しにくい波長スペクトラムを実現したものである。そこで、例えば、紫外線感光の被照射物を感光させない光源を作り、かつ、色を正確かつ容易に識別できる光源にして、相反する目的を同時に両立させたものである。
【0036】
以上に説明した本発明の光源装置による照明下では、全ての色認識が可能である。そこで、工場内の機械・設備・備品などの色区別が容易になる。この結果、作業効率、歩留まりなど大幅に改善・向上されるという利点がある。また、2〜3年に1回とりかえる作業を減じることでメンテナンス費用も多いに改善される。
【0037】
また、以上に説明した本発明の光源装置によれば、使用者や利用者が光源として通常の照明としての認識を得つつ、かつ、感光性材料には感光しにくいという光源が得られる。このような極めて優れた効果が発揮される。また、使用者や、利用者の作業環境も大幅に改善され、作業能率の向上という極めて優れた効果が得られる。
【0038】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、添付図面を参照して実施例を説明する。なお、本発明は上述した実施形態及び、以下の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【実施例】
【0039】
図1は、本発明による光源装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0040】
図1において、LSは光源部である。赤色発光ダイオード素子LEDRと赤色発光ダイオード素子LEDRの出力を制限する電流制限抵抗RR、緑色発光ダイオード素子LEDGと緑色発光ダイオード素子LEDGの出力を制限する電流制限抵抗RG、青色発光ダイオード素子LEDBと青色発行ダイオード素子LEDBの出力を制限する電流制限抵抗RBから構成されている。
【0041】
光源部LSは、これらの赤色発光ダイオード素子LEDR、緑色発光ダイオード素子LEDG及び青色発光ダイオード素子LEDBを1組として図示しない回路基板上に互いに近接して並列に配列されて実装されている。
【0042】
出力を制限する方法として、光源部LSの赤色発光ダイオード素子LEDR、緑色発光ダイオード素子LEDG及び青色発光ダイオード素子LEDBをそれぞれ独立して定電流素子を用いて制御してもよい。また、それぞれパルス駆動方式を用い、PWM信号のデューティ比で制御しても良い。
【0043】
これらの赤色発光ダイオード素子LEDR、緑色発光ダイオード素子LEDG及び青色発光ダイオード素子LEDBを同一円周上に配置してもよい。さらに、これらの赤色発光ダイオード素子LEDR、緑色発光ダイオード素子LEDG及び青色発光ダイオード素子LEDBは輝度を向上させる目的で複数個並列接続させて配列しても良い。
【0044】
図1において、PSは、電源部である。交流電圧を直流電圧に変換して光源部LSに所定の電力を供給する電源部である。
【0045】
光源部LSより発せられた波長スペクトラムを図2に示す。赤色発光ダイオード素子LEDRによるピーク波長630nm、緑色発光ダイオード素子LEDGによるピーク波長530nm、青色発光ダイオード素子LEDBによるピーク波長460nmが観測される。このように、波長選択光源として出射光が得られる。
【0046】
図2は、本発明による光源装置の波長スペクトラム図である。青色光源の構成比が他の色と比較して、十分小さく射出している。
【0047】
図2のA−A’、B−B’は青色系波長の帯域である。この帯域幅にある発光素子LEDBの射出量により、紫外域の波長で感光する材料に及ぼす影響はきわめて大きい。かつ波長に関しては、青色発光ダイオード素子LEDBは青波長のうち420nm以上の発光周波数を持つことを特徴としている。
【0048】
紫外線感光性材料の感光する紫外線波長は420nm以下から感光がはじまり、紫外波長360nmあたりをピークとしている。また、感光性材料は、波長と光強度および感光時間の蓄積エネルギーの総和により、感光がなされる。
【0049】
図3に人間の目の構造を示す。図3(a)は外部から光を取り入れ網膜に結像する状態を示す。図3(b)は網膜に結像した光を視神経に伝える構造図である。一般に人間の目の神経は明るさを感じるかん体という視神経細胞と色を認識する錐体という視神経細胞で構成されている。錐体は赤、緑、青を認識する3つの錐体から構成されている。このため色を認識させるためには、少量でも少なくとも赤、緑、青の光源が認識すれば、色の区別が可能とされている。
【0050】
これらの事象から、人間の目に色を認識させ、かつ感光性材料に感光しにくい光源部LSを構成させる目的として、図2に示されたA−A’、B−B’の青色波長帯域において最適な出力を制御することによって所望の出射光を得ることができる。
【0051】
この時、青色系発光ダイオード素子の青色系波長が少なくとも420nm以上の波長特性を有するように制御する。あるいは、青色系発光ダイオード素子の青色系波長が420nm以上490nm以下になるように制御する。
【0052】
または、前記青色系発光ダイオード素子の青色系波長が420nm以上490nm以下であって、当該青色系発光ダイオード素子の発光消費電力が前記光源部の全体の発光消費電力の0.1%〜30%で制御されるようにする。
【0053】
あるいは、前記青色系発光ダイオード素子の青色系波長が420nm以上490nm以下であって、当該青色系発光ダイオード素子の射出量が0.001mJ/cm以上50mJ/cm以内で制御する。
【0054】
これらの消費電力、射出量の違いは感光性材料の感度の差を考慮したものである。
【0055】
青色発光ダイオードLEDBの出力を少量でも加えることにより人間の目に色を認識させることが可能となる。
【0056】
この光源部LSを、さらに紫外線カットフィルムで覆うことにより、より安全にかつ効果的に紫外線除去を行うことが出来る。
【0057】
なお、この光源部LSに採用する発光ダイオード素子として、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード以外に橙色発光ダイオード、黄色発光ダイオード、緑青発光ダイオードを選択しても同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0058】
図4に従来の半導体工場用の光源の波長スペクトラムを示す。このスペクトラムによれば、500nm以下の波長がほとんど含まれていない。この照明下においては結果として、青色の波長がないため、人間の色認識が出来ない。そこで、青色の区別が出来なくなり青色は黒く見える。同じく白色がないため結果として、白色と黄色の区別が出来ない原因となる。
【0059】
なお、前述した実施例においては、半導体工場用の光源で説明した。しかし、本発明のように波長を選択し、加算方式であるスペクトラムを構成することにより、簡便にかつ自由に色調、明るさを制御することで多種、多様の用途をもつ出射光をもつ光源を実現できることは言うまでもない。これは、従来の消去法による光源ではなしえないことである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の光源装置によれば、紫外線がなく、色認識が可能である。そこで、本発明の光源装置は、半導体工場などにとどまらず、紫外線で陳列品の劣化を招く図書館、美術館などの照明装置にも適用できる。また、虫よけ等従来使用されている、黄色のナトリウムランプの代替にも適用できる。
図1
図2
図3
図4