特許第6155381号(P6155381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155381
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】密閉式植栽工場
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20060101AFI20170619BHJP
   A01G 9/02 20060101ALI20170619BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20170619BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20170619BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   A01G9/00 C
   A01G9/02 B
   A01G9/02 E
   A01G27/00 502L
   A01G27/00 502V
   A01G27/00 502W
   A01G9/24 G
   A01G9/24 X
   A01G9/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-503506(P2016-503506)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2016-516413(P2016-516413A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】CN2013072923
(87)【国際公開番号】WO2014146262
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】508326839
【氏名又は名称】張 孝安
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】張 孝安
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−072344(JP,U)
【文献】 特開平10−295198(JP,A)
【文献】 特開平06−319392(JP,A)
【文献】 特開2001−016981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00
A01G 27/00
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉空間と、複数の移動可能な植栽ラックと、定温空調設備と、自動給水システムと、を備え、
前記密閉空間は、内部に、前置作業区域と、栽培区域と、通路区域とが設けられており、前記前置作業区域は、電気設備、光源装置、水供給システムの制御室、または作業員が立ち入りする前の消毒区域に用いられることが可能であり、前記栽培区域は、植物栽培空間であり、内部の所定箇所に輝度を人工制御可能な光源が設けられており、
前記植栽ラックは、植物の栽培に用いられる棚、または、盆栽の設置に用いられる棚であり、前記密閉空間の内部に設けられており、底面にキャスターが設けられており、空所へ移動可能であり、
前記定温空調設備は、前記前置作業区域の内部に設けられており、稼動及び導管の配置により、定温気流を、前記前置作業区域の上方から前記栽培区域側面の上方まで移動させ、再び下方から前記通路区域まで移動させ、最後に前記通路区域の下方のとおり穴から前記前置作業区域まで移動させ、熱交換処理により定温気流を密閉空間の外部に排出し、気流循環を行うと共に、前記密閉空間内部において前記栽培区域と前記通路区域との間の温度差を維持し、温度差の作用によって、植物成長ホルモンに刺激を与え、植物成長を加速させ、
自動給水システムは、前記栽培区域底面に設けられている貯水タンク、および、前記貯水タンクの上方に取付けられている水循環ポンプを有し、前記水循環ポンプによる汲み上げ及び管路の案内により、前記貯水タンク内部の水を最上部の盆栽の上まで圧送し散水を行い、水が下方に流れる定律を利用し、すべての盆栽が適時且つ適量の水分を得るようにし、植物を潤わせ、最下層の盆栽の内部の含水量が飽和状態になると、水が下方の前記貯水タンクに流れ込み、水を循環させて利用し、自動給水及び水資源の循環利用の目的が達成可能であることを特徴とする密閉式植栽工場。
【請求項2】
前記密閉空間は、密閉式構造物、地下室、あるいは密閉コンテナーなどの密閉形立体空間であることを特徴とする、請求項1記載の密閉式植栽工場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽工場に関し、特に、定温であり、植栽ラックが移動可能である密閉式植栽工場に関する。
【背景技術】
【0002】
国連食糧農業機関(FAO)は2010年6月に食糧不足の問題はますます深刻し、向こう10年間の食糧価格は40%上昇される警告が出されている。その予測は、わざと大げさなことを言って人をびっくりさせるものではなく、それを上回る事実が示されている。さらに、国連食糧農業機関(FAO)が2011年2月に公表された最新の食品価格と農産品指数によると、過去3年間に小麦の価格が181%を上昇している他、全体の食品価格には83%を上昇している。食糧不足の警告信号はその報告を受けて、再び各国に伝えられている。さらに、調査によると世界の30数か国はすでに食糧危機にさらされており、もし世界の人口が成長し続けると、食糧の厳重不足問題は更に深刻化するに違いない。そのため、各国とも食糧輸入による価格変動の問題について、積極的に適切な解決方法を模索しており、主に国産食糧の自主生産と自給比率を引き上げることによって、食糧の自給自足の目標を図る。食糧生産量の向上及び限られた土地の有効利用を図るため、発明人は2011年3月24日及び同5月31日に、それぞれ立体農場構造と、立体農場構造の改良の発明を出願しており、一般の床上式農場を垂直式農場に改良すると共に、人工制御方式と組み合わせて、農作物単位面積の植栽量を向上し限られた床面積に倍数の農作物生産量の実現を図る。さらに、実際の実験を経て、本発明に係る改造は予期された目標を確実に達成できることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
立体農場は文字通りに言えば垂直式農場であり、垂直式植栽と人工制御方式により、倍数の植栽生産量を実現するものである。垂直方式栽培を採っているために、便利な栽培管理、施肥、収穫などの目的と合わせて、農場内部の空間を充分に有効利用し、農場内部の限られた空間を最大限に活用することは非常に重要な課題になっている。
【0004】
このほか、世界の気候を見れば昔のように季節循環に沿って規律性変化はなくなり、変化が激しくかつ予測しにくい気候になっていて、しかも一日にセ氏10度を超える温度変化しているほか、環境も産業による人為的な破壊や汚染により、次第に悪化し深刻化している。そのため、露天栽培方式及び天候に頼る一般の立体農場には天気の影響に受けやすいことから栽培生産量と経済効果が大きく目減りする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な目的は、密閉式植栽工場を提供する。主に密閉空間と、正常温度を設定可能な空調設備と、自動給水システムと、複数の移動可能な植栽ラックとを含む。
【0006】
本発明は以下の長所を有する。
【0007】
移動可能な植栽ラックにより、植栽ラックを必要に応じて密閉空間の通路に移動させ、栽培区域に通路を設置する必要はなく、植物の栽培数を有効に向上できるとともに、作業員が管理するときの利便性をかね合わせている。さらに、定温空調設備を設置することによって栽培区域と通路区域が常に設定温度差の範囲を維持でき、栽培区域の温度を完全に植物の成長に適した環境状態に置かれて、植物の成長率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の平面構造を示す図である。
図2】本発明による移動可能な植栽ラックの構造を示す図(その1)である。
図3】本発明による移動可能な植栽ラックの構造を示す図(その2)である。
図4】本発明による定温気流方向システムを示す図である。
図5】本発明による自動給水システムの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は前述目的を達成するために採用する技術手段及び効果、実質の技術特徴の理解を図るため、以下の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1〜3は、本発明の平面構造を示す図、移動可能な植栽ラックの構造を示す図である。本発明は、主に密閉空間1と、複数の移動可能な植栽ラック2と、定温空調設備3と、自動給水システム4とを備える。密閉空間1は、例えば、密閉式構造物、地下室、あるいは密閉式コンテナーなどの密閉式立体空間である。その内部には、それぞれ前置作業区域10と、栽培区域11と、通路区域12とが設けられている。前置作業区域10は例えば電気設備、光源装置、水供給システムの制御室、または作業員が作業区域に立ち入りする前の消毒区域に用いることができる。栽培区域11は植物栽培空間として、その内部の一定箇所に輝度を人工制御可能な光源110が設けられている。移動可能な植栽ラック2は、植物栽培に用いられる棚、または、盆栽の設置に用いられる棚であり、密閉空間1の内部に集中して設けられており、棚の底面にキャスター20が設けられている、または、棚の上面にローラー21が設けられていることで、レール枠22の上方に掛けられており、必要に応じて空所に移動可能であり、作業員による植物の栽培作業、管理、収穫に便宜を図る。集中的に設備を設けることにより、作業員が管理するのに便利であるほか、密閉空間1内部のスペースやエネルギーを節約することができ、密閉空間1内部の植物の栽培数を有効に向上するとともに、経済効果のアップを期待することができる。
【0011】
図4は、本発明による定温気流方向システムを示す。図からわかるように、本発明は定温空調設備3の作動及び導管30の配置することにより、定温空調設備3の定温気流は、前置作業区域10の上方から栽培区域11側面の上方に圧送された後、再び下方から通路区域12に送られ、最後は通路区域12下方のとおり穴120から前置作業区域10に戻して、定温空調設備3の熱交換作用により密閉空間1の外部に排出され、気流の循環を完成すると共に、密閉空間1内部の栽培区域11と通路区域12との温度差を維持し、温度差の作用により植物成長ホルモンを刺激し植物の成長を加速化させる。
【0012】
図5は、本発明による自動給水システムの配置を示す図である。図からわかるように、本発明は栽培区域11の底面に貯水タンク40が設けられており、かつ貯水タンク40の上方に水循環ポンプ41が取付けられており、水循環ポンプ41による汲み上げ及び管路42の案内により、貯水タンク40内部の水を最上部の盆栽まで圧送し散水を行い、水が下方に流れる定律を利用し、すべての盆栽が適時かつ適量の水分を得るようにし、植物を潤わせ、最下層の盆栽の内部の含水量が飽和状態になると、水が下方の貯水タンク40に流れ込む。このように水を循環利用し、自動給水及び水資源の循環利用の目的が達成可能である。
【0013】
前述したとおり、本発明の最大の特徴は、構造が単純であり植物の植栽数を増やすことができ、かつ作業者の管理の利便性を図ることができ、外部天候の影響をまったく受けることなく、温度差を利用して植物成長率を制御する密閉式植栽工場を提供することである。本発明の技術手段を適用すれば、予期された目的及び前述した実質効果を確実に達成することができるため、まさに自然法則を運用した技術発想の発明に該当し、産業上の利用価値を有しており、実施すれば社会の大方に利益をもたらすことができる。
【符号の説明】
【0014】
1 密閉空間
2 移動可能な植栽ラック、
3 定温空調設備、
4 自動給水システム、
10 前置作業区域、
11 栽培区域、
12 通路区域、
110 光源、
20 キャスター、
21 ローラー、
30 導管、
120 とおり穴、
40 貯水タンク、
41 水循環ポンプ、
42 管路、
22 レール枠。
図1
図2
図3
図4
図5