(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155394
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】連続的セルロイドツインスクリュー押出しプロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 47/40 20060101AFI20170619BHJP
B29C 47/76 20060101ALI20170619BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20170619BHJP
B29K 1/00 20060101ALN20170619BHJP
【FI】
B29C47/40 Z
B29C47/76
C08J5/18CEP
B29K1:00
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-532171(P2016-532171)
(86)(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公表番号】特表2016-527111(P2016-527111A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】CA2014050756
(87)【国際公開番号】WO2015017940
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】61/864,331
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/167,812
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516037497
【氏名又は名称】ジェネラル ダイナミックス オードナンス アンド タクティカル システムズ−カナダ バレーフィールド インク.
【氏名又は名称原語表記】GENERAL DYNAMICS ORDNANCE AND TACTICAL SYSTEMS−CANADA VALLEYFIELD INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】110000132
【氏名又は名称】大菅内外国特許事務所特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】コントワ,エティエンヌ
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−192678(JP,A)
【文献】
特開2002−254492(JP,A)
【文献】
特開昭50−143861(JP,A)
【文献】
特開平06−064032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/36 − 47/88
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロイド製品を生成する連続的押出しプロセスであって、
或る量のニトロセルロースを用意することと、
或る量のカンフルを用意することと、
チャンバと、前記チャンバ内に材料を受け入れるための開口部と、前記チャンバ内で材料を混合する少なくとも2つのスクリューと、前記チャンバ内に配置された材料を押出すための、前記チャンバと結合した押出しダイと、を規定する押出し機を用意することであって、前記チャンバは、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーン及び脱揮発分ゾーンを備える、ことと、
前記ニトロセルロースを、前記チャンバの前記第1のゾーンに導入することと、
前記カンフルを、メタノール、エタノール、アセトン及びそれらの混合物からなるグループから選択される低沸点溶媒に溶解してカンフル溶液を形成し、前記カンフル溶液を、前記チャンバの前記第1のゾーンあるいは前記第2のゾーンに導入することと、
追加の溶媒を、前記第1のゾーンあるいは前記第2のゾーンに加えることと、
前記ニトロセルロースを、前記チャンバの前記第2のゾーンに輸送することと、
前記第2のゾーンにおいて、前記ニトロセルロース、前記カンフル溶液、及び、前記追加の溶媒を連続的に混合し、混合物を形成することと、
前記混合物を、前記チャンバの前記第3のゾーンに輸送し、更に、前記混合物を、前記第1のゾーンの温度に対し、より高い温度で連続的に混合することと、
前記混合物を、前記脱揮発分ゾーンへ輸送し、前記混合物を、前記低沸点溶媒と前記追加の溶媒の両方の沸点より高い脱揮発分温度に加熱することにより、前記脱揮発分ゾーン内の前記混合物から前記低沸点溶媒と前記追加の溶媒の両方の第1の量を抽出することと、
前記ダイを介して、前記混合物を押出し、セルロイド製品を生成することと、
前記セルロイド製品から前記低沸点溶媒と前記追加の溶媒の第2の量を除去することと、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記第1のゾーンは、5℃と15℃との間の温度に維持され、前記第2のゾーンは、50℃から60℃の温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第3のゾーンは、60℃から80℃の温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記脱揮発分ゾーンは、75℃から90℃の温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンは、前記ゾーンのうちの少なくとも1つの他のゾーンに比較して、より高い混合速度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記押出しは、5ミリメータ/秒から50ミリメータ/秒の速度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記溶媒は、少なくとも1つの温水槽を用いて、前記セルロイド製品から除去される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記セルロイド製品は、シート、ロッドあるいはチューブである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
セルロイド製品を調製するための連続的押出しプロセスであって、
或る量のニトロセルロースを用意することと、
或る量のカンフルを用意することと、
チャンバと、前記チャンバ内に材料を受け入れるための開口部と、前記チャンバ内で材料を混合する手段と、前記チャンバ内に配置された材料を押出すための、前記チャンバと結合した押出しダイと、を規定する押出し機を用意することであって、前記チャンバは、第1のゾーン、第2のゾーン及び脱揮発分ゾーンあるいは、これらの組み合わせを備える、ことと、
前記ニトロセルロースを、前記チャンバの前記第1のゾーンに導入することであって、前記第1のゾーンは、ニトロセルロースが発火しない温度に維持される、ことと、
前記カンフルを、メタノール、エタノール、アセトン及びそれらの混合物からなるグループから選択される低沸点溶媒に溶解して、カンフル溶液を形成し、前記カンフル溶液を、前記チャンバの前記第1のゾーンあるいは前記第2のゾーンに導入することと、
追加の溶媒を、前記第1のゾーンあるいは前記第2のゾーンに加えることと、
前記ニトロセルロースを、前記チャンバの前記第2のゾーンに輸送することと、
前記第2のゾーンにおいて、前記ニトロセルロース、前記カンフル溶液、及び、前記追加の溶媒を連続的に混合し、混合物を形成することと、
前記混合物を、前記脱揮発分ゾーンに輸送し、前記混合物を、前記低沸点溶媒及び前記追加の溶媒の両方の沸点より高い脱揮発分温度に加熱することにより、前記脱揮発分ゾーン内の前記混合物から前記低沸点溶媒及び前記追加の溶媒の両方の第1の量を抽出することと、
前記ダイを介して、前記混合物を押出し、セルロイド製品を生成することと、
前記セルロイド製品から前記低沸点溶媒及び前記追加の溶媒の両方の第2の量を除去することと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2013年8月9日出願の米国仮特許出願第61/864,331号と、2014年1月29日出願の米国特許出願第14/167,812号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの内容は、その全体が、参照によって、ここに組み込まれる。
【0002】
<技術分野>
広くは、本開示は、押出し及び押出しプロセスに関連する。更に詳細には、本開示は、連続的セルロイドツインスクリュー押出しプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、セルロイドは、産業界に関連した最初のプラスチック材料として、しばしば見られてきた。19世紀終わりと20世紀はじめの急激な工業化と同時代に、それは、急激に商品の役に立つ材料となった。その起源と製造は、以下の特許に見られる。
【0004】
1923年7月10日付け、米国特許第1,461,229号、Charles E. When, “Method of Shaping Pyroxylin, Celluloid, And Like Materials”。
【0005】
1923年9月25日付け、米国特許第1,468,820号、William G. Lindsay, “Process of Making Sheets of Pyroxylin Compound”。セルロイドの前身、Parkesine は、1862年に、Alexander Parkes という英国人によって開発された。彼は、硝酸で処理されたセルロースと異なる複数の溶媒の混合物は、熱成形能を有することを見出した。不幸にも、その製剤における可塑剤が無かったので、時間が経つとひび割れを生じる材料となり、大きなスケールの製品を不可能としていた。これは、John Wesley Hyatt が、カンフルが、ニトロセルロースの自然な溶媒であることを発見し、この材料を、産業レベルにおける最初の熱成形製品とするまでであった(1869年3月25日に遡る1869年4月6日付けの米国特許88,663号を参照されたい)。Hyattは、この開示を「セルロイド」と名づけることを決定した。
【0006】
その熱成形及び燃焼特性のために、セルロイドは、軍事産業にとって、非常に面白い製品である。セルロイドシートで作られたモルタルインクリメントは、推進薬のコンテナに用いられてきた。
【0007】
産業スケールでセルロイドシートを製造するために現在用いられている2つのプロセスがある。セルロイドの均一なブロックを、薄い個別のシートにカットするブロック法と、セルロイドをラッカーに溶解し、コンベヤベルト上に広げ、乾燥するラッカー法である。
【0008】
上述したように、ブロック法は、セルロイドのブロックを生成し、その後シートにカットすることからなる。典型的に、6つの主なステップがある。シグマブレードミキサーを用いて混合し、「ロールミル」装置でプラスチック化し、ブロック化し、カットし、乾燥し、最後に形状を形成する。
【0009】
シグマブレードミキサーを使って、エタノール存在下で、ニトロセルロースとカンフルを一緒に混合し、こね粉を完全に混合でき、溶解しないニトロセルロースが残らないことを保証するために、アセトンが加えられる。混合されたこね粉は、細かく分けられ、2つのロールミルを用いて、それぞれの分けられたものが個々に処理されるように、加熱された「2つのロールミル」へ移動され、厚いセルロイドカーペットを形成するために、相互に積み重ねられる。厚いカーペットは、ジャケット付きの加熱されたプレスへ移動される。熱と圧力が、典型的には、8時間と12時間の間の時間材料に加えられる。結果のブロックは、冷却され、ナイフの付いた水圧テーブル(hydraulic table )の上で、前後に揺らされる。ナイフは、下にブロックが通過するたびに、ブロックを薄いスライスにカットする。
【0010】
正しい溶媒比率に到達するために、シートは、ラックに掛けられ、熱風ブロワーを用いて、部屋の中で乾燥される。シートは、相互に積み重ねられ、複数のデッキプレスに配置され、セルロイドシートをやわらかくし、まっすぐで平らになることを保証するために、40分加熱される。オプションのカットステップは、シートを最終的寸法とするために実行される。
【0011】
ブロック法は、幾つかの欠点があり、それらの中でも主なものは、それらが、バッチプロセスによってしか行えないということである。これは、製造が遅くなり、コストも高くなる。
【0012】
ラッカー法は、最初に、原料(ニトロセルロース、カンフル、オプションとしての安定剤など)を溶媒に溶解し、コンベヤベルト上に連続的なストライプに溶液を撒き、溶媒を除去して、コンベヤの終端で、セルロイドの清浄で連続的なシートを得る、ことによって実行されるセルロイド製造方法である。
【0013】
この方法は、連続的プロセスであり、本質的に、上記のブロック法よりもより効率が良い。しかし、ラッカー法は、また、幾つかの欠点を有し、それらは、ブロック法よりもシートの厚さが一定でない、ことを含む。セルロイドシートの厚さに依存して、最終製品に残留溶媒があり、エンドユーザにおける加工性の問題を引き起こし得る。更に、回収する必要のある溶媒の量が、ブロック法よりずっと多く、泡立て剤が必要な場合、セルロイドラッカーにおける泡立て剤の濃度の均一性が予測できない。
【0014】
米国特許第4,120、920号は、プラスチック化されたニトロセルロースに基づいた混合物からなる押出し物の生成のプロセスと、爆発性ガソリンでゲル化されたニトロセルロースに基づき、その方法を実行するためのスクリュー押出し機による推進剤押出し物の連続的な製造の方法とを記述し、教示している。
【0015】
米国特許第1,979,762号は、ピロキシリンが、パン生地の硬さのコロイドゲルの形状であり、穴から押出され、かなりの量の溶媒を含む、やわらかいウェブ(soft web)に形成される、ピロキシリン(ニトロセルロース)シートを調製するためのバッチ化合プロセスを記述し、教示している。
【0016】
米国特許出願公開第2008/0242794号は、色安定剤と銀ベースの抗菌物質とが配合された溶融処理されたポリマーを含む、セルロイドを含むポリマー混合物を記述し、教示している。
【0017】
米国特許第4,608,210号は、2つの共回転あるいは反回転スクリューシャフトと形成ヘッドを備える押出し機により、プラスチック的に結合された推進パウダーあるいは爆発物を生成する方法を記述し、教示している。
【0018】
米国特許出願公開第2002/0079031号は、アクリルゴム(acrylic gum)/硝酸グアニジン、酸化充填剤及び添加剤を含む固体と液体が、別個にツインスクリューミキサー押出し機に導入され、運ばれ、こねられて、ペーストに形成され、脱ガス化され、ロッドの形状に押出しされる方法を記述し、教示している。
【0019】
米国特許第2,171,095号は、ピロキシリン(ニトロセルロース)などのプラスチックを、パターン、デザイン、及び色効果を提供するために続いて適用される固体のブロック形態に押出すために用いられる押出し装置を記述し、教示している。
【0020】
従って、均一な特性を有する様々な形状のコストが安いセルロイドを調製する連続的押出しプロセスのニーズが存在する。更に、本発明の主題の他の望ましい特徴と特性は、添付の図面とこの本発明の主題の背景技術と共に考慮されるなら、本発明の主題の後続の詳細な説明と添付の請求項から明らかとなるだろう。
【発明の概要】
【0021】
本開示の一側面において、セルロイド製品を調製する連続的押出しプロセスが提供され、これは、
【0022】
ニトロセルロースの量を用意するステップと、
【0024】
チャンバと、材料をチャンバに受け入れる開口部と、チャンバ内で材料を混合する少なくとも2つのスクリューと、チャンバにある材料を押出すためのチャンバに結合する押出しダイとを規定する押出し機であって、チャンバが、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーン及び、脱揮発分ゾーンあるいはそれらの組み合わせを含む、押出し機を用意するステップと、
【0025】
ニトロセルロースをチャンバの第1のゾーンに導入することであって、第1のゾーンは、ニトロセルロースが自発火しない、好ましくは、約5℃から約15℃の間である温度を維持するステップと、
【0026】
カンフルを低沸点溶媒に溶解し、そのカンフルをチャンバの第1のゾーンまたは第2のゾーンに導入するステップと、
【0027】
第1のゾーンあるいは第2のゾーンに追加の溶媒を加えるステップと、
【0028】
ニトロセルロースを、チャンバの第2のゾーンへ運送するステップと、
【0029】
第2のゾーンで、ニトロセルロースと、カンフルと、溶媒とを連続的に混合し、混合物を生成するステップと、
【0030】
その混合物をチャンバの第3のゾーンへ運送し、更に、第1のゾーンに対して、より速い混合速度と、より高い温度で混合物を連続的に混合するステップと、
【0031】
混合物を脱揮発分ゾーンに運送し、混合物を、溶媒の沸点より高く加熱することによって、脱揮発分ゾーンにおいて、混合物から溶媒を抽出するステップと、
【0032】
ダイを用いて、混合物を押出し、セルロイド製品を生成するステップと、
【0033】
セルロイド製品から溶媒を取除くステップと、を含む。
【0034】
本開示の他の側面においては、あるプロセスによって調製されるセルロイド製品が提供され、そのプロセスは、
【0035】
ニトロセルロースの量を用意するステップと、
【0037】
チャンバと、チャンバに材料を受け入れる開口部と、チャンバ内の材料を混合する少なくとも2つのスクリューと、チャンバ内に配置された材料を押出すための、チャンバと結合した押出しダイとを規定するツインスクリュー押出し機を用意することであって、チャンバは、順番に、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーン及び脱揮発分ゾーンを有するステップと、
【0038】
ニトロセルロースをチャンバの第1のゾーンへ導入することであって、第1のゾーンは、ニトロセルロースが自発火しない、好ましくは、約5℃から約15℃の間の温度を維持するステップと、
【0039】
カンフルを低沸点溶媒に溶解し、このカンフルをチャンバの第2のゾーンへ導入するステップと、
【0040】
第1のゾーンに追加の溶媒を加えるステップと、
【0041】
ニトロセルロースをチャンバの第2のゾーンへ運送するステップと、
【0042】
ニトロセルロースと、カンフルと、溶媒とを第2のゾーンにおいて連続的に混合し、混合物を形成するステップと、
【0043】
この混合物をチャンバの第3のゾーンへ運送し、更に、第1のゾーンに対し、より高い混合速度と温度でこの混合物を連続的に混合するステップと、
【0044】
この混合物を脱揮発分ゾーンに運送し、混合物を、溶媒の沸点より高く加熱することにより、脱揮発分ゾーンにおける混合物から溶媒を抽出するステップと、
【0045】
ダイによって、混合物を押出し、セルロイド製品を生成するステップと、
【0046】
セルロイド製品から溶媒を除去するステップと、を含む。
【0047】
本開示の他の側面においては、あるプロセスによって調製されるセルロイド材料が提供され、そのプロセスは、ニトロセルロースの量を用意するステップと、
【0048】
固体カンフルの量を用意するステップと、
【0049】
チャンバと、チャンバに材料を受け入れる開口部と、チャンバ内の材料を混合する少なくとも2つのスクリューと、チャンバ内に配置された材料を押出すための、チャンバに結合された押出しダイと、を規定するツインスクリュー押出し機を用意することであって、チャンバは、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーン及び脱揮発分ゾーンを有するステップと、
【0050】
ニトロセルロースをチャンバの第1のゾーンに導入することであって、第1のゾーンは、ニトロセルロースが自発火しない、好ましくは、約5℃から約15℃の間の温度に維持されるステップと、
【0051】
第1のゾーンに追加の溶媒を加えるステップと、
【0052】
ニトロセルロースをチャンバの第2のゾーンに運送するステップと、
【0053】
第2のゾーン内の、ニトロセルロース、カンフル、及び、溶媒を連続的に混合し、混合物を形成するステップと、
【0054】
この混合物をチャンバの第3のゾーンに運送し、更に、第1のゾーンに対して、より高い混合速度及び温度で、混合物を連続的に混合するステップと、
【0055】
この混合物を脱揮発分ゾーンに運送し、溶媒の沸点より高く混合物を加熱することにより、脱揮発分ゾーンの混合物から溶媒を抽出するステップと、
【0056】
ダイで混合物を押出し、セルロイド製品を生成するステップと、
【0057】
セルロイド製品から溶媒を除去するステップと、を含む。
【0058】
本開示の他の側面においては、セルロイド製品を調製するための連続的押出しプロセスが提供され、そのプロセスは、
【0059】
ニトロセルロースの量を用意するステップと、
【0061】
チャンバと、チャンバに材料を受け入れるための開口部と、チャンバ内の材料を混合する手段と、チャンバに配置された材料を押出すための、チャンバに結合された押出しダイとを規定する押出し機を用意し、チャンバは、第1のゾーン、第2のゾーン、及び、脱揮発分ゾーンあるいはそれらの組み合わせを含むステップと、
【0062】
ニトロセルロースをチャンバの第1のゾーンに導入し、第1のゾーンは、ニトロセルロースが自発火しない、好ましくは、約5℃から約15℃の間の温度に維持されるステップと、
【0063】
カンフルを低沸点溶媒に溶解し、そのカンフルを、チャンバの第1のゾーンあるいは第2のゾーンに導入するステップと、
【0064】
第1のゾーンあるいは第2のゾーンへ追加の溶媒を加えるステップと、
【0065】
ニトロセルロースを、チャンバの第2のゾーンに運送するステップと、
【0066】
第2のゾーン内の、ニトロセルロース、カンフル、及び、溶媒を連続的に混合し、混合物を形成するステップと、
【0067】
この混合物を脱揮発分ゾーンへ運送し、混合物を、溶媒の沸点より上に加熱することにより、脱揮発分ゾーン内の混合物から溶媒を抽出するステップと、
【0068】
ダイを用いて、混合物を押出し、セルロイド製品を生成するステップと、
【0069】
セルロイド製品から溶媒を除去するステップと、を含む。
【0070】
本開示の他の側面においては、連続的押出しプロセスは、自動化されることが出来、プロセスがオペレータの仲介を必要としない。
【0071】
本開示の更に他の側面においては、カンフル溶液と追加の溶媒に用いられる低沸点溶媒は、同一あるいは異なることが出来、低分子重量脂肪族ケトン、低分子重量脂肪族アルコール、及び、これらの混合物からなるグループから選択されることが出来る。
【0072】
本開示の更に他の側面においては、セルロイド製品は、シート、ロッド、あるいはチューブの形態とすることが出来る。
【0073】
更なる、及び、他の側面は、当業者の読者によって理解されるだろう。
【0074】
この概要は、選択されたコンセプトを簡略化した形で導入するために提供しており、選択されたコンセプトは、以下の詳細な説明において、記述される。この概要は、請求される主題のキーとなる特徴あるいは本質的な特徴を特定することは意図されず、また、請求される主題の範囲を決定するための支援として用いられることも意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本開示は、以後、以下の図面と共に記述されるだろう。同様な参照番号は同様な要素を示す。
【0076】
【
図2】本開示のプロセスの実施形態の模式図を示す。
【
図3】本開示のプロセスを実行する好適な装置の写真を示す。
【
図4】本開示のプロセスによって調製される、形成されたセルロイドフィルムの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本開示は、均一な製品を連続的に製造することができる高度に自動化された、多用途のプロセスであるという利点を有するセルロイド材料を調製するための連続的な化合及び押出しプロセスを扱う。セルロイド材料は、シート及び、チューブ及びロッドなどの他の形状の形態とすることができる。
【0078】
図1及び2を参照すると、連続的化合及び押出しプロセスは、ニトロセルロース25の量を用意するステップと、カンフル35の量を用意するステップと、チャンバ17、チャンバへ材料を受け入れるための開口部18と、チャンバ17内の材料を混合するための少なくとも2つのスクリュー15と、チャンバ内に配置された材料を押出す、チャンバ17に結合された押出しダイ70とを規定するツインスクリュー押出し機10を用意し、チャンバが、好ましくは、第1のゾーン20、第2のゾーン30、第3のゾーン40及び、脱揮発分ゾーン50と、あるいは、それらの組み合わせを有するステップと、ニトロセルロースをチャンバ17の第1のゾーン20に輸送し、第1のゾーン20が、好ましくは、約5℃から約15℃の間の温度に維持されるステップと、カンフルを低沸点溶媒に溶解し、そのカンフル35をチャンバ17の第2のゾーン30に導入するステップと、追加の溶媒を第1のゾーン20に加え、第2のゾーン30でニトロセルロース、カンフル、及び、溶媒を連続的に混合して混合物を形成するステップと、この混合物をチャンバ17の第3のゾーン40に輸送し、更に、第1のゾーンに対して、より高い混合速度と温度でこの混合物を連続的に混合するステップと、この混合物を脱揮発分ゾーン50に輸送し、混合物を溶媒の沸点より高く加熱することにより、脱揮発分ゾーン50における混合物から溶媒を抽出するステップと、ダイ70を用いて、混合物を押出し、セルロイド100のフィルムを生成するステップと、セルロイド
製品100から溶媒を除去するステップと、を実行する。ある実施形態においては、複数の脱揮発分ゾーンが存在することが出来る。他の実施形態においては、第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンは、入れ替えることが出来る。別の実施形態においては、カンフルは、適切な計量装置によって固体として導入されることが出来る。
【0079】
本開示は、ゾーンの数には限定されない。ある実施形態においては、プロセスは、脱揮発分ゾーンに加え、1個あるいは2個のゾーンで実行されることが出来る。ゾーンは、結果のセルロイド製品に望ましい質感を提供するために、追加されたり、入れ替えられたりすることが出来る。例えば、混合ゾーンを提供し、その後、脱揮発分ゾーン、その後、他の混合ゾーンを提供し、セルロイド材料が良く混ぜ合わされることを保証するようにすることも可能である。また、ニトロセルロースを導入する前に溶媒を導入し、感度を低下し、材料が、自発火あるいは、摩擦による発火を起こしにくくするようにすることも可能である。
【0080】
原材料は、好ましくは、溶媒及びカンフル溶液で脱水された業務用ニトロセルロースである。ニトロセルロースは、約10%から約13%のニトロ化度を有することが出来る。ニトロセルロースを脱水するために、当分野で知られた溶媒が用いられることが出来る。好ましくは、ニトロセルロースを脱水するために用いられる溶媒は、低分子重量脂肪族ケトン、低分子重量脂肪族アルコール及び、それらの組み合わせからなるグループから選択され、より好ましくは、低分子重量脂肪族ケトンは、アセトンであり、低分子重量脂肪族アルコールは、メタノールあるいはエタノールであり、最も好ましくは、溶媒はアセトンである。
【0081】
可能な限り安全に処理を進めるために、ニトロセルロースは、約5℃から約25℃、好ましくは約10℃〜約15℃の範囲に水冷された押出し機の第1のゾーン20に提供される。オプションとして、望ましい場合には、ニトロセルロースが押出し機に加えられ、あるは、カンフル溶液に溶解される前に、固体あるいは溶液形態の泡立て剤がニトロセルロースに混合されることが出来る。ある実施形態においては、更に気をつけるなら、カンフル溶液は、ニトロセルロース繊維の完全な鈍感化を保証するために、第2のゾーン30に提供される。好ましくは、溶媒がアセトンである場合、第2のゾーン30は、約40℃から約70℃、より好ましくは約50℃から約60℃の温度に維持される。押出し機10は、好ましくは、混合及び蒸発ステップを満たすために、大きな長さ/直径(L/D)比を有する。押出し機は、好ましくは、ツインスクリュー押出し機である。本開示の目的のための好適な押出し機は、40のL/D比を有する20mm外部直径押出しスクリューを有するLeistritzモデルである。しかし、当業者は、押出されるべき混合物の内容物を混合する手段を有する他の押出し機は、本開示の範囲内であることを理解するだろう。当業者が理解するだろうように、ニトロセルロース/カンフル混合物は、好ましくは、約50℃から約90℃、より好ましくは、約60℃から約80℃の温度の第3のゾーン40において、押出し機内で混合され、申しぶんのない可塑性を有するセルロイド材料を形成する。脱揮発分ゾーン50は、約65℃から約100℃、より好ましくは、約75℃から約90℃の温度に維持され、押出しダイ70から押出す前に、出来る限り多くの溶媒を抽出する。圧縮ゾーン60は、約65℃から約100℃、より好ましくは、約75℃から約90℃の温度で、セルロイド材料を圧縮する一方、脱揮発分ゾーン50からの抽出された溶媒を除去し、オプションとして、リサイクルする65。結果のセルロイド材料は、約65℃から約100℃、より好ましくは約75℃から約90℃の温度で、ダイ75内で押出され、セルロイド製品100を形成する。ダイは、スリットあるいは他の形状の形態とすることができる。ある実施形態においては、セルロイド製品は、フィルムであり、カレンダマシン80によって更に処理され、フィルムの望ましい厚さを達成する。温かいフィルム100は、そして、約40℃から約60℃の温度を有する少なくとも1つの熱水槽90を通過し、いかなる残留溶媒も抽出する。最終的なトレース量の溶媒が室温で蒸発される、オプションの風化ステップは、シートの寸法の完全性を保証し、固着してしまうことを防止するために、最終的な梱包の前にスケジュールされることが出来る。
【0082】
図3及び4は、本開示の押出しプロセスを実行する、特に好適な装置の写真を示す。
【0083】
好適な実施形態においては、乾燥ニトロセルロース繊維25は、ウェイトロスフィードバックループ(weight loss feedback loop )によって動作される自動フィーダによって制御される、好適には、約5℃から約25℃、最も好適には、約10℃から約15℃の温度に水冷されたツインスクリュー押出し機10のチャンバ17の第1のゾーン20に供給される。従って、有利なことに、セルロイドを生成するために、カンフルに、正しい比のニトロセルロイドを正確に供給することが可能である。カンフル35は、メタノール、エタノール、アセトン、及び、それらの混合物には限定されないが、これらのような低沸点溶媒内の溶液として組み込まれることが出来る。溶液は、原材料を加える際の任意の不規則性、あるいは、変量を除去するために、例えば、投与ポンプを用いて、約40℃から約70℃、より好ましくは、約50℃から約60℃の温度のツインスクリュー押出し機10のチャンバ17の第2のゾーン30に直接注入されることが出来る。
【0084】
ツインスクリュー押出し機10においては、ニトロセルロースとカンフル混合物は、約50℃から約90℃、より好ましくは、約60℃から約80度の温度で、スクリュー要素15によって、第3のゾーン40において、連続的な練りを受け、セルロイドこね粉材料を形成する。オプションとして、スクリュー要素15は、例えば、粘性などのセルロイドこね粉の特性をより良く制御するために変更されることが出来る。スクリュー要素は、異なる練り速度を提供するように変更されることが出来る。オプションとして、セルロイドこね粉の流動学的特性は、オンライントルク測定及び圧力読取りにより調べることができ、望まれる場合、プロセスに修正を加えることにより調製することが出来る。
【0085】
1以上の脱揮発分ゾーン50は、押出しダイ70を介して、セルロイド材料を押出す前に、可能な限り多くの溶媒を抽出する。脱揮発分温度は、好ましくは、約65℃から約100℃、より好ましくは、約75℃から約90℃である。続く圧縮ゾーン60は、約65℃から約100℃、より好ましくは、約75℃から約90℃の温度において、抽出された溶媒を除去し、オプションとして、溶媒をリサイクルする。押出しバレルに沿って、1より多い脱揮発分ゾーンが存在しても良い。
【0086】
押出し速度は、ニトロセルロースとカンフルの原材料の供給速度と結合したスクリューの回転速度を調整することによって制御される。スピードは、約50rpmから約200rpm、より好ましくは、約60rpmから約100rpmで可変されることが出来る。当業者は、回転速度は、使用されるスクリューのサイズに依存して可変するだろうことを理解するだろう。押出されたセルロイド材料が、押出しダイ70を介して、ツインスクリュー押出し機10を出る速度は、スクリュー15の回転速度によって制御され、
5ミリメータ/秒から約50ミリメータ/秒で可変することが出来る。ダイ70を用いたセルロイド材料の押出しは、約65℃から約100℃、より好ましくは約75℃から約90℃の温度で実行され、セルロイド製品100を形成する。最も好適な実施形態においては、セルロイド材料は、スリットダイを用いて押出され、セルロイドフィルムを形成する。
【0087】
セルロイド製品100がセルロイドフィルムであるとき、セルロイド製品100の形状形成は、カレンダステップ80によって、連続的に実行される。カレンダステップ80は、セルロイド製品100を形状形成するために冷却された2以上のカレンダローラ85を用いる。このステップの間、シートには、非常に小さい圧力がかかる。シートは、ローラによってかけられる非常にわずかな変形で引っ張られる。ローラは、液体冷却、好ましくは水冷されることが出来る。冷却されたローラ85の温度は、好ましくは、約5℃から約25℃、より好ましくは、約10℃から約15℃である。これにより、オプションとして、マイクロメータあるいは光センサによってモニタされることが出来るセルロイド製品100の一定な厚さが可能となる。
【0088】
連続的乾燥ステップ90は、約40℃から約95度の間の範囲の異なる温度に加熱された1以上の水槽95に製品を通過させることにより、カレンダステップ80を出るセルロイド製品100に実行される。
【0089】
セルロイド製品100が乾燥されると、ロールに巻かれ、消費者に出荷されることができ、消費者が、個々のシートを彼等の装置に搭載する必要なく、セルロイドのロールを用いて、彼ら自身の連続プロセスを容易に設計可能とする。
【0090】
本開示のプロセスは、ブロック法が従来の装置の数個の部品の使用を要求するので、従来技術のブロック法に対して利点を有する。そのような装置は、安全上の理由により、相互に近接して実装されない。更に、この方法は、持ち上げるのが重い重量、鋭いエッジを有する、動いている金属の大きな部品との直接の人間との相互作用を要求する。これは、ブロック法が、オペレータにとってプロセスを安全とするために、オペレータの安全保護において、かなりの投資を要求することを意味する。本開示の連続的ツインスクリュー押出しプロセスにより、プロセスが、単一の製造機械内で完了することを可能とし、従って、材料の不必要な扱いを最小化し、扱いミスのリスクを最小化し、コストを削減する。
【0091】
プロセスは、原材料の変更に容易に適応でき、セルロイドを、様々な形状及び厚さにすることができ、泡立てられた製品を直接押出すために用いられることが出来る。
【実施例】
【0092】
本開示は、ここで、以下の非限定的実施例によって例示される。様々な変更や改変が、添付の請求項に規定されるこの開示の範囲から外れることなく、以下の実施例およびプロセスに加えられることができることは注意されるべきである。従って、以下の実施例は、例示であって、いかなる意味においても限定的でないとして、解釈されるべきであることは注意されるべきである。
【0093】
以下の非限定的な実施例が提供される。
【0094】
2つの原材料が、反対回転ツインスクリュー押出し機に供給される:アルコールによって脱水された、中分子重量の業務用ニトロセルロースおよび、カンフルのアセトン溶液。11.3%にニトロ化され、12%のエタノールを含むニトロセルロースが、50g/分で、40のL/D比の20mmツインスクリュー押出し機に供給された。同時に、カンフルの75%w/wアセトン溶液が、9ml/分で、押出し機にポンプ供給された。150mm平坦ダイを介した押出しは、
図3に示すように、1mmの公称厚さで、品質の良いフィルムを生成した。材料の脱色あるいは劣化は、押出しプロセスの間観察されなかった。
【0095】
請求項の範囲は、実施例に記載された好適実施形態によって限定されるべきではなく、記述全体と整合する、最大の範囲の解釈が与えられるべきである。
【0096】
少なくとも1つの例示的実施形態が、本開示の前述の詳細な説明に提示されたが、非常に多くの変形が存在することは理解されるべきである。例示的実施形態あるいは例示的複数の実施形態は、単なる例であり、いかなるようにも、本開示の範囲、適用性、あるいは、構成を限定することを意図しないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に、本開示の例示的実施形態を実装する便利なロードマップを提供し、様々な変形が、添付の請求項とそれらの法的な均等物に述べられる範囲を外れることなく、例示的実施形態に記述された要素の機能及び構成になされ得ることは理解されるだろう。