(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、設計者は、ディスプレイ上のCAD画面で設計変更などを行っており、部品を変更した際に、変更後の部品が標準部品であるか、またその型番が何であるかなどは、その場では考慮しない。
【0006】
そのため、変更後の部品が標準部品でない場合、再度設計変更を強いられるおそれがある。また、部品メーカにとって、当初はカタログに掲載された標準部品で受注が見込まれた部品が設計変更によって受注できなくなるおそれがある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、変更をした部品に型番を追従させることができる設計支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法は、表示装置及び入力装置を備えたコンピュータ
が、前記表示装置に部品データに基づき、複数の部品からなる設計品の形状を表示する方法であって、
前記コンピュータが、前記入力装置から前記複数の部品のうちの少なくとも1つの部品を変更する指示を受け付ける受付ステップと、前記指示を受け付けた変更後の部品が、少なくとも形状を規定する寸法及び型番を含むデータが予め部品種類に応じて階層的に記憶された複数の標準部品のデータを記憶する標準部品データ記憶部に記憶されているか否かを検索する検索ステップと、前記検索ステップで前記変更後の部品が前記標準部品データ記憶部に記憶されている場合、
前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を
前記標準部品に係る前記型番
に置き換える型番置換ステップと、前記指示を受け付けた変更後の部品の形状データに基づく部品の形状を前記表示装置に表示する再表示ステップとを
実行し、前記標準部品データ記憶部には前記部品の形状データを規定する少なくとも1つの寸法に関する寸法範囲が含まれ、前記検索ステップで前記部品の変更後の寸法が前記寸法範囲内である場合、前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を前記型番置換ステップで前記変更後の寸法に応じた型番に置き換えることを特徴とする。
【0009】
本発明の方法によれば、変更後の部品が標準部品である場合、変更後の部品の型番は当該標準部品に係る型番に自動的に置き換わる。よって、設計者が変更後の部品が標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。また、部品メーカにとって、当初はカタログに掲載された標準部品で受注が見込まれた部品が設計変更によって受注できなくなるおそれを減少することが可能になる。
さらに、変更後の部品の寸法が標準部品の寸法範囲内である場合、変更後の部品の型番は当該標準部品に係る型番に自動的に置き換わる。よって、設計者が変更後の部品が標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0010】
本発明の方法において、前記コンピュータは報知装置を備え、
前記コンピュータが、前記検索ステップで前記変更された部品が前記標準部品データ記憶部に記憶されていないとされた場合、前記報知装置で警告を報知する警告ステップをさらに
実行することが好ましい。
【0011】
この場合、変更後の部品が標準部品でない場合、警告が報知されるので、一般的に安価で短納期の標準部品を設計者が採用することを促すことが可能になる。
【0012】
例えば、本発明の方法において、前記部品を変更する指示は、当該部品の形状データを規定する少なくも1つの寸法を変更する指示を含むものである。
【0013】
例えば、本発明の方法において、
前記コンピュータは、前記検索ステップで前記部品の変更後の寸法が前記寸法範囲外である場合、前記警告ステップで警告を報知
することが好ましい。
【0014】
この場合
、変更後の部品の寸法が標準部品の寸法範囲外である場合、警告が報知されるので、標準部品の寸法範囲内に部品の寸法を収めようという意識を設計者に与えることが可能になる。
【0015】
例えば、本発明の方法において、前記部品を変更する指示は、当該部品の形状データを変更する指示を含むものである。
【0016】
また、例えば、本発明の方法において、前記部品を変更する指示は、前記部品の前記データのうち少なくとも何れかのデータを変更する指示を含むものである。
【0017】
また、本発明の方法において、前記検索ステップで前記部品の変更後の寸法が前記寸法範囲内である場合、
前記コンピュータが、前記変更後の寸法の長さに応じて前記変更後の部品に対する価格を算出する価格算出ステップと、前記価格算出ステップで算出した価格を前記表示装置に表示する価格表示ステップをさらに
実行することが好ましい。
【0018】
この場合、変更後の部品の価格を設計者に自動的に提示することが可能となる。
【0019】
例えば、本発明の方法において、前記データには前記部品に関する納期又は価格が含まれるものである。
【0020】
また、例えば、本発明の方法において、前記部品を変更する指示は、当該部品を対して少なくとも1か所の形状を変更する指示を含むものである。
【0021】
また、本発明の方法において、前記標準部品データ記憶部には前記部品に対して少なくとも1か所の形状を変更した準標準部品に関するデータが予め記憶されており、前記検索ステップで前記部品の変更後の形状の変更が前記準標準部品と一致する場合、前記型番置換ステップで
前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を前記変更後の準標準部品に応じて生成した型番に置き換えることが好ましい。
【0022】
この場合、変更後の部品の形状が標準部品又は準標準部品の形状と一致する場合、変更後の部品の型番は当該標準部品又は準標準部品に係る型番に自動的に置き換わる。よって、設計者が変更後の部品が標準部品又は準標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。また、変更後の部品の寸法が標準部品でも準標準部品でもない場合、警告が報知されるので、標準部品又は準標準部品に部品の形状を変更させようという意識を設計者に与えることが可能になる。
【0023】
また、本発明の方法において、前記検索ステップで前記部品の変更後の形状の変更が前記標準部品と一致する場合、前記型番置換ステップで
前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を前記変更後の標準部品に応じた型番に置き換えることが好ましい。
【0024】
この場合、変更後の部品の形状が標準部品の形状と一致する場合、変更後の部品の型番は当該標準部品に係る型番に自動的に置き換わる。よって、設計者が変更後の部品が標準部品又は準標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0025】
また、本発明の方法において、
前記コンピュータは、前記表示されている部品の当該部品の型番を少なくとも含むリストを作成するリスト作成ステップをさらに
実行し、前記型番置換ステップで
前記変更前の部品の型番を前記変更後の標準部品に応じた型番に置き換えたとき、前記リスト作成ステップで
前記変更前の部品の型番を前記変更後の
標準部品に応じた型番に置き換えたリストを作成することが好ましい。
【0026】
この場合、部品を変更したとき、変更後の部品の型番に置き換えたリストを自動的に作成することが可能となる。
【0027】
また、本発明の方法において、
前記コンピュータは、前記型番置換ステップで前記部品の型番を置き換えたとき、前記部品の形状データ及び型番を含むデータに係るファイル名を変更するファイル名変更ステップをさらに
実行することが好ましい。
【0028】
この場合、部品を変更したとき、当該部品に係るファイル名が自動的に変更するので、変更前後でファイル名の混合を防止することが可能となる。
【0029】
例えば、本発明の方法において、前記部品を変更する指示は、型番を変更する指示を含むものである。
【0030】
また、本発明の方法において、前記標準部品データ記憶部に記憶された前記標準部品のデータには、前記標準部品の基本形状の寸法を規定する基準寸法に関するデータが含まれ、前記検索ステップで前記部品の変更後の形状の変更が前記標準部品と一致するとされた場合、前記再表示ステップで前記変更後
の部品を、当
該部品
の寸法が前記標準部品
の寸法と一致するように表示することが好ましい。
【0031】
この場合、変更前の部品の位置に、変更後の部品を配置することが可能になる。
【0032】
また、本発明の方法において、
前記コンピュータは、前記受付ステップで前記部品を変更する指示を前記入力装置から受け付けたとき、当該変更する指示を受け付けた部品に関連する他の部品の形状データを変更する関連部品変更ステップをさらに
実行し、前記再表示ステップにおいて、前記関連部品変更ステップで変更した前記部品の形状データに基づく形状も再表示することが好ましい。
【0033】
この場合、部品を変更したときに、関連して変更させる必要がある部品も自動的に変更することが可能になる。
【0034】
本発明のコンピュータに読み取り実行可能なプログラムは、表示装置及び入力装置を備えたコンピュータ
に、前記入力装置から複数の部品からなる設計品の少なくとも1つの部品を変更する指示を受け付ける受付ステップと、前記指示を受け付けた変更後の部品が、少なくとも形状を規定する寸法及び型番を含むデータが部品種類に応じて階層的に予め記憶された複数の標準部品のデータを記憶する標準部品データ記憶部に記憶されているか否かを検索する検索ステップと、前記検索ステップで前記変更後の部品が前記標準部品データ記憶部に記憶されている場合、
前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を前記標準部品に係る前記型番に置き換える型番置換ステップと、前記指示を受け付けた変更後の部品の形状データに基づく部品の形状を前記表示装置に表示する再表示ステップとを実行させ
、前記標準部品データ記憶部には前記部品の形状データを規定する少なくとも1つの寸法に関する寸法範囲が含まれ、前記検索ステップで前記部品の変更後の寸法が前記寸法範囲内である場合、前記設計品に係る前記変更前の部品の型番を前記型番置換ステップで前記変更後の寸法に応じた型番に置き換えさせることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態に係る方法によってコンピュータ100で実行されるCADシステムについて図面を参照して説明する。本発明の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ100に読み取り実行可能なプログラムであり、コンピュータ100でCADシステムを実行させるものである。
【0037】
本CADシステムは、市販のCADシステムに本発明の方法に係る機能を有するプログラムをシステムにアドオンしたものであっても、CADシステム自体のプログラムが本発明の方法に係る機能を実行させるものであってもよい。
【0038】
CADシステムは、コンピュータ100によって構成される。CADシステムを構成するコンピュータ100は、キーボード及びマウスなどの入力装置110、ディスプレイなどの表示装置120、プリンタなどの印刷装置を含む出力装置130、LAN(Local Area Network)などの通信回線を介して情報を送受信する通信装置140、半導体メモリ、ハードディスク装置などによって構成され、プログラム及びデータを記憶する記憶装置150、記憶装置に記憶されるプログラムを実行して、入力装置110、表示装置120、出力装置130、通信装置140を制御する中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、スピーカ装置などの報知装置160を含む。
【0039】
記憶装置140に記憶されるプログラムは、CADシステムを制御するためのプログラムであり、本発明の実施形態に係る方法を実施するプログラムの他に、OS(Operating System)及び各種のアプリケーションプログラムを含んでいてもよい。コンピュータ100は、一般的なコンピュータでよく、詳細な説明は省略する。
【0040】
プログラムは記録媒体に記憶されたものであっても、無線、有線などを介してコンピュータ100の記憶装置150にインストールして記憶されたものであってもよい。記録媒体は、例えば、磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magnet Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable ReadOnly Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read OnlyMemory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【0041】
CADシステムは、
図1に示すように、設計品データ作成部11、設計品データ記憶部12、リスト作成部13、設計品データ入力部14、設計品データ表示部15、部品データ表示部16、標準部品データ記憶部(標準部品データベース)17、標準部品検索部18及び報知部19を含んで構成される。
【0042】
設計品データ作成部11、リスト作成部13、設計品データ入力部14、設計品データ表示部15、部品データ表示部16、標準部品検索部18及び報知部19は、コンピュータ100に含まれる記憶装置140に記憶されるCADシステムを制御するためのプログラムを、CPUが実行することによって実現される機能である。設計品データ記憶部12及び標準部品データ記憶部17は、コンピュータ100に含まれる記憶装置140に含まれる。
【0043】
設計品データ作成部11は、2次元CAD(Computer Aided Design)システム、3次元CADシステムなどのCADシステムを用いて設計した設計品を表す設計品データを作成する。設計品は、複数の部品から構成される。
【0044】
設計品データは、設計品を構成する各部品を表すデータを含むデータであり、設計品自体を表す設計品データ、設計品を構成する部品を表す部品データ、部品が配置される位置を表す位置データなどのデータを含む。
【0045】
設計品データには、当該設計品データのファイル名、設計品の名称、品番、設計者名、作成日、バージョンなどが含まれる。部品データには、当該部品データのファイル名、部品の名称、個数、型番、メーカ名、寸法、材質、表面処理、価格、納期、形状データなどが含まれる。位置データには、各部品が配置される位置を示すデータが含まれる。
【0046】
設計品データ記憶部12は、設計品データ作成部11によって作成された設計品データを記憶する。
【0047】
リスト作成部13は、設計品データ記憶部12に記録された設計品データ及び部品データを取得し、このデータを階層状に展開したリスト(部品表)を作成する。このリストには、
図2に示すように、設計品の名称、品番、部品の名称、型番、個数などが含まれる。
【0048】
リスト作成部13は、既存のCADシステムに内蔵されているプログラムがコンピュータ100に実行させるものであってもよく、リストの形式、表示態様などは任意である。なお、リスト作成部13が作成したリストは、設計者からの要求をキーボードあるいはマウスなどの入力装置110で受け付けた場合、随時、ディスプレイなどの表示装置120に表示、またはプリンタなどの出力装置130で印刷される。
【0049】
設計品データ入力部14は、キーボード、マウスなどの入力装置110による設計品データの変更、追加などの入力を受け付ける。この変更、追加は、一般的に知られているCAD操作であり、CADシステムによって相違するので、詳細な説明は省略する。
【0050】
また、設計品データ入力部14は、部品データ表示部16によってディスプレイなどの表示装置120に表示された部品に対する、キーボード、マウスなどの入力装置110による変更の入力を受け付ける。なお、
図3を参照して、部品の変更は、表示装置120の画面上に表示されるポインタをマウスによって部品データの数値などが表示された欄の形状の内部に移動し、マウスの左ボタンをクリックした後、キーボードなどから数値を入力、又はマウスで数値の増大、減少ボタンをクリックすることなどによって入力される。
【0051】
設計品データ表示部15は、設計品データ記憶部12に記憶されている設計品データが示す設計品の画像を、
図4に示すようにディスプレイなどに表示する。このとき、設計品に含まれる全ての部品を、当該部品に係る部品データに含まれる形状データが示す形状で、かつ位置データに含まれる位置データが示す位置に配置して表示する。
【0052】
部品データ表示部16は、設計品データ記憶部12に記憶されている部品データが示す部品の画像のほか、部品データに含まれる寸法、材質などのデータを含む部品に関するデータを、
図3に示すようにディスプレイなどの表示装置120に表示する。
【0053】
なお、部品データ表示部16が部品に関するデータを表示装置120に表示させている場合、設計品データ表示部15は、当該部品を他の部品とは異なる態様で表示装置120に表示させてもよい。例えば、当該部品を、他の部品よりも目立つ色で表示する、当該部品を2重枠で囲んで表示する、当該部品をハイライト表示させればよい。
【0054】
標準部品データ記憶部17には、各種標準部品の寸法、材質などに関するデータが記憶されている。標準部品データ記憶部17に登録されている部品を標準部品と呼ぶ。標準部品には、寸法などに準じて型番が自動的に決定される標準部品も含まれる。一方、標準部品でも準標準部品でもなく、型番が寸法などに応じて自動的に決定されない部品を、非標準部品と呼ぶ。
【0055】
準標準部品とは、型番の一部に、所定の寸法(例えばシャフト長L)、材質、表面加工などに対応する数値(例えばシャフト長200mmに対応して200)、文字(例えば所定のめっきに対応してS)などが組み込まれているが、標準部品として設定されたものではない部品のことである。準標準部品は、前記所定の寸法などに基づいて、価格は例えば予め定められた計算式により計算可能であり、納期などは予め定められた部品である。準標準部品は、通常、類似の標準部品と比べて高価で納期が長くなる。
【0056】
非標準部品は、型番が決定されず、特殊品、非規格品、特別加工品、標準部品又は準標準部品に対して追加工、追加表面処理などが必要な部品である。非標準部品は、価格、納期などを部品メーカに問い合わせが必要な部品であり、通常、類似の標準部品又は準標準部品と比べて高価で納期が長くなる。
【0057】
図3は、標準部品データ記憶部17に登録されている標準部品を表示した一例を示す図である。ここでは、標準部品として「シャフト(スタンダード)」を例に挙げている。ここでは、「シャフト(スタンダード)」に関連付けられた標準部品データのパラメータ(登録項目)として、型番、材質、表面処理(表面仕上げ)、シャフト径D、シャフト長L、雄ねじ長さF、雌ねじ長さB、雄ねじ径P、雌ねじ径Nが登録されている。
【0058】
図5は、標準部品データ記憶部17に登録されている準標準部品を表示した一例を示す図である。ここでは、準標準部品として「シャフト(スタンダード)」を例に挙げている。ここでは、「シャフト(スタンダード)」に関連付けられた準標準部品情報のパラメータとして、型番決定式、材質、表面処理(表面仕上げ)、シャフト径D、シャフト長Lの範囲、雄ねじ長さFの範囲、雌ねじ長さBの範囲、雄ねじ径P、雌ねじ径Nが登録されている。
【0059】
図6は、標準部品データ記憶部17に登録されている準標準部品を表示した他の一例を示す図である。ここでは、準標準部品として「シャフト(スタンダード)」に所定の追加工を行った例に挙げている。ここでは、「シャフト(スタンダード)」に関連付けられた準標準部品データのパラメータとして、追加工位置X、追加工長LX、スパナ溝幅Wが登録されている。
【0060】
そして、材質、表面仕上げ、シャフト径D、シャフト長L、雄ねじ長さF、雌ねじ長さB、雄ねじ径P、雌ねじ径N、追加工の何れかが標準部品情報又は準標準部品情報に登録されていない場合、シャフト長Lが準標準部品のシャフト長Lの設定範囲の範囲外である場合、雄ねじ又は雌ねじのねじ形式が標準部品又は準標準部品で規定されたねじ形式でない場合、標準部品又は準標準部品に所定の追加工以外の追加工が必要な場合には、非標準部品となる。
【0061】
図7は、「ボルト(スタンダード)」に関連付けられた標準部品を表示した一例を示す図である。
図9においては、標準部品の登録項目として、型番、材質、表面処理、雄ねじ長D、雄ねじ径Lが登録されている。なお、ボルト頭の形状はスタンダードタイプとして雄ねじ径Lに応じて規定されるので、ボルト頭の形状を規定するパラメータは存在していない。
【0062】
図3、
図5乃至
図7に示した標準部品データ及び準標準部品データのパラメータは、一例であり、実際には、カタログに記載されているすべてのデータをパラメータとしてもよい。
【0063】
標準部品検索部18は、設計品データ入力部14によって変更された部品が、標準部品データ記憶部17に記憶される標準部品データ(準標準部品データを含む。以下、同じ。)が示す標準部品(準標準部品を含む。以下、同じ。)の中に存在するか否かを検索する。このとき、標準部品データの全てのパラメータ、すなわち、標準部品データが示す全ての寸法、材質、表面処理などのデータと一致するものが存在するか否かを検索する。
【0064】
報知部19は、変更された部品が標準部品の中に存在しないと標準部品検索部18による検索によって判明した場合、その旨をディスプレイなどの表示装置120に表示させる。例えば、変更した箇所を他よりも目立つ色、例えば赤で表示する、変更した箇所をハイライト表示させる。さらに、報知部19は、スピーカ装置などの報知装置160に警告音を報知させてもよい。
【0065】
さらに、変更された部品が標準部品の中に存在しないと標準部品検索部18による検索によって判明した場合、設計品データ記憶部12に記憶されている変更前の部品に係る部品データを、変更された寸法などのデータのみを変更した部品データに置き換える。
【0066】
変更された部品が標準部品の中に存在すると標準部品検索部18による検索によって判明した場合、設計品データ記憶部12に記憶されている変更前の部品に係る部品データを、変更後に部品に該当する標準部品に係る標準部品データに置き換える。
【0067】
図4は、設計品データ表示部15によって設計品が表示された画面20の一例を示す図である。この画面20は、設計品データ表示部15によって表示され、画面20には、設計品の画像が主表示領域21に表示され、階層化されたファイル名がファイル名表示領域22に表示される。
【0068】
また、任意の部品に係る部品データを表示した画像(
図3、
図5乃至
図7参照)を、必要に応じて画面20に表示させてもよい。また、リスト作成部13が作成したリスト(
図2参照)も画面20に表示させてもよい。さらに、リスト作成部13が作成したリストを出力装置130から出力させてもよい。
【0069】
以下、2枚の板を4本のシャフトで連結し4個のボルトで固定したものを設計品の例として、上述したCADシステムが処理する処理手順の第1実施例を、
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
なお、このフローは設計者がCADシステムを用いて3次元の設計品データを完成させて、この設計品データが示す設計品の形状データを設計品データ表示部15がディスプレイなどに表示させた後の処理を示している。この設計品データ表示部15が形状データを表示させるステップが、本発明の表示ステップに相当する。
【0071】
設計者は、CADシステムで作成した設計品のうちの何れかの部品の形状を、設計品データ入力部14によって、変更させる処理を行う(S11)。ここでは、4本のシャフトの内の何れかの1本のシャフトのシャフト長Lを100mmから80mmに変更する処理をCADシステムで行ったとする。
【0072】
図3に示すように、各シャフトは、シャフト径D、シャフト長L、ねじ部長さFなど寸法を示すデータの他、タイプ、材質、D公差、硬度及び表面処理を示すデータなどの商品仕様を特定するデータなどによって型番が特定される。
【0073】
4本のシャフトは同一、すなわち、これらに付されたファイル名、型番なども同じであるので、4本のシャフトのシャフト長Lを示すデータが全て100mmから80mmに変更される。この設計品データ入力部14によって部品の寸法を変更する指示を受け付けるステップが、本発明の受付ステップに相当する。
【0074】
標準部品検索部18は、変更後のシャフトが、標準部品データ記憶部に標準部品として記憶されているか否かを検索する(S12)。このとき、まず、タイプ、材質、D公差、硬度及び表面処理などの商品タイプを特定するデータによって商品タイプを特定するための検索を行う。そして、特定した商品タイプ(
図3では「SFAD」)の中でシャフト長Lを示すデータが型番の何れかのデータ(例えば、
図3では型番の2番目のデータ)であるかを検索し、そのデータが80mmである標準部品が標準部品データ記憶部に記憶されているか否かを検索する。この標準部品検索部18が検索するステップが、本発明の検索ステップに相当する。
【0075】
なお、シャフトの部品データを表示する欄において、設計品データ入力部14によってシャフト長Lを100mmから80mmに変更させてもよい。この設計品データ入力部14によって部品の寸法を変更する指示を受け付けるステップも、本発明の受付ステップに相当する。
【0076】
このとき、標準部品検索部18は、変更後のシャフトが、標準部品データ記憶部に標準部品として記憶されているか否かを、上記で説明したのと同様に検索する(S12)。ただし、このとき、シャフト長Lを示すデータが変更されているだけであり、商品タイプ(
図3では「SFAD」)は変更されていない。そこで、シャフト長Lを示すデータが80mmであって、他のデータが全て変更前のシャフトと同じデータを有する標準部品が標準部品データ記憶部の商品タイプが同じ標準部品が格納されている領域内に記憶されているか否かを検索してもよい。このように標準部品検索部18が検索するステップも、本発明の検索ステップに相当する。
【0077】
変更後のシャフトが標準部品データ記憶部に標準部品として記憶されているとされた場合(S12:YES)、設計品データ作成部11は、シャフト長Lを変更した形状データで部品データを置き換えるだけでなく、変更前のシャフトの型番及びファイル名を変更後のシャフトの型番及びファイル名に置き換えた部品データを、設計品データ記憶部12に記憶する(S13)。この部品の型番を置き換えるステップが、本発明の型番置換ステップに相当する。
【0078】
なお、部品のファイル名は、型番又はその一部も含むものであっても、任意の方法で重複がないように付与されるものであってもよい。さらに、構成する部品の一部が変更されたので、変更後の設計品に係るファイル名も変更して、設計品データ作成部11は設計品データ記憶部12に記憶する(S14)。ただし、ファイル名のバージョンを変更するだけでもよい。
【0079】
そして、設計品データ表示部15は、部品を変更した変更後の設計品の形状データにして表示装置120に表示させる(S15)。部品を変更した後の設計品データを再度表示するステップが、本発明の再表示ステップに相当する。
【0080】
シャフト長Lを100mmから98mmに変更したような場合、標準部品データ記憶部17に、標準部品としては記憶されていないが、準標準部品として記憶されている場合がある。このような場合も、設計品データ作成部11は、変更前のシャフトに係る型番及びファイル名を当該準標準部品に係る型番及びファイル名に置き換えて設計品データ記憶部12に記憶する(S13)。
【0081】
準標準部品は、シャフト長Lの寸法に応じて価格、納期などが変動する場合がある。そこで、予めシャフト長Lをパラメータとする計算式などを、標準部品データ記憶部17に記憶しておき、計算結果を変更後のシャフトの価格、納期などとして準部品データとすることが好ましい。この場合、変更後の部品の価格を設計者に自動的に提示することが可能となる。この変更後の部品の価格を算出するステップが、本発明の価格算出ステップに相当する。
【0082】
一方、シャフト長Lを100mmから1000mmに変更したような場合、変更後のシャフトが、標準部品データ記憶部17に標準部品としても準標準部品としても記憶されていない場合がある(S12:NO)。
【0083】
この場合、設計者のミスである可能性もあるので、変更後のシャフトは標準部品にも準標準部品にも該当しないことを報知部19が表示装置120又は報知装置160に警告を報知させ、設計者に注意を促す(S16)。この報知部19が警告を報知させるステップが、本発明の警告ステップに相当する。
【0084】
変更後の部品には型式に基づいて型番、及び型番に基づくファイル名が自動的に決定されないので、任意の方法で、変更前から変更した型番及びファイル名を作成し、これらを設計品データ記憶部12に記憶する(S17)。
【0085】
そして、設計品データ表示部15は、部品を変更した後の設計品の形状データを表示装置120に表示させる(S15)。
【0086】
以上のように、第1実施例によれば、変更後の部品が標準部品である場合(S12:YES)、又は変更後の部品の寸法が準標準部品の寸法範囲内である場合(S12:YES)、変更後の部品の型番は当該標準部品に係る型番に自動的に置き換わる(S13)。よって、設計者が変更後の部品が標準部品又は準標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0087】
また、部品メーカにとって、当初はカタログに掲載された部品で受注が見込まれた標準部品が、設計変更によって部品を受注できなくなるおそれを減少することが可能になる。さらに、部品を変更した後、リスト作成部13でリストを作成するとき、型番を変更後の型番を置き換えたリストを自動的に作成することができる。
【0088】
また、部品を変更したとき、当該部品に係るファイル名が自動的に変更するので(S17)、変更前後でファイル名の混合を防止することが可能となる。
【0089】
また、変更後の部品が標準部品でない場合(S12:NO)、表示装置120又は報知装置160で警告が報知されるので(S16)、一般的に安価で短納期の標準部品を設計者が採用することを促すことが可能になる。
【0090】
以下、同じ設計品を例として、上述したCADシステムが処理する処理手順の第2実施例を、
図9のフローチャを参照して説明する。
【0091】
設計者は、CADシステムで作成した設計品のうちの何れかの部品の形状を、設計品データ入力部14によって、変更させる処理を行う(S21)。ここでは、4本のシャフトの内の何れかの1本のシャフトに切り欠きを追加工する処理をCADシステムで行ったとする。
【0092】
このとき、4本のシャフトは同一、すなわち、これらに付されたファイル名、型番なども同じであるので、4本のシャフト全てに切り欠きが追加される。1本のシャフトのみに切り欠きを追加するとき、シャフトに付されたファイル名を他のシャフトに付与されるファイル名とは異ならせておく必要がある。標準部品に追加工を行った部品は、もはや標準部品ではないが、追加工が予め定められたものであれば、準標準部品である可能性がある。
【0093】
そこで、シャフトに追加した切り欠きが、標準部品データ記憶部17に標準部品に対する予め定められた追加工として記憶されているか否かを検索する(S22)。このとき、追加工を示すデータが所定寸法の切り欠きを示すデータであって、他のデータが全て変更前のシャフトと同じデータを有する標準部品が標準部品データ記憶部に記憶されているか否かを検索する。
【0094】
シャフトに追加した切り欠きが、標準部品データ記憶部17に標準部品に対する予め定められた追加工として記憶されているとされた場合(S22:YES)、設計品データ作成部11は、切り欠きを追加した形状データで部品データに置き換えるだけでなく、変更前のシャフトの型番及びファイル名を変更後のシャフトの型番及びファイル名に置き換えた部品データを、設計品データ記憶部12に記憶する(S23)。
【0095】
そして、上述した第1実施例と同様に、設計品データ作成部11は変更後の設計品及び部品に係るファイル名も変更して設計品データ記憶部12に記憶し(S24)、設計品データ表示部15は、部品に追加工した後の設計品の形状データを表示装置120に表示させる(S25)。
【0096】
一方、シャフトに追加工した形状が、標準部品データ記憶部17に標準部品に対する予め定められた追加工として記憶されていない場合(S22:NO)、変更後のシャフトは準標準部品に該当しないことを報知部19が表示装置120又は報知装置160に警告を報知させ、設計者に注意を促す(S26)。
【0097】
そして、上述した第1実施例と同様に、変更後の部品の型番及びファイル名を作成して設計品データ記憶部12に記憶し(S27)、設計品データ表示部15は、部品を追加項した後の設計品の形状データを表示装置120に表示させる(S25)。
【0098】
以上のように、第2実施例によれば、変更後の部品の形状が準標準部品の形状と一致する場合(S22:YES)、変更後の部品の型番は当該標準部品又は準標準部品に係る型番に自動的に置き換わる(S23)。よって、設計者が変更後の部品が準標準部品であるか否か、及び変更後の部品の型番などを調べる必要がなく、設計作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0099】
また、変更後の部品の寸法が準標準部品でない場合(S22:NO)、表示装置120又は報知装置160で警告が報知されるので(S26)、準標準部品に部品の形状を変更させようという意識を設計者に与えることが可能になる。
【0100】
以下、同じ設計品を例として、上述したCADシステムが処理する処理手順の第3実施例を、
図10のフローチャを参照して説明する。
【0101】
設計者は、CADシステムで作成した設計品のうちの何れかの部品の形状を、設計品データ入力部14によって、変更させる処理を行う(S31)。ここでは、4本のシャフトの内の何れかの1本のシャフトの雌ねじ径Nを5mmから4mmに変更する処理をCADシステムで行ったとする。なお、シャフトの部品データを表示する欄において、設計品データ入力部14によって雌ねじ径Nを5mmから4mmに変更させてもよい。
【0102】
これらのとき、4本のシャフトは同一、すなわち、これらに付されたファイル名、型番なども同じであるので、4本のシャフトの雌ねじ径Nが全て5mmから4mmに変更される。
【0103】
変更後のシャフトが、標準部品データ記憶部17に標準部品として記憶されているか否かを検索する(S32)。このとき、雌ねじ径Nを示すデータが5mmであって、他のデータが全て変更前のシャフトと同じデータを有する標準部品が標準部品データ記憶部に記憶されているか否かを検索する
変更後のシャフトが、標準部品データ記憶部17に標準部品として記憶されている場合(S32:YES)、設計品データ作成部11は、雌ねじ径Nを変更した形状データに部品データを置き換えるだけでなく、変更前のシャフトの型番及びファイル名を変更後のシャフトの型番及びファイル名に置き換えた部品データを、設計品データ記憶部12に記憶する(S33)。
【0104】
さらに、シャフトの雌ねじ径Nが5mmから4mmに変更されたので、シャフトの雌ねじに螺合するボルトの雄ねじ径Lも5mmから4mmに変更する必要がある。
【0105】
そこで、変更後のボルトが標準部品データ記憶部17に標準部品又は準標準部品として記憶されているか否かを検索する(S34)。
【0106】
変更後のボルトが標準部品データ記憶部に標準部品又は準標準部品として記憶されている場合(S34:YES)、設計品データ作成部11は、雄ねじ径Lを変更した形状データに部品データを置き換えるだけでなく、変更前のボルトの型番及びファイル名を変更後のボルトの型番及びファイル名に置き換えた部品データを、設計品データ記憶部12に記憶する(S35)。
【0107】
さらに、構成する部品の一部が変更されたので、変更後の設計品に係るファイル名も変更して、設計品データ作成部11は設計品データ記憶部12に記憶する(S36)。ただし、この場合、ファイル名のバージョンを変更するだけでもよい。
【0108】
その後、設計品データ表示部15は、変更されたシャフト、及びこれに関連して変更されたボルトを含む設計品の形状データをディスプレイなどの表示装置120に表示する(S37)。
【0109】
一方、変更後のシャフト又はボルトが、標準部品データ記憶部17に標準部品としても準標準部品としても記憶されていない場合(S32:NO、S34:NO)、報知部19が表示装置120又は報知装置160に警告を報知させ、設計者に注意を促す(S38)。
【0110】
そして、上述した第1実施例と同様に、変更後の部品及びこれに関連して変更された部品の型番及びファイル名を作成して設計品データ記憶部12に記憶し(S39)、設計品データ表示部15は、これらの部品を変更した後の設計品データを表示装置120に表示させる(S38)。
【0111】
以下、同じ設計品を例として、上述したCADシステムが処理する処理手順の第4実施例を、
図11のフローチャを参照して説明する。
【0112】
設計者は、CADシステムで作成した設計品のうちの何れかの部品を、設計品データ入力部14によって、当該部品と同じ種類の他の部品に変更させる処理を行う(S41)。ここでは、ボルトを他の種類のボルトに変更する指示を、ボルトの部品データを表示する欄において、設計品データ入力部14によって受け付ける。
【0113】
雄ねじ長L及び雄ねじ径Dが同じであっても多種類のボルトが存在し、用途などを考慮して、設計者によって適宜な種類のボルトが選択される。
【0114】
標準部品データ記憶部17には、標準部品及び準標準部品のデータが記憶されているが、シャフト、ボルト、ナットなど部品種類に応じて階層的に記憶されている。そして、各部品種類ごとに、全ての標準部品及び準標準部品に対して、予め定められた寸法がパラメータとして付与されている。例えば、全種類のボルトには、雄ねじ長L及び雄ねじ径Dがパラメータとして付与されている。そして、これらパラメータが同じであれば、種類が異なる部品であっても、置き換えが可能である。
【0115】
そこで、変更前のボルトを、標準部品データ記憶部17に標準部品又は準標準部品として記憶された種類のボルトに変更させたとき、設計品データ作成部11は、変更後の種類のボルトの形状データで部品データに置き換えるだけでなく、変更前のボルトの型番及びファイル名を変更後のボルトの型番及びファイル名に置き換えた部品データを、設計品データ記憶部12に記憶する(S42)。この設計品データ作成部11が、部品の種類を置き換えるステップが、本発明の関連部品変更ステップに相当する。
【0116】
そして、上述した第1実施例と同様に、変更後の設計品及び部品のファイル名を作成して設計品データ記憶部12に記憶する(S43)。
【0117】
設計品データ表示部15は、設計品データ記憶部12に記憶された、変更後のボルトのを変更前のボルトのパラメータに合わせて置き換えた設計品データを表示装置120に表示させる(S44)。
【0118】
以上のように、第4実施例によれば、変更前の部品の位置に、変更後の部品を配置することが可能になる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。