特許第6155429号(P6155429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6155429集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155429
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20170626BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20170626BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H02K3/18 J
   H01F27/28 K
   H01F41/04 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-175654(P2012-175654)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-36478(P2014-36478A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】石井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】太田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】杉野 広治
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−072824(JP,A)
【文献】 特開2004−119682(JP,A)
【文献】 実開平06−011310(JP,U)
【文献】 特開平04−005811(JP,A)
【文献】 特開2004−015878(JP,A)
【文献】 特開2002−369428(JP,A)
【文献】 特公昭48−014323(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0253465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
H01F 27/28
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角線を長辺が相互に接するように巻き重ねてなる基本コイルを前記平角線の短辺が接するように2n段(nは自然数)積み重ねる一方、
第1段目及び第2n段目の前記基本コイルにおける前記平角線の外径側端部が口出線としてそれぞれ引き出される以外は、
各段の前記基本コイルにおける前記平角線の内径側端部が相互に、その外径側端部が相互に段上り接続部にて溶接される集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線において、
前記段上り接続部は、前記平角線との間に階段状の接続部品を間に挟んで溶接してなり、
前記接続部品は、コイルエンドで折り曲げられ、且つ、前記平角線との溶接部がコイル直線部に位置することを
特徴とする集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線。
【請求項2】
前記接続部品は、角部を面取りしたことを特徴とする請求項記載の集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線。
【請求項3】
前記平角線が複数の小角線よりなる場合には、前記段上り接続部において、前記小角線の一方を他方より突き出した段違部とすると共に前記接続部品には前記段違部に面接触する段違部を形成して、これら段違部を相互に重ねあわせて溶接することを特徴とする請求項記載の集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線。
【請求項4】
前記段上り接続部において、前記平角線における段違部及び前記接続部品における段違部には、それぞれ位置合わせするための位置決め孔を設けたことを特徴とする請求項記載の集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線。
【請求項5】
平角線を長辺が相互に接するように巻き重ねて基本コイルを作成する工程と、
前記基本コイルを前記平角線の短辺が接するように2n段(nは自然数)積み重ねる工程と、
第1段目及び第2n段目の前記基本コイルにおける前記平角線の外径側端部を口出線としてそれぞれ引き出す以外は、各段の前記基本コイルにおける前記平角線の内径側端部を相互に、その外径側端部を相互に段上り接続部にて溶接する溶接工程と、を含み、
前記溶接工程は、前記平角線との間に階段状の接続部品を間に挟んで溶接して前記段上り接続部とする工程であり、
前記接続部品は、コイルエンドで折り曲げられ、且つ、前記平角線との溶接部がコイル直線部に位置する
ことを特徴とする集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線及びその製造方法に関する。特に、風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線として好適なものであり、直流機の界磁巻線(補極コイル)としても適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
集中巻コイルの製造においては、図11のようにフラットワイズにて製造する方法や図12のようなエッジワイズコイルにて製造する方法が用いられる。
図11に示すフラットワイズ巻きの場合は、平角線aを巻数である符号1〜5,1´〜4´(同じ番号でもプライム符号付は向きが異なる)で示すように、平角線aの長辺がコア(鉄心:図示省略)に対する内径面となると共に平角線aの短辺が相互に接するようにコアに沿ってずらしながら巻き付ける。
【0003】
そして、平角線aを巻数である符号6〜9,5´〜8´で示す通り外径側に移動し、符号2〜5,1´〜4´で示す平角線aの長辺に長辺が接するように巻き重ねると共に平角線aの短辺が相互に接するようにコアに沿って逆向きずらしながら巻き付ける。
更に、平角線aを巻数である符号10〜12,9´〜12´で示す通り外径側に移動し、符号6〜9,5´〜8´で示す平角線aの長辺に長辺が接するように巻き重ねると共に平角線aの短辺が相互に接するようにコアに沿って逆向きにずらしながら巻き付ける。
符号1で示される平角線aは、内周側から口出線a1として引き出され、符号12´で示される平角線aは、外径側から口出線a1として引き出される。
【0004】
図12に示すエッジワイズコイルでは、平角線bを巻数である符号1〜12,1´〜12´で示すように、平角線bの短辺がコア(鉄心:図示省略)に対する内径面となると共に平角線bの長辺が相互に接するように鉄心に沿ってずらしながら巻き付ける。また、平角線bの両端部がそれぞれ口出線b1として引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭53−123154号公報
【特許文献2】特開2010−29063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11の集中巻コイルではコイルの巻始めである符号1で示される平角線aが内側にあるため、口出線を出すため巻始めの部分を電線の高さ分かわす必要があり、コイルが大きくなってしまう。
図12のエッジワイズコイルでは銅バー(平角線b)をエッジワイズに曲げたり、銅バーを溶接したり製造工数が大きく発生してしまう。
【0007】
また、特許文献1では、口出線を出すために、千鳥巻渡り部をコイル延長方向に分布して設けた技術が開示されており、特許文献2の図42では、分布捲きステーターの構造が開示され、平角線等の場合には、厚み方向や幅方向等の一定の方向に配列させることが困難であり、占積率が低下していたと記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線は、平角線を長辺が相互に接するように巻き重ねてなる基本コイルを前記平角線の短辺が接するように2n段(nは自然数)積み重ねる一方、第1段目及び第2n段目の前記基本コイルにおける前記平角線の外径側端部が口出線としてそれぞれ引き出される以外は、各段の前記基本コイルにおける前記平角線の内径側端部が相互に、その外径側端部が相互に段上り接続部にて溶接される集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線において、前記段上り接続部は、前記平角線との間に階段状の接続部品を間に挟んで溶接してなり、前記接続部品は、コイルエンドで折り曲げられ、且つ、前記平角線との溶接部がコイル直線部に位置することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する本発明の請求項に係る集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線は、請求項1において、前記接続部品は、角部を面取りしたことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明の請求項に係る集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線は、請求項1において、前記平角線が複数の小角線よりなる場合には、前記段上り接続部において、前記小角線の一方を他方より突き出した段違部とすると共に前記接続部品には前記段違部に面接触する段違部を形成して、これら段違部を相互に重ねあわせて溶接することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明の請求項に係る集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線は、請求項3において、前記段上り接続部において、前記平角線における段違部及び前記接続部品における段違部には、それぞれ位置合わせするための位置決め孔を設けたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明の請求項に係る集中巻きによる発電機の電機子巻線又は界磁巻線の製造方法は、平角線を長辺が相互に接するように巻き重ねて基本コイルを作成する工程と、前記基本コイルを前記平角線の短辺が接するように2n段(nは自然数)積み重ねる工程と、第1段目及び第2n段目の前記基本コイルにおける前記平角線の外径側端部を口出線としてそれぞれ引き出す以外は、各段の前記基本コイルにおける前記平角線の内径側端部を相互に、その外径側端部を相互に段上り接続部にて溶接する溶接工程と、を含み、前記溶接工程は、前記平角線との間に階段状の接続部品を間に挟んで溶接して前記段上り接続部とする工程であり、前記接続部品は、コイルエンドで折り曲げられ、且つ、前記平角線との溶接部がコイル直線部に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、集中巻コイルの口出線を外径側からそれぞれ引き出すことで、従来口出線を出すために余分に高くなっていた部分を無くすことが出来るためコイルサイズがコンパクトになる。
更に、段上りの接続部をサイド部では無く、コイルエンドに位置するので鉄心とコイルの密着度が向上する。従って、冷却能力及び絶縁性能が向上する。
更に、階段状の接続部品を用いることで、非常に難しい作業である段上り接続部での接続を容易に行うことができ、作業効率が向上する。
【0018】
請求項に係る発明によれば、接続部品を面取りすることで、コイル絶縁の信頼性向上、または作業効率が向上する。
請求項に係る発明によれば、平角線が複数の小角線からなる場合には、段違部を相互に重ね合せることにより、溶接作業が容易となる利点がある。
【0019】
請求項に係る発明によれば、位置決め穴を設けたので、平角線が複数の小角線からなる場合でも、接続部品との位置決めが容易となる利点がある。
請求項に係る発明によれば、集中巻コイルの口出線を外径側からそれぞれ引き出すことで、従来口出線を出すために余分に高くなっていた部分を無くすことが出来るためコイルサイズがコンパクトな巻線を製造することが可能となる。更に、段上りの接続部をサイド部では無く、コイルエンドに位置するので鉄心とコイルの密着度が向上する。従って、冷却能力及び絶縁性能が向上する。更に、階段状の接続部品を用いることで、非常に難しい作業である段上り接続部での接続を容易に行うことができ、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(a)は、本発明の第1の実施例に係る巻線の平面図、図1(b)は同図(a)中のA−A´線断面図である。
図2図2(a)は、本発明の第2の実施例に係る巻線の平面図、図2(b)は同図(a)中のB−B´線断面図である。
図3】段上り接続部の側面図である。
図4】階段状の接続部品の側面図である。
図5】面取りされた階段状接続部品の説明図である。
図6図5中のE−E矢視図に相当する2本持ちの場合の段上がり接続部を示す矢視図である。
図7図5中のE−E矢視図に相当する2本持ちの場合の段上がり接続部を示す矢視図である。
図8】二つの位置決め穴を設けた段上り接続部の斜視図である。
図9】二つの位置決め穴を設けた段上り接続部の斜視図である。
図10図10(a)は第1段目の基本コイル、図10(b)は第2段目の基本コイル、図10(c)は第3段目の基本コイル、図10(d)は第4段目の基本コイルの平面図である。
図11図11(a)は、従来型フラットワイズ巻線の平面図、図11(b)は同図(a)中のC−C´線断面図である。
図12図12(a)は、従来型エッジワイズ巻線の平面図、図12(b)は同図(a)中のD−D´線断面図である。
図13図13(a)は本発明の第7の実施例に係る階段状の接続部品及び鉄心の平面図、図13(b)は本発明の第7の実施例に係る階段状の接続部品の平面図、13(c)は本発明の第7の実施例に係る階段状の接続部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の第1の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図1に示す。
本実施例は、本発明の基本的な実施例に関するものであり、二つの口出線a1を何れも外径側から引き出すようにしたものである。
【0023】
即ち、図1に示す通り、平角線aを巻数である符号1〜3,1´〜3´(同じ番号でもプライム符号付は向きが異なる)で示すように、長辺が相互に接するように巻き重ねて第1段目の基本コイルを作成する。
次に、平角線aを巻数である符号4〜6,4´〜6´で示すように、長辺が相互に接するように巻き重ねて第2段目の基本コイルを作成する。
【0024】
また、平角線aを巻数である符号7〜9,7´〜9´で示すように、長辺が相互に接するように巻き重ねて第3段目の基本コイルを作成する。
更に、平角線aを巻数である符号10〜12,10´〜12´で示すように、長辺が相互に接するように巻き重ねて第4段目の基本コイルを作成する。
【0025】
尚、ここで用いる巻数や段数は、便宜上のものであって、順番を示すものではない。図中は4段の基本コイルを使用したが、2n段(nは自然数)、つまり、偶数段の基本コイルを用いることが可能である。
このように作成した第1段目、第2段目、第3段目、第4段目の基本コイルを、平角線aの短辺が接するように積み重ねる。これら基本コイルの中心には、コア(鉄心)が位置するが、図中では省略している。
【0026】
そして、図1に示す通り、第1段目の基本コイルにおける巻数1の平角線aの外径側端部が口出線a1として引き出されると共に、第4段目の基本コイルにおける巻数12´の平角線aの外径側端部が口出線a1として引き出される。
一方、巻数1の平角線aの外径側端部及び巻数12´の平角線aの外径側端部を除いて、つまり、口出線a1を除いて、各段の基本コイルにおける平角線aの内径側端部が相互に、その外径側端部が相互に段上り接続部cを介して溶接される。
【0027】
即ち、図10(a)に示す第1段目の基本コイルにおける巻数3´の内径側端部と図10(b)に示す第2段目の基本コイルにおける巻数4´の内径側端部とが段上り接続部cにて溶接される。
同様に、図10(b)に示す第2段目の基本コイルにおける巻数6の外径側端部と図10(c)に示す第3段目の基本コイルにおける巻数7の外径側端部とが段上り接続部cにて溶接される。
【0028】
更に、図10(c)に示す第3段目の基本コイルにおける巻数9´の内径側端部と図10(d)に示す第4段目の基本コイルにおける巻数10´の内径側端部とが段上り接続部cにて溶接される。
ここで、段上り接続部cとは、各基本コイルを跨いで接続する部分との意味である。
【0029】
このように、各基本コイルは、段上り接続部cにて接続されることにより、1本のコイルとして使用可能となる。
本実施例では、段上り接続部cとしては、図3に示すように、平角線aの側面(短辺)を相互に溶接した。
本実施例では、口出線a1がコイル外側になるため、従来技術に比較して、電線のかわしが不要となりコイルの高さを小さくすることが出来る。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図2に示す。
本実施例は、第1の実施例に比較して、段上り接続部cの位置を異ならせたものである。
即ち、第1の実施例では、図1に示すように、段上り接続部cは、コイルサイド(鉄心の長辺部分)に位置していたため、図10に示すように、鉄心とコイルとの間に段間部で空隙eが出来てしまい、鉄心への密着が悪くなり鉄心への熱伝達が阻害されてしまう恐れがある。
【0031】
そこで、本実施例では、図2に示す通り、鉄心との密着しないコイルエンドの部分(鉄心の短辺部分)に段上り接続部cを移動して、空隙eの形成を抑えコイルと鉄心が可能な限り密着出来るようにした。
第1の実施例では、図10に示すように、空隙eの大きさが鉄心の長辺の約(1/2)であったのに対し、本実施例では、図2に示すように、空隙eの大きさが鉄心の短辺の約(1/2)となる。
【0032】
図2は、鉄心の短辺に対する長辺の比が比較的小さな模式図となっているが、後述する実施例7で示す通り、鉄心の長辺に対する短辺の比は実際には相当に小さいため、空隙eを十分に小さくする効果がある。
尚、その他の構成については実施例1と同様であり、説明を省略する。
【実施例3】
【0033】
本発明の第3の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図4に示す。
本実施例では、段上り接続部cとして、階段状の接続部品fを間に挟んで、平角線aを溶接した。
【0034】
第2の実施例のように、コイルエンドに段上り接続部cを移動した場合、平角線aの幅が狭くコイルが円弧状に湾曲しているため、段上り部接続部cでの溶接作業が非常に難しく技術を要する。
そのため、段上り接続部cとして、図4に示すような階段状の接続部品fを使用したものである。このようにすると、接続部品fと平角線aとの溶接作業がコイルエンド部ではなく、コイル直線部にて行うことが可能となり作業性が向上する(図11参照)。その他の構成は、前述した実施例と同様であり、説明を省略する。
【実施例4】
【0035】
本発明の第4の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図5に示す。
本実施例は、第3の実施例における階段状の接続部品fを改良したものである。
即ち、第3の実施例で使用した階段状の接続部品fは、絶縁テープが角部で非常に巻きににくく、絶縁作業の効率が悪くなってしまっていた。
【0036】
そこで、本実施例では、図5に示すように、階段状の接続部品gにおける角部の部分を面取り、即ち、円弧としたものである。このように、絶縁テープを巻き易い形状としたために、絶縁作業の効率が向上する。その他の構成については前述した実施例と同様であり説明を省略する。
【実施例5】
【0037】
本発明の第5の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図6に示す。図6は、図5におけるE−E線矢視図に相当するものである。
本実施例は、平角線aが2本持ちの場合、即ち、平角線として2本の小角線hを用いた場合に適用されるものである。
即ち、平角線aが2本持の場合には、図6に示すように、2本の小角線hとして、一方の小角線hを他方の小角線hよりも前方に突き出した段違部h1を形成した。
【0038】
一方、階段状の接続部品iは、小角線hの2本分の幅(サイズ)とすると共に、一方の小角線hの段違部h1と面接触するよう、つまり、逆の段違形状となるように段違部i1を形成した。そして、これらの段違部i1,h1を相互に重ね合せて溶接した。
このようにすると、溶接面を多くとることが出来るため作業性が向上するとともに溶接部の信頼性が向上する。なお、本実施例では、2本の小角線hに適用したが、3本以上であっても同様に適用できるものである。
【実施例6】
【0039】
本発明の第6の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図7に示す。
本実施例は、第5の実施例5の改良に関するものである。
即ち、2本の小角線hとして、一方の小角線hを他方の小角線hよりも突き出した段違部h1に位置決め用穴jを1個又は2個を設けた。
【0040】
これに対応して、階段状の接続部品iとして、一方の小角線hの段違部h1と面接触するように形成された段違部i1にも、位置決め用穴jを1個又は2個を設けた。
尚、図7図5におけるE−E線矢視図に相当するものであり、位置決め用穴jは1個に見えるが、図8に示すように、2個の位置決め用穴jを設けても良い。
図9は、2個の位置決め用穴jを設けた図8の変形例である。
【0041】
即ち、図9に示すように、2本の小角線hとしては、各小角線hがそれぞれ半幅だけ切欠いた段違部h1とし、階段状の接続部品iとしても、半幅だけ切欠いた段違部i1とし、これらの段違部i1,h1にそれぞれ位置決め用穴jを2個設けたものである。
このように、1個又は2個の位置決め用穴jを設けることで、2本の小角線hと階段状の接続部品iとの位置合わせが容易になる。
【実施例7】
【0042】
本発明の第7の実施例に係る集中巻による風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線を図1に示す。
本実施例は、図1に示すように、実際の寸法により近い例である。
即ち、図1(a)に示すように、鉄心kは、図中上下のコイルエンド(短辺)に対して、図中左右両側のコイルサイド(長辺)の比率がかなり大きく、そのため、コイルエンドに階段状の接続部品mを配置すると、階段状の接続部品mは、端部nを中心として折り曲げられた状態となる。そのため、鉄心kとコイルとの空隙がかなり小さくなることが分かる。
【0043】
本実施例では、階段状の接続部品mは、端部nを中心として折り曲げられた状態となるため、接続部品mと平角線との溶接作業がコイルエンド部ではなく、コイル直線部にて行うことが可能となり作業性が向上する。なお、図中では、接続部品mに溶接される平角線は省略した。
階段状の接続部品mは、角部が面取り(図1(b)中では斜線を入れて示す)m1となっており、絶縁テープが捲きやすい形状となっている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、特に、風力用発電機の電機子巻線または界磁巻線として産業上広く利用可能なものであり、直流機の界磁巻線(補極コイル)としても利用できるものである。
【符号の説明】
【0045】
1〜12,1´〜12´ 巻数
a,b 平角線
a1,b1 口出線
c 段上り接続部
e 空隙
f,g,i 階段状の接続部品
h 小角線
j 位置決め穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13