特許第6155446号(P6155446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6155446-太陽追尾発電及び温水装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155446
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】太陽追尾発電及び温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/38 20140101AFI20170626BHJP
   H02S 40/44 20140101ALI20170626BHJP
   F24J 2/42 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   F24J2/38
   H02S40/44
   F24J2/42 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-192377(P2013-192377)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-59676(P2015-59676A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591266401
【氏名又は名称】湯田 哲
(72)【発明者】
【氏名】湯田 哲
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0087318(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0107486(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0101137(US,A1)
【文献】 特表2013−516754(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0012311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/38
F24J 2/42
H02S 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水タンクの下に温水パネルを設け、前記温水パネルの下に太陽光発電パネルを設けた一体パネルを、垂直方向へ回動する支点を土台へ設け、温水タンクまたは太陽光発電パネルの重みを利用してパネルを回動させ、シリンダーでパネルの回動を制御し、前記支点は、温水タンクに水が充填されたときは温水タンク側が、温水タンクが空のときは太陽光発電パネル側が重くなるよう支点が配置されるものであって、
温水タンクに入れた水の重みを利用し、
タイマーで電磁弁を開放することでシリンダー内のオイルが移動されてパネルが回動し、マイクロスイッチで角度を感知し電磁弁が閉じられることでパネルの回動が停止しすることを特徴とする太陽追尾発電及び温水装置。
【請求項2】
前記温水タンクが下側へ移動後に水が排出されると、水量スイッチまたは日没時間タイマーにより電磁弁が開放され、太陽光パネルの重量によりシリンダー内のオイルが移動されてパネルが回動し、初期位置へ戻ることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾発電及び温水装置。
【請求項3】
前記シリンダーに替えて、円筒内にバネを設け、その上にシャフトを設け、前記シャフトにラックギアとマイクロスイッチ作動用の突起部を設け、ラックギアを係止するための電磁ストッパーを設け、タイマーにより前記電磁ストッパーを開放し、前記マイクロスイッチが前記突起部で作動すると、前記電磁ストッパーがラックギアを係止することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽追尾発電及び温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
天体望遠鏡を動かすような精密なモーターや減速機など使わず、単純な原理で太陽を追尾することで、太陽エネルギーを効率良く吸収し、電気と温水を同時に効率良く作ることのできる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の太陽発電システムの、ほとんどは固定式である。 その原因は、固定方式は設置が安く、工期も維持 費も安いからである。これに対し太陽追尾装置の太陽光発電方式はシステムも高価であり、維持費が大きいからである。
【0003】
現在の太陽の動きにあわせて太陽電池パネルを向ける太陽光発電装置は、天文台や天体望遠鏡で使われている星の動きと同じ速度で微動できるようにしたステッピングモーターとコンピューターの組み合わせたものや、光センサーとコンピューターによりアクチュエータを作動させ最良の向きをする装置など、複雑な装置がほとんどである。 それらのシステムは構造も複雑な精密機械で、製造コストも本体の価格も高額である。
【0004】
故障した場合は構造が複雑なため修理代も高額で、修理期間が長い場合もある。故障が無い場合でも、精密な機械のために、システムを維持する為の定期的メンテナンスが必要で、そのメンテナンス料など維持費も高額である。 これらのことが太陽追尾装置による太陽発電装置の普及の妨げの原因にもなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の太陽発電装置のほとんどが固定式であり、太陽光のエネルギーの半分程度しか利用されていない。 これに対して効率の良い太陽を追尾しながら発電する装置、太陽追尾装置による太陽光発電装置は、天文台や天体望遠鏡で使われている星の動きと同じ速度で微動できるようにしたステッピングモーターとコンピューターの組み合わせたものや、コンピューターとセンサーによって最良の向きを向く装置などがほとんどである。 そのシステムは構造も複雑でな精密機械で、製造コストも本体の価格も高額である。 故障した場合は構造が複雑なため修理代も高額で、修理期間も長い。故障が無い場合でも、精密な機械のために、システムを維持する為の定期的メンテナンスが必要で、そのメンテナンス料など維持費も高額である。 このことが太陽追尾装置の普及の妨げの原因になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
太陽光を受けながら発電する太陽電池パネルの発電量は角度で2、3度太陽に向いていなくても、パネルの最大の発電能力の上限は限られているので、受光面が100パーセントの正確さで太陽を向く必要はない。つまりおおよそ太陽方向を向いていれば太陽光発電として十分機能するのである。
【0007】
本考案は、図1の(1)のように電磁弁(ト)を、ピストンの上方向のシリンダー室(ヲ)と下方向のシリンダー室(タ)をパイプ(ニ)によってつなぎ、その中間に電磁弁を設ける。温水器に水を満たすことで、右側方向のモーメントの状態となる。しかしピストン(ハ)が動こうとするが、電磁弁が閉じているオイルの移動が起きないので、パネルはそのままである。
【0008】
太陽が15度、西方向へ移動した時点、この時点では最初に向いていたパネルの向きは15度ずれていることになる。そこで、15度西へ移動した太陽に向けるために、一定時間経過タイマーによって1時間後、電磁弁(ト)作動し、弁が解放されオイルが流れ始める。その電磁弁のスイッチは自己保持回路リレーのためONしたまま解放状態が続き、ピストンが(ハ)がシリンダー室(タ)内のオイルを押し出し可動部が西へ動き続ける。
【0009】
しかし図(11)の(c)のセンサーがあり、パネルが15度傾いた時点でマイクロスイッチ(サ)を押すことになり自己保持回路リレーが切れ電磁弁が閉じることになり、パネルは太陽の方向を向いて静止する。 上記のことを繰り返し、パネルは太陽を追い続け日没、夕方、西方向を向くことになる。
【0010】
太陽は沈み、太陽光発電も温水器もこれ以上暖められない時点で、温水器中の全てのお湯をお風呂に入れたり、蓄熱タンクへ移動させタンク(イ)を空にする。タンク(イ)が軽くなり(9)の時点で、パネルは左方向、東方向へのモーメントが働いている。 水量スイッチまたは日没時間タイマーによってが電磁弁(ト)が解放されオイルの流れが始まりパネルは東を向くことになり、次の日の太陽を待つことになる。
【0011】
このように単純な構造、少ない部品数で、太陽追尾でき、パネル全体を動かす動力は、水の重さのみを利用するもので、タイマーや電磁弁の消費電力は微少なものであり、省エネ、安価な太陽追尾を可能にしたものが本考案である。
【0012】
図1の(c)のように、本考案をオイルや空気などのシリンダーを使わず、バネと電磁ストッパーにより実現する装置である。
(21)(25)の状態でマイクロスイッチがON状態、自己保持回路もONの状態でソレノイド(カ)がONとなりストッパーが外れた様態が続いて可動部(ソーラーパネル及び温水器)が傾いていく
(22)(26)のように次の一定時間後の角度傾いたところで突起物(ヨ)がマイクロスイッチ(サ)をOFFとしソレノイド(カ)の電源がOFFとなり、ストッパーが直線ギア(ワ)を押さえることで、シリンダーが一定の長さで止まった状態
(23)(28)で温水器の中の水が空なので左側に倒れた状態、つっかえ棒(レ)が一番伸びた状態
(24)(25)(26)(27)と上記の原理を繰り返しながら太陽を追いかけながら可動部が傾いていく追尾装置である。
【発明の効果】
【0013】
(1)単純な構造、単純な仕組み、少ない部品数、既存の安価な部品で製造できるので、本体価格が安く、発電効率の良い本考案の太陽光追尾発電装置が普及する。
(2)太陽を追尾する為、効率が良く発電、温水をつくる装置なので、人々の生活にすぐに役立つ装置である。
(3)一部タイマーや電磁弁に微少の電気は使用するだけで、パネル(ソーラーパネル及び温水器)を水の重さだけで動かすため省エネである。
(4)温水器として使える事は、石油、ガスの消費を削減になり球温暖化防止にもなる。
(5)太陽追尾システムではソーラーパネルを垂直状態に維持できるため、降雪の日でも、パネルに雪が積もらず発電できる。 これによって雪国での本考案の太陽追尾の太陽光発電装置の普及が進み、省エネ社会を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本考案のシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0015】
(1)(2)は本考案の立面図 (実施例)
(3)温水器だけの太陽追尾装置の立面図(実施例)
(4)ピストン(ハ)の上部分のシリンダー室(ヲ)と下部分のシリンダー室(タ)をパイプ(ニ)によってつなぎ、その中間に電磁弁(ト)を設けたシリンダー
(5)温水器のタンク(イ)が空の状態で左側のソーラーパネル(リ)の方向に倒れている状態
(6)温水器のタンク(イ)に水が満たされていく状態。 流れずランスは温水器(ロ)の左方向に倒れようとしている。電磁弁(ト)が閉じているためオイルが(タ)から(ヲ)へ流れずパネルは静止した状態
(7)太陽の位置が15度西方向へ移動した時点、つまり1時間後、タイマーによって電磁弁(ト)が作動しオイルが流れ始める。電磁弁が自己保持回路のリレーによってON状態、弁の解放状態が続きパネルが西方向へ傾き続ける。
しかし図(11)の(c)のセンサーがあり、15度傾いた時点でマイクロスイッチ(サ)を押すことになり自己保持回路リレーが切れ電磁弁が閉じ、ソーラーパネル部(12)及び温水器(13)は15度傾いたところで静止する。これで太陽方向を向いたことになる。
(8)(7)を繰り返し、日没時近く完全に西方向を向いた状態で低い高度の太陽方向を向いている。
(9)(8)の後は太陽光発電も温水器の太陽熱によって暖められることはないので、温水器中の全てのお湯をお風呂や蓄熱タンクへ移動させタンク(イ)を空にした状態。
(10)空になった(9)の時点で、移動部は右方向、東方向のモーメントが働いている状態から日没後にタイマーによって電磁弁(ト)が解放されオイルが流れるのでパネルは東方向へ動き続けている
(11)パネルが東を向き静止した状態
(12)太陽光発電部分(ソーラーパネル)
(13)温水器 この温水器は熱吸収熱伝導体(ロ)によってタンク(イ)内の水を効率よく加熱するタイプの温水器、特徴は水がタンク(イ)の中にだけにあるので、遊具のシーソーのように左右のバランス調整がスムーズにできる
(14)一定時間で太陽が移動した分、その角度に応じてマイクロスイッチ(サ)を作動させることのできる角度スイッチ
(15)温水器部分の無い、太陽光発電のみの装置を動かすためにオイルポンプを設置したタイプで本考案の原理を達成するタイプ
(16)パネルの右側が重いように支点を左側にずらしている。 右側が重いためピストン(ハ)が押されシリンダー室(タ)内のオイルが全て押し出され、シリンダー(へ)が縮み西を向いている状態
(17)季節ごとの日の出時刻に合わせたタイマーによって、オイルポンプ(ル)が作動し一気にソーラーパネルが東に向けた状態
(18)(19)は前記の(7)(8)の説明と同じである
(20)太陽が一定時間で一定各角度傾く時、つっかえ棒(レ)の長さが不規則の長さで変化することを示した原理図
(21)(25)の拡大図、マイクロスイッチがON状態、自己保持回路もONの状態でソレノイド(カ)がONとなりストッパーが外れた様態が続いて可動部(ソーラーパネル及び温水器)が傾いていく
(22)(26)の拡大図、(21)から次の一定時間後傾いたところで突起物(ヨ)がマイクロスイッチ(サ)をOFFとしソレノイドストッパー(カ)の電源がOFFとなり、ストッパーが直線ギア(ワ)を押さえることで、シリンダーが一定の長さで止まった状態
(23)(28)で温水器の中の水が空なので左側に倒れた状態、つっかえ棒(レ)が一番伸びた状態
(24)(25)(26)(27)と上記の原理を繰り返しながら太陽を追いかけながら可動部が傾いていっている状態
(28)温水器の中が空で、バランスは完全に左側、ソーラ-パネル及び温水器は東を向いた状態
(29)温水器のタンク(イ)に水が注入され、右側が重くなりバランスは右方向、西側方向を向こうとしている状態
(30)上記の原理を繰り返しながら太陽を追いかけながら可動部が傾いていく状態
(31)日没近く西を向いた状態
(32)(33)日没後は太陽光発電も温水器の太陽熱によって暖められることはないので、温水器中の全てのお湯をお風呂に入たり、蓄熱タンクへ移動させタンク(イ)を空にした状態で。可動部は右側が軽くなり左方向のバランスで、東方向へ傾く力が働いた状態。 次にソレノイド(カ)がONとなりストッパーが直線ギア(ワ)から、はずれてパネル及び温水器は東を向く。
【0016】
(A)本考案の基本的原理図(4)から(8)まで
(B)本考案の原理によりソーラーパネルだけで太陽追尾をする作動図(15)から(19)
(C)本考案をオイルや空気などシリンダーを使わず、バネにより実現するスライドトッパーを使った追尾装置。(20)から(23)まで
【0017】
(イ)温水器の水タンク、パネル全体のバランスを崩すことによるシーソーのように動かすおもり部分
(ロ)熱吸収熱伝導部分、太陽光から熱を効率良く吸収しタンク(イ)の中の水を効率良くお湯にする
(ハ)パネルストッパー、傾きが一定の角度ごとに縮んだ長さでストップするためのシリンダー
(ニ)ピストンの上方向のシリンダー室(ヲ)と下方向のシリンダー室(タ)をつなぎ、オイルが移動パイプ
(ホ)傾くパネルが回転する時中心軸、支点、シャフト
(ヘ)シリンダー
(ト)電磁弁
(チ)流量調整バルブ、可動部であるソーラーパネルの重さや左右のモーメントの大きさに応じて流量を調整し、傾くスピードをコントロールする
(リ)太陽電池(ソーラーパネル)、発電量の規模に応じた面積
(ヌ)
(ル)電磁ポンプ、水の重みで左右のバランスを崩しての追尾する原理と同じに。初めからパネルが右側(西側)を重くし、右側に傾いている状態を、日の出と同時に、この電磁ポンプを使ってオイルを移動さピストンを押し上げシリンダーの伸ばすことで東を向けた状態とし、本考案の原理で少しずつ西方向に動かし太陽を追尾する
(ヲ)(タ)のシリンダー室から押し出されたオイル(空気)はこのシリンダー室に流入してくる
(ワ)直線ギア、ストッパーが刺さることで、あるいはピンが溝に落ちることで止まるなど、動きをロックする役割をするもの
(ヨ)マイクロスイッチ、ソーラーパネ及び温水器をある一定角度ごと止めるために、マイクロスイッチを押すためのストッパー(突起物)、太陽を追いかけ一定角度ごと止める数だけあり、太陽が角度15度動くと、1時間が経過するので日中に8時間かけて15度ごと止めていくとすれば8個のストッパー(突起物)が必要である
(タ)ピストンが押され、このシリンダー室からオイルが押し出されていく
(レ)スライドストッパー(つっかえ棒)、オイル、空気によるピストンを使わずに本考案を実現するため、パネル全体が傾くスピードをばねによってスローにし、一定角度ごと、(21)(22)のマイクロスイッチ(サ)と電磁ストッパー(カ)によって「つっかえ棒」の長さで止まる
(ソ)ばね、スピードをスローにするための「ばね」
(サ)マイクロスイッチ、押されることOFFになり、電磁弁(ト)が閉じたり、電磁ストッパー(カ)を作動さる働きをする
(ネ)パネルの傾きセンサー、(11)と同じ役割である角度ごとスイッチが作動する
【0018】
(a)軸受に取り付けられた傾きセンサースイッチ
(b)マイクロスイッチ(サ)がON状態で、電磁弁が解放のまま、ピストンが縮みながら傾いている状態
(c)ある角度になって、マイクロスイッチ(サ)が切れて電磁弁が閉じて、可動部(ソーラーパネル及び温水器)が静止、その時間の太陽のある方向を向いていることで最高の発電量、最高の加熱状態が保たれることになる
(B1)一気にパネルを電磁ポンプで東を向ける時、この電磁弁が解放し、同時に電磁ポンプ(ル)を作動させシリンダー(ヘ)を最長の状態にした時点で閉じる電磁弁
(B2)一定時間ごと、一定角度にするためオイルを少しずつ流しピストンを動かすための電磁弁
図1