(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155487
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】圧縮機用シリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
F04B 39/12 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
F04B39/12 D
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-534951(P2014-534951)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2014-528546(P2014-528546A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012003439
(87)【国際公開番号】WO2013053412
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】13/272,640
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツエル, フオルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】クラツト, ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ペイ, レムシユ
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−028276(JP,U)
【文献】
実開平05−036081(JP,U)
【文献】
特開平11−101182(JP,A)
【文献】
実開昭60−058887(JP,U)
【文献】
米国特許第04685653(US,A)
【文献】
米国特許第02804878(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00093705(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00−39/16
F04B 49/00−51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機用シリンダヘッドであって、
操作されない位置と操作される位置との間で調整可能であり、操作されない位置で圧縮空気通路を閉じかつ操作される位置でこの圧縮空気通路を開くように動作する閉鎖装置、
制御シリンダ及びこの制御シリンダ内で移動可能な制御ピストンを含む空気圧制御装置、
前記閉鎖装置を前記操作されない位置へ予め押すばね装置及び
前記制御ピストンを前記閉鎖装置に連結するように動作し、かつ前記閉鎖装置に永久結合されて前記制御ピストンにより駆動可能な駆動装置
を含み、前記制御ピストンが前記駆動装置を保持するように形成される周囲溝を持っている、シリンダヘッド。
【請求項2】
前記駆動装置が前記閉鎖装置に伝動結合されている、請求項1に記載のシリンダヘッド。
【請求項3】
前記駆動装置が少なくとも1つの鋲及び鋲ピンである、請求項2に記載のシリンダヘッド。
【請求項4】
前記駆動装置が、前記制御ピストンの移動方向とは異なる除去方向に引出すことにより、前記制御ピストンの前記周囲溝から切離し可能である、請求項1に記載のシリンダヘッド。
【請求項5】
前記閉鎖装置が継手ピンに揺動可能に連結可能であり、前記閉鎖装置が、前記除去方向に前記継手ピンから釈放可能である、請求項4に記載のシリンダヘッド。
【請求項6】
前記閉鎖装置が揺動可能に保持されているポケットが、シリンダヘッドの下側に形成されている、請求項1に記載のシリンダヘッド。
【請求項7】
前記ポケットが前記閉鎖装置の揺動行程を規定する、請求項6に記載のシリンダヘッド。
【請求項8】
前記空気圧制御装置が前記シリンダヘッドのポケットより上に設けられている、請求項6に記載のシリンダヘッド。
【請求項9】
前記シリンダヘッドが、シリンダケーシングに対して支持する支持面を規定し、この支持面が前記ポケットを包囲している、請求項6に記載のシリンダヘッド。
【請求項10】
前記シリンダヘッドの壁区域が前記ポケットと前記制御シリンダとの間に形成され、駆動装置が通って突出する間隙が前記壁区域に形成され、前記制御ピストンの移動中に前記駆動装置が前記間隙内で移動可能である、請求項6に記載のシリンダヘッド。
【請求項11】
前記制御ピストンがピストン面及びこのピストン面の反対側にある反対側ピストン面を持っており、該反対側ピストン面が前記制御ピストン上の大径のOリングと小径のOリングの間に形成された径の差による領域である、請求項10に記載のシリンダヘッド。
【請求項12】
前記制御シリンダが、前記制御ピストンを操作するためこの制御ピストンのピストン面へ圧縮空気を当てるための制御空間と、圧縮空気を反対側のピストン面へ当てるための空間に加えてばね空間とを持っている、請求項11に記載のシリンダヘッド。
【請求項13】
前記制御空間が、圧縮空気を前記ピストン面へ当てるため圧縮空気を供給しかつ前記制御ピストンを操作されない位置へ復帰させるため圧縮空気を出力するための圧縮空気接続部を持っている、請求項12に記載のシリンダヘッド。
【請求項14】
前記圧縮空気が当てられる時に前記制御ピストンを操作されない位置へ動かす際前記ばね装置を援助するため、前記反対側のピストン面が動作する、請求項13に記載のシリンダヘッド。
【請求項15】
前記閉鎖装置の閉鎖運動の少なくとも最終部分に、前記反対側のピストン面が前記間隙に接続されて、前記圧縮空気が前記反対側のピストン面に当てられるようにする、請求項14に記載のシリンダヘッド。
【請求項16】
前記間隙が、前記閉鎖装置の閉鎖運動の最終部分に圧縮空気の通路面積を大きくするため少なくとも1つの広げられる部分を持っている、請求項15に記載のシリンダヘッド。
【請求項17】
閉鎖装置に圧縮空気通路が形成され、閉鎖運動の最終部分において前記圧縮空気通路が前記間隙に重なり、圧縮空気が通過するのを可能にする、請求項16に記載のシリンダヘッド。
【請求項18】
前記ばね装置が前記制御シリンダに保持され、前記ピストン面の反対側で前記制御ピストンの端部を押す、請求項11に記載のシリンダヘッド。
【請求項19】
圧縮機のシリンダヘッドの製造方法であって、
空気圧制御装置を形成するために、制御シリンダへ制御ピストンを挿入し、
駆動装置が恒久的に取付けられる閉鎖装置を設け、
前記シリンダヘッドにあるポケットへ前記閉鎖装置を取付け方向に挿入し、
前記閉鎖装置が前記取付け方向に挿入される時、前記駆動装置が前記ポケットと前記制御シリンダとの間の間隙を通って案内されて、制御ピストンに除去可能に係合し、前記閉鎖装置が前記取付け方向に挿入される時、前記閉鎖装置用の関節結合される保持器が前記ポケットに形成される
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に実用車に使用される形式のような圧縮機用シリンダヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
実用車用圧縮機は一般に機関軸に直接取付けられて、機関により駆動される。このような圧縮機は、車両内部の圧縮空気システム例えば空気圧ブレーキ、レベル制御システム及び他のシステムのために、圧縮空気を供給する。
【0003】
考慮されている一般的な形式の圧縮機は、往復ピストン圧縮機として実施され、圧縮機ケーシングと圧縮機ケーシングの上側を閉鎖するシリンダヘッドを持っている。シリンダヘッドガスケットがシリンダヘッドとシリンダケーシングとの間に設けられている。機関軸により駆動されるピストンを持つ1つ又は複数のシリンダは、シリンダケーシングに形成されている。
【0004】
圧縮機は供給段階(オンロード)中にポンピングし、休止段階及び再生段階中に圧縮機は一般に空気を供給しない(オフロード)。多くの実用車では、圧縮機が機関軸に固定的に設けられている結果、少なくとも1つのピストンが、休止段階及び再生段階中もシリンダ内で上下運動し続ける(往復運動)。ピストン圧縮機のエネルギ吸収を低く保つため、一般にアイドリング回路が設けられて、空気があまり圧縮されることなしに交互に供給されるだけである。この目的のため一般に、ただ1つのシリンダを持つ圧縮機のために、供給段階において容積を減少されるシリンダ空間が、空気通路を経て上流又は接続空間に設けられる取入れ空間に接続されている。互いに逆の方向の運動を許す2つ又はそれ以上のシリンダを持つ圧縮機のために、空気通路を経てシリンダ空間を互いに接続することができる。
【0005】
空気通路を閉鎖するために、例えば薄板(薄片)として構成される閉鎖装置がシリンダヘッドに設けられる。その操作されない位置(オンロード)で、閉鎖装置が空気通路を閉じる結果、圧縮機が空気を供給できる。操作される位置(オフロード)で、閉鎖装置が空気通路を開く結果、圧縮機がアイドリングモードで動作する。
【0006】
閉鎖装置は、操作される位置(オフロード)と操作されない位置(オンロード)との間で、空気圧制御装置により動かされる。この目的のため、制御装置は、一般に調整器から空気圧入力信号を受ける。空気圧制御装置は一般にシリンダヘッド内で例えば横方向に延びる制御シリンダを持ち、調整器から来る圧縮空気が作用する制御ピストンが、制御シリンダ内に調整可能に案内されている。シリンダヘッドはばね装置も含んでいる。ばね装置は操作されない位置(オンロード)にあり、ピストンは休止位置にあり、閉鎖装置は閉じられている。圧縮空気が調整器により加えられると、制御ピストンが操作(オフロード)されて、閉鎖装置を開く。
【0007】
制御ピストンと閉鎖装置との間の接続は、ピストンに取付けられかつシリンダヘッドにある溝を通ってシリンダ空間の中へ延びる駆動装置によって行われる。駆動装置は、閉鎖装置にある適当な開口へゆるく挿入される結果、ピストンの前後運動中に閉鎖装置を駆動する。
【0008】
組立て中に制御ピストンが、一般にばね装置と共に、制御シリンダへ挿入される駆動装置が溝を通ってピストンへ押込まれるか又はねじ込まれる結果、それが溝を通って下方へ下側へ突出する。それから閉鎖装置を、その穴により、シリンダヘッドの下側から駆動装置へ掛けることができる。
【0009】
しかしこのような装置は、容易な分解を可能にしない。その理由は、制御ピストンに永続的に結合されている駆動装置が制御シリンダから制御ピストンを引出すのを妨げるからである。従って制御シリンダから駆動装置を除去するには、制御ピストンを破壊する必要がしばしばある。
【0010】
更に閉鎖装置の確実な操作は一般に可能であるとしても、ばね装置により圧縮機を負荷するため閉鎖装置を操作されない位置(オンロード)へ戻すことは問題である。フックの法則によれば、ばね装置により加えられる力は、それがピストンにより動かされる時、連続的に増大する。戻り中に、ばね装置により加えられる力は直線的に減少する結果、移動の終わりにはこの力がますます小さくなり、この移動中に閉鎖装置は縮小する空気通路を完全に閉じるようにされる。これに関連して、ばね装置がその操作されない位置(オンロード)で多少予荷重をかけられる結果、ばね装置が移動の終わりに閉鎖装置を閉鎖するための残余力をなお持っているとしても、移動のこの部分において力はなお最小である。この目的のためばね装置の圧縮空気補助が有利である。このような構成では、圧縮空気もばね装置も、ピストンの戻り中にピストンに作用する。圧縮空気は間隙を経てピストンへ供給可能であるが、このような構成では空気漏れの可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
概していえば本発明の目的は、閉鎖装置の制御ピストンを連結する駆動装置を持つシリンダヘッドを提供し、閉鎖装置が操作されない位置(オンロード)で圧縮空気通路を閉じ、操作される位置(オフロード)で圧縮空気通路を開くことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
駆動装置は閉鎖装置にしっかり保持することができ、かつ制御ピストンによりつかんでその前後運動中走行することができる。従って駆動装置は制御ピストンへゆるく挿入することができる。
【0013】
1つの実施形態によれば、制御ピストンが駆動装置をゆるく保持するように形成される周囲溝を持っている。
【0014】
他の実施形態によれば、駆動装置が閉鎖装置に確実伝動結合されている。ある実施形態では、駆動装置が鋲及び鋲ピンである。
【0015】
なお別の実施形態によれば、駆動装置が、制御ピストンの移動方向とは異なる除去方向に引出すことにより、制御ピストンから切離し可能である。
【0016】
別の実施形態によれば、閉鎖装置が継手ピンに揺動可能に連結可能であり、閉鎖装置が、除去方向に継手ピンから釈放可能である。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、ポケットが閉鎖装置を揺動可能に保持している。ポケットが、シリンダヘッドの下側に形成されて、閉鎖装置の揺動行程を規定することができる。空気圧制御装置がシリンダヘッドのポケットより上に設けられている。これに関連してシリンダヘッドが、シリンダケーシングに対して支持する支持面を規定し、この支持面がポケットを包囲している。
【0018】
別の実施形態によれば、シリンダヘッドの壁区域がポケットと制御シリンダとの間に形成され、駆動装置が通って突出する間隙が壁区域に形成され、制御ピストンの移動中に駆動装置が間隙内で移動可能である。
【0019】
更に別の実施形態によれば、制御ピストンがピストン面及びこのピストン面の反対側にある反対側ピストン面を持っている。更に、制御シリンダが、制御ピストンを操作するためこの制御ピストンのピストン面へ圧縮空気を当てるための制御空間と、圧縮空気を反対側のピストン面へ当てるためのピストン空間とを持っている。制御空間が、圧縮空気をピストン面へ当てるため圧縮空気を供給しかつ制御ピストンを操作されない位置(オンロード)へ復帰させるため圧縮空気を出力するための圧縮空気接続部を持っている。更に圧縮空気が当てられる時に、反対側ピストン面が操作されない位置(オンロード)へ制御ピストンを動かす際ばね装置を援助し、それにより閉鎖装置を閉鎖状態へ動かす。更に閉鎖装置の閉鎖運動の少なくとも最終部分に、反対側のピストン面が間隙に接続されて、圧縮空気が反対側のピストン面に当てられるようにする。
【0020】
別の実施形態によれば、間隙が、閉鎖装置の閉鎖運動の最終部分に圧縮空気の通路面積を大きくするためある区域に大きくされる幅を持つことができる。
【0021】
更に別の実施形態によれば、閉鎖装置に
圧縮空気通路が形成され、閉鎖運動の最終部分において前記
圧縮空気通路が間隙に
重なって、圧縮空気が通過するのを可能にする。その結果圧縮機の動作が改善される。駆動装置が貫通する間隙は、本発明によれば、選択的なやり方で、空気貫通流が増大されて最終移動中に制御ピストンの復帰を改善するようにする。この目的のため間隙をある区域で広げることができる。従って駆動装置は、その復帰の終わりに間隙を完全に閉じることはない。
【0022】
閉鎖装置の運動の最終部分に、
圧縮空気通路は間隙に
重なることができる結果、空気の通過の著しい増大従ってばね装置の援助が選択的に生じる。更に閉鎖装置が別の位置にあると、
圧縮空気通路は問題を生じない。なぜならば、
圧縮空気通路が間隙に
重ならず、間隙と一直線に並ぶこともないからである。
【0023】
本発明の典型的な実施形態によれば、空気圧制御装置を形成するために、制御シリンダへ制御ピストンを挿入し、駆動装置が恒久的に取付けられる閉鎖装置を設け、シリンダヘッドにあるポケットへ閉鎖装置を取付け方向に挿入し、閉鎖装置が取付け方向に挿入される時、駆動装置がポケットと制御シリンダとの間の間隙を通って案内されて、制御ピストンに除去可能に係合し、閉鎖装置が取付け方向に挿入される時、閉鎖装置用の開節結合される保持器がポケットに形成されることによって、シリンダヘッドが製造される。
【0024】
本発明による実施形態が多数の利点を与えることがわかるであろう。例えば駆動装置は制御ピストンに容易に結合することができ、また制御ピストンから容易に除去することもできる。更に制御ピストンを破壊することなく、僅かな費用で分解が可能である。
【0025】
本発明の更に別の目的及び利点は、一部は明らかになり、また一部は明細書から明らかになる。
【0026】
従って本発明は、次の開示において例示される構造の特徴、素子の組合わせ、部分の配置及び種々の段階及びこのような段階の1つ又は複数の関係を含み、本発明の範囲は請求項に示される。
【0027】
本発明の十分な理解のために、添付図面に関係して以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】 本発明の実施例によりシリンダケーシングに結合するためのガスケットを持つシリンダヘッドを示す。
【
図2】
図1のシリンダヘッドの断面の斜視図を示す。
【
図3】 本発明の実施例によるガスケットなしのシリンダヘッドを示す。
【
図4】 本発明の実施例による制御シリンダの断面の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図を参照して、
図1は下からの斜視図でシリンダヘッド1を示す。シリンダヘッドガスケット2と吸気弁ガスケット3はシリンダヘッド1の下側1aへはめ込まれ、例えばシリンダヘッド1の下側から突出するセンタリングピン4により位置ぎめされている。シリンダケーシング(
図1には示してない)はシリンダヘッド1の下側1aへはめられている。従って圧縮機全体はシリンダケーシングとこのシリンダケーシング上へはめられるシリンダヘッド1により形成されている。空気を圧縮するピストンを持つ1つ又は複数のシリンダは、シリンダケーシングに形成されている。圧縮機全体は、車両の内燃機関の機関軸に例えば直接結合可能である。その代わりに、圧縮機全体を内燃機関に係合させ、従って機関が動いている時連続的に駆動することができる。
【0030】
図2は、ガスケット2及び3(
図1)のすぐ下のもっと詳細な断面図を示す。ポケット1bがシリンダヘッド1に設けられ、このシリンダヘッドに閉鎖装置8が収容されて、ポケット1b内へ延びる継手ピン10の周りに揺動可能である。
図2に示すように、薄板を閉鎖装置8として用いることができる。閉鎖装置が薄板に限られず、他の適当な構造も閉鎖装置8として使用できることは、当業者にとって明らかである。
【0031】
ポケット1bはシリンダヘッド1の下側1aに形成することができる。シリンダヘッド1はシリンダケーシングに支持するための支持面とすることができ、この支持面はポケット1bを包囲している。即ち下側のポケット1bを除く部分は支持面と考えることができる。継手ピン10は、例えば下側1aと同一面をなしている。従ってポケット1bは揺動可能な閉鎖装置8の揺動行程を規定する。
図2は、閉鎖装置8が操作されない(例えば閉鎖)位置にあり、この位置は図において右の位置である。
【0032】
図3は操作されない位置(オンロード)にある閉鎖装置8を示す。
図3において、閉鎖装置8により覆われかつポケット1bにより形成されている圧縮空気通路12は破線で示されている。閉鎖装置8が操作されない位置(オンロード)にあると、閉鎖装置8が圧縮空気通路12を閉鎖する結果、圧縮機は負荷モードで動作する。従って閉鎖装置8が操作位置(オフロード即ちアイドリング)位置にあると、閉鎖装置8が圧縮空気通路12を開く結果、圧縮機はアイドリングモードで動作する。当業者は、空気通路12が
図3において2つの部分を持つものとして示されているけれども、空気通路12は1つの部分を持つこともできることがわかるであろう。
【0033】
閉鎖装置8が、操作されない位置(オンロード)から操作される位置(オフロード)へ搖動されると、それが圧縮空気通路12を開く結果、圧縮機のアイドリング動作を可能にするため、シリンダケーシングに形成されるシリンダ空間から圧縮空気通路12を通って空気が流れることができる。従って圧縮機は、アイドリング動作において空気を供給することなく比較的低いエネルギ消費で動作する。
【0034】
図2に戻って、閉鎖装置8の図示されている操作されない位置(オンロード)から操作される位置(オフロード)への調整は、シリンダヘッド1においてポケット1bの下に形成される制御シリンダ16内に縦方向調整可能に案内され制御ピストン14によって行われる。制御シリンダ16と制御シリンダ16内で移動可能な制御ピストン14は、空気圧制御装置と称することができる。
【0035】
制御ピストン14は、制御ピストン14を操作するため圧縮空気を当てられるピストン面14aを持っている。この目的のため、図に示す初期位置又は不動作位置において、制御ピストン14は、制御シリンダ16へねじ込まれるストッパ18にもたれかかっている。制御ピストン14は、2つのOリングシール14b,14cにより制御シリンダ16内に密封され、ばね案内片22上に案内されるコイルばね20に抗して動作する。ばね案内片22はシリンダヘッド1内に取付けられている。図示した実施例では、コイルばね20は、座屈を避けるため制御ピストン14内に案内されている。
【0036】
シリンダヘッド1の壁区域17がポケット1bと制御シリンダ16との間に形成されている。接続ピン26が貫通する間隙24は壁区域17に形成されている。
図2に示すように、結合ピンは駆動装置26として設けることができる。駆動装置26は例えば、周囲溝26aを持つ鋲(鋲ピン)として実施可能であり、この周囲溝により駆動装置26が閉鎖装置8に保持される。駆動装置26はポケット1bから間隙24を通って制御シリンダ16内へ延びている。駆動装置26は更に制御ピストン14の周囲溝28内へ延びている。周囲溝28は制御ピストン14の周りに配置することができる。従って駆動装置26は、制御ピストン14の縦方向調整中に連行され、その結果閉鎖装置8が揺動される。駆動装置26は閉鎖装置8にしっかり保持することができる。対照的に駆動装置26は、制御ピストン14の周囲溝28内にゆるく(例えば締付け効果なしに)はまっている。
【0037】
ピストン面14aは、圧縮空気接続部32を通って圧縮空気を満たされまた排気される制御空間30内に位置し、圧縮空気接続部32は適当な弁を経て接続可能である。圧縮空気接続部32を経て圧縮空気を当てることにより、制御ピストン14を
図2のコイルばね20の力に抗して左へ動かすことができる。進行中に制御ピストン14が駆動装置26を連行する結果、閉鎖装置8が操作されない位置(
図2に示すオンロード)から操作られる位置(オフロード)へ左方へ搖動される。
【0038】
その結果
図4に示すように、圧縮空気通路12を開くことができる。
図2に戻って、制御シリンダ16は駆動装置26の左にばね空間31を持つこともできる。コイルばね20をばね空間31内に案内することができる。反対側ピストン面14dをばね空間31内に形成することができる。
【0039】
図3に示すように、閉鎖装置8に形成される
圧縮空気通路39は、間隙24にある広くされた(例えば曲げられた)部分24aに接して位置せしめられ、閉鎖装置8は操作される位置(オフロード)にある。その結果、空気は
圧縮空気通路39を通って間隙24へ流入することができない。間隙の広くされた部分24aの正確な実施例は
図4にもっと詳細に示されている。
【0040】
圧縮空気の作用が終了した後、圧縮空気接続部32を経て排気を行うことができる。従ってコイルばね20が緩んで、制御ピストン14を(
図2の右方へ)押し戻す。例えばコイルばね20はピストン面14aとは反対の側にある制御ピストン14の端部を押すことができる。その結果制御ピストン14は、空気を制御空間30から圧縮空気接続部32へ出す。閉鎖装置8が右方へ操作されない位置(オンロード)へ戻り揺動すると、
圧縮空気通路39が間隙24の広くされた部分24aと重なる。その結果、圧縮空気が今や圧縮機から
圧縮空気通路39を通ってポケット1bへ入り、間隙24の広くされた部分24aを通ってばね空間31へ入る。従って圧縮機の空気を反対側のピストン面14dへ作用させることができ、これが制御ピストン14の閉鎖運動を援助する。
【0041】
閉鎖装置8の操作されない位置(オンロード)は、ポケット1bにあるストッパにより規定されず、制御ピストン14のストッパ18により規定される。
【0042】
図2に示される装置を組み立てるために、まず閉鎖装置8が駆動装置26に結合され、この目的のため駆動装置26が端部区域を広げられた鋲として具体化されている。当業者は、駆動装置26を例えばねじ及び/又はナットとして具体化できることもわかるであろう。更にばね案内片22が制御シリンダ16に取付けられ、制御ピストン14及びばね20が横から制御シリンダ16内へ矢印Aにより示す軸線方向Aに導入される。
【0043】
図2に示すように、閉鎖装置8は、駆動装置26と共に、上から矢印Mで示す取付け方向に(例えば下から圧縮機全体の設置位置で)挿入して、閉鎖装置8が継手ピン10に保持(例えば揺動可能に連結される)されるようにすることができる。駆動装置26は制御ピストン14の周囲溝28内へ突出することができる。
【0044】
分解のため、閉鎖装置8を駆動装置26と共に、逆の順序に従って継手ピン10及び制御ピストン14から、取付け方向とは逆の除去方向に引出すことができる。ストッパ18と制御ピストン14は、コイルばね20と共に、軸線方向とは逆に制御シリンダ16から除去することができる。
【0045】
本発明は、個々の事例において動作原理がどんなものであっても、すべての形式のガス圧縮機デザインに適していることがわかる。1例として、通常自動車技術において使用されるようなピストン構造を使用する空気圧縮機が、特別な応用分野としてあげられる。
【0046】
上述した目的、前述した説明から明らかになった目的のうち上述した目的が効果的に達せられることがわかり、本発明の精神及び範囲を離れることなく若干の変更も行うことができるので、上述した説明に含まれるか又は添付図面に示されるすべての事項が実例と解され、制限する意味で解されるべきではない。
【0047】
次の請求項は、ここに述べた発明の包括的な特徴及び特有な特徴のすべてをカバーしかつこれらの請求項に含まれる発明の範囲のすべての範囲をカバーすることを意図しているものと解すべきである。