(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、微細な粉末状の散剤と呼ばれる薬剤は、所定量毎に薬剤袋に詰められた状態で提供されている。例えば、この種の薬剤は「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」などの服用時期毎に個別に分包されている。
【0003】
図8を参照して、従来から行われている一般的な分包方法を説明する。
図8(A)は一般的な分包方法を説明するフローチャートであり、
図8(B)は具体的な計測方法を示す図である。
【0004】
図8(A)を参照して、先ず、薬剤師が、レセプト(処方箋)の内容を参照して、分包する薬剤と分包数を確認する(ステップS101)。具体的には、このレセプトの内容に従い、薬剤師が、薬剤ビン等の容器から薬剤師が所定量の役剤と取り出し、必要分を計測する。例えば、一包1gで毎食後3日分の薬剤が必要とされたら、薬剤ビンから9gの薬剤を外部に取り出す(ステップS102)。この後、計測された所定量の薬剤を、自動分包機に投入する(ステップS103)。ここまでが、薬剤師により手動で行われる行程である。
【0005】
自動梱包機では、先ず、供給された所定量の薬剤104を円盤102の上面に均等に散布する(ステップS104、
図8(B)参照)。具体的には、所定の回転速度で回転する円盤102の上面中心部付近に薬剤104を供給することにより、円盤102の上面に略均一に薬剤104を散布する。更に、分包数に合わせて中心角を算出し、この角度により円盤102の上面を小領域に分け、この小領域毎に円盤102の上面から薬剤104を掻き出し、一包分を取り出す。
図8(B)では、点線で示される小領域に分割される。一例として、円盤102の上面に分散された薬剤104を9(朝昼晩毎食×3日)に分割するのであれば、中心角が40度の扇形の小領域から、各包に収納されるべき薬剤が採取される。
【0006】
薬剤の梱包が終了した後は、自動分包機に残留した薬剤を除去するためのクリーニングを行う(ステップS105)。具体的には、自動分包機の薬剤投入口から内部にホウ酸を投入し、このホウ酸を外部に放出させることで、内部に残留した薬剤をホウ酸に付着させて外部に取り出す。また、このクリーニングが不十分な場合は、装置に内蔵された掃除機で残留薬剤を吸引して排除する。
【0007】
上記した作業(ステップS101からステップS105)は、必要とされる薬剤の種類の数だけ繰り返される。
【0008】
上記ステップが終了した後に、採取された薬剤は個別に薬剤袋に梱包され、患者に提供される(ステップS106)。
【0009】
また、以下の特許文献1−特許文献3に記載された自動分包機も、一般的なものとして知られている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本発明の実施の形態にかかる薬剤分包装置10の構成を説明する。
【0020】
図1(A)を参照して、薬剤分包装置10は、分包さえるべき薬剤が収納される薬剤カセット12(薬剤供給部)と、薬剤カセット12から排出される薬剤36の薬剤量を計測するカメラ24(撮像部)と、薬剤カセット12から投下された薬剤36の重量を計測するロードセル28(重量計測部)と、ロードセル28から下方に投下された薬剤を分包する分包部42と、これら各部の動作を制御する制御部としてのコンピュータ38を主要に備えている。
【0021】
この様な構成を有する薬剤分包装置10の基本的な機能は、薬剤師が選択した種類の薬品を、所定の分量ごとに薬剤袋44に分包することにある。
【0022】
本形態で取り扱われる薬剤36としては、散剤または顆粒剤が採用される。散剤とは、医薬品を粒状にしたもので粒径は355〜1400μmであり、有効成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を混和して均質とした後に粒子を揃えたものである。顆粒剤とは、有効成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤などを粉末または微粒状に製したもので、粒径は500μm以下のものである。
【0023】
薬剤カセット12は、薬剤分包装置の上部に回転可能な状態で配置されている。薬剤カセット12が回転可能な状態とされる理由は、薬剤カセット12を回転させることで、薬剤カセット12に収納された薬剤36を外部に投下させているからである。ここでは、一つの薬剤カセット12が配置されているが、2つ以上の薬剤カセット12が配置されても良い。複数の薬剤カセット12が配置される場合は、各々の薬剤カセット12に異なる種類の薬剤が収納されても良い。例えば、一方の薬剤カセット12に頭痛薬が収納され、他方の薬剤カセット12に胃薬が収納され、同時に回転することで下方に薬剤が投下される。これにより、異なる種類の薬剤を混合して1つの分包に収納させることができる。薬剤カセット12は、薬剤分包装置10に対して着脱可能とされている。よって、薬剤師の手動により所望の薬剤カセット12を装置に取り付けるようにしても良いし、薬剤カセット12を薬剤分包装置10の所定箇所に据え付ける機構が設けられても良い。
【0024】
薬剤カセット12は、紙面上にて右側が開放された円筒状の胴体部14と、胴体部14の右側端部で開口部を塞ぐ蓋部16とを有している。薬剤カセット12の左側の端部側面にはギア部が設けられており、このギア部はモータ18のギアと嵌合している。この状態で、モータ18を回転させることにより、薬剤カセット12の胴体部が所定の回転速度で回転する。
【0025】
薬剤カセット12の蓋部16に、開放部17の爪が嵌合している。この状態で開放部17を紙面上右側に引っ張ることにより、胴体部14と蓋部16との間に間隙が形成される。蓋部16を開放部17で固定した状態のまま、モータ18で胴体部14を回転させる。これにより、胴体部14と蓋部16との間隙から下方に薬剤36が投下される。この際、薬剤カセット12の胴体部14はモータ18の駆動力で回転するが、蓋部16は回転しない。尚、開放部17の移動はモータ20の回転で制御されている。
【0026】
カメラ24は、薬剤カセット12の胴体部14と蓋部16とが接触する部分(投下部)の下方近傍に配置されており、薬剤カセット12から下方に投下された薬剤36を撮影して画像を得る機能を有する。本形態では、薬剤カセット12から投下された直後の薬剤36を撮影するため、カメラ24は、薬剤カセット12の近傍に配置される。投下された直後の薬剤36の落下速度は遅いため、カメラ24で正確に薬剤36を撮影することが出来る。カメラ24で撮影された画像データは、コンピュータ38に伝送される。
【0027】
照明部22は、例えばLED素子を有する照明装置であり、カメラ24の近傍に配置されて薬剤36に対して光を照射する機能を有する。照明部22が光を薬剤36に対して照射することで、空中の薬剤36がより鮮明にカメラ24で撮影され、画像処理により正確に薬量を推定できる。
【0028】
ロードセル28は、薬剤カセット12の投下部の下方に配置されており、薬剤カセット12から投下された薬剤36を受け止め、その重量を計測する機能を有する。ロードセル28により計測された薬剤36の重量を示すデータはコンピュータ38に伝送される。
【0029】
ロードセル28の上部には漏斗部26が設けられている。漏斗部26は、上部が下部よりも大きく開口する漏斗形状を有し、薬剤カセット12から投下された薬剤36をロードセル28に集合させる役割を有する。
【0030】
ロードセル28の下部には開閉部30が設けられている。カメラ24による画像処理およびロードセル28により薬剤36の重量が計測され、この値が所定量と成ったら、開閉部30が開くことで、ロードセル28から下方に薬剤36が投下される。開閉部30の開閉動作は、コンピュータ38で制御される電磁弁の駆動力を用いて行われる。
【0031】
ロードセル28の下方には、分包処理を行う分包部42が配置されている。分包部42では、連続した薬剤袋44からなる分包フィルム34がロール32に巻かれた状態で用意される。そして、薬剤36が投入されるべき分包部がロードセル28の下方に配置され、この薬剤袋44には、ロードセル28から投下された薬剤36が漏斗46を経由して収納される。その後、薬剤が投入された分包部はその周辺部が熱圧着される等して密封される。
【0032】
本形態では、薬剤カセット12の胴体部14と蓋部16との間隙下方に、ロードセル28および薬剤袋44が配置されている。よって、薬剤36を落下させることで、薬剤36が計測され、薬剤袋44への薬剤36の投入が行われるので、装置全体の簡素化および異物の混入が防止される。
【0033】
図2を参照して、上記した漏斗部26の他の形態を説明する。ここでは、漏斗部26の下部が筒形状を呈しており、その中間部には括れ部が設けられている。漏斗部26は上端から下端に至るまで一体に連通している。また、薬剤36が漏斗部26に投下されている間は、括れている漏斗部26の中間部は押圧部40により押圧されている。これにより、押圧されている箇所にて漏斗部26の連通が塞がれ、投下された薬剤36が漏斗部26の内部に貯留される。漏斗部26は、紙または樹脂材料からなり、投下される薬剤の種類が変更されるときは漏斗部26を取り替える。これにより、漏斗部26の内壁に付着した薬剤が、他の種類の薬剤に混入することが防止される。
【0034】
上記したロードセルは、この状態で、薬剤36が貯留される漏斗部26の重量を計測する。そして、算出された薬量が所定量になれば、押圧部40の押圧を解除することにより、漏斗部26に貯留された薬剤36が下方に投下される。そして、この投下が終了した後は、押圧部40により漏斗部26の中間部分が再び押圧されて連通が解除される。
【0035】
図3のフローチャートおよび上記した各図を参照して、上記した薬剤分包装置を用いて薬剤を分包する方法について説明する。
【0036】
先ず、薬剤師等の使用者が処方したレセプト等を参照して、装置を始動させるための操作を行うことで、分包を開始する(ステップS10)。この時、薬剤分包装置10には所望の薬剤36を内蔵する薬剤カセット12が回転可能な状態で配置されている。
【0037】
次に、モータ18を駆動させることで薬剤カセット12を回転させる(ステップS11)。さらに、モータ20を駆動させて開放部17で蓋部16を紙面上に右側に引っ張ることで、蓋部16と胴体部14との間に間隙を形成する(ステップS12)。次に、照明部22で光を照射しながらカメラ24で撮影を行い、薬剤が投下されているか否かを確認する(ステップS13)。投下された薬剤がカメラ24で確認されなければ(ステップS13のNO)、モータ20を更に駆動させて開放部17で蓋部16を紙面上にて右方に引っ張り、薬剤カセット12の胴体部14と蓋部16との間隙を大きくする。一方、この間隙から投下された薬剤がカメラ24で検出されたたら(ステップS13のYES)、モータ20をストップさせ、胴体部14と蓋部16との間隙をそれ以上大きくしない(ステップS14)。
【0038】
カメラ24による薬剤投下のモニタリングは、投下を継続している間は連続して行われる。即ち、カメラ24により薬剤36が撮影されていれば、薬剤投下は継続されていると判断する(ステップS15のYES)。一方、カメラ24により薬剤36が撮影されなければ(ステップS15のNO)、薬剤36が撮影されるまで、薬剤カセット12の胴体部14と蓋部16との間隙を大きくする(ステップS16)。
【0039】
上記ステップにより、薬剤カセット12から投下された薬剤36は漏斗部26を経てロードセル28に収納させる。収納された薬剤36の重量はロードセル28で計測され、この重量を示すデータはコンピュータ38に伝送される。また、薬剤36が投下されている間はカメラ24による撮影は連続して行われている。
【0040】
上記した薬剤36の投下される量は連続して計測されるが、本形態では、ある時点まではロードセル28による重量測定で投下された薬量を計測し、それ以後は画像処理により薬量を計測している。これにより、1つの薬包に必要される薬量(所定量)が正確に計測される。具体的には、ロードセル28により計測される薬剤の重量が、所定量の90%に成るまでは、薬量の計測はロードセル28の出力に基づいて行う(ステップS17のNO)。
【0041】
ロードセル28により算出された薬量が90%に達したら、薬剤の比重を算出する(ステップS18)。具体的には、カメラ24で撮影された画像の中で薬剤36が撮影された部分の総面積(画素数)を算出し、ロードセル28で計測された薬量(所定量の90%)をこの総面積で除算する。これにより、単位面積(画素あたり)の薬量(単位薬量)が算出される。この単位薬量は、画像処理で薬量を算出する際に用いられる。
【0042】
その後、カメラ24にて薬剤36の存在を確認しつつ(ステップS19、S20)、薬剤36の投下を継続する。ステップS19、S20の詳細は、上記したステップS15、S16と同様である。
【0043】
その後、カメラ24により撮影される画像で薬剤36が撮影された面積に上記した単位薬量を乗算することで薬量を算出し、この薬量が所定量に達するまで薬剤36の投下を継続する(ステップS21のNO)。一方、画像処理で算出される薬量が所定量に達したら(ステップS21のYES)、薬剤の投下を終了させるための処理を行う。
【0044】
具体的には、モータ20を逆回転に稼働させることで、開放部17を胴体部14側に移動させ、薬剤カセット12の胴体部14と蓋部16との間隙を閉じる(ステップS22)。更に、モータ18を停止させることで薬剤カセット12の回転を停止させる(ステップS23)。
【0045】
次に、薬剤の分包処理を行う(ステップS24)。具体的には、ロードセル28に設けた開閉部30を開くことにより、ロードセル28に貯留された薬剤36を下方に投下する。開閉部30の下方には、ロール32から引き出された分包フィルム34の薬剤袋44が配置されている。よって、投下された薬剤36は、漏斗46を経由して所定の薬剤袋44に投入され、その周囲が圧着されることで密封される。
【0046】
この分包処理が終了した後は、分包された薬剤袋44の個数を数え、所定の個数に達していなければ再び分包処理を行う(ステップS25のNO)。一方、分包された薬剤袋の数が所定に達したら(ステップS25のYES)分包処理を終了させる(ステップS26)。
【0047】
図4および
図3に示すフローチャートを参照して、本形態での薬量を検出する方法を詳述する。
図4に示すグラフは薬剤の投下時間と薬剤量との関係を示すグラフであり、横軸は薬剤カセット12から薬剤が投下させる時間の経過を示し、縦軸は薬剤カセット12から投下された薬剤の重量を示している。更に、このグラフでは、ロードセルによる計測値を点線で示し、カメラによる計測値を実線で示している。
【0048】
一般的に、薬剤36の重量を計測する場合、ロードセル28のみを用いることが考えられる。しかしながら、ロードセル28のみを用いて投下される薬剤36を計測した場合、所定量の薬剤36を薬剤カセット12から投下させることは容易でない。理由は、ロードセル28による計測値に基づいて薬剤カセット12による薬剤投下を終了させても、その後、薬剤カセット12からロードセル28との間で空中に存在する薬剤36がロードセル28に供給されるからである。この場合、薬剤袋44には所定量よりも多くの薬剤が投入されてしまう。また、投下された薬剤36がロードセル28に接触してから、この事項がコンピュータ38に反映されるまでに時間が要されることも、ロードセル28を用いる薬量算出で誤差が生じる原因となる。
【0049】
本形態では、本形態ではカメラ24による画像処理およびロードセル28による重量計測の両方を用いて、薬剤カセット12から下方に投下される薬剤36の重量を計測している。具体的には、薬剤カセット12から薬剤を投下する初期段階では、ロードセル28のみで薬剤36の重量を計測している。そして、ロードセル28により計測された薬剤の重量が例えば90%に達したら、ロードセル28による計測を終了させ、カメラ24により得られた画像に基づいて投下された薬剤の重量を検出する。上記したように、カメラ24は、薬剤カセット12の直近を撮影している。よって、カメラ24が撮影した画像に基づいて薬剤量を算出することで、薬剤36から投下された直後の薬剤の量を直ちに計測できる。このことから、カメラ24の出力に基づいた薬剤量の量が所定量に達した時に、薬剤カセット12の蓋部16を閉じることで、投下される薬剤量を所定量とすることが出来る。
【0050】
更に本形態では、上記のように、ロードセル28により計測された薬剤の重量と、カメラ24により撮影された画像を用いて、カメラ24により撮影された薬剤部分の単位面積当たりの薬剤量(単位薬量)を算出している。よって、予め薬剤の単位薬量を測定せずとも、カメラ24による薬剤量の検出が可能となる。更には、薬剤カセット12が交換されて投下される薬剤36の種類が変更されても、カメラ24で得られた薬剤の面積で、ロードセル28で計測された重量を除算することで、改めて単位重量が計測されるので、薬剤師による設定等が不要なので管理が簡易である。
【0051】
図5を参照して、本形態で画像検出により薬剤量を検出する方法を詳述する。
図5(A)はある時点で撮影された画像であり、
図5(B)はこの1フレーム後の画像である。
【0052】
図5(A)を参照して、カメラ24による画像は薬剤カセット12およびその近傍を映し出している。薬剤カセット12から投下された薬剤36は、重力の影響を受けて、下方の方が早く落下する。よって、投下された薬剤36を薬剤カセット12から離間した下方で撮影すると、薬剤36の落下速度が早いので、一般のカメラで薬剤36を鮮明に撮影することが困難である。また、高速で動作するカメラを用いると、この撮影が可能となるが、この種の高価なカメラを採用することで装置全体のコストダウンが阻害される恐れがある。そこで、本形態では、薬剤36の落下速度が遅い薬剤カセット12の近傍にて画像撮影を行うことで、撮影速度が比較的遅いカメラであっても空中の薬剤36を鮮明に撮影し、薬剤36の重量を正確に算出している。一例として、本形態では秒数十コマの画像を取得できるカメラが採用されている。このように本形態では、高速撮影を可能とする高価なカメラを必要としないので、装置全体のコスト上昇が抑制される。
【0053】
更に本形態では、画像全体を用いて薬剤36の検出を行うのではなく、その一部のみを用いてその検出を行なっている。具体的には、
図5(A)を参照して、本形態では、薬剤カセット12の近傍の部分を参照領域48とし、この参照領域48で撮影された薬剤36のみを対象として薬量を算出している。具体的は、参照領域48は、円形状を有する薬剤カセット12と同心円形状の一部を呈している。参照領域48の形状を換言すると、半径方向の幅が均一なドーナツ状の領域の一部である。このようにすることで、薬剤カセット12から投下された直後の薬剤36のみが撮影されるので、低速で落下する薬剤36を鮮明に撮影できる。
【0054】
更に、参照領域48の大きさは、カメラが順次画像を撮影する速度の兼ね合いに於いて、薬剤36が重畳して撮影されない程度に設定される。上記したように、
図5(A)に示される画像と、
図5(B)に示される画像は連続して撮影されるので、両画像が取得される時間的間隔は予め決められている。よって、
図5(A)に示す参照領域48で撮影された薬剤36が、次フレームである
図5(B)に示す参照領域48で撮影されないように、参照領域48の大きさ(幅)は設定される。ここでは、
図5(A)にて参照領域48の内部で撮影された2つの薬剤36は、
図5(B)を参照すると参照領域48から外れた下方で撮影されている。よって、
図5(B)に示す場合では、既に
図5(A)で撮影された薬剤36は薬量の算出に考慮されないので、1つの薬剤36から重複して薬量を算出することによる精度低下が防止されている。
【0055】
図6を参照して、上記した薬剤カセット12等を詳細に説明する。
図6(A)は薬剤カセット等および薬剤の計量を行う部位を側方から見た図であり、
図6(B)は押圧部を上方から見た図であり、
図6(C)は支持部を上方から見た図である。
【0056】
図6(A)を参照して、上記したように、薬剤カセット12は筒状の胴体部14と、この胴体部14の開放部を塞ぐ蓋部16とを備えている。そして、蓋部16が配置された側が下方と成るように薬剤カセット12は傾斜して配置されている。これにより、内蔵される薬剤が蓋部16の方に寄るようになり、蓋部16を開放することで確実に間隙から薬剤を投下できる。
【0057】
蓋部16には、胴体部14の内部で軸方向に伸びる棒状の部位の先端付近に磁石が設けられており、この先端部の近傍で胴体部14の内部にも他の磁石が設けられている。よって、これらの磁石の磁力により蓋部16は胴体部14に開放部を塞ぐように密着している。使用状況下では、蓋部16に嵌合する開放部17が、蓋部16を紙面上にて右方に引っ張ることで、蓋部16が上端を視点として胴体部14から離れ、胴体部14と蓋部16下端との間に間隙が形成される。これにより、胴体部14に収納された薬剤が間隙から下方に投下される。
【0058】
胴体部14の内面には、主面が中心に向かって伸びるフィン76が設けられており、このフィン76は円周方向に沿って複数個が等間隔に設けられている。
【0059】
押え部50は、不図示の薬剤分包装置の筐体部等に回転可能に備えられた円柱状の部材である。押え部50は、胴体部14の外周を回転可能に中心方向に押圧する機能を有する。これにより、薬剤カセット12の飛び出しが防止される。押え部52も同様で、胴体部14の端部を内側から回転可能な状態で押圧しており、薬剤カセット12の外部への飛び出しを防止している。
【0060】
ソレノイド54は、アーム等を経由して薬剤カセット12の胴体部14に接触しており、薬剤カセット12に対して振動を加えることで、薬剤を下方に良好に投下させる機能を有する。
【0061】
照明部22およびカメラ24は、制御板の所定箇所に固着されており、薬剤カセット12の直近で薬剤を撮影する。また、薬剤カセット12の下方には、カメラ24に面するように背景板58が配置されている。よって、カメラ24は、背景板58の手前で落下する薬剤を撮影する。背景板58の色としては、薬剤とのコントラストが大きくなる色が採用され、例えば黒色が採用される。これにより、カメラ24の撮影する画像にて、例えば白色を呈する薬剤が撮影された領域と、黒色である背景板58が撮影された領域とのコントラストが大きくなり、薬剤量を正確に算出することが可能となる。
【0062】
投下された薬剤を収集するための漏斗部26は、漏斗状に広がる上部が支持部62により支持されている。
図6(C)を参照して、支持部62は、漏斗部26の形状に即した形状を呈しており、具体的には一部が欠損した円環形状を呈している。このような形状を呈する支持部62により漏斗部26は上下方向に対して保持されている。
【0063】
押圧部40は、管形状を呈する漏斗部26の下部を押圧する部位であり、
図6(B)を参照して、漏斗部を挟み込む事を可能とするハサミ形状しており、備えられたバネの不勢力で定常状態では漏斗部26を挟みこむことにより、その管状部分を閉塞している。また、押圧部40の端部はロードセル28に接続されている。これにより、投下された薬剤を漏斗部26に残存させ、その重量をロードセル28で計測することが可能となる。漏斗部26で所定量の薬剤量が計量された後は、
図6(B)を参照して、押圧部40で漏斗部26を挟持する部分に挿入部60を挿入することで、漏斗部26に付与されている押圧力を解除する。これにより、漏斗部26に貯留された所定量の薬剤が下方に投下された後に分包処理される。
【0064】
ソレノイド56は、アーム等を経由して漏斗部26に接触しており、漏斗部26に対して機械振動を与える機能を有する。例えば、ソレノイド56は、上記した薬剤の投下を行う際に、漏斗部26に対して振動を与え、漏斗部26の内壁に薬剤が付着して残留することを抑制する。
【0065】
図7を参照して、上記した薬剤カセットの他の形態を説明する。
図7(A)から
図7(D)は各形態の薬剤カセットを示す側面図である。
【0066】
図7(A)を参照して、
図6等に示す薬剤カセット12は円筒形状を呈していたが、この図に示す薬剤カセット12Aは略六面体形状を呈するケース64が採用されている。このケース64の内部に所定の種類の薬剤が収納される。
【0067】
ケース64の内部には、所定の枚数の羽根部を有して回転する撹拌部66が設けられており、ここでは、2つの撹拌部66がケース64の内部に配置されている。ここで、使用状況下では2つの撹拌部の回転する方向は逆方向である。このように、ケース64の内部で撹拌部66が回転することで、ケース64に収納された薬剤を良好に撹拌して下方に投下させることが出来る。
【0068】
スライド部68は、ケース64の底面を塞ぐように配置されており、その主面方向に沿って移動可能なように備えられている。また、スライド部68がケース64に当接する部分には、シリコンゴム等から成る当接部70が配置されている。この当接部70にスライド部68の先端が密着することで、両者の間から薬剤が漏れることが防止される。薬剤カセット12Aから薬剤を投下させる際には、スライド部68を紙面上にて右斜め上方向にスライドさせ、当接部70とスライド部68との間に間隙を形成し、この状態で撹拌部66を回転させることで間隙から薬剤を下方に投下させる。一方、この投下を行わない際には、スライド部68の先端部は当接部70に接触しており、薬剤は投下されない。
【0069】
このような薬剤カセット12Aが使用される際には、
図1を参照して、漏斗部26の上方に薬剤カセット12が配置される。
【0070】
図7(B)を参照して、この図に示す薬剤カセット12Bの基本的な構成は上記した薬剤カセット12Aと同様であり、スライド部68の機構等が異なる。具体的には、ここでは、スライド部68は回転軸部72を中心に回転してスライドする。これにより、ケース64の開口部78とスライド部68との間の間隙から薬剤が下方に投下される。また、ここでは、ケース64の内部に一つの撹拌部66が設けられている。
【0071】
図7(C)を参照して、他の形態の薬剤カセット12Cの構成を説明する。薬剤カセット12Cの基本的な構成は薬剤カセット12Bと同様であり、撹拌部66の構成が異なる。具体的には、開口部78の近傍に、羽部分がない状態で回転する撹拌部66が設けられている。また、スライド部68をケース64の開口部78に押し付けるための押圧部74も設けられている。薬剤カセット12Cでは、開口部78は、紙面上にて奥行き方向に長細い形状を呈している。
【0072】
図7(D)に示す薬剤カセット12Dの基本的構成は上記した薬剤カセット12Cと同様であり、撹拌部66等の構成が異なる。即ち、ここでは、撹拌部66がスライド部68に向かって回転軸を有するように構成されており、更に、開口部78は、平面視で略円形となるように構成されている。
【0073】
上記した本実施の形態は例えば以下のように変更可能である。
【0074】
図4を参照して、本形態では、所定量の90%に至るまではロードセルで薬剤の量を計測し、それ以後はカメラ24による画像処理で薬剤の量を計測したが、この割合は変更されても良い。例えば、所定量の50%に至るまでロードセルで薬量を計測し、それ以降は画像処理で薬量を計測するようにしても良い。
【0075】
図1を参照して、分包部の近傍に、薬剤袋に薬種などを印字する印字部が配置されても良い。
【0076】
上記説明では、ロードセル28の計測値およびカメラ24による画像から単位薬量を算出したが、予め計測された単位薬量を用いて画像から薬量を算出するようにしても良い。
【0077】
更に、
図1を参照して、薬剤袋44に収納される薬剤は一定でも良いし、薬剤袋44毎に異なる量の薬剤が投入されても良い。
【0078】
また、上記説明では、粉状態の薬剤36を対象としていたが、液体状の薬剤に対しても本形態を適用させることが可能である。
【0079】
更に上記形態では、薬剤カセット12から投下された直後の薬剤36を撮影することで、安価なカメラ24を採用することを可能としたが、高速で動作するカメラ24を用いることでより下方にて薬剤36を撮影することも可能となる。
【0080】
更にまた、上記形態では、
図5を参照して説明したように、撮影された画像の一部のみを用いて薬剤36の薬量を算出したが、その全体を用いるようにしても良い。