特許第6155659号(P6155659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155659
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】位相補間回路および受信回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20170626BHJP
   H03K 5/26 20060101ALI20170626BHJP
   H03L 7/08 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
   H04L7/033 700
   H03K5/26 Z
   !H03L7/08 107
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-12797(P2013-12797)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-146869(P2014-146869A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寿栄
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−025417(JP,A)
【文献】 特開2012−054720(JP,A)
【文献】 特開2013−016985(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0147564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/033
H03K 5/26
H03L 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相の異なる複数の第1参照信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1ミキサー回路と、
前記複数の第1参照信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2ミキサー回路と、
前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより出力信号を生成する第3回路と、
を具備し、
前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、
前記複数の第2参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、
前記複数の第2参照信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号の間の位相である
ことを特徴とする位相補間回路。
【請求項2】
前記第1比率が変化することにより前記第1中間信号の位相が変化し、前記第2比率が変化することにより前記第2中間信号の位相が変化することを特徴とする請求項記載の位相補間回路。
【請求項3】
前記第3回路は、前記第1中間信号を伝播させる前記第1ミキサー回路の出力信号線と、前記第2中間信号を伝播させる前記第2ミキサー回路の出力信号線が出力ノードにおいて物理的に接続することにより、前記出力信号を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の位相補間回路。
【請求項4】
前記第1比率及び前記第2比率が同じになるように同一のコードを生成し、前記同一のコードを前記第1ミキサー回路及び前記第2ミキサー回路に供給するコード生成回路をさらに具備することを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の位相補間回路。
【請求項5】
クロック信号に基づき受信信号のデータを取得するレシーバと、
前記データに基づいて前記受信信号と前記クロック信号との位相差を検出する検出回路と、
前記位相差に基づいて前記クロック信号の位相を調整する位相補間回路と、
を具備し、
前記位相補間回路は、
位相の異なる複数の第1参照クロック信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1ミキサー回路と、
前記複数の第1参照クロック信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照クロック信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2ミキサー回路と、
前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより前記クロック信号を生成する第3回路と
を含み、
前記複数の第1参照クロック信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、
前記複数の第2参照クロック信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、
前記複数の第2参照クロック信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照クロック信号のうち位相が隣接する信号の間の位相である
ことを特徴とする受信回路。
【請求項6】
前記位相補間回路は、
前記位相差に基づいて前記第1比率及び前記第2比率を示すコードを生成し、前記コードを前記第1ミキサー回路及び前記第2ミキサー回路に供給するコード生成回路をさらに含むことを特徴とする請求項記載の受信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補間回路および受信回路に関し、例えば位相を補間する位相補間回路および受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高速の受信信号を受信する受信回路においては、CDR(Clock Data Recovery)回路が用いられている。受信回路は、クロック信号に基づき受信信号からデータを取得する。しかしながら、受信信号とクロック信号との位相が異なると受信信号から取得するデータを取りこぼすことがある。そこで、データとクロック信号との位相差を検出し、位相差からクロック信号の位相を調整する。クロック信号の位相を調整するために、複数の参照クロック信号からクロック信号を生成する位相補間回路が知られている(例えば特許文献1から5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−282360号公報
【特許文献2】特開2011−097314号公報
【特許文献3】特開2004−159163号公報
【特許文献4】特開2007−208616号公報
【特許文献5】特開2009−212922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
位相補間回路は、受信信号とクロック信号との位相差からPI(Phase Interpolator)コードを生成する。PIコードに基づき複数の位相の異なる参照クロック信号を重み付けし結合することによりクロック信号の位相を調整する。PIコードに対し、クロック信号の位相変化が線形的であることが好ましい。
【0005】
本補間回路および受信回路は、出力信号の位相変化の線形性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
位相の異なる複数の第1参照信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1ミキサー回路と、前記複数の第1参照信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2ミキサー回路と、前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより出力信号を生成する第3回路と、を具備し、前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、前記複数の第2参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、前記複数の第2参照信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号の間の位相であることを特徴とする位相補間回路を用いる。
【0007】
クロック信号に基づき受信信号のデータを取得するレシーバと、前記データに基づいて前記受信信号と前記クロック信号との位相差を検出する検出回路と、前記位相差に基づいて前記クロック信号の位相を調整する位相補間回路と、を具備し、前記位相補間回路は、位相の異なる複数の第1参照クロック信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1ミキサー回路と、前記複数の第1参照クロック信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照クロック信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2ミキサー回路と、前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより前記クロック信号を生成する第3回路とを含み、前記複数の第1参照クロック信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、前記複数の第2参照クロック信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、前記複数の第2参照クロック信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照クロック信号のうち位相が隣接する信号の間の位相であることを特徴とする受信回路を用いる。
【発明の効果】
【0008】
本補間回路および受信回路によれば、出力信号の位相変化の線形性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、位相補間回路が用いられるCDR回路のブロック図である。
図2図2は、比較例1に係る位相補間回路のブロック図である
図3図3は、ミキサーの回路の例を示す回路図である。
図4図4は、PIコードとクロック信号OUT0の位相、参照クロック信号CK0とCK90の重み付け比率の例を示す図である。
図5図5は、比較例1において生成されるクロック信号を示す図である。
図6図6は、比較例1におけるミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。
図7図7は、比較例1におけるバッファからの出力信号OUT0を示す図である。
図8図8は、PIコードに対するクロック信号の位相を示す図である。
図9図9は、比較例2に係る位相補間回路のブロック図である。
図10図10は、PIコードとクロック信号OUT0の位相、参照クロック信号CK0、CK45、CK90およびCK135の重み付け比率の例を示す図である。
図11図11は、比較例2におけるバッファから出力されるクロック信号OUT0を示す図である。
図12図12は、実施例1に係る位相補間回路のブロック図である。
図13図13は、比較例1および実施例1のミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。
図14図14は、実施例1のミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。
図15図15は、実施例1におけるバッファから出力されるクロック信号OUT0を示す図である。
図16図16は、PIコードに対するクロック信号の位相を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、位相補間回路が用いられるCDR回路のブロック図である。図1を参照し、CDR回路50は、レシーバ52、位相検出回路54、デジタルフィルタ56、PLL(Phase Locked Loop)回路58および位相補間回路60を備えている。CDR回路50は、例えばシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit)として同一半導体チップ上に形成される。位相補間回路60は、PIコード生成回路62およびミキサー64を備えている。入力端子66には受信信号が入力する。レシーバ52は、クロック信号に基づき受信信号のデータを取得する。例えば、レシーバ52は、クロック信号のアップまたはダウンに対応する時間の受信信号をデータ信号として取得する。データ信号は出力端子68から出力される。位相検出回路54は、データ信号から、受信信号とクロック信号との位相差を検出する。デジタルフィルタ56は、検出された信号をフィルタリングする。
【0011】
PLL回路58は、位相補間回路60に参照クロック信号を出力する。PIコード生成回路62は、デジタルフィルタ56の出力信号からPIコードを生成する。このように、PIコード生成回路62は、受信信号とクロック信号との位相差に基づきPIコードを生成する。ミキサー64は、PIコードに基づき位相の異なる複数の参照クロック信号をミキシングし、クロック信号を生成する。このように、位相補間回路60は、位相の異なる複数の参照クロック信号を用い、位相を補間することによりクロック信号を生成する。
【0012】
次に、比較例について説明する。図2は、比較例1に係る位相補間回路のブロック図である。図2を参照し、位相補間回路102は、ミキサー12、16、PIコード生成回路20およびバッファ22を備えている。ミキサー12は、4相の参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270を重み付けし結合することにより信号OUT1およびOUT2を出力する。ミキサー16は、参照クロック信号CK90、CK180、CK270およびCK0を重み付けし結合することにより信号OUT3およびOUT4を出力する。バッファ22(例えばインバータ)に、ミキサー12および16の出力信号OUT1、OUT2、OUT3およびOUT4がそれぞれ入力する。バッファ22(例えばインバータ)は、出力信号OUT1からOUT4をそれぞれ増幅しクロック信号OUT0、OUT90、OUT180およびOUT270としてそれぞれ出力する。PIコード生成回路20は、図1のデジタルフィルタ56の出力信号に基づきPIコードを生成し、ミキサー12および16に出力する。PIコードは、複数の参照信号を結合するときの重み付けの比率を示すコードである。
【0013】
参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270は、位相がそれぞれ0°、90°、180°および270°の参照クロック信号である。クロック信号OUT0、OUT90、OUT180およびOUT270は、位相がそれぞれ0°、90°、180°および270°のクロック信号である。
【0014】
図3は、ミキサーの回路の例を示す回路図である。図3を参照し、ミキサー12は、回路42から48を備えている。各回路42から48は、トランジスタ32から38および抵抗R1およびR2を備えている。トランジスタ32から38は、例えばN型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0015】
トランジスタ32および34のドレインは、それぞれ抵抗R1およびR2を介し電源VDDに接続されている。トランジスタ32および34のドレインと抵抗R1およびR2との間のノードがそれぞれノードN5およびN6である。トランジスタ32および34のソースは共通に接続し、トランジスタ36を介し電源VSSに接続されている。トランジスタ32およびトランジスタ34のゲートにはそれぞれ参照クロック信号CK0およびCK180が入力する。
【0016】
トランジスタ36のドレインは、トランジスタ32および34のソースに接続され、ソースは電源VSSに接続される。トランジスタ36は、トランジスタ32および34に電流を流す電流源として機能する。トランジスタ36および38はカレントミラー回路である。トランジスタ38のドレインからソースに流れる電流IAの一定比の電流がトランジスタ36に流れる。これにより、電流IAの大きさを変えることにより、トランジスタ32および34を流れる電流を制御できる。
【0017】
回路44のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK90およびCK270が入力する。回路46のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK180およびCK0が入力する。回路48のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK270およびCK90が入力する。回路44から48のトランジスタ38にそれぞれ電流IBからIDが流れる。
【0018】
回路42から48のノードN5は結合され、信号OUT1として出力される。回路42から48のノードN6は結合され、信号OUT2として出力される。電流IAからIDを所望の比率とすることにより、クロック信号OUT0およびOUT180の位相を所望の値に制御できる。電流IAからIDはIPコードに対応し制御される。ミキサー12は例えば差動入力差動出力構成である。これは、ミキサー12を安定に動作させるためである。
【0019】
例えば、位相を0°から90°の間で制御する場合は、電流ICおよびIDを0とし、電流IAとIBとの比を所望の比とする。これにより、クロック信号OUT0の位相は0°から90°の間の所望の値にすることができる。電流IDおよびIAを0とし、電流IBとICとの比を所望の比とすることにより、クロック信号OUT0の位相を90°から180°の間の所望の値にすることができる。電流IAおよびIBを0とし、電流ICとIDとの比を所望の比とすることにより、クロック信号OUT0の位相を180°から270°の間の所望の値にすることができる。電流IBおよびICを0とし、電流IDとIAとの比を所望の比とすることにより、クロック信号OUT0の位相を270°から360°の間の所望の値にすることができる。
【0020】
図4は、PIコードとクロック信号OUT0の位相、参照クロック信号CK0とCK90の重み付け比率の例を示す図である。PIコードが0から32対応しクロック信号OUT0の位相を0°から90°とする。このため、参照クロック信号CK0とCK90の重み付け比率を48:0から0:48の値に設定する。クロック信号OUT0の位相を90°から180°の範囲で制御する場合の参照クロック信号CK90とCK180の重み付け比率も同様である。180°から270°の範囲および270°から360°の範囲で制御する場合も同様である。
【0021】
ミキサー16において、回路42のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK90およびCK270が入力する。回路44のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK180およびCK0が入力する。回路46のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK270およびCK90が入力する。回路48のトランジスタ32および34のゲートにそれぞれ参照クロック信号CK0およびCK180が入力する。回路42から48のノードN5は結合され、信号OUT3として出力される。回路42から48のノードN6は結合され、信号OUT4として出力される。その他の構成は、ミキサー12と同じであり説明を省略する。
【0022】
図5は、比較例1において生成されるクロック信号を示す図である。参照クロック信号CK0およびCK90から生成される出力クロック信号を示す図である。PIコードが0、PIコードが16、およびPIコードが32のときのクロック信号OUT0を示している。PIコードが0のときは、参照クロック信号CK0が100%のときに対応する。PIコードが16のときは、参照クロック信号CK0とCK90の比率が50:50のときに対応する。PIコードが32のときは、参照クロック信号CK90が100%のときに対応する。参照クロック信号CK0およびCK90の波形が正弦波の場合、PIコードに対しクロック信号OUT0位相は線形的に変化する。しかしながら、広帯域化(例えば1GHzから5GHz)に対応するためにはクロック信号の波形は正弦波ではない。
【0023】
図6は、比較例1におけるミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。時間(任意座標、以下同様)に対する電圧を示している。クロック信号の波形を方形波とした場合の参照クロック信号CK0とCK90から生成されるミキサー12からの出力信号を示す。PIコードが6、16および24(参照クロック信号CK0とCK90との比が20:80、50:50および80:20)に対応する。ミキサー12の出力信号には段70ができる。
【0024】
図7は、比較例1におけるバッファからの出力信号OUT0を示す図である。バッファ22はインバータであるため、ミキサー12からの出力信号の立下りがバッファ22からの出力信号の立ち上がりに相当する。例えば図6の信号OUT1がハイとローの中間点72である0.8Vを横切ると、図7の波形がローからハイに遷移する。図6において、中間点72付近に波形の段74がある場合、図7における矢印76ように、PIコードに対する立ち上がり時間が大きく変化する。これにより、PIコードに対するクロック信号の位相は線形的に変化しない。
【0025】
図8は、PIコードに対するクロック信号の位相を示す図である。破線は理想的なPIコードとクロック信号OUT0の位相の関係を示す。理想的には、PIコードに対し位相は線形的に変化する。点線は比較例1におけるPIコードとクロック信号の位相の関係を示す。PIコードに対し、位相は線形的に変化していない。参照クロック信号の周波数が低くなると、参照クロック信号の周期が長くなるため、非線形性はさらに劣化する。
【0026】
次に、PIコードに対する位相を線形に近づけた比較例2について説明する。図9は、比較例2に係る位相補間回路のブロック図である。図9を参照し、位相補間回路104は、PIコード生成回路20a、ミキサー12aおよび16aを備える。ミキサー12aおよび16aには、8相の参照クロック信号CK0、CK45、CK90、CK135、CK180、CK225、CK270およびCK315が入力する。ミキサー12aは、8相の参照クロック信号を重み付けし、結合させることにより、信号OUT1およびOUT2を出力する。ミキサー16aは、8相の参照クロック信号を重み付けし、結合させることにより、信号OUT3およびOUT4を出力する。ミキサー12aおよび16aはそれぞれ回路42に相当する回路を8個備える。PIコード生成回路20aは8相の参照クロック信号の重み付けを示すPIコードを出力する。
【0027】
参照クロック信号CK0、CK45、CK90、CK135、CK180、CK225、CK270およびCK315は、それぞれ位相が0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°および315°の信号である。
【0028】
図10は、PIコードとクロック信号OUT0の位相、参照クロック信号CK0、CK45、CK90およびCK135の重み付け比率の例を示す図である。PIコードが0から32に対応しクロック信号OUT0の位相を0°から90°とする。このため、PIコード0から16について、参照クロック信号CK0およびCK45の重み付け比率を48:0から0:48の値に設定する。PIコード16から32について、参照クロック信号CK45およびCK90の重み付け比率を48:0から0:48の値に設定する。この範囲では、参照クロックCK135の比率は0である。
【0029】
図11は、比較例2におけるバッファから出力されるクロック信号OUT0を示す図である。クロック信号の波形を方形波とした場合のPIコードに対するバッファ22から出力されるクロック信号OUT0を示す。図11における矢印76ように、PIコードに対する立ち上がり時間の変化が比較例1より小さくなる。このように、比較例2によれば、PIコードに対するクロック信号の位相の線形性が改善される。
【0030】
しかしながら、比較例2においては、PIコード生成回路20aは8相の参照クロック信号の重み付けを示すPIコードを生成する。このため、比較例1のPIコード生成回路20より回路が複雑になる。また、ミキサー12aおよび16bは8相の参照クロック信号に対応した回路となり、比較例1のミキサー12および16より複雑となる。このように、参照クロック信号の相数を増やすと、回路が複雑となり、新しい回路を設計することとなる。以下に、比較例1のPIコード生成回路20およびミキサー12および16と同じ回路構成を用い、8相の参照クロック信号の重み付けが可能な実施例について説明する。
【実施例1】
【0031】
図12は、実施例1に係る位相補間回路のブロック図である。図12を参照し、位相補間回路100は、PIコード生成回路20、ミキサー12から18およびバッファ22を備えている。PIコード生成回路20は、比較例1と同じPIコード(例えば図4)を生成する。すなわち、4相の参照クロック信号の重み付けを示すPIコードを生成する。ミキサー12から18は、例えば図3と同じ回路であり、4相の参照クロック信号をPIコードに応じ重み付けして結合する。ミキサー12から18の電流IAからIDは、比較例1のミキサー12および16の1/2とする。これは、後述のように比較例1の2倍の相の参照クロック信号を結合することによりクロック信号を生成するため、比較例1と同じ電流ではクロック信号の振幅が2倍となってしまうためである。ミキサー12から18の電流IAからIDは、比較例1と同じとし、図3のトランジスタ36の大きさ(例えばゲート幅)を2倍としてもよい。
【0032】
ミキサー12は、4相の参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270を重み付けし結合することにより信号OUT11およびOUT21を出力する。ミキサー14は、4相の参照クロック信号CK45、CK135、CK225およびCK315を重み付けし結合することにより信号OUT12およびOUT22を出力する。ノードN1は、信号OUT11とOUT12とを位相を変えず結合し信号OUT1を出力する。例えば、ノードN1は、信号OUT11を伝播させるミキサー12の出力信号線と、信号OUT12を伝播させるミキサー14の出力信号線と、信号OUT1を伝播させる信号線をノードN1において物理的に接続することにより、信号OUT1を出力する。ノードN2は、信号OUT21とOUT22とを位相を変えず結合し信号OUT2を出力する。例えば、ノードN2は、信号OUT21を伝播させるミキサー12の出力信号線と、信号OUT22を伝播させるミキサー14の出力信号線と、信号OUT2を伝播させる信号線をノードN2において物理的に接続することにより、信号OUT2を出力する。
【0033】
ミキサー16は、4相の参照クロック信号CK90、CK180、CK270およびCK0を重み付けし結合することにより信号OUT31およびOUT41を出力する。ミキサー18は、4相の参照クロック信号CK135、CK225、CK315およびCK45を重み付けし結合することにより信号OUT32およびOUT42を出力する。ノードN3は、信号OUT31とOUT32とを位相を変えず結合し信号OUT3を出力する。例えば、ノードN3は、信号OUT31を伝播させるミキサー16の出力信号線と、信号OUT32を伝播させるミキサー18の出力信号線と、信号OUT3を伝播させる信号線をノードN3において物理的に接続することにより、信号OUT3を出力する。ノードN4は、信号OUT41とOUT42とを位相を変えず結合し信号OUT4を出力する。例えば、ノードN4は、信号OUT41を伝播させるミキサー16の出力信号線と、信号OUT42を伝播させるミキサー18の出力信号線と、信号OUT4を伝播させる信号線をノードN4において物理的に接続することにより、信号OUT4を出力する。
【0034】
各参照クロック信号CK0、CK90、CK180、CK270、CK45、CK135、CK225およびCK315の周波数は同じである。
【0035】
図13は、比較例1および実施例1のミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。図13を参照し、比較例1および実施例1ともPIコードを0としている。この場合、比較例1においては、参照クロック信号CK0が出力信号OUT1となる。実施例1においては、ミキサー12の出力信号OUT11は参照クロック信号CK0であり、ミキサー14の出力信号OUT12は参照クロック信号CK45である。このため、信号OUT1は参照クロック信号CK0とCK45とを50:50の比率で重み付けで結合した信号となる。比較例1の信号OUT1はほぼ方形波である。実施例1の信号OUT1は、比較例1に比べ全体として位相が約22.5°シフトしている。実施例1の信号OUT1では、ハイとローの中間点72付近に段が形成される。
【0036】
図14は、実施例1のミキサーからの出力信号OUT1を示す図である。図14を参照し、実施例1において、ミキサー12が参照クロック信号CK0とCK90をN:Mの比率、ミキサー16が参照クロック信号CK45とCK135をN:Mの比率で重み付けで結合するとする。図14は、N:Mをそれぞれ39:9(PIコード6)、24:24(PIコード16)および12:36(PIコード24)としたときの信号OUT1の波形を示している。段74が三箇所に形成される。このため、一段当りの段の幅Wは比較例1より小さくなる。
【0037】
図15は、実施例1におけるバッファから出力されるクロック信号OUT0を示す図である。図15を参照し、図14において、段74が3箇所あるため、矢印76のように、PIコードに対し立ち上がりが大きく変化する箇所が3箇所となる。一箇所あたりの変化量は、比較例1の図7より小さくなる。
【0038】
図16は、PIコードに対するクロック信号の位相を示す図である。実線は実施例1におけるPIコードとクロック信号の位相の関係を示す。その他は図8と同じである。図16を参照し、実施例1においては、比較例1に比べ、PIコードに対するクロック信号の位相が線形に近づいている。
【0039】
実施例1によれば、ミキサー12(第1回路)が位相の異なる複数の参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270(第1参照信号)を第1比率で重み付けし結合する。これにより、ミキサー12は信号OUT11(第1中間信号)を生成する。第1比率が変化することにより信号OUT11の位相が変化する。ミキサー14(第2回路)が複数の参照クロック信号CK45、CK135、CK225およびCK315(第2参照信号)を第2比率で重み付けし結合することにより信号OUT12(第2中間信号)を生成する。第2比率が変化することにより信号OUT12の位相が変化する。ノードN1(第3回路)は、信号OUT11と信号OUT12とを結合させることにより信号OUT1(出力信号)を生成する。PIコード生成回路20は、ミキサー12と14とに、第1比率と第2比率が同じになるように、同じPIコードを出力する。
【0040】
以上のように、ミキサー12と14とは、それぞれ一定位相ずれた参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270と、参照クロック信号CK45、CK135、CK225およびCK315とを同じ比率で重み付けする。PIコード生成回路20が、ミキサー12および14に同じPIコードを出力する。これにより、図16のように、比較例1に比べPIコードに対する位相の線形性を改善できる。例えば、線形性を比較例2と同程度とすることができる。さらに、ミキサー12から18の回路構成は比較例1のミキサーと同じでよく、ミキサー12から18に出力するPIコードも比較例1と同じでよい。これにより、比較例1から複雑な回路変更をしなくてもよい。また、比較例2に比べ回路規模および面積を小さくできる。
【0041】
ミキサー12に入力する参照クロック信号のうち位相が隣接する2つの信号の位相差は、複数の参照クロック信号内で異なってもよいが、同じであることが好ましい。例えば、参照クロック信号CK0、CK90、CK180およびCK270における位相が隣接する2つの信号の位相差は、全て90°である。また、ミキサー14に入力する参照クロック信号のうち位相が隣接する2つの信号の位相差は異なってもよいが、同じであることが好ましい。例えば、参照クロック信号CK45、CK135、CK225およびCK315における位相が隣接する2つの信号の位相差は、全て90°である。これにより、PIコードに対する位相の線形性を高めることができる。
【0042】
ミキサー14に入力する参照クロック信号の位相は、それぞれミキサー12に入力する参照クロック信号のうち位相が隣接する信号の間の位相であることが好ましい。例えば、参照クロック信号CK45、CK135、CK225およびCK315は、それぞれCK0とCK90との間、CK90とCK180との間、CK180とCK270との間、およびCK270とCK0との間の位相である。例えば、ミキサー14に入力する参照クロック信号の位相は、それぞれミキサー12に入力する参照クロック信号のうち位相が隣接する信号の中間の位相であることが好ましい。これにより、PIコードに対する位相の線形性を高めることができる。
【0043】
実施例1においては、8相の参照クロック信号からクロック信号を生成する例を説明したが、さらに線形性を高めるため12相または16相のように、8相以外の参照クロック信号を用いてもよい。12相の参照クロックを用いる場合は、電流IAからIDを比較例1の1/3にする(またはトランジスタ32の大きさを比較例1の3倍とする)ことが好ましい。16相の参照クロックを用いる場合は、電流IAからIDを比較例1の1/4にする(またはトランジスタ32の大きさを比較例1の4倍とする)ことが好ましい。
【0044】
スイッチ等を用い、ミキサー14および18をオフすれば、4相の参照クロック信号を用いた位相補間回路とすることもできる。例えば、周波数の高いクロック信号を生成する場合は、周波数の高いクロック信号を生成する場合に比べ、線形性がよくなる。そこで、周波数の高いクロック信号を生成する場合は、接続されるミキサー数を減らすことにより、寄生容量を小さくし高速動作に対応させることができる。一方、周波数の低いクロック信号を生成する場合は、ミキサー14および18を接続し8相の参照クロック信号を用いた位相補間回路とする。これにより、線形性を高めることができる。
【0045】
実施例1に係る位相補間回路を図1のようなCDR回路50に用いることができる。CDR回路50は、受信回路に含まれていてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0047】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)位相の異なる複数の第1参照信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1回路と、前記複数の第1参照信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2回路と、前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより出力信号を生成する第3回路とを具備することを特徴とする位相補間回路。
(付記2)前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであり、前記複数の第2参照信号のうち位相が隣接する信号間の位相差は同じであることを特徴とする付記1記載の位相補間回路。
(付記3)前記複数の第2参照信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号の間の位相であることを特徴とする付記2記載の位相補間回路。
(付記4)前記第1比率が変化することにより前記第1中間信号の位相が変化し、前記第2比率が変化することにより前記第2中間信号の位相が変化することを特徴とする付記1から3のいずれか一項記載の位相補間回路。
(付記5)前記第3回路は、前記第1中間信号を伝播させる前記第1回路の出力信号線と、前記第2中間信号を伝播させる前記第2回路の出力信号線が出力ノードにおいて物理的に接続することにより、前記出力信号を生成することを特徴とする付記1から4のいずれか一項記載の位相補間回路。
(付記6)前記第1比率及び前記第2比率が同じになるように同一のコードを生成し、前記同一のコードを前記第1回路及び前記第2回路に供給するコード生成回路をさらに具備することを特徴とする付記1から5のいずれか一項記載の位相補間回路。
(付記7)前記複数の第2参照信号の位相は、それぞれ前記複数の第1参照信号のうち位相が隣接する信号の中間の位相であることを特徴とする付記2記載の位相補間回路。
(付記8)前記複数の第1参照信号の位相はそれぞれ0°、90°、180°および270°であり、前記複数の第2参照信号の位相はそれぞれ45°、135°、225°および315°であることを特徴とする付記1から7のいずれか一項記載の位相補間回路。
(付記9)クロック信号に基づき受信信号のデータを取得するレシーバと、前記データに基づいて前記受信信号と前記クロック信号との位相差を検出する検出回路と、前記位相差に基づいて前記クロック信号の位相を調整する位相補間回路と、を具備し、前記位相補間回路は、位相の異なる複数の第1参照クロック信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する第1回路と、前記複数の第1参照クロック信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照クロック信号を前記第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する第2回路と、前記第1中間信号と前記第2中間信号とを結合させることにより前記クロック信号を生成する第3回路とを含むことを特徴とする受信回路。
(付記10)前記位相補間回路は、前記位相差に基づいて前記第1比率及び前記第2比率を示すコードを生成し、前記コードを前記第1回路及び前記第2回路に供給するコード生成回路をさらに含むことを特徴とする付記9記載の受信回路。
【符号の説明】
【0048】
12、14、16、18 ミキサー
20 PIコード生成回路
22 バッファ
50 CDR回路
52 レシーバ
54 位相検出回路

図1
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