(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート(10)の表皮部材(16)の複数の吹出開口部(17)のそれぞれとの間で空気流れを回転によって発生させるファン(40)と、前記ファンの回転軸の軸線方向に直交して前記回転軸の径方向に対して直交する方向に伸びる支持部(142)とを有する送風機(13、14)と、
前記軸線方向に直交して前記径方向に対して直交する方向を軸線方向として中空部を有
する円筒状に金属繊維によって形成されている弾性部材(140)と、を備え、
前記弾性部材の前記中空部に前記支持部が嵌め込まれて前記支持部が前記弾性部材によ
って支えられており、
前記シートに対して支持されて前記弾性部材を支持する弾性支持部材(141)を備えることを特徴とするシート空調装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0020】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る車両用シート空調装置を適用した車両用シート10の全体構成の概要を示すもので、この車両用シート10は具体的には運転席あるいは助手席のシートとして適用されるものである。
【0021】
車両用シート10は、乗員の尻部を支持するシートクッション部11と、乗員の背中部を支持するシート背もたれ部(シートバック部)12を備える。シートクッション部11には、送風機13が内蔵されている。シート背もたれ部12には、送風機14が内蔵されている。
【0022】
送風機13は、シートクッション部11の表皮部材16の多数の吹出開口部17から車室内空気を吸入し、この吸入空気をシートクッション部11内の空気通路15を通してシートクッション部11の下側の空気吹出口(図示省略)に向けて送風する。これにより、送風機13によって乗員の尻部側から吸い込んだ空気を空気吹出口に向けて吹き出すようになっている。
【0023】
送風機14は、シート背もたれ部12の表皮部材16の多数の吹出開口部17から車室内空気を吸入し、この吸入空気をシート背もたれ部12内の空気通路18を通してシート背もたれ部12の後側の空気吹出口(図示省略)に向けて送風する。これにより、送風機14によって乗員の背中側から吸い込んだ空気を空気吹出口に向けて吹き出すようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の送風機13、14について
図2を参照して説明する。
図2は本実施形態の送風機13の断面図である。
【0025】
送風機13は、ケーシング20、電動モータ30、およびファン40を備える。
【0026】
ケーシング20は、側部21、および底部22を備える。側部21は、軸線方向一方側が開口する円筒状に形成されている。側部21のうち軸線方向一方側に開口する開口部21aは、多数の吹出開口部17から空気通路15を通して流れる空気を吸い込む吸い込み口を構成する。底部22は、側部21の軸線方向他方側を覆うように形成されている。ケーシング20は、車両用シート10のシートバネ51に対して支持部材50によって支持されている。シートバネ51は、車両用シート10を構成する金属製の線材であって、シートクッション部11およびシート背もたれ部12をそれぞれ支持する。なお、支持部材50の構造の詳細は後述する。
【0027】
電動モータ30は、アウタロータ型モータを構成するもので、ケーシング20内に収納されている。電動モータ30は、回転軸31、軸受け32a、32b、軸受け支持部33、ステータコイル34、ロータ35、および永久磁石36を備える。
【0028】
回転軸31は、その軸線方向がケーシング20の側部21の軸線方向に一致するように配置されている。回転軸31は、軸受け32a、32bによって回転自在に支持されている。軸受け32a、32bは、軸受け支持部32によって支持されている。軸受け支持部32は、ケーシング20の底部22によって支持されている。
【0029】
ステータコイル34は、回転軸31の径方向外側に配置されている。ステータコイル34は、軸受け支持部32によって支持されている。
【0030】
ロータ35は、筒部35a、および蓋部35bを備える。筒部35aは、ステータコイル34に対して回転軸31の径方向外側に配置されている。筒部35aは、円筒状に形成されている。筒部35aはその軸線方向が回転軸31の軸線方向に一致するように配置されている。蓋部35bは、筒部35aの軸線方向一方側を覆う円板状に形成されている。蓋部35bは、回転軸31の軸線方向一方側に支持されている。
【0031】
ファン40は、複数枚のブレード41および支持部42を備える遠心多翼式ファンである。複数枚のブレード41に対して回転軸31の径方向外側にそれぞれ延出するように形成されている。複数のブレード41は、支持部42によって支持されている。支持部42は、ロータ35によって支持されている。
【0032】
複数のブレード40とケーシング20の側部21の内壁との間には、空気通路21bが設けられている。空気通路21bは、後述するように、複数のブレード40によって吹き出される空気を集めて空気吹出口(図示省略)に向けて送り出す通路を形成している。
【0033】
また、支持部材50は、
図2に示すように、シート支持部60、ダイヤフラム70、およびシート固定プレート80を備える。
【0034】
シート支持部60は、円筒状に形成されている。シート支持部60は、その軸線方向が回転軸31の軸線方向に一致するように配置されている。シート支持部60の軸線方向他方側の開口部がファン40に対して軸線方向一方側に配置されている。シート支持部60の中空部が空気通路15の一部を構成している。
【0035】
シート支持部60のうち軸線方向一方側には、凹部60a、60bが設けられている。凹部60a、60bには、シートバネ51が入っている。
【0036】
ダイヤフラム70は、送風機13に対して軸線方向一方側に配置されている。ダイヤフラム70は、中央部に開口部を有する円環状(ドーナッツ状)に形成されている板材である。ダイヤフラム70は、その中心部が回転軸31の軸線と重なるように配置されている。ダイヤフラム70は、シート支持部60とケーシング20の側部21との間を軸線方向一方側から覆うように形成されている。このことにより、ダイヤフラム70は、シート支持部60とケーシング20の側部21との間から空気通路15を流れる空気が漏れることを防止する。
【0037】
ダイヤフラム70の径方向内側は、シート支持部60と押さえ板100との間に挟み込まれている。押さえ板100は、ネジ等の締結部材によってダイヤフラム70を介してシート支持部60に締結されている。これにより、ダイヤフラム70の径方向内側がシート支持部60に支持されていることになる。
【0038】
ダイヤフラム70の径方向外側は、ケーシング20の側部21と押さえ板110との間に挟み込まれている。押さえ板110は、ネジ等の締結部材によってダイヤフラム70を介してケーシング20の側部21に固定されている。これにより、ダイヤフラム70の径方向外側がケーシング20の側部21に支持されていることになる。
【0039】
ダイヤフラム70には、断面U字状の撓み部71が回転軸31の軸線を中心とする円周方向に形成されている。ダイヤフラム70は、その撓み部71の撓みによって、送風機13の振動を減衰する。本実施形態のダイヤフラム70としては、例えば、ゴムなどによって形成されている。
【0040】
シート固定プレート80は、開口部81を有する板状に形成されている。シート固定プレート80は、シート支持部60に対して軸線方向一方側に配置されている。シート固定プレート80の開口部81がシート支持部60の中空部に一致する。シート固定プレート80の開口部81は、空気通路15の一部を構成している。シート固定プレート80およびシート支持部60の間は、例えば、接着剤等によって固定されている。
【0041】
シート固定プレート80は、シート支持部60の凹部60a、60bを軸線方向一方側から覆うように形成されている。凹部60a内のシートバネ51はその弾性力が径方向内側に作用し、かつ凹部60b内のシートバネ51はその弾性力が径方向内側に作用する。シート支持部60は、凹部60a内のシートバネ51と凹部60b内のシートバネ51とによって狭持されることになる。このことにより、シート固定プレート80およびシート支持部60がシートバネ51によって支持されることになる。
【0042】
シート固定プレート80には、
図3に示すように、開口部81を有する中央部82と、中央部82から径方向外側に突出する突起部83a、83b、83cを備える。突起部83a、83b、83cのそれぞれが突出する方向が回転軸31の軸線を中心として120度ずつオフセットされている。
【0043】
突起部83aには、支持軸部84a、84bが設けられている。支持軸部84a、84bは、径方向に並べられている。支持軸部84a、84bは、回転軸31の軸線方向に直交し、かつ回転軸31の径方向に直交する方向に伸びるように形成されている。突起部83b、83cには、突起部83aと同様に、支持軸部84a、84bがそれぞれ設けられている。
【0044】
ケーシング20の側部21には、支持軸部23a、23b、23cが設けられている。支持軸部23a、23b、23cは、回転軸31の軸線方向に直交し、かつ回転軸31の径方向に直交する方向に伸びるようにそれぞれ形成されている。支持軸部23a、23b、23c、それぞれが突出する方向が回転軸31の軸線を中心として120度ずつオフセットされている。
【0045】
支持軸部23aは、突起部83aの支持軸部84a、84bに対して軸線方向他方側に配置されている。支持軸部23aは、回転軸31の径方向において突起部83aの支持軸部84a、84bの間に配置されている。突起部83aの支持軸部84aには、コイルバネ90aの一端側が係っている。突起部83aの支持軸部84bには、コイルバネ90bの一端側が係っている。支持軸部23aには、コイルバネ90a、90bのそれぞれの他端側が係っている。このことにより、コイルバネ90a、90bの伸縮方向が交差することになる。つまり、コイルバネ90a、90bがそれぞれの伸縮方向がV字状になるように配置されている。
【0046】
支持軸部23bは、突起部83bの支持軸部84a、84bに対して軸線方向他方側に配置されている。支持軸部23bは、回転軸31の径方向において突起部83bの支持軸部84a、84bの間に配置されている。突起部83bの支持軸部84aには、コイルバネ90aの一端側が係っている。突起部83aの支持軸部84bには、コイルバネ90bの一端側が係っている。支持軸部23bには、コイルバネ90a、90bのそれぞれの他端側が係っている。このことにより、コイルバネ90a、90bのそれぞれの伸縮方向が交差することになる。
【0047】
支持軸部23cは、突起部83cの支持軸部84a、84bに対して軸線方向他方側に配置されている。支持軸部23cは、回転軸31の径方向において突起部83cの支持軸部84a、84bの間に配置されている。突起部83cの支持軸部84aには、コイルバネ90aの一端側が係っている。突起部83aの支持軸部84bには、コイルバネ90bの一端側が係っている。支持軸部23cには、コイルバネ90a、90bのそれぞれの他端側が係っている。このことにより、コイルバネ90a、90bのそれぞれの伸縮方向が交差することになる。
【0048】
このように、コイルバネ90a、90bを1組としたとき、3組のコイルバネ90a、90bが回転軸31の軸線を中心とする円周方向に並べられていることになる。したがって、送風機13が車両用シート10のシートバネ51に対して3組のコイルバネ90a、90bによって支持されている。
【0049】
また、送風機14は、送風機13と同様に構成されている。これに加えて、送風機14は、送風機13と同様に、支持部材50を介して車両用シート10のシートバネ51に対して支持されている。つまり、送風機14が車両用シート10のシートバネ51に対して3組のコイルバネ90a、90bによって支持されている。
【0050】
次に、本実施形態の送風機13、14の作動について説明する。
【0051】
まず、送風機13の電動モータ30では、ステータコイル34に交流電力が電源装置から供給されると、ステータコイル34から回転磁界が発生する。この回転磁界によって永久磁石36に対して回転力が発生する。このため、ロータ35が回転軸31とともに回転する。これに伴い、ファン40が回転することにより、シートクッション部11の表皮部材16の多数の吹出開口部17からシートクッション部11内の空気通路15を通して車室内の空気をファン40の軸線方向一方側から吸入する。この吸入空気は、ファン40の径方向外側に吹き出される。この吹き出される空気は空気通路21bに集められてこの集められた空気は空気吹出口(図示省略)に向けて送風される。このとき、ファン40の回転に伴って振動を発生する。
【0052】
ここで、3組のコイルバネ90a、90bおよびダイヤフラム70が送風機13を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。このため、ファン40の共振周波数がファン40から発生する振動の周波数よりも低くなる。これにより、3組のコイルバネ90a、90bおよびダイヤフラム70がファン40から発生する振動を減衰することができる。
【0053】
このとき、車両用シート10に対する乗員の着座等によってシートバネ51が移動した場合には、コイルバネ90a、90bは、組毎に、次のように作動する。
【0054】
すなわち、コイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネに送風機13を引っ張る弾性力が作用し、かつコイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネ以外の他方のコイルバネを送風機13が圧縮する弾性力が他方のコイルバネに作用する。このため、コイルバネ90aの弾性力が組毎に回転軸31の径方向一方側に作用し、かつコイルバネ90bの弾性力が組毎に径方向他端側に作用することになる。つまり、コイルバネ90a、90bが組毎にシート固定プレート80に対して送風機13の回転軸31の径方向の移動を抑制する。
【0055】
まず、送風機14では、送風機13と同様、3組のコイルバネ90a、90bおよびダイヤフラム70が送風機13を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。このため、ファン40の共振周波数がファン40から発生する振動の周波数よりも低くなる。これにより、ファン40から発生する振動を減衰することができる。
【0056】
このとき、車両用シート10のシート背もたれ部12の角度調整によってシートバネ51が移動した場合には、コイルバネ90a、90bは、組毎に、次のように作動する。
【0057】
すなわち、コイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネに送風機14を引っ張る弾性力が作用し、かつコイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネ以外の他方のコイルバネを送風機14が圧縮する弾性力が他方のコイルバネに作用する。このため、コイルバネ90aの弾性力が組毎に回転軸31の径方向の一方側に作用し、かつコイルバネ90bの弾性力が組毎に径方向の他端側に作用する。つまり、コイルバネ90a、90bが組毎にシート固定プレート80に対して送風機14の回転軸31の径方向の移動を抑制する。
【0058】
なお、
図4では、送風機14を引っ張る弾性力がコイルバネ90aに作用し、かつ送風機14によってコイルバネ90bを圧縮する弾性力がコイルバネ90bに作用する例を示している。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、送風機13、14では、3組のコイルバネ90a、90bが送風機13を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。このため、ファン40の共振周波数がファン40から発生する振動の周波数よりも低くなる。これにより、ファン40から発生する振動を減衰する。このため、3組のコイルバネ90a、90bが送風機13、14から発生する振動が車両用シート10を通して乗員に伝わることを組毎に抑制することができる(
図5参照)。
【0060】
本実施形態では、コイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネに送風機13(14)を引っ張る弾性力が作用し、かつコイルバネ90a、90bのうち一方のコイルバネ以外の他方のコイルバネを送風機13(14)が圧縮する弾性力が他方のコイルバネに作用する。したがって、コイルバネ90aの弾性力が回転軸31の径方向の一方側に作用し、かつ組毎にコイルバネ90bの弾性力が組毎に径方向の他端側に作用する。このことにより、コイルバネ90a、90bのばね定数の等方性を保つことができる。したがって、コイルバネ90a、90bが組毎にシート固定プレート80に対して送風機13(14)が回転軸31の径方向に移動することを抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、コイルバネ90a、90bは、組毎に、ピアノ線、バネ用炭素綱、ステンレス綱など耐オゾン性が高く、温度依存性が低い金属で形成されている。このため、長期間使用後でも振動を減衰することができ、かつ低温下でも振動を減衰することができる。
【0062】
上記第1実施形態では、送風機13、14において、3組のコイルバネ90a、90bを設けた例について説明したが、これに代えて、送風機13、14において、4組のコイルバネ90a、90bを設けてもよい(
図6参照)。
図6では、コイルバネ90a、90bが組毎に回転軸31の軸線を中心とする円周方向に同一間隔に並べられている。
【0063】
この場合、上記第1実施形態のシート固定プレート80に突起部83dを追加し、かつ上記第1実施形態のケーシング20の側部21に支持軸部23dを追加することが必要になる。突起部83dは、突起部83a、83b、83cと同様に構成され、支持軸部23dが支持軸部23a、23b、23cと同様に構成されているものとする。
【0064】
また、コイルバネ90a、90bが5組以上に送風機13(或いは14)に設けてもよい。
【0065】
上記第1実施形態では、コイルバネ90a、90bがそれぞれの伸縮方向がV字状になるように配置した例について説明したが、これに代えて、コイルバネ90a、90bがそれぞれの伸縮方向がX字状になるように配置してもよい。
【0066】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、送風機13、14では、コイルバネ90a、90bの伸縮方向を交差するようにコイルバネ90a、90bを配置した例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、コイルバネ90a、90bの伸縮方向を回転軸31の径方向と同一になるように配置する例について説明する。
【0067】
図7は本実施形態の送風機13および支持部材50を示す断面図である。
図7において、
図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、3組のコイルバネ90a、90bに代えて1組のコイルバネ90a、90bが設けられている。
【0069】
本実施形態のコイルバネ90a、90bは、それぞれの伸縮方向が同一方向になるように配置されている。コイルバネ90a、90bは、それぞれの伸縮方向が回転軸31の軸線方向に対して直交する。コイルバネ90aは、径方向外側に配置されている一方、コイルバネ90bは、回転軸31の軸線に対してコイルバネ90aの反対側に配置されている。
【0070】
シート支持部60には、コイルバネ90a、90bが係る支持軸120、121が設けられている。押さえ板110には、コイルバネ90a、90bが係る第1、第2の支持軸(図示省略)が設けられている。このことにより、コイルバネ90a、90bが送風機13を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。
【0071】
送風機14の支持部材50には、送風機13の場合と同様に、コイルバネ90a、90bが設けられている。このことにより、コイルバネ90a、90bが送風機14を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。
【0072】
以上説明した本実施形態によれば、コイルバネ90a、90bが送風機13(14)を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。このため、送風機13から発生する振動をコイルバネ90a、90bが弾性変形によって減衰することができる。同様に、送風機14から発生する振動をコイルバネ90a、90bの弾性変形によって減衰することができる。
【0073】
本実施形態では、コイルバネ90a、90bは、それぞれの伸縮方向が同一方向になるように配置されている。コイルバネ90a、90bは、それぞれの伸縮方向が回転軸31の軸線方向に対して直交する。コイルバネ90aは、径方向外側に配置されている一方、コイルバネ90bは、回転軸31の軸線に対してコイルバネ90aの反対側に配置されている。このため、コイルバネ90aの弾性力を回転軸31の径方向一方側に作用させ、かつコイルバネ90bの弾性力を径方向他端側に作用させることができる。
【0074】
したがって、車両用シート10への乗員の着座などによってシートバネ51が移動しても、コイルバネ90a、90bがシートバネ51に対して送風機13が回転軸31の径方向に移動することを抑制する。つまり、コイルバネ90a、90bが車両用シート10に対して送風機13(或いは14)を回転軸31の径方向に送風機毎に移動することを抑制することができる。
【0075】
同様に、シート背もたれ部12の角度調整によってシートバネ51が移動しても、コイルバネ90a、90bがシート固定プレート80に対して送風機14が回転軸31の径方向に移動することを抑制する。つまり、コイルバネ90a、90bが車両用シート10に対して送風機14が回転軸31の径方向に移動することを抑制することができる。
【0076】
本実施形態では、シート支持部60と押さえ板110との間にコイルバネ90a、90bが配置されている。このため、本実施形態の支持部材50の体格の軸線方向寸法を上記第1実施形態に比べて小さくすることができる。これにより、車両用シート10の体格を小型化することができる。
【0077】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、コイルバネ90a、90bを用いて車両用シート10に対して送風機13、14を弾性的に支持する例について説明したが、これに代えて、板バネを用いて車両用シート10に対して送風機13、14を弾性的に支持する例について説明する。
【0078】
図8は本実施形態の送風機13および支持部材50を示す断面図である。
図9は
図8中IX−IX断面図である。
【0079】
本実施形態の送風機13の支持部材50には、
図8および
図9に示すように、上記第1実施形態の3組のコイルバネ90a、90bに代えて、4つの板バネ130が設けられている。
図10に示すように、板バネ130は、それぞれ、短冊状の板材を板厚方向に湾曲状に形成されているものである。本実施形態の板バネ130は、金属、樹脂等から形成されているものである。
【0080】
4つの板バネ130は、それぞれ、シート固定プレート80と押さえ板110との間に挟み込まれている。4つの板バネ130は、それぞれ、回転軸31の軸線を中心とする円周方向に同一間隔で並べられている。具体的には、4つの板バネ130は、その長手方向が回転軸31の軸線方向に直交し、かつ回転軸31の径方向に直交する方向になるようにそれぞれ配置されている。4つの板バネ130は、それぞれ、板厚方向が回転軸31の軸線方向と同一になるように配置されている。
【0081】
ここで、4つの板バネ130は、それぞれの長手方向の一方側130aとシート固定プレート80との間は接着剤等によって固定されている。4つの板バネ130は、それぞれの長手方向の他方側130bと押さえ板110との間は接着剤等によって固定されている。つまり、4つの板バネ130が送風機13を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。
【0082】
同様に、本実施形態の送風機14の支持部材50には、4つの板バネ130が設けられている。このため、4つの板バネ130が送風機14を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持している。
【0083】
以上説明した本実施形態によれば、送風機13、14から発生する振動を4つの板バネ130の弾性変形によって送風機毎に減衰することができる。
【0084】
本実施形態では、それぞれ、短冊状の板材を回転軸31の軸線方向(板厚方向)に湾曲状に形成されているものである。このため、4つの板バネ130は、それぞれ、回転軸31の軸線方向に弾性変形し易いものの、回転軸31の径方向には変形し難い。
【0085】
したがって、車両用シート10への乗員の着座、(或いは、シート背もたれ部12の角度調整)によってシートバネ51が移動しても、4つの板バネ130は、回転軸31の径方向には変形し難い。したがって、4つの板バネ130がシート固定プレート80に対して送風機13(或いは、14)を回転軸31の径方向に移動することを抑制する。つまり、コイルバネ90a、90bが車両用シート10に対して送風機13(或いは、14)を回転軸31の径方向に移動することを抑制することができる。
【0086】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、コイルバネ90a、90bを用いて送風機13、14を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持する例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、金属繊維を用いて送風機13、14を車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持する例について説明する。
【0087】
図11は本実施形態の送風機13および支持部材50を示す断面図である。
図12は支持部材50を示す正面図、
図13は支持部材50を示す右側面図である。
【0088】
本実施形態の送風機13の支持部材50には、
図11〜
図13に示すように、3組のコイルバネ90a、90bに代えて弾性部材140および弾性支持部材141が設けられている。
【0089】
弾性部材140は、回転軸31の軸線方向に直交して回転軸31の径方向に対して直交する方向を軸線方向とする中空部を有する円筒状に金属繊維によって形成されている。本実施形態では、金属繊維としては、例えば鉄等からなる繊維部材(例えば、スチールウール)が用いられる。弾性部材140の中空部には、送風機13の支持軸部(支持部)142が嵌め込まれている。つまり、弾性部材140が支持軸部142の外周を囲むように形成されている。支持軸部142は、送風機13のケーシング20の側部21に設けられたもので、回転軸31の軸線方向に直交して回転軸31の径方向に対して直交する方向に伸びるように形成されている。
【0090】
弾性支持部材141は、弾性部材140を囲むように筒状に形成される円筒部141aと、円筒部141aをシート固定プレート80に対して支える支持部141bとを備える。このことにより、送風機13が弾性部材140および弾性支持部材141によって車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持されることになる。
【0091】
送風機14の支持部材50には、送風機13の場合と同様に、弾性部材140および弾性支持部材141が設けられている。送風機14には、送風機13と同様に、支持軸部142が設けられている。このことにより、送風機14が弾性部材140および弾性支持部材141によって車両用シート10のシートバネ51に対して弾性的に支持されることになる。
【0092】
以上説明した本実施形態によれば、送風機13、14から発生する振動を弾性部材140の弾性変形によって送風機毎に減衰することができる。
【0093】
本実施形態では、支持軸部142は、回転軸31の軸線方向に直交して回転軸31の径方向に対して直交する方向に伸びるように形成されている。そして、弾性部材140が支持軸部142の外周を囲むように形成されている。このため、弾性部材140が送風機13(14)の支持軸部142を回転軸31の径方向から支えることになる。したがって、車両用シート10への乗員の着座(或いは、シート背もたれ部12の角度調整)によってシートバネ51が移動しても、弾性部材140が送風機13(14)の支持軸部142の回転軸31の径方向に移動することを抑制する。つまり、弾性部材140が車両用シート10に対して送風機13(14)を回転軸31の径方向に移動することを抑制することができる。
【0094】
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、弾性部材140として、回転軸31の軸線方向に直交して径方向に対して直交する方向を軸線方向とする円筒状に形成されたものを用いた例について説明したが、これに代えて、弾性部材140として、回転軸31の径方向を軸線方向とする角筒状に形成されたものを用いた例について説明する。
【0095】
図14は本実施形態の送風機13および支持部材50を示す断面図である。
図15は弾性部材140を示す正面図である。
【0096】
本実施形態の送風機13の支持部材50には、
図14および
図15に示すように、3つの弾性部材140および3つの弾性支持部材141が設けられている。
【0097】
3つの弾性部材140は、それぞれ配置される部位が異なるだけで、それぞれ同様な形状を有している。3つの弾性部材140は、それぞれ、金属繊維によって角筒状に形成されている。
【0098】
具体的には、3つの弾性部材140は、それぞれ、回転軸31の径方向を軸線方向とする角筒状に形成されている角筒部140bと、角筒部140bに対して径方向外側に配置されている底部140aとを有する。
【0099】
ここで、3つの弾性部材140のそれぞれにおいて、角筒部140bの軸方向の厚み寸法L1よりも、底部140aの径方向の厚み寸法L2の方が短い(
図14参照)。
【0100】
3つの弾性部材140は、それぞれ、回転軸31の軸線を中心とする円周方向に同一間隔に並べられている。3つの弾性支持部材141は、それぞれ対応する弾性部材140を径方向外側および円周方向から支えるように形成されている。3つの弾性支持部材141は、それぞれ、シート固定プレート80に対してネジ150等によって固定されている。
【0101】
送風機13のケーシング20の側部21には、
図15に示すように、回転軸31の径方向外側に延びる支持軸部(支持部)142が3つ設けられている。3つの支持軸部142は、それぞれ、回転軸31の軸線を中心とする円周方向に同一間隔に並べられている。3つの支持軸部142は、それぞれ対応する弾性部材140の中空部に嵌め込まれている。つまり、弾性部材140が支持軸部142の外周を囲むように形成されている。
【0102】
ここで、弾性部材140の角筒部140bは、支持軸部142を回転軸31の軸方向および円周方向から支える。弾性部材140の底部140aは、支持軸部142を回転軸31の径方向外側から支える。このことにより、送風機13が3つの弾性部材140および3つの弾性支持部材141によって車両用シート10に対して弾性的に支持されることになる。
【0103】
送風機14の支持部材50には、送風機13の場合と同様に、3つの弾性部材140および3つの弾性支持部材141が設けられている。送風機14のケーシング20の側部21には、送風機13と同様に、3つの支持軸部142が設けられている。このことにより、送風機14が3つの弾性部材140および3つの弾性支持部材141によって車両用シート10に対して弾性的に支持されることになる。
【0104】
以上説明した本実施形態によれば、送風機13(14)から発生する振動を3つの弾性部材140の弾性変形によって減衰することができる。
【0105】
本実施形態では、3つの支持軸部142は、それぞれ、回転軸31の径方向に伸びるように形成されている。3つの支持軸部142は、それぞれ、回転軸31の軸線を中心とする円周方向に同一間隔に並べられている。弾性部材140が支持軸部142の外周を囲むように形成されている。弾性部材140の底部140aは、支持軸部142を回転軸31の径方向外側から支える。したがって、車両用シート10への乗員の着座(或いは、シート背もたれ部12の角度調整)によってシートバネ51が移動しても、弾性部材140の底部140aが支持軸部142の回転軸31の径方向に移動することを抑制する。つまり、弾性部材140の底部140aが車両用シート10に対して送風機13(14)が回転軸31の径方向に移動することを抑制することができる。
【0106】
本実施形態では、3つの弾性部材140のそれぞれにおいて、角筒部140bの軸方向の厚み寸法L1よりも、底部140aの径方向の厚み寸法L2の方が短い。よって、弾性部材140では、軸方向に比べて径方向の方が弾性変形し難くなる。したがって、送風機13(14)が回転軸31の径方向に移動することを弾性部材140の底部140aによってより一層抑制することができる。
【0107】
(他の実施形態)
上記第2実施形態では、送風機毎に1組のコイルバネ90a、90bを配置した例について説明したが、これに代えて、送風機毎にコイルバネ90a、90bを2組以上配置してもよい。
【0108】
上記第5実施形態では、送風機毎に3つの弾性部材140を設けた例について説明したが、これに限らず、1つ以上であるならば、送風機毎に弾性部材140を幾つ設けてもよい。
【0109】
上記第1〜第5実施形態では、本発明のシート空調装置を車両用シート10に適用した例について説明したが、これに限らず、本発明のシート空調装置を車両以外のシートに適用してもよい。
【0110】
上記第1〜第5実施形態では、送風機13(14)として、表皮部材16の多数の吹出開口部17から空気を吸い込むようにした例について説明したが、これに代えて、送風機13(14)として、空気を表皮部材16の多数の吹出開口部17に向けて送風するようにしてもよい。
【0111】
上記第4実施形態では、弾性部材140として円筒状に形成したものを用いた例について説明したが、これに代えて、弾性部材140として角筒状に形成したものを用いてもよい。
【0112】
上記第5実施形態では、弾性部材140として角筒状に形成したものを用いた例について説明したが、これに代えて、弾性部材140として円筒状に形成したものを用いてもよい。
【0113】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。