(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スクラバーは、前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するスクラブフィルターをさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
前記スクラバーは、前記吐出器およびスクラブフィルターよりも下流側で前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去するミストフィルターをさらに含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記処理ユニットは、前記スクラバーよりも上流側に配置されており、前記処理ユニットで発生した排気から液体を除去する気液分離器を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記スクラバーは、前記複数の個別路にそれぞれ配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持する複数のスクラブフィルターをさらに含む、請求項13に記載の基板処理装置。
前記スクラバーは、前記複数の吐出器および複数のスクラブフィルターよりも下流側で前記複数の個別路にそれぞれ配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去する複数のミストフィルターをさらに含む、請求項14に記載の基板処理装置。
前記スクラバーは、前記集合路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するスクラブフィルターをさらに含む、請求項16に記載の基板処理装置。
前記スクラバーは、前記吐出器およびスクラブフィルターよりも下流側で前記集合路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去するミストフィルターをさらに含む、請求項17に記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄液(scrubbing liquid)を用いて排気を浄化するウェットスクラバーは、排気と洗浄液との接触によって汚染物質を除去または中和することにより排気を浄化する。排気から汚染物質を効率的に除去するには、排気に含まれる汚染物質に特化した洗浄液を排気に接触させる必要がある。たとえば、アルカリ性の汚染物質が排気に含まれる場合には、中和反応を起こさせるために、酸性の洗浄液を排気に接触させることが好ましい。
【0005】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、酸性薬液、アルカリ性薬液、および有機薬液などの複数種の薬液が同一の基板に供給される場合がある。また、一種類の薬液が基板に供給される場合でも、薬液の種類が処理の内容に応じて変更される場合もある。そのため、排気に含まれる汚染物質の種類が基板の処理中に変わる場合があるし、排気に含まれる汚染物質の種類が処理の内容に応じて変わる場合もある。
【0006】
特許文献1では、排気に含まれる汚染物質が一種類(IPA(イソプロピルアルコール))に限られているので、蒸気ミスト噴射器が一種類の洗浄液(水)しか噴射できなくても問題ないかもしれない。しかしながら、複数種の薬液が基板に供給される場合や、基板に供給される薬液の種類が処理の内容に応じて変更される場合には、基板の処理に伴って発生した排気を効率的に浄化できないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、基板の処理に伴って発生した排気を内部で浄化でき、排気を洗浄する洗浄液の種類を排気に含まれる汚染物質の種類に応じて変更できる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、
酸性薬液、アルカリ性薬液、および有機薬液のうちの2つ以上をそれぞれ異なる期間に基板に供給する処理ユニットと、前記処理ユニットで発生した薬液を含む排気を基板処理装置の外に配置された排気設備の方に導く排気通路と、前記排気を浄化する複数種の洗浄液を前記排気通路内で個別に吐出できる吐出器とを含み、前記排気通路内を流れる前記排気に洗浄液を接触させることにより、前記排気を浄化するスクラバーと、前記排気に含まれる薬液の種類に基づいて前記複数種の洗浄液のいずれか一つを選択し、選択された洗浄液を前記吐出器から吐出させる制御装置とを含む、基板処理装置である。吐出器は、洗浄液を噴霧することにより洗浄液を霧状にする噴霧器であってもよいし、複数の孔から洗浄液を連続的に吐出するシャワーヘッドであってもよい。
請求項2に記載の発明は、複数種の薬液の少なくとも一つを基板に供給する処理ユニットと、前記処理ユニットで発生した薬液を含む排気を基板処理装置の外に配置された排気設備の方に導く排気通路と、前記排気を浄化する複数種の洗浄液を前記排気通路内で個別に吐出できる吐出器とを含み、前記排気通路内を流れる前記排気に洗浄液を接触させることにより、前記排気を浄化するスクラバーと、前記排気に含まれる薬液の種類に基づいて前記複数種の洗浄液のいずれか一つを選択し、選択された洗浄液を前記吐出器から吐出させる制御装置とを含み、前記スクラバーは、前記排気通路内で開口する排液口に液体を吸引させることにより、前記排気通路内の液体を排出する排液装置と、前記スクラバーは、前記排液口よりも上流側で前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するスクラブフィルターをさらに含み、前記排液装置は、前記排気通路内の液体が前記排液口に向かって流れるように、前記スクラブフィルターよりも上流側から前記スクラブフィルターの下方を通って前記排液口まで延びる排液路を含む、基板処理装置である。
請求項3記載の発明は、複数種の薬液の少なくとも一つを基板に供給する処理ユニットと、前記処理ユニットで発生した薬液を含む排気を基板処理装置の外に配置された排気設備の方に導く排気通路と、前記排気を浄化する複数種の洗浄液を前記排気通路内で個別に吐出できる吐出器とを含み、前記排気通路内を流れる前記排気に洗浄液を接触させることにより、前記排気を浄化するスクラバーと、前記排気に含まれる薬液の種類に基づいて前記複数種の洗浄液のいずれか一つを選択し、選択された洗浄液を前記吐出器から吐出させる制御装置とを含み、前記スクラバーは、前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するスクラブフィルターと、前記排気通路内の気圧を検出する排気圧センサーをさらに含み、前記制御装置は、前記排気圧センサーの検出値に基づいて前記吐出器に洗浄液を間欠的に吐出させる、基板処理装置である。
請求項4に記載の発明は、複数種の薬液の少なくとも一つを基板に供給する処理ユニットと、前記処理ユニットで発生した薬液を含む排気を基板処理装置の外に配置された排気設備の方に導く排気通路と、前記排気を浄化する複数種の洗浄液を前記排気通路内で個別に吐出できる吐出器とを含み、前記排気通路内を流れる前記排気に洗浄液を接触させることにより、前記排気を浄化するスクラバーと、前記排気に含まれる薬液の種類に基づいて前記複数種の洗浄液のいずれか一つを選択し、選択された洗浄液を前記吐出器から吐出させる制御装置とを含み、前記スクラバーは、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持する複数のスクラブフィルターと、前記複数のスクラブフィルターの状態を個別に切り替えるフィルター切替装置とをさらに含み、前記フィルター切替装置は、前記排気通路内の気体が前記スクラブフィルターを通過する除去状態と、前記スクラブフィルターに対する気体の通過が停止される除去停止状態との間で、前記複数のスクラブフィルターの状態を個別に切り替えるものであり、前記制御装置は、前記排気に含まれる薬液の種類に基づいて前記複数のスクラブフィルターのいずれか一つを選択し、選択された前記スクラブフィルターを前記排気が通過するように、前記複数のスクラブフィルターの状態を前記フィルター切替装置によって切り替えさせる、基板処理装置である。
【0009】
請求項1〜4の構成によれば、複数種の薬液の少なくとも一つが基板に供給される。具体的には、処理ユニットは、二種類以上の薬液をそれぞれ異なる期間に基板に供給したり、複数種の薬液から選択された一種類の薬液を基板に供給したりする。したがって、排気に含まれる汚染物質(薬液成分など)の種類が基板の処理中に変わる場合があるし、排気に含まれる汚染物質の種類が処理の内容に応じて変わる場合もある。
【0010】
処理ユニットで発生した薬液を含む排気は、スクラバーの排気通路によって、基板処理装置の外に向けて案内される。スクラバーの吐出器は、複数種の洗浄液を排気通路内で個別に吐出することができる。スクラバーは、洗浄液を吐出器によって排気通路内で吐出させることにより、排気通路内を流れる排気に洗浄液を接触させる。これにより、汚染物質が排気から除去され、浄化された排気が、基板処理装置の外に配置された排気設備に排出される。
【0011】
排気に含まれる薬液の種類は、処理ユニットによって基板に供給される薬液の種類に応じて変化する。制御装置は、排気に含まれる薬液の種類に基づいて吐出器が吐出する洗浄液の種類を選択する。たとえば排気に含まれる汚染物質の種類が基板の処理中に変わる場合には、制御装置は、複数種の洗浄液をそれぞれ異なる期間に吐出器から吐出させる。また、排気に含まれる汚染物質の種類が処理の内容に応じて変わる場合には、制御装置は、洗浄液の種類を処理の内容ごとに変更する。
【0012】
このように、制御装置は、基板に供給される薬液の種類に基づいて複数種の洗浄液のいずれか一つを選択するので、排気に含まれる汚染物質の種類が基板の処理中に変わる場合や、排気に含まれる汚染物質の種類が処理の内容に応じて変わる場合であっても、排気に含まれる汚染物質に特化した洗浄液を排気に接触させることができる。これにより、処理ユニットで発生した排気を基板処理装置内で浄化でき、排気に含まれる汚染物質の残留量を低減できる。
また、請求項2の構成によれば、スクラブフィルターが、排液口よりも上流側に配置されている。排液装置は、スクラブフィルターと排気通路の底面との間の空間を通って、スクラブフィルターよりも上流側から排液口まで延びる排液路を有している。スクラブフィルターよりも上流側に存在する液体は、この排液路によって排液口の方に導かれる。したがって、排液装置は、排気通路内のより広い範囲から液体を集めることができ、これによって、排気通路内の液体の残留量を低減できる。
また、請求項3の構成によれば、スクラブフィルターが乾くと、スクラブフィルターの排気抵抗が小さくなるので、排気通路内の気圧が変化する。具体的には、スクラブフィルターよりも上流側の気圧が下がり、スクラブフィルターよりも下流側の気圧が上がる。言い換えると、スクラブフィルターよりも上流側の排気圧が強くなり(負圧の絶対値が大きくなり)、スクラブフィルターよりも下流側の排気圧が弱くなる(負圧の絶対値が小さくなる)。したがって、制御装置は、排気圧センサーの検出値に基づいて吐出器に洗浄液を間欠的に吐出させることにより、洗浄液の消費量を低減しながら、スクラブフィルターが十分に濡れている状態を維持できる。
また、請求項4の構成によれば、処理ユニットによって基板に供給される薬液の種類に基づいて複数のスクラブフィルターのいずれか一つが選択される。そして、処理ユニットで発生した薬液を含む排気が、選択されたスクラブフィルターを通過するように、フィルター切替装置が、複数のスクラブフィルターの状態を切り替える。たとえば、同じ薬液が基板に供給される場合には、排気が同じスクラブフィルターを通過するように個々のスクラブフィルターの状態が設定される。また、基板に供給される薬液の種類が変更されると、排気が通過するスクラブフィルターも変更される。したがって、処理ユニットで発生した薬液を含む排気は、薬液の種類ごとに設けられた専用のスクラブフィルターを通過する。そのため、複数の薬液が混合することによる予期しない反応を防止することができる。
【0013】
請求項
5に記載の発明は、前記スクラバーは、前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するフィルターをさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、気体を通過させるスクラブフィルターが、排気通路に配置されている。吐出器が洗浄液を吐出すると、洗浄液を含む雰囲気がスクラブフィルターに付着する。そのため、スクラブフィルターの外表面やスクラブフィルターの内表面に洗浄液が保持される。基板処理装置の外に向かって排気通路内を流通方向に流れる排気は、スクラブフィルターの内部の空隙を通過する。
【0014】
汚染物質を含む排気は、スクラブフィルターの内部を通過する際に、スクラブフィルターに保持されている洗浄液に接触する。洗浄液をスクラブフィルターに保持させることにより、排気通路内に存在する洗浄液の表面積が増加するので、排気と洗浄液との接触面積も増加する。これにより、汚染物質が排気から効率的に除去される。
請求項
6に記載の発明は、前記吐出器は、前記スクラブフィルターに向けて洗浄液を吐出する、請求項
2〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0015】
この構成によれば、スクラブフィルターは、吐出器からの洗浄液が吹き付けられる。したがって、吐出器から吐出された洗浄液がスクラブフィルターに直接当たり、洗浄液がスクラブフィルターに確実に供給される。そのため、スクラブフィルターに保持される洗浄液の量が増加し、スクラブフィルターに保持されている洗浄液に排気が確実に接触する。これにより、排気に含まれる汚染物質の残留量がさらに低減され、排気の清浄度が高められる。
【0016】
請求項
7に記載の発明は、前記スクラバーは、前記吐出器およびスクラブフィルターよりも下流側で前記排気通路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去するミストフィルターをさらに含む、請求項
2〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、気体を通過させると共に、気体から液体成分を除去するミストフィルターが、排気の流通方向における吐出器およびスクラブフィルターよりも下流側で排気通路に配置されている。したがって、洗浄液との接触によって汚染物質の残留量が低減された排気が、ミストフィルターを通過する。ミストフィルターを通過する排気は、洗浄液などの液体成分を含んでいる場合がある。このような液体成分は、ミストフィルターによって捕獲され、排気から除去される。したがって、汚染物質だけでなく、液体成分の残留量も基板処理装置の内部で低減される。
【0017】
請求項
8に記載の発明は、前記スクラバーは、前記排気通路内で開口する排液口に液体を吸引させることにより、前記排気通路内の液体を排出する排液装置を含む、請求項
1、3、4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、排液装置の吸引力が、排気通路内で開口する排液口に伝達され、排気通路内の液体が排液口に吸引される。これにより、排気通路内の液体が排出される。薬液を含む排気が排気通路に流入したり、吐出器が排気通路内で洗浄液を吐出したりするので、液滴が排気通路の内面に付着したり、液だまりが排気通路の底面(内面の底部)に形成されたりする場合がある。したがって、排液装置が排気通路内の液体を排出することにより、液体成分が排気に混入したり、種類の異なる洗浄液同士が排気通路内で接触したりすることを抑制または防止できる。そのため、排気通路内の清浄度を高めることができ、これによって、排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0020】
請求項
9に記載の発明は、
前記吐出器は、洗浄液を常時吐出する、請求項
2、4、5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、洗浄液が吐出器から常時吐出される。すなわち、基板処理装置が稼働している間、吐出器が洗浄液を吐出し続ける。したがって、洗浄液がスクラブフィルターに保持されている状態が確実に維持される。そのため、排気通路内を流れる排気が、スクラブフィルターに保持されている洗浄液に確実に接触する。これにより、排気に含まれる汚染物質の残留量を低減できる。さらに、スクラブフィルターが乾くと、スクラブフィルターが気流に与える抵抗が小さくなるので、スクラブフィルターを濡れた状態に維持することにより、排気圧の変動を低減できる。これにより、スクラバーを介して排気設備から処理ユニットに伝達される排気圧を安定させることができる。
【0021】
請求項
10に記載の発明は、
前記吐出器は、洗浄液を間欠的に吐出する、請求項
2、4、5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、洗浄液が吐出器から間欠的に吐出される。そのため、洗浄液の消費量を低減できる。また、洗浄液が断続的にスクラブフィルターに供給されるので、スクラブフィルターが完全に乾くことを防止できる。したがって、洗浄液の消費量を低減しながら、排気を浄化でき、処理ユニットに伝達される排気圧を安定させることができる。
【0022】
前記吐出器が洗浄液を間欠的に吐出する場合、前記吐出器が洗浄液を吐出する間隔(吐出が停止されてから再開されるまでの時間)は、予め定められた一定の間隔であってもよいし、排気通路内の気圧に基づいて設定される任意の間隔であってもよい。たとえば、前記スクラバーは、前記排気通路内の気圧を検出する排気圧センサーをさらに含み、前記制御装置は、前記排気圧センサーの検出値に基づいて前記吐出器に洗浄液を間欠的に吐出させてもよい。
【0023】
前述のように、スクラブフィルターが乾くと、スクラブフィルターの排気抵抗が小さくなるので、排気通路内の気圧が変化する。具体的には、スクラブフィルターよりも上流側の気圧が下がり、スクラブフィルターよりも下流側の気圧が上がる。言い換えると、スクラブフィルターよりも上流側の排気圧が強くなり(負圧の絶対値が大きくなり)、スクラブフィルターよりも下流側の排気圧が弱くなる(負圧の絶対値が小さくなる)。したがって、制御装置は、排気圧センサーの検出値に基づいて吐出器に洗浄液を間欠的に吐出させることにより、洗浄液の消費量を低減しながら、スクラブフィルターが十分に濡れている状態を維持できる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、前記処理ユニットは、前記スクラバーよりも上流側に配置されており、前記処理ユニットで発生した排気から液体を除去する気液分離器を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、スクラバーよりも上流側に配置された気液分離器が、処理ユニットで発生した排気から液体を分離し、排気から液体成分を除去する。そして、気液分離器によって液体の含有量が低減された排気が、スクラバーに送られる。したがって、処理ユニットで発生した排気に薬液成分が含まれているとしても、薬液の含有量が気液分離器によって低減された状態で、排気がスクラバーに送られる。つまり、気液分離器とスクラバーとによって汚染物質の残留量が低減される。そのため、基板処理装置から排出される排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0027】
請求項12に記載の発明は、前記処理ユニットは、それぞれが複数種の薬液の少なくとも一つを基板に供給する複数の処理ユニットを含み、前記排気通路は、前記複数の処理ユニットにそれぞれ接続された複数の個別路と、前記複数の個別路のそれぞれから下流側に延びる集合路とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、排気通路の複数の個別路が、複数の処理ユニットにそれぞれ接続されており、排気通路の集合路が、複数の個別路のそれぞれに接続されている。複数の処理ユニットで発生した排気は、複数の処理ユニットからそれぞれ複数の個別路に排出される。そして、複数の個別路に流入した排気は、集合路を経て、基板処理装置の外に配置された排気設備の方に導かれる。各処理ユニットで発生した排気は、排気通路内を流れる過程で、洗浄液との接触によって浄化される。したがって、スクラバーは、複数の処理ユニットで発生した排気を基板処理装置内で浄化できる。そのため、個々の処理ユニットに対応する複数のスクラバーを基板処理装置内に設ける必要がない。
【0028】
請求項13に記載の発明は、前記吐出器は、前記複数の個別路にそれぞれ配置された複数の吐出器を含む、請求項12に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、複数の吐出器が、それぞれ、複数の個別路に配置されている。したがって、スクラバーは、ある個別路で吐出される洗浄液とは異なる種類の洗浄液を別の個別路で吐出させることができる。そのため、スクラバーは、排気に含まれる汚染物質に特化した洗浄液を個々の個別路で排気に接触させることができる。これにより、スクラバーは、複数の処理ユニットで発生した排気から汚染物質を効率的に除去できる。
【0029】
請求項14に記載の発明は、前記スクラバーは、前記複数の個別路にそれぞれ配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持する複数のスクラブフィルターをさらに含む、請求項13に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、複数のスクラブフィルターが、それぞれ、複数の個別路に配置されている。したがって、スクラバーは、排気と洗浄液とを個々の個別路内で確実に接触させることができると共に、個別路内での排気と洗浄液との接触時間を増加させることができる。そのため、スクラバーは、複数の処理ユニットで発生した排気から汚染物質を効率的に除去でき、排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0030】
請求項15に記載の発明は、前記スクラバーは、前記複数の吐出器および複数のスクラブフィルターよりも下流側で前記複数の個別路にそれぞれ配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去する複数のミストフィルターをさらに含む、請求項14に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、複数のミストフィルターが、それぞれ、複数の個別路に配置されている。つまり、専用のミストフィルターが、個別路ごとに設けられている。したがって、スクラバーは、個々の個別路で排気から液体成分を除去できる。そのため、スクラバーは、複数の処理ユニットで発生した排気から液体成分を確実に除去でき、排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0031】
請求項16に記載の発明は、前記吐出器は、前記集合路に配置されている、請求項12に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、吐出器が集合路に配置されている。複数の処理ユニットから排出された排気は、対応する個別路を通って集合路に流入し、吐出器から吐出された洗浄液に集合路で接触する。これにより、複数の処理ユニットで発生した排気が浄化される。このように、吐出器が集合路に配置されているので、個々の個別路に吐出器を設けなくてもよい。したがって、基板処理装置の部品点数を減少させることができ、基板処理装置の構造を簡素化できる。
【0032】
請求項17に記載の発明は、前記スクラバーは、前記集合路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、液体を内部に保持するスクラブフィルターをさらに含む、請求項16に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、スクラブフィルターが集合路に配置されている。複数の処理ユニットから排出された排気は、対応する個別路を通って集合路に流入し、集合路でスクラブフィルターを通過する。これにより、複数の処理ユニットで発生した排気が洗浄液に確実に接触する。このように、スクラブフィルターが集合路に配置されているので、個々の個別路にスクラブフィルターを設けなくてもよい。したがって、基板処理装置の部品点数を減少させることができ、基板処理装置の構造を簡素化できる。
【0033】
請求項18に記載の発明は、前記スクラバーは、前記吐出器およびスクラブフィルターよりも下流側で前記集合路に配置されており、前記排気通路内を流れる気体を通過させると共に、前記気体から液体成分を除去するミストフィルターをさらに含む、請求項17に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、ミストフィルターが集合路に配置されている。複数の処理ユニットから排出された排気は、対応する個別路を通って集合路に流入し、集合路でミストフィルターを通過する。これにより、液体成分が排気から除去される。このように、ミストフィルターが集合路に配置されているので、個々の個別路にミストフィルターを設けなくてもよい。したがって、基板処理装置の部品点数を減少させることができ、基板処理装置の構造を簡素化できる。
【0034】
請求項19に記載の発明は、前記スクラバーは、前記集合路内で開口する排液口に液体を吸引させることにより、前記排気通路内の液体を排出する排液装置をさらに含み、前記排液装置は、前記複数の個別路のそれぞれから前記集合路まで延びており、前記排気通路内の液体が前記複数の個別路から前記集合路に流れるように水平面に対して傾いた複数の排液路を含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0035】
この構成によれば、排液装置の複数の排液路が、それぞれ複数の個別路に対応しており、各排液路が、対応する個別路から集合路まで延びている。各排液路が水平面に対して傾いており、排液路の下流端が、排液路の上流端よりも下方に配置されているので、複数の個別路内の液体は、自重で複数の排液路を集合路に向かって流れる。したがって、複数の個別路内の液体は、集合路に集められる。排液装置は、集合路で開口する排液口から集合路内の液体を吸引する。そのため、排液装置は、排気通路内のより広い範囲から液体を集めることができ、これによって、排気通路内の液体の残留量を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。
図2は、処理ユニット2の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wに処理液を供給する複数の処理ユニット2と、各処理ユニット2から排出された排気を洗浄するスクラバー3と、複数の処理ユニット2およびスクラバー3を収容する箱形の外壁4と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置5とを含む。
【0038】
図2に示すように、各処理ユニット2は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式のユニットである。各処理ユニット2は、他の処理ユニット2と共通の構成を有している。各処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー6と、チャンバー6内で1枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック7と、スピンチャック7に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する処理液供給装置8〜11と、スピンチャック7を取り囲む筒状のカップ12とを含む。
【0039】
図2に示すように、チャンバー6は、スピンチャック7等を収容する箱形の隔壁13と、隔壁13の上部から隔壁13内にクリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送る送風ユニットとしてのFFU14(ファン・フィルタ・ユニット)と、隔壁13の下部からチャンバー6内の気体を排出する室内排気ダクト15とを含む。FFU14は、隔壁13の上方に配置されている。FFU14は、隔壁13の天井からチャンバー6内に下向きにクリーンエアーを送る。室内排気ダクト15は、カップ12の底部に接続されており、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備に向けてチャンバー6内の気体を案内する。したがって、チャンバー6内を下方に流れるダウンフロー(下降流)が、FFU14および室内排気ダクト15によって形成される。ダウンフローは、基板Wがチャンバー6内に存在する期間中だけでなくその他の期間も形成される。
【0040】
図2に示すように、スピンチャック7は、基板Wを水平に保持する円盤状のスピンベース16と、基板Wおよびスピンベース16を回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ17とを含む。スピンチャック7は、基板Wを水平方向に挟むことにより基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
図2は、スピンチャック7が複数のチャックピンによって基板Wを挟持する挟持式のチャックである場合を示している。カップ12は、スピンベース16を取り囲んでいる。上向きに開いたカップ12の上端部は、スピンベース16よりも上方に配置されている。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、カップ12によって受け止められ、カップ12の内部で開口する排液口12aから排出される。
【0041】
図2に示すように、処理液供給装置8〜11は、基板Wに向けて酸性の薬液を吐出する酸性薬液ノズル8と、基板Wに向けてアルカリ性の薬液を吐出するアルカリ性薬液ノズル9と、基板Wに向けて有機薬液を吐出する有機薬液ノズル10と、基板Wに向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル11とを含む。酸性薬液ノズル8は、吐出口が静止した状態で基板Wの上面中央部に向けて処理液を吐出する固定ノズルであってもよいし、基板Wの上面に対する処理液の着液位置が中央部と周縁部との間で移動するように移動しながら処理液を吐出するスキャンノズルであってもよい。アルカリ性薬液ノズル9、有機薬液ノズル10、およびリンス液ノズル11についても同様である。
【0042】
図2に示すように、処理ユニット2は、酸性薬液ノズル8に接続された酸性薬液配管18と、酸性薬液配管18に介装された酸性薬液バルブ19とを含む。同様に、処理ユニット2は、アルカリ性薬液ノズル9に接続されたアルカリ性薬液配管20と、アルカリ性薬液配管20に介装されたアルカリ性薬液バルブ21と、有機薬液ノズル10に接続された有機薬液配管22と、有機薬液配管22に介装された有機薬液バルブ23と、リンス液ノズル11に接続されたリンス液配管24と、リンス液配管24に介装されたリンス液バルブ25とを含む。
【0043】
酸性薬液バルブ19が開かれると、酸性薬液供給源からの酸性薬液が、基板Wの上面に向けて酸性薬液ノズル8から吐出される。同様に、アルカリ性薬液バルブ21、有機薬液バルブ23、およびリンス液バルブ25のいずれかが開かれると、アルカリ性薬液、有機薬液、およびリンス液のいずれかが、アルカリ性薬液ノズル9、有機薬液ノズル10、およびリンス液ノズル11のいずれかから基板Wの上面に向けて吐出される。
【0044】
酸性薬液の一例は、フッ酸(フッ化水素酸)であり、アルカリ性薬液の一例は、SC−1(アンモニア過酸化水素水)である。有機薬液の一例は、IPA(イソプロピルアルコール)であり、リンス液の一例は、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。酸性薬液は、硫酸や塩酸を含む酸性薬液であってもよい。アルカリ性薬液は、TMAH(トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド)などを含むアルカリ性薬液であってもよい。有機薬液は、IPAに限らず、HFE(ハイドロフロロエーテル)などの他の有機薬液であってもよい。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0045】
図2に示すように、処理ユニット2は、処理ユニット2内で発生した混合流体に含まれる気体および液体を分離させる気液分離器26を含む。気液分離器26は、チャンバー6の外に配置されている。気液分離器26は、室内排気ダクト15に接続された気液分離ボックス27と、気液分離ボックス27の内部から気液分離ボックス27の外部に延びる液体配管28と、気液分離ボックス27の内部から気液分離ボックス27の外部に延びる気体配管29とを含む。
【0046】
図2に示すように、気体配管29は、気液分離ボックス27の底面から上方に突出している。液体配管28の端部は、気液分離ボックス27底面において開口する液体排出口30を形成しており、気体配管29の端部は、気液分離ボックス27内で開口する気体排出口31を液体排出口30よりも上方の高さで形成している。気体配管29は、スクラバー3(具体的には、後述する上流排気ダクト32)に接続されている。したがって、チャンバー6内で発生した排気は、気液分離ボックス27および気体配管29を介してスクラバー3に排出される。
【0047】
処理液が基板Wに供給されると、蒸気やミストを含む排気がチャンバー6内に発生する。この排気(気体および液体の混合流体)は、室内排気ダクト15を通って気液分離ボックス27の内部に流入する。排気に含まれる液体成分は、気液分離ボックス27内で液滴に変化し、液体排出口30から排液される。気体排出口31は、液体排出口30よりも上方に配置されているので、気液分離ボックス27内の液体が気体排出口31に浸入し難い。したがって、液体の残留量が低減された排気が、気体排出口31に吸引され、スクラバー3に排出される。
【0048】
図3は、処理ユニット2によって行われる基板Wの処理の一例を示す工程図である。以下では、
図2および
図3を参照する。
FFU14がクリーンエアーをチャンバー6内に供給しており、室内排気ダクト15がチャンバー6内の気体を排出している状態、つまりダウンフローがチャンバー6内に形成されている状態で、制御装置5は、酸性薬液ノズル8、アルカリ性薬液ノズル9、有機薬液ノズル10、およびリンス液ノズル11のいずれから吐出された処理液を回転状態の基板Wに供給させる。具体的には、制御装置5は、搬送ロボット(図示せず)を制御する事により、基板Wをスピンチャック7上に搬送させる。その後、制御装置5は、スピンチャック7に基板Wの回転を開始させる。
【0049】
次に、酸性薬液の一例であるフッ酸を基板Wに供給する酸性薬液供給工程(ステップS1)が行われる。具体的には、制御装置5は、酸性薬液バルブ19を開いて、スピンチャック7によって基板Wを回転させながら、酸性薬液ノズル8から基板Wの上面中央部に向けてフッ酸を吐出させる。これにより、フッ酸が基板Wの上面に供給される。そして、酸性薬液バルブ19が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置5は、酸性薬液バルブ19を閉じてフッ酸の吐出を停止させる。
【0050】
酸性薬液ノズル8から吐出されたフッ酸は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域を覆うフッ酸の液膜が基板W上に形成され、基板Wの上面全域にフッ酸が供給される。また、基板Wへのフッ酸の供給や、カップ12の内面に対するフッ酸の衝突に伴って発生したフッ酸を含む雰囲気は、カップ12の底部から室内排気ダクト15に排出される。これにより、酸性排気(酸性薬液を含む気体)がカップ12の内部から排出される。
【0051】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第1中間リンス液供給工程(ステップS2)が行われる。具体的には、制御装置5は、リンス液バルブ25を開いて、基板Wを回転させながら、リンス液ノズル11から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆うフッ酸の液膜が純水に置換され、基板W上のフッ酸が純水によって洗い流される。また、基板Wへの純水の供給等に伴って発生した純水を含む雰囲気は、カップ12の底部から室内排気ダクト15に排出される。そして、リンス液バルブ25が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置5は、リンス液バルブ25を閉じて純水の吐出を停止させる。
【0052】
次に、アルカリ性薬液の一例であるSC−1を基板Wに供給するアルカリ性薬液供給工程(ステップS3)が行われる。具体的には、制御装置5は、アルカリ性薬液バルブ21を開いて、基板Wを回転させながら、アルカリ性薬液ノズル9から基板Wの上面中央部に向けてSC−1を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜がSC−1に置換され、基板Wの上面全域にSC−1が供給される。また、基板WへのSC−1の供給等に伴って発生したSC−1を含む雰囲気は、カップ12の底部から室内排気ダクト15に排出される。これにより、アルカリ性排気(アルカリ性薬液を含む気体)がカップ12の内部から排出される。そして、アルカリ性薬液バルブ21が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置5は、アルカリ性薬液バルブ21を閉じてSC−1の吐出を停止させる。
【0053】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第2中間リンス液供給工程(ステップS4)が行われる。具体的には、制御装置5は、リンス液バルブ25を開いて、基板Wを回転させながら、リンス液ノズル11から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆うSC−1の液膜が純水に置換され、基板W上のSC−1が純水によって洗い流される。また、基板Wへの純水の供給等に伴って発生した純水を含む雰囲気は、カップ12の底部から室内排気ダクト15に排出される。そして、リンス液バルブ25が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置5は、リンス液バルブ25を閉じて純水の吐出を停止させる。
【0054】
次に、有機薬液の一例であるIPAを基板Wに供給する有機薬液供給工程(ステップS5)が行われる。具体的には、制御装置5は、有機薬液バルブ23を開いて、基板Wを回転させながら、有機薬液ノズル10から基板Wの上面中央部に向けてIPAを吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜がIPAに置換され、基板W上の純水がIPAによって洗い流される。また、基板WへのIPAの供給等に伴って発生したIPAを含む雰囲気は、カップ12の底部から室内排気ダクト15に排出される。これにより、有機排気(有機薬液を含む気体)がカップ12の内部から排出される。そして、有機薬液バルブ23が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置5は、有機薬液バルブ23を閉じてIPAの吐出を停止させる。
【0055】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(ステップS6)が行われる。具体的には、制御装置5は、基板Wの回転を加速させて、酸性薬液供給工程から有機薬液供給工程までの回転速度よりも速い高回転速度(たとえば数千rpm)で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置5は、スピンチャック7による基板Wの回転を停止させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック7から搬出される。
【0056】
図4は、スクラバー3の内部を上方から見た模式図である。
図5は、スクラバー3の内部を側方から見た模式図である。
図4に示すように、スクラバー3は、複数の処理ユニット2にそれぞれ接続された複数の上流排気ダクト32と、複数の上流排気ダクト32にそれぞれ接続された複数の排気流入室33と、複数の排気流入室33のそれぞれに接続された排気集合室34と、排気集合室34に接続された下流排気ダクト35とを含む。スクラバー3は、さらに、排気流入室33および排気集合室34を通って上流排気ダクト32から下流排気ダクト35に向かう排気から汚染物質を除去する複数の薬液分離器36と、複数の薬液分離器36から下流排気ダクト35に向かう排気から液体成分を除去する複数のミスト分離器37(mist separator)とを含む。
【0057】
図4に示すように、スクラバー3は、複数の上流排気ダクト32に接続された排気洗浄ボックス38を含む。排気洗浄ボックス38は、内部空間を有する箱形のハウジング39と、ハウジング39の内部を仕切る仕切壁40とを含む。排気流入室33および排気集合室34は、ハウジング39の内部に設けられており、ハウジング39および仕切壁40によって形成されている。したがって、排気流入室33および排気集合室34は、共通の部材(排気洗浄ボックス38)によって形成されている。
【0058】
図4に示すように、スクラバー3は、複数の処理ユニット2で発生した排気を基板処理装置1の外に配置された排気設備に向けて案内する排気通路41を含む。排気通路41は、複数の処理ユニット2にそれぞれ接続された複数の個別路42と、複数の個別路42のそれぞれに接続された集合路43とを含む。各個別路42は、対応する処理ユニット2から集合路43まで延びている。個別路42は、上流排気ダクト32、ハウジング39、および仕切壁40によって形成されており、集合路43は、ハウジング39および下流排気ダクト35によって形成されている。複数の処理ユニット2で発生した排気は、複数の個別路42から集合路43に流れ、集合路43によって下流側(排気設備側)に案内される。
【0059】
個別路42は、後述するミストフィルター48によってろ過される前の排気が流れる通路であり、集合路43は、ミストフィルター48によってろ過された排気が通過する通路である。つまり、個別路42および集合路43は、通路内を流れる排気がミストフィルター48によってろ過されているか否かという点で機能的に区分けされている。これに対して、排気流入室33および排気集合室34は、仕切壁40によって仕切られているか否かという点で構造的に区分けされている。すなわち、排気流入室33は、排気洗浄ボックス38において仕切壁40に仕切られた部分であり、排気集合室34は、排気洗浄ボックス38において仕切壁40に仕切られていない部分である。
【0060】
図1に示すように、複数の上流排気ダクト32は、複数の処理ユニット2にそれぞれ設けられた複数の気体配管29にそれぞれ接続されている。
図4に示すように、上流排気ダクト32は、対応する処理ユニット2から対応する排気集合室34まで延びている。上流排気ダクト32の上流端は、気体配管29に接続されており、上流排気ダクト32の下流端部は、排気集合室34の内面で開口する吸気口44に接続されている。したがって、複数の排気流入室33は、複数の上流排気ダクト32を介して、複数の処理ユニット2にそれぞれ接続されている。
【0061】
図4に示すように、各排気流入室33は、処理ユニット2から排気設備に向かう排気の流通方向D1に延びている。複数の排気流入室33は互いに平行である。排気流入室33に流入した排気は、排気流入室33によって流通方向D1に案内される。排気流入室33の流路面積(流通方向D1に直交する断面積)は、上流排気ダクト32の流路面積よりも大きい。各排気流入室33の上流端部は、対応する上流排気ダクト32に接続されており、各排気流入室33の下流端部は、排気集合室34に接続されている。
【0062】
図4に示すように、排気集合室34は、全ての排気流入室33よりも下流側に配置されている。排気集合室34の流路面積は、排気流入室33の流路面積よりも大きく、下流排気ダクト35の流路面積よりも大きい。
図5に示すように、下流排気ダクト35の上流端部は、排気集合室34の底面(内面の底部)で開口する開口部に接続されている。下流排気ダクト35の上流端部は、排気集合室34の底面から上方に突出しており、排気集合室34の底面よりも上方の高さで開口する排気口45を形成している。排気集合室34は、下流排気ダクト35を介して、排気設備に接続されている。したがって、排気設備の吸引力は、下流排気ダクト35を介して排気集合室34に伝達される。これにより、排気設備の吸引力が、スクラバー3を介して全ての処理ユニット2に伝達される。
【0063】
図4に示すように、各排気流入室33は、薬液分離器36およびミスト分離器37を収容している。さらに、各排気流入室33は、後述する2つの噴霧器54を収容している。薬液分離器36は、ミスト分離器37よりも排気の流通方向D1における上流側に配置されている。2つの噴霧器54は、薬液分離器36の上流および下流にそれぞれ配置されている。
【0064】
図4に示すように、薬液分離器36は、排気流入室33の内部空間を排気の流通方向D1に並んだ2つの空間に仕切っている。吸気口44と薬液分離器36との間の排気流入室33内の空間は、上流洗浄空間であり、薬液分離器36とミスト分離器37との間の排気流入室33内の空間は、下流洗浄空間である。2つの噴霧器54は、それぞれ、上流洗浄空間および下流洗浄空間に配置されている。ミスト分離器37は、排気流入室33の下流端部内に配置されており、排気流入室33と排気集合室34とを仕切っている。すなわち、ミスト分離器37よりも下流の空間は、排気集合室34の内部(排気集合空間)である。
【0065】
図4に示すように、薬液分離器36は、排気の流通方向D1に気体および液体を通過させるメッシュ状のスクラブフィルター46と、スクラブフィルター46を保持するフィルターケース47とを含む。ミスト分離器37は、排気の流通方向D1に気体を通過させるメッシュ状のミストフィルター48と、ミストフィルター48を保持するミストフィルターケース49とを含む。スクラブフィルター46は、フィルターケース47内に収容されており、ミストフィルター48は、ミストフィルターケース49内に収容されている。フィルターケース47およびミストフィルターケース49は、排気洗浄ボックス38に取り付けられている。したがって、薬液分離器36およびミスト分離器37は、排気洗浄ボックス38に保持されている。
【0066】
図4に示すように、フィルターケース47は、フィルターケース47の内部とフィルターケース47の外部とを繋ぐ複数の開口を含む。フィルターケース47に設けられた複数の開口は、スクラブフィルター46よりも上流側に配置された上流開口50と、スクラブフィルター46よりも下流側に配置された下流開口51と、スクラブフィルター46の下方に配置された下方開口52(
図5参照)とを含む。スクラブフィルター46は、フィルターケース47に設けられた複数の開口から露出している。
図5に示すように、フィルターケース47の下面は、上下方向に間隔を空けて排気洗浄ボックス38の底面(内面の底部)に対向している。フィルターケース47の下面と排気洗浄ボックス38の底面との間の上下方向の間隔は、薬液分離器36の高さよりも十分に小さい。
【0067】
フィルターケース47と同様に、ミストフィルターケース49は、ミストフィルターケース49の内部とミストフィルターケース49の外部とを繋ぐ複数の開口を含む。ミストフィルターケース49に設けられた複数の開口は、ミストフィルター48よりも上流側に配置された上流開口50と、ミストフィルター48よりも下流側に配置された下流開口51と、ミストフィルター48の下方に配置された下方開口52とを含む。ミストフィルター48は、ミストフィルターケース49に設けられた複数の開口から露出している。ミストフィルターケース49の下面は、上下方向に間隔を空けて排気洗浄ボックス38の底面に対向している。ミストフィルターケース49の下面と排気洗浄ボックス38の底面との間の上下方向の間隔は、ミスト分離器37の高さよりも十分に小さい。
【0068】
スクラブフィルター46は、ミストフィルター48と等しい高さを有しており、ミストフィルター48と等しい幅を有している。
図4に示すように、スクラブフィルター46は、ミストフィルター48よりも排気の流通方向D1に長い。スクラブフィルター46は、ミストフィルター48よりも粗いフィルターである。したがって、スクラブフィルター46は、気体および液体を通過させることができる。また、ミストフィルター48は、スクラブフィルター46よりも細かいフィルターであり、気体だけを通過させることができ、液体だけを選択的に除去できる。
【0069】
排気設備の吸引力によって処理ユニット2から排気流入室33に吸引された排気は、フィルターケース47の上流開口50を通じてフィルターケース47内のスクラブフィルター46に供給される。そして、スクラブフィルター46を通過した排気は、スクラブフィルター46の下流開口51を通じてフィルターケース47の内部からフィルターケース47の外部に移動する。その後、薬液分離器36を通過した排気は、ミストフィルターケース49の上流開口50を通じてミストフィルターケース49内のミストフィルター48に供給される。そして、ミストフィルター48を通過した排気は、ミストフィルター48の下流開口51を通じてミストフィルターケース49の内部からミストフィルターケース49の外部に移動する。その後、ミスト分離器37を通過した排気は、下流排気ダクト35を介して排気設備に導かれる。
【0070】
図4に示すように、スクラバー3は、排気を洗浄する洗浄液をスクラバー3内で噴霧する噴霧装置53を含む。噴霧装置53は、処理ユニット2で基板Wに供給される薬液の種類に応じて、酸性、アルカリ性、または中性の洗浄液をスクラバー3内で噴霧する。
図4は、酸性洗浄液と中性洗浄液とをスクラバー3内で個別に噴霧する構成例を示している。酸性洗浄液の一例は、希硫酸であり、中性洗浄液の一例は、水(工業用水)である。酸性洗浄液は、希硫酸以外の酸性液体であってもよいし、中性洗浄液は、水を主成分とする中性液体であってもよい。アルカリ性洗浄液は薄いアンモニア水溶液などを用いることができる。
【0071】
噴霧装置53は、処理ユニット2から排出された排気と洗浄液のミストとを接触させることにより、排気に含まれる汚染物質を洗浄液のミストに捕獲させる装置である。
図4に示すように、噴霧装置53は、スクラバー3内で洗浄液を噴霧する複数の噴霧器54と、各噴霧器54に洗浄液を供給する洗浄液供給装置55とを含む。複数の噴霧器54は、排気洗浄ボックス38の内部に配置されている。複数の噴霧器54は、複数の排気流入室33にそれぞれ配置された複数対の噴霧器54を含む。対の噴霧器54は、薬液分離器36の上流および下流にそれぞれ配置されている。
【0072】
図4および
図5に示すように、噴霧器54は、排気流入室33内に配置された円柱状の噴霧塔56と、噴霧塔56の外周面から外方に突出する複数のスプレーノズル57とを含む。噴霧塔56は、上下方向に延びている。複数のスプレーノズル57は、それぞれ異なる高さに配置されており、平面視において噴霧塔56の周方向に離れた2つの位置に配置されている。各スプレーノズル57の噴霧口は、薬液分離器36に対向している。
【0073】
各スプレーノズル57は、噴霧塔56の内部に設けられた洗浄液の流路に接続されている。各スプレーノズル57は、噴霧塔56を通じて洗浄液供給装置55から供給された洗浄液を円錐状に噴霧する。これにより、洗浄液のミストが、排気流入室33の内部(上流洗浄空間および下流洗浄空間)を漂い、処理ユニット2から排出された排気が、洗浄液のミストに接触する。さらに、各スプレーノズル57は、洗浄液を薬液分離器36に向けて噴霧するので、洗浄液の液滴が、スクラブフィルター46の外表面および内表面に供給され、スクラブフィルター46の内部に保持される。そのため、スクラブフィルター46を通過する排気は、スクラブフィルター46に保持されている洗浄液にも接触する。
【0074】
図4に示すように、洗浄液供給装置55は、複数対の噴霧器54にそれぞれ接続された複数の洗浄液供給ユニット58を含む。複数の洗浄液供給ユニット58は、それぞれ、複数の排気流入室33に対応している。各洗浄液供給ユニット58は、対応する対の噴霧器54に洗浄液を供給する。各洗浄液供給ユニット58は、他の洗浄液供給ユニット58の稼働状況によらず、対応する対の噴霧器54に洗浄液を供給できる。したがって、各洗浄液供給ユニット58は、他の洗浄液供給ユニット58から独立している。
【0075】
図4に示すように、各洗浄液供給ユニット58は、上流側の噴霧器54に接続された上流洗浄液配管59と、下流側の噴霧器54に接続された下流洗浄液配管60と、上流洗浄液配管59および下流洗浄液配管60に接続された集合配管61と、集合配管61に介装された配管内混合器62とを含む。図示はしないが、配管内混合器62は、集合配管61に介装された配管と、配管内に配置されており、配管の軸方向に延びる軸線まわりに捩れた撹拌フィンとを含む。配管内混合器62内(配管内)に供給された混合流体は、撹拌フィンに沿って螺旋状に流れる間に均一に混合される。
【0076】
図4に示すように、各洗浄液供給ユニット58は、集合配管61に接続された酸性液体配管63と、酸性液体配管63に介装された酸性液体バルブ64と、酸性液体配管63に介装された第1流量調整バルブ65とを含む。各洗浄液供給ユニット58は、さらに、集合配管61に接続された中性液体配管66と、中性液体配管66に介装された中性液体バルブ67と、中性液体配管66に介装された第2流量調整バルブ68とを含む。酸性液体の一例は、濃硫酸であり、中性液体の一例は、水である。前述の酸性洗浄液は、酸性液体が中性液体によって希釈された希釈液である。
【0077】
酸性液体バルブ64が開かれると、酸性液体配管63内の酸性液体が、第1流量調整バルブ65の開度に対応する流量で集合配管61内に流入する。同様に、中性液体バルブ67が開かれると、中性液体配管66内の水が、第2流量調整バルブ68の開度に対応する流量で集合配管61に流入する。したがって、酸性液体バルブ64が閉じられており、中性液体バルブ67が開かれている状態では、中性液体配管66から集合配管61に供給された水が、等しい流量で上流洗浄液配管59および下流洗浄液配管60内に流入し、等しい流量で対の噴霧器54に供給される。これにより、中性洗浄液としての水が、等しい流量で対の噴霧器54から噴霧される。
【0078】
また、酸性液体バルブ64および中性液体バルブ67の両方が開かれている状態では、水および濃硫酸が、所定の割合(たとえば、100〜1000(水):1(濃硫酸))で集合配管61に供給される。そして、水および濃硫酸は、配管内混合器62によって配管内で混合される。これにより、水および濃硫酸が撹拌され、希硫酸が生成される。そのため、希硫酸が等しい流量で上流洗浄液配管59および下流洗浄液配管60内に流入し、等しい流量で対の噴霧器54に供給される。これにより、酸性洗浄液としての希硫酸が、等しい流量で対の噴霧器54から噴霧される。
【0079】
噴霧器54が洗浄液を噴霧すると、洗浄液のミストが、上流洗浄空間および下流洗浄空間に分散し、洗浄液の液滴が、スクラブフィルター46の内部に保持される。上流排気ダクト32から上流洗浄空間に流入した排気は、上流洗浄空間を漂う洗浄液のミストとの接触によって薬液成分の残留量が低減される。さらに、スクラブフィルター46を通過する排気は、スクラブフィルター46内の洗浄液との接触によって薬液成分の残留量が低減される。そして、下流洗浄空間に流入した排気は、下流洗浄空間を漂う洗浄液のミストとの接触によって薬液成分の残留量が低減される。これにより、処理ユニット2から排出された排気が洗浄される。
【0080】
また、噴霧器54が希硫酸などの酸性洗浄液を噴霧すると、酸性洗浄液のミストが、上流洗浄空間および下流洗浄空間に分散し、酸性洗浄液の液滴が、スクラブフィルター46の内部に保持される。この状態で、処理ユニット2から排出されたアルカリ性排気が上流洗浄空間に流入すると、アルカリ性排気中の薬液成分の残留量が中和によって低減される。同様に、薬液成分の残留量は、スクラブフィルター46内での中和反応と、下流洗浄空間での中和反応とによってさらに低減される。これにより、アルカリ性排気に含まれるアルカリ性薬液が除去され、処理ユニット2から排出された排気が洗浄される。
【0081】
洗浄液のミストや洗浄液の液滴と接触によって薬液成分が低減されたガス(浄化後の排気。以後、浄化ガスと称する)は、ミスト分離器37のミストフィルター48を通過する。浄化ガスは、洗浄液などの液体成分を含んでいる場合がある。ミストフィルター48は、スクラブフィルター46よりも細かいフィルターなので、気体だけを通過させることができ、液体だけを選択的に除去できる。そのため、液体成分が浄化ガスに含まれているとしても、浄化ガス中の液体成分は、ミストフィルター48を通過することによってミストフィルター48に除去される。これにより、洗浄液などの液体成分が除去された浄化ガス(最終浄化ガス)が、下流排気ダクト35を介して、基板処理装置1の外に配置された排気設備に導かれる。
【0082】
図5に示すように、スクラバー3は、排気通路41内から液体を排出する排液装置69を含む。排液装置69は、排気通路41に接続された排液配管70と、排気通路41内の液体を排液配管70の方に導く排液路71とを含む。
図4に示すように、排液装置69は、さらに、排液配管70内の流体を吸引する吸引装置72を含む。吸引装置72は、排液配管70内の流体を吸引するアスピレーター74を含む。吸引装置72は、アスピレーター74の代わりに、排液配管70内の流体を吸引するポンプを備えていてもよいし、アスピレーター74およびポンプの両方を備えていてもよい。
【0083】
図5に示すように、排液配管70は、排気集合室34の底面から下方に延びている。排液配管70の上流端部は、排気集合室34の底面(内面の底部)で開口する排液口73に接続されている。
図4に示すように、排液配管70の下流端部は、吸引装置72に接続されている。排液口73は、平面視において排気口45の周囲に配置されている。排液口73の開口面積は、排気口45の開口面積よりも小さい。
図5に示すように、下流排気ダクト35の上流端部は、排気集合室34の底面から上方に突出しており、排液口73よりも上方で開口している。したがって、排気口45は、排液口73よりも上方に配置されている。そのため、排気集合室34の底面上の液体は、下流排気ダクト35の上流端部によって排気口45内への浸入が防止される。
【0084】
図5に示すように、排液路71は、排気洗浄ボックス38の底面(内面の底部)によって構成されている。排液路71は、薬液分離器36よりも上流の空間(上流洗浄空間)から排気集合室34の内部(排気集合空間)まで延びている。排液路71は、薬液分離器36の下面と排気洗浄ボックス38の底面との間の隙間を含む。同様に、排液路71は、ミスト分離器37の下面と排気洗浄ボックス38の底面との間の隙間を含む。排液路71は、排液口73に近づくに従って下方に位置するように水平面(
図5中の二点鎖線)に対して傾いている。したがって、排気洗浄ボックス38の底面上の液体は、自重で排気洗浄ボックス38の底面上を排液口73に向かって流れる。これにより、排気流入室33および排気集合室34内の液体が、排液配管70の方に導かれる。
【0085】
排気流入室33の底面上の液体は、排液路71によって排液配管70の方に導かれる。また、スクラブフィルター46内の液体は、スクラブフィルター46から下方に落下する。
図5に示すように、スクラブフィルター46から下方に落下した液体は、フィルターケース47の内部とフィルターケース47の下方の空間とを繋ぐ下方開口52を通って、排気流入室33の底面に着地する。同様に、ミストフィルター48内の液体は、ミストフィルターケース49の内部とミストフィルターケース49の下方の空間とを繋ぐ下方開口52を通って、排気流入室33の底面に着地する。そして、排気流入室33の底面に落下した液体は、排液路71によって排液配管70の方に導かれ、排液口73に排出される。
【0086】
図4に示すように、吸引装置72は、排液配管70内の流体を吸引するアスピレーター74と、アスピレーター74内に液体を供給する液体供給配管75と、アスピレーター74内の液体が排出される液体排出配管76と、液体供給配管75に介装された排液バルブ77とを含む。液体供給配管75は、液体が流入するアスピレーター74の流入口に接続されており、液体排出配管76は、液体が流出するアスピレーター74の流出口に接続されている。排液配管70は、排液を吸引するアスピレーター74の吸引口に接続されている。液体供給配管75は、噴霧装置53と共通の液体供給源に接続されている。
【0087】
液体供給配管75に介装された排液バルブ77が開かれている状態では、液体の一例である水が、アスピレーター74の内部に設けられたT字状の流路(図示せず)を通って、液体供給配管75から液体排出配管76に流れる。このとき、排液配管70内の流体を吸引する吸引力が発生し、排液配管70内の排液が、アスピレーター74の内部を通って液体排出配管76に流れる。これにより、排液配管70内の排液が強制的に排出される。したがって、排気洗浄ボックス38の底面上の液体が速やかにかつ確実に排液配管70内に排出される。そのため、排気洗浄ボックス38の底面での液体の滞留を抑制または防止できる。
【0088】
図4に示すように、スクラバー3は、薬液分離器36よりも上流で排気圧を検出する複数の上流排気圧センサー78と、薬液分離器36よりも下流で排気圧を検出する下流排気圧センサー79とを含む。複数の上流排気圧センサー78は、それぞれ、複数の処理ユニット2に対応しており、下流排気圧センサー79は、全ての処理ユニット2に対応している。下流排気圧センサー79は、排気集合室34に接続されている。上流排気圧センサー78は、上流排気ダクト32または排気流入室33に接続されている。
図4は、全ての上流排気圧センサー78が上流排気ダクト32に接続されている例を示している。
【0089】
上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の検出値は、制御装置5に入力される。薬液分離器36のスクラブフィルター46が洗浄液で十分に濡れている場合、スクラブフィルター46の圧力損失が大きくなるので、上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の検出値の差が大きい。したがって、制御装置5は、上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の検出値に基づいて、十分な量の洗浄液がスクラブフィルター46に保持されているか否かを判定できる。
【0090】
図6は、処理ユニット2で基板Wが処理されているときのスクラバー3の動作の一例を示す図である。
前述のように、処理ユニット2では、酸性薬液供給工程(ステップS1)、第1中間リンス液供給工程(ステップS2)、アルカリ性薬液供給工程(ステップS3)、第2中間リンス液供給工程(ステップS4)、有機薬液供給工程(ステップS5)、および乾燥工程(ステップS6)が、この順番で行われる。酸性薬液バルブ19、アルカリ性薬液バルブ21、有機薬液バルブ23、およびリンス液バルブ25のそれぞれは、処理ユニット2で行われる工程に応じて開閉される。
【0091】
図6に示すように、たとえば、酸性薬液供給工程(ステップS1)では、酸性薬液バルブ19が開かれており、アルカリ性薬液バルブ21、有機薬液バルブ23、およびリンス液バルブ25は、閉じられている。そして、開かれるバルブが変更されることにより、酸性薬液供給工程、第1中間リンス液供給工程、アルカリ性薬液供給工程、第2中間リンス液供給工程、および有機薬液供給工程が、順次行われる。
【0092】
一方、
図6に示すように、スクラバー3では、処理ユニット2で行われる工程に拘わらず、つまり、酸性薬液供給工程から乾燥工程までの期間中、この処理ユニット2に対応する中性液体バルブ67が開かれており、水が吐出されている(スクラバーバルブ動作の上段参照)。同様に、排液バルブ77は、酸性薬液供給工程から乾燥工程までの期間中、開かれている(スクラバーバルブ動作の下段参照)。したがって、中性液体バルブ67および排液バルブ77は、常時開かれている。そのため、この処理ユニット2に対応する噴霧器54は、洗浄液としての水を常時噴霧しており、排液装置69は、排気洗浄ボックス38の底面上の液体を常時排出している。
【0093】
図示はしないが、中性液体バルブ67は、処理ユニット2で基板Wの処理が行われていない期間中も開かれている。噴霧器54は、洗浄液を薬液分離器36に向けて噴霧するので、水の噴霧が行われている間は、薬液分離器36のスクラブフィルター46が水で濡れた状態に維持されている。そのため、薬液分離器36よりも上流側の排気圧と薬液分離器36よりも下流側の排気圧との差が一定に維持される。同様に、他の処理ユニット2に対応する全ての中性液体バルブ67も常時開かれている。したがって、各処理ユニット2に加わる排気圧が一定に維持されている。
【0094】
ある処理ユニット2で酸性薬液供給工程が開始されると、つまり、基板Wへの酸性薬液の供給が開始されると、酸性排気が、この処理ユニット2に対応する排気流入室33に流入する。同様に、ある処理ユニット2でアルカリ性薬液供給工程が開始されると、アルカリ性排気が、この処理ユニット2に対応する排気流入室33に流入する。同様に、ある処理ユニット2で有機薬液供給工程が開始されると、有機排気が、この処理ユニット2に対応する排気流入室33に流入する。処理ユニット2では、酸性薬液(フッ酸)、アルカリ性薬液(SC−1)、および有機薬液(IPA)が、基板Wに供給されるので、酸性排気、アルカリ性排気、および有機排気が、それぞれ異なる期間に排気流入室33に流入する。
【0095】
図6に示すように、処理ユニット2でアルカリ性薬液供給工程(ステップS3)が行われている期間中は、スクラバー3の酸性液体バルブ64が開かれており、希硫酸が吐出されている(スクラバーバルブ動作の中段参照)。スクラバー3の酸性液体バルブ64が開閉されるとき、制御装置5は、処理ユニット2のアルカリ性薬液バルブ21を開くのと同時に、酸性液体バルブ64を開いてもよいし、アルカリ性薬液バルブ21を開く前または後に、酸性液体バルブ64を開いてもよい。同様に、制御装置5は、処理ユニット2のアルカリ性薬液バルブ21を閉じるのと同時に、酸性液体バルブ64を閉じてもよいし、アルカリ性薬液バルブ21を閉じる前または後に、酸性液体バルブ64を閉じてもよい。
【0096】
処理ユニット2で発生した排気は、処理ユニット2から排気流入室33までの経路長および経路での排気の流速に応じた時間が経過した後、排気流入室33に流入する。つまり、処理ユニット2での排気の発生と排気流入室33への排気の流入との間に時間差がある。したがって、制御装置5は、この時間差に基づいて酸性液体バルブ64を開く時期を遅らせてもよい。また、基板Wへの薬液の供給を停止したとしても、薬液を含む排気が処理ユニット2内に残留しているので、薬液の供給を停止してから暫くの間は、薬液を含む排気が排気流入室33に流入する。したがって、制御装置5は、この時間差に基づいて酸性液体バルブ64を閉じる時期を遅らせてもよい。
【0097】
噴霧器54が洗浄液としての水を常時噴霧しているので、排気流入室33に流入した酸性排気および有機排気は、排気流入室33を漂う水のミストとの接触と、薬液分離器36に保持されている水滴との接触とによって、洗浄される。また、処理ユニット2でアルカリ性薬液供給工程が行われている期間中は、噴霧器54が洗浄液としての希硫酸を噴霧しているので、排気流入室33に流入したアルカリ性排気は、アルカリ性排気中の汚染物質と希硫酸との中和反応によって洗浄される。したがって、酸性排気、アルカリ性排気、および有機排気のいずれが、処理ユニット2から排出されたとしても、排気は、スクラバー3によって無害な状態まで浄化された後、スクラバー3から排出される。
【0098】
以上のように本実施形態では、処理ユニット2で発生した薬液を含む排気が、スクラバー3の排気通路41によって、基板処理装置1の外に向けて案内される。スクラバー3の噴霧器54は、複数種の洗浄液を排気通路41内で個別に吐出することができる。スクラバー3は、洗浄液を噴霧器54によって排気通路41内で吐出させることにより、排気通路41内を流れる排気に洗浄液を接触させる。これにより、薬液成分が排気から除去され、浄化された排気が、基板処理装置1の外に配置された排気設備に排出される。
【0099】
制御装置5は、排気に含まれる薬液の種類に基づいて噴霧器54が吐出する洗浄液の種類を選択する。したがって、制御装置5は、排気に含まれる汚染物質の種類が基板Wの処理中に変わる場合や、排気に含まれる汚染物質の種類が処理の内容に応じて変わる場合であっても、排気に含まれる薬液成分に特化した洗浄液を排気に接触させることができる。これにより、基板処理装置1は、処理ユニット2で発生した排気をその内部で浄化でき、排気に含まれる薬液成分の残留量を低減できる。
【0100】
このように、処理ユニット2で発生した排気を基板処理装置1内で浄化できるので、薬液成分などの汚染物質を排気から除去する装置を基板処理装置1が設置される工場に設けなくてもよい。言い換えると、薬液成分が除去された排気が基板処理装置1から排出されるので、基板処理装置1の使用者は、排気を処理する一般的な装置だけを準備すればよく、薬液成分を排気から除去する専用の装置を準備しなくてもよい。
【0101】
また本実施形態では、気体を通過させるスクラブフィルター46が、排気通路41に配置されている。噴霧器54が洗浄液を吐出すると、洗浄液を含む雰囲気が、排気通路41内を漂い、スクラブフィルター46に付着する。そのため、スクラブフィルター46の外表面やスクラブフィルター46の内表面に洗浄液が保持される。基板処理装置1の外に向かって排気通路41を流れる排気は、スクラブフィルター46の内部の空隙を通過する。
【0102】
汚染物質を含む排気は、スクラブフィルター46の内部を通過する際に、スクラブフィルター46に保持されている洗浄液の液滴に接触する。このとき、洗浄液をスクラブフィルター46に保持させることにより、排気通路41内に存在する洗浄液の表面積が増加するので、排気と洗浄液との接触面積も増加する。これにより、排気と洗浄液との接触時間および接触面積が増加し、汚染物質が排気から効率的に除去される。
【0103】
また本実施形態では、スクラブフィルター46は、噴霧器54からの洗浄液が吹き付けられる。したがって、噴霧器54から吐出された洗浄液がスクラブフィルター46に直接当たり、洗浄液がスクラブフィルター46に確実に供給される。そのため、スクラブフィルター46に保持される洗浄液の量が増加し、スクラブフィルター46に保持されている洗浄液に排気が確実に接触する。これにより、排気に含まれる汚染物質の残留量がさらに低減され、排気の清浄度が高められる。
【0104】
また本実施形態では、気体を通過させると共に、気体から液体成分を除去するミストフィルター48が、排気の流通方向D1における噴霧器54およびスクラブフィルター46よりも下流側で排気通路41に配置されている。したがって、洗浄液との接触によって汚染物質の残留量が低減された排気が、ミストフィルター48を通過する。ミストフィルター48を通過する排気は、洗浄液などの液体成分を含んでいる場合がある。このような液体成分は、ミストフィルター48によって捕獲され、排気から除去される。したがって、汚染物質だけでなく、液体成分の残留量も基板処理装置1の内部で低減される。
【0105】
また本実施形態では、排液装置69の吸引力が、排気通路41内で開口する排液口73に伝達され、排気通路41内の液体が排液口73に吸引される。これにより、排気通路41内の液体が排出される。排液口73は排気通路41内にあるため、圧力が低い状態になっているが、排液装置72の吸引力により、排液口73から排液された液体が排気通路41に逆流することが抑制され、排気通路41内の液体を確実に排液することができる。
【0106】
また本実施形態では、スクラブフィルター46が、排液口73よりも上流側に配置されている。排液装置69は、スクラブフィルター46と排気通路41の底面との間の空間を通って、スクラブフィルター46よりも上流側から排液口73まで延びる排液路71を有している。スクラブフィルター46よりも上流側に存在する液体は、この排液路71によって排液口73の方に導かれる。したがって、排液装置69は、排気通路41内のより広い範囲から液体を集めることができ、これによって、排気通路41内の液体の残留量を低減できる。
【0107】
また本実施形態では、洗浄液が噴霧器54から常時吐出される。すなわち、基板処理装置1が稼働している間、全ての噴霧器54が洗浄液を吐出し続ける。したがって、洗浄液がスクラブフィルター46に保持されている状態が確実に維持される。そのため、排気通路41内を流れる排気が、スクラブフィルター46に保持されている洗浄液に確実に接触する。これにより、排気に含まれる汚染物質の残留量を低減できる。さらに、スクラブフィルター46が乾くと、スクラブフィルター46が気流に与える抵抗が小さくなるので、スクラブフィルター46を濡れた状態に維持することにより、排気圧の変動を低減できる。これにより、スクラバー3を介して排気設備から処理ユニット2に伝達される排気圧を安定させることができる。
【0108】
処理ユニット2に伝達される排気圧が変動すると、気流の乱れがチャンバー6内で発生する場合がある。したがって、処理ユニット2に伝達される排気圧を安定させることにより、チャンバー6内の気流を安定させることができる。そのため、パーティクルなどの異物や、処理液のミストが、チャンバー6内の基板Wに付着することを抑制または防止できる。これにより、基板Wの清浄度を高めることができる。さらに、各噴霧器54が洗浄液を常時吐出すると、各処理ユニット2に伝達される排気圧が均一化されるので、複数の処理ユニット2間での基板Wの処理品質のばらつきを低減できる。
【0109】
また本実施形態では、スクラバー3よりも上流側に配置された気液分離器26が、処理ユニット2で発生した排気から液体を分離し、排気から液体成分を除去する。そして、気液分離器26によって液体の含有量が低減された排気が、スクラバー3に送られる。したがって、スクラバー3で除去すべき薬液成分の量を低減させることが可能となり、その結果、基板処理装置1から排出される排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0110】
また本実施形態では、排気通路41の複数の個別路42が、複数の処理ユニット2にそれぞれ接続されており、排気通路41の集合路43が、複数の個別路42のそれぞれに接続されている。複数の処理ユニット2で発生した排気は、複数の処理ユニット2からそれぞれ複数の個別路42に排出される。そして、複数の個別路42に流入した排気は、集合路43を経て、基板処理装置1の外に配置された排気設備の方に導かれる。各処理ユニット2で発生した排気は、排気通路41内を流れる過程で、洗浄液との接触によって浄化される。したがって、スクラバー3は、複数の処理ユニット2で発生した排気を基板処理装置1内で浄化できる。そのため、個々の処理ユニット2に対応する複数のスクラバー3を基板処理装置1内に設ける必要がない。
【0111】
また本実施形態では、複数の噴霧器54が、それぞれ、複数の個別路42に配置されている。したがって、スクラバー3は、ある個別路42で吐出される洗浄液とは異なる種類の洗浄液を別の個別路42で吐出させることができる。そのため、スクラバー3は、排気に含まれる汚染物質に特化した洗浄液を個々の個別路42で排気に接触させることができる。これにより、スクラバー3は、複数の処理ユニット2がそれぞれ異なる処理を行う場合においても、それぞれに対応する薬液成分の除去を行うことができる。
【0112】
また本実施形態では、複数のスクラブフィルター46が、それぞれ、複数の個別路42に配置されている。したがって、スクラバー3は、排気と洗浄液とを個々の個別路42内で確実に接触させることができると共に、個別路42内での排気と洗浄液との接触面積を増加させることができる。そのため、スクラバー3は、複数の処理ユニット2で発生した排気から汚染物質を効率的に除去でき、排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0113】
また本実施形態では、複数のミストフィルター48が、それぞれ、複数の個別路42に配置されている。つまり、専用のミストフィルター48が、個別路42ごとに設けられている。したがって、スクラバー3は、個々の個別路42で排気から液体成分を除去できる。そのため、スクラバー3は、複数の処理ユニット2で発生した排気から液体成分を確実に除去でき、排気の清浄度をさらに高めることができる。
【0114】
また本実施形態では、排液装置69の複数の排液路71が、それぞれ複数の個別路42に対応しており、各排液路71が、対応する個別路42から集合路43まで延びている。各排液路71が水平面に対して傾いており、排液路71の下流端が、排液路71の上流端よりも下方に配置されているので、複数の個別路42内の液体は、自重で複数の排液路71を集合路43に向かって流れる。したがって、複数の個別路42内の液体は、集合路43に集められる。排液装置69は、集合路43で開口する排液口73から集合路43内の液体を吸引する。そのため、排液装置69は、排気通路41内のより広い範囲から液体を集めることができ、これによって、排気通路41内の液体の残留量を低減できる。
【0115】
本発明の実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の実施形態では、噴霧器54が、各個別路42に配置されている場合について説明したが、
図7に示すように、噴霧器54は、集合路43に配置されていてもよい。この場合、
図7に示すように、噴霧器54だけでなく、スクラブフィルター46およびミストフィルター48も集合路43に配置されていてもよい。
【0116】
噴霧器54が集合路43に配置されている場合、個々の個別路42に噴霧器54を設けなくてもよい。したがって、基板処理装置1の部品点数を減少させることができ、基板処理装置1の構造を簡素化できる。同様に、スクラブフィルター46およびミストフィルター48が集合路43に配置されている場合、個々の個別路42にスクラブフィルター46およびミストフィルター48を設けなくてもよい。したがって、基板処理装置1の部品点数を減少させることができ、基板処理装置1の構造を簡素化できる。
【0117】
また、前述の実施形態では、噴霧器54が洗浄液を常時吐出する場合について説明したが、
図6において二点鎖線で示すように、噴霧器54は、洗浄液を間欠的に吐出してもよい。このように噴霧器54から洗浄液を間欠的に吐出することにより、洗浄液の消費量を低減させることができる。
噴霧器54が洗浄液を間欠的に吐出する場合、噴霧器54が洗浄液を吐出する間隔(吐出が停止されてから再開されるまでの時間)は、予め定められた一定の間隔であってもよいし、排気通路41内の気圧に基づいて設定される任意の間隔であってもよい。
【0118】
具体的には、制御装置5は、上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の一方または両方の検出値に基づいて噴霧器54に洗浄液を間欠的に吐出させてもよい。スクラブフィルター46が乾くと、スクラブフィルター46の排気抵抗が小さくなるので、上流排気ダクト32内の気圧が下がり(負圧の絶対値が大きくなり)、排気集合室34内の気圧が上がる(負圧の絶対値が小さくなる)。したがって、制御装置5は、上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の一方または両方の検出値に基づいて噴霧器54に洗浄液を間欠的に吐出させることにより、洗浄液の消費量を低減しながら、スクラブフィルター46が十分に濡れている状態を維持できる。
【0119】
さらに、排気設備の吸引力は、スクラブフィルター46を介して各処理ユニット2に伝達されるので、制御装置5は、スクラブフィルター46への洗浄液の供給を制御することにより、処理ユニット2に伝達される排気圧を調整できる。したがって、制御装置5は、上流排気圧センサー78および下流排気圧センサー79の一方または両方の検出値に基づいて各スクラブフィルター46への洗浄液の供給を制御することにより、複数の処理ユニット2の間での排気圧の差を低減できる。そのため、制御装置5は、各処理ユニット2内の排気圧を均一化することができる。
【0120】
また、前述の実施形態では、複数のスクラブフィルター46がそれぞれ複数の個別路42に配置されている場合について説明したが、スクラバー3は、共通の個別路42に対応する複数のスクラブフィルター46と、複数のスクラブフィルター46の状態を個別に切り替えるフィルター切替装置80とを備えていてもよい。
具体的には、
図8および
図9に示すように、薬液の種類ごとに設けられた複数のスクラブフィルター46(たとえば、酸性薬液用のスクラブフィルター46と、アルカリ性薬液用のスクラブフィルター46と)と、複数のスクラブフィルター46の状態を個別に切り替えるフィルター切替装置80とが、同一の個別路42に対応付けられていてもよい。同様に、
図7では、一つのスクラブフィルター46が集合路43に配置されている場合について説明したが、複数のスクラブフィルター46とフィルター切替装置80とが、集合路43に対応付けられていてもよい。
【0121】
図8に示す立方体状のスクラブフィルター46Aは、排気通路41内の気体がスクラブフィルター46Aを通過する除去状態と、スクラブフィルター46Aに対する気体の通過が停止される除去停止状態との間で切り替えられる。除去状態は、スクラブフィルター46Aが排気通路41内の除去位置(左側のスクラブフィルター46Aの位置)に配置されている状態であり、除去停止状態は、スクラブフィルター46Aが排気通路41の外の除去停止位置(右側のスクラブフィルター46Aの位置)に配置されている状態である。したがって、フィルター切替装置80は、除去位置と除去停止位置との間でスクラブフィルター46Aを移動させることにより、排気から汚染物質を除去するスクラブフィルター46Aを切り替えることができる。
【0122】
また、
図9に示す円柱状のスクラブフィルター46Bは、スクラブフィルター46Bの中心線が排気の流通方向D1に直交する姿勢で排気通路41内に配置されている。複数のスクラブフィルター46Bは、排気の流通方向D1およびスクラブフィルター46Bの軸方向に直交する方向に並んでいる。各スクラブフィルター46Bは、直径方向に対向する2つの開口部47bが設けられた外周部を有する円筒状のフィルターケース47B内に収容されている。フィルター切替装置80は、2つの開口部47bが開かれた除去位置(上側のスクラブフィルター46Bの位置)と、2つの開口部47bが排気通路41内に配置された遮蔽部材81によって閉じられた除去停止位置(下側のスクラブフィルター46Bの位置)との間で、フィルターケース47Bをその中心線まわりに回転させる。
【0123】
図9に示すように、フィルターケース47Bが除去位置(上側のスクラブフィルター46Bの位置)に配置されると、スクラブフィルター46Bは、排気通路41内の気体がスクラブフィルター46Bを通過する除去状態に切り替えられる。フィルターケース47Bが除去停止位置(下側のスクラブフィルター46Bの位置)に配置されると、スクラブフィルター46Bは、スクラブフィルター46Bに対する気体の通過が停止される除去停止状態に切り替えられる。したがって、フィルター切替装置80は、フィルターケース47Bを回転させることにより、排気から汚染物質を除去するスクラブフィルター46Bを切り替えることができる。
【0124】
また、前述の実施形態では、スクラブフィルター46およびミストフィルター48が、全ての個別路42に配置されている場合について説明したが、スクラブフィルター46およびミストフィルター48は、一部の個別路42だけに配置されていてもよい。また、スクラブフィルター46およびミストフィルター48の少なくとも一方が、全ての個別路42から省略されてもよい。同様に、
図7では、スクラブフィルター46およびミストフィルター48が、集合路43に配置されている場合について説明したが、スクラブフィルター46およびミストフィルター48の少なくとも一方が、集合路43から省略されてもよい。この場合は、噴霧器54から吐出される洗浄液のみにより、排気中に含まれる薬液成分を除去することになる。洗浄液と薬液成分との接触面積が減少するが、構造を簡素化することができる。
【0125】
また、前述の実施形態では、排気通路41内の液体が、一箇所(排液口73)から排出される場合について説明したが、排気通路41内の液体は、複数の排液口73から排出されてもよい。たとえば、複数の噴霧器54にそれぞれ対応する複数の排液口73が排気通路41内に設けられていてもよい。この場合、薬液分離器36の下面と排気洗浄ボックス38の底面との間の隙間が設けられておらず、薬液分離器36が、排気洗浄ボックス38の底面に接していてもよい。すなわち、薬液分離器36は、排気通路41を上流側と下流側とに完全に仕切っていてもよい。ミスト分離器37についても同様である。
【0126】
また、前述の実施形態では、排気通路41内の液体が共通の排液配管70に排出される場合について説明したが、噴霧器54から吐出される洗浄液の種類に応じて排液配管70が切り替えられてもよい。具体的には、複数の排液配管70と複数の排液バルブ77とが設けられていてもよい。この場合、制御装置5は、複数の排液バルブ77を切り替えることにより、噴霧器54から吐出される洗浄液の種類に応じて排液配管70を切り替えることができる。
【0127】
また、前述の実施形態では、噴霧器54が二種類の洗浄液(酸性洗浄液および中性洗浄液)を個別に吐出する場合について説明したが、噴霧器54は、三種類の洗浄液(酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、および中性洗浄液)を個別に吐出してもよいし、酸性洗浄液と中性洗浄液との組み合わせ以外の二種類の洗浄液を個別に吐出してもよい。また、酸性洗浄液およびアルカリ性洗浄液が、共通の噴霧器54から個別に吐出される場合には、制御装置5は、洗浄液を酸性洗浄液およびアルカリ性洗浄液の一方から他方に切り替える前に、中性洗浄液を噴霧器54から吐出させてもよい。この場合、制御装置5は、噴霧器54の内部や配管の内部を中性洗浄液によって洗い流すことができるので、酸性洗浄液および中性洗浄液が混ざり合うことを防止できる。
【0128】
また、前述の実施形態では、噴霧器54が複数のスプレーノズル57を備えており、複数種の洗浄液(酸性洗浄液および中性洗浄液)が共通のスプレーノズル57から吐出される場合について説明したが、複数種の洗浄液が、別々のスプレーノズル57から吐出されてもよい。たとえば、洗浄液の種類ごとに専用のスプレーノズル57が設けられてもよい。
【0129】
また、前述の実施形態では、2つの処理ユニット2が、基板処理装置1に設けられている場合について説明したが、処理ユニット2の数は、1つであってもよいし、3つ以上でああってもよい。
また、前述の実施形態では、処理ユニット2が、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式のユニットである場合について説明したが、処理ユニット2は、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ式のユニットであってもよい。つまり、基板処理装置1は、バッチ式の装置であってもよい。
【0130】
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。