特許第6155809号(P6155809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6155809感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155809
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20170626BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20170626BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20170626BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20170626BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   G03F7/004 504
   G03F7/004 505
   G03F7/004 501
   G03F7/031
   G03F7/033
   G03F7/038 501
   G02B5/20 101
【請求項の数】8
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2013-94384(P2013-94384)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-215540(P2014-215540A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】常川 新司
(72)【発明者】
【氏名】山田 和則
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−212005(JP,A)
【文献】 特開2011−099918(JP,A)
【文献】 特開2011−170011(JP,A)
【文献】 特開2011−028236(JP,A)
【文献】 特開2011−227313(JP,A)
【文献】 特開2011−227491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色顔料[A1]と下記一般式(1)で示される構造を有する銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]とキサンテン系染料[A3]とを含む着色剤(A)と、
樹脂(B)と、
モノマー(C)と、
光重合開始剤(D)とを含む感光性着色組成物であって、
青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比率([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.40であり、
感光性着色組成物の固形分量100重量部としたときの着色剤(A)量が、5〜15重量部であり、
光重合開始剤(D)が、カルバゾール基を含有するオキシム化合物を含み、
感光性着色組成物の固形分量100重量部としたときの光重合開始剤(D)量が、0.5〜10.0重量部であることを特徴とする感光性着色組成物。
一般式(1):
P−Lm
[一般式(1)中、
Pは、m価の銅フタロシアニン顔料残基であり、
mは、1〜4の整数であり、
Lは、それぞれ独立に一般式(2)、一般式(3)、および一般式(4)で示される群から選ばれる置換基である。]
一般式(2):
【化1】

一般式(3):
【化2】


一般式(4):
【化3】

[一般式(2)〜一般式(4)中、
Xは、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHSO2CH2−、又は直接結合であり、
0は、−NH−、−O−、又は直接結合であり、
nは、1〜10の整数であり、
1は、−NH−、−NR9−Z−NR10−、又は直接結合であり、
9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数2〜36のアルケニル基、又はフェニル基であり、Zは、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20のアリーレン基を表す。
1、及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又はR1とR2とが一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む複素環であり、
3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリーレン基であり、
7は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R8は、一般式(2)で示される置換基、又は一般式(3)で示される置換基であり、
Qは、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシル基、一般式(2)で示される置換基、又は一般式(3)で示される置換基を表す。]
【請求項2】
樹脂(B)が、アルカリ可溶性感光性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
熱硬化性樹脂が、少なくともエポキシ化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
青色顔料[A1]が、C.I.ピグメントブルー15:6であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
乾燥後の膜厚が3.0μmの厚みになるように塗布し、30μmのスルーホールパターンを有するフォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて、照度30mW/cm2の紫外線により積算光量50mJ/cm2で露光し、次いで0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法にて塗膜の未硬化部分を除去して現像したとき、20〜35μmのスルーホールパターンが形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の感光性着色組成物を用いて塗膜を形成し、露光後に現像し、パターン化して形成されてなるカラーフィルタ用着色膜。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタ用着色膜を用いて形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に、請求項6に記載のカラーフィルタ用着色膜である着色層を有するフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物に関するものであり、特にカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される感光性着色組成物、特に薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に着色層が形成されたフィルタセグメントを具備する、カラーフィルタオンアレイ方式(以下COA方式と略す場合がある)のカラーフィルタに用いられる感光性着色組成物、および該感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタ用着色膜、および該カラーフィルタ用着色膜を用いて形成されたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置である。この2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高輝度化、高コントラスト化の要求が高まっている。
【0003】
カラーフィルタの作製方法としては、フォトレジストによるパターン形成の後、パターンを染色する染色法や、予め所定パターンの透明電極を形成しておき、電圧印加により溶媒に溶解・分散された顔料含有樹脂をイオン化させパターン形成する電着法、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂を含むインクを用いてオフセット印刷等する印刷法、フォトレジスト材料に顔料等の着色剤を分散させたカラーレジスト剤を使用する顔料分散法、などが知られており、最近では、顔料分散法が主流になっている。しかし、顔料を着色剤として用いたカラーフィルタは、顔料粒子による光の散乱等により、液晶によって制御された偏光度合いを乱してしまい、その結果、カラー液晶表示装置の輝度やコントラストの低下を招きやすいという問題がある。
【0004】
この問題を解消する技術として、硬化性組成物の媒体中に溶解した状態で存在し得る染料を着色剤とした染料系の硬化性組成物の実用化が検討、提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、着色剤に染料を用いたカラーフィルタには、以下の様な課題がある。すなわち、カラーレジスト剤に用いる染料には、耐熱、耐光性と樹脂及び樹脂に使用される有機溶剤への溶解性が要求される。
【0005】
そこで、溶解性を増すと共に耐熱、耐光性を向上させるために、アニオン性染料とカチオン系界面活性剤との塩を着色剤として用いたカラーフィルタが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。一般に、アニオン性染料のスルホン酸ナトリウム基(−SO3Na)を有機アミンの塩に変えることによって、アニオン性染料の有機溶剤への溶解性が増すことが知られている。上記の着色剤では、アニオン性染料のスルホン酸ナトリウム基をカチオン性界面活性剤の母体の塩に変えることによって、有機溶剤へのアニオン性染料の溶解性が増すと共に、分子量を大きくすることで耐熱、耐光性を向上させている。しかしながら、これらの方法では、カラーフィルタ作製時に使用する溶剤に対し、十分な溶解性を得ることができず、樹脂との相溶性も悪いため、カラーフィルタ用着色組成物の長期保存安定性と、塗膜とガラス等の透明基板との間で強固な密着性を与えることは困難であった。
【0006】
また、アニオン性染料の造塩化合物としては、カチオン性樹脂をカウンタとして用いたものが結晶性水性着色材料として検討されているが(例えば、特許文献4参照)、これらのものは染料を粒子状態で使用することが目的であり、溶解状態での使用が求められるカラーフィルタ用途では、詳細な検討がなされていない。
【0007】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板、又は薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の上に、着色層を直接あるいは窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を介して形成し、その表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0008】
このような液晶表示装置に使用されている液晶は液晶表示装置に内在するカラーフィルタ等の部材の電気的な特性による影響を受けやすく、液晶汚染による液晶の配向乱れやスイッチング性能に悪影響をあたえる等の表示不良が問題となることがある。このような問題を解決するために、カラーフィルタの着色層には絶縁性が求められ、膜厚を厚くして絶縁性を高くしたり、低誘電率の着色膜を形成する必要がある。このような課題を解決するために、Green(緑)画素の色層におけるオーバーコート層を積層した2層の誘電正接を特定の範囲に選択する方法等が検討されている(特許文献5参照)。
【0009】
中でも、最近注目を集めている薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の上に、着色層を直接あるいは窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を介して形成し、この着色層を形成した基板と、液晶を駆動させるための透明電極を蒸着あるいはスパッタリングにより形成した基板とを張り合わせるというCOA方式(特許文献6参照)では、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の上に、直接着色層を形成するために、ピクセル口径比(開口率)が大幅に増大できるため、高輝度化及び低消費電力化を達成することが可能である反面、その機構上、よりカラーフィルタの電気的な特性による影響を受けやすいという問題がある。
【0010】
このような問題を解決するために、カラーフィルタセグメントの膜厚を通常は1.6〜2μm程度形成するのに対し、COA方式では3μm程度の厚膜に形成することやより架橋密度の高い膜を形成することで、カラーフィルタの電気的な特性による影響を低減させる方法で対応していることが多い。COA方式では厚膜に設計することで焼成工程における膜減りが大きくなるため、従来の感光性着色組成物をCOA方式に用いると残膜率が大幅に低下する。
さらに絶縁層のかわりに薄膜トランジスター(TFT)の上に厚膜のカラーフィルタセグメントを形成する構造に由来し、透明電極と薄膜トランジスター(TFT)とを繋ぐコンタクトホールをカラーフィルタセグメントに設ける必要がある為、画素を形成する感光性着色組成物は、通常の感光性着色組成物よりも優れた解像性が必要である。感光性着色組成物の解像性は、光重合開始剤および単量体の種類・量で調整する事が一般的であり、感度の低い光重合開始剤および単量体を選択あるいは、量を調整する事で向上できる場合もあるが、その反面、感度の低下から感光性着色組成物とガラス基板との密着性が低下して、パターン剥がれが起きやすくなる。また、感度の高い光重合開始剤では、マスクよりパターンが太る傾向にあり、微小なコンタクトホールを開けるのが難しい。さらにCOA方式では、プロファイル角(=パターン断面が基板となす角度をいう)に対する要求特性が厳しく、従来の感光性着色組成物ではプロファイル角をコントロールするのが難しい。即ち、パターン密着性、コンタクトホールの開孔、プロファイル角の全てを満足させるのが難しい。
【0011】
近年、カラーフィルタに関しては、より一層の高透過性、かつ高濃度が要求されてきている。高濃度のカラーフィルタの製造のためには、使用する着色組成物中の着色材濃度を上げる必要があるが、着色組成物の着色材濃度を上げることによって露光感度及び現像時の溶解性など、画像形成性に寄与する特性が相対的に低下してしまう。結果として現像工程における非露光部の溶解性が悪化し、現像時に非露光部の着色組成物が溶解せずに残留したり、あるいはレジストが未溶解のまま剥離片として基板上に残存したりし、色ずれなどの原因となる可能性がある。その結果、カラーフィルタの品質低下及び生産時の歩留まり低下の原因となる。さらに液晶は極めて絶縁性の高い材料であり、カラーフィルタ用組成物中に残存する極性化合物が液晶セル中に溶出すると、電極間の電圧は低下し、電圧保持率の低下を招き、表示ムラの発生、配向不良等を生じ、液晶表示素子としての性能を低下させる原因となる。そのため、着色組成物には、液晶への非溶解性が求められている(この耐性を電圧保持率特性といい、液晶表示素子(LCD)の表示性能を表す電気特性の指標である。)。
青色顔料[A1]とキサンテン系染料[A3]を着色剤(A)として用いた場合は、顔料のみを用いた場合に対し、染料の溶解性の高さに由来する透明性の高さから高明度なカラーフィルタが得られる半面、染料そのものから蛍光を発生し、コントラスト比が低下する問題を有していた。この主因はコントラスト測定時の漏れ光に蛍光が存在し、クロス側の輝度が高くなるためである。
【0012】
顔料のみを用いたカラーフィルタ用青色着色組成物の場合、青色顔料の分散性向上によるコントラスト向上を目的として、酸性置換基を有する銅フタロシアニン化合物や、塩基性置換基を有する銅フタロシアニン化合物を添加するのは従来から知られている。
また、前記置換基を有する銅フタロシアニン化合物は400〜450nmの波長領域に透過性を有するために青色着色組成物に添加する成分として好適である。しかし、より高明度化が可能なキサンテン系染料を青色顔料と共に用いた場合、キサンテン系染料の蛍光発光によりコントラスト比が下がるという問題が発生し、この問題の解決には末端が酸である酸性置換基を有する銅フタロシアニン化合物(例えば、銅フタロシアニンのスルホン酸化合物など)を用いた場合は効果がみられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開平5−333207号公報
【特許文献3】特開2004−307391号公報
【特許文献4】特開2005−350648号公報
【特許文献5】特開2004-117537号公報
【特許文献6】特開2004−94263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、厚膜でありながら高解像度、高残膜率で、ガラス基板との密着性が良好であり、アルカリ現像液への溶解性と電圧保持率特性および現像性に優れ、さらに高透過率、高コントラスト比かつ耐熱性に優れた感光性着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ用着色膜、およびそれを用いたカラーフィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]とキサンテン系染料[A3]とを含む着色剤(A)を有し、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.4であり、感光性着色組成物の固形分量100としたときの着色剤(A)量が、5〜15であり、光重合開始剤(D)が、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、およびオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする感光性着色組成物が、厚膜でありながら高解像度、高残膜率で、ガラス基板との密着性が良好であり、アルカリ現像液への溶解性と電圧保持率特性および現像性に優れ、さらに高透過率、高コントラスト比かつ耐熱性においても優れていることを見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。本発明の感光性着色組成物は、厚膜形成が求められるCOA方式に好適に用いることができる。
【0016】
すなわち、本発明は、青色顔料[A1]と下記一般式(1)で示される構造を有する銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]とキサンテン系染料[A3]とを含む着色剤(A)と、樹脂(B)と、モノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを含む感光性着色組成物であって、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.40であり、感光性着色組成物の固形分量100重量部としたときの着色剤(A)量が、5〜15重量部であり、光重合開始剤(D)が、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、およびオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする感光性着色組成物に関する。
一般式(1):
P−Lm
[一般式(1)中、Pは、m価の銅フタロシアニン顔料残基であり、
mは、1〜4の整数であり、
Lは、それぞれ独立に一般式(2)、一般式(3)、および一般式(4)で示される群から選ばれる置換基である。]
一般式(2):
【化1】
一般式(3):
【化2】
一般式(4):
【化3】
【0017】
また本発明は、樹脂(B)が、アルカリ可溶性感光性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
【0018】
また本発明は、熱硬化性樹脂が、少なくともエポキシ化合物を含むことを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
【0019】
また本発明は、青色顔料[A1]が、C.I.ピグメントブルー15:6であることを特徴とする前記感光性着色組成物。
【0020】
また本発明は、前記感光性着色組成物を用いて形成されてなるカラーフィルタ用着色膜に関する。
【0021】
また本発明は、30μmのスルーホールパターンを有するフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2の紫外線により積算光量50mJ/cm2で露光し、次いで未露光部分を現像した後の塗膜の厚さを3.0μmにしたとき、20〜35μmのスルーホールパターンが形成されることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜に関する。
【0022】
また本発明は、前記カラーフィルタ用着色膜を用いて形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0023】
また本発明は、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に、前記カラーフィルタ用着色膜である着色層を有するフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.40であり、感光性着色組成物の固形分量100としたときの着色剤(A)量が、5〜15であり、光重合開始剤(D)が、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、およびオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする感光性着色組成物を用いることで、厚膜でありながら高解像度、高残膜率で、ガラス基板との密着性が良好であり、アルカリ現像液への溶解性と電圧保持率特性および現像性に優れ、さらに高透過率、高コントラスト比かつ耐熱性に優れたカラーフィルタを得ることができる。特に薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に着色層が形成されたフィルタセグメントを具備する、COA方式のカラーフィルタに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性着色組成物は、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]とキサンテン系染料[A3]とを含む着色剤(A)と、樹脂(B)と、モノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
【0026】
<着色剤(A)>
本発明の感光性着色組成物の着色剤(A)は、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]とキサンテン系染料[A3]とを含むものである。さらに、着色剤として、[A1]〜[A3]以外の顔料または染料を含んでいてもよい。
【0027】
《青色顔料[A1] 》
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料、トリアリールメタン系レーキ顔料等が用いられる。フタロシアニン系顔料としては、銅フタロシアニンブルー顔料を用いることが好ましいものである。
銅フタロシアニンブルー顔料としては、C.I.ピグメント ブルー 15、C.I.ピグメント ブルー 15:1、C.I.ピグメント ブルー 15:2、C.I.ピグメント ブルー 15:3、C.I.ピグメント ブルー 15:4、C.I.ピグメント ブルー 15:6、等の顔料が挙げられ、中でも、ε型、α型の構造を有する銅フタロシアニンブルー顔料が好ましい。このような好ましい顔料は、具体的にはC.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント ブルー 15:1である。
トリアリールメタン系レーキ顔料としては、C.I.ピグメント ブルー 1、同1:2、同1:3、C.I.ピグメント ブルー 2、同2:1、同2:2、C.I.ピグメント ブルー 3、C.I.ピグメント ブルー 8、C.I.ピグメント ブルー 9、C.I.ピグメント ブルー 10、同10:1、C.I.ピグメント ブルー 11、C.I.ピグメント ブルー 12、C.I.ピグメント ブルー 18、C.I.ピグメント ブルー 19、C.I.ピグメント ブルー 24、同24:1、C.I.ピグメント ブルー 53、C.I.ピグメント ブルー 56、同56:1、C.I.ピグメント ブルー 57、C.I.ピグメント ブルー 58、C.I.ピグメント ブルー 59、C.I.ピグメント ブルー 61、C.I.ピグメント ブルー 62等が挙げられる。
これらの中でも青色顔料としてC.I.ピグメント ブルー 15:6を用いることが特に好ましいものである。
【0028】
(顔料の微細化)
本発明の青色着色組成物に使用する青色顔料[A1]、又は併用する事の出来るその他の顔料は、ソルトミリング処理を行い微細化することができる。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。よって、20〜100nmの範囲を有することが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。
なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、100個以上の顔料粒子について、個々の顔料の、一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。このとき顔料粒子をグリッドメッシュ上にサンプリングし、TEM観察用の試料を作製した。
【0029】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅が狭く、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0030】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000重量%用いることが好ましく、300〜1000重量%用いることが最も好ましい。
【0031】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜1000重量%用いることが好ましく、50〜500重量%用いることが最も好ましい。
【0032】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0033】
《銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]》
青色顔料[A1]とキサンテン系染料[A3]を着色剤(A)として用いた場合は、顔料のみを用いた場合に対し、染料の溶解性の高さに由来する透明性の高さから高明度なカラーフィルタが得られる半面、染料そのものから蛍光を発生し、コントラスト比が低下する問題を有していた。この主因はコントラスト測定時の漏れ光に蛍光が存在し、クロス側の輝度が高くなるためである。
【0034】
顔料のみを用いたカラーフィルタ用青色着色組成物の場合、青色顔料の分散性向上によるコントラスト向上を目的として、酸性置換基を有する銅フタロシアニン化合物や、塩基性置換基を有する銅フタロシアニン化合物を添加するのは従来から知られている。
また、前記置換基を有する銅フタロシアニン化合物は400〜450nmの波長領域に透過性を有するために青色着色組成物に添加する成分として好適である。しかし、より高明度化が可能なキサンテン系染料を青色顔料と共に用いた場合、キサンテン系染料の蛍光発光によりコントラスト比が下がるという問題が発生し、この問題の解決には末端が酸である酸性置換基を有する銅フタロシアニン化合物(例えば、銅フタロシアニンのスルホン酸化合物など)を用いた場合は効果がみられなかった。
本発明者等はこの蛍光発光によるコントラスト低下の問題を解決するべく検討を行なった結果、青色顔料[A1]とキサンテン系染料[A3]とを含む着色剤(A)に加え、後に詳述する銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]を用いることで、キサンテン系染料からの蛍光の発生をなくしクロス側の輝度を下げることにより、高コントラスト化の実現を可能とすることができた。
これらの物質を利用した場合に蛍光消光効果が顕著になる理由は定かではないが、銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]を用いた場合は、キサンテン系染料や銅フタロシアニン顔料に対する相溶性が高いために蛍光消光の効率が高く、特に銅フタロシアニンのアミン化合物の中でも銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物を用いた場合は上記作用に加え、キサンテン系染料と電荷移動錯体を形成し易いために蛍光発光そのものが著しく抑制され、蛍光が著しく消光されると考えられる。また、上記蛍光の消光効果に加え、銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物を用いた場合の染料と銅フタロシアニン青色顔料との相溶性の高さは、銅フタロシアニン粒子および染料のレジスト中での偏在による光散乱をより抑制し、その結果、クロス輝度が極めて低くなり、コントラスト比が特に優れるという効果をもたらすものであると考えられる。
【0035】
銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]としては、銅フタロシアニン顔料に塩基性置換基を有する塩基性化合物(銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物)や、酸性置換基と4級アンモニウム塩との造塩化合物(銅フタロシアニンスルホン酸アンモニウム塩)、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられる。以下に具体的に説明する。
【0036】
本発明に用いる銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]としては、上記の中でも銅フタロシアニン顔料に塩基性置換基を有する塩基性化合物、特に、銅フタロシアニンスルホン酸アンモニウム塩、銅フタロシアニン3級アミン化合物、銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物が好ましい。
具体的には、下記一般式(1)で示される銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]であって、下記一般式(2)〜(4)で示される塩基性基を有する銅フタロシアニンのアミン化合物が、好適に使用できる。
【0037】
一般式(1):
P−Lm
[一般式(1)中、Pは、m価の銅フタロシアニン顔料残基であり、mは、1〜4の整数であり、Lは、それぞれ独立に一般式(2)、一般式(3)、および一般式(4)で示される群から選ばれる置換基である。]
一般式(2):
【化1】
一般式(3):
【化2】
一般式(4):
【化3】
[一般式(2)〜(4)中、Xは、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHSO2CH2−、又は直接結合であり、 Y0は、−NH−、−O−、又は直接結合であり、
nは、1〜10の整数であり、 Y1は、−NH−、−NR9−Z−NR10−、又は直接結合であり、
9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数2〜36のアルケニル基、又はフェニル基であり、Zは、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20のアリーレン基を表す。
1、及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又はR1とR2とが一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む複素環であり、
3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリーレン基であり、
7は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R8は、一般式(2)で示される置換基、又は一般式(3)で示される置換基であり、Qは、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシル基、一般式(2)で示される置換基、又は一般式(3)で示される置換基を表す。]
【0038】
一般式(2)〜(4)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミ
ン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジ ン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリ
ジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、又は1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0039】
本発明の塩基性置換基を有する銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、銅フタロシアニンに下記一般式(5)〜(8)で示される置換基を導入した後、上記置換基と反応して一般式(2)〜(4)で示される置換基を形成する上記アミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、又は4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得られる。
【0040】
一般式(5): −SO2Cl
一般式(6): −COCl
一般式(7): −CH2NHCOCH2Cl
一般式(8): −CH2Cl
【0041】
一般式(5)〜(8)の置換基と上記アミン成分との反応時、一般式(5)〜(8)の置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換したものが混在していてもよい。その場合、一般式(5)、及び一般式(6)は、それぞれ、スルホン酸基、及びカルボン酸基となるが、何れも遊離酸のままでもよく、又、1〜3価の金属又は上記のモノアミンとの塩であってもよい。
【0042】
本発明の銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]のうち、一般式(4)で示される置換基は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(2)、(3)で示される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンもしくはアルコール等を反応させることによって得られる。
【0043】
本発明で用いる銅フタロシアニンのアミン化合物の中で最も好ましい形態は、銅フタロシアニン塩基性化合物である銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物である。銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物とは、上記の塩基性置換基を有する銅フタロシアニン化合物のうち一般式(2)〜(4)中、一般式(2)〜(4)のXは−SO2−、−CH2NHSO2CH2−であり、Y0は−NH−、又は直接結合であり、nは1〜10の整数であり、Y1は、−NH−、−NR9−Z−NR10−である化合物である。(ここで、 R9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数2〜36のアルケニル基、又はフェニル基であり、Zは、炭素数1〜20のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜20のアリーレン基、好ましくは炭素数1〜10のアリーレン基であり、例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基が挙げられる。)
【0044】
本発明で用いられる銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]は、単独でも使用可能であるが、2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の着色剤組成物において、銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]の配合量は、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比率([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.40であることが好ましい。0.05未満では蛍光の抑制および銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]の分散性が不十分であるためコントラストが低くなり、0.40を超えると色特性に影響が発生し低明度となる。より好ましい重量比率([A2]/([A1]+[A2]))は0.20〜0.30である。
【0045】
《キサンテン系染料[A3]》
本発明において好ましく用いることのできるキサンテン系染料[A3]は、赤色、紫色を呈するものであり、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料のいずれかの形態を有するものである。
赤色、紫色を呈するとは、C.I.ソルベント レッド、C.I.ソルベント バイオレット等の油溶性染料、C.I.ベーシック レッド、C.I.ベーシック バイオレット等の塩基性染料、C.I.アシッド レッド、C.I.アシッド バイオレット等の酸性染料、C.I.ダイレクト レッド、C.I.ダイレクト バイオレット等の直接染料等、に属するものである。
ここで直接染料は、構造中にスルホン酸基(−SO3H,−SO3Na)を有しており、本発明においては、直接染料は酸性染料として見なすものである。
【0046】
本発明に用いるキサンテン系染料[A3]は、透過スペクトルにおいて650nmの領域で透過率が90%以上であり、600nmの領域で透過率が75%以上、500〜550nmの領域で透過率が5%以下、400nmの領域で透過率が70%以上であるものが好ましい。より好ましくは、650nmの領域で透過率が95%以上であり、600nmの領域で透過率が80%以上、500〜550nmの領域で透過率が10%以下、400nmの領域で透過率が75%以上である。
【0047】
キサンテン系塩基性染料は、同様に400〜450nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有しているが、耐光性、耐熱性がさらに乏しく、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない。そのため、これらの染料における欠点を改善するために、キサンテン系塩基性染料を、有機酸を用いて造塩化することが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。
【0048】
また、キサンテン系酸性染料は、400〜450nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。しかし良好な分光特性を持つにもかかわらず、一般的な染料と同様に耐光性、耐熱性が乏しく、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない。そのため、これらの染料における欠点を改善するために、キサンテン系酸性染料を、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等を用いて造塩化、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることが好ましい。
【0049】
本発明において好ましく用いることのできるキサンテン系染料[A3]としては、これらの中でも、キサンテン系酸性染料、キサンテン系油溶性染料を用いることが好ましく、特にキサンテン系酸性染料を、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物を用いて造塩化した化合物、キサンテン系酸性染料をスルホンアミド化したスルホン酸アミド化合物を用いることが好ましいものである。
【0050】
キサンテン系染料[A3]の中でも、ローダミン系染料は発色性、耐性にも優れているために好ましい。
【0051】
以下、本発明に用いるキサンテン系染料[A3]の形態について具体的に詳述する。
【0052】
[キサンテン系油溶性染料]
キサンテン系染料の油溶性染料について説明する。キサンテン系油溶性染料としては、C.I. ソルベントレッド35、C.I. ソルベントレッド36、C.I. ソルベントレッド42、C.I. ソルベントレッド43、C.I. ソルベントレッド44、C.I. ソルベントレッド45、C.I. ソルベントレッド46、C.I. ソルベントレッド47、C.I. ソルベントレッド48、C.I. ソルベントレッド49、C.I. ソルベントレッド72、C.I. ソルベントレッド73、C.I. ソルベントレッド109、C.I. ソルベントレッド140、C.I. ソルベントレッド141、C.I. ソルベントレッド237、C.I. ソルベントレッド246、C.I. ソルベントバイオレット2、C.I. ソルベントバイオレット10などがあげられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I. ソルベントレッド35、C.I. ソルベントレッド36、C.I. ソルベントレッド49、C.I. ソルベントレッド109、C.I. ソルベントレッド237、C.I. ソルベントレッド246、C.I. ソルベントバイオレット2がより好ましい。
【0053】
[キサンテン系塩基性染料]
キサンテン系染料の塩基性染料について説明する。キサンテン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック レッド 1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I. ベーシック バイオレット 10(ローダミンB)等があげられる。
中でも発色性に優れる点において、C.I. ベーシック レッド 1、C.I. ベーシック バイオレット 10を用いることが好ましい。
【0054】
[キサンテン系酸性染料]
キサンテン系染料の酸性染料について説明する。キサンテン系染料の酸性染料としては、C.I.アシッド レッド 51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッド レッド 52(アシッドローダミン)、C.I.アシッド レッド 87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッド レッド 92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッド レッド 289、C.I.アシッド レッド 388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッド バイオレット 9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッド レッド 87、C.I.アシッド レッド 92、C.I.アシッド レッド 388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッド レッド 52(アシッドローダミン)、C.I.アシッド レッド 289、アシッドローダミンG、C.I.アシッド バイオレット 9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッド レッド 52、C.I.アシッド レッド 289を用いる事が最も好ましい。
【0055】
さらに前記キサンテン系酸性染料は、四級アンモニウム塩として造塩化、スルホンアミド化することで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を併せて持つことが出来る。
【0056】
(キサンテン系酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物)
本発明に用いるキサンテン系染料[A3]は、前記で述べたキサンテン系酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物として用いることが好ましい。
【0057】
・四級アンモニウム塩化合物
四級アンモニウム塩化合物は、アミノ基を有することでキサンテン系酸性染料のカウンタになるものである。
【0058】
造塩化合物のカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物の好ましい形態は、無色、または白色を呈するものである。ここで無色、または白色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が95%以上、好ましくは98%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち染料成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものである必要がある。
【0059】
四級アンモニウム塩化合物のカチオン成分であるカウンタ部分の分子量は190〜900の範囲であることが好ましい。ここでカチオン部分とは、下記一般式(9)中の(NR1234)+の部分に相当する。分子量が190よりも小さいと耐光性、耐熱性が低下してしまい、さらに溶剤への溶解性が低下してしまう。また分子量が900よりも大きくなると分子中の発色成分の割合が低下してしまい、発色性が低下し、明度も低下してしまう。より好ましくはカウンタ部分の分子量が240〜850の範囲である。特に好ましいのは、カウンタ部分の分子量が350〜800の範囲である。
ここで分子量は構造式を基に計算を行ったものであり、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Nの原子量を14とした。
【0060】
また、四級アンモニウム塩化合物として下記一般式(9)で表されるものが用いられる。
【0061】
一般式(9)
【化4】
(一般式(9)中、R1〜R4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基またはベンジル基を示し、R1、R2、R3、又はR4の少なくとも2つ以上がCの数が5〜20個である。Yは無機または有機のアニオンを表す。)
【0062】
1〜R4 の少なくとも2つ以上のCの数を5〜20個とすることで、溶剤に対する溶解性が良好なものとなる。Cの数が5より小さいアルキル基が3つ以上になると溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗膜異物が発生しやすくなってしまう。またCの数が20を超えてしまうアルキル基が存在すると造塩化合物の発色性が損なわれてしまう。
【0063】
具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が74)、テトラエチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が122)、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が312)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が550)、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が284)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が368)、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が270)、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が228)、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が382)、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が536)、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が318)、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が360)、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が444)、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が612)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が388)、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が248)、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)(カチオン部分の分子量が438〜550)等を用いることが好ましい。
【0064】
アニオンを構成するY-の成分は、無機または有機のアニオンであればよいが、ハロゲンであることが好ましく、通常は塩素である。
【0065】
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が好ましいものである。
【0066】
四級アンモニウム塩化合物は、側鎖にカチオン性基、特にアミノ基、アンモニウム基を有し、キサンテン系酸性染料と反応、造塩化させ四級アンモニウム塩構造を形成できる樹脂の形態であってもよい。(参考文献1参照)
(参考文献1)特願2011−150752
【0067】
・側鎖にカチオン性基を有する樹脂
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(10)で表される構造単位を含むアルカリ樹脂であって一般式(10)中のカチオン性基が、キサンテン系酸性染料のアニオン性基と塩形成することで、造塩化合物を得ることができる。
【0068】
一般式(10)
【化5】
【0069】
[一般式(10)中、R5は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R6〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R6〜R8のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R9−、−COO−R9−を表し、R9はアルキレン基を表す。Y-は無機または有機のアニオンを表す。]
【0070】
一般式(10)中、R5におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。R5で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
上記の中でも、R5としては、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0071】
一般式(10)中、R6〜R8におけるアルキル基としては、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
6〜R8におけるアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が挙げられる。該アルケニル基としては、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基である。
【0072】
6〜R8におけるアリール基としては、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9−オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9−オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
【0073】
6〜R8で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。該置換基としては、中でも、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が特に好ましい。
6〜R8としては、安定性の観点から置換されていてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基が更に好ましい。
【0074】
また、R6〜R8のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。
【0075】
一般式(10)中、アクリル部位とアンモニウム塩基を連結するQの成分はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R5−、−COO−R5−を表し、R5はアルキレン基を表すが、中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R9−、−COO−R9−であることが好ましい。また、R9がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
【0076】
当該樹脂の対アニオンを構成する一般式(10)中におけるY-の成分は、無機または有機のアニオンであればよい。対アニオンとしては、公知のものが制限なく採用でき、具体的には、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン、さらには、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオンのような錯体イオン等が挙げられる。合成適性や安定性の点からは、ハロゲンイオン及びカルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンが最も好ましい。対アニオンがカルボン酸イオン等の有機酸イオンである場合は、樹脂中に有機酸イオンが共有結合し、分子内塩を形成していてもよい。
【0077】
一般式(10)で表される構造単位を含むアクリル系樹脂を得るには、アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体成分として共重合する方法だけでなく、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体成分として共重合したアミノ基を有するアクリル系樹脂を得た後、オニウム塩化剤を反応させ、アンモニウム塩化する方法により得ても良い。
【0078】
以下に、アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体と、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、およびオニウム塩化剤の具体例を示す。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」、のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」、と記載することがある。同様に、「アクリロイル、メタクリロイル」のいずれか或いは双方を示す場合、「(メタ)アクリロイル」と記載することがある。
【0079】
アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0080】
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、N−ビニルピロリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体が挙げられる。
【0081】
オニウム塩化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、またはジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、またはベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、またはオクチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、またはオクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド、あるいは、ベンジルクロライド、またはベンジルブロマイド等が挙げられる。
【0082】
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とオニウム塩化剤との反応は、通常はアミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体溶液に滴下することによって行うことができる。アンモニウム塩化反応時の温度は90℃程度以下であり、特にビニルモノマーをアンモニウム塩化する場合には30℃程度以下が好ましく、反応時間は1〜4時間程度である。
【0083】
別に、オニウム塩化剤として、アルコキシカルボニルアルキルハライドを使用することもできる。アルコキシカルボニルアルキルハライドは下記一般式(11)で表される。
【0084】
一般式(11)
Z−R60−COOR70
【0085】
(一般式(11)中、Zは、塩素、または臭素等のハロゲン、好ましくは臭素であり、R60は、炭素数1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアルキレン基であり、R70は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキル基である。)
【0086】
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とアルコキシカルボニルアルキルハライドとの反応は、アミノ基に対して等モル以下のアルコキシカルボニルアルキルハライドを上記オニウム塩化剤同様に反応させた後、−COOR70を加水分解してカルボキシレートイオン(−COO-)に変換することにより得られる。これにより、カルボキシベタイン構造を有しアンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を得ることができる。
【0087】
・造塩化合物の製造方法
キサンテン系酸性染料と四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物は、従来知られている方法により製造することができる。特開平11−72969号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、キサンテン系酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでキサンテン系酸性染料中のスルホン酸基(−SO3H)、スルホン酸ナトリウム基(−SO3Na)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶媒である。
【0088】
また、本発明に用いる造塩化合物は、一般式(10)で表される側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、キサンテン系酸性染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいは一般式(10)で表される側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液とキサンテン系酸性染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアンモニウム基とキサンテン系酸性染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンとキサンテン系酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、およびキサンテン系酸性染料は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
【0089】
造塩化合物としては、特にC.I.アシッドレッド289やC.I.アシッドレッド52と、カウンタとなるカチオン部分の分子量が350〜800である四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物を用いることで、溶剤溶解性に優れ、後述する顔料と併用した場合に、より耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れたものとなる。また造塩化合物が顔料と併用することで良好なものとなるのは、溶剤中に溶解、分散しながら顔料に吸着することによるものであると推測される。このとき、顔料の一次粒子径は、20〜100nmであることが好適である。
本発明の着色組成物は、後述するが、青色顔料と併用する青色着色組成物、赤色顔料と併用する併用する赤色着色組成物の形態が好ましい。
【0090】
(キサンテン系酸性染料のスルホン酸アミド化合物)
本発明におけるキサンテン系酸性染料は、スルホンアミド化し、スルホン酸アミド化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。
本発明のキサンテン系色素[A1]に好ましく用いることのできるキサンテン系酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、−SO3H、−SO3Naを有するキサンテン系酸性染料を常法によりクロル化して、−SO3Hを−SO2Clとし、この化合物を、−NH2基を有するアミンと反応して製造することができる。
また、スルホンアミド化において好ましく使用できるアミン化合物としては、具体的には、2−エチルへキシルアミン、ドデシルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロへキシルアミン等を用いることが好ましい。
一例をあげると、C.I.アシッドレッド289を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合は、C.I.アシッドレッド289をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド289のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、C.I.アシッドレッド52を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合も、C.I.アシッドレッド52をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド52のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
【0091】
感光性着色組成物の固形分量100重量部としたときの着色剤(A)量が、5〜15重量部であることが好ましい。
【0092】
<樹脂(B)>
樹脂は、着色剤を分散するものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が好ましい。
樹脂(B)としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0093】
樹脂(B)の重量平均分子量(以下、Mwともいう)は、着色剤(A)を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(以下、Mnともいう)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0094】
また、顔料分散性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪化し、微細パターン形成するのが困難である場合がある。一方、300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残存しない場合がある。
【0095】
樹脂(B)は、成膜性および諸耐性の観点から、着色剤(A)100重量部に対し、30重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量部以下の量で用いることが好ましく、さらに40重量部以上、300重量部以下が好ましい。
【0096】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0097】
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0098】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)や(b)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0099】
<方法(a)>
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0100】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0101】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0102】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0103】
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0104】
<方法(b)>
方法(b)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0105】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0106】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0107】
(熱硬化性樹脂)
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことが好ましい。本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
【0108】
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/又は樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/又は樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/又は樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/又は樹脂、メラミン化合物及び/又は樹脂、尿素化合物及び/又は樹脂、およびフェノール化合物及び/又は樹脂が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のカラーフィルタ用着色組成物ではエポキシ化合物及び/又は樹脂が好ましく用いられる。
【0109】
エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α',α'−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α',α'−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α'−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0110】
市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−810、EX−830、EX−851、EX−512、EX−421、EX−313、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
エポキシ化合物の配合量は、着色剤100重量に対し、0.5〜300重量部であることが好ましく、1.0〜50重量部であることがより好ましい。0.5重量部未満ではコントラスト比および耐熱性改善効果が小さく、300重量部より多いとフォトリソグラフィーによるフィルタセグメント形成時に不具合を生ずる場合がある。
【0112】
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性化合物100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0113】
<モノマー(C)>
本発明のモノマー(C)には、少なくとも酸性基を有する多官能モノマー(C1)を含むことが重要である。この酸性基を有する多官能モノマー(C1)を使用することで、ガラス基板との密着性とアルカリ現像液への優れた溶解性と高電圧保持率特性を両立できるため重要である。本発明においてモノマー(C)は、さらに紫外線や熱などにより反応可能なモノマーに加えてオリゴマーも含むものであり、多官能のモノマー・オリゴマーであることが好ましい。さらに酸性基を有さないモノマー・オリゴマーも併用することも好ましい。
【0114】
モノマー(C)の配合量は、該着色組成物の不揮発分100重量%中、20〜50重量%であることが好ましく、光硬化性、解像度およびフリンジ形状の観点から30〜45重量%であることがより好ましい。
【0115】
(酸基を有する多官能モノマー(C1))
酸基を有する多官能モノマー(C1)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が好ましい。具体例としては、例えばトリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
【0116】
また、酸基を有する多官能モノマー(C1)として、下記一般式(12)により表わされる化合物も好ましい。一般式(12)の化合物を使用することで、本発明の感光性着色組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が向上し、製造ラインでの現像工程において、現像液との不溶物の発生を防ぐことでフィルターの詰まりを防ぐことができる。
一般式(12):
(H2C=C(R11)COO)m1−X1−(OCOCH(R11)CH2S(R12)COOH)n1
(式中、R11は水素原子またはメチル基、R12は炭素数1〜12の炭化水素基、X1は(m1+n1)価の炭素数3〜60 の有機基、m1は2〜18の整数、n1は1〜3の整数を示す。)
ここで、一般式(12)で表される化合物は、例えば、以下の方法により容易に得ることができる。
【0117】
(1)X1で表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法。
(2)X1で表される有機基を与える化合物をポリイソシアネート化合物で変性させた後、得られた化合物に水酸基を有するアクリレート化合物でアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法。
(3)X1で表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、ポリイソシアネート化合物で変性させ、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法。
【0118】
X1で表される有機基を与える化合物としては、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物、及びジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ジペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物を挙げることができる。
【0119】
メルカプト化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、o−メルカプト安息香酸、2−メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸などが挙げられる。
【0120】
前記酸基を有する多官能性モノマー(C1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。本発明における酸基を有する多官能性モノマー(C1)の使用量は、感光性着色組成物の不揮発分100重量%中、20〜50重量%、好ましくは30〜45%である。この場合、酸基を有する多官能性モノマーの使用量が5重量部未満では、画素強度あるいは画素表面の平滑性が低下する傾向があり、一方500重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りが発生しやすくなる傾向がある。
【0121】
本発明におけるモノマー(C)は、上記酸性基を有する多官能性モノマー(C1)を含み、さらに酸性基を有しない多官能性モノマーあるいは単官能性モノマーを含むこともできる。
【0122】
(多官能モノマー)
多官能モノマーとしては、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
【0123】
(単官能モノマー)
単官能モノマーとしては、例えばω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルこはく酸、2−メタクリロイルオキシエチルこはく酸、2−アクリロイルオキシプロピルこはく酸、2−メタクリロイルオキシプロピルこはく酸、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートや、市販品として、2−アクリロイロキシエチルこはく酸(商品名M−5300)等を挙げることができる。
【0124】
酸基を有する多官能性モノマー(C1)と、他のモノマーとを併用して使用する場合、これらの他のモノマーは、1種でまたは2種以上の複数で混合して使用することができる。その場合、他のモノマーの使用量は、全モノマー量である酸基を有する多官能性モノマー(C1)との合計100重量部に対して、通常、0〜90重量部、好ましくは0〜50重量部である。
【0125】
なお、本発明において原料として電圧保持率の観点からラプロラクトンを使用しないモノマーを使用することが好ましい。
【0126】
また、本発明において原料として明度の観点からイソシアヌル酸骨格を有するモノマーを使用することが好ましい。
【0127】
<光重合開始剤(D)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成するため、光重合開始剤を加えてアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製する。
本発明の光重合開始剤(D)は、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、およびオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする。
【0128】
アセトフェノン化合物としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
【0129】
アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0130】
オキシム化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等が例示できる。また、この他に、特開2007−210991号公報、特開2009−179619号公報、特開2010−037223号公報、特開2010−215575号公報、特開2011−020998号公報等に記載のオキシムエステル系化合物を用いることも可能である。
【0131】
残膜率の観点からは、高感度開始剤であるオキシム系化合物が好ましく、さらにカルバゾール基を含有するオキシム系化合物がより好ましい。さらに明度の観点から、ケト型カルバゾール基含有オキシム系化合物が最も好ましい。
【0132】
本発明におけるオキシム系化合物は、下記一般式(13)で表される化合物であることが好ましく、一般式(13)中、R1は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のホスフィノイル基、置換もしくは未置換のカルバモイル基、または置換もしくは未置換のスルファモイル基である。
一般式(13)
【化6】
【0133】
1における置換もしくは未置換のアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
1における置換もしくは未置換のアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から18であり場合により1個以上の−O−で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により−O−の1個以上により中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
炭素数2から18であり場合により−O−の1個以上により中断されている単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
【化7】
【0137】
1における置換もしくは未置換のアルキルオキシ基としては、炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基、または炭素数2から18であり場合により1個以上の−O−で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により1個以上の−O−で中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキルオキシ基の具体例としては、−O−CH2−O−CH3、−O−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−O−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−O−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−O−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
炭素数2から18であり場合により−O−の1個以上により中断されている単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
【化8】
【0140】
1における置換もしくは未置換のアリール基としては、炭素数6から24の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−アンスリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
1における置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
1における置換もしくは未置換の複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素原子数4〜24の芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられ、2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、3−チアントレニル基、2−チアンスレニル基、2−フリル基、2−ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、2−アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3−フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−クマリニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
1における置換もしくは未置換の複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4〜18の単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられ、具体例としては、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
1における置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
1における置換もしくは未置換のアリールスルファニル基としては、炭素数6〜18の単環状または縮合多環状アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
1における置換基もしくは未置換のアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましく、具体例としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メチルオキシメチルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メチルオキシフェニルスルフィニル基、2−ブチルオキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メチルオキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
1における置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メチルオキシメチルスルホニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0149】
1における置換もしくは未置換のアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メチルオキシフェニルスルホニル基、2−ブチルオキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メチルオキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
1における置換もしくは未置換のアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、炭素数2から20のアルキルオキシ基が置換したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状のアリールオキシ基が置換したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4〜18の単環または縮合多環状の複素環基が結合したカルボニル基が挙げられ、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、シンナモイル基ベンゾイル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、9−アンスリルカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、1−ナフトイルオキシカルボニル基、2−ナフトイルオキシカルボニル基、9−アンスルリルオキシカルボニル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
1における置換もしくは未置換のアシルオキシ基としては、炭素数2〜20のアシルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0152】
1における置換もしくは未置換のアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0153】
ここで、アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、sec−ペンチルアミノ基、tert−ペンチルアミノ基、tert−オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1−アダマンタミノ基、2−アダマンタミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
アリールアミノ基としては、アニリノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、2−ビフェニルアミノ基、3−ビフェニルアミノ基、4−ビフェニルアミノ基、1−フルオレンアミノ基、2−フルオレンアミノ基、2−チアゾールアミノ基、p−ターフェニルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0156】
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−フェニル−1−ナフチルアミノ基、N−フェニル−2−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0157】
アルキルアリールアミノ基としては、N−メチルアニリノ基、N−メチル−2−ピリジノ基、N−エチルアニリノ基、N−プロピルアニリノ基、N−ブチルアニリノ基、N−イソプロピル、N−ペンチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、N−メチル−1−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
1における置換もしくは未置換のホスフィノイル基としては、炭素数2から50のホスフィノイル基が挙げられ、具体例としては、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
1における置換もしくは未置換のカルバモイル基としては、炭素数1から30のカルバモイル基が挙げられ、具体例としては、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
1における置換もしくは未置換のスルファモイル基としては、炭素数0から30のスルファモイル基が挙げられ、具体例としては、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
2は、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。
【0162】
2における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、および、置換もしくは未置換のアミノ基としては、前述のR1における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0163】
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。
【0164】
3〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0165】
3〜R5における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0166】
6〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、置換もしくは未置換のアミノ基、または下記一般式(14)で表される置換基である。
【0167】
一般式(14)
【化9】
【0168】
(式(14)中、R1'およびR2'は、R1およびR2と同義である。)
6〜R9におけるハロゲン原子は、R3〜R5におけるハロゲン原子と同義である。
【0169】
6〜R9におけるハロアルキル基としては、すべての水素原子が上述したハロゲン原子で置換された、炭素数1〜15のアルキル基が挙げられ、具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタブロモエチル基、ペンタヨードエチル基、トリフルオロジブロモエチル基、トリブロモジヨードエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタクロロプロピル基、ヘプタブロモプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナクロロブチル基、ノナブロモブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、ウンデカクロロペンチル基、ウンデカブロモペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、トリデカクロロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘンイコサフルオロデシル基、トリコサフルオロウンデシル基、ペンタコサフルオロドデシル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0170】
上記ハロアルキル基としてより好ましくは、合成面や着色組成物としての特性面から、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
【0171】
6〜R9における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0172】
ここで、R6〜R9における上記置換基の置換位置としては、合成面や着色組成物としての特性面から、R7に置換している場合が好ましい。
【0173】
10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは未置換のアシル基であるが、R10〜R14のすべてが同時に水素原子になることはない。
【0174】
10〜R14におけるハロアルキル基は、前述のR6〜R9におけるハロアルキル基と同義であり、置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアシル基は、前述のR1における置換もしくは未置換のアルキルスルフィニル基、置換もしくは未置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは未置換のアリールスルホニル基、および、置換もしくは未置換のアシル基と同義である。
【0175】
10〜R14の少なくともひとつは、合成面や着色組成物としての特性面から、ニトロ基または置換もしくは未置換のアシル基である場合が好ましく、ニトロ基または下記一般式(15)である場合がさらに好ましい。
【0176】
一般式(15)
【化10】
【0177】
(式(15)中、R15〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である。)
【0178】
15〜R19におけるハロアルキル基は、前述のR6〜R9におけるハロアルキル基と同義であり、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基は、R1における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、および、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0179】
ここで、R10〜R14におけるニトロ基、または式(13)で表される置換基の置換位置は、合成面や着色組成物としての特性面から、R12に置換している場合がより好ましい。
【0180】
前述したR1〜R19における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0181】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0182】
本発明におけるオキシム系化合物は、N−フェニルカルバゾール骨格のフェニル基上に電子吸引性置換基が置換していることが特徴である。オキシムエステル系光重合開始剤は、紫外線を吸収することによってオキシムエステル部分が分解してイミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成し、さらに分解して生成した活性種のラジカルが反応を引き起こすと考えられているが、本発明の感光性着色組成物に含有されるオキシム系化合物は、一般式(13)で表される構造を有することにより、紫外線照射による分解効率が非常に高く、少ない露光量でパターンを形成させることができる。
本発明のオキシム系化合物が従来の開始剤よりも高感度に機能しうる理由としては、次にあげる3つの理由が可能性として考えられるが、詳細は明らかではない。
【0183】
1つ目の理由としては、本発明のオキシム系化合物は、一般式(13)で表される構造が良好な紫外線吸収性能を有することにより、与えられたエネルギー線によるエネルギーを極めて良好に吸収することができることである。さらに、得られたエネルギーがオキシムエステル部位の分解に効率的に使用されることにより、エネルギー線照射による分解が速く、瞬時に多量のラジカルを生成することが可能になっていることが考えられる。
【0184】
2つ目の理由としては、本発明のオキシム系化合物は、紫外線を吸収して発生したイミニルラジカルから活性種のラジカルへの分解が、一般式(13)で表される構造に由来して、非常に速いことが考えられる。生成するイミニルラジカルが準安定であれば分解は遅くなり、活性なラジカルの生成量は少なくなるが、これは紫外線吸収部分の化学構造により大きく影響を受ける。本発明のオキシム系化合物は、一般式(11)に示す構造をとることにより、光照射による分解により生じたイミニルラジカルの分解が非常に速く、多量のラジカルを生成する結果をもたらしていると考えられる。
また、本発明のオキシム系化合物は、上述したように、イミニルラジカルの分解が非常に速いため再結合が抑制されていることが考えられる。再結合が多い場合、分解により生じた活性種が減少してしまうため、ラジカル重合開始剤としての機能は低下する。
【0185】
3つ目の理由としては、上述した、良好な紫外線吸収性能として機能しうる電子吸引性置換基が置換したカルバゾールの効果と、ケト型オキシムエステルの効果との相乗効果が挙げられる。
【0186】
また、併用できる光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、等のイミダゾール系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、チタノセン系化合物等挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0187】
光重合開始剤(D)の配合量は、感光性着色組成物の固形分の合計100重量%中0.5〜20重量%が好ましい。0.5重量%未満の場合は、基材との密着性が悪く、20重量%を超えると解像性に問題が起こる。これらの観点から1〜15重量%がより好ましく、さらに好ましくは1.5〜10重量%である。
【0188】
感光性着色組成物をCOA用に用いる場合の特性として、プロファイル角は35〜65°が好ましく、さらに好ましくは40〜60°であり、また、テーパー長さが7μm以下であることが好ましい。そのためモノマー量、かつ、開始剤量が上記範囲内にあることで、プロファイル角およびテーパー長さを要求値にコントロールでき、COA方式に適したカラーフィルタが製造できる。
【0189】
<溶剤>
本発明の感光性着色組成物には、溶剤を含有させることができる。これにより着色剤を充分に感光性着色組成物中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.5〜5.0μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にすることができる。
【0190】
溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0191】
中でも、本発明の着色組成物の保存安定性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤(A)100重量部に対し、800〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0192】
<分散>
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)を樹脂(B)と、銅フタロシアニンのアミン化合物(C)と、必要に応じて溶剤とからなる着色剤担体を、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、顔料、造塩化合物、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0193】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
本発明において、造塩化合物は、顔料の分散助剤としての役割を果たすことも期待される。
【0194】
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、添加顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加顔料に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0195】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0196】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0197】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、添加顔料の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を及ぼすことがある。
【0198】
<レベリング剤>
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での感光性着色組成物のレベリング性を改善するため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性着色組成物100重量%中、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0199】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0200】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0201】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0202】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0203】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の感光性着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0204】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0205】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0206】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色剤(A)100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0207】
<粗大粒子の除去>
本発明の感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0208】
<カラーフィルタ>
次に、本発明の感光性着色組成物を用いた着色膜である着色層、カラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0209】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。前記フィルタセグメントは、スピンコート方式あるいはダイコート方式によって本発明の感光性着色組成物を塗布することにより、基材上に形成される。
【0210】
カラーフィルタの基材としては、可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板といった透明基板又は反射基板が挙げられる。これらの基板には、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。又、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫等からなる透明電極が形成されていてもよい。
【0211】
これらの透明基板又は反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。又、前記の透明基板又は反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成した、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板にしておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0212】
ここで、TFT基板上に着色層を形成する方法について説明する。まず、TFT基板の表面上、あるいは該駆動基板の表面に窒化けい素膜等のパッシベーション膜を形成した基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層を形成し、この基板上に、感光性着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させて、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。その際に使用されるフォトマスクには、画素を形成するためのパターンのほか、スルーホールあるいはコの字型の窪みを形成するためのパターンも設けられている。
【0213】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0214】
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。中でも、良好なプロファイル角とコンタクとホールの開孔の両立の観点から、シャワー現像法またはスプレー現像法が好ましい。
【0215】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記感光性着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできるが、重合阻害を防止したため感度が高すぎるとコンタクトホールを開けにくくなることから、樹脂等を着色組成物の塗膜上に塗布するのは好ましくない。
【0216】
透明基板又は反射基板上にフィルタセグメントを形成するときの塗布厚さ(着色膜の厚さ)は、乾燥膜厚が、好ましくは、0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmである。
また、特に本発明の着色組成物をCOA方式に用いる場合には、ゲート電極/透明電極間で起こるクロストークを防止するために絶縁性が要求され、厚膜であることが好ましくそのため乾燥膜厚0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmといった膜厚で用いることが好ましい。
本発明の感光性着色組成物を用いた着色膜は、30μmのスルーホールパターンを有するフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2の紫外線により積算光量50mJ/cm2で露光し、次いで未露光部分を現像した後、オーブンにて230℃で20分間ポストベークした時の塗膜の厚さを3.0μmにしたとき、20〜35μmのスルーホールパターンが形成できる。
【0217】
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜等が形成される。
【0218】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0219】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0220】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を、「%」は、「重量%」を表す。
また、アクリル樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
また、顔料の微細化度は顔料粒子の比表面積、平均一次粒子径で評価した。なお比表面積の測定は、窒素吸着のBET法による自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル社製「BELSORP18」)により行なった。
【0221】
<測定方法>
(樹脂の重合平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0222】
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価)
一般式(10)で表される側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した値であり、固形分のアンモニウム塩価を示す。
【0223】
まず実施例および比較例に用いた光重合開始剤6、アクリル樹脂溶液、微細化顔料、側鎖にカチオン性基を有する樹脂、造塩化合物、キサンテン色素含有溶液、銅フタロシアニンのアミン化合物、樹脂型分散剤溶液、顔料分散体の製造方法を説明する。
【0224】
<光重合開始剤の製造方法>
[光重合開始剤6の合成]
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム85.0gを添加して0℃にて攪拌下、プロピオニルクロリド 32.0gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、中間体化合物(a1)を113.0g得た。次に、化合物(a1)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル38.4gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、前駆体化合物(b1)99.8gを得た。次に、化合物(b1)30.0gを酢酸エチル300ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.3g、酢酸ナトリウム10.6gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、光重合開始剤6を31.4g得た。
【0225】
光重合開始剤6
一般式(16)
【化11】
【0226】
[光重合開始剤(7)の合成]
N−ベンゾフェノイルカルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム84.0gを添加して0℃にて攪拌下、ブタノイルクロリド 36.8gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、中間体化合物(a2)を109.3g得た。次に、化合物(a2)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル43.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、前駆体化合物(b2)89.3gを得た。次に、化合物(b2)30.0gを酢酸エチル300ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.1g、酢酸ナトリウム10.3gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、光重合開始剤(7)30.0gを得た。
【0227】
光重合開始剤(7)
一般式(17)
【化12】
【0228】
[光重合開始剤(8)の合成]
N−(p−ニトロフェニル)カルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム101.8gを添加して0℃にて攪拌下、ブタノイルクロリド 44.3gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、中間体化合物(a3)を113.6g得た。次に、化合物(a3)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル43.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、前駆体化合物(b3)107.2gを得た。次に、化合物(b3)50.0gを酢酸エチル500ml中で攪拌したところに、無水酢酸19.9g、酢酸ナトリウム11.7gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、光重合開始剤(8)57.6gを得た。
【0229】
光重合開始剤(8)
一般式(18)
【化13】
【0230】
[光重合開始剤(9)の合成]
N−ベンゾフェノイル−1,3−ジメチル−カルバゾール100.0gをクロロホルム1000mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム78.6gを添加して0℃にて攪拌下、プロピオニルクロリド29.6gをクロロホルム500mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水2000gにあけ、クロロホルム2000mLにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ別した後、残留物をクロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、中間体化合物(a4)を111.8g得た。次に、化合物(a4)100.0gと、テトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル35.7gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、前駆体化合物(b4)98.3gを得た。次に、化合物(b4)30.0gを酢酸エチル300ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.9g、酢酸ナトリウム10.0gを加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、光重合開始剤(9)31.2gを得た
【0231】
光重合開始剤(9)
一般式(19)
【化14】
【0232】
<アクリル樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。
【0233】
(アクリル樹脂溶液2)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、およびハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け、さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、重量平均分子量8000、酸価71mgKOH/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液2を調製した。
【0234】
(アクリル樹脂溶液3)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート70.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート22.0部、メタクリル酸43.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136部、およびアゾビスイソブチロニトリル3.6部の混合物を2時間かけて滴下し、さらに100℃で5時間撹拌して重合反応を行った。次にフラスコ内を空気置換し、グリシジルメタクリレート35.5部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部、およびハイドロキノン0.145部を投入し、110℃で6時間反応を続け、重量平均分子量25000、酸価88mgKOH/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液3を調製した。
【0235】
(アクリル樹脂溶液4)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりベンジルメタクリレート69.5部、メタクリル酸15.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート15.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量17100、酸価99mgKOH/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液4を調製した。
【0236】
(アクリル樹脂溶液5)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸14部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)26部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、重量平均分子量18000、酸価50KOH−mg/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液5を調製した。
【0237】
(アクリル樹脂溶液6)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸n−ブチル23.0部、メタクリル酸ベンジル25.0部、メタクリル酸13.0部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル14.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)25.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量32000、酸価78KOH−mg/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液6を調製した。
【0238】
(酸価の測定法)
樹脂溶液0.5〜1部に、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0239】
<青色顔料[A1]の製造方法>
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の青色顔料[A1]を得た。青色顔料[A1]の比表面積は80m2/gであった。
【0240】
<銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]の製造方法>
クロルスルホン酸300部中に銅フタロシアニン30部を仕込み、完全に溶解した後、塩化チオニル24部を加え、徐々に昇温して101℃で3時間反応させた。その反応液を氷水9000部中に注入し、撹拌後、濾過、水洗した。得られたプレスケーキを水300部でスラリーとした後、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン15部を加え、室温で3時間、次いで、60℃で2時間撹拌した後、濾過、水洗、乾燥し、銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物(E−3)36部を得た。得られた銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物について、Waters社製液体クロマトグラフ質量分析計プラットフォームLCZで組成分析したところ、3個以上置換基を有するものは含まれておらず、SONH(CHN(CHを1個有する銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物(C−3−D1)とSONH(CHN(CHを2個有する銅フタロシアニンスルホン酸アミド化合物(C−3−D2)の混合物であり、各々の重量比は85:15であった。
【0241】
一般式(20)
【化15】
【0242】
<一般式(10)で表される側鎖にカチオン性基を有する樹脂の調製方法>
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール75.1部を仕込み、窒素気流下で75℃ に昇温した。別途、メチルメタクリレート33.2部、n−ブチルメタクリレート27.3部、2−エチルヘキシルメタクリレート27.3部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩12.2部、およびメチルエチルケトン15.6部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、7420である事を確認し、50℃へ冷却した。その後、イソプロピルアルコールを72部加え、樹脂成分が40重量%の側鎖にカチオン性基を有する樹脂を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は33mgKOH/gであった。
【0243】
<キサンテン系染料[A3]の製造方法>
<造塩化合物の製造方法>
【0244】
(造塩化合物)
下記の手順で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂とからなる造塩化合物を製造した。
水2000部に51部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッドレッド52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッドレッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物を得た。このとき造塩化合物中のC.I.アシッドレッド52に由来する有効色素成分の含有量は25重量%であった。
【0245】
<キサンテン系色素含有溶液の製造方法>
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5.0μmのフィルタで濾過しキサンテン系色素含有溶液を作製した。
造塩化合物(A−1) :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :80.0部
【0246】
<樹脂型分散剤溶液の調製方法>
市販の樹脂型分散剤である、BASF社製「EFKA4300」と、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて不揮発分40重量%溶液に調整し、樹脂型分散剤溶液として使用した。
【0247】
<顔料分散体の製造方法>
(青色顔料分散体の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体を得た。
青色微細顔料[A1](C.I.ピグメント ブルー15:6) : 9.6部
銅フタロシアニンのアミン化合物[A2] : 2.4部
樹脂型分散剤 (BASF社製「EFKA4300」) :16.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :72.0部
【0248】
[実施例1]
<着色組成物の調製>
実施例1の着色組成物は、下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5.0μmのフィルタで濾過、混合し青色感光性着色組成物(R−1)を作製した。
【0249】
青色顔料分散体 :14.51重量部
造塩化合物溶液 : 9.82重量部
アクリル樹脂溶液1 : 7.65重量部
エポキシ化合物溶液1 : 5.39重量部
モノマー2(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) : 3.60重量部
モノマー3(ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物の無水コハク酸付加体) : 3.60重量部
光重合開始剤1(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン) : 0.97重量部
光重合開始剤2(2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン)
: 0.65重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :53.81重量部
【0250】
[実施例2〜69および比較例1〜7]
実施例2〜69および比較例1〜7の感光性着色組成物(R−2〜76)は、表1〜7
の組成に従って実施例1と同様にして得た。
ただし、実施例1〜21、29〜32、55、56は参考例である。
【0251】
【表1】
【0252】
【表2】
【0253】
【表3】
【0254】
【表4】
【0255】
【表5】
【0256】
【表6】
【0257】
【表7】
【0258】
表1〜7中の略語について下記に示す。
・エポキシ化合物1:EHPE3150(ポリ[(2−オキシラニル)−1,2−シクロヘキサンジオール]2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールエーテル(ダイセル化学工業社製))
・エポキシ化合物2:EX−611(ソルビトールテトラグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製))
・エポキシ化合物3:EX−201(レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製))
上記エポキシ化合物1〜3に、各々不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してエポキシ化合物溶液1〜3を調製した。
【0259】
・モノマー1:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD DPCA−30」)
・モノマー2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックス M−402」)
・モノマー3:カルボキシル基含有多官能性モノマー(C1−1):ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物の無水コハク酸付加体(東亞合成社製「アロニックス M−520」酸価:30mgKOH/g)
・モノマー4:カルボキシル基含有多官能性モノマー(C1−2):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物とジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸誘導体の混合物(東亞合成(株)製「TO−1382」酸価:29mgKOH/g)
・モノマー5:カルボキシル基含有多官能性モノマー(C1−3):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物とジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸誘導体の混合物(東亞合成(株)製「TO−2349」酸価:68mgKOH/g)
・モノマー6:トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学工業(株)製「A−9300」)
【0260】
・光重合開始剤1:アセトフェノン系:2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(BASF社製「IRGACURE 379」)
・光重合開始剤2:アセトフェノン系:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製「IRGACURE 907」)
・光重合開始剤3:アシルフォスフィンオキサイド系:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「IRGACURE 819」)
・光重合開始剤4:オキシムエステル系:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF社製「IRGACURE OXE−01」)
・光重合開始剤5:エタン−1−オン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイ−9H−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製「IRGACURE OXE−02」)
・光重合開始剤10:2,2‘−ビス(O−クロロフェニル)−4,5,4’,5‘−テトラフェニ ル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成社製「ビイミダゾール」)
・光重合開始剤11:9H−カルバゾール−9−アセティックアシッド−3−[4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−2−メトキシ−1−メチルエチルエステル
【0261】
<コントラスト比・明度評価>
実施例1〜60および比較例1〜7で得られた青色感光性着色組成物(R−1〜R−67)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いてC光源においてy=0.09になるような膜厚にそれぞれの青色着色組成物を塗布し、この基板を230℃で20分焼成した。その後、得られた基板のコントラスト比および明度の評価結果を表8、9に示す。
【0262】
<密着性・解像性・プロファイル角・フリンジ直線性>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のTFT方式液晶駆動用基板の表面に窒化ケイ素膜を形成した基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が3.0μmの厚みになる回転数で塗布し、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して照度30mW/cm2、積算光量50mJ/cm2、で紫外線露光を行った。その後、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法にて塗膜の未硬化部分を除去して直径30μmの正八角形スルーホールと線幅50μmの細線を含むパターンを形成させた。その後、オーブンにて230℃で20分焼成し評価基板を作製した。作製した基板を用いて、下記の基準で密着性・解像性・断面形状評価を行った。また、密着性が悪いものについては、解像性・断面形状評価を行わなかった。
【0263】
(密着性)
目視により下記の基準で3段階評価した。なお△○は実用レベルである。
○:パターンハガレが全く認められない
△:パターンハガレがわずかに認められる
×:パターンハガレが認められる
【0264】
(解像性)
光学顕微鏡を用いた解析ソフト((株)プラネトロン製Image−Pro)でホール径を測定し、下記の基準で3段階評価した。なお△○は実用レベルである。
○:マスクホール径30μmに対し25〜35μmのホールが形成できる
△:マスクホール径30μmに対し15μm以上〜25μm未満のホールが形成できる
×:マスクホール径30μmに対し15μm以上のホールが形成できない、あるいは、35μmを超えるホールが形成される。
【0265】
(プロファイル角)
感光性着色組成物をCOA用に用いる場合の特性として、プロファイル角は35〜65°が好ましく、さらに好ましくは40〜60°である。パターンの細線部分を基板とともに切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率10000倍にて基板切断面方向からパターン断面写真を撮影し、画像解析ソフトにて基板とパターンエッジ部分とでなす角度(θ)を下記の基準で3段階評価した(パターン断面が湾曲している場合には、外接点と基板接点を結んだ直線と基板とでなす角度とする)。なお△〜○は実用レベルである。
○:プロファイル角が40〜60°である
△:プロファイル角が35〜40°、または60〜65°である
×:プロファイル角が35°以下、または65°以上である
【0266】
(フリンジ直線性)
光学顕微鏡を用いてパターンのフリンジを観察し、下記の基準で2段階評価した。
○:テーパーのフリンジ部分が直線性を維持している
×:テーパーのフリンジ部分が並々で直線性に欠けている
【0267】
<現像液溶解性>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のTFT方式液晶駆動用基板の表面に窒化ケイ素膜を形成した基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が3.0μmとなるように塗布基板を4枚作製し、減圧乾燥した基板を0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液50gに溶解させた。その溶液を静置し、1日後の沈殿物の有無を確認した。
○:1日静置しても、沈殿物なし
△:1日静置で、沈殿物はないが、濁りあり
×:1日静置で、沈殿物あり
【0268】
<電圧保持率(VHR)>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のTFT方式液晶駆動用基板の表面に窒化ケイ素膜を形成した基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が3.0μmの厚みになる回転数で塗布し、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して照度30mW/cm2、積算光量50mJ/cm2、で紫外線露光を行った。その後、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法により現像し、オーブンにて230℃で20分焼成することで、レジスト材の塗布基板を得た。得られた塗布基板からレジスト塗膜を0.05部削り取った後、液晶1.5部(メルク(株) 製、MLC −2041)に浸漬して、120℃オーブンにて60分間エージングし、4000rpmにて15分間遠心分離後、上澄み液を採取することにより、レジスト抽出液晶サンプル液を作製した。
一方、有効電極サイズ10mm×10mmのITO透明電極を有するガラス基板2枚を、ITO透明電極面同士が向かい合うように対向配置し、セルギャップが9μmになるようにシール剤を用いて小型セルを作製した。この小型セルにレジスト抽出液晶サンプル液をセルギャップ間に注入して、60℃において、電圧5Vで60μ秒間電圧を印加し、電圧解放後16.67m秒経過後のセル電圧[V1]を、東陽テクニカ製VHR-1Sにて測定した。測定は、5回繰り返して行ない、測定されたセル電圧を平均化した。そして、得られたセル電圧を用いて、下記式より電圧保持率(%)を求めた。
【0269】
電圧保持率(%)=([V1]/5)×100
電圧保持率(%)の評価基準は以下の通り。なお△〜◎は実用レベルである。
◎:95%以上
○:90%以上95%未満
△:85%以上90%未満
×:85%未満
【0270】
<残膜率>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のTFT方式液晶駆動用基板の表面に窒化ケイ素膜を形成した基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が3.0μmの厚みになる回転数で塗布し、減圧乾燥後、着色膜の膜厚T1を測定した。その後、フォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2の紫外線で積算光量50mJ/cm2で露光を行った。その後、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法により現像し、オーブンにて230℃で20分焼成することで得られた着色膜の膜厚T2を測定した。
【0271】
なお、膜厚計としては表面形状測定器DEKTAK150(アルバックイーエス社製)を用いた。
【0272】
得られた着色膜の膜厚T1、T2を用いて、下記式より残膜率(%)を算出し、下記の基準で4段階評価を行った。なお△〜◎は実用レベルである。
残膜率(%)=T2/T1×100
【0273】
◎:80%以上
○:70以上〜80%未満
△:60以上〜70%未満
×:60%未満
評価結果を表8、9に示す。
【0274】
【表8】
【0275】
【表9】
【0276】
表8,9に示すように、青色顔料[A1]と銅フタロシアニンのアミン化合物[A2]との重量比率([A2]/([A1]+[A2]))が、0.05〜0.40であり、感光性着色組成物の固形分量100重量部としたときの着色剤(A)量が、5〜15重量部であり、光重合開始剤(D)が、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、およびオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする感光性着色組成物は、コントラスト、明度、基材への密着性に関して比較例1〜7よりも評価結果が良好であり、各特性を両立できた。
【0277】
また、実施例18〜43を比較すると、光重合開始剤(D)にオキシム化合物を使用することで、他の光重合開始剤と比べて同じ解像度の時に残膜率が高く、良好な結果が得られた。さらに実施例44、51〜53を比較すると、オキシム化合物の中でもカルバゾール骨格を有するケト型オキシムエステル化合物を有する実施例44が最も密着性が良好で、各特性を両立できた。
【0278】
さらに実施例44と57を比較すると、イソシアヌル酸骨格を有するモノマーを使用した実施例57は最も明度が高く、その他のフォトリソ特性とのバランスが取れており、より良好な結果が得られた。
【0279】
厚膜でありながら高解像度、高残膜率で、ガラス基板との密着性が良好であり、アルカリ現像液への溶解性と電圧保持率特性および現像性に優れ、さらに高透過率、高コントラスト比かつ耐熱性に優れた感光性着色組成物、およびCOA方式に適したカラーフィルタが得られた。