特許第6155990号(P6155990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155990
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】清拭用手袋
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/02 20060101AFI20170626BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20170626BHJP
   A47L 13/18 20060101ALI20170626BHJP
   A47L 13/16 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A47K7/02 Z
   A41D19/00 A
   A41D19/00 Z
   A47L13/18
   A47L13/16 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-183408(P2013-183408)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-47462(P2015-47462A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(72)【発明者】
【氏名】稲富 裕介
(72)【発明者】
【氏名】内田 広美
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/022615(WO,A1)
【文献】 特開2008−138310(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0107528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/00 − 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋本体からなる清拭用手袋であって、
前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されており、
前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された外側シートと、を備え、
前記外側シートの外面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されるとともに、
前記内側シートの内面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されていることを特徴とする清拭用手袋。
【請求項2】
手袋本体からなる清拭用手袋であって、
前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されており、
前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された中間シートと、前記中間シートの外面に積層された外側シートと、を備え、
前記外側シートの外面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されるとともに、
前記内側シートの内面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されていることを特徴とする清拭用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を拭くための清拭用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の汚れを拭き取るための清拭用手袋としては、不織布である二枚のシートの両側部および先端部を熱融着(ヒートシール)した袋状の手袋本体が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような清拭用手袋は、高齢者や病人等の介護において好適に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4422931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の清拭用手袋では、手袋本体に手を挿入すると、掌側および手の甲側にそれぞれ一枚のシートが配置され、身体の汚れを拭き取る際には、掌側のシートの平坦な面を利用する。このような従来の清拭用手袋では、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができる清拭用手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、手袋本体からなる清拭用手袋であって、前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されている。前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された外側シートと、を備えている。前記外側シートの外面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されるとともに、前記内側シートの内面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されている。
【0008】
また、本発明の他の構成は、手袋本体からなる清拭用手袋であって、前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されている。前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された中間シートと、前記中間シートの外面に積層された外側シートと、を備えている。前記外側シートの外面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されるとともに、前記内側シートの内面には複数の凸部がエンボス加工によって形成されている。
【0009】
本発明では、外側シートの外面にエンボス加工によって複数の凸部を形成することで、手袋本体の外面に複数の凸部が形成される。そして、手袋本体によって身体を拭いたときに、各凸部によって身体の汚れが掻き落とされるため、身体の汚れを確実に拭き取ることができる。
また、外側シートの各凸部は中空であるため、手袋本体の肌触りを良くするとともに、手袋本体の吸水性を高めることができる。
【0010】
また、内側シートの内面にも凸部を形成しており、内側シートと外側シートとの間に形成される空隙が大きくなるため、手袋本体の外面を柔らかくするとともに、手袋本体の吸水性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の清拭用手袋では、手袋本体の外面の各凸部によって身体の汚れが掻き落とされ、身体の汚れを確実に拭き取ることができるため、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができ、身体を清潔に拭き上げることができる。また、外側シートの各凸部が中空であるため、手袋本体の外面の肌触りを良くするとともに、手袋本体の吸水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1参考例の清拭用手袋を示した斜視図である。
図2】シートにエンボス加工を施した構成を示した図で、(a)は平面図、(b)はA−A断面図である。
図3】エンボス加工を施したシートの製造工程を示した説明図である。
図4本発明の実施形態に係る構成を示した図で、(a)は外側シートおよび内側シートにエンボス加工を施した構成の断面図、(b)は外側シートと内側シートとの間に中間シートを設けた構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の参考例および実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参考例の清拭用手袋1は、図1に示すように、高齢者や病人等の身体の汚れを拭き取る際に使用するものであり、使用者の手2に装着して使用する。
清拭用手袋1は、ミトン形状の手袋本体10からなる。手袋本体10の両面に拭き取り面が形成されている。使用者は手袋本体10に手2を挿入し、掌側の拭き取り面を利用して身体の汚れを拭き取る。
【0014】
手袋本体10は、不織布である二枚のシート20,20の基端部以外の外周部同士を接合してミトン形状に形成されている。手袋本体10の基端部には挿入口11が開口している。また、手袋本体10の先端部には、親指が挿入される空間12と、その他の指が挿入される空間13とが形成されている。
【0015】
手袋本体10は、同じ形状の二枚のシート20,20の基端部以外の外周部同士を熱融着(ヒートシール)することで形成されている。参考例では、両シート20,20の縁部よりも内側を、両シート20,20の縁部に沿って熱融着しているため、両シート20,20の接合部位の縁部の柔軟性が保たれている。
【0016】
不織布であるシート20は、コットン、パルプおよびレーヨン等の吸水性を有する繊維によって構成されている。二枚のシート20,20は同じ形状に形成されている。シート20を構成する繊維の材質等は限定されるものではないが、汚れの拭き取り性能や肌触り等を考慮して、吸水性や柔軟性を有するものを使用する。
【0017】
シート20は、図2(b)に示すように、二層の不織布であり、内側シート21と、内側シート21の外面21aに積層された外側シート22と、を備えている。内側シート21は、外面21aおよび内面21bが平坦なシートである。
【0018】
外側シート22の外面22aには、複数の凸部22c,22dがエンボス加工によって形成されている。各凸部22c,22dは中空な半円球形状に形成されている。参考例では、図2(a)に示すように、大径の凸部22cと小径の凸部22dとが形成されている。そして、四つの大径の凸部22cの間に小径の凸部22dが配置されている。
外側シート22の内面22bには、図2(b)に示すように、各凸部22c,22dによって半円球状の窪み部が形成されている。
シート20を用いて手袋本体10(図1参照)を形成する場合には、外側シート22の外面22aが手袋本体10の拭き取り面となるようにシート20を配置する。これにより、拭き取り面に複数の凸部22c,22dが配置される。
【0019】
内側シート21と外側シート22とは、各凸部22c,22dの周囲において点状に熱融着されている(図2(a)参照)。
このように、各凸部22c,22dの周囲を点状に熱融着することで、各凸部22c,22dが押されたときに、各凸部22c,22dから空気が抜け易くなるため、シート20の肌触りを良くすることができる。
【0020】
次に、前記したシート20の製造工程について説明する。
シート20の製造装置100は、図3に示すように、第一ギヤ110と、第一ギヤ110の側方に配置された第二ギヤ120と、第一ギヤ110の下方に配置されたローラ130と、を備えている。
【0021】
第一ギヤ110は図3において時計回りに回転し、第二ギヤ120は図3において反時計回りに回転する。第一ギヤ110の歯面と第二ギヤ120の歯面とは噛み合っている。
ローラ130は軸断面が円形に形成されており、図3において反時計周りに回転する。
【0022】
内側シート21は、ロール状の原反210から引き出され、第一ギヤ110とローラ130との間を通過する。
外側シート22は、ロール状の原反220から引き出され、第一ギヤ110と第二ギヤ120との間を通過する。このとき、外側シート22は第一ギヤ110の歯面と第二ギヤ120の歯面との間に挟み込まれ、外側シート22の外面22aに凸部22c,22dが形成される。
【0023】
さらに、外側シート22は、第一ギヤ110と第二ギヤ120との間を通過した後に、第一ギヤ110とローラ130との間を通過する。このとき、外側シート22は、内側シート21の外面21aに重ね合わされ、内側シート21および外側シート22が積層された状態で第一ギヤ110の歯面とローラ130の周面との間に挟み込まれる。
【0024】
なお、第一ギヤ110およびローラ130の少なくとも一方は加熱されている。したがって、内側シート21と外側シート22とは、第一ギヤ110とローラ130との間を通過したときに熱融着される。これにより、内側シート21と外側シート22とが積層されたシート20が形成される。
【0025】
以上のような清拭用手袋1では、図2(b)に示すように、手袋本体10(図1参照)の拭き取り面に複数の凸部22c,22dが形成される。そして、手袋本体10によって身体を拭いたときに、各凸部22c,22dによって身体の汚れが掻き落とされるため、身体の汚れを確実に拭き取ることができる。したがって、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができ、身体を清潔に拭き上げることができる。
また、清拭用手袋1では、外側シート22の各凸部22c,22dが中空であるため、手袋本体10(図1参照)の肌触りを良くするとともに、手袋本体10の吸水性を高めることができる。
【0026】
以上、本発明の参考例について説明したが、本発明は前記参考例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本発明の実施形態では、図4(a)に示すように、内側シート21の内面21bにも複数の凸部21c,21dをエンボス加工によって形成している。
この構成では、内側シート21と外側シート22との間に形成される空隙が大きくなるため、手袋本体の拭き取り面を柔らかくするとともに、手袋本体の吸水性をより高めることができる。
【0027】
また、図4(b)に示すように、内側シート21および外側シート22に複数の凸部21c,21d,22c、22dを形成した場合には、内側シート21の外面21aに平坦な中間シート23を積層し、中間シート23の外面23aに外側シート22を積層してもよい。
【0028】
また、参考例の手袋本体10は、図1に示すように、ミント形状に形成されているが、その形状は限定されるものではなく、例えば、長方形の二枚のシートの縁部を接合して筒状の手袋本体を形成してもよい。
また、参考例の手袋本体10では、二枚のシート20,20を熱融着しているが、縫合や接着剤によって二枚のシート20,20を接合してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 清拭用手袋
2 手
10 手袋本体
11 挿入口
20 シート
21 内側シート
21c 大径の凸部
21d 小径の凸部
22 外側シート
22c 大径の凸部
22d 小径の凸部
23 中間シート
100 製造装置
110 第一ギヤ
120 第二ギヤ
130 ローラ
210 原反
220 原反
図1
図2
図3
図4