(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のレジストと前記第2のレジストとを感光させる工程では、前記積層体とは別体のマスクを用いて第1のレジストが露光され、前記機能層をマスクとして前記第2のレジストが露光される
請求項6に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜
図11を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態において、透明導電性積層体は、タッチパネルの構成部材の1つである。
【0024】
[透明導電性積層体の構成]
透明導電性積層体は、最外層として、互いに対向する2つの透明電極層を備えている。2つの透明電極層は、露光光を部分的に吸収する機能層を挟んでいる。
図1を参照して、上記構成を有する透明導電性積層体の具体的な例について説明する。
【0025】
図1に示されるように、透明導電性積層体10は、第1基板13aと第2基板13bとを備えている。
第1基板13aが有する2つの面のうち一方の面である第1面には、第1外側樹脂層14aと、第1光学調整層15aと、第1透明電極層16aとが、第1基板13aに近い方から、この順に積層されている。第1基板13aの他方の面である第2面には、第1内側樹脂層12aが形成されている。
【0026】
第2基板13bが有する2つの面のうち一方の面である第1面には、第2外側樹脂層14bと、第2光学調整層15bと、第2透明電極層16bとが、第2基板13bに近い方から、この順に積層されている。第2基板13bの他方の面である第2面には、第2内側樹脂層12bが形成されている。
【0027】
第1内側樹脂層12aと第2内側樹脂層12bとは、粘着層11を介して貼り合わされており、これによって、第1基板13aに積層されている層と第2基板13bに積層されている層とが、1つの積層体を構成している。
【0028】
第1透明電極層16aは、複数の第1導電領域17aと、複数の第1非導電領域18aとを有している。同様に、第2透明電極層16bは、複数の第2導電領域17bと、複数の第2非導電領域18bとを有している。
【0029】
導電領域17a,17bの材料としては、透明導電性積層体10に要求される特性や用途に応じて種々の材料が使用できる。例えば、導電領域17a,17bの材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物が用いられる。また、導電領域17a,17bは、上記の材料に、さらに添加物を含んでもよい。また例えば、導電領域17a,17bは、金属製のナノワイヤー等の繊維状の金属から形成されてもよい。
【0030】
第1透明電極層16aは、例えば、X方向に沿って延びる複数の第1導電領域17aが、X方向と直交するY方向に沿って間をあけて並設されたパターンを有する。第1非導電領域18aは、互いに隣り合う第1導電領域17aの間の領域であって、互いに隣り合う第1導電領域17a間を絶縁している。複数の第1導電領域17aの各々の形状は、任意であり、例えば、帯状や網目状を有していてもよいし、複数のひし形が一方向に沿って連結する形状を有していてもよい。
【0031】
第2透明電極層16bは、例えば、Y方向に沿って延びる複数の第2導電領域17bが、Y方向と直交するX方向に沿って間をあけて並設されたパターンを有する。第2非導電領域18bは、互いに隣り合う第2導電領域17bの間の領域であって、互いに隣り合う第2導電領域17b間を絶縁している。複数の第2導電領域17bの各々の形状は、任意であり、例えば、帯状や網目状を有していてもよいし、複数のひし形が一方向に沿って連結する形状を有していてもよい。
【0032】
透明導電性積層体10の積層方向から見た第1透明電極層16aの形状は、第1導電領域17aの外縁によって規定され、上記積層方向から見た第2透明電極層16bの形状は、第2導電領域17bの外縁によって規定される。第1透明電極層16aと第2透明電極層16bとは、上記積層方向から見て、互いに異なる形状を有している。
【0033】
導電領域17a,17bの各々は、導電領域17a,17bの間に形成される静電容量の変化を、電流の変化によって検出する回路に接続されている。人の指等が導電領域17a,17bに接近すると、静電容量が変化する。この静電容量の変化が検出されることに基づいて、人の指等の接触位置が判定される。
【0034】
光学調整層15a,15bは、透明導電性積層体10における可視光の透過特性を調整する機能を有する。光学調整層15a,15bが設けられることによって、透明電極層16a,16bに形成されたパターンが目立たなくなり、タッチパネルにおける視認性が向上する。
【0035】
光学調整層15a,15bは、例えば、酸化物、硫化物、フッ化物、あるいは、窒化物等の無機化合物から形成される。上記の無機化合物からなる薄膜は、材料によって屈折率が異なる。目的とする光学特性に応じて選択された屈折率の薄膜を特定の膜厚で形成することによって、透明導電性積層体10の光学特性を調整することが可能となる。
【0036】
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、または、フッ化アルミニウム等が挙げられる。屈折率の高い材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、または、酸化タンタル等が挙げられる。
【0037】
なお、透明導電性積層体に求められる光学特性に応じて、透明導電性積層体には複数の光学調整層が設けられてもよい。
基板13a,13bは、例えば、ガラス板や樹脂フィルムである。ガラス板の形成材料や樹脂フィルムの形成材料は、透明電極層の成膜工程、および、その後工程において、基板に要求される強度を満たす材料であれば、特に限定されない。樹脂フィルムの形成材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、ポリイミドからなる群から選択される少なくとも1つである。第1基板13aと第2基板13bとは、同じ材料から形成されてもよく、互いに異なる材料から形成されてもよい。基板13a,13bの厚さは、10μm以上200μm以下であることが好ましい。基板13a,13bの厚さがこうした範囲であれば、透明導電性積層体10の薄型化が図られ、また、基板13a,13bの可撓性も得られる。
【0038】
基板13a,13bは、種々の添加剤や安定剤を含んでもよい。添加剤や安定剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、または、易接着剤等が挙げられる。基板13a,13bに対しては、基板13a,13bに積層される層と基板13a,13bとの密着性を向上させるために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、または、薬品処理等が施されてもよい。
【0039】
第2内側樹脂層12b、第1外側樹脂層14a、第2外側樹脂層14bは、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能を有する。樹脂層12b,14a,14bとして用いられる樹脂は、透明性と適度な硬度および機械的強度を有することが好ましい。具体的には、樹脂層12b,14a,14bとして用いられる樹脂は、3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマーや架橋性オリゴマー等の光硬化性樹脂が好ましい。
【0040】
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、または、ポリエステルアクリレート等を用いることが好ましい。特に、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、または、ポリエステルアクリレートを用いることが好ましい。これらのアクリレートモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。また、上記の3官能以上のアクリレートモノマーに、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、または、ポリオールアクリレート等のアクリル系樹脂を混合して用いてもよい。
【0041】
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、または、シリコーン(メタ)アクリレート等のアクリルオリゴマーを用いることが好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、または、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
各樹脂層12b,14a,14bは、同じ材料から形成されてもよく、互いに異なる材料から形成されてもよい。
樹脂層12b,14a,14bの厚みは限定されないが、0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層12b,14a,14bと基板13a,13bとは、屈折率が同じかもしくは近似していることが好ましい。具体的には、屈折率は、1.45以上1.75以下であることが好ましい。
【0043】
樹脂層12b,14a,14bは、粒子や光重合開始剤等の添加剤を含んでもよい。
添加される粒子としては、有機または無機の粒子が挙げられる。透明導電性積層体10の透明性を高めるためには、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または、フッ素樹脂等からなる粒子が挙げられる。
【0044】
粒子の平均粒径は、樹脂層12b,14a,14bの厚みに応じて決定される。ヘイズ等を抑えて透明導電性積層体10の外観を良くするためには、粒子の平均粒径は、下限として2μm以上、好ましくは5μm以上、上限として30μm以下、好ましくは15μm以下であるとよい。粒子の含有量は、同様の理由で、樹脂に対して0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
【0045】
光重合開始剤は、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾインとそのアルキルエーテル類や、アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類や、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類や、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類や、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類や、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類や、アゾ化合物等が挙げられる。これら光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの光重合開始剤は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミンや、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等の光開始助剤と組み合わせて使用してもよい。
【0046】
光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3重量%以下であることさらに好ましい。添加量が下限値以上であれば、樹脂層の硬化が促進される。添加量が上限値以下であれば、樹脂層の黄変や、耐候性の低下を抑えることができる。光硬化型樹脂を硬化させるために用いる光としては、例えば、紫外線、電子線、あるいは、ガンマ線等が挙げられる。電子線あるいはガンマ線を用いる場合には、光重合開始剤や光開始助剤は添加されなくてもよい。これらの光の線源としては、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子等が使用できる。
【0047】
第1内側樹脂層12aは、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能と、露光光を部分的に吸収する機能とを有する。レジストを露光するための光は、レジストの種類や光源の種類によって異なるが、通常、紫外領域の波長(約200nm〜約380nm)と可視領域の波長(約380nm〜約780nm)の光が用いられることが多い。したがって、第1内側樹脂層12aは、上記の領域の光を吸収することが好ましい。特に、第1内側樹脂層12aが紫外領域の波長の光を吸収すると、実用性が高められるため好ましい。以下では、第1内側樹脂層12aが紫外領域の波長の光である紫外線を吸収する例について説明する。
【0048】
第1内側樹脂層12aは、第1透明電極層16aおよび第2透明電極層16bと平行な面内において、複数の光吸収領域19aと複数の光透過領域19bとを有している。光吸収領域19aは紫外線を吸収し、光透過領域19bは紫外線を透過する。第1内側樹脂層12aは、パターニングされた樹脂膜からなる層であって、樹脂膜が存在する領域が光吸収領域19aであり、樹脂膜が存在しない領域が光透過領域19bである。
【0049】
光吸収領域19aは、積層体の積層方向から見て、第2透明電極層16bの形状に追従した形状を含む。例えば、光吸収領域19aは、積層体の積層方向から見て、第2透明電極層16bにおける第2非導電領域18bと同じパターンを有していてもよいし、第2非導電領域18bの一部と同じパターンを有していてもよい。
【0050】
光吸収領域19aは、少なくとも、第1透明電極層16aにおける第1導電領域17aと対向する領域であって、かつ、第2透明電極層16bにおける第2導電領域17bと対向しない領域に形成されている。光吸収領域19aは、第1導電領域17aおよび第2導電領域17bの双方と対向する領域には形成されていない。光吸収領域19aは、第1導電領域17aと対向しない領域であって、かつ、第2導電領域17bと対向する領域、または、第1導電領域17aおよび第2導電領域17bの双方と対向しない領域には、形成されている必要はないが、形成されていてもよい。
【0051】
光透過領域19bは、光吸収領域19aの形成されていない領域である。すなわち、少なくとも、第1導電領域17aおよび第2導電領域17bの双方と対向する領域には、光透過領域19bが形成されている。換言すれば、透明導電性積層体10の積層方向から見て、第1導電領域17aと第2導電領域17bとが重なる部分には、光透過領域19bが配置され、第1導電領域17aと第2非導電領域18bとが重なる部分には、光吸収領域19aが配置されている。
【0052】
光吸収領域19aは、先に例示した樹脂層12b,14a,14bの形成材料に加えて、光吸収材料を含んでいる。紫外領域の波長の光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂等の紫外線吸収体が挙げられる。光吸収材料は、光吸収領域19aの構成材料への紫外線吸収剤の添加や、光吸収領域19aに含まれる樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂との共重合によって、光吸収領域19aに付加される。
【0053】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、または、シアノアクリルレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。また、例えば、トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の紫外線吸収剤を混合して用いてもよい。
【0054】
紫外線吸収機能を有する樹脂は、上記のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系等の非反応性紫外線吸収剤に、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等の重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、または、イソシアネート基等を導入した化合物である。これらの樹脂と、第1内側樹脂層12aに含有される樹脂とを共重合させることにより、紫外線吸収機能を有する第1内側樹脂層12aが得られる。
【0055】
上記の光吸収材料は、単独で用いてもよいし、2種以上の材料を混合して用いてもよい。例えば、吸収できる光の波長が異なる複数の光吸収材料を用いることによって、広い波長領域で光を吸収することができる。
【0056】
光吸収領域19aは、積層体を挟んで形成された2つのレジストを露光する際に、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されずに光吸収領域19aに到達した光を吸収する。光吸収材料の含有量は、一方のレジストに吸収されずに光吸収領域19aに到達した光が他方のレジストに到達することを抑えることが可能な程度に、光の吸収機能が光吸収領域19aに付与される量であれば、限定されない。例えば、光吸収材料の含有量は、光吸収領域19aを構成する樹脂に対して、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。光吸収材料の含有量が0.01重量%以上であれば、不要な露光光を十分に吸収することができる。光吸収材料の含有量が20重量%以下であれば、光吸収領域19aの透明性が低下することが抑えられる。
【0057】
粘着層11は、粘着性を有する樹脂であって、クッション性や透明性に優れた樹脂から形成されることが好ましい。粘着層11に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、または、ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0058】
透明導電性積層体10の積層方向から見て、第1内側樹脂層12aの光吸収領域19aが形成されている領域では、波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であることが好ましい。光線透過率が上記の範囲であると、紫外領域の波長の光によってレジストが露光される場合に、光吸収領域19aが形成されている領域にて、一方のレジストに吸収されなかった光が他方のレジストに達することが的確に抑えられる。また、こうした効果を高めるためには、光吸収領域19aの波長400nmにおける光線透過率が80%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であることが好ましい。
【0059】
また、透明導電性積層体10の積層方向において、第1導電領域17aと第2導電領域17bとが重なる部分と、第1非導電領域18aと第2非導電領域18bとが重なる部分との全光線透過率の差が1.5%以下であり、かつ、透過色相b*差が2.0以下であることが好ましい。全光線透過率および透過色相差が上記の範囲内であれば、第1透明電極層16aと第2透明電極層16bとが互いに異なるパターンに形成された場合でも、パターン形状が目立たなくなるため、タッチパネルにおける視認性が向上する。
【0060】
また、透明導電性積層体10は、150℃30分間における熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。熱収縮率が上記の範囲内であれば、透明電極層16a,16bの形成工程やレジストの乾燥工程において、加えられる熱によって積層体が収縮することが抑えられる。その結果、第1透明電極層16aと第2透明電極層16bとのパターンの位置ずれが抑えられる。
【0061】
図2に示されるように、第1透明電極層16aには、接着層を介してガラス等からなるカバー層30等が積層されて、タッチパネル31が構成される。カバー層30の表面が、人の指等の接触面となる。さらに、第2透明電極層16bには、液晶パネル等の表示パネル32が積層されて、タッチパネル31と表示パネル32とから表示装置33が構成される。なお、第2透明電極層16b側にカバー層30が配置され、第1透明電極層16a側に表示パネル32が配置されてもよい。
【0062】
[透明導電性積層体の製造方法]
図3〜
図11を参照して、透明導電性積層体の製造方法について説明する。
図3に示されるように、まず、第1基板13aの第1面に第1外側樹脂層14aが形成され、第1基板13aの第2面に第1内側樹脂層12aが形成される。
【0063】
第1外側樹脂層14aと第1内側樹脂層12aとは、主成分である樹脂等を溶剤に溶解させた溶液が第1基板13aに塗布されることによって形成される。
溶剤は、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば、限定されない。溶剤の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、または、モノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤を混合して用いてもよい。
【0064】
第1外側樹脂層14aの塗布方法としては、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、または、マイクログラビアコーター等の公知の塗布法が用いられる。
【0065】
第1内側樹脂層12aの塗布方法としては、スクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法等の公知の印刷法等、パターンの形成が可能な塗布方法が用いられる。溶液の塗布された部分が光吸収領域19aとなり、溶剤の塗布されなかった部分が光透過領域19bとなる。
【0066】
図4に示されるように、第1基板13aの第1面側において、第1外側樹脂層14aの面上に第1光学調整層15aが形成され、第1光学調整層15aの面上に第1透明導電層20aが形成される。
【0067】
第1光学調整層15aと第1透明導電層20aとは、公知の成膜方法によって形成される。第1光学調整層15aは、例えば、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法等の化学的気相析出法によって形成される。第1透明導電層20aが酸化インジウムスズ(ITO)から形成される場合には、第1透明導電層20aは、例えば、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法等の化学的気相析出法等によって形成される。また、第1透明導電層20aが繊維状の金属から形成される場合には、繊維状の金属が分散された溶液が公知の塗布法や印刷法によって第1光学調整層15aに塗布されることにより、第1透明導電層20aが形成される。
【0068】
同様に、第2基板13bについても、第1面に第2外側樹脂層14bが形成され、第2面に第2内側樹脂層12bが形成される。第2内側樹脂層12bは、上述の第1内側樹脂層12aとは異なり、樹脂が溶解された溶液が第2面の全面に塗布されることにより形成される。そして、第2基板13bの第1面側において、第2外側樹脂層14bの面上に第2光学調整層15bが形成され、第2光学調整層15bの面上に第2透明導電層20bが形成される。
【0069】
図5に示されるように、各層が形成された第1基板13aと第2基板13bとが貼り合せられる。具体的には、第1基板13aに形成された第1内側樹脂層12aと、第2基板13bに形成された第2内側樹脂層12bとが粘着層11を介して貼り合せられる。
【0070】
なお、各層の形成の順番は、上述の順番に限られない。レジストが形成される前に、2つの透明導電層20a,20bの間に上述の各層が形成された積層体が形成されればよい。
【0071】
図6に示されるように、次に、第1基板13aの第1面側において、第1透明導電層20aの面上に第1レジスト21aが形成され、第2基板13bの第1面側において、第2透明導電層20bの面上に第2レジスト21bが形成される。第1の実施形態では、ネガ型のレジストが用いられる。レジスト21a,21bには、公知の材料が用いられ、レジスト21a,21bは、公知の方法によって形成される。
【0072】
図7に示されるように、第1レジスト21aと向かい合う位置に、第1透明電極層16aのパターンに応じたパターンを有するマスク22と、可視領域の波長の光を遮断する光学フィルター23と、積層体に光を照射する光源24とが配置される。光源24は、紫外領域の波長の光と可視領域の波長の光とからなる光を発する。
【0073】
そして、光源24から積層体に対して光が照射されて、レジスト21a,21bが露光される。このとき、光学フィルター23によって可視領域の波長の光が遮断されるため、積層体には、光源24から発せられた光のうちの紫外領域の波長の光が、露光光として照射される。
【0074】
レジスト21a,21bが感光する過程について説明する。まず、光源24から発せられて光学フィルター23を透過した露光光は、第1レジスト21aから第2レジスト21bに向かう方向に沿って進行してマスク22に到達する。マスク22によって、積層体の面と平行な面の一部の領域で、露光光が遮断される。マスク22によって露光光が遮断されなかった領域では、露光光が第1レジスト21aに到達する。これにより、露光光が到達した領域で、第1レジスト21aが感光する。マスク22は、第1透明電極層16aの非導電領域18aに対応する領域の光を遮断するため、第1レジスト21aにて感光した領域は、第1透明電極層16aの第1導電領域17aに対応するパターンを有する。
【0075】
第1レジスト21aを感光させた露光光は、第1レジスト21a、第1透明導電層20a、第1光学調整層15a、第1外側樹脂層14a、および、第1基板13aを透過して、第1内側樹脂層12aに到達する。第1内側樹脂層12aの光吸収領域19aは、紫外領域の波長の光を吸収する機能を有しているため、第1内側樹脂層12aのうちの光吸収領域19aに到達した露光光は、光吸収領域19aに吸収される。一方、第1内側樹脂層12aの光透過領域19bは光を透過するため、第1内側樹脂層12aのうちの光透過領域19bに到達した露光光は、第1内側樹脂層12a、粘着層11、第2内側樹脂層12b、第2基板13b、第2外側樹脂層14b、第2光学調整層15b、および、第2透明導電層20bを透過して、第2レジスト21bに到達する。これにより、露光光が到達した領域で、第2レジスト21bが感光する。光透過領域19bは、第2透明電極層16bの第2導電領域17bとなる領域と対向しているため、第2レジスト21bにて感光した領域は、第2透明電極層16bの第2導電領域17bのうちの、第1透明電極層16aの第1導電領域17aと対向する領域に対応するパターンを有する。
【0076】
このように、1回の露光光の照射によって、マスク22をマスクとして第1レジスト21aが露光され、第1内側樹脂層12aをマスクとして第2レジスト21bが露光される。
【0077】
これにより、
図8に示されるように、2つのレジスト21a,21bに、互いに異なるパターンの感光した部分が形成される。
図9に示されるように、次に、レジスト21a,21bの感光していない部分が現像液によって除去される。これにより、第1レジスト21aには、第1透明電極層16aの第1導電領域17aに対応するパターンが形成される。また、第2レジスト21bには、第2透明電極層16bの第2導電領域17bのうちの、第1透明電極層16aの第1導電領域17aと対向する領域に対応するパターンが形成される。
【0078】
図10に示されるように、次に、第1レジスト21aをマスクとして、第1透明導電層20aの露出部分がエッチングされ、第2レジスト21bをマスクとして、第2透明導電層20bの露出部分がエッチングされる。エッチング方法は、公知の方法が用いられる。これにより、第1透明導電層20aがパターニングされて第1透明電極層16aが形成される。また、第2透明導電層20bがパターニングされて第2透明電極層16bが形成される。透明導電層20a,20bの残存部分が、透明電極層16a,16bにおける導電領域17a,17bとなり、透明導電層20a,20bの除去部分が、透明電極層16a,16bにおける非導電領域18a,18bとなる。
【0079】
図11に示されるように、レジスト21a,21bが除去される。これにより、透明導電性積層体10が得られる。なお、第2透明電極層16bの第2導電領域17bが、第1透明電極層16aの第1導電領域17aと対向しない領域、すなわち、第1非導電領域18aと対向する領域にも形成される場合には、フォトリソグラフィを利用しない部分成膜によって、これらの領域に導電膜が形成される。部分成膜には、例えば、マスクを用いてITO等からなる導電膜をスパッタリングによって形成する方法や、繊維状の金属が含まれた導電膜をスクリーン印刷法によって塗布形成する方法が用いられる。
【0080】
なお、上記の各工程は、ロール・ツー・ロール方式によって行われることが好ましい。これによれば、透明導電性積層体を効率よく製造することができるため、透明導電性積層体10の製造にかかる時間が短縮される。
【0081】
[作用]
第1の実施形態の透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法がもたらす作用について説明する。
【0082】
上述のように、第1内側樹脂層12aが露光光を部分的に透過するため、第1内側樹脂層12aが、レジストを露光するためのマスクとして機能する。すなわち、光源24に近い方のレジストである第1レジスト21aを露光するためのマスクとして、積層体とは別体のマスク22が用いられ、光源24から遠い方のレジストである第2レジスト21bを露光するためのマスクとして、第1内側樹脂層12aが利用される。その結果、積層体とは別体のマスクや光源をレジストごとに設ける必要がなくなり、一方向からの露光光の照射によって、2つのレジスト21a,21bを露光することが可能となる。そのため、簡易な装置によって2つのレジスト21a,21bを露光することができる。また、1つの光源を用いて片面ずつレジストを露光する方法と比較しても、積層体の向きを変えることなく、簡易な態様で2つのレジスト21a,21bを露光することができる。
【0083】
また、1回の露光光の照射によって、2つのレジスト21a,21bを同時に露光することができるため、露光工程が簡素になり、露光にかかるエネルギーも削減される。
なお、第1の実施形態では、第1レジスト21aと第2レジスト21bとの双方をネガ型のレジストとしたが、2つのレジストの双方がポジ型のレジストであってもよいし、一方のレジストがネガ型のレジストで、他方のレジストがポジ型のレジストであってもよい。こうした場合、第1内側樹脂層12aにおける光吸収領域19aと光透過領域19bの配置は、レジストの特性に応じて決定される。
【0084】
例えば、2つのレジストの双方がポジ型のレジストである場合は、透明導電性積層体10の積層方向から見て、第1非導電領域18aと第2非導電領域18bとが重なる領域には、光透過領域19bが配置され、第1非導電領域18aと第2導電領域17bとが重なる領域には、光吸収領域19aが配置される。
【0085】
また例えば、第1レジスト21aがネガ型のレジストで、第2レジスト21bがポジ型のレジストである場合は、透明導電性積層体10の積層方向から見て、第1導電領域17aと第2非導電領域18bとが重なる領域には、光透過領域19bが配置され、第1導電領域17aと第2導電領域17bとが重なる領域には、光吸収領域19aが配置される。
【0086】
また例えば、第1レジスト21aがポジ型のレジストで、第2レジスト21bがネガ型のレジストである場合は、透明導電性積層体10の積層方向から見て、第1非導電領域18aと第2導電領域17bとが重なる領域には、光透過領域19bが配置され、第1非導電領域18aと第2非導電領域18bとが重なる領域には、光吸収領域19aが配置される。
【0087】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)第1内側樹脂層12aが露光光を部分的に透過するため、第1内側樹脂層12aを、一方のレジストを露光するためのマスクとして利用できる。その結果、積層体とは別体のマスクや光源をレジストごとに設ける必要がなくなり、一方向からの露光光の照射によって、2つのレジスト21a,21bを露光することが可能となる。
【0088】
(2)露光光を部分的に吸収する層が、紫外線吸収剤または紫外線吸収機能を有する樹脂を含む樹脂膜からなる層であって、樹脂膜がパターニングされることによって、光吸収領域19aと光透過領域19bとが形成されている。他の層と比較して、樹脂膜からなる層は加工が行いやすい。したがって、上記構成によれば、露光光を部分的に吸収する層を容易に形成することが可能であり、また、この層において、光吸収領域19aと光透過領域19bとが適切に形成される。
【0089】
(3)透明導電性積層体10の積層方向から見て、光透過領域19bは、第1導電領域17aと第2導電領域17bとが重なる部分に配置され、光吸収領域19aは、第1導電領域17aと、第2非導電領域18bとが重なる部分に配置されている。これにより、ネガ型のレジストが用いられる場合に、第1内側樹脂層12aが、第2透明電極層16bを形成するためのマスクとして適切に機能する。
【0090】
(4)透明導電性積層体10の積層方向から見て、光透過領域19bは、第2導電領域17bと重なる部分に配置され、光吸収領域19aは、第2非導電領域18bと重なる部分に配置されている。すなわち、光透過領域19bが、第2導電領域17bのパターンと同一のパターンに形成され、光吸収領域19aが、第2非導電領域18bのパターンと同一のパターンに形成されている。これによれば、上記(3)の構成が適切に実現される。また、第1内側樹脂層12aのパターンとして、第2透明電極層16bのパターンが利用できるため、第1内側樹脂層12aのパターンの設定にかかる負担が軽減される。
【0091】
(第2の実施形態)
図12〜
図19を参照して、透明導電性積層体の製造方法の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、2つのレジストが露光される手順が、第1の実施形態と主に異なる。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
[透明導電性積層体の構成]
図12に示されるように、第2の実施形態の透明導電性積層体10は、第1の実施形態の透明導電性積層体10と同様の構成層を有している。第2の実施形態では、第1内側樹脂層12aにおける光吸収領域19aは、第2透明電極層16bにおける第2非導電領域18bと同じパターンに形成されている。すなわち、光吸収領域19aは、透明導電性積層体10の積層方向から見て、第2非導電領域18bと重なる部分に配置され、光透過領域19bは、第2導電領域17bと重なる部分に配置されている。
【0093】
[透明導電性積層体の製造方法]
図13に示されるように、第1の実施形態と同様に、第1内側樹脂層12a、第1外側樹脂層14a、第1光学調整層15a、および、第1透明導電層20aが形成された第1基板13aと、第2内側樹脂層12b、第2外側樹脂層14b、第2光学調整層15b、および、第2透明導電層20bが形成された第2基板13bとが、粘着層11を介して貼り合せられる。そして、第1基板13aの第1面側において、第1透明導電層20aの面上に第1レジスト21cが形成され、第2基板13bの第1面側において、第2透明導電層20bの面上に第2レジスト21dが形成される。第2の実施形態では、ネガ型のレジストが用いられる。
【0094】
第1レジスト21cの感光波長と、第2レジスト21dの感光波長は、互いに異なる領域の波長を含む。第1レジスト21cの感光波長と第2レジスト21dの感光波長とは、完全に異なってもよいし、一部が異なってもよい。すなわち、第1レジスト21cの感光波長と第2レジスト21dの感光波長とは、重なる領域がなくてもよいし、一部に重なる領域があってもよい。第2レジスト21dの感光波長は、第1内側樹脂層12aの光吸収領域19aが吸収する波長に含まれている。
【0095】
図14に示されるように、第1レジスト21cと向かい合う位置に、第1レジスト21cの感光波長の光を遮断する光学フィルター23aと、積層体に光を照射する光源24とが配置される。この状態で、第1の露光が行われる。
【0096】
光源24から光が発せられると、光学フィルター23aによって第1レジスト21cの感光波長の光が遮断されるため、積層体には、光源24から発せられた光のうちの第1レジスト21cの感光波長の光を除く光が、露光光として照射される。したがって、第1レジスト21cに露光光が到達しても、第1レジスト21cは感光しない。そして、露光光は、第1レジスト21c、第1透明導電層20a、第1光学調整層15a、第1外側樹脂層14a、および、第1基板13aを透過して、第1内側樹脂層12aに到達する。
【0097】
第1内側樹脂層12aの光吸収領域19aは、第2レジスト21dの感光波長の光を吸収する機能を有しているため、光吸収領域19aに到達した露光光のうちの第2レジスト21dの感光波長の光は、光吸収領域19aに吸収される。一方、第1内側樹脂層12aの光透過領域19bは光を透過するため、光透過領域19bに到達した露光光は、第1内側樹脂層12a、粘着層11、第2内側樹脂層12b、第2基板13b、第2外側樹脂層14b、第2光学調整層15b、および、第2透明導電層20bを透過して、第2レジスト21dに到達する。
【0098】
露光光が到達した領域では、露光光が含む第2レジスト21dの感光波長の光によって、第2レジスト21dが感光する。光透過領域19bは、第2透明電極層16bの第2導電領域17bとなる領域と対向しているため、第2レジスト21dにて感光した領域は、第2透明電極層16bの第2導電領域17bの形状に追従する形状を有したパターンを形成する。すなわち、第1の露光では、第1内側樹脂層12aをマスクとして、第2レジスト21dが露光される。
【0099】
図15に示されるように、次に、第1レジスト21cと光源24との間に配置された光学フィルターが、第2レジスト21dの感光波長の光を遮断する光学フィルター23bに交換される。さらに、第1レジスト21cと光学フィルター23bとの間に、第1透明電極層16aのパターンに応じたパターンを有するマスク22が配置される。この状態で、第2の露光が行われる。
【0100】
光源24から光が発せられると、光学フィルター23bによって第2レジスト21dの感光波長の光が遮断されるため、積層体には、光源24から発せられた光のうちの第2レジスト21dの感光波長の光を除く光が、露光光として照射される。光学フィルター23bを透過してマスク22に到達した露光光は、マスク22によって、積層体の面と平行な面の一部の領域で遮断される。マスク22によって露光光が遮断されなかった領域では、露光光が第1レジスト21cに到達する。露光光が到達した領域では、露光光が含む第1レジスト21cの感光波長の光によって、第1レジスト21cが感光する。マスク22は、第1透明電極層16aの非導電領域18aに対応する領域の光を遮断するため、第1レジスト21cにて感光した領域は、第1透明電極層16aの第1導電領域17aの形状に追従する形状を有したパターンを形成する。
【0101】
露光光からは、第2レジスト21dの感光波長の光が除かれているため、第1レジスト21cを感光させた露光光が積層体を透過して第2レジスト21dに到達しても、第2レジスト21dは感光しない。すなわち、第2の露光では、マスク22をマスクとして、第1レジスト21cの露光が行われる。
【0102】
これにより、
図16に示されるように、2つのレジスト21c,21dに、互いに異なるパターンの感光した部分が形成される。
図17に示されるように、次に、レジスト21c,21dの感光していない部分が現像液によって除去される。これにより、第1レジスト21cには、第1透明電極層16aの第1導電領域17aに対応するパターンが形成される。また、第2レジスト21dには、第2透明電極層16bの第2導電領域17bに対応するパターンが形成される。
【0103】
図18に示されるように、次に、第1レジスト21cをマスクとして、第1透明導電層20aの露出部分がエッチングされ、第2レジスト21dをマスクとして、第2透明導電層20bの露出部分がエッチングされる。これにより、第1透明導電層20aがパターニングされて第1透明電極層16aが形成され、第2透明導電層20bがパターニングされて第2透明電極層16bが形成される。
【0104】
図19に示されるように、次に、レジスト21c,21dが除去される。これにより、透明導電性積層体10が得られる。
[作用]
第2の実施形態の透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法がもたらす作用について説明する。
【0105】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1内側樹脂層12aが露光光を部分的に透過するため、第1内側樹脂層12aが、レジストを露光するためのマスクとして機能する。したがって、積層体とは別体のマスクや光源をレジストごとに設ける必要がなくなり、一方向からの露光光の照射によって、2つのレジスト21c,21cを露光することが可能となる。
【0106】
また、第2の実施形態では、2つのレジスト21c,21dの感光波長が、互いに異なる領域の波長を含む。そのため、第1レジスト21cのみが感光する波長の露光光と、第2レジスト21dのみが感光する波長の露光光とを、各別に、第1レジスト21cから第2レジスト21dに向かう方向に沿って積層体に照射することによって、互いのパターンに影響を与えることなく、2つのレジストを露光することが可能となる。したがって、第1の実施形態と比較して、第2透明電極層16bの第2導電領域17bに、第1透明電極層16aの第1非導電領域18aと対向する領域がある場合であっても、別に部分成膜を行うことなく、第2導電領域17bを一括して形成することができる。
【0107】
なお、第2の実施形態では、第1レジスト21cと第2レジスト21dとの双方をネガ型のレジストとしたが、2つのレジストの双方がポジ型のレジストであってもよいし、一方のレジストがネガ型のレジストで、他方のレジストがポジ型のレジストであってもよい。例えば、第2レジスト21dがポジ型のレジストである場合には、透明導電性積層体10の積層方向から見て、光吸収領域19aは、第2導電領域17bと重なる部分に配置され、光透過領域19bは、第2非導電領域18bと重なる部分に配置される。
【0108】
また、第2の実施形態では、第2レジスト21dの露光を、第1レジスト21cの露光よりも先に行ったが、第1レジスト21cの露光を先に行ってもよい。ただし、光源24から遠い方のレジストから露光する方が、後の露光において、露光光が先の露光によって部分的に感光したレジストを透過することがないため、透過するレジストの感光状態に露光光が影響を受けることが抑えられる。
【0109】
また、第2の実施形態では、光学フィルターを交換することによって、第1の露光における露光光と第2の露光における露光光の波長を調整したが、例えば、光源を変えることによって、露光光の波長を調整してもよい。
【0110】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1),(2)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(5)透明導電性積層体10の積層方向から見て、光透過領域19bは、第2導電領域17bと重なる部分に配置され、光吸収領域19aは、第2非導電領域18bと重なる部分に配置されている。これにより、ネガ型のレジストが用いられる場合に、第1内側樹脂層12aが、第2透明電極層16bを形成するためのマスクとして適切に機能する。
【0111】
(6)第1レジスト21cの感光波長と第2レジスト21dの感光波長とは、互いに異なる領域の波長を含む。そのため、第1レジスト21cのみが感光する波長の露光光と、第2レジスト21dのみが感光する波長の露光光とを、一方向から各別に積層体に照射することによって、2つのレジスト21c,21dを互いのパターンに影響を与えることなく露光することが可能となる。
【0112】
上記の各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・第1内側樹脂層12aにおいて、露光光を吸収する領域と露光光を透過する領域とは、樹脂膜のパターニングによって区画されていなくてもよい。例えば、第1内側樹脂層12aが第1基板13aの全面を覆う層として形成され、紫外領域の波長の光を吸収する機能が部分的に付加されてもよい。要は、第1内側樹脂層12aが、露光光を吸収する光吸収領域19aと、露光光を透過する光透過領域19bとを有していればよい。ただし、光吸収領域19aと光透過領域19bとがパターニングによって形成されている方が、露光を行う際に、マスク22と第1内側樹脂層12aのパターンとの位置合わせが行いやすい。
【0113】
・露光光を部分的に吸収する層は第1内側樹脂層12aとは異なる層であってもよい。例えば、他の樹脂層12b,14a,14bや、粘着層11や、光学調整層15a,15bのうちのいずれかが露光光を部分的に吸収する層として機能してもよい。あるいは、これらの層に加えて、露光光を部分的に吸収する層がさらに設けられてもよい。要は、第1透明電極層16aと第2透明電極層16bとに挟まれた機能層が、露光光を部分的に吸収する層を含んでいればよい。このとき、露光光を部分的に吸収する層には、その層よりも光源から遠い方の透明電極層を形成するためのマスクとなるパターンが形成される。