(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板と導電膜との間に位置する樹脂層には、紫外線を吸収する機能の他に、樹脂層に積層される他の層との良好な密着性が要求される。しかしながら、有機系紫外線吸収体が添加された塗工膜である樹脂層は、気相成長した無機膜とは大きく異なる化学的な表面状態を有する。そして、有機系紫外線吸収体が添加された塗工膜である樹脂層と、気相成長した無機膜との密着性は、有機系紫外線吸収体の添加されていない樹脂層のそれと比べて低い。特に、ITO(酸化インジウムスズ)などからなる導電膜が、スパッタリングによって直接樹脂層に積層される構成では、紫外線を吸収する機能と、他の層との密着性を保つ機能とを1つの樹脂層で両立させることは極めて困難である。
【0006】
本開示の技術は、気相成長した無機膜と樹脂層との密着性を高め、かつ、露光光である紫外線の吸収機能を有する透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための透明導電性積層体は、基板と、前記基板の上に位置する塗工膜である第1の樹脂層と、前記基板の下に位置する塗工膜である第2の樹脂層と、第1の透明電極層を含む層であって、前記第1の樹脂層上に位置する第1の構成層と、第2の透明電極層を含む層であって、前記第2の樹脂層下に位置する第2の構成層と、を備える。前記第1の樹脂層は、紫外線を透過し、前記第2の樹脂層は、有機系紫外線吸収体を含み、前記第1の構成層が含む層のうち、前記第1の樹脂層と接する層は、気相成長した無機膜である。そして、前記第2の構成層が含む層のうち、前記第2の樹脂層と接する層は、塗工された有機無機ハイブリッド膜である。
【0008】
上記構成において、透明導電性積層体が備える2つの樹脂層の機能は互いに異なる。第1の樹脂層は、紫外線を透過する塗工膜であり、第2の樹脂層は、有機系紫外線吸収体を含む塗工膜である。そして、第1の樹脂層に、気相成長した無機膜が積層され、第2の樹脂層に、塗工された有機無機ハイブリッド膜が積層される。したがって、気相成長した無機膜が、有機系紫外線吸収体を含む塗工膜に積層される従来の構成と比べて、第1の樹脂層と第1の樹脂層に積層される層との密着性、第2の樹脂層と第2の樹脂層に積層される層との密着性が高まる。
【0009】
なお、こうした構成からなる透明導電性積層体の紫外線露光に際しては、例えば、第1の構成層上のレジストと、第2の構成層上のレジストとにおいて、一方のレジストを透過した紫外線は、他方のレジストに到達する前に第2の樹脂層で吸収される。したがって、一方のレジストに対する紫外線が他方のレジストに到達することが抑えられるため、2つのレジストをこれらレジストの現像前にまとめて露光することができる。結果として、樹脂層と樹脂層に積層される他の層との密着性を高めることと、一方のレジストに対する紫外線が他方のレジストに到達することを抑えることとの両立が可能でもある。
【0010】
上記透明導電性積層体において、前記第1の構成層は、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する光学調整層を含み、前記光学調整層が、前記第1の樹脂層と接する層であり、前記第2の透明電極層が、前記第2の樹脂層と接する層であることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、光学調整層によって透明導電性積層体における視認性が向上され、かつ、光学調整層と第1の樹脂層との密着性、および、導電性を有する有機無機ハイブリッド膜である第2の透明電極層と第2の樹脂層との密着性が高まる。
【0012】
上記透明導電性積層体において、前記第1の透明電極層は、気相成長した無機膜であり、前記第2の透明電極層は、塗工された有機無機ハイブリッド膜であることが好ましい。
上記構成によれば、2つの透明電極層が、互いに異なる特性を有する。したがって、透明導電性積層体は、それぞれの膜が有する利点を享受することができる。
【0013】
上記透明導電性積層体において、前記第1の樹脂層は、有機無機ハイブリッド膜であり、前記第2の樹脂層は、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
上記構成によれば、第1の樹脂層に有機無機ハイブリッド樹脂が含まれるため、気相成長した無機膜と第1の樹脂層との密着性が良好である。また、第2の樹脂層に含まれるアクリル系樹脂によって、第2の樹脂層に対する有機系紫外線吸収体の添加が容易である。
【0014】
上記透明導電性積層体において、前記第2の樹脂層は、耐ブロッキング性を有することが好ましい。
上記構成によれば、第2の樹脂層が耐ブロッキング性を有するため、透明導電性積層体の製造の途中にて、樹脂層が重ねられる場合であっても、ブロッキングが発生することが抑えられる。結果として、樹脂層と樹脂層に積層される他の層との密着性が高められ、かつ、ブロッキングの発生が抑えられる。
【0015】
上記課題を解決するためのタッチパネルは、上記透明導電性積層体を備える。
上記構成によれば、タッチパネルの備える透明導電性積層体において、樹脂層と樹脂層に積層される層との密着性を有している。
【0016】
上記課題を解決するための透明導電性積層体の製造方法は、基板の第1の面に、紫外線を透過する第1の樹脂層を塗工によって形成する工程と、前記基板の第2の面に、有機系紫外線吸収体を含む第2の樹脂層を塗工によって形成する工程と、前記第1の樹脂層に、第1の透明導電層を含む第1の積層層を積層する工程と、前記第2の樹脂層に、第2の透明導電層を含む第2の積層層を積層する工程と、を含む。前記第1の積層層を積層する工程は、前記第1の樹脂層の面上に気相成長によって無機膜を形成する工程を含み、前記第2の積層層を積層する工程は、前記第2の樹脂層の面上に塗工によって有機無機ハイブリッド膜を形成する工程を含む。
【0017】
上記方法によれば、紫外線を透過する塗工膜である第1の樹脂層に、気相成長した無機膜が積層され、紫外線を吸収する塗工膜である第2の樹脂層に、塗工された有機無機ハイブリッド膜が積層される。したがって、第1の樹脂層と第1の樹脂層に積層される層との密着性が良好となる。また、第2の樹脂層と第2の樹脂層に積層される層との密着性も確保される。
【0018】
なお、こうした構成からなる透明導電性積層体の紫外線露光に際しては、例えば、第1の積層層上のレジストと、第2の積層層上のレジストとにおいて、一方のレジストを透過した紫外線は、他方のレジストに到達する前に第2の樹脂層で吸収される。したがって、一方のレジストに対する紫外線が他方のレジストに到達することが抑えられるため、2つのレジストをこれらレジストの現像前にまとめて露光することができる。結果として、樹脂層と樹脂層に積層される他の層との密着性を高めることと、一方のレジストに対する紫外線が他方のレジストに到達することを抑えることとの両立が可能でもある。
【発明の効果】
【0019】
本開示の技術によれば、気相成長した無機膜と樹脂層との密着性が高められ、かつ、紫外線の吸収機能を有する透明導電性積層体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜
図11を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法の一実施形態について説明する。
[透明導電性積層体の構成]
図1を参照して、透明導電性積層体の構成について説明する。透明導電性積層体は、例えば、タッチパネルの構成部材の1つとして用いられる。
【0022】
図1に示されるように、透明導電性積層体10は、透明な基板11と、基板11を挟んで互いに対向する2つの塗工膜である第1樹脂層12a、および、第2樹脂層12bを備えている。また、透明導電性積層体10は、基板11、第1樹脂層12a、および、第2樹脂層12bからなる積層体を挟んで、互いに対向する2つの導電膜である第1透明電極層13aと第2透明電極層13bとを備えている。
【0023】
基板11の表面である第1の面には、第1樹脂層12aと第1透明電極層13aとが、この順に積層されている。基板11の裏面である第2の面には、第2樹脂層12bと第2透明電極層13bとが、この順に積層されている。第1透明電極層13aは、第1の構成層の一例であり、第2透明電極層13bは、第2の構成層の一例である。
【0024】
基板11としては、例えば、ガラスや樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムに用いられる樹脂は、成膜工程および後工程にて基板に要求される強度をフィルムとして有し、表面の平滑性が良好である範囲において限定されない。樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、または、ポリイミド等が挙げられる。基板11は、透明導電性積層体10の薄型化を図るとともに基板11の可撓性を保持するために、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0025】
基板11は、種々の添加剤や安定剤を含んでもよい。添加剤や安定剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、または、易接着剤等が挙げられる。基板11に対しては、基板11に積層される層と基板11との密着性を向上させるために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、または、薬品処理等が施されてもよい。
【0026】
第1樹脂層12a、および、第2樹脂層12bの各々は、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能を有する。第1樹脂層12aを構成する樹脂、および、第2樹脂層12bを構成する樹脂の各々は、透明性の他に、適度な硬度、および、機械的強度を有することが好ましい。
【0027】
第1樹脂層12aは、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能に加えて、紫外領域の波長を有する光である紫外線を透過する機能を有している。なお、紫外領域の波長は約200nm〜約380nmであり、可視領域の波長は約380nm〜約780nmである。また、第1樹脂層12aは、スパッタリングなどによって気相成長した無機膜との密着性が第2樹脂層12bよりも高い性質を有している。
【0028】
第1樹脂層12aの形成材料は、有機系紫外線吸収体を含まず、かつ、樹脂を構成する主鎖や側鎖に紫外線を吸収する骨格を有しない樹脂を含む。第1樹脂層12aの形成材料は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などの有機系樹脂、有機系樹脂にシリカ粒子や金属酸化物粒子などの無機粒子が添加された有機無機ハイブリッド樹脂からなる群から選択されるいずれか1つである。気相成長によって形成される無機膜との密着性が高い観点から、第1樹脂層12aの形成材料は、無機粒子を含む有機無機ハイブリッド樹脂であることが好ましい。
【0029】
第1樹脂層12aの厚みは、特に限定されないが、透明導電性積層体10の薄型化を図るためには、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
なお、塗工などの液相成長した無機膜は、予め定められた一次粒子径を有する無機粒子同士の焼結した膜であり、液相成長に用いられる無機粒子間の粒界を少なからず有する。一方で、気相成長によって形成される無機膜は、気相中の無機粒子の積み重なった膜であり、通常、液相成長に用いられる無機粒子よりも十分に小さい無機粒子の積み重なった膜である。そのため、気相成長した無機膜は、こうした無機粒子の粒径に応じた粒界を有さない。
【0030】
第2樹脂層12bは、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能に加えて、紫外線を吸収する機能を有している。第2樹脂層12bは、気相成長によって形成される無機膜との密着性が第1樹脂層12aよりも低い。また、第2樹脂層12bは、第1樹脂層12aよりも高い耐ブロッキング性を有している。耐ブロッキング性は、耐ブロッキング性を有する層と他の層とが重なる状態で、耐ブロッキング性を有する層に対して他の層から荷重が加えられ、その後に、耐ブロッキング性を有する層とそれに重なる他の層とが容易に離せる性質である。
【0031】
第2樹脂層12bの厚みは、特に限定されないが、透明導電性積層体10の薄型化を図るためには、1μm以上10μm以下であることが好ましい。基板11と第2樹脂層12bとの積層体は、365nmの波長の光の透過率が0%以上1%以下であることが好ましい。なお、365nmの波長の光の透過率は、日立ハイテク社製U4100の分光光度計によって得られる値である。
【0032】
第2樹脂層12bのJIS B0601−1994による算術平均粗さ(Ra)は、1nm以上10nm以下であることが好ましい。算術平均粗さが上記の範囲であれば、第2樹脂層12bの表面の凹凸によって、第2樹脂層12bに適切な耐ブロッキング性が付与される。なお、算術平均粗さは、菱化システム社製Vertscanによって得られる値である。測定方法は、JISB0601−1994年版に準拠している。
【0033】
第2樹脂層12bの形成材料は、耐ブロッキング性を有する樹脂を含み、かつ、有機系紫外線吸収体を含む。耐ブロッキング性を有する樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などの有機系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである。耐ブロッキング性を有する樹脂がアクリル系樹脂であるとき、ヘイズ値や透明性が向上し、また、耐ブロッキング性が発現しやすいために好ましい。
【0034】
有機系紫外線吸収体は、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系からなる群から選択される少なくとも1つである。有機系紫外線吸収体は、紫外線を吸収する機能を有した低化合物であってもよいし、紫外線を吸収する機能を有した樹脂であってもよいし、耐ブロッキング性を有する樹脂との共重合体であってもよい。有機系紫外線吸収体が、耐ブロッキング性を有する樹脂との共重合体であるとき、有機系紫外線吸収体は、モノマーの状態で重合性のビニル基を有していることが好ましい。こうした有機系紫外線吸収体は、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリルオキシ)ベンゾフェノン、フェニル−5−メタクリルオキシメチルサリシレートからなる群から選択される少なくとも1つである。有機系紫外線吸収体は、耐ブロッキング性を有する樹脂の一例であるアクリル系樹脂の側鎖にエステル結合していることが好ましい。紫外線吸収体を含む樹脂の分子量は、特に限定されないが、ブリードアウトの発生を抑えるためには、10000以上であることが好ましい。
【0035】
第1透明電極層13aは、スパッタリングなどによって気相成長した無機膜である。
第1透明電極層13aの形成材料は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズからなる群から選択される少なくとも1つを含む。また、第1透明電極層13aの形成材料は、上記金属酸化物の他に、さらに添加物を含んでもよい。電気的特性の信頼性や形状加工の信頼性が高い観点から、第1透明電極層13aの形成材料は、酸化インジウムスズを含むことが好ましい。
【0036】
第1透明電極層13aは、所定の形状にパターニングされている。例えば、第1透明電極層13aは、X方向に延びる複数の導電領域14aが、X方向と直交するY方向に隙間をあけて並設されたパターンを有する。導電領域14aは、例えば、直線形状や、複数のひし形が一方向に繋げられた形状に形成される。互いに隣接する2つの導電領域14aの間に形成された隙間は、導電領域14aの形成されていない非導電領域15aである。
【0037】
第2透明電極層13bは、液相成長した塗工された有機無機ハイブリッド膜である。
第2透明電極層13bは、導電性を担う金属製のナノワイヤー等の繊維状の金属と、有機系樹脂とを含んでいる。導電性を担う金属としては、例えば、金、銀、銅、コバルトからなる群から選択される少なくとも1つである。第2透明電極層13bに含まれる樹脂としては、アクリル系樹脂を主成分とするモノマーやオリゴマー等の、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が好ましい。樹脂部分には、重合開始剤等の添加剤が混合されていてもよい。第2透明電極層13bは、最外層として金属を含まない樹脂層を含んでもよく、こうした構成であれば、繊維状の金属が樹脂層によって保護される。
【0038】
第2透明電極層13bは、例えば、Y方向に延びる複数の導電領域14bが、X方向に間をあけて並設されたパターンに形成されている。第2透明電極層13bの導電領域14bに含まれる繊維状の金属は、導電領域14b内で互いに接触しており、これによって、導電領域14bは導電性を有している。導電領域14bの各々は、第1透明電極層13aの導電領域14aと同様の形状に形成される。非導電領域15bは、複数の導電領域14bの間の領域であって、導電領域14bの各々と絶縁されている。
【0039】
導電領域14a,14bの各々は、導電領域14a,14bの間に形成される静電容量の変化を、電流の変化によって検出する回路に接続されている。人の指等が導電領域14a,14bに接近すると、静電容量が変化する。この静電容量の変化が検出されることに基づいて、人の指等の接触位置が判定される。
【0040】
図2に示されるように、第1透明電極層13aには、接着層を介してガラス等からなるカバー層30等が積層されて、タッチパネル31が構成される。カバー層30の表面が、人の指等の接触面となる。さらに、第2透明電極層13bには、液晶パネル等の表示パネル32が積層されて、タッチパネル31と表示パネル32とから表示装置33が構成される。なお、第2透明電極層13bにカバー層30が積層され、第1透明電極層13aに表示パネル32が積層されてもよい。
【0041】
[透明導電性積層体の製造方法]
図3〜
図11を参照して、透明導電性積層体の製造方法について説明する。
図3に示されるように、まず、基板11の表面に第1樹脂層12aが形成される。
【0042】
第1樹脂層12aの形成方法では、まず、主成分である紫外線透過性樹脂等が溶剤に溶解した溶液が、基板11の表面に塗工される。次いで、基板11の表面にて塗膜が硬化することによって、第1樹脂層12aが形成される。
【0043】
溶剤は、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば、限定されない。溶剤の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、または、モノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤を混合して用いてもよい。
【0044】
塗工方法としては、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、または、マイクログラビアコーター等の公知の塗工法が用いられる。第1樹脂層12aを硬化するために用いられる紫外線照射機としては、例えば、メタルハライドランプや、高圧水銀ランプ等が用いられる。
【0045】
図4に示されるように、基板11の裏面に第2樹脂層12bが形成される。第2樹脂層12bの形成方法では、まず、耐ブロッキング性を有する樹脂と有機系紫外線吸収体とを含む溶液、あるいは、有機系紫外線吸収体を含む耐ブロッキングを有した樹脂を含む溶液が、基板11の裏面に塗工される。次いで、基板11の裏面にて塗膜が硬化することによって、第2樹脂層12bが形成される。
【0046】
この際に、第2樹脂層12bの塗工に際し、例えば、耐ブロッキング性を有する樹脂と有機系紫外線吸収体とは、溶剤に各別に溶解されて用いられる。溶剤としては、これらの構成材料を溶解するものであれば、特に限定しない。溶剤の具体例としては、先の第1樹脂層12aの形成方法にて例示した溶剤が挙げられる。
【0047】
有機系紫外線吸収体(A)と耐ブロッキング性を有する樹脂(B)と溶剤(C)との配合比率は、第2樹脂層12bに耐ブロッキング性と紫外線吸収機能とを適切に付与するためには、A:B:C=10重量%以上30重量%以下:35重量%以上55重量%以下:20重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
【0048】
第2樹脂層12bには、相分離樹脂が5重量%以上10重量%以下、アクリル系樹脂が50重量%以上75重量%以下、有機系紫外線吸収体が15重量%以上45重量%以下、の割合で、それぞれ含まれることが好ましい。こうした含有比率を実現するには、例えば、溶剤に各構成材料が溶解された溶液に、相分離樹脂が1.8重量%以上2.5重量%以下、アクリル系樹脂が16重量%以上23重量%以下、有機系紫外線吸収体が5重量%以上13重量%以下、の割合で、それぞれ含まれればよい。なお、相分離樹脂は、溶液が塗工された直後は、層内にて他の構成材料と共に分散している一方で、溶剤の揮発に伴って他の構成材料から分離して析出する。こうした形成方法であれば、第2樹脂層12bの表面に、上述した表面粗さが形成されやすい。
【0049】
塗工方法としては、先の第1樹脂層12aの形成方法にて例示した塗工方法を用いることができる。
ここで、第2樹脂層12bは、耐ブロッキング性を有している。そのため、例えば、ロール・ツー・ロール方式によって、第1樹脂層12aおよび第2樹脂層12bが形成される場合等、製造工程において第2樹脂層12bに他の層が重ねられる場合であっても、ブロッキングが発生することが抑えられる。
【0050】
図5に示されるように、基板11の表面側において、第1樹脂層12aの面上に第1透明導電層16aが形成される。第1透明導電層16aは、スパッタリングなどの気相成長法によって形成される。第1透明導電層16aは、第1の積層層の一例である。
【0051】
図6に示されるように、基板11の表面側において、第1樹脂層12aの面上に金属層17が形成される。金属層17は、繊維状の金属が分散された溶液が第1樹脂層12aに塗工されることによって形成される。繊維状の金属を分散させる溶剤としては、水、アルコール系、具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノールといった親水性の高い溶剤が好ましい。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤を混合して用いてもよい。塗工方法としては、公知の塗工法や印刷法が用いられる。
【0052】
図7に示されるように、金属層17の上に樹脂を含む溶液が塗工されて、第2透明導電層16bが形成される。金属層17に塗工された溶液は、金属層17が含む繊維状の金属の隙間にも浸透する。溶液の溶剤としては、第2透明電極層13bの樹脂部分の構成材料を溶解するものであれば、特に限定しない。溶剤の具体例としては、先の第1樹脂層12aの形成方法にて例示した溶剤が挙げられる。塗工方法としては、公知の塗工法や印刷法が用いられる。第2透明導電層16bは、第2の積層層の一例である。
【0053】
なお、第1樹脂層12aと第1透明導電層16aとは、第2樹脂層12bが形成される前に、基板11の表面に連続して形成されてもよい。また、第2樹脂層12bと第2透明導電層16bとは、第1樹脂層12aが形成される前に、基板11の裏面に連続して形成されてもよい。要は、レジストが形成される前に、基板11の表面に、第1樹脂層12aと第1透明導電層16aとを備え、基板11の裏面に、第2樹脂層12bと第2透明導電層16bとを備える積層体が形成されればよい。
【0054】
図8に示されるように、次に、基板11の表面側において、第1透明導電層16aの面上に第1レジスト18aが形成され、基板11の裏面側において、第2透明導電層16bの面上に第2レジスト18bが形成される。
【0055】
レジスト18a,18bとしては、ネガ型のレジストを用いてもよいし、ポジ型のレジストを用いてもよい。レジスト18a,18bには、公知の材料が用いられ、レジスト18a,18bは、公知の方法によって形成される。
【0056】
図9に示されるように、次に、レジスト18a,18bに光を照射する2つの光源21a,21bの間に、レジスト18a,18bが形成された積層体が配置される。光源21a,21bは、紫外領域の波長の光と可視領域の波長の光とからなる光を発する。
【0057】
基板11の表面側において、第1レジスト18aと第1光源21aとの間には、第1レジスト18aに近い方から、第1透明電極層13aの導電領域14aの形状に合った孔を有する第1マスク19aと、可視領域の波長の光を遮断する第1光学フィルター20aとが、この順に配置される。基板11の裏面側において、第2レジスト18bと第2光源21bとの間には、第2レジスト18bに近い方から、第2透明電極層13bの導電領域14bの形状に合った孔を有する第2マスク19bと、可視領域の波長の光を遮断する第2光学フィルター20bとが、この順に配置される。
【0058】
そして、第1光源21aから第1レジスト18aに対して光が照射されることによって、第1レジスト18aが露光される。また、第2光源21bから第2レジスト18bに対して光が照射されることによって、第2レジスト18bが露光される。このとき、光学フィルター20a,20bによって可視領域の波長の光が遮断されるため、レジスト18a,18bは、光源21a,21bから発せられた光のうちの紫外領域の波長の光によって露光される。なお、第1レジスト18aの露光と第2レジスト18bの露光とは、ほぼ同時に行われてもよいし、別々に行われてもよく、第1レジスト18aの現像、および、第2レジスト18bの現像の前にまとめて実施されればよい。
【0059】
ここで、第1樹脂層12aは、紫外線を吸収しない一方で、第2樹脂層12bは、紫外線を吸収する機能を有している。そのため、第1光源21aから第1光学フィルター20aを介して第1レジスト18aに照射された光のうち、第1レジスト18aに吸収されなかった光は、第2樹脂層12bに吸収される。また、第2光源21bから第2光学フィルター20bを介して第2レジスト18bに照射された光のうち、第2レジスト18bに吸収されなかった光は、第2樹脂層12bに吸収される。結果として、一方のレジストに照射された光が積層体を透過して他方のレジストを感光させることが抑えられる。
【0060】
また、光学フィルター20a,20bによって遮断される光の波長と、第2樹脂層12bが吸収する光の波長とが調整されることによって、露光光の波長と、第2樹脂層12bが吸収する光の波長とが合わせられる。そのため、レジスト18a,18bの露光と不要な露光光の吸収とが的確に行われる。
【0061】
図10に示されるように、レジスト18a,18bがネガ型の場合には、レジスト18a,18bの露光によって感光していない部分が、現像液によって除去される。あるいは、レジスト18a,18bがポジ型の場合には、レジスト18a,18bの露光によって感光した部分が、現像液によって除去される。これによって、レジスト18a,18bに、マスク19a,19bの形状に合ったパターンが形成される。すなわち、レジスト18a,18bは、導電領域14a,14bのパターンに合ったレジストマスクに加工される。
【0062】
図11に示されるように、第1レジスト18aのパターンに応じて、第1透明導電層16aの露出部分がエッチングされ、第2レジスト18bのパターンに応じて、第2透明導電層16bの露出部分のうちの金属層17がエッチングされる。エッチング方法は、公知の方法が用いられる。これによって、第1透明導電層16aがパターニングされて第1透明電極層13aが形成される。そして、第1透明導電層16aの残存部分が、第1透明電極層13aにおける導電領域14aとなり、第1透明導電層16aの除去部分を非導電領域15aとして区画する。また、第2透明導電層16bがパターニングされて第2透明電極層13bが形成される。そして、金属層17の残存部分が、第2透明電極層13bにおける導電領域14bとなり、金属層17の除去部分を非導電領域15bとして区画する。なお、非導電領域15bは、導電領域14bと絶縁された状態であればよく、非導電領域15bにおいて、繊維状の金属は完全に除去されていなくてもよい。
【0063】
最後に、レジスト18a,18bが除去されることによって、透明導電性積層体10が得られる。なお、上記の各工程は、ロール・ツー・ロール方式によって行われることが好ましい。これによれば、透明導電性積層体を効率よく製造することができるため、透明導電性積層体10の製造にかかる時間が短縮される。
【0064】
[作用]
上述の透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法がもたらす作用について説明する。
【0065】
透明導電性積層体10は、紫外線を透過する塗工膜である第1樹脂層12aに、気相成長した無機膜からなる第1透明電極層13aが積層され、紫外線を吸収する塗工膜である第2樹脂層12bに、塗工された有機無機ハイブリッド膜である第2透明電極層13bが積層されている。したがって、第1樹脂層12aと第1透明電極層13aとの密着性は、紫外線を吸収する樹脂製の塗工膜と第1透明電極層13aとの密着性よりも高められる。また、紫外線を吸収する塗工膜である第2樹脂層12bと、導電性の塗工膜である第2透明電極層13bとの密着性も保持される。
【0066】
また、フォトリソグラフィによる露光工程では、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を、第2樹脂層12bが吸収する。その結果、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられる。したがって、2つの透明電極層13a,13bが互いに異なるパターンを有する場合であっても、一方のレジストに形成されるパターンが他方のレジストに形成されるパターンに影響を与えることが抑えられる。それゆえに、基板11を挟んで対向する2つのレジスト18a,18bをまとめて露光することができる。結果として、レジストの形成や露光や現像等の工程を、透明導電層16a,16bが形成された面ごとに繰り返す製造方法と比較して、透明導電性積層体10の製造工程の流れを簡素にすることができる。
【0067】
このように、2つの樹脂層12a,12b、および、2つの透明導電層16a,16bの各々が、互いに異なる機能を有することによって、樹脂層12a,12bと樹脂層12a,12bに積層される層との密着性が高められ、かつ、露光光の吸収機能を有する透明導電性積層体10が実現される。
【0068】
また、第2樹脂層12bが耐ブロッキング性を有しているため、透明導電性積層体10の製造工程において、第2樹脂層12bに他の層が重ねられる場合であっても、ブロッキングが発生することが抑えられる。なお、ブロッキングは、製造工程中で第2樹脂層12bにフィルムを付したり、製造工程における積層体の配置を変更したりすることによっても抑えられる。こうした場合には、第2樹脂層12bは、耐ブロッキング性を有していなくてもよい。すなわち、第2樹脂層12bは、耐ブロッキング性を有する樹脂を含んでいなくてもよい。
【0069】
(実施例)
上述した透明性導電性積層体が有する特性について、以下に挙げる具体的な実施例、および、比較例を用いて説明する。
【0070】
<実施例>
基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製:A4300−125)を用い、基板の表面に第1樹脂層を形成するための塗工液としてUNIDIC V‐6841(DIC社製)をMIBKに溶解させた塗工液を塗工した後、塗膜を硬化して、厚さが3μmの第1樹脂層を形成した。さらに、基板の裏面に、第2樹脂層を形成するための塗工液として、有機系紫外線吸収体(チバ・ジャパン社製:TINUVIN99‐2)と耐ブロッキング性を有する樹脂(日本ペイント社製:NAB‐001)と溶剤(東洋インキ社製:VC104)とを20重量%:40重量%:40重量%で配合した塗工液を塗工した後、塗膜を硬化して、厚さが5.5μmの第2樹脂層を形成した。
【0071】
続いて、第1樹脂層の上に、第1透明導電層として、25nmのITO膜をスパッタリング法を用いて積層した。さらに、第2樹脂層の上に、金ナノワイヤーを純水に分散させた塗工液を塗工した後、保護膜として紫外線硬化型アクリルHCをIPAに溶解させた溶液を塗工、硬化して、200nmの第2透明導電層を形成した。そして、第1透明導電層をパターニングして第1透明電極層を形成し、第2透明導電層をパターニングして第2透明電極層を形成することによって、実施例の透明導電性積層体を得た。
【0072】
<比較例1>
第2透明導電層として、第2樹脂層の上に、25nmのITO膜をスパッタリング法を用いて積層し、それ以外の条件を実施例と同じくして比較例1の透明導電性積層体を得た。
【0073】
<比較例2>
第2樹脂層として、基板の裏面に、UNIDIC V‐6841(DIC社製)をMIBKに溶解させた塗工液を塗工した後、塗膜を硬化して、厚さが3μmの樹脂層を形成し、それ以外の条件を実施例と同じくして比較例2の透明導電性積層体を得た。
【0074】
<評価方法>
以下の方法で、樹脂層と透明電極層との密着性、および、透明導電性積層体の紫外線吸収性について評価した。その結果を表1に示す。なお、以下では、第1樹脂層と第1透明電極層とを第1構成層と表記し、第2樹脂層と第2透明電極層とを第2構成層と表記する。
【0075】
[密着性]
実施例、および、比較例1,2の透明導電性積層体の各々を、耐候性試験機(東洋精機製作所社製:ウエザオメータCi4000)に投入し、耐候性試験を行った。耐候性試験の処理条件として、65kW/m
2の放射照度、50%RHの湿度、40℃の温度、500hの処理時間を設定し、耐候性試験を行う前後の試験片の第1構成層と第2構成層との各々に対し、密着性を評価した。
【0076】
密着性の評価は次の手順で碁盤目試験を行った。これは、旧JIS K5400:1990に記載されている試験と同様である。まず、透明導電性積層体の試験片に切り込みを入れて、1mm角の碁盤目を100個作製し、切り込みを入れた透明電極層の表面にセロハンテープを貼りつける。そして、テープを付着させてから1分後にテープの端を持って透明電極層面に直角に保ち瞬間的に引き剥がし、透明電極層が剥離した碁盤目の数を計測する。
【0077】
[紫外線吸収性]
実施例、および、比較例1,2の透明導電性積層体の各々を、分光光度計(日立ハイテク社製:U4100)に投入し、各透明導電性積層体について、365nmの波長の光の透過率を測定した。そして、透過率が5%以下の透明導電性積層体を紫外線の吸収性が有るものと判断し、透過率が5%を超える透明導電性積層体を紫外線の吸収性が無いものと判断した。
【0078】
【表1】
表1に示されるように、実施例の第1構成層、および、第2構成層の各々において、十分な密着性が認められ、その実施例の透明導電性積層体において、紫外線吸収性が認められた。これに対して、比較例1においては、第1構成層に十分な密着性が認められたが、第2構成層の密着性が耐候性試験後に失われることが認められた。また、比較例2においては、第1構成層、および、第2構成層の各々に十分な密着性が認められたが、紫外線吸収性を有していないことも認められた。
【0079】
すなわち、有機系紫外線吸収体を含む塗工膜に気相成長した無機膜が積層された比較例1では、密着性が低くなり、有機系紫外線吸収体を含む塗工膜を有さない比較例2では、紫外線吸収性が得られない。これに対し、紫外線を透過する塗工膜である樹脂層に、気相成長した無機膜である透明電極層が積層され、有機系紫外線吸収体を含む塗工膜である樹脂層に、塗工された有機無機ハイブリッド膜である透明電極層が積層された透明導電性積層体では、良好な膜の密着性と紫外線の吸収機能の双方が得られることが示された。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)気相成長した膜に対する密着性が高められた第1樹脂層12aに、気相成長した膜からなる層が積層され、露光光を吸収する機能を有する第2樹脂層12bに、液相成長した膜からなる層が積層される。したがって、樹脂層12a,12bと樹脂層12a,12bに積層される層との密着性が良好となる。また、第2樹脂層12bによって、透明導電性積層体10に、露光光の吸収機能が付与される。
【0081】
(2)第2樹脂層12bが耐ブロッキング性を有するため、透明導電性積層体10の製造工程にて樹脂層が重ねられる場合であっても、ブロッキングが発生することが抑えられる。
【0082】
(3)2つの透明電極層13a,13bが、互いに異なる特性を有するため、透明導電性積層体10は、それぞれの膜が有する利点を享受することができる。
(4)第1樹脂層12aが有機無機ハイブリッド樹脂を含み,第2樹脂層12bが有機系紫外線吸収体を含む。これによって、第1樹脂層12aにて、気相成長した無機膜に対する密着性が高められ、また、第2樹脂層12bに、露光光としての紫外領域の波長の光を吸収する機能を適切に付加することができる。
【0083】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・
図12に示されるように、透明導電性積層体10は、第1樹脂層12aと第1透明電極層13aとの間に、光学調整層22を備えていてもよい。光学調整層22は、透明導電性積層体10における可視光の透過特性を調整する機能を有する。光学調整層22は、例えば、酸化物、硫化物、フッ化物、あるいは、窒化物等の無機化合物を材料として、気相成長した無機膜である。こうした構成によっても、第1樹脂層12aと第1樹脂層12aに積層される層との密着性が高められる。すなわち、第1樹脂層12aに接する層は、気相成長した無機膜であれば、第1透明電極層13aとは異なる層であってもよい。
【0084】
なお、第1樹脂層12aと第1透明電極層13aとの間に、気相成長した無機膜が挟まれる構成であれば、第1透明電極層13aは、塗布膜であってもよい。要は、第1樹脂層12aと接する層が、気相成長した無機膜からなる層であれば、紫外線の吸収機能を有しない第1樹脂層12aと、気相成長した無機膜との密着性は、第1樹脂層12aが紫外線の吸収機能を有する構成と比べて高まる。なお、光学調整層22は、第1の構成層の一例であり、第1の積層層の一例である。
【0085】
・気相成長した無機膜は、例えば、酸化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、窒化ケイ素膜などのように導電性を有しない透明膜であってもよい。
・透明導電性積層体10は、第2樹脂層12bと第2透明電極層13bとの間に、第2透明電極層13bとは異なる層として、塗工された有機無機ハイブリッド膜を備えてもよい。
【0086】
第2樹脂層12bと第2透明電極層13bとの間に、塗工された有機無機ハイブリッド膜が挟まれる構成であれば、第2透明電極層13bは、気相成長した無機膜であってもよい。要は、第2樹脂層12bと接する層が、塗工された有機無機ハイブリッド膜からなる層であれば、紫外線の吸収機能を有する第2樹脂層12bと、有機無機ハイブリッド膜との密着性は得られ、透明導電性積層体において紫外線吸収機能も保たれる。
【0087】
・塗工された有機無機ハイブリッド膜に含まれる無機化合物は、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタンなどのように導電性を有しない無機粒子であってもよい。
・
図13に示されるように、基板11は、複数の層からなる積層体であってもよい。
図13に示される透明導電性積層体23にて、基板11は2つの副基板11a,11bと、副基板11aと副基板11bとを貼り合わせる粘着層24とから構成される。粘着層24に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、または、ゴム系樹脂等が挙げられる。粘着層24には、クッション性や透明性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0088】
なお、こうした透明導電性積層体の製造方法では、副基板11aの表面に第1樹脂層12aと第1透明導電層16aとが積層され、副基板11bの表面に第2樹脂層12bと第2透明導電層16bとが積層される。そして、各構成部材が積層された副基板11aの裏面と副基板11bの裏面とが粘着層24によって貼り合わせられる。以後、先の
図8〜
図11に示される工程と同様の工程を経て透明導電性積層体23が製造される。