特許第6156175号(P6156175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156175
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20170626BHJP
【FI】
   G06Q10/00
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-25223(P2014-25223)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-153066(P2015-153066A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢史
【審査官】 伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−324779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段と、
前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段と、
前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段と、を含み、
前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致した場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段と、
前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段と、
前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段と、
前記処理ルールに従って前記所定の処理を完了した完了回数を、処理を実行した利用者毎にカウントするカウント手段と、を含み、
前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し、かつ、当該一致した前記処理ルールの前記完了回数が前記利用者において所定値以上の場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記判定手段が前記実行操作を誤りであると判定した場合に、当該実行操作が誤りである旨を通知する通知手段、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記判定手段が前記実行操作を誤りであると判定した場合に、前記処理ルールが変更されたことを通知する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段、
前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段、
前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し場合に、当該実行操作情報が誤りであると判定するプログラム。
【請求項6】
処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段、
前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段、
前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段、
前記処理ルールに従って前記所定の処理を完了した完了回数を、処理を実行した利用者毎にカウントするカウント手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し、かつ、当該一致した前記処理ルールの前記完了回数が前記利用者において所定値以上の場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定するプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者の実行する操作が予め定められた許容範囲に含まれるか否かを判定することにより、当該利用者の実行する操作の誤りを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−211257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、所定の処理を実行するための処理ルールが変更された後に、変更前の処理ルールに従って実行される操作を誤りとして検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、情報処理装置であって、処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段と、前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段と、前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段と、を含み、前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致した場合に、当該実行操作情報が誤りであると判定する、こととしたものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、情報処理装置であって、処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段と、前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段と、前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段と、前記処理ルールに従って前記所定の処理を完了した完了回数を、処理を実行した利用者毎にカウントするカウント手段と、を含み、前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し、かつ、当該一致した前記処理ルールの前記完了回数が前記利用者において所定値以上の場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定する、こととしたものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、前記判定手段が前記実行操作を誤りであると判定した場合に、当該実行操作が誤りである旨を通知する通知手段、をさらに含む、こととしたものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の情報処理装置であって、前記通知手段は、前記判定手段が前記実行操作を誤りであると判定した場合に、前記処理ルールが変更されたことを通知する、こととしたものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段、前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段、前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定するプログラム、としてコンピュータを機能させることとしたものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、処理を完了するための処理ルールとして設定される連続する複数の設定操作のうち、少なくとも一部が変更された前記処理ルールに識別番号を付して管理する処理ルール管理手段、前記処理を完了するために実行される実行操作に関する実行操作情報を、実行操作が行われた順に取得する実行操作情報取得手段、前記取得した実行操作情報と、前記処理ルール管理手段が管理する複数の処理ルールそれぞれの対応する前記設定操作と、の比較に基づいて当該実行操作情報の正誤を判定する判定手段、前記処理ルールに従って前記所定の処理を完了した完了回数を、処理を実行した利用者毎にカウントするカウント手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記取得した実行操作情報と最新の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致せず、かつ、当該実行操作情報と最新以外の前記処理ルールの対応する前記設定操作とが一致し、かつ、当該一致した前記処理ルールの前記完了回数が前記利用者において所定値以上の場合に、当該実行操作情報を誤りであると判定するプログラム、としてコンピュータを機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及に記載の発明によれば、処理ルールが変更された後に、変更前の処理ルールに従って実行される操作を誤りとして検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、利用者が、実行した操作が誤りであることを認識することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、利用者が、処理ルールが変更されたことを認識することができる。
【0014】
請求項2及び6に記載の発明によれば、変更前の処理ルールに従って処理が完了した回数に基づいて、実行した操作の正誤を判定することができる。

【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システム10の全体構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態における情報処理装置12により実行される主な機能の一例を示す機能ブロック図である。
図3】処理ルール管理部20のデータ構造の一例を示す図である。
図4】処理ルールリストのデータ構造の一例を示す図である。
図5】処理ルールのデータ構造の一例を示す図である。
図6】処理ルールバージョンのデータ構造の一例を示す図である。
図7】操作状況テーブルの一例を示す図である。
図8】第1実施形態における情報処理装置12により実行される操作ミス検出処理の流れの一例を示すフロー図である。
図9】第2実施形態における情報処理装置12により実行される主な機能一例を示す機能ブロック図である。
図10】第2実施形態における情報処理装置12により実行される操作ミス検出処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム10の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム10は、情報処理装置12と、利用者端末14(14−1〜14−n)と、を含んで構成されている。情報処理装置12、端末14は、LANやインターネットなどの通信手段に接続されており、互いに通信されるようになっている。
【0018】
情報処理装置12は、例えば、情報処理装置12にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである記憶部、ネットワークボードなどの通信インタフェースである通信部、等を含んで構成されている。これらの要素は、バスを介して接続される。情報処理装置12の記憶部には、情報処理装置12の制御部によって実行されるプログラムが記憶される。また、情報処理装置12の記憶部は、情報処理装置12のワークメモリとしても動作する。
【0019】
利用者端末14は、例えば、CPU等の制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブ等の記憶部、ディスプレイ等の出力部、マウスやキーボード等の入力部、ネットワークボード等の通信部等を備えた公知のパーソナルコンピュータにより構成されている。
【0020】
本実施形態では、情報処理装置12が端末14で実行される処理の処理ルールを管理する。処理ルールとは、ある処理を実行するための一連の操作の手順を定めたものである。例えば、「申請書Aの承認」という処理に関する処理ルールをNo1〜No5の一連の操作の手順として、No1.申請書Aのフォーム(申請書AForm)を特定のURLよりダウンロード、No2.申請書AFormに内容を記載して保存、No3.申請書AFormを印刷し、印刷された申請書AFormの申請者フィールドに申請者データ印を、承認者フィールドに承認者印を押印する、No4.押印済みの申請書AFormをスキャン、No5.スキャンした申請書AFormを申請係に送付、と定める。ここで、このような処理ルールが変更されることがある。例えば、No3、No4の操作が変更され、No3.申請書AFormの申請者フィールドに電子印を押印する、No4.上司に申請書AFormを送付する、No5.上司は申請書AFormの承認者フィールドに押印する、No6.上司は申請書AFormを申請者に送付する、No7.申請係に申請書AFormを送付する、と定められることとする。このように処理ルールが変更された場合には、情報処理装置12は変更後の処理ルールを新たに保存して管理する。なお、処理ルールはこの例に限定されず、種々の処理ルールが定められることとしてよい。
【0021】
ここで、利用者端末14が、処理ルールが変更されたにもかかわらず変更前の処理ルールに従って操作を実行しようとする場合がある。本実施形態では、処理ルールの変更後に変更前の処理ルールに従って操作を実行するという操作ミスを検出する構成となっている。
【0022】
図2は、第1実施形態における情報処理装置12により実行される主な機能の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態における情報処理装置12は、機能的には、例えば、処理ルール管理部20、実行操作情報取得部22、操作状況テーブル生成部26、実行操作情報正誤判定部27、通知部28、を含んで構成されている。これらの機能は、記憶部に記憶されたプログラムを制御部が実行することにより実現されている。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ可読な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信手段を介して情報処理装置12に供給される。
【0023】
処理ルール管理部20は、各種の処理ルール及び処理ルールの変更履歴を管理する。ここで、処理ルールは、利用者端末14により設定され、処理ルール管理部20に記憶されてもよいし、情報処理装置12により設定され、処理ルール管理部20に記憶されてもよい。図3は、処理ルール管理部20のデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、処理ルール管理部20のデータ構造は、処理ルールリスト、処理ルール、処理ルールバージョン、処理ルール設定操作リスト、及び処理ルール設定操作という要素から構成されている。
【0024】
処理ルールリストは、保存されている処理ルールの数と同数の処理ルールIDを含む。図4に処理ルールリストのデータ構造の一例を示す。図4に示すように、処理ルールID=0001〜0004の4つの処理ルールが保存されている。そして、新規の処理ルールが保存される毎に処理ルールIDが追加される。
【0025】
処理ルールは、処理ルール名、処理ルールID、及び処理ルールバージョンリストを含む。図5に処理ルールのデータ構造の一例を示す。図5に示すように、処理ルールは、処理ルールリストに含まれる処理ルールID毎に、処理ルール名及び処理ルールバージョンリストを関連付けている。具体的には、例えば、処理ルールID=0001に対応する処理ルール名は「A申請」であり、処理ルールバージョンリストには2つのバージョン(処理ルールバージョンID=0001−01及び処理ルールバージョンID=0001−02)が存在する。そして、処理ルールが変更されて新規に処理ルールバージョンが保存される毎に処理ルールバージョンIDが追加される。つまり、最後の処理ルールバージョンID(図5の例では、0001−02)が最新の処理ルールバージョンとなる。
【0026】
処理ルールバージョンは、処理ルールバージョンID、及び処理ルール設定操作リストを含む。図6に処理ルールバージョンのデータ構造の一例を示す。図6に示すように、処理ルールバージョンは、処理ルールバージョンリストに含まれる処理ルールバージョンID毎に処理ルール設定操作リストを関連付けている。処理ルール設定操作リストは、処理ルールバージョンIDに対応する具体的な設定操作を示すものである。具体的には、例えば、処理ルールバージョンID=0001−01(処理ルール名「A申請」の処理ルールバージョン1)は操作No1から操作No5までの5つの一連の操作を含む。そして、図示しない処理ルールバージョンID=0001−02(処理ルール名「A申請」の処理ルールバージョン2)は操作No1から操作No7までの一連の操作を含むものとする。そして、処理ルールバージョンID=0001−02の操作No1から操作No7までの一連の操作のうち、操作No1、2、7は処理ルールバージョンID=0001−01の操作No1、2、5にそれぞれ対応する同じ設定操作であるものとする。ここでは、処理ルールバージョンID=0001−02が最新の処理ルールバージョンである。最新の処理ルールバージョンの処理ルール設定操作リストと旧バージョン(処理ルールバージョンID=0001−01)の処理ルール設定操作リストと、を比較して同じ設定操作が存在すれば当該設定操作の最新処理ルールバージョンにおける操作Noを旧バージョンの処理ルール設定操作リストの「最新操作No」欄に格納する。そうすることで、旧バージョンと最新バージョンとの設定操作の違いを把握できる。また、ここでは、新規の処理ルールバージョンが保存される際に変更される操作はどの処理ルールであっても操作No2以降の操作とし、操作No1の操作は各処理ルール毎に異なるものとする。つまり、処理ルールID=0001の操作No1の操作が実行されることで、処理ルールID=0001の処理(ここでは、「A申請」の処理)が開始されたことがわかる。
【0027】
実行操作情報取得部22は、通信部を介して利用者端末14から利用者端末14で実行された操作、制御等を示す実行操作情報を1つずつ取得する。実行操作情報は、実行操作、操作日時、及び操作を実行した利用者端末14を識別する端末ID等を含む。実行操作情報は、利用者端末14で操作が実行される毎に利用者端末14の制御部で生成され、通信部を介して情報処理装置12へ送信される。なお、実行操作情報は情報処理装置12の制御部で生成されることとしてもよい。
【0028】
操作状況テーブル生成部26は、実行操作情報取得部22が取得した実行操作情報と、処理ルール管理部20に記憶されている処理ルールリストとに基づいて、特定の利用者端末14の操作状況を示す操作状況テーブルを生成する。図7は操作状況テーブルの一例を示す図である。図7に示すように、操作状況テーブルは、処理ルールID、処理ルールバージョンID、操作順番、設定操作、及び操作日時が関連付けられる。ここでは、実行操作情報取得部22が取得した実行操作情報に含まれる実行操作が、処理ルール管理部20に記憶されている処理ルールに基づくものであった場合に、操作状況テーブルの対応する設定操作に、当該実行操作情報の操作日時を関連付ける。なお、処理ルールIDが複数記憶されている場合は、それぞれの処理ルールIDについて操作状況テーブルが作成される。
【0029】
実行操作情報正誤判定部27は、操作状況テーブル生成部26が生成した操作状況テーブルに基づいて、実行操作情報取得部22が取得した実行操作情報に含まれる実行操作の正誤を判定する。ここでは、処理ルールバージョンの変更後に変更前の処理ルールバージョンに従って実行する実行操作を誤り(以下、操作ミスとする)と判定する。図7に示すような操作状況テーブルを生成することにより、最新バージョンの処理ルールではなく、変更前の処理ルールに基づいて実行された実行操作情報を検出することができる。
【0030】
通知部28は、実行操作情報正誤判定部27が操作ミスと判定した実行操作が操作ミスであることを示す通知を利用者端末14へ出力する。ここでは、通知部28は、処理ルールバージョンが変更されたことによる操作ミスであることを通知する。
【0031】
ここで、第1実施形態における情報処理装置12により実行される操作ミス検出処理の流れの一例を図8のフロー図を参照しながら説明する。
【0032】
操作ミス検出処理は、利用者端末14−n(例えば、利用者端末14−1とする)にて実行された実行操作に基づいて、実行操作情報取得部22が当該実行操作に関する実行操作情報を取得する度に実行されることとする。また、処理ルール管理部20には予め複数の処理ルールが記憶されていることとする。
【0033】
まず、操作状況テーブル生成部26は、実行操作情報取得部22が取得した実行操作情報と、処理ルール管理部20に記憶されている処理ルールと、を取得する(S1)。そして、操作状況テーブル生成部26は、操作順番nに初期値1を設定し(S2)、処理S1で取得した処理ルールに含まれる操作順番n=1の設定操作と、処理S1で取得した実行操作情報に含まれる実行操作とが一致するか否かを判断する(S3)。
【0034】
処理S3の判断の結果、一致しないと判断された場合は、操作状況テーブル生成部26はS1以降の処理を繰り返す。処理S3の判断の結果、一致すると判断された場合は、操作状況テーブル生成部26は、一致する操作順番n=1の設定操作を有する処理ルールの操作順番n=1に、処理S1で取得した実行操作情報に含まれる操作日時を関連付ける(S4)。
【0035】
ここで、図7に示す操作状況テーブルを用いて具体的に説明する。操作状況テーブル生成部26が取得する実行操作情報を(実行操作、操作日時)と表記することとすると、処理S1で取得された実行操作情報は(A、日時1)となる。そして、処理ルールID=0002に含まれる3つの処理ルールバージョンの操作順番n=1(ここでは、0002−03、0002−02、0002−01とし、0001−03が最新の処理ルールバージョンとする)の設定操作と、処理S1で取得された実行操作情報(A、日時1)に含まれる実行操作と、が一致するか否かを判断する。なお、各処理ルールバージョンの操作順番n=1の設定操作は同じものになるので、いずれか1つの操作順番n=1の設定操作と比較すればよい。ここでは、操作状況テーブル生成部26は、実行操作及び設定操作が両者ともAで一致するので、0002−03、0002−02及び0002−01に日時1を関連付ける。
【0036】
次に、操作状況テーブル生成部26は、操作順番nに1を加算する(S5)。そして、操作状況テーブル生成部26は、最新バージョンの最後の設定操作の操作順番に1加算した値とnとが一致するか否かを判断する(S6)。
【0037】
処理S6の判断の結果、一致すると判断された場合は、処理S1以降の処理を実行する。そして、処理S6の判断の結果、一致しないと判断された場合は、実行操作情報取得部22から次の実行操作情報を取得する(S7)。操作状況テーブル生成部26は、処理S6で取得した実行操作情報に含まれる実行操作と、いずれかの処理ルールバージョンにおける操作順番nの設定操作と、が一致するか否かを判断する(S8)。
【0038】
処理S8の判断の結果、一致しないと判断された場合は、操作状況テーブル生成部26は、処理S7以降の処理を繰り返す。この場合は、操作状況テーブル生成部26が、処理S7で取得した実行操作情報に含まれる実行操作は、処理ルールに関連のない操作であると判断して次の実行操作情報を取得する。
【0039】
処理S8の判断の結果、一致すると判断された場合は、操作状況テーブル生成部26は、一致すると判断された処理ルールバージョンにおける操作順番nに、処理S7で取得した実行操作情報に含まれる操作日時を関連付ける(S9)。
【0040】
そして、実行操作情報正誤判定部27が、最新バージョンにおける操作順番nに操作日時が関連付けられているか否かを判断する(S10)。
【0041】
処理S10の判断の結果、最新バージョンにおける操作順番nに操作日時が関連付けられていると判断された場合は、操作状況テーブル生成部26は、処理S5以降の処理を繰り返す。なお、処理S8にて操作日時が関連付けられなかった処理ルールバージョンは、処理S5以降の処理において除外することとする。
【0042】
そして、処理S10の判断の結果、最新バージョンにおける操作順番nに操作日時が関連付けられていないと判断された場合は、実行操作情報正誤判定部27は、処理S7で操作状況テーブル生成部26が取得した実行操作情報に含まれる実行操作を操作ミスと判定する(S11)。つまり、実行操作情報正誤判定部27は、操作状況テーブルの操作順番n(n>1)において、最新バージョンに操作日時が関連づけられておらず、旧バージョンに操作日時が関連づけられている場合に、当該操作日時に対応する実行操作を操作ミスと判定する。
【0043】
具体的には、図7に示す操作状況テーブルにおいて、操作順番n=3までに操作状況テーブル生成部26が実行操作情報取得部22から取得した実行操作情報に含まれる実行操作は、全ての処理ルールバージョンの設定操作と一致するので、それぞれの処理ルールバージョンの操作順番に操作日時が関連付けられる。そして、操作順番n=4において、操作状況テーブル生成部26が実行操作情報取得部22から取得した実行操作情報は(G、日時4)となる。ここで、実行操作「G」は、処理ルールバージョンID=0002−02における操作順番n=4の設定操作と一致し、処理ルールバージョンID=0002−01、0002−03における操作順番n=4の設定操作とは一致しない。したがって、処理ルールバージョンID=0002−02における操作順番n=4に「日時4」が関連付けられる。そして、最新の処理ルールバージョン(0002−03)の操作順番n=4に操作日時が関連付けられておらず、最新より1つ前の処理ルールバージョン(0002−02)の操作順番n=4に操作日時が関連付けられているため、操作順番n=4において、操作状況テーブル生成部26が実行操作情報取得部22から取得した実行操作情報(G、日時4)に含まれる実行操作「G」は操作ミスと判定される。これにより、利用者端末14−1が、処理ルールバージョンが変更されたにもかかわらず、変更前の処理ルールバージョンの処理ルールに基づいて処理を実行しようとしていることを検出する。
【0044】
そして、通知部28が利用者端末14−1に対して、利用者端末14−1が実行した実行操作が操作ミスであること、または処理ルールバージョンが変更されたことを通知し(S12)、操作ミス検出処理を終了する。これにより、処理ルールバージョンが変更されたことを知らずに変更前の処理ルールバージョンの処理ルールに従って操作を実行している利用者に対して、処理ルールバージョンが変更されたことを通知する。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態では、情報処理装置12が利用者毎の処理ルールの定着度に基づいて操作ミス検出処理を実行することでより精度のよい操作ミスの検出を可能とするものである。図9は、第2実施形態における情報処理装置12の制御部により実行される主な機能の一例を示す機能ブロック図である。第2実施形態では、カウント部29、及び処理ルール定着度判定部30が備えられている点を除けば、第1実施形態と同様の構成となる。従って、第1実施形態と同等の構成には同符号を付し、その重複する説明は省略するものとする。
【0046】
カウント部29は、処理を実行した利用者毎に、処理を行った時点での最新の処理ルールバージョンにて一連の処理が完了した回数をカウントする。記憶部には、処理ルールバージョンID=jに基づく一連の処理が完了した回数を示すカウンタC(j)が記憶されることとする。カウンタC(j)の初期値は0であり、カウント部29は、新たな処理ルールが更新されるまでの間に、処理ルールバージョンID=jに基づいて一連の処理が完了するごとに処理を行った利用者のカウンタC(j)を1増加させる。そして、処理ルールが更新されると、カウント部29は、最新の処理ルールバージョンID=j+1における処理を行った利用者のカウンタC(j+1)を1増加させる。なお、処理ルールバージョンが更新された場合でも、最新の処理ルールバージョンID=j+1の一つ前のバージョンである処理ルールバージョンID=jのカウンタC(j)は削除せずに記憶したままとする。
【0047】
処理ルール定着度判定部30は、カウント部29が積算したカウンタC(j)の値に基づいて、処理ルールバージョンID=jの利用者への定着度を判定する。具体的には、処理ルール定着度判定部30は、カウンタC(j)の値が所定値以上(例えば、5以上)となる場合に処理ルールバージョンID=jの処理ルールが定着していると判定する。
【0048】
ここで、第2実施形態における情報処理装置12により実行される操作ミス検出処理の流れの一例を図10のフロー図を参照しながら説明する。
【0049】
まずS21〜S25の処理は図8のフロー図におけるS1〜S5の処理と同様であるから、この説明については重複するためここでは省略する。
【0050】
処理S26にて、操作状況テーブル生成部26が最新バージョンにおける最後の設定操作の操作順番に1を加算した値がnと一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合は、カウント部29が処理を行った利用者の最新バージョンのカウンタC(j)に1を加算する(S27)。
【0051】
また、S28〜S31までの処理は図8のフロー図におけるS7〜S10の処理と同様であるから、この説明については重複するためここでは省略する。
【0052】
処理S32にて、処理ルール定着度判定部30は、操作日時が関連付けられた処理ルールバージョンの処理ルールの利用者への定着度を判定する。そして、処理ルール定着度判定部30が、操作日時が関連付けられた処理ルールバージョンの処理ルールが定着していると判定した場合に、実行操作情報正誤判定部27は当該操作日時に対応する実行操作を操作ミスと判定する(S33)。そして、処理ルール定着度判定部30が、操作日時が関連付けられた処理ルールバージョンが定着していないと判定した場合には、実行操作情報正誤判定部27は当該操作日時に対応する実行操作を操作ミスとして検出せずに、操作ミス検出処理を終了する。なお、S34の処理は図8のフロー図におけるS12の処理と同様であるから、この説明については重複するためここでは省略する。
【0053】
これにより、利用者端末14−1を利用する利用者が、処理ルールバージョンが変更されたにもかかわらず、変更前の処理ルールバージョンに基づいて処理を実行しようとしていることを、変更前の処理ルールバージョンの定着度に基づいて判断する。つまり、変更前の処理ルールバージョンに含まれる操作を実行したとしても、その処理ルールバージョンが利用者に定着していない場合は、処理ルールが変更されたことを知らずに変更前の処理ルールバージョンに基づいて操作を実行しているのではなく、当該操作を意図して実行していると判断し、当該操作を操作ミスと判定しない。そして、利用者が変更前の処理ルールバージョンに含まれる操作を実行し、その処理ルールバージョンが利用者に定着している場合には、実行操作情報正誤判定部27は、利用者が処理ルールが変更されたことを知らずに変更前の処理ルールバージョンに基づいて処理を実行していると判断し、当該操作を操作ミスと判定する。
【0054】
また、実行操作情報正誤判定部27の実行操作情報の正誤判定の処理はこの例に限られない。例えば、処理S32にて、処理ルール定着度判定部30は、操作状況テーブル生成部26が操作日時を関連付けた処理ルールバージョンと、その他の処理ルールバージョンと、の処理ルールの利用者毎の定着度を判定する。そして、処理ルール定着度判定部30が、その他の処理ルールバージョンの処理ルールが利用者に定着していると判定し、操作状況テーブル生成部26が操作日時を関連付けた処理ルールバージョンの処理ルールは利用者に定着していないと判定した場合に、実行操作情報正誤判定部27は、当該操作日時に対応する実行操作を操作ミスと判定しないこととしてもよい。これにより、実行操作情報正誤判定部27は、処理ルールが変更される前に利用者に定着していた処理ルールバージョンとは異なり、かつ、処理ルールが定着していない処理ルールバージョンに基づく操作が実行されることを判断する。このような操作は、処理ルールが変更されたことを知らずに変更前の処理ルールに基づいて実行しようとする操作ではないと判断し、実行操作情報正誤判定部27は、当該操作を操作ミスと判定しない。
【0055】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、情報処理装置12と利用者端末14とが別体の装置である例について示したが、これらは一体の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 情報処理システム、12 情報処理装置、14 利用者端末、20 処理ルール管理部、22 実行操作情報取得部、26 操作状況テーブル生成部、27 実行操作情報正誤判定部、28 通知部、29 カウント部、30 処理ルール定着度判定部。
図1
図2
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図5
図6
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図8
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図10