特許第6156179号(P6156179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156179
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】クランプ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/06 20060101AFI20170626BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01F17/06 K
   H01F15/02 N
   H01F17/06 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-29441(P2014-29441)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2015-154040(P2015-154040A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椋野 潤一
(72)【発明者】
【氏名】林 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】北岡 賢一
【審査官】 堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−332475(JP,A)
【文献】 特開平10−064730(JP,A)
【文献】 特開2007−134628(JP,A)
【文献】 特開2009−213314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 27/02
H02G 3/30
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタから伸びる電線を覆う筒状部材の外周面に取り付けられるクランプであって、
前記筒状部材は、その外周面が筒軸方向に沿った蛇腹状とされるとともにその外周面に筒軸周りに沿った複数の溝が形成されており、
中空の筒状の本体部であって、相互に当接した状態で該本体部の筒軸方向の両端にそれぞれ環状の開口を形成する複数のケースからなり、該本体部の筒軸方向の両端において前記開口の各々の開口縁が断面視において先細状とされるとともに、前記開口縁が前記筒状部材の前記溝に夫々嵌り込むことで該筒状部材に保持される本体部と、
前記ケースの内部にそれぞれ収容され、筒状体を分割した複数の磁性体であって、相互に当接した状態での前記筒状体の内径が前記本体部の前記開口の各々の内径よりも大きい複数の磁性体と、
前記ケースと前記磁性体との間に介在する形でそれぞれ配された複数の緩衝材と、
を備えるクランプ。
【請求項2】
前記ケースの各々は、他の前記ケースと当接する当接面を有し、
前記磁性体の各々は、前記ケースの各々が相互に当接しない状態で、その一部が前記当接面よりも外側にはみ出すものとされる、請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記ケースと前記磁性体とのいずれか一方に他方側に突出する凸部が設けられるとともにいずれか他方に前記凸部と対向する凹部が設けられ、前記凸部と前記凹部とが凹凸嵌合することで前記磁性体が前記ケースに保持されている、請求項1または請求項2に記載のクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用の機器等において、コネクタから伸びる電線やケーブル等にコネクタを介して伝搬される電磁波ノイズを低減するための部材が知られている。例えば特許文献1には、磁性体であるフェライトコアが内部に収容されたフェライトコアホルダが開示されている。このフェライトコアホルダは、コネクタから伸びるケーブルに取り付けられることで、当該コネクタを介してケーブルに伝搬される電磁波ノイズを低減ないし除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−5751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたフェライトコアホルダは、コネクタの近傍に取り付けられるため、フェライトコアホルダの自重によってコネクタの重量が増加する。このため、コネクタの自重が他の部材に影響しないよう、コネクタの剛性を高めるべく、コネクタを大型化することが要求される。
【0005】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、コネクタを大型化することなく電磁波ノイズを効果的に低減ないし除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、コネクタから伸びる電線を覆う筒状部材の外周面に取り付けられるクランプであって、前記筒状部材は、その外周面が筒軸方向に沿った蛇腹状とされるとともにその外周面に筒軸周りに沿った複数の溝が形成されており、中空の筒状の本体部であって、相互に当接した状態で該本体部の筒軸方向の両端にそれぞれ環状の開口を形成する複数のケースからなり、該本体部の筒軸方向の両端において前記開口の各々の開口縁が断面視において先細状とされるとともに、前記開口縁が前記筒状部材の前記溝に夫々嵌り込むことで該筒状部材に保持される本体部と、前記ケースの内部にそれぞれ収容され、筒状体を分割した複数の磁性体であって、相互に当接した状態での前記筒状体の内径が前記本体部の前記開口の各々の内径よりも大きい複数の磁性体と、前記ケースと前記磁性体との間に介在する形でそれぞれ配された複数の緩衝材と、を備えるクランプに関する。
【0007】
上記のクランプによると、各ケースの内部にそれぞれ磁性体が収容されることで、本体部が筒状部材に保持された状態(各ケースが相互に当接した状態)では、本体部内において筒状部材の周りに磁性体が対向状に配されることとなる。このため、コネクタ及び筒状部材を介して伝搬されるノイズ源からの電磁波ノイズをクランプによって低減ないし除去することができる。このように既存のクランプを利用して電磁波ノイズを低減ないし除去することで、コネクタの近傍に電磁波ノイズを低減ないし除去するための部材を配することを回避できるため、コネクタの剛性等を高めなくともよく、コネクタの大型化を回避することができる。
【0008】
ここで、上記のクランプのように、クランプの各ケース内に磁性体がそれぞれ収容された構成では、各ケースを相互に当接した状態で各磁性体の間に隙間が生じることで、ノイズの低減効果または除去効果が低下することが懸念される。また、クランプに外部から衝撃が加わることで、各ケース内の磁性体が割れ、ノイズの低減効果または除去効果が低下することが懸念される。
【0009】
これに対し上記のクランプでは、各ケースが相互に当接した状態において、各磁性体が各緩衝材の反発力によって隣り合う磁性体側に押圧されるため、隣り合う磁性体同士が近接し、隣り合う磁性体の間に隙間が生じることを防止ないし抑制することができる。このため、当該隙間に起因してノイズの低減ないし除去効果が低下することを抑制することができる。さらに、ケースが外部から衝撃を受けた場合であってもその衝撃が緩衝材によって緩衝されるため、磁性体が割れることを防止ないし抑制することができ、ノイズの低減ないし除去効果が低下することを抑制することができる。このように緩衝材を備えることで、ノイズの低減ないし除去効果が低下することを抑制することができ、電磁波ノイズを効果的に低減ないし除去することができる。以上のように上記のクランプでは、コネクタを大型化することなく電磁波ノイズを効果的に低減ないし除去することができる。
【0010】
上記のクランプにおいて、前記ケースの各々は、他の前記ケースと当接する当接面を有し、前記磁性体の各々は、前記ケースの各々が相互に当接しない状態で、その一部が前記当接面よりも外側にはみ出すものとされてもよい。
【0011】
この構成によると、各ケースを相互に当接させる際に、各ケースの当接面が相互に当接するよりも先に各磁性体同士が当接するため、各ケースを相互に当接した状態で各磁性体の間に隙間が生じることを効果的に防止することができる。このため、磁性体によるノイズの低減効果が低下することを一層抑制することができる。
【0012】
上記のクランプにおいて、前記ケースと前記磁性体とのいずれか一方に他方側に突出する凸部が設けられるとともにいずれか他方に前記凸部と対向する凹部が設けられ、前記凸部と前記凹部とが凹凸嵌合することで前記磁性体が前記ケースに保持されていてもよい。
【0013】
この構成によると、外部からの衝撃等によってケースの内部から磁性体が外れてしまうことを防止ないし抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示される技術によれば、コネクタを大型化することなく電磁波ノイズを効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コネクタから伸びるコルゲートチューブの一部に実施形態のクランプが取り付けられた状態を示す側面図
図2】クランプの径方向に沿った断面を示す断面図
図3】クランプの筒軸方向に沿った断面を示す断面図
図4】分割された状態のクランプを正面から視た正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して実施形態を説明する。本実施形態では、図1に示すハーネスクランプ(クランプの一例)1を例示する。このハーネスクランプ1は、図1に示すように、車載用のコネクタ2から伸びるコルゲートチューブ(筒状部材の一例)4の外周面に取り付けられており、コルゲートチューブ4の一部を支持台(不図示)に対して支持するための支持部材として機能する。なお、以下では、図1乃至図4の紙面上下方向をコルゲートチューブ4及びハーネスクランプ1の上下方向とし、図1及び図3の紙面左右方向をコルゲートチューブ4及びハーネスクランプ1の長さ方向とする。
【0017】
コネクタ2は、図1に示すように、側面から視て略L字状をなしており、例えばハイブリッド自動車や電気自動車においてPCUケース6とバッテリー(不図示)との間を接続する部材である。略L字状をなすコネクタ2のうち、一方の接続側(図1の紙面下側)にはPCUケース6が接続されており、他方の接続側(図1の紙面右側)には短円筒状のゴムブーツ8を介して次述するコルゲートチューブ4が接続されている。
【0018】
コルゲートチューブ4は、樹脂製とされ、ゴムブーツ8を介してコネクタ2から円筒状をなして伸びるとともに、その外周面が筒軸方向に沿って蛇腹状をなしている。コルゲートチューブ4の両端部のうちゴムブーツ8と接続された側とは反対側の端部は、図示しないパイプハーネスに接続されている。このコルゲートチューブ4内には、コネクタ2から伸びる2本の電線(不図示)が通っている。このような構成では、PCUケース20がノイズ発生源となって、電磁波ノイズがコルゲートチューブ4等に伝搬される。
【0019】
続いてハーネスクランプ1の構成について詳しく説明する。ハーネスクランプ1は、樹脂製とされ、その外径がコルゲートチューブ4の外径よりも大きな中空の短円筒状の本体部10を備えている。本体部10の筒軸方向の両端には、それぞれ環状の開口10Aが形成されている。各開口10Aは、本体部10の筒軸周りに同心かつ同径で形成されており、その径がコルゲートチューブ4の外径とほぼ一致するものとされている。これにより本体部10には、その筒軸方向に沿って、一方の開口10Aから中空の本体部10を通って他方の開口10Aに至る貫通路が形成されている。ハーネスクランプ1は、本体部10に形成された貫通路内にコルゲートチューブ4が貫通された形でコルゲートチューブ4に取り付けられている。
【0020】
ハーネスクランプ1を構成する本体部10は、図4に示すように、上下に二分割されるようになっている。即ち本体部10は、半割状の2つのケース11,12からなっている。各ケース11,12は、それぞれ他方のケース11,12と当接する当接面11A,12Aを有しており(図4参照)、図3に示すように、相互に当接した状態で本体部10の筒軸方向の両端にそれぞれ上記開口10Aを形成する。本体部10は、その筒軸方向の両端において各開口10A内にコルゲートチューブ4の外周面を挟み込むとともに、各開口10Aの開口縁が蛇腹状をなすコルゲートチューブ4の外周面の溝に嵌り込むことで(図3参照)、コルゲートチューブ4に保持される。
【0021】
本体部10を構成する各ケース11,12には、それぞれ当接面11A,12Aの外側に、他方のケース11,12と弾性的に係合する係合部11B,12Bと、当該係合部11B,12Bに係合される被係合部11C,12Cと、が設けられている。これらの係合部11B,12B及び被係合部11C,12Cは、スナップフィット構造とされており、相互に係合されることで、両ケース11,12が相互に当接した状態で組み付けられて保持される。
【0022】
また、図2及び図4に示すように、本体部10の下側を構成する一方のケース11には、ハーネスクランプ1を上記支持台上に固定するための固定部11Hが当該ケース11の外周面から外側に張り出す形で設けられている。この固定部11Hには下側に開口する嵌合溝11H1が設けられており、この嵌合溝11H1が支持台上に設けられた図示しない嵌合リブと嵌合することで、ハーネスクランプ1が支持台上に固定され、コルゲートチューブ4が支持台に対して支持されるようになっている。
【0023】
各ケース11,12の内部には、図2及び図3に示すように、その略全域に亘ってフェライトコア(磁性体の一例)20がそれぞれ収容されている。各フェライトコア20は略同一形状とされ、内径が各開口10Aの径とほぼ等しい厚肉の筒状体を二分割した半割状とされている。このため、本体部10がコルゲートチューブ4に保持された状態(各ケース11,12が相互に当接した状態)では、本体部10内においてコルゲートチューブ4の周りにフェライトコア20が対向状に配されるようになっている(図2及び図3参照)。
【0024】
各フェライトコア20は、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化鉄等の酸化金属の粉体を成形して焼成した一般的に知られているフェライト材とされる。本実施形態のハーネスクランプ1では、上述したように本体部10がコルゲートチューブ4に保持された状態でコルゲートチューブ4の周りにフェライトコア20が対向状に配されることで、コネクタ2を介してコルゲートチューブ4に伝搬される電磁波ノイズを低減ないし除去することができる。なお各フェライトコア20の材料は、低減ないし除去したい電磁波ノイズの周波帯に応じて適宜選択することができる。
【0025】
各ケース11,12と各フェライトコア20の間には、図2乃至図4に示すように、両者の間の略全域に亘って介在する形で緩衝材30が配されている。緩衝材30の材料としては、樹脂ばね、ウレタン等を用いることができる。このように各ケース11,12と各フェライトコア20の間に緩衝材30が配されていることで、落下等によりハーネスクランプ1に外部から衝撃が加わった場合であっても、その衝撃が緩衝材30によって吸収され、各ケース11,12内に収容されたフェライトコア20が割れることを防止することができる。
【0026】
また、図4に示すように、各ケース11,12が相互に当接しない状態では、各フェライトコア20の一部が各ケース11,12の当接面11A,12Aからわずかにはみ出すようになっている。一方、各ケース11,12が相互に当接しない状態では、各緩衝材30は、圧縮されていない自然状態で、各ケース11,12と各フェライトコア20との間で両者と当接するようになっている。このため、各ケース11,12を相互に当接させる際、各ケース11,12の当接面11A,12Aが相互に当接するよりも先に各フェライトコア20の上記はみ出す部位同士が当接し、各フェライトコア20が相互に押圧されながら各緩衝材30が各フェライトコア20によって圧縮され、各ケース11,12の当接面11A,12Aが当接する(図2参照)。
【0027】
また、図3に示すように、各ケース11,12において、コルゲートチューブ4の外周面の溝に嵌り込む部位の近傍には、フェライトコア20側に向かって突出する凸部11S,12Sが設けられている。一方、各フェライトコア20において各ケース11,12の凸部11S,12Sと対向する部位には、当該凸部11S,12Sと凹凸嵌合可能な凹部20Tが設けられている。各フェライトコア20は、各ケース11,12内に収容された状態でその凹部20Tが各ケース11,12の凸部11S,12Sと凹凸嵌合され、これにより、各ケース11,12に保持されるようになっている。
【0028】
本実施形態のハーネスクランプ1は以上のような構成であるが、このような構成のハーネスクランプ1は、例えば中空とされた既存のハーネスクランプ1の内部に上記フェライトコア20及び上記緩衝材30を収容することで実現することもできる。このように既存のハーネスクランプ1を利用して電磁波ノイズを低減ないし除去することで、コネクタ2の近傍に電磁波ノイズを低減ないし除去するための部材を配することを回避できるため、コネクタ2の剛性等を高めなくともよく、コネクタ2の大型化を回避することができる。
【0029】
ここで、本実施形態のハーネスクランプ1のように、本体部10の各ケース11,12内にフェライトコア20がそれぞれ収容された構成では、各ケース11,12を相互に当接した状態で両フェライトコア20の間に隙間が生じることで、電磁波ノイズの低減効果または除去効果が低下することが懸念される。これに対し本実施形態のハーネスクランプ1では、上述したように、各ケース11,12を相互に当接させる際、各ケース11,12の当接面11A,12Aが当接するより先に各フェライトコア20が相互に押圧されて各緩衝材30が圧縮される。このため、各ケース11,12が相互に当接した状態では、各フェライトコア20が各緩衝材30の反発力(圧縮された状態からの復帰力)によって他方のフェライトコア20側に押圧されることとなる。
【0030】
本実施形態のハーネスクランプ1では、このように各フェライトコア20が他方のフェライトコア20側に押圧されることで、各フェライトコア20が互いに近接するため、各ケース11,12が相互に当接した状態において両フェライトコア20の間に隙間が生じることを防止することができる。また、本実施形態のハーネスクランプ1では、上述したように、緩衝材30によってフェライトコア20が割れることを防止ないし抑制することもできる。このため、両フェライトコア20の間に生じる隙間やフェライトコア20が割れることに起因して電磁波ノイズの低減ないし除去効果が低下することを抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態のハーネスクランプ1では、上述したように、各フェライトコア20が各ケース11,12に収容された状態で各ケース11,12に保持されるようになっているので、外部からの衝撃等によって各ケース11,12の内部からフェライトコア20が外れてしまうことを防止ないし抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態では、上述したように、既存のハーネスクランプ1を利用して電磁波ノイズを低減ないし除去できるので、フェライトコア20等を収容するための部材を別途用意する必要がなく、部材点数が増加することを抑制することができる。
【0033】
なお、コネクタの近傍に取り付けられる従来のフェライトコアの収容部材において仮にその内部に緩衝材を配した場合、当該収容部材の重量が増加し、コネクタの重量が増加することが懸念される。これに対し本実施形態では、フェライトコア20が収容されたハーネスクランプ1が、コネクタ2から離れた位置においてコネクタ2から伸びる電線を覆うコルゲートチューブ4の外周面に取り付けられるため、ハーネスクランプ1内に緩衝材30を収容してもコネクタ2の重量に影響を及ぼし難い。
【0034】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の実施形態では、各ケースが相互に当接しない状態で各フェライトコアの一部が各ケースの当接面よりも外側にはみ出すものとされた構成を例示したが、各ケースが相互に当接しない状態で各フェライトコアが各ケースの当接面からはみ出さない構成とされていてもよい。この場合であっても、緩衝材によって各ケース内のフェライトコアが割れることを防止ないし抑制できるので、電磁波ノイズの低減ないし除去効果が低下することを抑制することができる。
【0035】
(2)上記の実施形態では、ハーネスクランプが2つのケースから構成される例を示したが、ハーネスクランプが3つ以上のケースから構成されていてもよい。この場合、各ケース内にフェライトコアが収容されていてもよい。
【0036】
(3)上記の実施形態では、ハーネスクランプが円筒状とされた構成を例示したが、ハーネスクランプの形状については限定されない。ハーネスクランプが角筒状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0037】
(4)上記の実施形態では、筒状部材の一例としてコルゲートチューブを例示したが、参考例として、例えば上記の実施形態においてゴムブーツを筒状部材の一例とし、ハーネスクランプをゴムブーツに取り付けてもよい。
【0038】
(5)上記の実施形態では、ケースの一部に凸部が設けられるとともに、磁性体の一部に凹部が設けられ、両者が凹凸嵌合される構成を例示したが、ケースの一部に凹部が設けられるとともに、磁性体の一部に凸部が設けられ、両者が凹凸嵌合される構成であってもよい。または、凹凸嵌合以外の保持構造によって磁性体がケースに保持される構成であってもよい。または、磁性体をケースに保持するための保持構造を備えない構成であってもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…クランプ
2…コネクタ
4…コルゲートチューブ
6…PCUケース
8…ゴムブーツ
10…本体部
10A…開口
11,12…ケース
11A,12A…当接面
11B,12B…係合部
11C,12C…被係合部
11S,12S…凸部
11H…固定部
11H1…嵌合溝
20…フェライトコア
30…緩衝材
図1
図2
図3
図4