特許第6156185号(P6156185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6156185-端子付き電線 図000006
  • 特許6156185-端子付き電線 図000007
  • 特許6156185-端子付き電線 図000008
  • 特許6156185-端子付き電線 図000009
  • 特許6156185-端子付き電線 図000010
  • 特許6156185-端子付き電線 図000011
  • 特許6156185-端子付き電線 図000012
  • 特許6156185-端子付き電線 図000013
  • 特許6156185-端子付き電線 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156185
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】端子付き電線
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20170626BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20170626BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
   H01B7/00 306
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-32655(P2014-32655)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-159014(P2015-159014A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 高信
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 純一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 拓次
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−087848(JP,A)
【文献】 特開2009−187786(JP,A)
【文献】 特開2009−176547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 4/62
H01R 43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素線からなる芯線を有する電線と、前記芯線に接続された端子と、を備えた端子付き電線であって、
前記端子は、前記芯線が載置される底壁と、前記底壁から側方に突出すると共に前記芯線の外周に巻き付くように圧着される圧着部と、を備え、
前記圧着部は、前記電線の延びる延び方向の後端部寄りの位置に形成されると共に前記延び方向について後方に向かうに従って前記底壁から離間する後側傾斜部と、前記後側傾斜部よりも前記延び方向の前方に形成された圧縮部と、を備え、
前記後側傾斜部について、前記底壁から離間する方向への前記圧縮部からの突出長さ寸法BHの、前記延び方向の後方への圧縮部からの突出長さ寸法BLに対する比の値BH/BLは、0.20〜0.70であり、
前記延び方向についての前記圧縮部の長さ寸法Wは、0.50mm〜1.50mmである端子付き電線。
【請求項2】
前記後側傾斜部の傾斜角度θは、10°〜30°である請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記圧着部は上側金型と下側金型との間に挟まれることにより形成されるものであって、
前記後側傾斜部は、前記圧着部が前記芯線に圧着される際に、前記上側金型の下面に形成された後側傾斜面に当接した領域に形成されたものである請求項1または請求項2に記載の端子付き電線。
【請求項4】
前記圧着部には、更に、前記延び方向について前記圧縮部の前方に形成されると共に前記延び方向について前方に向かうに従って前記底壁から離間する前側傾斜部が形成されており、
前記前側傾斜部について、前記底壁から離間する方向への前記圧縮部からの突出長さ寸法FHの、前記延び方向の前方への圧縮部からの突出長さ寸法FLに対する比の値FH/FLは、0.20〜0.70である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記圧着部は上側金型と下側金型との間に挟まれることにより形成されるものであって、
前記前側傾斜部は、前記圧着部が前記芯線に圧着される際に、前記上側金型の下面に形成された前側傾斜面に当接した領域に形成されたものである請求項4に記載の端子付き電線。
【請求項6】
前記素線はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記芯線の断面積は0.05mm〜1.00mmである請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付き電線として特許文献1に記載のものが知られている。この端子付き電線は、電線と、電線から露出された芯線に接続された端子と、を備える。端子は、芯線の外周に巻き付くように圧着される圧着部を有する。この圧着部が芯線の外周に巻き付くように圧着されることにより、電線と端子とが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−272141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電線と端子との電気的な接続信頼性を向上させようとすると、圧着部を芯線に対して高圧縮状態で圧着することが考えられる。これにより、芯線の外周面に形成された酸化膜を剥がして芯線の金属表面を露出させることができる。この金属表面と圧着部とが接触することにより、電線と端子との間の電気抵抗を低減させることが期待された。
【0005】
しかし、上記のように圧着部を芯線に対して高圧縮状態で圧着すると、高圧縮された圧着部の端部と、芯線との境界部分において応力が集中し、芯線を構成する複数の素線の一部が断線しやすくなることが懸念された。すると、電線に引張力が加えられた場合において端子と電線との間の固着力が低下する虞がある。
【0006】
また、高圧縮された圧着部の端部と、芯線との境界部分に応力が集中することにより、電線に引張力が加えられた場合において、芯線の引張伸びが低下することが懸念された。芯線の引張伸びが低下すると、ワイヤーハーネスを配索する際の作業性が低下する虞があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電線と端子との間の固着力が向上され、又は、芯線の引張伸びが向上された端子付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の素線からなる芯線を有する電線と、前記芯線に接続された端子と、を備えた端子付き電線であって、前記端子は、前記芯線が載置される底壁と、前記底壁から側方に突出すると共に前記芯線の外周に巻き付くように圧着される圧着部と、を備え、前記圧着部は、前記電線の延びる延び方向の後端部寄りの位置に形成されると共に前記延び方向について後方に向かうに従って前記底壁から離間する後側傾斜部と、前記後側傾斜部よりも前記延び方向の前方に形成された圧縮部と、を備え、前記後側傾斜部について、前記底壁から離間する方向への前記圧縮部からの突出長さ寸法BHの、前記延び方向の後方への圧縮部からの突出長さ寸法BLに対する比の値BH/BLは、0.20〜0.70である。
【0009】
本発明によれば、圧着部の後側傾斜部において、後側傾斜部の前端部から後端部に向かって、芯線の圧縮状態は高圧縮状態から低圧縮状態へと緩やかに変化する。これにより、圧着部の後端部と芯線との境界部分において応力が集中することが抑制されるので、素線が断線することを抑制することができる。この結果、電線に引張力が加えられた場合に、電線と端子との間の固着力を向上させることができる。
【0010】
また、圧着部の後端部と芯線との境界部分において応力が集中することが抑制されることにより、芯線の引張伸びを向上させることができる。すると、端子付き電線の靱性が向上するので、電線に対して急激に引張力が加えられた場合でも、芯線が破断することが抑制される。この結果、複数の端子付き電線が束ねられたワイヤーハーネスを配索する際に、電線に引張力が作用しないように過度に気を付けて作業をしなくてもよいので、配索作業の効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0012】
前記後側傾斜部の傾斜角度θは、10°〜30°であることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、芯線の引張伸びを向上させることができる。
【0014】
前記圧着部は上側金型と下側金型との間に挟まれることにより形成されるものであって、前記後側傾斜部は、前記圧着部が前記芯線に圧着される際に、前記上側金型の下面に形成された後側傾斜面に当接した領域に形成されたものであることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、後側傾斜部を、所定の形状に確実に形成することができる。
【0016】
前記圧着部には、更に、前記延び方向について前記圧縮部の前方に形成されると共に前記延び方向について前方に向かうに従って前記底壁から離間する前側傾斜部が形成されており、前記前側傾斜部について、前記底壁から離間する方向への前記圧縮部からの突出長さ寸法FHの、前記延び方向の前方への圧縮部からの突出長さ寸法FLに対する比の値FH/FLは、0.20〜0.70であることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、電線と端子との間の固着力を向上させることができる。また、芯線の引張伸びを向上させることができる。
【0018】
前記圧着部は上側金型と下側金型との間に挟まれることにより形成されるものであって、前記前側傾斜部は、前記圧着部が前記芯線に圧着される際に、前記上側金型の下面に形成された前側傾斜面に当接した領域に形成されたものであることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、前側傾斜面を所定の形状に確実に形成することができる。
【0020】
前記素線はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0021】
素線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、素線の表面には強固な酸化膜が形成される。このため、芯線と圧着部とを確実に電気的に接続するためには、圧着部を芯線に高圧縮状態で圧着することが求められる。すると、素線が断線しやすくなってしまう。本明細書に開示された技術は、上記のような構成の端子付き電線において特に有効である。
【0022】
前記延び方向についての前記圧縮部の長さ寸法Wは、0.50mm〜1.50mmであることが好ましい。
【0023】
上記の態様によれば、電線と端子との間の固着力を向上させることができる。
【0024】
前記芯線の断面積は0.05mm〜1.00mmである。
【0025】
上記の態様に係る芯線は比較的に細いので、圧着部を高圧縮状態で芯線に圧着した場合に素線が断線しやすい。本明細書に開示された技術は、上記のような構成の端子付き電線において特に有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電線と端子との間の固着力が向上し、又は、芯線の引張伸びが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態1に係る端子付き電線を示す側面図
図2】上側金型と下側金型によってワイヤーバレルが形成される工程を示す側面図
図3】上側金型を示す模式図
図4】ワイヤーバレルの拡大側面図
図5】実施例5に係るS−S曲線
図6】比較例1に係るS−S曲線
図7】傾斜角度θに対する伸び量の変化を示すグラフ
図8】本発明の実施形態2に係る端子付き電線を示す側面図
図9】上側金型と下側金型によってワイヤーバレルが形成される工程を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態に係る端子付き電線10は、電線11の端末から露出する芯線12に雌端子13(端子に相当)が圧着されてなる。
【0029】
(電線11)
図1に示すように、電線11は、複数の素線14を撚り合せてなる芯線12と、この芯線12の外周を包囲する絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆15と、を備える。電線11の端末においては、絶縁被覆15が剥がされて、芯線12が露出している。芯線12は、必要に応じて任意の断面積のものを使用することができる。本実施形態に係る芯線12の断面積は、0.05mm以上1.00mm以下とされる。
【0030】
素線14は金属製であって、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。上記の銅合金には、CuMg合金が含まれる。本実施形態に係る素線14には、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。
【0031】
(雌端子13)
雌端子13は、金属板材を図示しない金型により所定の形状にプレス加工してなる。雌端子13を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。雌端子13の表面には図示しないメッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル、亜鉛等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態ではスズが用いられている。
【0032】
雌端子13は、電線11の延びる延び方向E(図1における左右方向)に細長く延びた形状をしている。雌端子13は、電線11の絶縁被覆15の外周を抱き込むようにかしめられるインシュレーションバレル16と、このインシュレーションバレル16に連なって芯線12が載置される底壁17と、この底壁17の両側部から突出すると共に芯線12の外周に巻き付くようにして芯線12を圧縮して芯線12に圧着されるワイヤーバレル18(圧着部に相当)と、を備える。
【0033】
延び方向Eについて底壁17の前方には、底壁17に連なって、図示しない雄端子に接続する接続部19が設けられている。
【0034】
詳細には図示しないが、接続部19は、雄端子の雄タブ(図示せず)が挿入される筒状をなしている。接続部19の内部には、弾性接触片(図示せず)が形成されており、この弾性接触片と、雄端子の雄タブとが弾性的に接触することにより、雄端子と雌端子13とが電気的に接続されるようになっている。
【0035】
本実施形態においては、雌端子13は筒状の接続部19を有する雌端子13としたが、これに限られず、雄タブを有する雄端子としてもよいし、また金属板材に貫通孔が形成されたいわゆるLA端子としてもよく、必要に応じて任意の形状の端子とすることができる。
【0036】
(ワイヤーバレル18)
ワイヤーバレル18は一対の板状をなしており、底壁17の側縁から、延び方向Eと交差する方向について両側に突出して形成されている。ワイヤーバレル18は、芯線12の外周に巻き付くようにかしめつけられている。ワイヤーバレル18には、芯線12と接触する面に、図示しないセレーションが形成されている。このセレーションが芯線12の外周と摺接することにより、芯線12とワイヤーバレル18とが電気的に接続されるようになっている。
【0037】
ワイヤーバレル18には、延び方向Eの後端部寄りの位置に、延び方向Eについて後方(図1における右方)に向かうに従って底壁17から離間する後側傾斜部20を備える。後側傾斜部20よりも延び方向Eの前方の位置には、圧縮部21が形成されている。圧縮部21の上縁は、側方から見て、底壁17と実質的に平行に延びて形成されている。圧縮部21よりも延び方向Eの前方の位置には、延び方向Eについて前方(図1における左方)に向かうに従って底壁17から離間する前側傾斜部22が形成されている。
【0038】
図2に示すように、ワイヤーバレル18は、上下一対に形成された上側金型23及び下側金型24に挟まれることにより、芯線12の外周に圧着されるようになっている。ワイヤーバレル18が芯線12に圧着される際には、下側に位置する下側金型24の上面には雌端子13の底壁17が載置されるようになっており、また、上側に位置する上側金型23の下面には、ワイヤーバレル18が当接するようになっている。
【0039】
図3に示すように、上側金型23の下面には、延び方向Eについて後端部寄りの位置に、電線11の延び方向Eについて後方に向かうに従って上方に傾斜する後側傾斜面25が形成されている。この後側傾斜面25がワイヤーバレル18と当接することにより、後側傾斜部20が形成されるようになっている。
【0040】
また、上側金型23の下面であって、後側傾斜面25よりも延び方向Eについて前方の位置には、延び方向Eに対して平行に延びる平坦部26が形成されている。この平坦部26がワイヤーバレル18と当接することにより、圧縮部21が形成されるようになっている。
【0041】
また、上側金型23の下面であって、平坦部26よりも延び方向Eについて前方の位置には、延び方向Eについて前方に向かうに従って上方に傾斜する前側傾斜面27が形成されている。この前側傾斜面27がワイヤーバレル18と当接することにより、前側傾斜部22が形成されるようになっている。
【0042】
図1及び図2に示すように、ワイヤーバレル18には、延び方向Eについて後側傾斜部20の後方の位置に、後側展延部28と、この後側展延部28よりも更に後方の位置に、後側残部29と、が形成されている。
【0043】
後側展延部28は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、下側金型24及び上側金型23によってワイヤーバレル18が展延されて、延び方向Eについて上側金型23の後方からはみ出すことにより形成される。後側展延部28は、延び方向Eについて後方に向かうに従って底壁17から離間するように形成されている。また、後側展延部28は上側金型23からはみ出して形成されるので、後側展延部28の形状を上側金型23及び下側金型24によって正確に制御することは難しい。この点で、後側傾斜部20と、後側展延部28とは区別される。
【0044】
後側残部29は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、ワイヤーバレル18のうち下側金型24及び上側金型23の間に挟まれずに残った部分である。このため、後側残部29は、下側金型24及び上側金型23によっては展延されていない。この点で、後側展延部28と後側残部29とは区別される。なお、図中、後側展延部28及び後側残部29は、説明の便宜上、やや誇張して表されている。
【0045】
一般的には、上記した後側展延部28と後側残部29とを合わせてベルマウス30Aと呼ばれることがある。上記したように、本実施形態に係る後側傾斜部20は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、後側傾斜面25がワイヤーバレル18と当接することにより形成される。このため、後側傾斜部20は、上側金型23から延び方向Eについて後方にはみ出して形成されたベルマウス30A(後側展延部28及び後側残部29)と明確に区別される。
【0046】
また、図1及び図2に示すように、ワイヤーバレル18には、延び方向Eについて圧縮部21の前方の位置に、前側展延部31と、この前側展延部31よりも更に前方の位置に、前側残部32と、が形成されている。
【0047】
前側展延部31は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、下側金型24及び上側金型23によってワイヤーバレル18が展延されて、延び方向Eについて上側金型23の前方からはみ出すことにより形成される。前側展延部31は、延び方向Eについて前方に向かうに従って底壁17から離間するように形成されている。また、前側展延部31は上側金型23からはみ出して形成されるので、前側展延部31の形状を上側金型23及び下側金型24によって正確に制御することは難しい。この点で、前側傾斜部22と、前側展延部31とは区別される。
【0048】
前側残部32は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、ワイヤーバレル18のうち下側金型24及び上側金型23の間に挟まれずに残った部分である。このため、前側残部32は、下側金型24及び上側金型23によっては展延されていない。この点で、前側展延部31と前側残部32とは区別される。なお、図中、前側展延部31及び前側残部32は、説明の便宜上、やや誇張して表されている。
【0049】
一般的には、上記した前側展延部31と前側残部32とを合わせてベルマウス30Bと呼ばれることがある。上記したように、本実施形態に係る前側傾斜部22は、下側金型24と上側金型23との間に挟まれることによりワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、前側傾斜面27がワイヤーバレル18と当接することにより形成される。このため、前側傾斜部22は、上側金型23から延び方向Eについて前方にはみ出して形成されたベルマウス30B(前側展延部31及び前側残部32)と明確に区別される。
【0050】
(後側傾斜部20の構成)
後側傾斜部20について、底壁17から上方へ離間する方向(図4における上方)への圧縮部21からの突出長さ寸法をBHとし、延び方向Eの後方(図4における右方)への圧縮部21からの突出長さ寸法をBLとしたとき、底壁17から離間する方向への突出長さ寸法BHの、延び方向Eの後方への突出長さ寸法BLに対する比の値BH/BLは、0.20〜0.70とされている。
【0051】
比の値BH/BLが0.20〜0.70とされることにより、後側傾斜部20の前端部から後端部に向かって、芯線12の圧縮状態は高圧縮状態から低圧縮状態に緩やかに変化するようになっている。これにより、ワイヤーバレル18の後端部と芯線12との境界部分において応力が集中することが抑制されるので、素線14が断線することを抑制することができるようになっている。この結果、電線11に引張力が加えられた場合に、電線11と雌端子13との間の固着力を向上させることができる。また、電線11に引張力が加えられた場合に、電線11と雌端子13との間の靱性を向上させることができる。
【0052】
比の値BH/BLが0.2よりも小さいと、後側傾斜部20が底壁17から離間する方向への突出高さが比較的に小さくなるので、後側傾斜部20において、芯線12の圧縮状態を緩やかに変化させることが困難になるので好ましくない。一方、比の値BH/BLが0.70よりも大きいと、後側傾斜部20において急激に芯線12の圧縮状態が変化するので、好ましくない。
【0053】
比の値BH/BLは、0.24〜0.67が好ましく、0.30〜0.53がより好ましく、0.32〜0.50が更に好ましく、0.40が特に好ましい。
【0054】
(前側傾斜部22の構成)
前側傾斜部22について、底壁17から上方へ離間する方向(図4における上方)への圧縮部21からの突出長さ寸法をFHとし、延び方向Eの前方(図4における左方)への圧縮部21からの突出長さ寸法をFLとしたとき、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHの、延び方向Eの前方への突出長さ寸法FLに対する比の値FH/FLは、0.20〜0.70とされている。
【0055】
比の値FH/FLが0.20〜0.70とされることにより、前側傾斜部22の後端部から前端部に向かって、芯線12の圧縮状態は高圧縮状態から低圧縮状態に緩やかに変化するようになっている。これにより、ワイヤーバレル18の前端部と芯線12との境界部分において応力が集中することが抑制されるので、素線14が断線することを抑制することができるようになっている。この結果、電線11に引張力が加えられた場合に、電線11と雌端子13との間の固着力を向上させることができる。また、電線11に引張力が加えられた場合に、電線11と雌端子13との間の靱性を向上させることができる。
【0056】
比の値FH/FLが0.2よりも小さいと、前側傾斜部22が底壁17から離間する方向への突出高さが比較的に小さくなるので、前側傾斜部22において、芯線12の圧縮状態を緩やかに変化させることが困難になるので好ましくない。一方、比の値FH/FLが0.70よりも大きいと、前側傾斜部22において急激に芯線12の圧縮状態が変化するので、好ましくない。
【0057】
比の値FH/FLは、0.24〜0.67が好ましく、0.30〜0.53がより好ましく、0.32〜0.50が更に好ましく、0.40が特に好ましい。
【0058】
(圧縮部21の構成)
延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは、0.50mm〜1.50mmであることが好ましい。
【0059】
長さ寸法Wの値が0.50mm以下であると、圧縮部21の長さ寸法が過度に小さくなってしまい、端子付き電線10のワイヤーバレル18の、底壁17からの高さ寸法であるクリンプハイトを安定して測定できなくなるので好ましくない。一方、長さ寸法Wの値が1.50mm以上であると、固着力が低下するので好ましくない。長さ寸法Wの値は、0.50mm〜1.00mmがより好ましく、1.00mmが特に好ましい。
【0060】
(傾斜角度)
図4に示すように、本実施形態においては、延び方向Eに対する後側傾斜部20の傾斜角度θは、10°〜30°に設定されている。傾斜角度θを10°〜30°とすることにより、芯線12の引張試験における伸び量が向上するので好ましい。
【0061】
傾斜角度θは、13.5°〜28.1°が好ましく、16.7°〜26.6°がより好ましく、17.7°〜21.8°が特に好ましい。
【0062】
本実施形態においては、前側傾斜部22の傾斜角度φは、10°〜30°に設定されている。傾斜角度φを10°〜30°とすることにより、芯線12の引張試験における伸び量が向上するので好ましい。
【0063】
傾斜角度φは、13.5°〜28.1°が好ましく、16.7°〜26.6°がより好ましく、17.7°〜21.8°が特に好ましい。
【0064】
本実施形態においては、後側傾斜部20の傾斜角度θと、前側傾斜部22の傾斜角度φは同じ値に設定されている。
【0065】
(端子付き電線10の製造工程の一例)
続いて、本実施形態に係る端子付き電線10の製造工程の一例について説明する。端子付き電線10の製造工程は以下の記載に限定されない。
【0066】
まず、金属板材を、図示しない金型を用いてプレス成形することにより雌端子13を形成する。
【0067】
続いて、電線11の絶縁被覆15を剥がして芯線12を露出させる。露出された芯線12を底壁17の上に載置し、且つ、絶縁被覆15をインシュレーションバレル16の上に載置した状態で、下側金型24と、上側金型23とによって上下方向から挟み付ける。これにより、ワイヤーバレル18及びインシュレーションバレル16を電線11に対して外側から圧着する。
【0068】
ワイヤーバレル18を芯線12に圧着すると、芯線12はワイヤーバレル18に押圧されて圧縮される。すると、芯線12を構成する素線14の表面に形成された酸化膜が剥がされる。このとき、ワイヤーバレル18にセレーションが形成されている場合には、セレーションが素線14と摺接することにより、素線14の表面に形成された酸化膜が効果的に剥がされる。
【0069】
素線14の表面に形成された酸化膜が剥がされると、素線14の金属表面が露出する。この金属表面とワイヤーバレル18とが接触することにより、芯線12と雌端子13とが電気的に接続される。
【0070】
一方、ワイヤーバレル18の上面においては、上側金型23の前側傾斜面27に当接する部分には前側傾斜部22が形成され、上側金型23の平坦部26に当接する部分には圧縮部21が形成され、上側金型23の後側傾斜面25に当接する部分には後側傾斜部20が形成される。
【0071】
なお、上側金型23の下面において、平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、後側傾斜部20の傾斜角θと同じ角度に設定されている。
【0072】
また、本実施形態においては、平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、前側傾斜部22の傾斜角φと同じ角度に設定されている。
【0073】
なお、本実施形態においては、上側金型23において、角度αと角度βは同じ角度に設定されている。
【0074】
また、ワイヤーバレル18のうち、ワイヤーバレル18を形成する工程において上側金型23の後端部から展延されてはみ出した部分は後側展延部28とされる。また、ワイヤーバレル18のうち、最初から上側金型23の後端部によって挟まれていない領域は、後側残部29とされる。
【0075】
同様に、ワイヤーバレル18のうち、ワイヤーバレル18を形成する工程において上側金型23の前端部から展延されてはみ出した部分は前側展延部31とされる。また、ワイヤーバレル18のうち、最初から上側金型23の前端部によって挟まれていない領域は、前側残部32とされる。上記のようにして、端子付き電線10が完成する。
【0076】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係る端子付き電線10は、複数の素線14からなる芯線12を有する電線11と、芯線12に接続された雌端子13と、を備え、雌端子13は、芯線12が載置される底壁17と、底壁17から側方に突出すると共に芯線12の外周に巻き付くように圧着されるワイヤーバレル18と、を備え、ワイヤーバレル18は、電線11の延びる延び方向Eの後端部寄りの位置に形成されると共に延び方向Eについて後方に向かうに従って底壁17から離間する後側傾斜部20と、後側傾斜部20よりも延び方向Eの前方に形成された圧縮部21と、を備え、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への突出長さ寸法BHの、延び方向Eの後方への突出長さ寸法BLに対する比の値BH/BLは、0.20〜0.70とされている。
【0077】
本実施形態によれば、ワイヤーバレル18の後側傾斜部20において、後側傾斜部20の前端部から後端部に向かって、芯線12の圧縮状態は高圧縮状態から低圧縮状態へと緩やかに変化する。これにより、ワイヤーバレル18の後端部と芯線12との境界部分において応力が集中することが抑制されるので、素線14が断線することを抑制することができる。この結果、電線11に引張力が加えられた場合に、電線11と端子との間の固着力を向上させることができる。
【0078】
また、ワイヤーバレル18の後端部と芯線12との境界部分において応力が集中することが抑制されることにより、芯線12の引張伸びを向上させることができる。すると、端子付き電線10の靱性が向上するので、電線11に対して急激に引張力が加えられた場合でも、芯線12が破断することが抑制される。この結果、複数の端子付き電線10が束ねられたワイヤーハーネスを配索する際に、電線11に引張力が作用しないように過度に気を付けて作業をしなくてもよいので、配索作業の効率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態においては、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは、0.50mm〜1.50mmとされる。これにより、電線11と雌端子13との間の固着力を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態においては、後側傾斜部20の傾斜角度θは、10°〜30°とされている。これにより、芯線12の引張伸びを向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、ワイヤーバレル18は上下一対の金型に挟まれることにより形成されるものであって、後側傾斜部20は、ワイヤーバレル18が芯線12に圧着される際に、金型のうち上側に位置する上側金型23の下面に形成された後側傾斜面25に当接した領域に形成されたものである。これにより、後側傾斜面25を、所定の形状に確実に形成することができる。
【0082】
また、本実施形態においては、圧着部には、更に、延び方向Eについて圧縮部21の前方に形成されると共に延び方向Eについて前方に向かうに従って底壁17から離間する前側傾斜部22が形成されており、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への突出長さ寸法FHの、延び方向Eの前方への突出長さ寸法FLに対する比の値FH/FLは、0.20〜0.70である。これにより、電線11と雌端子13との間の固着力を向上させることができる。また、芯線12の引張伸びを向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態においては、ワイヤーバレル18は上下一対の金型に挟まれることにより形成されるものであって、前側傾斜部22は、ワイヤーバレル18が芯線12に圧着される際に、金型のうち上側に位置する上側金型23の下面に形成された前側傾斜面27に当接した領域に形成されたものである。これにより、前側傾斜面27を、所定の形状に確実に形成することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、素線14はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。素線14がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、素線14の表面には強固な酸化膜が形成される。このため、芯線12とワイヤーバレル18とを確実に電気的に接続するためには、ワイヤーバレル18を芯線12に高圧縮状態で圧着することが求められる。すると、素線14が断線しやすくなってしまう。本明細書に開示された技術は、上記のような構成の端子付き電線10において特に有効である。
【0085】
また、本実施形態においては、芯線12の断面積は0.05mm以上1.00mmである。本実施形態に係る芯線12は比較的に細いので、ワイヤーバレル18を高圧縮状態で芯線12に圧着した場合に素線14が断線しやすい。本明細書に開示された技術は、上記のような構成の端子付き電線10において特に有効である。
【0086】
また、本実施形態においては、ワイヤーバレル18には、延び方向Eについて後側傾斜部20の後方の位置に後側展延部28が形成されている。後側展延部28は、ワイヤーバレル18が芯線12に圧着される工程において、上側金型23の後端部から展延されてはみ出すように形成される。これにより、後側展延部28の下面は、緩やかな曲面に形成されている。この結果、芯線12の圧縮状態を、高圧縮状態から緩やかに低圧縮状態に変化させることができるので、素線14が断線することを一層確実に抑制することができる。
【0087】
また、延び方向Eについて後側展延部28の更に後方には、後側残部29が形成されている。延び方向Eについてワイヤーバレル18の後端部に後側残部29を形成することにより、ワイヤーバレル18を芯線12に圧着する工程において、上側金型23の後端部が芯線12に直接に接触することが抑制される。これにより、上側金型23の後端部から芯線12に対して直接に力が加えられることが抑制される。この結果、ワイヤーバレル18を芯線12に圧着する工程において、素線14が切断されることを確実に抑制することができる。
【0088】
(実施例の説明)
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例により何ら限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
まず、上側金型23、及び下側金型24を作製した。図3に示すように、上側金型23の延び方向Eの長さ寸法をP、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法をQ、平坦部26の延び方向Eの長さ寸法をR、上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法をSとする。
【0090】
下側金型24の、延び方向Eについての長さ寸法は3.00mmとした。下側金型24の上面は平坦に形成した。
【0091】
上側金型23の下面には、延び方向Eについて前から順に、前側傾斜面27、平坦部26、及び後側傾斜面25を形成した。上側金型23の延び方向Eについての長さ寸法Pは3.00mmとした。であった。
【0092】
実施例1においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.30mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.25mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、13.5°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは0.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.25mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.30mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、13.5°とした。
【0093】
金属板材をプレス加工することにより所定の形状の雌端子13を作製した。
【0094】
電線11の端末において絶縁被覆15を剥がして、アルミニウム合金製の芯線12を露出させた。芯線12の断面積は、0.5mmであった。その後、露出した芯線12に対して、下側金型24及び上側金型23で挟むことにより、ワイヤーバレル18を圧着させた。
【0095】
実施例1に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.30mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.25mmであった。比の値BH/BLは0.24であった。
【0096】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.30mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.25mmであった。比の値FH/FLは0.24であった。
【0097】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは0.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは13.5°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは13.5°であった。
【0098】
(実施例2)
実施例2においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.30mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.00mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、16.7°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.00mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.00mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.30mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、16.7°とした。
【0099】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0100】
実施例2に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.30mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.00mmであった。比の値BH/BLは0.30であった。
【0101】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.30mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.00mmであった。比の値FH/FLは0.30であった。
【0102】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.00mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは16.7°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは16.7°であった。
【0103】
(実施例3)
実施例3においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.30mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、0.75mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、21.8°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、0.75mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.30mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、21.8°とした。
【0104】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0105】
実施例3に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.30mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは0.75mmであった。比の値BH/BLは0.40であった。
【0106】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.30mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは0.75mmであった。比の値FH/FLは0.40であった。
【0107】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは21.8°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは21.8°であった。
【0108】
(実施例4)
実施例4においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.40mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.25mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、17.75°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは0.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.25mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.40mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、17.7°とした。
【0109】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0110】
実施例4に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.40mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.25mmであった。比の値BH/BLは0.32であった。
【0111】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.40mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.25mmであった。比の値FH/FLは0.32であった。
【0112】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは0.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは17.7°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは17.7°であった。
【0113】
(実施例5)
実施例5においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.40mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.00mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、21.8°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.00mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.00mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.40mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、21.8°とした。
【0114】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0115】
実施例5に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.40mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.00mmであった。比の値BH/BLは0.40であった。
【0116】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.40mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.00mmであった。比の値FH/FLは0.40であった。
【0117】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.00mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは21.8°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは21.8°であった。
【0118】
(実施例6)
実施例6においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.40mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、0.75mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、28.1°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、0.75mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.40mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、28.1°とした。
【0119】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0120】
実施例6に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.40mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは0.75mmであった。比の値BH/BLは0.53であった。
【0121】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.40mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは0.75mmであった。比の値FH/FLは0.53であった。
【0122】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは28.1°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは28.1°であった。
【0123】
(実施例7)
実施例7においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.50mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.25mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、21.8°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは0.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.25mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.40mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、21.8°とした。
【0124】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0125】
実施例7に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.50mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.25mmであった。比の値BH/BLは0.40であった。
【0126】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.50mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.25mmであった。比の値FH/FLは0.40であった。
【0127】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは0.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは21.8°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは21.8°であった。
【0128】
(実施例8)
実施例8においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.50mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、1.00mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、26.6°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.00mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、1.00mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.50mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、26.6°とした。
【0129】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0130】
実施例8に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.50mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは1.00mmであった。比の値BH/BLは0.50であった。
【0131】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.50mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは1.00mmであった。比の値FH/FLは0.50であった。
【0132】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.00mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは26.6°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは26.6°であった。
【0133】
(実施例9)
実施例9においては、上側金型23の前端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Qは、0.50mmとした。前側傾斜面27は、上側金型23の延び方向Eについての前端部から、0.75mmまで後方に延びて形成した。平坦部26と前側傾斜面27とのなす角度βは、33.7°とした。平坦部26の延び方向Eについての長さ寸法Rは1.50mmとした。後側傾斜面25は、上側金型23の延び方向Eについての後端部から、0.75mmまで前方に延びて形成した。上側金型23の後端部において上方へ切り欠かれた長さ寸法Sは、0.50mmとした。平坦部26と後側傾斜面25とのなす角度αは、33.7°とした。
【0134】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0135】
実施例9に係る雌端子13においては、後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BHは0.50mmであり、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BLは0.75mmであった。比の値BH/BLは0.67であった。
【0136】
また、前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FHは0.50mmであり、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FLは0.75mmであった。比の値FH/FLは0.67であった。
【0137】
また、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wは1.50mmであった。また、後側傾斜部20の傾斜角度θは33.7°であり、前側傾斜部22の傾斜角度φは33.7°であった。
【0138】
(比較例1)
比較例1においては、上側金型23の下面は平坦に形成した。上側金型23の延び方向Eについての長さ寸法は3mmとした。
【0139】
上記以外は実施例1と同様にして雌端子13を作製した。
【0140】
比較例1に係る雌端子13においては、ワイヤーバレル18には、前側傾斜部22、及び後側傾斜部20は形成されていない。比較例1に係るワイヤーバレル18には、底壁17に平行に延びて形成された圧縮部21が形成されている。比較例1に係る圧縮部21の延び方向Eについての長さ寸法Wは3mmであった。
【0141】
(引張試験)
実施例1〜9、及び比較例1に係る端子付き電線10について、雌端子13と、電線11とを、それぞれ治具で把持し、引張試験を実施した。測定機器は、アイコーエンジニアリング株式会社製 MODEL−1605 II VLを用いた。引張速度は100mm/minであった。5個のサンプルに対して試験を行い、電線11と端子との間の固着力、伸び量を測定し、平均値を算出した。
【0142】
(結果と考察)
図5に、実施例5に係る5個のサンプルのうち、一のサンプルについてのS−S曲線を示す。引張試験が開始された初期においては、芯線12は弾性変形し、変位量が増大するに従って固着力は直線的に増大した。その後、芯線12は塑性変形し、変位に対する固着力の傾きは緩やかなものとなった。その後、芯線12は断線し、固着力は減少した。このとき、芯線12を構成する複数の素線14が1つずつ断線したために、固着力は段階的に減少した。
【0143】
実施例1〜4、及び6〜9についても、概ね実施例5と同様のS−S曲線が得られた。
【0144】
上記のように、実施例1〜9においては、芯線12は塑性変形した後に断線しており、芯線12は、いわゆる延性破壊の領域において断線している。
【0145】
また、図6に、比較例1に係る5個のサンプルのうち、一のサンプルについてのS−S曲線を示す。引張試験が開始された初期においては、芯線12は弾性変形し、変位量が増大するに従って固着力は直線的に増大した。そして、芯線12は、弾性変形領域において断線した。このため、比較例1においては、芯線12は塑性変形しなかった。すなわち、比較例1に係る端子付き電線10においては、芯線12は、いわゆる脆性破壊の領域において断線している。
【0146】
後側傾斜部20について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法BH、延び方向Eの後方への圧縮部21からの突出長さ寸法BL、及びこれらの比の値BH/BLと、電線11と端子との間の固着力と、を表1にまとめた。
【0147】
【表1】
【0148】
表1に示すように、比の値BH/BLが0.20〜0.70である実施例1〜9においては、電線11と端子との間の固着力は117N以上であった。これに対し、比較例1に係る端子付き電線10においては、固着力は106Nであった。このように、後側傾斜部20について、比の値BH/BLを0.20〜0.70に設定することにより、電線11と端子との間の固着力を117N以上に向上させることができる。
【0149】
比の値BH/BLは、固着力が117N以上となることから0.24〜0.67が好ましく、また、固着力が118N以上となることから0.30〜0.53がより好ましく、また、0.32〜0.50が更に好ましく、固着力が最大で127Nとなることから0.40が特に好ましい。
【0150】
前側傾斜部22について、底壁17から離間する方向への圧縮部21からの突出長さ寸法FH、延び方向Eの前方への圧縮部21からの突出長さ寸法FL、及びこれらの比の値FH/FLと、電線11と端子との間の固着力と、を表2にまとめた。
【0151】
【表2】
【0152】
表2に示すように、比の値FH/FLが0.20〜0.70である実施例1〜9においては、電線11と端子との間の固着力は117N以上であった。これに対し、比較例1に係る端子付き電線10においては、固着力は106Nであった。このように、前側傾斜部22について、比の値FH/FLを0.20〜0.70に設定することにより、電線11と端子との間の固着力を117N以上に向上させることができる。
【0153】
比の値FH/FLは、固着力が117N以上となることから0.24〜0.67が好ましく、また、固着力が118N以上となることから0.30〜0.53がより好ましく、また、0.32〜0.50が更に好ましく、固着力が最大で127Nとなることから0.40が特に好ましい。
【0154】
延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wと、電線11と端子との間の固着力と、を表3にまとめた。
【0155】
【表3】
【0156】
表3に示すように、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法Wが0.50mm〜1.50mmである実施例1〜9においては、電線11と端子との間の固着力は117N以上であった。これに対し、比較例1に係る端子付き電線10においては、固着力は106Nであった。このように、延び方向Eについての圧縮部21の長さ寸法を0.50mm〜1.50mmに設定することにより、電線11と端子との間の固着力を117N以上に向上させることができる。
【0157】
長さ寸法Wの値が0.50mm以下であると、圧縮部21の長さ寸法が過度に小さくなってしまい、端子付き電線10のワイヤーバレル18の、底壁17からの高さ寸法であるクリンプハイトを安定して測定できなくなるので好ましくない。一方、長さ寸法Wの値が1.50mm以上であると、固着力が低下するので好ましくない。長さ寸法Wの値は、固着力が120N以上となることから0.50mm〜1.00mmがより好ましく、最大で127Nとなることから、1.00mmが特に好ましい。
【0158】
後側傾斜部20の傾斜角θと、芯線12の伸び量について表4にまとめた。また、図7には、横軸を傾斜角度θとし、縦軸を伸び量としたグラフを示した。
【0159】
【表4】
【0160】
表4に示すように、後側傾斜部20の傾斜角度θが10°〜30°である実施例1〜8においては、引張試験における芯線12の伸び量が1.76%以上であった。これに対して、比較例1に係る端子付き電線10においては、伸び量は0.68%であった。
【0161】
傾斜角度θは、伸び量が1.76%以上となることから13.5°〜28.1°が好ましく、また、伸び量が2.27%以上となることから16.7°〜26.6°がより好ましく、また、伸び量が3.38%〜3.44%になることから、17.7°〜21.8°が特に好ましい。
【0162】
また、図7に示すように、伸び量は、後側傾斜部20の傾斜角度θが10°〜30°の領域において、傾斜角度θが0°である比較例1に比べて顕著に向上することが分かった。
【0163】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図8ないし図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る端子付き電線50においては、雌端子53に設けられたワイヤーバレル58の形状が実施形態1と異なっている。
【0164】
ワイヤーバレル58には、延び方向Eの後端部寄りの位置に、延び方向Eについて後方(図8における右方)に向かうに従って底壁57から離間する後側傾斜部60を備える。後側傾斜部60よりも延び方向Eの前方の位置には、圧縮部61が形成されている。圧縮部61の上縁は、側方から見て、底壁57と実質的に平行に延びて形成されている。
【0165】
図9に示すように、ワイヤーバレル58は、上下一対に形成された上側金型63及び下側金型64に挟まれることにより、芯線12の外周に圧着されるようになっている。ワイヤーバレル58が芯線12に圧着される際には、下側に位置する下側金型64の上面には端子の底壁57が載置されるようになっており、また、上側に位置する上側金型63の下面には、ワイヤーバレル58が当接するようになっている。
【0166】
図9に示すように、上側金型63の下面には、延び方向Eについて後端部寄りの位置に、電線11の延び方向Eについて後方に向かうに従って上方に傾斜する後側傾斜面65が形成されている。この後側傾斜面65がワイヤーバレル58と当接することにより、後側傾斜部60が形成されるようになっている。
【0167】
また、上側金型63の下面であって、後側傾斜面65よりも延び方向Eについて前方の位置には、延び方向Eに対して平行に延びる平坦部66が形成されている。この平坦部66がワイヤーバレル58と当接することにより、圧縮部61が形成されるようになっている。
【0168】
図8及び図9に示すように、ワイヤーバレル18には、延び方向Eについて後側傾斜部60の後方の位置に、後側展延部68と、この後側展延部68よりも更に後方の位置に、後側残部69と、が形成されている。
【0169】
また、図8及び図9に示すように、ワイヤーバレル58には、延び方向Eについて圧縮部61の前方の位置に、前側展延部71と、この前側展延部71よりも更に前方の位置に、前側残部72と、が形成されている。
【0170】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0171】
本実施形態によれば、延び方向Eについてワイヤーバレル58の前端部寄りの位置にまで圧縮部61を形成することができる。これにより、電線11と雌端子53との電気抵抗を低減させることができる。
【0172】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0173】
(1)本実施形態においては、接続部19を有する雌端子13が電線11に接続される構成としたが、これに限られず、電線11には、相手側端子との接続部19を有しない、いわゆるスプライス端子が接続される構成としてもよい。スプライス端子においては、複数の電線11がワイヤーバレル18によって電気的に接続される構成とすることができる。
【0174】
(2)本実施形態においては、ワイヤーバレル18は底壁17の両側縁から側方に突出する構成としたが、これに限られず、ワイヤーバレル18は底壁17の一方の側縁からのみ突出する構成としてもよい。
【0175】
(3)実施形態1においては、後側傾斜部20の傾斜角度θと、前側傾斜部22の傾斜角度φとが同じ角度に設定されていたが、これに限られず、傾斜角度θと傾斜角度φとが異なる角度に設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0176】
10,50:端子付き電線
11:電線
12:芯線
13,53:雌端子(端子)
14:素線
17,57:底壁
18,58:ワイヤーバレル(圧着部)
20,60:後側傾斜部
21,61:圧縮部
22:前側傾斜部
23,63:上側金型
25,65:後側傾斜面
27:前側傾斜面
θ:傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9