(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方向回転許容機構部の連結部が前記トルク入力部に対して着脱自在に連結されて、前記トルク伝達部、前記トルク入力部、及び前記ベース部材を含む連結器具と、前記手押しハンドルとが分離可能となっている請求項1または請求項2に記載の車両手押し移動補助具。
複数の前記トルク伝達部は、前記ベース部材の裏面に設けられるとともに前記締結部材であるハブナットに嵌合する嵌合部材である請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の車両手押し移動補助具。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の車両手押し移動補助具を具体化した一実施形態について
図1〜
図6を参照して説明する。
【0015】
図1(a)、
図1(b)は、本実施形態の
図6に示す車両手押し移動補助具10の手押しハンドル20を示している。
図1(a)、
図1(b)に示すように、手押しハンドル20は、基端側に設けられたラチェットレンチ部22と、ラチェットレンチ部22に連結された操作ロッド23とを有する。ラチェットレンチ部22は一方向回転許容機構部の一例である。
【0016】
図1(a)、
図1(b)に示すように、ラチェットレンチ部22は、ハンドル杆24と、ハンドル杆24の先端に設けられたヘッド26とを備えている。
ヘッド26に設けられた図示しない収納空間内に、公知の図示しないラチェット機構が収納されている。前記ラチェット機構は、例えば、周面に垂直の歯を複数有するラチェットホイールが前記収納空間内に回転自在に嵌合されており、前記ラチェットホイールの脇側に、図示しない歯止め爪が回転可能に配置された構成とされている。前記歯止め爪は、その両端に1つ又は2つの歯を有する。ヘッド26の表面には反転レバー28が正転位置または反転位置のいずれかの選択位置に選択操作可能に設けられている。
【0017】
そして、反転レバー28の選択位置に応じて前記歯止め爪の位置が切替えられて、前記歯止め爪のいずれか一端の歯が前記ラチェットホイールの歯と噛合した状態のとき、ラチェットレンチ部22の駆動方向が決定される。なお、駆動方向とは、ハンドル杆24を、後述する駆動突起30の周りで回したときにラチェットホイールを一体に回す方向のことである。なお、前記ラチェット機構は、各種の公知の構成があるが、いずれの構成であってもよい。
【0018】
前記ヘッド26の一側面には、前記ラチェットホイールに連結されて外部に突出した駆動突起30が設けられている。駆動突起30は四角柱状に形成されている。駆動突起30は連結部の一例である。駆動突起30は四角柱状に限定するものではなく、他の多角柱状としてもよく、或いは、断面非円形形状、例えば断面楕円形状であってもよい。また、ラチェットレンチ部22は、低トルクのものよりも高トルクを発揮するものが、車両を移動させるために好ましい。例えば、高トルクのものとしては700N・mのものがあるが、この数値に限定されるものではない。
【0019】
図1(b)に示すようにハンドル杆24の上端は、操作ロッド23の下端部に設けられた嵌合孔23a内に対して着脱自在に嵌入されている。操作ロッド23の上端部には握り部25が設けられるとともに、前記上端部から支持片27が上方に延びて突出されている。
図1(a)、
図1(b)に示すように支持片27には、ローラー29が回動自在に軸支されている。
【0020】
手押しハンドル20の長さは、
図6に示すように、使用時に、すなわち、自動車の車輪140に車両手押し移動補助具10が取付けられて大人の作業者が握り部25を把持した際に、作業者の立ち姿勢での作業が可能な長さに設定されている。立ち姿勢での作業が可能な長さは、例えば、1m程度の長さを挙げることができるが、この数値に限定されるものではない。なお、作業者の身長が異なる場合は、作業者の身長に対応した長さを有する操作ロッド23を使用するようにしてもよい。
【0021】
図2(a)、
図2(b)は本実施形態の車両手押し移動補助具10の連結器具40を示している。連結器具40は、ベース部材50と、ベース部材50の裏面に設けられた複数のトルク伝達部60と、ベース部材50の表面に設けられたトルク入力部70を有する。
【0022】
ベース部材50は、剛性を有する材質から形成されている。前記材質としては、合成樹脂、或いは金属が好ましいが、剛性を備えていれば限定するものではない。本実施形態では、ベース部材50は、円板状に形成されているが、四角板状、多角板形状でもよく、また、これらの形状に限定されるものではなく、例えばブロック状であってもよい。
【0023】
図2(b)に示すようにトルク伝達部60は、ベース部材50の平面をなす裏面に対して直交するように立設された円筒状の筒部62を有する。
図5に示すように筒部62の先端には、嵌合孔65が形成されている。
【0024】
筒部62は、ベース部材50と同様に剛性を有する材質から形成されている。筒部62の嵌合孔65の内周面及び筒部62の外周面にはゴム等の筒状の緩衝材63が同心円状に積層されている。緩衝材63は、後述するハブナット100、取付孔120に傷を付けない材質であれば、非弾性材であってもよい。また、緩衝材63をゴム等の弾性材としてもよい。
【0025】
また、筒部62の内周面側に設けられた緩衝材63は、車輪140(
図5参照)のハブナット100を嵌入可能な大きさの内径を有する。前記トルク伝達部60は、ハブナット100を嵌合する嵌合部材に相当する。
【0026】
なお、
図5に示すように車両のアクスル110の端部にはハブ112が固定され、ハブ112には、ディスクホイール114のディスク部116が複数のハブボルト118及び複数の前記ハブナット100により締結固定されている。
図5において、ハブ112とディスク部116間には、ブレーキ装置のディスクロータ119が介在して配置され、前記ディスク部116とともに前記複数のハブボルト118及び複数の前記ハブナット100により共締めされている。
【0027】
ハブボルト118及びハブナット100は締結部材に相当する。
複数のハブボルト118及び複数の前記ハブナット100は、アクスル110の軸心の周りで、相互に等角度となるように分散配置されている。ディスク部116の周囲には図示しない円筒状のリム部が設けられてタイヤ130(
図3参照)が装着されている。
【0028】
図5に示すようにディスク部116の表面は、前記ハブナット100の外径よりも大きな段部付の取付孔120が形成されている。本実施形態では、ハブナット100及びハブボルト118の個数は、それぞれ5個としている。
【0029】
前記筒部62は、前記ハブナット100の個数と同じ個数分設けられている。そして、各筒部62は、各ハブナット100に対して嵌合できるように、ベース部材50の中心から等距離を有するように離間するとともに前記中心を基準にして等角度に配置されている。前記筒部62の外周面側に設けられた緩衝材63は、前記取付孔120に対して嵌入可能な外径を有する。
【0030】
図2(a)に示すようにトルク入力部70はベース部材50の表面の中心において、筒部62が延びる方向とは反対側方向に延びるように立設されている。トルク入力部70はベース部材50と同様に剛性を有する材質から、ソケットとして形成されており、その先端面には嵌合孔72が形成されている。
【0031】
嵌合孔72は、前記手押しハンドル20のラチェットレンチ部22の駆動突起30が、着脱自在に嵌入可能、かつ、駆動突起30の周りで相対回動不能な断面形状を有する。本実施形態では、駆動突起30が四角柱形状であるため、嵌合孔72は断面四角形状に形成されている。
【0032】
図2(a)、
図2(b)に示すようにベース部材50において、トルク入力部70を挟む部位のそれぞれには、一対を一組とする2組のスリット52、54がそれぞれ貫通して形成されている。各組のスリット52、54には、ベルト56が挿通されている、各ベルト56には、その両端に差し込みバックル(すなわち、留め具)57,58が取付けられるとともに、各ベルト56の適宜の部位には、長さ調節バックル59が取付けられている。
【0033】
前記ベルト56、差し込みバックル57、58は、ベース取付部材に相当する。なお、ベース部材50をディスクホイール114に対して固縛する際に、ベルト56の長さが適切な長さを有しているのであれば、長さ調節バックル59を省略してもよい。
【0034】
(実施形態の作用)
上記のように構成された車両手押し移動補助具10の使用方法を説明する。
図3に示す車両の車輪140に対して、作業者は、
図4及び
図5に示すように連結器具40を取付ける。具体的には、
図5に示すように、作業者は、連結器具40のトルク伝達部の各筒部62を、各取付孔120内に嵌入して、筒部62の嵌合孔65内にハブナット100を嵌合する。このとき、筒部62の内周面及び外周面がそれぞれ緩衝材63を介してハブナット100及び取付孔120の内周面に当接する。従って、後の操作時において、ハブナット100及び取付孔120に傷がつくことはない。そして、この状態で、作業者は、
図2(a)、
図2(b)に示すベルト56をディスクホイール114のホイールスポーク部114a間に通して、ベース部材50をディスクホイール114に固縛する。なお、作業者は、ベルト56の長さを、長さ調節バックル59を利用して予め適宜の長さに設定しておき、差し込みバックル57、58を相互に連結することによりベルト56を固縛する。このベース部材50が固縛された状態では、
図5に示すように、連結器具40のトルク入力部70はアクスル110の軸心O、すなわち、車輪140の軸心と同軸上に配置される。
【0035】
次に、
図5に示すように、作業者はラチェットレンチ部22の駆動突起30をトルク入力部70の嵌合孔72に嵌合することにより、手押しハンドル20を連結器具40のベース部材50に対して取付ける。
【0036】
この状態で、車両150を前進させたい場合、ラチェットレンチ部22の反転レバー28(
図1(a)参照)を正転位置に設定した後、
図6に示すように作業者は、操作ロッド23の前後方向の揺動操作を繰返す。
【0037】
操作ロッド23の前後方向の揺動操作がされると、駆動突起30は、操作ロッド23が前側に操作されたときのみ、トルク入力部70に回転トルクを付与する。前記回転トルクは、ベース部材50、トルク伝達部60を介してディスク部116に伝達される。この結果、ディスクホイール114、すなわち車輪140が回転することにより車両150が前進する。なお、車両150の操舵は、手押しハンドル20を操作する作業者とは別の作業者が運転者側のドア窓からステアホイールを操作することにより行う。
【0038】
連結器具40は、車輪140に対してベルト56、差し込みバックル57、58にて固縛されているため、手押しハンドル20の手押し操作の際に脱落することはない。
車両150を後進させたい場合は、ラチェットレンチ部22の反転レバー28(
図1(a)参照)を反転位置に設定した後、
図6に示すように作業者は、操作ロッド23の前後方向の揺動操作を繰返す。
【0039】
操作ロッド23の前後方向の揺動操作がされると、駆動突起30は、操作ロッド23が後側に操作されたときのみ、トルク入力部70に回転トルクを付与する。前記回転トルクは、ベース部材50、トルク伝達部60を介してディスク部116に伝達される。この結果、ディスクホイール114、すなわち車輪140が回転することにより車両150が後進する。なお、車両150の操舵は、手押しハンドル20を操作する作業者とは別の作業者が運転者側のドア窓からステアホイールを操作することにより行う。
【0040】
なお、上記のように手押しハンドル20の前後方向の揺動操作中に、誤って作業者が手押しハンドル20から手を離す場合がある。この場合、操作ロッド23の上端は、床面、或いは路面上に落下する。このとき車両150が惰性で移動しているとすると、操作ロッド23の上端が、移動中の車両150に引張られて、或いは押されて移動することになる。この場合、操作ロッド23の上端はローラー29を有するため、床面又は路面の凹凸で引っかかる虞はない。なお、仮にローラー29がない場合は、操作ロッド23の上端が床面又は路面の凹凸に引っかかった後に引っかかりが解除されるとその反動で上方に勢いよく跳ね飛ぶ虞がある。本実施形態では、前記ローラー29が前記凹凸を乗り越えるため、このような事態はない。
【0041】
車両150の移動が終了した場合、作業者は手押しハンドル20の駆動突起30を車輪140のトルク入力部70から外す。この後、作業者は各ベルト56の差し込みバックル57、58の連結を解除して、連結器具40をディスクホイール114から外す。
【0042】
(実施例)
因みに、従来例では、ミニバンクラスの車両を作業者が2人で手押しした場合、手押し荷重は、最大400N/1人となった。
【0043】
上記実施形態の実施例として、700N・mのラチェットレンチ部22で長さ1mの手押しハンドル20で同じミニバンクラスの車両を手押しした場合、操作荷重は最大110N/1人であった。すなわち、本実施例では、1人の作業者が行う手押し作業で、車両を容易に移動することを確認できた。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の車両手押し移動補助具10は、車輪のディスクホイールに取付けられるベース部材50と、その裏面に設けられた複数のトルク伝達部60を備える。前記複数のトルク伝達部60は、ハブ112に車輪のディスクホイール114を連結する複数のハブナット100(締結部材)に対して着脱自在に取付けられるとともに、ハブ112にトルク伝達を行う。
【0045】
また、ベース部材50の表面には、トルク入力部70を備える。トルク入力部70は、トルク伝達部60がハブナット100(締結部材)に対して取付けられた際、車輪140の軸心Oと同軸上に位置する。また、車両手押し移動補助具10は、トルク入力部70に連結される駆動突起30(連結部)を有するとともに、一方向への回転を許容して反対方向への回転が不能なラチェットレンチ部22と、ラチェットレンチ部22に連結された操作ロッド23とを有する手押しハンドル20を備える。そして、車両手押し移動補助具10は、手押しハンドル20に手押し操作がされると、ラチェットレンチ部22により許容された回転方向の回転トルクにて車輪140が装着された車両150の移動が行われる。この結果、本実施形態によれば、車両の手押しをする場合に、作業者の負荷を軽減できるとともに容易に車両に装着できる。
【0046】
(2)本実施形態の車両手押し移動補助具10では、ベース部材50を車輪140に対して取り外し可能に取付けするベルト56、差し込みバックル57、58、及び長さ調節バックル59(ベース取付部材)が、ベース部材50に設けられている。
【0047】
この結果、本実施形態によれば、ベース取付部材にて、ベース部材を車輪のディスクホイールに対して取付けることができ、操作時の脱落を防止することができる。
(3)本実施形態の車両手押し移動補助具10では、ラチェットレンチ部22の駆動突起30(連結部)がトルク入力部70に対して着脱自在に連結されている。そして、トルク伝達部60、トルク入力部70、及びベース部材50を含む連結器具40と、手押しハンドル20とが分離可能となっている。
【0048】
この結果、本実施形態によれば、不使用の場合には、連結器具40と手押しハンドル20とを分離することにより、長さを短くすることができ、コンパクト化が可能である。
(4)本実施形態の車両手押し移動補助具10の手押しハンドル20は、作業者の立ち姿勢での作業が可能な長さを有する。この結果、本実施形態によれば、作業者が立ち姿勢での作業で、手押しハンドル20の操作を楽に行うことができ、作業負荷の軽減をすることができる。
【0049】
(5)本実施形態の車両手押し移動補助具10において、複数のトルク伝達部60は、ベース部材50の裏面に設けられるとともに締結部材であるハブナット100に嵌合する嵌合部材としている。この結果、本実施形態によれば、トルク伝達部60をハブナットに嵌合するだけで、使用時にトルク伝達部から、ハブナットを介して車輪に回転トルクを伝達できる。
【0050】
(6)本実施形態の車両手押し移動補助具10の手押しハンドル20には、前記手押しハンドル20が手放された際、床面又は路面に接地して回転するローラー29が設けられている。
【0051】
この結果、本実施形態によれば、操作中において、誤って作業者が手押しハンドルを手から離した際、移動中の車両によって車両手押し移動補助具10が移動しても床面又は路面に接地したローラー29は転がるため、手押しハンドルが床面又は路面の凹凸に引っかかることがない。すなわち、操作ロッドが跳ね飛ぶ虞がない。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図8(a)、
図8(b)を参照して説明する。なお、第1実施形態の車両手押し移動補助具10と同一構成及び相当する構成については、同一符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。なお、
図8(a)及び
図8(b)では、説明の便宜上、ベルト56、差し込みバックル57、58、及び長さ調節バックル59は、省略しているが、第1実施形態と同様にあるものと理解されたい。
【0053】
本実施形態では、
図8(a)、
図8(b)に示すように、トルク伝達部60が、トルク入力部70を基点とする放射方向に位置調節自在に設けられているところが第1実施形態と異なっている。
【0054】
すなわち、ベース部材50には複数の取付孔80が前記放射方向に延びるように長孔状に透設されている。各取付孔80は、隣接する他の取付孔80に対して等角度に離間して配置されている。
図8(a)に示すように各筒部62は、その基端面に設けられた雄ネジ82が各取付孔80からベース部材50の表面側に向けて突出されるとともにナット84が螺合されることにより、ベース部材50に対して取付けられている。
【0055】
また、雄ネジ82に対するナット84の締付けを緩めることにより、前記筒部62は、放射方向に位置の調整が可能となっている。
図8(a)、
図8(b)の一点鎖線で示す複数の円は、トルク入力部70を中心とする異なる径を有する同心円である。これら一点鎖線のそれぞれが車輪の種類に応じたハブナット100の車輪の放射方向(すなわち、径方向)の位置を示すものである。
【0056】
従って、ベース部材50の取付孔80と前記一点鎖線と交差する部位にそれぞれ筒部62の取付位置の印を付しておけば、その印を目印に筒部62の取付け位置を決定することが可能となる。勿論、前記印は必須の構成ではなく省略してもよい。
【0057】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の車両手押し移動補助具10は、トルク伝達部60(嵌合部材)は、ベース部材50に対して、トルク入力部70を基点とする放射方向において位置調整自在に取付けられている。この結果、本実施形態によれば、トルク伝達部60(嵌合部材)の位置を調整することにより、ハブに対して車輪のディスクホイールを連結する締結部材(ハブボルト)の位置が異なっている場合に対応してベース部材を取付けることができる。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態を、
図9を参照して説明する。
本実施形態では、第1実施形態の構成中、筒部62、緩衝材63がそれぞれ省略されている代わりに、各ハブボルト118に相対するとともに、ハブボルト118が挿通可能な貫通孔53が設けられているところが異なっている。また、ベース部材50から突出したハブボルト118の突出端にハブナット100が螺合されて、ベース部材50とディスク部116とがハブ112に対して共締めされることにより、連結器具40がハブ112に取付けられるところが異なる。従って、本実施形態では、ベルト56、差し込みバックル57、58、長さ調節バックル59、及びスリット52、54を省略できる。他の車両手押し移動補助具10の構成は、第1実施形態と同様である。なお、連結器具40の取り外しは、ハブナット100をハブボルト118から螺退することにより行う。
【0059】
上記の構成によっても、車両の手押しをする場合に、作業者の負荷を軽減できるとともに容易に車両に装着できる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
【0060】
・前記実施形態では、トルク入力部70と駆動突起30とが分離可能に設けられていたが、トルク入力部70と駆動突起30とを分離不能に一体に設けてもよい。
・前記実施形態では、ハブナット100及びハブボルト118の個数は、それぞれ5個としているが、車両によってはハブナット及びハブボルトの個数が4個、6個等のものがある。また、ハブナット及びハブボルトのアクスルの軸心からの距離も、車両の大きさ、種類によって異なる。そのような場合はハブナット100及びハブボルト118の個数に応じて、或いは、前記アクスルの軸心からの距離に応じてトルク伝達部60を設ければよい。
【0061】
・前記実施形態では、トルク入力部70を嵌合孔72を有するソケットとして形成した。この代わりに、ラチェットレンチ部22の駆動突起30に前記ソケットを装着して、ラチェットレンチ部22をソケットレンチとして構成してもよい。この場合、前記ソケットにおいて、駆動突起30とは反対側の先端面に、断面多角形状、或いは、断面非円形形状、例えば断面楕円形状の嵌合孔が設けられている。そして、ベース部材50の表面側には、トルク入力部70として、前記ソケットの先端面の嵌合孔に対して着脱自在に嵌合するとともに、前記嵌合孔の軸心の周りで相対回動不能な断面形状を有する突起部を設ければよい。
【0062】
・前記実施形態では、ベルト56、差し込みバックル57、58、及び長さ調節バックル59を、ベース取付部材としたが、ベース取付部材は、この構成に限定するものではない。例えば、ベルト56と、ベルト56の両端に設けられたオス及びメスの面ファスナとにより構成してもよい。この場合、前記ベルトには長さ調節バックルを有していてもよい。
【0063】
・また、例えば、ディスクホイール114が鉄製の場合は、ベース部材50にベース取付部材としての磁石を取付け固定して、ベース部材50をこの磁石を介してディスクホイール114に対し着脱自在に取付けるようにしてもよい。
【0064】
・前記実施形態において、一方向回転許容機構部をラチェットレンチ部22としたが、一方向回転許容機構部としてワンウェイクラッチを採用してもよい。
・前記実施形態では、連結器具40のトルク入力部70をアクスル110の軸心O、すなわち、車輪140の軸心と同軸上に配置したが、必ずしも、同軸に配置する必要はない。仮に連結器具40のトルク入力部70がアクスル110の軸心Oからずれていても、操作効率が悪くなるだけで、車両の手押しを行うことが可能である。